JP3883863B2 - 電池式電動工具及び電池式電動工具の電池残容量検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池で駆動される駆動源を備えた電池式電動工具に関し、詳しくは電池残容量を精度良く検出するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
電池式電動工具は、使用することで電池の残容量が減るため、一定期間使用すると電池を交換又は充電する必要が生じる。そのため、電池の残容量が低下したときに発光ダイオードを点灯等させることで、工具使用者に電池が交換時期あるいは充電時期になったことを警告する電池式電動工具が開発されている(実公平4−32224号等)。
このような電池式電動工具には、電池の残容量が設定残容量より低下したことを検出する残容量検出回路が設けられる。この残容量検出回路は、電池の残容量が設定残容量より低下すると残容量低下信号を出力し、この出力された残容量低下信号によって警告等が発せられる。このように警告が発せられるタイミングは、残容量検出回路から出力される残容量低下信号の出力タイミングによって決まる。したがって、適切なタイミングで警告を発するためには、残容量検出回路によって電池残容量を精度良く検出する必要がある。そこで、電池残容量を精度良く検出するための方法として、電池残容量を検出するための専用ICを用いる方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、専用ICを用いて電池残容量を検出する方法では、電池残容量を精度良く検出できるものの、高価な専用ICを用いなければならず、さらに、専用ICに流れる電流を分流するためのシャント抵抗を装備する必要がある等、コスト高になるという問題があった。
【0004】
本発明は、上述した実情に鑑みなされたものであり、その目的は、専用ICを用いることなく、電池残容量を精度良く検出することができる技術を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記課題を解決するため請求項1に記載の発明は、電池で駆動される駆動源を備えた電池式電動工具であって、電池残容量が設定残容量より低下したときに残容量低下信号を出力する残容量検出回路を有する。そして、その残容量検出回路は、(1)駆動源への通電オフから第1設定時間経過後の電池電圧と(2)その第1設定時間経過後からさらに第2設定時間経過後の電池電圧との差の絶対値が所定値を越えるときに残容量低下信号を出力する。
この電池式電動工具では、駆動源への通電オフから所定時間経過後の電池電圧の時間的変化率、すなわち、駆動源への通電オフ後の電池電圧の回復特性(具体的には、駆動源への通電オフから第1設定時間経過後の電池電圧と、その第1設定時間経過後からさらに第2設定時間経過後の電池電圧との差)に基づいて電池の残容量を検出する。したがって、駆動源への通電がオフされた状態で電池残容量が検出されるため、駆動源の状態(例えば、負荷状態と無負荷状態の違い)等による影響が小さくなり、電池残容量を精度良く検出することができる。よって、上記電池式電動工具では、専用ICを用いることなく電池残容量を精度良く検出することができる。
【0006】
ここで、上記「電池電圧の回復特性」とは、電池が満充電の場合は、駆動源への通電がオフされると速やかに電池電圧が回復し、一方、電池残容量が少なくなった場合は、駆動源への通電がオフされると緩やかに電池電圧が回復するという特性のことをいう。図1を用いて具体的に説明する。図1は、駆動源を起動するメインスイッチ(トリガースイッチ)がオンされて駆動源が駆動され、所定時間経過後にメインスイッチをオフしたときの、電池電圧(バッテリ電圧)の変化の一例を模式的に示す図である。
図1から明らかなように、満充電の電池では、図1(a)に示すように駆動源への通電がオフされると速やかに電池電圧が回復し、逆に、電池残容量が少なくなった電池では、図1(b)に示すように駆動源への通電がオフされると緩やかに電池電圧が回復する。したがって、駆動源がオフされてから所定時間経過したときの電池電圧の時間的変化率は、満充電の電池では電池電圧が既に回復した状態となっているため小さくなり、残容量が少ない電池では電池電圧が回復する途中の状態となるため電池電圧の時間的変化率は大きくなる。請求項1に記載の電動工具では、このことを利用して電池の残容量が少なくなったことを検出する。
なお、電池電圧の回復特性を利用して電池残容量を検出する際の判定基準としては、駆動源への通電オフから所定時間経過後の電池電圧の時間的変化率(例えば、駆動源への通電オフから所定時間経過後における所定時間内の電圧上昇量等)のみならず、他の判定基準、例えば、駆動源への通電オフから電池電圧が所定の電圧値(無負荷開放電圧に基づいて定められる電圧)に回復するまでの時間を利用することができる。
【0007】
前記残容量検出回路は、電池電圧の無負荷開放電圧が予め設定された電圧値より低下しているときにさらに残容量低下信号を出力することが好ましい。これによれば、駆動源への通電前に残容量低下信号を出力することができる
なお、このように異なる判定基準を利用して残容量低下信号を出力する場合には、判定基準毎に報知する報知器(LED等)を設けるようにしても良い。このような構成とすると、無負荷開放電圧による電池残容量の検出結果と、通電オフ時の電池電圧の回復特性による電池残容量の検出結果とに基づいて、電池の異常を判断することが可能となる。すなわち、無負荷開放電圧の判定が“残容量低下”であるにもかかわらず、電池電圧の回復特性が“残容量が充分にある”の場合は、電池のセルに充分に充電されているにもかかわらず、無負荷開放電圧が低い状態である。したがって、これら二つの判定結果によって電池の異常(例えば、セル短絡等)を判断することができる。
【0008】
前記残容量検出回路は、駆動源の起動時における電圧降下量が予め設定された電圧降下量を越えるときにさらに残容量低下信号を出力することが好ましい。これによれば、駆動源への通電をオフする前のより早いタイミングで残容量低下信号を出力することができる。
なお、上記の場合にも判定基準毎に報知する報知器(LED等)を設けるようにしても良い。このような構成によると、起動時の電圧降下量による電池残容量の検出結果と、通電オフ時の電池電圧の回復特性による電池残容量の検出結果とに基づいて、電池の異常を判断することが可能となる。すなわち、電圧降下量による判定が“残容量低下”であるにもかかわらず、電池電圧の回復特性が“残容量が充分にある”の場合は、電池のセルに充分に充電されているにもかかわらず、電圧降下量が大きい状態である。したがって、これら二つの検出結果によって電池の異常(例えば、電池の内部インピーダンスの増加(セルの劣化)等)を判断することができる。
【0009】
本発明の一態様としては、次に記載する電池式電動工具とすることができる。
この電池式電動工具は、電池で駆動されるモータと、電池残容量が設定残容量より低下したときに残容量低下信号を出力する残容量検出回路を有する。そして、その残容量検出回路は、モータへの通電オン後でモータ回転開始前に通電オフされた場合において、(1)モータへの通電オフから第1設定時間経過後の電池電圧と(2)その第1設定時間経過後からさらに第2設定時間経過後の電池電圧との差の絶対値が所定値を超えるときに残容量低下信号を出力する。
この電池式電動工具では、モータへの通電がオンされモータが回転を開始する前に通電オフされたときの電池電圧の回復特性によって電池残容量を検出する。したがって、モータが回転していない状態で検出された電池電圧の回復特性によるため、モータの回転による電池電圧の変動の影響が無く、電池残容量を正確に検出することができる。
【0010】
また、本発明の他の態様としては、次に記載する電池式電動工具とすることができる。
この電池式電動工具は、電池で駆動されるモータと、電池残容量が設定残容量より低下したときに残容量低下信号を出力する残容量検出回路を有する。そして、その残容量検出回路は、モータ電流が一定で、かつ、モータ回転数が一定となっている状態でモータへの通電がオフされた場合において、(1)その通電オフから第1設定時間経過後の電池電圧と(2)その第1設定時間経過後からさらに第2設定時間経過後の電池電圧との差の絶対値が所定値を超えるときに残容量低下信号を出力する。
