JP3797955B2 - 改良量子分裂型酸化物系蛍光体及びその製造方法 - Google Patents
改良量子分裂型酸化物系蛍光体及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3797955B2 JP3797955B2 JP2002142275A JP2002142275A JP3797955B2 JP 3797955 B2 JP3797955 B2 JP 3797955B2 JP 2002142275 A JP2002142275 A JP 2002142275A JP 2002142275 A JP2002142275 A JP 2002142275A JP 3797955 B2 JP3797955 B2 JP 3797955B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- phosphor
- oxide
- ions
- group
- splitting
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01J—ELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
- H01J61/00—Gas-discharge or vapour-discharge lamps
- H01J61/02—Details
- H01J61/38—Devices for influencing the colour or wavelength of the light
- H01J61/42—Devices for influencing the colour or wavelength of the light by transforming the wavelength of the light by luminescence
- H01J61/44—Devices characterised by the luminescent material
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09K—MATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
- C09K11/00—Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials
- C09K11/08—Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials containing inorganic luminescent materials
- C09K11/77—Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials containing inorganic luminescent materials containing rare earth metals
- C09K11/7706—Aluminates
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Luminescent Compositions (AREA)
Description
【発明の分野】
本発明は、蛍光体としての一用途を有する酸化物系の物質に関する。具体的には、かかる蛍光体はPr3+がドープされたアルミン酸塩又はホウ酸塩であって、真空紫外線(以下「VUV」と略記する)での照射時に量子分裂を示す。また、本発明はかかる量子分裂型蛍光体の製造方法にも関する。
【0002】
【発明の背景】
1個の紫外線(UV)光子を2個の可視光子に変換してルミネセンスの量子効率を1より大きくすることを、量子分裂と呼ぶ。量子分裂型の物質は、蛍光ランプのような照明用途のための蛍光体として使用するのに極めて望ましい。適当な量子分裂型蛍光体は、原理上、顕著に明るい蛍光光源を生み出す。それは、市販の蛍光ランプで現在使用されている従来の蛍光体では効率良く吸収されない部分の紫外線を可視光に変換し得るので、より高い総合光出力を与えるからである。以前には、量子分裂はフッ化物系及び酸化物系の物質で実証されていた。YF3 の母材中に0.1%のPr3+を添加してなる物質は、185nmの波長を有する放射励起時に吸収UV光子1個当り2個以上の可視光子を生成することが証明されている。この物質で測定される量子効率は140%であって、1を大幅に越えていた。しかし、フッ化物系の化合物は蛍光ランプ中で蛍光体として使用し得るのに十分な安定性を有していない。それは、これらの化合物がUVを発生させるためにかかるランプ中で使用される水銀蒸気と反応して、量子分裂を示さない物質を生成することが知られているからである。その上、フッ化物系の物質の製造に際しては極めて反応性が高くて有毒なフッ素含有物質を大量に使用する必要があるから、実際的にはそれが大きな問題となる。
【0003】
