JP3798055B2 - 光ファイバケーブルの分岐構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバケーブルの分岐構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバケーブルの末端に構成される分岐構造の一例を図4に示す。この光ファイバケーブルの分岐構造は、光ファイバケーブル1の末端に、ケーブルシース1aの端部を内側に嵌入させて分岐スリーブ2が取り付けられ、分岐スリーブ2の内側に残された空間2aにエポキシ系樹脂2cが充填されたもので、ケーブルシース1aの端部から突出したスロット1b、スロット1bの端部から延出しているテンションメンバー1c、光ファイバ1dの分岐部分、分岐された光ファイバ1dが挿通された補強チューブ3のそれぞれが空間2a内に埋設された状態でエポキシ系樹脂が硬化することによって一体に固められ、これによって光ファイバケーブルの分岐構造の強度が高められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の光ファイバケーブルの分岐構造においては、エポキシ系樹脂とケーブルシース1aの端部との固着部分が、エポキシ系接着材とスロット1bおよびテンションメンバー1cとの固着部分に比べて小さいこと、また、エポキシ系樹脂を分岐スリーブ2の開口から注入するためにケーブルシース1aの端部に至るまでエポキシ系樹脂が行き渡り難いこと等から、例えば、テンションメンバー1cを固定して光ファイバケーブル1を極端に強い力で引張ったり捻回したりすると、エポキシ系樹脂とケーブルシース1aの端部との固着部分が剥がれるなどして、分岐スリーブ2に対してケーブルシース1aが緩む恐れがあった。
【0004】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、ケーブルシースと分岐スリーブとの間の接合強度を高めることによって光ファイバケーブルの分岐部分により高い強度を与えることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光ファイバケーブルの分岐構造は、光ファイバケーブルの外装被覆部材の端部に、内側の空間に光ファイバケーブルから分岐される光ファイバの分岐部分を内在させて覆う管状部材が取り付けられ、該空間に硬化性樹脂が充填されることによって光ファイバの分岐部分が硬化性樹脂に埋設されてなる光ファイバケーブルの分岐構造であって、外装被覆部材の端部の外周面に雄ネジ部が形成されるともに、管状部材の内周面に雌ネジ部が形成され、該雌ネジ部に雄ネジ部が螺入されることによって光ファイバケーブルに管状部材が取り付けられ、分岐された光ファイバが補強チューブに挿通されるとともに、外装被覆部材の端部から突出状態とされたスロットの側面が切除されて該スロットの長さ方向に沿って切り欠き部が形成され、該切り欠き部に補強チューブが接着されていることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、前記切り欠き部が、スロットの側面を切除して切り欠き平面部を形成した部分であり、前記切り欠き平面部に前記補強チューブが接着されていることを特徴とする請求項1記載の光ファイバケーブルの分岐構造を提供する。
【0006】
本発明に係る光ファイバケーブルの分岐構造においては、外装被覆部材と管状部材とが、空間に充填された硬化性樹脂を介して固着されるだけでなく、外装被覆部材側の雄ネジ部が管状部材側の雌ネジ部に螺入されることによって接合され、外装被覆部材と管状部材との間の接合強度が高められている。
【0008】
また、本発明に係る光ファイバケーブルの分岐構造においては、分岐された光ファイバが挿通された補強チューブが、硬化性樹脂に埋設されるだけでなく、スロットに接着され、補強チューブが管状部材内に強固に取り付けられて光ファイバに引張り応力が作用しないようになっている。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に係る光ファイバケーブルの分岐構造を図1および図2に示して詳細に説明する。
図1には、光ファイバケーブルの末端に位置する光ファイバ心線の分岐部分を示している。
【0010】
光ファイバケーブル10は、内部に挿通されたスロット11に3条の凹溝11aを有し、各凹溝11aには4心光ファイバテープ12が1本ずつ配されたもので、スロット11の軸心には金属製のワイヤーからなるテンションメンバー13が挿通されている。
【0011】
スロット11は、スロット11の周囲を覆うケーブルシース(外装被覆部材)14の端部から突出し、さらにスロット11の端部からはテンションメンバー13が延出した状態となっている。また、凹溝11aに沿って配された光ファイバテープ12は、ケーブルシース14の端部付近で口出しされて分岐されている。
【0012】
ケーブルシース14の端部には、このケーブルシース14の端部を内側に挿入配置させて分岐スリーブ(管状部材)20が取り付けられている。ここで、分岐スリーブ20に挿入されたケーブルシース14の外周面には雄ネジ部14aが形成されるとともに、分岐スリーブ20の内周面には雌ネジ部20aが形成されており、この雄ネジ部14aが雌ネジ部20aに螺入されることによってケーブルシース14と分岐スリーブ20とが接合されている。
【0013】
スロット11は、図2に示すように、隣り合う凹溝11aを隔てる断面扇形の壁部がスロット11の端部からケーブルシース14の手前までスロット11の長さ方向に沿って切除されており、凹溝11a、11aの間に切り欠き平面(切り欠き部)11cが形成されている。
【0014】