この電池式電動工具では、モータ電流が一定で、かつ、モータ回転数が一定となる状態でモータへの通電がオフされたときの電池電圧の回復特性によって電池残容量を検出する。したがって、モータの負荷変動による電池電圧の変動の影響が無く、電池残容量を正確に検出することができる。
ここで、上記「モータ電流が一定で、かつ、モータ回転数が一定となっている状態」とは、具体的には、例えば(1)負荷軸が停止している状態,(2)無負荷でモータが回転している状態,等をいう。
【0011】
さらに、本発明の他の態様としては、次に記載する電池式電動工具とすることができる。
この電池式電動工具は、電池で駆動される駆動源を備えた電池式電動工具であって、スイッチと、スイッチの操作により起動され、電池残容量が設定残容量より低下しているときに残容量低下信号を出力する残容量検出回路と、残容量検出回路から出力される残容量低下信号に基づいて電池残容量を報知する報知器とを有する。そして、前記残容量検出回路は、スイッチの操作に基づいて駆動源に所定時間通電し、(1)通電停止後から第1設定時間経過後の電池電圧と(2)その第1設定時間経過後からさらに第2設定時間経過後の電池電圧との差に基づいて残容量低下信号を出力する。
この電池式電動工具では、スイッチが操作されると、残容量検出回路が駆動源に所定時間通電し、通電停止後の電池電圧の回復特性に基づいて電池残容量を検出する。そして、検出した電池残容量が設定残容量より低下している場合には、報知器からその旨が報知される。したがって、工具使用者はスイッチを操作するだけで、電池の残容量をチェックすることができる。
ここで、駆動源に通電される所定時間は、通電されてから駆動源が機械的に動作する直前までの時間内に設定されることが好ましい。すなわち、通電が開始されてから駆動源が機械的に動作する前(例えば、駆動源がモータであった場合に、モータ回転軸が回転する前)に駆動源への通電が停止されれば、駆動源の機械的な動作による電池電圧への影響を無くすことができる。
【0012】
また、本発明の一態様としては、次に記載する締付工具とすることができる。
この締付工具は、電池によって駆動されるモータの回転が衝撃力発生機構を介して負荷軸に伝達され、負荷軸が回転することによってネジの締付を行う工具であって、検出装置と制御装置を有する。
検出装置は、負荷軸の回転方向と回転角変化を検出する。制御装置は、検出された負荷軸の回転方向と回転角変化から負荷軸の回転停止を判定し、負荷軸が回転を停止していないと判定したときにモータの回転を継続し、負荷軸が回転を停止したと判定したときにモータの回転を停止する。さらに、制御装置は、(1)モータの回転を停止させてから第1設定時間経過後の電池電圧と(2)その第1設定時間経過後からさらに第2設定時間経過後の電池電圧との差に基づいて電池の残容量検出を行う。
この締付工具では、負荷軸が回転を停止するまでモータが回転(すなわち、モータに通電オン)して負荷軸を回転させる。このため、負荷軸に結合された締付部材(ナット類)は、それ以上回転することができない状態(充分な締付トルクを与えた状態)まで締め付けられる。
また、モータが回転しているにもかかわらず負荷軸(すなわち、締付部材)が回転を停止している状態は、モータの負荷が一定となり電池は定電流放電の状態となっている。したがって、制御装置は、電池が定電流放電の状態となっている状態で通電オフされたときの電池電圧の回復特性によって電池残容量を検出する。このために、電池残容量を正確に検出することができる。
【0013】
上記の締付工具では、前記制御装置は、さらに、負荷軸が回転を停止したと判定してからモータの回転を停止するまでに電池電圧を検出し、その検出された電池電圧を用いて電池の残容量検出を行うことが好ましい。
このような構成によると、定電流放電時の電池電圧が検出され、その検出された電池電圧によっても電池の残容量検出が行われる。このため、より正確に電池残容量を検出することができる。
このような構成の場合には、定電流放電時の電池電圧による残容量検出の結果と、通電オフ後の電池電圧の回復特性による残容量検出の結果とによって、電池の異常を判定することができる。例えば、定電流放電時の電池電圧が‘残容量低下’で、電池電圧の回復特性が‘満充電’の場合には、電池のセル短絡等が原因であると判定することができる。また、定電流放電時の電池電圧が‘満充電’で、電池電圧の回復特性が‘残容量低下’の場合には、電池のセル劣化等が原因と判定することができる。さらに、定電流放電時の電池電圧が‘残容量低下’で、電池電圧の回復特性が‘残容量低下’の場合には、単なる充電不足が原因と判定することができる。
【0014】
上記課題は請求項9に記載の発明によっても解決することができる。
すなわち、請求項9に記載の発明は、電池で駆動される駆動源を備えた電池式電動工具の電池残容量検出方法であって、(1)駆動源への通電がオフされてから第1設定時間経過後の電池電圧と(2)その第1設定時間経過後からさらに第2設定時間経過後の電池電圧との差に基づいて電池残容量を検出する。
上記電池残容量検出方法によっても、電池残容量を精度良く検出することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
上述した請求項のいずれかに記載の発明は、以下に記載の形態で好適に実施することができる。
(形態1) 請求項1乃至3のいずれか一つに記載の電池式電動工具では、前記残容量検出回路から出力される残容量低下信号に基づいて電池残容量を報知する報知器が付加されていても良い。このような形態によると、電池残容量が設定残容量より低下すると報知器によってその旨が工具使用者に報知されるため、適切なタイミングで電池の交換又は充電が行われる。
(形態2) 請求項1乃至3のいずれか一つに記載の電池式電動工具には、前記残容量検出回路から出力される残容量低下信号に基づいて駆動源への通電を遮断するスイッチ回路が設けられていても良い。このような形態によると、電池残容量が設定残容量より低下すると駆動源への通電が遮断されるため、電池残容量が低下した状態での作業を禁止することができる。
(形態3) 請求項6に記載の電池式電動工具では、前記スイッチは、作業時に駆動源を操作するためのメインスイッチと共通化され、メインスイッチが所定条件下操作されたときに、前記残容量検出回路が電池の残容量を検出するようにしても良い。このような形態によると、残容量検出回路を起動するためのスイッチを別途設ける必要がない。なお、上記「所定条件」は、電動工具の機種・仕様等に応じて適宜設定することができる。例えば、電動工具本体の電池収容部へ電池装着後の最初のメインスイッチ操作によって、残容量検出回路が作動するようにしても良い。
(形態4) 請求項6に記載の電池式電動工具では、前記スイッチは、作業時に駆動源を操作するためのメインスイッチと共通化され、メインスイッチが操作される毎に、前記残容量検出回路が電池の残容量を検出するようにしても良い。このような形態によると、電動工具により作業が行なわれる毎に電池残容量が検出される。したがって、使用中に電池残容量不足となった場合には、即座に電池残容量不足である旨が作業者に報知される。
(形態5) 形態4に記載の電池式電動工具では、残容量検出回路から残容量低下信号が出力されず、かつ、メインスイッチが操作され続けている場合には、残容量検出回路による駆動源への通電停止後に、再度駆動源への通電が再開されることが好ましい。このような形態によると、電池の残容量検出が終わると、引き続き電動工具による作業が行なわれる。
(形態6) 請求項6又は形態3又は形態4又は形態5に記載の電池式電動工具では、前記残容量検出回路はマイクロコンピュータを含んで構成され、そのマイクロコンピュータは、スイッチの操作に基づいて駆動源に所定時間通電し、通電停止後の電池電圧の回復特性に基づいて電池残容量を検出するようプログラムされていることが好ましい。このような形態によると、プログラムを適宜修正することにより、機種・仕様等が異なる種々の電動工具の残容量検出回路を共通化することができる。