最近、本出願人は酸化物系の量子分裂型物質を開示した。米国特許第5552082号には、Pr3+イオンで活性化したホウ酸ランタンマグネシウムが開示されている。米国特許第55714151号には、Pr3+イオンで活性化され、Mg2+イオンで電荷補償されたアルミン酸ストロンチウムマグネシウムが開示されている。これらの物質の発光スペクトルは、量子分裂の特徴である約405nmの大きいピークを示す。しかし、これらの物質はまだ350nm未満のUV波長範囲内にかなりの発光を示している。この部分の発光は、本来ならばもっと高くなり得る可視光出力を低下させる。従って、従来の量子分裂型物質に比べて可視域でより高い量子効率を示す酸化物系の量子分裂型蛍光体を提供することが望ましい。また、より高い量子効率を有する量子分裂型蛍光体を用いたエネルギー効率のより高い光源を提供することも望ましい。さらに、高い量子分裂能力を有する物質の製造方法を提供することも望ましい。
【0004】
【発明の概要】
本発明は、VUV照射時に量子分裂を示すような、Pr3+イオンがドープされた酸化物系の蛍光体を提供する。ここで言う「VUV」とは、約215nmより短い波長を有する放射を指す。本発明の酸化物蛍光体は、周期表のIIA群から選択される正の対イオンを有するアルミニウム又はホウ素の酸化物である。本発明の蛍光体は、エネルギー効率の良い光源を提供するために水銀放電ランプで使用することができる。
【0005】
本発明の一実施形態に係る酸化物系蛍光体は、マグネトプランバイト結晶構造を有するアルミン酸ストロンチウム又はアルミン酸ストロンチウムカルシウムである。かかるアルミン酸塩にはPr3+イオンがドープされる。さらに、Pr3+がSr2+部位に置換された場合の電荷補償のため、アルミニウムイオンの一部をマグネシウムイオンで置換することが有利である。本発明のかかる酸化物系蛍光体は、Sr1-1.5yPryAl12O19、Sr1-x-1.5yCaxPryAl12O19又はSr1-x-zCaxMgzAl12-zPrzO19(式中、0<x<1であり、yは約0.005〜約0.5の範囲内にあり、zは約0.005〜約0.5の範囲内にあり、x+1.5y≦1であり、x+z<1である)で表される組成を有する。
【0006】
本発明の別の実施形態に係る酸化物系蛍光体は、Ca1-zPrzAl12O19、Ca1-zPrzMgAl11.33O19又はCa1-zPrzMgAl14O23(式中、zは約0.005〜約0.5の範囲内にある)で表される組成を有する、Pr3+イオンで活性化したアルミン酸カルシウム又はアルミン酸カルシウムマグネシウムである。これらのホスト格子のいずれでも、Mg2+イオン又は空格子点によってPr3+イオンの電荷補償を行うことができる。
【0007】
本発明の別の実施形態に係る酸化物系蛍光体は、Sr1-zPrzB4O7(式中、zは約0.005〜約0.5の範囲内にある)で表される組成を有する、Pr3+で活性化したホウ酸ストロンチウムである。
【0008】
また、本発明は改良量子分裂型アルミン酸塩又はホウ酸塩蛍光体の製造方法も提供する。かかる方法は、蛍光体の所望の最終組成を選択する工程と、所望の最終組成を達成するようにして、下記の2群から選択される物質、すなわち(1)プラセオジムの1種以上の酸素含有化合物と(2)ストロンチウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム及びホウ素の酸素含有化合物からなる群から選択される物質とを混合する工程と、選択される化合物の実質的に均質な混合物を調製する工程と、所望の組成を与えるとともにプラセオジムイオンを3+の原子価状態に維持するのに十分な温度及び時間を用いて、非酸化性雰囲気中で実質的に均質な混合物を焼成する工程とを含んでいる。
【0009】
本発明の別の実施形態に係る方法は、実質的に均質な混合物を調製する工程に先立ち、アルミニウム、カルシウム及びストロンチウムのフッ化物からなる群から選択される1種以上の化合物を融剤として働くのに十分な量で添加する工程をさらに含む。酸化物系蛍光体がホウ酸塩である場合、フッ化物の代りに又はフッ化物に加えて、一定量のホウ酸を融剤として有利に使用することができる。
【0010】
本発明のその他の利点は、添付の図面を参照しながら以下の説明及び特許請求の範囲を考察することによって自ずから明らかとなろう。
【0011】
【発明の実施の形態】
一般に、本発明はPr3+で活性化した酸化物系蛍光体を提供する。具体的には、かかる蛍光体はPr3+イオンで活性化したアルミン酸ストロンチウム、アルミン酸ストロンチウムカルシウム、アルミン酸ストロンチウムカルシウムマグネシウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸カルシウムマグネシウム及びホウ酸ストロンチウムである。Pr3+のドーピングレベルは、通例約0.005〜約0.5の範囲内にある。
【0012】
本発明の好ましい一実施形態では、アルミン酸塩蛍光体は式
Sr1-1.5yPryAl12O19、Sr1-x-1.5yCaxPryAl12O19又はSr1-x-zCaxMgzAl12-zPrzO19(式中、0<x<1であり、yは約0.005〜約0.5の範囲内にあり、zは約0.005〜約0.5の範囲内にあり、x+1.5y≦1であり、x+z<1である)で表される。具体的には、Sr0.9Pr0.1Al12O19、Sr0.9Pr0.1Mg0.1Al11.9O19及びSr0.725Ca0.175Pr0.1Al11.9Mg0.1O19の組成を有するような、量子分裂挙動を示す蛍光体が製造された。