切り欠き平面11cには、凹溝11aに配された光ファイバテープ12から引き出された2本の光ファイバ心線12aがそれぞれ1本ずつ内部に挿通された補強チューブ30の一端が配置され、エポキシ系接着剤によって固定されている。
【0015】
光ファイバ心線12aが挿通された補強チューブ30は、テンションメンバー13と共に分岐スリーブ20の開口から外部に延出しており、補強チューブ30の他端には、内部に挿通された光ファイバ心線12aと他の光ファイバ心線との接続を行う光コネクタ40が取り付けられている。
【0016】
分岐スリーブ20の内側の空間21には、エポキシ系樹脂(硬化性樹脂)22が注入、充填され、ケーブルシース14から突出したスロット11、スロット11から延出しているテンションメンバー13の基端、光ファイバ心線12aの引き出し部分、スロット11に固定された補強チューブ30の一端は、すべて分岐スリーブ20の内側に埋設されており、エポキシ系樹脂22が硬化することによってこれらが一体に固められている。
【0017】
上記のように構成された光ファイバケーブルの分岐構造について、テンションメンバー13を固定して光ファイバケーブル10を引張った場合には、ケーブルシース14と分岐スリーブ20とが、空間21に充填されたエポキシ系樹脂22を介して固着されるだけでなく、ケーブルシース14の雄ネジ部14aが分岐スリーブ20の雌ネジ部20aに螺入されることによって接合され、ケーブルシース14と分岐スリーブ20との間の接合強度が高められているので、分岐スリーブ20に対してケーブルシース14が緩んだり、抜けたりすることがない。これは、光ファイバケーブル10を捻回した場合についても同様である。
【0018】
また、分岐された光ファイバ心線12aを他の光ファイバ心線と接続するときに光コネクタを引張って場合には、補強チューブ30がエポキシ系樹脂22に埋設されるだけでなく、スロット11に形成された切り欠き平面11cに接着され、補強チューブ30が分岐スリーブ20内に強固に取り付けられているので、光ファイバ心線12aが引張り応力を受けることがない。
【0019】
【実施例】
上記の実施の形態において説明した光ファイバケーブルの分岐構造の具体的な実施例を図3に示す。この光ファイバケーブルの分岐構造の諸元は次のとおりである。
光ファイバケーブル10の外径R 11mm
分岐スリーブ20の外径r 13mm
分岐スリーブ20の長さL 40mm
ネジ部の形状 M11、P1.5
有効ネジ部長さ 10mm
ケーブルシース14から突出したスロット11の長さ 20mm
【0020】
上記の諸元を有する光ファイバケーブルの分岐構造について、引張りおよび捻回試験を実施し、その結果、次のような負荷に十分耐え得る強度を備えていることが判明した。
引張り強度 30kgf、捻回(±180°/m)3往復
【0021】
【発明の効果】
本発明に係る光ファイバケーブルの分岐構造によれば、外装被覆部材と管状部材とが、空間に充填されたエポキシ系樹脂を介して固着されるだけでなく、外装被覆部材側の雄ネジ部が管状部材側の雌ネジ部に螺入されることによって接合され、外装被覆部材と管状部材との間の接合強度が高められているので、光ファイバケーブルを引張ったり捻回したりしても管状部材に対して外装被覆部材が緩んだりせず、結果的に光ファイバケーブルの分岐構造の強度を向上させることができる。
【0022】
また、本発明に係る光ファイバケーブルの分岐構造によれば、補強チューブが硬化性樹脂に埋設されるだけでなく、スロットに接着され、補強チューブがより強固に取り付けられているので、分岐された光ファイバが補強チューブごと引張られても光ファイバが引張り応力を受けず、分岐構造の内部、および補強チューブ内における光ファイバの断裂を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る光ファイバケーブルの実施の形態を示す側方断面図である。
【図2】 図1におけるII−II線矢視断面図である。
【図3】 本発明に係る光ファイバケーブルの実施例を示す側方断面図である。
【図4】 従来の光ファイバケーブルの一例を示す側方断面図である。
【符号の説明】
10…光ファイバケーブル、11…スロット、11c…切り欠き平面(切り欠き部)、12a…光ファイバ心線、14…ケーブルシース(外装被覆部材)、14a…雄ネジ部、20…分岐スリーブ(管状部材)、20a…雌ネジ部、21…空間、22…エポキシ系樹脂(硬化性樹脂)、30…補強チューブ

Claims (2)

  1. 光ファイバケーブルの外装被覆部材の端部に、内側の空間に光ファイバケーブルから分岐される光ファイバの分岐部分を内在させて覆う管状部材が取り付けられ、該空間に硬化性樹脂が充填されることによって光ファイバの分岐部分が硬化性樹脂に埋設されてなる光ファイバケーブルの分岐構造であって、
    外装被覆部材の端部の外周面に雄ネジ部が形成されるともに、管状部材の内周面に雌ネジ部が形成され、該雌ネジ部に雄ネジ部が螺入されることによって光ファイバケーブルに管状部材が取り付けられ
    分岐された光ファイバが補強チューブに挿通されるとともに、外装被覆部材の端部から突出状態とされたスロットの側面が切除されて該スロットの長さ方向に沿って切り欠き部が形成され、該切り欠き部に補強チューブが接着されていることを特徴とする光ファイバケーブルの分岐構造。
  2. 前記切り欠き部が、スロットの側面を切除して切り欠き平面部を形成した部分であり、前記切り欠き平面部に前記補強チューブが接着されていることを特徴とする請求項1記載の光ファイバケーブルの分岐構造。
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