(形態7) 請求項6に記載の電池式電動工具では、前記駆動源に通電する所定時間は、駆動源のインダクタンスと巻線抵抗によって決まる時定数以上の時間であることが好ましい。このような形態によると、起動電流が充分に流れることで駆動源への通電開始時における電圧降下量が充分な量となるため、電池電圧の回復特性の差が明確になって精度良く電池残容量を検出することができる。
(形態8) 請求項9に記載の電池残容量検出方法において、さらに、電池の無負荷開放電圧を考慮して電池残容量を検出することが好ましい。このような形態によると、無負荷開放電圧による電池残容量の検出結果と、通電オフ時の電池電圧の回復特性による電池残容量の検出結果とに基づいて、電池の異常(セル短絡等)を判断することが可能となる。
(形態9) 請求項9に記載の電池残容量検出方法において、さらに、駆動源起動時の電圧降下量を考慮して電池残容量を検出することが好ましい。このような形態によると、駆動源起動時の電圧降下量による電池残容量の検出結果と、通電オフ時の電池電圧の回復特性による電池残容量の検出結果とに基づいて、電池の異常(電池の内部インピーダンスの増加(セルの劣化)等)を判断することが可能となる。
(形態10) 電池で駆動される駆動源を備えた電池式電動工具においては、駆動源を操作するためのメインスイッチと、メインスイッチの操作により起動され、電池残容量が設定残容量より低下しているときに残容量低下信号を出力する残容量検出回路と、残容量検出回路から出力される残容量低下信号により駆動源への通電をオフする駆動回路とを有するようにしても良い。このような形態によると、メインスイッチの操作により残容量検出が行われ、電池残容量が設定残容量より少ない場合には、その後メインスイッチを操作しても駆動源は駆動されない。したがって、電動工具により作業を行おうとしてメインスイッチが操作されると必ず残容量検出が行われ、残容量が少ないものは作動不能となる。このため、電池残容量が少ない状態での作業が確実に禁止される。
【0016】
【実施例】
以下、本発明を具現化した一実施例に係る電動工具について図面を参照して説明する。図2は本実施例に係る電動工具の回路構成を示す図である。図2に示すように、本実施例の電動工具は、電池パックBPと、電池パックBPが着脱可能に装着される電動工具本体100により構成されている。
電池パックBPは、ニッケル水素電池等のセルを内蔵しており、充電可能となっている。この電池パックBPは電動工具本体100の電池収容部に収容されると、電池パックBPの電池接点が電動工具本体100の接点CN1,CN2に接続されるようになっている。
【0017】
電動工具本体100には、上述した電池パックBPから供給される電力により駆動されるモータMと、電池パックBPの残容量を検出する残容量検出回路200と、モータMを駆動するために工具使用者により操作されるメインスイッチ(図示省略)が設けられている。モータMは、その一端が接点CN1に接続され、その他端が接点CN2に接続されている。したがって、モータMは、接点CN1及び接点CN2を介して電池パックBPと接続され、電池パックBPから供給される電力により回転駆動される。このモータMの両端は、逆起電圧吸収用のダイオードD3を介して接続される。また、モータMと接点CN2との間には、モータMへの駆動電力を制御するための制御素子、例えば電界効果トランジスタ(FET)Q1が設けられている。このFETQ1のゲート端子には、後で詳述する残容量検出回路200の出力端子OUT2が接続されている。
【0018】
残容量検出回路200は、CPU、ROM、RAMとI/Oが1チップ化されたマイクロコンピュータにより構成されている。この残容量検出回路200のROMには、後述する残容量検出処理を実現するための制御プログラムが記憶されている。
残容量検出回路200の入力端子INには、抵抗R1(その一端が接点CN1に接続されている)と抵抗R2(その一端が接点CN2に接続されている)の接続点が接続される。また、上記入力端子INと抵抗R1、R2の接続点の間には、ダイオードD1、D2が図示のように接続されている。したがって、電池パックBPの出力電圧は、抵抗R1、R2で分圧され、その分圧された電圧は、ダイオードD2によって負の成分を取り除かれ、残容量検出回路200の入力端子INに入力するようになっている。なお、入力端子INに入力した電圧は、残容量検出回路200内に設けられたA/Dコンバータ(図示省略)によりデジタル化され、後述する残容量検出処理に使用されることとなる。
また、残容量検出回路200の出力端子OUT1には、発光ダイオードLEDが接続され、この発光ダイオードLEDは抵抗R3を介して制御電源Vccに接続されている。
【0019】
次に、上述した残容量検出回路200において行われる残容量検出処理を、図3及び図4に示すフローチャートを参照して説明する。
電池パックBPが電池収容部に装着されて残容量検出回路200に電源が供給され始めると、残容量検出回路200は、図3に示すように入力端子INに入力する電圧をA/DコンバータによりA/D変換し(S1)、そのA/D変換した値を無負荷開放電圧VopenとしてRAM内の所定のアドレスに記憶する(S2)。次に、メインスイッチが操作されたか否かを判定し(S3)、メインスイッチが操作されていない場合には、メインスイッチが操作されるまでステップS1〜S3までの処理を繰り返す。
メインスイッチが操作されると、ステップS2で記憶した無負荷開放電圧Vopenが設定した電圧値より大きいか否かを判定する(S4)。そして、無負荷開放電圧Vopenが設定値以下の場合には図4のステップS22に進み、無負荷開放電圧Vopenが設定値より大きい場合にはステップS5に進む。ここで、ステップS4の設定値(無負荷開放電圧Vopenと比較される電圧値)は、電池パックBPの放電特性(放電曲線)に基づいて決められている。
【0020】
ステップS5に進むと、残容量検出回路200は、出力端子OUT2から駆動信号をFETQ2に出力することによりモータMへの電力供給を開始する。モータMに電力供給(通電)されると、起動電圧Von(RAM内の所定のアドレスに格納されている値)に初期値FFが記憶され(S6)、タイマのカウントが開始される(S7)。次に、入力端子INに入力する電圧をA/D変換し(S8)、その変換した値が起動電圧Vonより小さいか否かを判定する(S9)。A/D変換した値が起動電圧Vonより小さい場合には、起動電圧VonをステップS8でA/D変換した電圧値に書換え(S10)、A/D変換した値が起動電圧Von以上の場合にはステップS10をスキップしてステップS11の処理に進む。なお、ステップS6で起動電圧Vonとして記憶した初期値FFは、起動電圧Vonとして記憶できる電圧値の最大値とされるため、モータMが起動された直後のステップS9の判定は必ずYESとなって、ステップS10の処理が行われる。
ステップS11では、ステップS7でカウントを開始したタイマが設定時間となったか否かを判定する。タイマが設定時間となっていない場合には、ステップS8に戻ってステップS8〜S11までの処理を繰返す。ステップS8〜S11の処理が繰返されることで、起動電圧Vonは、モータMが起動されてから設定時間経過するまでの間に入力端子INに入力した電圧の最小値に書換えられる。
一方、タイマが設定時間となっている場合には、出力端子OUT2からFETQ2に出力されている駆動信号をオフすることで、モータMへの通電を停止する(S12)。したがって、モータMはメインスイッチがオンされてから設定時間だけ通電されることとなる。なお、モータMに通電される時間(ステップS11の設定時間)は、モータMのインダクタンスと巻線抵抗によって決まる時定数より長い時間に設定される。これにより、モータMの起動時の突入電流によって電池電圧降下量が充分な値となって通電オフ後の電圧変化が明確になる。また、ステップS11の設定時間は、モータMが回転を開始する前にモータMへの通電がオフされるように設定されている。したがって、モータMが回転することによる電池電圧への影響(モータMの逆起電力等)を排除することができる。
以上の処理によって、モータMを設定時間だけ通電した時の起動電圧Vonの最小値がRAMに記憶されると、次に、無負荷開放電圧Vopenから起動電圧Vonを差し引いたもの、すなわち、モータMに通電開始したときの電圧降下量(Vopen−Von)が設定値より小さくなっているか否かを判定する(S13)。モータMに通電を開始したときの電圧降下量(Vopen−Von)が設定値より小さい場合にはステップS14に進み、電圧降下量(Vopen−Von)が設定値以上の場合には図4のステップS22に進む。