【0013】
本発明の別の好ましい実施形態では、アルミン酸塩蛍光体は式Ca1-zPrzAl12O19、Ca1-zPrzMgAl11.33O19又はCa1-zPrzMgAl14O23(式中、zは約0.005〜約0.5の範囲内にあり、さらに好ましくは約0.005〜約0.2の範囲内にあり、最も好ましくは約0.005〜約0.1の範囲内にある)で表される。
【0014】
本発明の別の好ましい実施形態では、酸化物系蛍光体は式Sr1-zPrzB4O7(式中、zは約0.005〜約0.5の範囲内にあり、さらに好ましくは約0.005〜約0.2の範囲内にあり、最も好ましくは約0.005〜約0.1の範囲内にある)で表される。
【0015】
一般に、量子分裂能力を有する物質の発光スペクトルは約405nmに特徴的なピークを示すが、このピークは励起Pr3+イオンが1S0エネルギー準位から1I6エネルギー準位に放射遷移する際に放出される第一可視光子に由来するものである。従って、強度対波長のスペクトルを調べることは、より長い時間のかかる量子効率の測定を使用する場合に比べ、ある物質が量子分裂を示すかどうかを判定するための簡便な手段を提供する。
【0016】
限定されるわけではないが、蛍光体の量子分裂挙動は酸化物格子内のPr3+イオンのVUV励起に由来するとされる。従って、本発明の酸化物は酸化物格子内でプラセオジムをPr3+イオンの状態に維持するように処理する必要がある。
【0017】
図1は、Pr3+イオンのエネルギー準位を示している。本出願人はいかなる特定の理論によっても拘束されることを望まないが、本発明の量子分裂型蛍光体は1より大きい量子効率を与えると考えられる。これは、VUVによって励起Pr3+イオンが下記の過程により遷移して基底状態に戻る際に2個の可視光子を放出するからである。4f5d帯内の励起Pr3+イオンは無放射遷移して1S0状態に達するが、そこからは放射遷移によって1I6エネルギー準位に至り、それと同時に第一可視光子を放出する。次いで、Pr3+イオンは無放射遷移して1I6エネルギー準位から3P0エネルギー準位に達するが、そこからはさらに放射遷移によって3H4、3H5、3H6及び3F2準位に至り、それと同時に第二可視光子を放出する。
【0018】
【実施例】
CaMgAl11.33O19:Pr3+の公称組成を有する本発明のアルミン酸カルシウムマグネシウム蛍光体を製造し、量子分裂特性について試験した。下記の量のカルシウム化合物、プラセオジム化合物、マグネシウム化合物及びアルミニウム化合物を十分に混合した。
【0019】
1.35g CaCO3
0.26g Pr6O11
0.60g MgO
8.66g Al2O3
上記の酸化物及び炭酸塩の分解から生じた揮発化合物とやし殻炭との反応生成物によって生み出された雰囲気中で、この混合物を1400℃で6時間にわたり焼成した。焼成物を再配合した後、窒素中に1容量%の水素を含む雰囲気中でさらに1100℃で6時間熱処理することにより、蛍光体を製造した。
【0020】
図2は、185nmのVUV励起の下でのこの蛍光体の室温発光スペクトルを示している。このスペクトルは、励起Pr3+イオンの1S0→1I6遷移に基づく、量子分裂型物質に特徴的な約405nmの大きなピークを示している。また、第二可視光子の放出を伴う3P0及び3P1準位から3H4、3H5、3H6及び3F2準位へのその他の遷移もスペクトル中に明らかに認められる。
【0021】
図3は、本発明の量子分裂型蛍光体の別の例であるCaAl12O19:Pr3+に関する、185nmのVUV励起の下での室温発光スペクトルを示している。約405nmの大きなピークは量子分裂型蛍光体に特徴的なものであって、励起Pr3+イオンの1S0→1I6遷移を示している。
【0022】
図4は、Sr0.99Pr0.01B4O7の組成を有する本発明のホウ酸ストロンチウム量子分裂型蛍光体に関する、185nmのVUV励起の下での室温発光スペクトルを示している。このスペクトルは、励起Pr3+イオンの1S0→1I6遷移に基づく、量子分裂型物質に特徴的な約405nmの大きなピークを示している。この蛍光体は、1S0→1F4遷移に基づく強い発光を約252nmに示している。従って、この蛍光体又は他の同様な蛍光体はエネルギー効率のより高い水銀放電ランプを製造するために有利に使用することができる。すなわち、この量子分裂型蛍光体は185nmの水銀発光のエネルギーを吸収して約252nmのエネルギーを放出するが、このエネルギーは従来の蛍光体により効率的に吸収されて可視光を生じる。このように、これまでは無駄になっていた185nmの水銀発光のエネルギーが可視光に有効に変換され、より大きい光出力をもたらす。
【0023】