【0021】
ステップS14に進むと、タイマをリセットして、再度カウントを開始する(S14)。そして、タイマが設定時間(ステップS11の設定時間とは異なる)となるまで待機する(S15)。なお、このステップS14,S15により設定時間だけ時間をカウントするのは、電池パックBPの出力電圧に含まれるノイズ(モータMへの通電オフ時のノイズ)を検出しないためである。
タイマが設定時間をカウントすると、次に、入力端子INに入力する電圧をA/D変換し(S16)、その変換した値を回復電圧VとしてRAMに記憶する(S17)。そして、再度、タイマをリセットしてカウントを開始し(S18)、タイマが設定時間(ステップS11、ステップS15における設定時間とは異なる)となるまで待機する(S19)。このステップS18,S19によりカウントされる時間は、電池電圧の回復特性の相違(満充電時の場合には速やかに電池電圧が回復し、電池残容量が少ない場合にはゆっくり電池電圧が回復する)を検出することができるように設定される。
タイマによるカウントが終了すると、再度、入力端子INに入力する電圧をA/D変換する(S20)。そして、ステップS20で変換した電圧値(モータMへの通電オフからステップS15とステップS19の設定時間だけ経過したときの電圧値)からステップS17で記憶した回復電圧V(モータMへの通電オフからステップS15の設定時間だけ経過したときの電圧値)を差し引き、その電圧回復量が設定値以上となっているか否かを判定する(S21)。
電圧回復量が設定値より少ない場合、すなわち、電圧の時間的変化が少ない場合には、そのままメイン処理(メインスイッチの操作によりモータMを回転駆動する処理、つまり、PWM制御によりメインスイッチの引き代に応じてモータMを駆動する処理)に移行する。なお、上記ステップS11の設定時間(本実施例では、約3ms)及びステップS15とステップS19の設定時間の和(本実施例では、約7ms)は充分に短いため、作業者がステップS5とステップS12の処理によるモータMへの通電のオン/オフを意識することはない。したがって、作業者は、上述した電池残容量検出を意識することなく、そのまま通常の作業を行っているように感じる。
一方、電圧回復量が設定値以上となる場合には、電池パックBPの残容量が少ない旨の報知と、モータMへの通電を禁止する処理を行う(S22)。すなわち、残容量検出回路200は、出力端子OUT1から信号を出力することで発光ダイオードLEDを点灯し、また、メインスイッチが操作されても出力端子OUT2から駆動信号を出力しない状態(モータMへ通電されない状態)とする。したがって、ステップS22の処理が行われると、電池パックBPを新しい電池パックBPと交換しない限り、電動工具を用いて作業ができなくなる。
【0022】
上述した電池残容量検出を行う際の電動工具の動作を、図5を用いて具体的に説明する。図5は、電池パックBPが満充電時の場合(同図(a))と、電池パックBPの残容量が少なくなった場合(同図(b))の、電池パックBPの出力電圧(バッテリ電圧)の経時的変化を模式的に示す図である。
まず、電池パックBPが満充電の場合を、図5(a)を参照して説明する。メインスイッチがオンされると、設定時間t1(ステップS11の設定時間;約3ms)だけモータMに通電が行なわれる。したがって、電池パックBPの出力電圧は時間の経過に伴って低下する。メインスイッチがオンされてから設定時間t1だけ経過するとモータMへの通電がオフされる。モータMへの通電がオフされると、電池パックBPは満充電であるので、図5(a)に示すように、電池パックBPの出力電圧は速やかに回復する。ここで、電池パックBPが満充電であると、ステップS4(無負荷開放電圧による判定)、ステップS13(起動時の電圧降下量による判定)、ステップS21(電圧回復特性による判定)は全て“残容量が充分にある”となるため、モータMへの通電がオフされてから設定時間t2(ステップS15とステップS19の設定時間の和;約7ms)だけ経過するとモータMへの通電が再開される。なお、図5(a)から明らかなように、通電再開後のモータMへの通電はメインスイッチの引き代に応じたPWM制御によって行なわれる。
【0023】
次に、電池パックBPの残容量が少なくなった場合を、図5(b)を参照して説明する。なお、図5(b)に示す例では、ステップS4の無負荷開放電圧による判定と、ステップS13の電圧降下量による判定では、“残容量が充分にある”と判定され、ステップS21の電圧回復特性に基づく判定により“残容量低下”と判定される場合を示している。電池パックBPの残容量が少なくなった場合でも、メインスイッチがオンされるとモータMに通電が開始され、設定時間t1(ステップS11の設定時間;約3ms)だけ経過するとモータMへの通電がオフされる。モータMへの通電がオフされると、電池パックBPの残容量が少なくなっているので、図5(b)に示すように電池パックBPの出力電圧は緩やかに回復する。このため、ステップS21による判定(電圧回復特性による判定)は“残容量低下”となり、LEDが点灯され、また、メインスイッチをON操作し続けてもモータMへの通電が再開されない(モータMが回転駆動されない)。
【0024】
上述した説明から明らかなように、本実施例に係る電動工具では、無負荷開放電圧が設定した電圧値以下の場合(ステップS4でNOの場合)、起動時の電圧降下量が設定した電圧降下量以上の場合(ステップS13でNOの場合)、モータMへの通電オフから所定時間経過したときの電池電圧の時間的変化率(回復率)が設定した値以上の場合(ステップS21でYESの場合)には、電池パックBPの残容量が設定残容量より少ないとして、発光ダイオードLEDが点灯されるとともに、モータMが駆動されない状態となる。したがって、電池パックBPの残容量検出が3つの異なる方法により行われ、電池パックBPの残容量が少ない状態での電動工具の使用が確実に防止される。特に、メインスイッチの操作毎に残容量検出が行なわれるため、使用中に電池残容量が無くなることによる作業不良を確実に防止することができる。
また、通電オフ後の電池の回復特性によって電池パックBPの残容量を検出するため、駆動源へ通電されていない状態で電池電圧が検出され、電池の残容量検出が行なわれる。特に、モータMが回転する前にモータMへの通電を停止するため、モータMへの負荷の有無や、モータMの回転による逆起電力等の影響が排除され、電池パックBPの残容量を精度良く検出することが可能となる。
また、メインスイッチがPWM機能のついた変速スイッチであっても、本実施例では残容量検出回路(マイクロコンピュータ)によってモータMがオン−オフ制御(ステップS5,ステップS12)されるため、メインスイッチの操作態様の違いによる誤検出が防止される。
【0025】
なお、上述した実施例では、残容量検出回路を汎用のマイクロコンピュータにより構成したが、このような例に限られず、種々の電子素子(比較器等)を適宜組み合わせることによって、同様の機能を有する残容量検出回路を構成することができる。
また、上述した実施例では、無負荷開放電圧が設定電圧より低い場合や、起動時の電圧降下量が設定降下量より大きい場合には、電圧回復特性による判定を行うことなくLEDを点灯させ、モータMへの通電を禁止した。しかしながら、本発明はこのような例に限られず、例えば、無負荷開放電圧が設定値より低い場合や、起動時の電圧降下量が設定降下量より大きい場合においても、電圧回復特性による判定を行うようにしても良い。この際には、判定基準毎に点灯するLEDを変え、どの判定が“残容量低下”となったかを表示することが好ましい。このような構成によると、電圧回復特性が“残容量が充分にある”で無負荷開放電圧が“残容量低下”の場合には、セル短絡等の電池の異常と判断することができ、また、電池回復特性が“残容量が充分にある”で起動時の電圧降下量が“残容量低下”の場合には、セルの劣化による電池の内部インピーダンスの増加や、接続端子等のメカニカルな電気接点の接触不良によるインピーダンスの増加等の異常と判断することができる。
【0026】
また、上述の電池残容量検出技術は、電池式の電動工具であればどのようなものにでも適用可能である。特に、電池式締付工具(ビス、ナット、ボルト等のねじ類を締付けるためのスクリュードライバ、トルクレンチ、インパクトレンチ等)に好適に実施することができる。すなわち、電池式締付工具では、電池の残容量が低下した状態で締付作業が行われると締付けトルクが不充分となって作業品質が維持できない場合を生じる。このため、本発明に係る電池残容量検出技術を利用することで電池残容量が低下した状態での締付作業を回避することができ、作業品質を一定に維持することができる。
【0027】
(第2実施例) 次に、上述の電池残容量検出技術を締付工具に適用した第2実施例について説明する。第2実施例は、上述の電池残容量検出技術を締付工具の一種であるアングルソフトインパクトレンチに適用した例である。
第2実施例においても、通電オフ後の電池電圧の回復特性に基づいて電池残容量を検出する点は第1実施例と同様である。しかしながら、第1実施例ではモータを駆動する前(すなわち、作業開始前)に電池残容量を検出するようにしていたが、第2実施例ではモータを駆動後(すなわち、作業完了時)に電池残容量を検出する点で大きく異なる。以下、第2実施例について詳細に説明する。
なお、インパクトレンチ等の締付工具では、一般的に、負荷軸の先端に取付けられたソケットにネジ類を係合させ、この状態で負荷軸を回転させてネジ類の締付を行う。通常、ソケットとネジの間にはがたがあるため、負荷軸の衝撃力をネジに伝達する際の反作用(ハンマリング作用)によって、負荷軸は正転(ネジ締付方向の回転)と逆転(ネジを緩める方向の回転)とを繰返しながらネジが締付られる。このため、ネジの回転が停止して締付が完了した後も、ハンマリング作用によりソケット(すなわち、負荷軸)が正転と逆転を繰返す場合がある。そこで、第2実施例のアングルソフトインパクトレンチでは、負荷軸の回転方向と回転角変化を検出することで負荷軸(すなわち、ネジ類)の回転停止を検出し、負荷軸が回転停止するとモータを停止している。したがって、電池の残容量検出は、負荷軸の回転停止が判定されてモータの回転停止(モータへの通電停止)の後に行われる。
【0028】
図6はアングルソフトインパクトレンチの一部断面側面図を示している。図1に示すアングルソフトインパクトレンチ1は、ハウジング3内に駆動源であるモータM(図6において図示省略:但し図11に図示)が収容固定されている。モータMの出力軸20には遊星歯車機構18が接続され、遊星歯車機構18の出力軸16には緩衝機構14を介してオイルユニット12が接続される。
オイルユニット12は、内部に収容したオイルの圧力を利用して出力軸8に瞬間的に大きな衝撃力(オイルパルス)を発生させる公知の装置である。オイルユニット12で発生するオイルパルスの衝撃力は、内部に収容したオイルの最大圧力値を調節することで制御することができ、これによって所定の締付トルクが得られるようになっている。また、緩衝機構14はオイルパルス発生時の衝撃がダイレクトに遊星歯車機構16側に伝達されることを防止するための公知の機構(例えば、実開平7−31281号等)である。
オイルユニット12の出力軸8は、後で詳述する軸受装置10により軸支されており、その先端にはベベルギヤ6が連結されている。ベベルギヤ6はベベルギヤ4に噛合し、ベベルギヤ4は出力軸8に対して直交状に軸支されるスピンドル2の一端に取付けられている。スピンドル2の他端には、ボルトやナット等の頭部に係合する図示されていないソケットが取付けられる。
上記のアングルソフトインパクトレンチ1においてモータMが回転すると、その回転が遊星歯車機構16によって減速されてオイルユニット12に伝達される。オイルユニット12は、締め付け初期の段階においてはスピンドル2(出力軸8)への負荷が低いため、オイルパルスを発生させること無くモータ22から伝達された回転をそのままスピンドル2に伝達する。このため、スピンドル2が連続的に回転し、これにともなってネジ類も連続的に締め付けられる。一方、ネジ類が締め付けられてスピンドル2(出力軸8)への負荷が高くなると、オイルユニット12からオイルパルスが発生し、その衝撃力によってネジ類がさらに強固に締付けられることとなる。
【0029】
次に、上述のように作動するオイルユニット12の出力軸8を回転可能に支持する軸受装置10について図7〜10を参照して説明する。ここで、図7は軸受装置の構造を示す断面図であり、図8は軸受装置に組み込まれる磁石と回転角検出センサの位置関係を模式的に示す図であり、図9と図10は出力軸8が正転又は逆転するときに二つの回転角検出センサから出力される検出信号の出力タイミングをそれぞれ示す図である。
図7に示すように軸受装置10は、内筒30と、内筒30を回転自在に支持する外筒34を備える。内筒30には、オイルユニット12の出力軸8の外径と略同径(出力軸8の外径より若干小さい)の貫通孔が形成される。この貫通孔には、図面右端側よりオイルユニット12の出力軸8が圧挿され、これによって出力軸8に内筒30が固定される。したがって、出力軸8が回転すると内筒30も一体となって回転する。
また、内筒30の図面右端には、円筒状の磁石取付部材40が固定されており、この磁石取付部材40の外周状には複数の磁石42(図8において42a,42b,42c・・で示されている。)が等間隔で配置されている。磁石42は、図8に示すようにS極が外周側となるように配置される磁石42a,42c・・と、N極が外周側となるように配置される磁石42b・・とがあり、S極が外周側となる磁石42a,42c・・と、N極が外周側となる磁石42b・・とは交互に配置されている。なお、隣接する磁石間の中心角(例えば、磁石42aの中心と内筒30の回転中心とを結ぶ線分と、磁石42bの中心と内筒30の回転中心とを結ぶ線分とがなす角度)は、図8に示すようにそれぞれα°で一定の値となっている。
【0030】
外筒34は、図7に示すように内筒30より大なる内径を有する円筒状部材である。内筒30と外筒34の間にはボール32が介装され、内筒30は外筒34に対して回転可能に組み付けられる。したがって、外筒34がハウジング3内に収容固定されると、内筒30(すなわち、出力軸8)は外筒34(すなわち、ハウジング3)に対して回転可能に支持されることとなる。
外筒34の図面右端には、円筒状のセンサ取付部材36が固定され、センサ取付部材36の内壁面上には回転角検出センサ38a,38bが取付けられている。したがって、この2つの回転角検出センサ38a,38bは、磁石42と対向するように配されることとなる(図8参照)。
回転角検出センサ38a,38bは、磁界の変化を検出するホールICであり、磁界の変化によって出力する検出信号の状態(レベル)を切替える。すなわち、回転角検出センサ38a,38bは、S極側が外周側となる磁石42a,42c・・が対向する位置にくると検出信号をLOWレベルに切替え、N極側が外周側となる磁石42b,・・が対向する位置にくると検出信号をHIGHレベルに切替える。
また、回転角検出センサ38a,38bは、図8に良く示されるように中心角がθ°(本実施例ではθ=α°/2)だけずれた位置に配設される。したがって、内筒30(すなわち、出力軸8)が正転方向へ回転すると、回転角検出センサ38a,38bから出力される検出信号の状態は図9に示すように変化する。
具体的に説明するため、回転角検出センサ38a,38bと磁石42a,42b,42cが図8の状態にあり、出力軸8が正転方向に回転するものとする。図8の状態では、回転角検出センサ38aは磁石42b(N極が外周側)と対向する位置にあるため、その検出信号はHIGHレベルとなっている。一方、回転角検出センサ38bは既に通過した磁石42c(S極が外周側)によって、その検出信号はLOWレベルとなっている。この状態から内筒30がθ°だけ回転すると、磁石42b(N極が外周側)が回転角検出センサ38bと対向する位置となるため、回転角検出センサ38bの検出信号はLOWレベルからHIGHレベルに切り替わる。このとき、回転角検出センサ38aの検出信号はHIGHレベルのままである。内筒30がさらに回転し、図8の状態からα°だけ回転した状態となると、磁石42aが回転角検出センサ38aと対向する位置となり、回転角検出センサ38aの検出信号はHIGHレベルからLOWレベルに切り替わる。このとき、回転角検出センサ38bの検出信号の状態はHIGHレベルのままである。以下、同様にして、回転角検出センサ38aの検出信号の状態が切り替わってから角θ°だけ出力軸8が回転(正転方向)すると、回転角検出センサ38bの検出信号の状態が切り替わることとなる。