理論的考察〔R.Pappalardo、「フッ化物ホスト中でのPr3+及びTm3+による光子カスケード発光(PCE)に関して計算された量子収量」、J.Luminescence、第14巻、159−193頁(1976年)、これは引用によって本明細書中に組込まれる〕によれば、量子分裂型物質に由来する高い量子効率を達成するためには、Judd−Ofeltパラメーターの比Ω4/Ω6をできるだけ小さくする必要がある。理想的な場合には、この比をゼロにすべきである。この比は、比I(3P0→3H4)/I(3P0→3H6)〔式中、I(3P0→3H4)及びI(3P0→3H6)はそれぞれ遷移3P0→3H4及び3P0→3H6に由来する発光の強度である〕を求めることによって推定することができる。本出願人は、蛍光体の製造時にフッ化アルミニウムを融剤として使用した場合、あるいはホスト格子中にMg2+又はCa2+を組込んだ場合にこの比が減少することを発見した。Mg2+は、Sr2+をPr3+で置換した場合、ホスト格子中のアルミニウム部位に組込むことが好ましい。表1は、発光が446nmの波長を有する放射による励起に応答するようなアルミン酸塩ホスト格子に対するこのような改変の効果を示している。
【0024】
【表1】
【0025】
本出願人はいかなる特定の理論によっても拘束されることを望まないが、融剤中のフッ化物イオンが一部の酸素イオンに置き換わるものと考えられる。従って、任意のフッ化物が所望の効果をもたらすものと期待される。例えば、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム又はフッ化ストロンチウムも有効であろう。さらに、これらのフッ化物はホスト格子の合成のために所望される陽イオンの一部を提供するという追加の利益も有している。
【0026】
本発明の量子分裂型蛍光体は、(1)プラセオジムイオンで活性化されるように蛍光体の所望の最終組成を選択する工程と、(2)蛍光体の所望の最終組成を達成するような量で、プラセオジムの1種以上の酸素含有化合物と、ストロンチウム、カルシウム、アルミニウム、ホウ素及びマグネシウムの酸素含有化合物からなる群から選択される物質とを混合する工程と、(3)選択される化合物の均質な混合物を調製する工程と、(4)所望の組成を与えるとともにプラセオジムイオンを3+の原子価状態に維持するのに十分な温度及び時間を用いて、非酸化性雰囲気中で均質な混合物を焼成する工程とを含む方法によって製造される。かかる方法で使用される酸素含有化合物は、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩及びそれらの組合せからなる群から選ぶことができる。かかる酸素含有化合物は、水和状態又は非水和状態のものであり得る。好ましい実施形態では、かかる方法は、実質的に均質な混合物を調製する工程に先立ち、アルミニウム、カルシウム、ストロンチウム及びマグネシウムのフッ化物からなる群から選択される1種以上の化合物を酸化物系蛍光体製造用の融剤として働くのに十分な量で添加する工程をさらに含む。別の好ましい実施形態では、所望の蛍光体がホウ酸塩である場合、一定量のホウ酸が融剤として混合物に添加される。非酸化性雰囲気は、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、窒素、アンモニア、ヒドラジン、アミン及びそれらの混合物からなる群から選択される物質から生成される。焼成工程は、回分法又は連続法に従い、任意適宜の高温装置で実施することができる。焼成工程は等温的に実施することができる。別法として、工程温度を室温から焼成温度まで上昇させ、次いで焼成温度に保持することもできる。焼成温度は、約800〜約2000℃の範囲内にあり、好ましくは約850〜約1700℃の範囲内にあり、さらに好ましくは約850〜約1400℃の範囲内にある。焼成時間は、上記の混合物を所望の最終組成に転化させるのに十分な長さを有する必要がある。また、この時間は処理すべき物質の量並びに焼成装置を通して移動する非酸化性物質の速度及び量にも依存する。典型的な焼成時間は10時間未満である。
【0027】
VUV中で量子分裂挙動を示すとともに水銀放電装置内の環境に対して安定性を有することを特徴とする本発明の蛍光体は、蛍光ランプ中で蛍光体として利用することができる。図5は、真空ハウジング60と、ハウジング60内に配置されたVUV発生手段70と、ハウジング60内に配置され、VUVで励起し得る蛍光体80とを含むランプ50を示している。好ましい実施形態では、ランプ50は蛍光ランプであり、真空ハウジング60は真空ガラス管及び付属の末端キャップ62からなる。VUV発生手段70は、水銀蒸気と、水銀蒸気放電を誘起して蛍光体を励起するための高エネルギー電子を発生させる手段との組合せである。高エネルギー電子を発生させる手段は、小さい仕事関数を有する金属(例えば、タングステン)のフィラメントでも、又はかかるフィラメントを当業界で公知のアルカリ土類金属酸化物で被覆したものでもよい。このようなフィラメントを高圧電源に接続することにより、その表面から電子が発生する。本発明の量子分裂型蛍光体は、蛍光照明技術分野で使用されているその他従来の蛍光体と組合わせて使用することができる。例えば、本発明の量子分裂型蛍光体を従来の赤色、緑色及び青色蛍光体と組合わせることにより、水銀放電ランプから白色光を生み出すことができる。本発明の量子分裂型蛍光体は254nmの水銀発光線に対して透明であるから、ランプハウジング内の通常の蛍光体層上にそれを被覆することができる。そうすれば、185nmの水銀発光線を実質的に吸収することにより、放電ランプのエネルギー効率を高めることができる。
【0028】