また、出力軸8が逆転方向へ回転すると、上述の場合とは逆に、各回転角検出センサ38a,38bの検出信号は図10に示すように変化する。すなわち、回転角検出センサ38bの検出信号の状態が切り替わってから角θ°だけ出力軸8が回転(逆転方向)すると、回転角検出センサ38aの検出信号の状態が切り替わることとなる。
上述の説明から明らかなように、回転角検出センサ38a,38bは、内筒30(すなわち、オイルユニット12の出力軸8)がα°回転する毎に検出信号のレベルが切り替わる。したがって、出力軸8が2×α°回転する毎に回転角検出センサ38a,38bは1のパルス波を出力する。このパルス波の立上がりエッジは、後述するマイクロコンピュータ50により検出され、これによって出力軸8の回転角変化が検出される。したがって、出力軸8が回転(正転・逆転を問わない)しても、パルス波の立ち上がりエッジが検出できない場合は、回転角変化は0°となる。
また、二つの回転角検出センサ38a,38bから出力される検出信号はθ°だけ位相がずれ、位相がずれる方向は出力軸8の回転方向によって異なる。したがって、回転角検出センサ38a,38bから出力される検出信号の位相のずれによって、出力軸8の回転方向が検出される。
【0031】
また、アングルソフトインパクトレンチ1には、上述したものの他、モータMを起動するためのメインスイッチ22が設けられ、また、ハウジング3の下端には、モータMや次に説明するマイクロコンピュータ50等に電力を供給するバッテリパック24(電池)が着脱可能に取付けられている。
【0032】
次に、図11を参照してアングルソフトインパクトレンチ1の制御回路の構成を説明する。本実施例に係るアングルソフトインパクトレンチ1の制御回路は、ハウジング3内に収容されたマイクロコンピュータ50(第1実施例における残容量検出回路に相当)を中心に構成される。
マイクロコンピュータ50は、CPU52、ROM54、RAM56とI/O58が1チップ化されたマイクロコンピュータであり、図6に示すように接続されている。マイクロコンピュータ50のROM54には、後で詳述するモータMの駆動を自動的に停止するための制御プログラムや、電池残容量を検出するためのプログラム等が記憶されている。
上述した回転角検出センサ(ホールIC)38a,38bは、I/O58の所定の入力ポートに接続され、各回転角検出センサ38a,38bから出力される検出信号がマイクロコンピュータ50に入力するようになっている。
電源であるバッテリパック24は、電源回路64を介してマイクロコンピュータ50に接続されている。バッテリパック24の出力電圧は、電源回路により所定の電圧(すなわち、マイクロコンピュータ50の動作電圧)に変圧され、マイクロコンピュータ50に供給される。さらに、バッテリパック24は、第1実施例(図2参照)と同様の回路構成でマイクロコンピュータ50の一の入力端子に接続され、バッテリパック24の出力電圧がマイクロコンピュータ50(I/O58)の一の入力端子に入力するようになっている。入力端子に入力した電圧は、マイクロコンピュータ50内に設けられたA/Dコンバータによりデジタル化される。
また、バッテリパック24は、駆動回路62を介してモータMに接続されている。モータMは、駆動回路62及びブレーキ回路60を介してマイクロコンピュータ50に接続されている。マイクロコンピュータ50のI/O58には、発光ダイオード26a,26bが接続されている。発光ダイオード26a,26bは、それぞれ異なる色で発光するようになっている。すなわち、発光ダイオード26aは赤色で発光し、発光ダイオード26bは緑色で発光する。
かかる構成において、モータMが駆動されると、オイルユニット12の出力軸8が回転し、これに伴って回転角検出センサ38a,38bからマイクロコンピュータ50に検出信号が入力する。マイクロコンピュータ50は、入力する検出信号に基づいて以下に説明する処理を行い、所定のタイミングでモータMへの通電を停止するとともに、ブレーキ回路60を動作させることでモータMを停止する。また、マイクロコンピュータ50は、モータMへの通電をオフするとバッテリパック24の残容量を検出する処理を行い、検出された残容量が設定残容量より少ないと発光ダイオード26a,26bを発光させる処理を行う。
【0033】
次に、上述のように構成されるアングルソフトインパクトレンチ1を用いてナット類を締付ける際のマイクロコンピュータ50の処理について、図12乃至114に示すフローチャートを参照して説明する。図12はマイクロコンピュータ50で行われる処理全体のフローチャートを示し、図13は電池残容量を検出する処理のフローチャートを示し、図14は電池残容量を報知する処理のフローチャートを示している。
アングルソフトインパクトレンチ1を用いてナット類を締付けるためには、まず、作業者はスピンドル2の先端に取付けられたソケットにナット類を係合させメインスイッチ22をONする。メインスイッチ22をONすると、マイクロコンピュータ50は、モータMの回転駆動を開始するとともに以下に説明する処理を行う。
なお、本実施例では、メインスイッチ22をONした直後は最大電力でモータMを駆動することはせず、メインスイッチ22のONから所定時間内はモータMの回転数を徐々に上昇させる制御(以下、ソフトスタートという)を行う。このソフトスタートのための処理は、従来公知の処理と同様であるので、ここではモータMの駆動を停止する際の処理について説明する。
【0034】
図12に示すようにメインスイッチ22がONされると、まず、マイクロコンピュータ50はオートストップタイマをリセットしてカウントを開始する(S10)。オートストップタイマは、モータMを停止するか否かを判定するためのタイマであり、後述するようにオートストップタイマが予め設定された設定値となるとモータMの駆動が停止される。
オートストップタイマが初期化されると、次にソフトスタートタイマをリセットしてカウントを開始する(S12)。ソフトスタートタイマは、モータMがソフトスタートにより駆動制御されているか否かを判定するためのタイマである。
ステップS14では、出力軸8の逆転量を記憶する変数Rの値をクリアする(S14)。次に、メインスイッチ22がON状態か否かを判定する(S16)。
メインスイッチ22がON状態でない場合〔ステップS16でNOの場合〕にはモータMを停止して処理を終了する(S41)。したがって、メインスイッチ22をONした作業者がネジ締付作業の途中でメインスイッチ22をOFFした場合には、締付作業の途中でもモータMが停止することとなる。また、この場合には、後述する電池残容量の検出処理は行われない。
一方、メインスイッチ22がON状態の場合〔ステップS16でYESの場合〕には、回転角検出センサ38a,38bから出力される検出信号の状態を確認する(S18)。具体的には、回転角検出センサ38a,38bの検出信号が入力する入力ポートの状態を確認することで、検出信号のパルスエッジ(検出信号の立上がり)が検出されたか否かをチェックする。
【0035】
ステップS20では、ステップS18の処理によって検出信号のパルスエッジが検出できたか否かを判定する。回転角検出センサ38a又は38bから出力される検出信号のパルスエッジを検出していない場合〔ステップS20でNOの場合〕には、ソフトスタートが終了しているか否かを判定する(S36)。具体的には、ステップS12でカウントを開始したソフトスタートタイマが所定時間(ソフトスタートでモータMを駆動する時間)を超えたか否かで判定する。
ソフトスタートが終了している場合〔ステップS36でYESの場合〕にはステップS40に進む。一方、ソフトスタートが終了していない場合〔ステップS36でNOの場合〕にはステップS35に進んでオートストップタイマをリセットして再スタートし、ステップS16に戻る。