以上、本発明の特定の好ましい実施形態について説明してきたが、特許請求の範囲で規定される本発明の技術的思想及び範囲から逸脱せずにそれらに幾多の変更・置換・改変を加え得ることは当業者には自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】Pr3+イオンのエネルギー準位を示す図である。
【図2】CaMgAl11.33O19:Pr3+(式中、コロンの後の元素はホスト格子中に低レベルでドープされた活性剤を表す)の公称組成を有する本発明のアルミン酸塩系量子分裂型蛍光体の発光スペクトルである。
【図3】CaAl12O19:Pr3+の公称組成を有する本発明のアルミン酸塩系量子分裂型蛍光体の発光スペクトルである。
【図4】SrB4O7:Pr3+の公称組成を有する本発明のホウ酸塩系量子分裂型蛍光体の発光スペクトルである。
【図5】本発明の蛍光体を組込んだランプの略図である。
【符号の説明】
50 ランプ
60 ハウジング
70 VUV発生手段
80 蛍光体
Claims (18)
- 真空紫外線(VUV)照射時に量子分裂挙動を示す酸化物系量子分裂型蛍光体であって、アルミン酸ストロンチウムカルシウム、アルミン酸ストロンチウムカルシウムマグネシウム、アルミン酸カルシウム及びアルミン酸カルシウムマグネシウムからなる群から選択される酸化物をPr 3+ イオン単独で活性化した酸化物系量子分裂型蛍光体。
- Sr1-x-1.5yCaxPryAl12O19及びSr1-x-zCaxMgzAl12-zPrzO19(式中、0<x<1であり、yは0.005〜0.5の範囲内にあり、zは0.005〜0.5の範囲内にあり、x+1.5y≦1であり、x+z<1である)からなる群から選択される式で表される、請求項1記載の酸化物系量子分裂型蛍光体。
- Ca1-zPrzAl12O19、Ca1-zPrzMgAl11.33O19及びCa1-zPrzMgAl14O23(式中、zは0.005〜0.5の範囲内にある)からなる群から選択される式で表される、請求項1記載の酸化物系量子分裂型蛍光体。
- ホスト格子中にPr3+イオンを組み込んだときのホスト格子の電荷がホスト格子中にMg2+イオン又は空格子点をさらに組込むことによって補償される、請求項3記載の酸化物系量子分裂型蛍光体。
- フッ化物イオンがさらにドープされている、請求項1記載の酸化物系量子分裂型蛍光体。
- 2.5未満のI(3P0→3H4)/I(3P0→3H6)比〔式中、I(3P0→3H4)及びI(3P0→3H6)は446nmでの励起に応答した遷移3P0→3H4及び3P0→3H6に由来する発光強度をそれぞれ表す〕を有する、請求項1記載の酸化物系量子分裂型蛍光体。
- I(3P0→3H4)/I(3P0→3H6)比が2未満である、請求項6記載の酸化物系量子分裂型蛍光体。
- 請求項1記載の酸化物系量子分裂型蛍光体の製造方法であって、当該方法が、(1)蛍光体がプラセオジムイオンで活性化されるように量子分裂型蛍光体の所望の最終組成を選択する工程と、(2)プラセオジムの1種以上の酸素含有化合物と、ストロンチウム、カルシウム、アルミニウム及びマグネシウムの酸素含有化合物からなる群から選択される物質とを蛍光体の所望の最終組成が達成されるような量で混合する工程と、(3)酸素含有化合物の実質的に均質な混合物を調製する工程と、(4)所望の最終組成を与えるとともにプラセオジムイオンの実質的に全部を3+の原子価状態に維持するのに十分な温度及び時間を用いて、非酸化性雰囲気中で実質的に均質な混合物を焼成する工程とを含む方法。
- 非酸化性雰囲気が一酸化炭素、二酸化炭素、水素、窒素、アンモニア、ヒドラジン、アミン及びそれらの混合物からなる群から選択される物質から生成される、請求項8記載の方法。
- 前記焼成工程が800〜2000℃の範囲内の温度下で等温的に実施される、請求項8記載の方法。
- 前記温度が850〜1700℃の範囲内にある、請求項10記載の方法。
- 温度を室温から850〜1400℃の範囲内の最終温度まで上昇させながら焼成工程が実施される、請求項8記載の方法。
- 前記焼成工程が実質的に均質な混合物を所望の組成に転化させるのに十分な時間継続される、請求項10乃至請求項12のいずれか1項記載の方法。
- 前記酸素含有化合物が酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項8記載の方法。
- 前記酸素含有化合物が水和状態、非水和状態及びそれらの組合せの状態にある化合物からなる群から選択される、請求項14記載の方法。
- 真空ハウジングと、ハウジング内に配置された真空紫外線(VUV)源と、ハウジング内に配置され、VUV源で励起し得る蛍光体とを含む光源であって、上記蛍光体が請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の酸化物系量子分裂型蛍光体である、光源。
- 紫外線(UV)励起時に、赤色、緑色及び青色の可視光線からなる群から選択される1種以上の光線を放出する蛍光体をさらに含む、請求項16記載の光源。