ステップS40に進むとオートストップタイマが設定値と一致するか否かを判定する(S40)。オートストップタイマが設定値以上の場合〔ステップS40でYESの場合〕はステップS42に進んで電池残容量検出処理(後で詳述する)を行い、オートストップタイマが設定値と一致しない場合〔ステップS40でNOの場合〕はステップS16に戻って、ステップS16からの処理が繰返される。
したがって、本実施例ではソフトスタートが終了していない状態ではオートストップタイマがリセットされてしまい、マイクロコンピュータ50によってモータMが自動的に停止されることは無い。これによって、モータMがソフトスタート中に停止され、ネジ類が締付トルク不足となることが防止される。
【0036】
一方、上述したステップS20の処理によって回転角検出センサ38a又は38bから出力される検出信号のパルスエッジを検出した場合〔ステップS20でYESの場合〕は、出力軸8の回転方向が正転方向か否かを判定する(S24)。具体的には、回転角検出センサ38aの検出信号(パルスエッジ)と回転角検出センサ38bの検出信号(パルスエッジ)との位相差により判定する。図9に示すように回転角検出センサ38bの検出信号がθ°だけ遅れると出力軸8は正転したと判定し、図10に示すように回転角検出センサ38aの検出信号がθ°だけ遅れると出力軸8は逆転したと判定する。
【0037】
出力軸8が正転方向に回転していない場合〔ステップS24でNOの場合〕には、出力軸8は逆転方向に回転しているため逆転量を記憶する変数Rに1を加算し(S26)、ステップS36に進む。したがって、ソフトスタートが終了している場合〔ステップS36でYESの場合〕にはオートストップタイマはリセットされず、オートストップタイマのカウントが継続される。
【0038】
逆に、出力軸8が正転方向に回転している場合〔ステップS24でYESの場合〕は、記憶されている逆転量Rが0か否かを判定する(S30)。既に説明したように、締付工具ではソケットのがたやハンマリング作用のため、ナット類が回転しない状態となった後も出力軸8は正転と逆転を繰返す。したがって、出力軸8が正転した場合、それによってナット類が締め付けられたのか(ナット類が回転したのか)、単にハンマリング作用等によって出力軸8が元の位置に戻ったのかを判定する必要が生じる。このため、記憶されている逆転量Rが0であるか否かによって、正転方向の回転によってナット類が締め付けが行われたか否かを判定する。具体的には、逆転量Rが0の状態で出力軸8が正転方向に回転した場合は、出力軸8の回転によってナット類が締め付けられたと判定する。一方、逆転量Rが0でない状態〔逆転量が0以外の状態(出力軸8が逆転方向に回転している状態)〕で出力軸8が正転方向に回転した場合は、出力軸8の回転によってナット類は締め付けられず、出力軸8が元の位置(逆転する前の位置)に戻った状態(すなわち、出力軸8は停止している状態)と判定する。
記憶されている逆転量Rが0でない場合〔ステップS30でNOの場合〕は、この正転方向の回転によって出力軸8が元の位置(逆転する前の位置)に戻ると考えられるため、記憶されている逆転量Rから1減算し(S32)、ステップS36に進む。したがって、ソフトスタートが終了していれば、ステップS40に進んでオートストップタイマの判定を行うこととなる。
一方、記憶された逆転量Rが0の場合〔ステップS30でYESの場合〕は、出力軸8の正転方向の回転によりネジが締め付けられたと判断し、ステップS35に進んでオートストップタイマのリセットと再スタートを行い、ステップS16に戻る。
【0039】
ステップS42に進むと、マイクロコンピュータ50は電池残容量検出処理を行う。電池残容量検出処理について図13を参照して説明する。
図13に示すように、マイクロコンピュータ50は、入力するバッテリパック24の出力電圧をA/DコンバータによりA/D変換を行い(S44)、そのA/D変換した値を定電流放電電圧VconstとしてRAM56内の所定のアドレスに記憶する(S46)。これによって、出力軸8が回転していない状態(出力軸8が正転と逆転を繰返すだけでナット類の締め付けが行われない状態)におけるバッテリパック24の出力電圧がRAM56内に格納される。なお、出力軸8が回転しない状態では、後で詳述するようにモータMの回転数が一定でモータMに供給される電流が一定の状態となっている。
定電流放電電圧VconstがRAM56に格納されると、モータMへの通電が停止され、これによってモータMの回転が停止する(S48)。モータMへの通電がオフされるとタイマのカウントが開始され(S50)、タイマが設定時間(第1実施例におけるステップS15の設定時間に相当する)となるまで待機する(S52)。
タイマが設定時間をカウントすると、次に、バッテリパック24の出力電圧をA/D変換し(S54)、その変換した値を回復電圧VとしてRAM56に記憶する(S56)。そして、再度、タイマをリセットしてカウントを開始し(S58)、タイマが設定時間(第1実施例におけるステップS19の設定時間に相当する)となるまで待機する(S60)。
タイマによるカウントが終了すると、再度、バッテリパック24の出力電圧をA/D変換する(S62)。そして、ステップS62で変換した電圧値(モータMへの通電オフからステップS50の設定時間とステップS60の設定時間を足し合わせた時間だけ経過したときの電圧値)からステップS56で記憶した回復電圧V(モータMへの通電オフからステップS52の設定時間だけ経過したときの電圧値)を差し引いた値を、電圧変化ΔVとしてRAM56内の所定のアドレスに格納する(S64)。
【0040】
上述した処理によって、電圧変化ΔV(通電オフ時の電池電圧の回復特性)と定電流放電電圧VconstがRAM56に格納されると、バッテリパック24の残容量を報知する残容量報知処理が行われる(S66)。残容量報知処理について図14を参照して説明する。
図14に示すように、マイクロコンピュータ50は、まず定電流放電電圧Vconstが設定値以下となるか否かを判定する(S68)。この設定値は、バッテリパック24の放電特性から適宜の値が設定される。
定電流放電電圧Vconstが設定値以下の場合〔ステップS68でYESの場合〕には、赤色の発光ダイオード26aを点灯する(S70)。一方、定電流放電電圧Vconstが設定値を超える場合〔ステップS68でNOの場合〕には、ステップS72に進む。
ステップS72では、電圧差ΔVが設定値以上となるか否かを判定する。この設定値は、第1実施例におけるステップS21の設定値(図4参照)に相当し、バッテリパック24の電圧回復特性に基づいて定められる。電圧差ΔVが設定値以上となる場合〔ステップS72でYESの場合〕には、緑色の発光ダイオード26bを点灯する(S74)。一方、電圧差ΔVが設定値より小さい場合〔ステップS72でNOの場合〕には、そのまま処理を終了する。
【0041】
上述した説明から明らかなように本実施例では、出力軸8(ナット類)が回転を停止した状態(すなわち、モータMの回転数が一定、かつ、モータ電流が一定の定電流放電状態)でバッテリパック24の出力電圧が測定され、測定した出力電圧の大きさによってバッテリパック24の残容量が判定される。さらに、定電流放電状態の電圧が測定された後にモータMへの通電がオフされると、その時の電圧回復特性によってもバッテリパック24の残容量が検出される。このため、2つの基準によって電池の残容量が検出され、また、電池電圧が同一条件で測定されるため、電池の残容量を精度良く検出することができる。
また、定電流放電状態の電圧が“残容量低下”であった場合には、赤色の発光ダイオード26aが点灯され、電圧回復特性が“残容量低下”であった場合には、緑色の発光ダイオード26bが点灯される。このため、作業者は2つの発光ダイオード26a,26bの点灯状態によってバッテリパック24の異常を判定し、その後の処置を決定することができる。
具体的には、定電流放電電圧と電圧回復特性が共に“残容量低下”の場合(発光ダイオード26a,26bが共に点灯する場合)は、バッテリパック24の残容量が単に低下しているだけなので、バッテリパック24に充電する等の処置を行えばよいことが分かる。また、定電流放電電圧が“残容量低下”で、電圧回復特性が“残容量が充分にある”の場合(赤色の発光ダイオード26aが点灯し、緑色の発光ダイオード26bが消灯する場合)は、バッテリパック24のセルが短絡する等の異常が生じていると判断でき、バッテリパック24を新しいバッテリパックに交換する必要があることが分かる。さらに、定電流放電電圧が“残容量が充分にある”で、電圧回復特性が“残容量低下”の場合(赤色の発光ダイオード26aが消灯し、緑色の発光ダイオード26bが点灯する場合)は、バッテリパック24のセルが劣化している等の異常が生じていると判断でき、バッテリパック24を新しいバッテリパックに交換する必要があることが分かる。