- 当該光源から放出される光が白色光である、請求項17記載の光源。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US09/681,670 US6613248B2 (en) | 2001-05-18 | 2001-05-18 | Quantum-splitting oxide-based phosphors and method of producing the same |
US09/681670 | 2001-05-18 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003096445A JP2003096445A (ja) | 2003-04-03 |
JP3797955B2 true JP3797955B2 (ja) | 2006-07-19 |
Family
ID=24736245
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002142275A Expired - Fee Related JP3797955B2 (ja) | 2001-05-18 | 2002-05-17 | 改良量子分裂型酸化物系蛍光体及びその製造方法 |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US6613248B2 (ja) |
EP (1) | EP1258521A3 (ja) |
JP (1) | JP3797955B2 (ja) |
CN (1) | CN100439472C (ja) |
Families Citing this family (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE10324832A1 (de) * | 2003-06-02 | 2004-12-23 | Patent-Treuhand-Gesellschaft für elektrische Glühlampen mbH | Entladungslampe mit Leuchtstoff |
US6982046B2 (en) * | 2003-10-01 | 2006-01-03 | General Electric Company | Light sources with nanometer-sized VUV radiation-absorbing phosphors |
US7208103B2 (en) * | 2004-08-13 | 2007-04-24 | General Electric Company | Quantum-splitting fluoride-based phosphors, method of producing, and devices incorporating the same |
US7311859B1 (en) | 2004-11-17 | 2007-12-25 | General Electric Company | Method to produce nanocrystalline powders of oxide-based phosphors for lighting applications |
US7435358B2 (en) * | 2005-06-07 | 2008-10-14 | Osram Sylvania Inc. | UVC-emitting Sr(Al,Mg)12O19:Pr phosphor and lamp containing same |
US7449129B2 (en) * | 2006-03-07 | 2008-11-11 | Osram Sylvania Inc. | Ce,Pr-coactivated strontium magnesium aluminate phosphor and lamp containing same |
US7419621B2 (en) * | 2006-03-07 | 2008-09-02 | Osram Sylvania Inc. | UV-emitting phosphor and lamp containing same |
US7708968B2 (en) | 2007-03-26 | 2010-05-04 | General Electric Company | Nano-scale metal oxide, oxyhalide and oxysulfide scintillation materials and methods for making same |
US7625502B2 (en) * | 2007-03-26 | 2009-12-01 | General Electric Company | Nano-scale metal halide scintillation materials and methods for making same |
US7608829B2 (en) * | 2007-03-26 | 2009-10-27 | General Electric Company | Polymeric composite scintillators and method for making same |
JP2010121062A (ja) * | 2008-11-20 | 2010-06-03 | Nec Lighting Ltd | 蛍光体及びこれを用いた発光装置 |