【0042】
上述したアングルソフトインパクトレンチ1で締付作業を行ったときのバッテリパック24の電圧値と電流値の経時変化を図15に示す。図15(a)はバッテリパック24が満充電の場合の電圧値・電流値を示し、図15(b)はバッテリパック24の残容量が少なくなった場合の電圧値・電流値を示している。
バッテリパック24が満充電か残容量が少ないかにかかわらず、メインスイッチ22がオンされるとバッテリパック24の電圧値は徐々に低下し、最後(出力軸8の回転が停止した状態)は略一定の値となる(図15(a),図15(b)参照)。また、バッテリパック24の電流値は、電圧値が徐々に低下するのにともなって徐々に増加し、最後(出力軸8の回転が停止した状態)は略一定の値となる。
一方、図15(a)と図15(b)の比較から明らかなように、出力軸8の回転が停止した状態におけるバッテリパック24の電圧値は、バッテリパック24が満充電の場合に14V程度あるのに対して、バッテリパック24の残容量が少なくなると10V程度となる。本実施例では、この相違点を利用してバッテリパック24の残容量を検出する。
また、モータMの停止後(モータMへの通電オフ後)のバッテリパック24の電圧は、満充電時(図15(a)参照)においては速やかに回復するのに対して、バッテリパック24の残容量が少なくなると緩やかに回復する(図15(b)参照)。本実施例では、この相違点をも利用してバッテリパック24の残容量を検出する。
上記の2つの観点からバッテリパック24の残容量が検出されると、検出結果は発光ダイオード26a,26bを点灯することで工具使用者に報知される。
【0043】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 満充電時と残容量が少ない時の電池電圧の回復特性を模式的に示す図。
【図2】 第1実施例に係る電動工具の要部回路図。
【図3】 残容量検出回路における残容量検出処理を示すフローチャート。
【図4】 残容量検出回路における残容量検出処理を示すフローチャート。
【図5】 第1実施例に係る電動工具の満充電時と残容量が少ない時の電池電圧の経時的変化を模式的に示す図。
【図6】 第2実施例に係るアングルソフトインパクトレンチの一部断面側面図。
【図7】 軸受装置の構造を示す断面図。
【図8】 軸受装置に組み込まれる磁石と回転角検出センサの位置関係を模式的に示す図。
【図9】 出力軸が正転するときに、二つの回転角検出センサから出力される検出信号の出力タイミングを示す図。
【図10】 出力軸が逆転するときに、二つの回転角検出センサから出力される検出信号の出力タイミングを示す図。
【図11】 アングルソフトインパクトレンチの制御回路の構成を示すブロック図。
【図12】 モータをオートストップする処理の全体の手順を示すフローチャート。
【図13】 電池残容量検出処理の手順を示すフローチャート。
【図14】 残容量報知処理の手順を示すフローチャート。
【図15】 第2実施例のアングルソフトインパクトレンチで締付作業を行ったときのバッテリ電圧とバッテリ電流の経時変化を示す図であり、同図(a)はバッテリが満充電の場合を示し、同図(b)はバッテリの残容量が少なくなった場合を示す。
【符号の説明】
1 ・・アングルソフトインパクトレンチ
8 ・・出力軸
10・・軸受装置
12・・オイルユニット
24・・バッテリ
26・・発光ダイオード
30・・内筒
34・・外筒
36・・センサ取付部材
38a,38b・・回転角検出センサ
40・・磁石取付部材
42・・磁石
50・・マイクロコンピュータ
100・・電動工具本体
200・・残容量検出回路
BP・・電池パック
Claims (9)
- 電池で駆動される駆動源を備えた電池式電動工具であって、
電池残容量が設定残容量より低下したときに残容量低下信号を出力する残容量検出回路を有し、
その残容量検出回路は、(1)駆動源への通電オフから第1設定時間経過後の電池電圧と(2)その第1設定時間経過後からさらに第2設定時間経過後の電池電圧との差の絶対値が所定値を越えるときに残容量低下信号を出力することを特徴とする電池式電動工具。 - 前記残容量検出回路は、電池電圧の無負荷開放電圧が予め設定された電圧値より低下しているときにさらに残容量低下信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の電池式電動工具。
- 前記残容量検出回路は、駆動源の起動時における電圧降下量が予め設定された電圧降下量を越えるときにさらに残容量低下信号を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の電池式電動工具。
- 電池で駆動されるモータを備えた電池式電動工具であって、
電池残容量が設定残容量より低下したときに残容量低下信号を出力する残容量検出回路を有し、
その残容量検出回路は、モータへの通電オン後でモータ回転開始前に通電オフされた場合において、(1)モータへの通電オフから第1設定時間経過後の電池電圧と(2)その第1設定時間経過後からさらに第2設定時間経過後の電池電圧との差の絶対値が所定値を超えるときに残容量低下信号を出力することを特徴とする電池式電動工具。 - 電池で駆動されるモータを備えた電池式電動工具であって、
電池残容量が設定残容量より低下したときに残容量低下信号を出力する残容量検出回路を有し、
その残容量検出回路は、モータ電流が一定で、かつ、モータ回転数が一定となっている状態でモータへの通電がオフされた場合において、(1)その通電オフから第1設定時間経過後の電池電圧と(2)その第1設定時間経過後からさらに第2設定時間経過後の電池電圧との差の絶対値が所定値を超えるときに残容量低下信号を出力することを特徴とする電池式電動工具。 - 電池で駆動される駆動源を備えた電池式電動工具であって、
スイッチと、
スイッチの操作により起動され、電池残容量が設定残容量より低下しているときに残容量低下信号を出力する残容量検出回路と、
残容量検出回路から出力される残容量低下信号に基づいて電池残容量を報知する報知器とを有し、
前記残容量検出回路は、スイッチの操作に基づいて駆動源に所定時間通電し、(1)通電停止後から第1設定時間経過後の電池電圧と(2)その第1設定時間経過後からさらに第2設定時間経過後の電池電圧との差に基づいて残容量低下信号を出力することを特徴とする電池式電動工具。 - 電池によって駆動されるモータの回転が衝撃力発生機構を介して負荷軸に伝達され、負荷軸が回転することによってネジの締付を行う締付工具であって、
負荷軸の回転方向と回転角変化を検出する検出装置と、
検出された負荷軸の回転方向と回転角変化から負荷軸の回転停止を判定し、負荷軸が回転を停止していないと判定したときにモータの回転を継続し、負荷軸が回転を停止したと判定したときにモータの回転を停止する制御装置とを有し、
その制御装置は、さらに、(1)負荷軸が停止したと判定してモータの回転を停止させてから第1設定時間経過後の電池電圧と(2)その第1設定時間経過後からさらに第2設定時間経過後の電池電圧との差に基づいて電池の残容量検出を行うことを特徴とする締付工具。 - 前記制御装置は、さらに、負荷軸が回転を停止したと判定してからモータの回転を停止するまでに電池電圧を検出し、その検出された電池電圧を用いて電池の残容量検出を行うことを特徴とする請求項7に記載の締付工具。
- 電池で駆動される駆動源を備えた電池式電動工具の電池残容量検出方法であって、(1)駆動源への通電がオフされてから第1設定時間経過後の電池電圧と(2)その第1設定時間経過後からさらに第2設定時間経過後の電池電圧との差に基づいて電池残容量を検出することを特徴とする電池残容量検出方法。
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