TWI448538B (zh) | 2012-10-23 | 2014-08-11 | Ind Tech Res Inst | 螢光材料與紫外光發光裝置 |
US9337010B2 (en) | 2014-09-05 | 2016-05-10 | Lawrence Livermore National Security, Llc | Fluorescent lighting with aluminum nitride phosphors |
JP2017149844A (ja) * | 2016-02-24 | 2017-08-31 | 堺化学工業株式会社 | 応力発光材料粉体及び樹脂組成物 |
Family Cites Families (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
NL179215C (nl) * | 1977-01-19 | 1986-08-01 | Philips Nv | Luminescerend scherm, alsmede lagedrukkwikdampontladingslamp. |
US5273681A (en) * | 1992-06-22 | 1993-12-28 | General Electric Company | Praseodymium-doped luminescent compositions |
US5552082A (en) | 1995-01-03 | 1996-09-03 | General Electric Company | Quantum splitting oxide phosphor and method of making |
US5571451A (en) * | 1995-01-03 | 1996-11-05 | General Electric Company | Quantum splitting oxide phosphor and method of making |
DE69517496T2 (de) * | 1995-01-03 | 2001-03-01 | Gen Electric | Quantum-Teilungs-Oxidphosphoren und Verfahren zur Herstellung desselben |
CN1062887C (zh) * | 1995-08-29 | 2001-03-07 | 北京宏业亚阳荧光材料厂 | 长余辉磷光体及其制备方法 |
US5788883A (en) * | 1996-03-29 | 1998-08-04 | General Electric Company | Determination process for determining if quantum splitting phosphors are obtained and novel compositions |
WO2000024028A1 (en) * | 1998-10-19 | 2000-04-27 | Koninklijke Philips Electronics N.V. | Luminescent material |
US6210605B1 (en) * | 1999-07-26 | 2001-04-03 | General Electric Company | Mn2+ activated green emitting SrAL12O19 luminiscent material |
JP3371133B2 (ja) * | 1999-10-25 | 2003-01-27 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 可視光による光メモリー、該メモリーへの記録・読み出し方法、及び該光メモリー用蛍光体の製造方法 |
-
2001
- 2001-05-18 US US09/681,670 patent/US6613248B2/en not_active Expired - Fee Related
-
2002
- 2002-05-14 EP EP02253359A patent/EP1258521A3/en not_active Withdrawn
- 2002-05-17 JP JP2002142275A patent/JP3797955B2/ja not_active Expired - Fee Related
- 2002-05-17 CN CNB021197857A patent/CN100439472C/zh not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US6613248B2 (en) | 2003-09-02 |
JP2003096445A (ja) | 2003-04-03 |
CN100439472C (zh) | 2008-12-03 |
CN1396233A (zh) | 2003-02-12 |
US20020185960A1 (en) | 2002-12-12 |
EP1258521A2 (en) | 2002-11-20 |
EP1258521A3 (en) | 2005-10-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3797955B2 (ja) | 改良量子分裂型酸化物系蛍光体及びその製造方法 | |
JP2004529252A (ja) | 広域スペクトルテルビウム含有ガーネット蛍光物質及びこれを組み込んだ白色光源 | |
JP4796774B2 (ja) | ホウ素及び希土類金属を含有する蛍光体、及び該蛍光体を組み込んだ光源 | |
JP2005133063A (ja) | Iiia族及びiiib族のホウ素並びに金属を含む蛍光体 | |
JP2006342336A (ja) | UVC放射Sr(Al,Mg)12O19:Pr蛍光体およびこれを含むランプ | |
JP2012530383A (ja) | オキシフッ化物蛍光体および固体照明用途のためのオキシフッ化物蛍光体を含む白色発光ダイオード | |
JPH0625356B2 (ja) | 発光スクリ−ン及びこれを設けた低圧水銀蒸気放電灯 | |
JP2005232436A (ja) | 希土類及び第iiib族金属の酸化物を含む改善したユーロピウム活性化蛍光体及びそれを作る方法 | |
US3541018A (en) | Infrared-excitable ytterbium sensitized erbium or thulium activated rare earth flouride luminescent material | |
CN1391255A (zh) | 具有下变频发光体的气体放电灯 | |
US4089799A (en) | Luminescent fluoride | |
US6621208B2 (en) | Quantum-splitting oxide-based phosphors, method of producing, and rules for designing the same | |
GB2047262A (en) | Mluminescent materials | |
JP2006002043A (ja) | 真空紫外線励起用蛍光体、その製造方法及び真空紫外線励起発光素子 | |
JPH0320429B2 (ja) | ||
JP3484774B2 (ja) | アルミン酸塩蛍光体 | |
JPWO2007034609A1 (ja) | 紫外発光長残光蛍光体 | |
CN106867530B (zh) | 一种铒离子和镱离子共掺杂钨钽酸钡及其制备方法和应用 | |
Cao et al. | Luminescent properties of NaGdF4: Ln3+ (Ln3+= Ce3+, Tb3+) phosphors | |
JP2006052406A (ja) | 量子分裂フッ化物基蛍光体、その製造方法、およびそれを内蔵する装置 | |
JPH073261A (ja) | 蛍光体の製造方法 | |
JP2011207934A (ja) | 紫外線発光蛍光体 | |
JP2005075929A (ja) | 希土類及びiiib族金属の酸化物を含む改善されたユーロピウム賦活蛍光体及びそれを作る方法 | |
JPH069957A (ja) | 青色発光蛍光体 | |
CN111944526A (zh) | 一种白光led用锰离子掺杂的镓酸盐红色荧光材料及其制备方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050415 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050419 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20050719 |
|
A602 | Written permission of extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602 Effective date: 20050722 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20051019 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060221 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060223 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060322 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060418 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090428 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100428 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100428 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110428 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |