JP3797515B2 - 熱現像カラー感光材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱現像カラー感光材料(以下、「感光要素」ともいう)と受像材料を別の支持体上に設け、両要素を重ね合わせ、拡散性の色素を転写することにより画像を形成する画像形成システムの熱現像カラー感光材料に関するものである。ここで熱現像カラー感光材料は、少なくとも感光性ハロゲン化銀および色素供与性化合物を含有する。さらに本発明の熱現像カラー感光材料と受像材料により得られる画像は、主に印刷分野のカラープルーフとして用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
熱現像感光材料は公知であり熱現像感光材料とそれを用いるプロセスについては、たとえば「写真工学の基礎」非銀塩写真編(1982年コロナ社発行)の242頁〜255頁、米国特許第4500626号等に記載されている。
【0003】
熱現像により画像状に拡散性の色素を放出または形成させ、この拡散性の色素を受像材料に転写する方法が提案されている。この方法では使用する色素供与性化合物の種類または使用するハロゲン化銀の種類を変えることにより、ネガの色素画像もポジの色素画像も得ることができる。更に詳しくは米国特許第4500626号、同4483914号、同4503137号、同4559290号、特開昭58−149046号、特開昭60−133449号、同59−218443号、同61−238056号、欧州特許公開220746A2号、公開技術87−6199、欧州特許公開210660A2等に記載されている。
【0004】
熱現像でポジのカラー画像を得る方法については多くの方法が提案されている。例えば、米国特許第4559290号にはいわゆるDye Relieasing Redox化合物(以下DRR化合物とも示す)を色素放出能力のない酸化型にした化合物を還元剤もしくはその前駆体を共存させ、熱現像によりハロゲン化銀の露光量に応じて還元剤を酸化させ、酸化されずに残った還元剤により還元して拡散性色素を放出させる方法が提案されている。また、欧州特許公開220746A号、公開技報87−6199(第12巻22号)には、同様の機構で拡散性色素を放出する化合物として、N−X結合(Xは酸素原子、窒素原子または硫黄原子を表す)の還元的な開裂によって拡散性色素を放出する化合物を用いる熱現像カラー感光材料が記載されている。
【0005】
従来のカラー感光材料は、通常、青、緑、赤の分光増感を持っており、このようなカラー感光材料に一旦電気信号に変換された画像情報を用いて画像を得るにはカラーCRT(カソードレイチューブ)を露光光源として使うことが一般的であるが、CRTは大サイズのプリントを得るには不適当である。
【0006】
また大サイズのプリントを得ることが可能な書き込みヘッドとしては、発光ダイオード(LED)や半導体レーザー(LD)が開発されているが、これらの光書き込みヘッドは効率良く青を発光するものが開発されていない。
【0007】
従って、例えばLEDを使用する場合は、近赤外(800nm)と赤(670nm)と黄(570nm)の3つのLEDを組み合わせた光源により、近赤外、赤及び黄色に分光増感された3つの層を有するカラー感光材料を露光する必要があり、このような構成で画像記録を行うシステムが、「日経ニューマテリアル」1987年9月14日号第47頁〜57頁に記載されており、一部実用されている。
【0008】
また、880nm、820nm、760nmの発光を示す3つのLDを組み合わせた光源で各々の波長に分光増感を持つ3つの感光層を有するカラー感光材料に記録するシステムが特開昭61−137149号に記載されている。
【0009】
一般に多層のカラー感光材料においてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を、それぞれ3種の互いに異なるスペクトル領域に感光させて発色させるような場合、それぞれの色を混色なく発色させることが色再現上の重要な技術となっている。特に、LEDやLDを露光光源として使用する場合、狭い範囲(赤末から赤外領域)のスペクトル領域に3つの分光感度を設計せざるを得なくなり、いかにしてそれぞれの分光感度のオーバーラップを少なくするかが、色分離性向上の鍵となっている。
【0010】
色分離性を確保するために、米国特許4619892号に記載されているように、短波長側の感度を順次高くしたり、フィルター層を設けたりする技術が知られている。しかし、短波長側の感度を順次高くしたりすることは、カブリの増加を引き起こし、生経時安定性を悪化させる欠点を有する。赤外増感においては、色素添加により減感や色増感効率の低さから高感度を達成することが困難であった。
【0011】
これらの欠点を解決するために、特開平4−146431号や特開平5−45828号において、分光感度のシャープなJ−バンド型の赤外増感色素を用いることで、色分離の優れかつ高感度で生保存安定性が良好なカラー感光材料が記載されている。
【0012】
上記のような熱現像カラー感光材料は、拡散性の色素を媒染する受像材料と組み合わせて用いるが、この画像形成システムによって得られる画像を、印刷分野のカラープルーフとして用いる場合は、イエロー、マゼンタ、シアンの3色の色素像の合成により得られる画像の色再現域が重要な要素となる。すなわち、印刷用標準インキにより得られる画像の色再現域と同等または、それ以上の領域をカバーできることが必要である。
イエロー、マゼンタ、シアンの3色の色素により画像を形成する場合、良好な色再現域を得るためには、副吸収が少ない色相の色素を用いることが重要であるが、副吸収が少ない色素は一応にメインの吸収自体がシャープになる傾向があり、それを用いると、最高画像濃度(以下Dmaxと示す)が低下する、または3色の合成像として得られる黒が、使用する照明光源の種類によって「見え」が変化する、すなわち光源依存性が悪化する等の問題が発生する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、熱現像カラー感光材料と色素受像材料を別の支持体上に設け、両要素を重ね合わせ、拡散性の色素を転写することにより画像を形成する画像形成システムにおいて、印刷用標準インキにより得られる画像と色差の少ない画像を形成し、かつ十分なDmaxと良好な光源依存性を有する画像を形成させることにある。
【0014】
【課題を解決させるための手段】
このような目的は、下記1、2、3の構成によって達成される。
1. 熱現像カラー感光材料と色素受像材料を別の支持体上に設け、両要素を重ね合わせ、熱現像により形成あるいは放出される拡散性の色素を受像材料に転写することにより画像を形成する画像形成システムにおいて、熱現像カラー感光材料が少なくとも、感光性ハロゲン化銀および色素供与性化合物を含有し、かつ熱現像により拡散性のイエロー、マゼンタ、シアンの色素を形成あるいは放出させることを特徴とする熱現像カラー感光材料であり、かつ拡散性の色素がイエロー、マゼンタがそれぞれ一種以上の色素でかつシアンが二種以上の色素の混合物であり、イエロー色素の分光吸収の吸収強度が最大になる波長(以下λmax と示す)が440nmから460nm、マゼンタ色素のλmax が525nmから545nm、混合したシアン色素の分光吸収のλmax が610nmから640nmであり、かつシアン色素が以下の(1) 、(2) の項目を満たすことを特徴とする熱現像カラー感光材料。
(1) シアン色素が、λmax が600〜650nmの1種以上の色素とλmax が65
0〜700nmの1種以上の色素の混合物である。
(2) λmax が600〜650nmのシアン色素のうち、一種以上のシアン色素が、長波側の吸収強度がピーク吸収強度の50%になる波長(以下λc(50%+ ) と示す)と短波側の吸収強度がピーク吸収強度の50%になる波長(これ
を以下λc(50%−)と示す)の差が70nm以上85nm以下
〔70≦λc(50%+)−λc(50%−)≦85〕である。
2. ハロゲン化銀の現像に必要なアルカリを、熱現像カラー感光材料と受像材料に別々に内蔵した難溶性金属化合物およびこの難溶性金属化合物を構成する金属イオンと錯形成反応しうる化合物(錯形成化合物という)との2剤反応により発生することを特徴とする、1に記載の熱現像カラー感光材料。
3. シアンの色素供与性化合物が少なくとも1種のアゾナフトール化合物またはアゾフェノール化合物を含有することを特徴とする1または2に記載の熱現像カラー感光材料。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる熱現像カラー感光材料は、含有するイエロー、マゼンタ、シアン色素供与性化合物から放出または形成される色素の吸収波長が規定されている。これは印刷物の色合いと合った印刷用プルーフを作成するためには、イエロー、マゼンタ、シアン色素3色のピーク波長およびシアンの短波側の裾の吸収が重要であるためである。特にシアンの吸収はシアン純色および緑の色再現に影響を与える。ただしここで、イエロー、マゼンタ、シアン色素の吸収、色相、分光吸収とは、それぞれの色素が受像材料において固定された状態での分光吸収のことを意味する。
一方、イエロー、マゼンタ、シアン3色のうち、特にシアンの色相は得られる画像のDmaxおよび光源依存性に影響を与える。例えばシアン色素の吸収のうち特に680nm以上の長波長領域の吸収が少ない場合、シアン単色またはシアンと他の色素像の合成により得られる画像のDmaxが低下するという問題が発生する。また、シアンの長波長側の吸収が少ない場合は、特にグレイの「見え」が照明光源の種類によって変化する現象、すなわち光源依存性の悪化が発生する。そこで本発明では、Dmaxと光源依存性の両方を解決する有効な手段として、シアンの長波側の裾の吸収およびシアンの吸収の巾を規定している。
【0016】
本発明の熱現像カラー感光材料に含有する色素供与性化合物は、熱現像時に放出される色素が、迅速に受像材料に拡散する必要があるために、色素供与性化合物の構造自体もある程度限定される。例えばシアン色素供与性化合物の場合、シアンの色素としては、副吸収が少なく短波側の吸収がシャープなフタロシアニン色素が有名であるが、分子量が大きいために転写性が重要である熱現像カラー感光材料には適していない。そこで、後述するようなアゾナフトール化合物、アゾフェノール化合物、またはピラゾール化合物などが転写性と色相を両立しうる化合物として用いることができる。しかし、これらの熱現像に適した化合物は色素の吸収がシャープ、すなわち吸収の巾が狭いという特徴を有する場合が多い。これは、これらの色素の基底状態と励起状態の分子構造の変化が少ないという色素分子固有の特徴に起因するものである。色素の吸収がシャープであるという特徴は、それぞれの色素の吸収ピークが望ましい波長にある場合は、色の純度が高くなるという点で優れた性能となる場合が多い。特にイエロー、マゼンタについてはそれがあてはまる場合が多い。一方シアンの色相がシャープである場合は、色の純度の点では有利だが、特に本発明の熱現像カラー感光材料のように、イエロー、マゼンタ、シアンの3色でクロの画像を形成する場合は長波部の吸収がなくなり、クロの画像のバランスが悪く(シアン色が不足に見える)さらに観察に使用する光源の種類によってクロの見えが変わってしまうという問題が生じる。そこで本発明のように最適なシアンの色の設計のためには、吸収の巾が155nm以上あることが必要となってくる。前述したフタロシアニン色素は、短波側の吸収がシャープでさらに吸収の巾が広く、理想に近い矩形型の吸収を有しているが、分子量が大きいために使用できないことは前述した。一方、本発明の熱現像カラー感光材料で使用するシアン色素供与性化合物では理想的な矩形型の吸収を達成することは困難であり、フタロシアニン色素より吸収がシャープな2種以上の色素供与性化合物を以下に記すように混合して使用することが有効となる。
【0017】
本発明で用いられるシアン色素供与性化合物で、望ましいシアン色素の吸収の巾を実現するには、2種以上のシアンの色素供与性化合物を混合して使用することが有効である。この場合、それぞれ吸収のピーク波長が異なるシアン色素供与性化合物を混合して用いるが、混合して使用した場合でもシアン色素のピーク波長は本発明の最適なピーク波長610nm以上640nm以下であることが必須である。一方、二種以上のシアン色素を混合して使用する場合は、λmax が600〜650nmの一種以上のシアン色素とλmax が650〜700nmの一種以上のシアン色素を混合して使用することが有効だが、一般にλmax が長波側にあるシアン色素は、主吸収以外の副吸収、特に吸収波長400〜500nmの副吸収が高くなるという特徴がある。この副吸収の増加は、シアン純色の色再現の悪化につながり、特に印刷プルーフに要求される性能上、好ましくない。
【0018】
このように、Dmax、光源依存性の点では、長波側にλmax を有するシアン色素の含率が高いことが好ましく、色再現性の点では、副吸収の高い長波吸収シアン色素の含率が低いことが好ましい。この両者を同時に満足するためには、短波側にλmax を有するシアン色素の吸収の巾が重要になる。これは、吸収の巾が広がるにともない、長波吸収シアン色素の含率を下げても、Dmax 、光源依存性性能が劣化しなくなるからである。ただし、短波吸収シアン色素の吸収巾はある値以上になると、マゼンタ成分の吸収が高くなり色再現、特にグリーンの色再現上好ましくない。よって、これらの性能を満足するためには、短波吸収シアンのλc(50%+)とλc(50%−)の差が70nm以上85nm以下、好ましくは73〜80nmであることが最も好ましいことがわかった。
【0019】
二種以上のシアン色素を混合して使用する場合、▲1▼λmax が600〜650nmのシアン色素と▲2▼λmax が650〜700nmのシアン色素は、▲1▼と▲2▼の混合比が95:5から70:30の間で使用することが望ましい。また各々のシアン色素のλmax およびシアン色素のλc(50%−)とλc(50%+)は、それぞれ色素が受像材料に固定化された状態での値である。
【0020】
本発明の、熱現像カラー感光材料は、上記シアン色素をはじめとして、イエロー、マゼンタ色素を、高温状態下で銀イオンを銀に還元する際、この反応に対応して、あるいは逆対応して生成または放出する化合物、すなわち色素供与性化合物を含有する。
本発明の、熱現像カラー感光材料で使用する色素供与性化合物の例としては、まず酸化カップリング反応によって色素を形成する化合物(カプラー)をあげることができる。このカプラーは4当量カプラーまたは2当量のいずれでもよい。また、耐拡散性基を脱離基に持ち、酸化カップリング反応により拡散性色素を形成する2当量カプラーも好ましい。この耐拡散性基はポリマー鎖をなしていてもよい。カラー現像薬およびカプラーの具体例はT.H.James 著 “The Theory of the Photographic Process" 第4版291〜334頁および354〜361頁、RD−307,105号の871頁、特開昭58−123,533号、同58−149,046号、同58−149,047号、同59−111,148号、同59−124,399号、同59−174,835号、同59−231,539号、同59−231,540号、同60−2950号、同60−2951号、同60−14,242号、同60−23,474号、同60−66,249号等に詳しく記載してある。
【0021】
また、別の色素供与性化合物の例として、画像状に拡散性色素を放出ないしは拡散する機能を持つ化合物をあげることができる。この型の化合物は次の一般式〔L1〕であらわすことができる。
((Dye)m −Y)n −Z 〔L1〕
Dye は色素基、一時的に短波化された色素基または色素前駆体を表わし、Yは単なる結合または連結基を表わし、Zは画像状に潜像を有する感光性銀塩に対応または逆対応して((Dye)m -Y) n -Zで表わされる化合物の拡散性に差を生じさせるか、または((Dye)m -Yを放出し、放出された(Dye) m -Yと((Dye)m -Y) n-Z との間に拡散性において差を生じさせるような性質を有する基を表わし、mは1〜5の整数を表わし、nは1または2を表わし、m、nのいずれかが1でない時、複数のDye は同一でも異なっていてもよい。
一般式〔L1〕で表わされる色素供与性化合物の具体例としては下記の▲1▼〜▲5▼の化合物をあげることができる。尚、下記の▲1▼〜▲3▼はハロゲン化銀の現像に逆対応して拡散性の色素像(ポジ色像像)を形成するものであり、▲4▼と▲5▼はハロゲン化銀の現像に対応して拡散性の色素像(ネガ色素像)を形成するものである。
【0022】
▲1▼米国特許第3,134,764号、同3,362,819号、同3,597,200号、同3,544,545号、同3,482,972号、特公平3−68,387号等に記載されている。ハイドロキノン系現像薬と色素成分を連結した色素現像薬である。この色素現像薬はアルカリ性の環境下で拡散性であるが、ハロゲン化銀と反応すると非拡散性になるものである。
▲2▼米国特許第4,503,137号等に記載されている通り、アルカリ性の環境下で拡散性色素を放出するが、ハロゲン化銀と反応するとその能力を失う非拡散性の化合物も使用できる。その例としては、米国特許第3,980,479号等に記載された分子内求核置換反応により拡散性色素を放出する化合物、米国特許第4,199,354号等に記載されたイソオキサゾロン環の分子内巻き換え反応により拡散性色素を放出する化合物があげられる。
▲3▼米国特許第4,559,290号、欧州特許第220,746A2号、米国特許第4,783,396号、公開技報87−6,199、特開昭64−13,546号等に記載されている通り、現像によって酸化されずに残った還元剤と反応して拡散性色素を放出する非拡散性の化合物も使用できる。
その例としては、米国特許第4,139,389号、同4,139,379号、特開昭59−185,333号、同57−84,453号等に記載されている還元された後に分子内の求核置換反応により拡散性の色素を放出する化合物、米国特許第4,232,107号、特開昭59−101,649号、同61−88,257号、RD24,025(1984年)等に記載された還元された後に分子内の電子移動反応により拡散性の色素を放出する化合物、西独特許第3,008,588A号、特開昭56−142,530号、米国特許第4,343,893号、同4,619,884号等に記載されている還元後に一重結合が開裂して拡散性の色素を放出する化合物、米国特許第4,450,223号等に記載されている電子受容後に拡散性色素を放出するニトロ化合物、米国特許第4,609,610号等に記載されている電子受容後に拡散性色素を放出する化合物等があげられる。
【0023】
また、より好ましいものとして、欧州特許第220,746号、公開技報87−6,199、米国特許第4,783,396号、特開昭63−201,653号、同63−201,654号、同64−13,546号等に記載された一分子内にN−X結合(Xは酸素、硫黄または窒素原子を表わす)と電子吸引性基を有する化合物、特開平1−26,842号に記載された一分子内にSO2-X(Xは上記と同義)と電子吸引性基を有する化合物、特開昭63−271,344号に記載された一分子内にPO-X結合(Xは上記と同義)と電子吸引性基を有する化合物、特開昭63−271,341号に記載された一分子内にC−X’結合(X’はXと同義かまたは-SO2- を表わす)と電子吸引性基を有する化合物があげられる。また特開平1−161,237号、同1−161,342号に記載されている電子受容性基を共役するπ結合により還元後に一重結合が開裂し拡散性の色素を放出する化合物も利用できる。
この中でも特に一分子内にN−X結合と電子吸引性基と有する化合物が好ましい。その具体例は、欧州特許第220,746号または米国特許第4,783,396号に記載された化合物(1) 〜(3) 、(7) 〜(10)、(12)、(13)、(15)、(23)〜(26)、(31)、(32)、(35)、(36)、(40)、(41)、(44)、(53)〜(59)、(64)、(70)、公開技報87−6,199に記載された化合物(11)〜(23)、特開昭64−13,546号に記載された化合物(1) 〜(84)などである。
【0024】
▲4▼拡散性色素を脱離基に持つカプラーであって還元剤の酸化体との反応により拡散性色素を放出する化合物(DRRカプラー)。具体的には、英国特許第1,330,524号、特公昭48−39,165号、米国特許第3,443,940号、同4,474,867号、同4,483,914号等に記載されたものがある。
▲5▼ハロゲン化銀または有機銀塩に対して還元性であり、相手を還元すると拡散性の色素を放出する化合物(DRR化合物)。この化合物は他の還元剤を用いなくてもよいので、還元剤の酸化分解物による画像の汚染という問題がなく、特に好ましい。その、代表例は、米国特許第3,928,312号、同4,053,312号、同4,055,428号、同4,336,322号、特開昭59−65,839号、同59−69,839号、同53−3,819号、同51−104,343号、RD17,465号、米国特許第3,725,062号、同3,728,113号、同3,443,939号、特開昭58−116,537号、同57−179,840号、米国特許第4,500,626号等に記載されている。DRR化合物の具体例としては、前述の米国特許第4,500,626号の第22欄〜第44欄の化合物をあげることができるが、なかでも前記米国特許に記載の化合物(1) 〜(3) 、(10)〜(13)、(16)〜(19)、(28)〜(30)、(33)〜(35)、(38)〜(40)、(42)〜(64)が好ましい。また米国特許第4,639,408号の第37〜39欄に記載の化合物も有用である。その他、上記に述べたカプラーや一般式〔L1〕以外の色素供与性化合物として、有機銀塩と色素を結合した色素銀化合物(リサーチ・ディスクロージャー誌1978年4月号、30〜32頁等)、ロイコ色素(米国特許第3,985,565号、同4,022,617号等)なども使用できる。
【0025】
本発明においては、上記の化合物の中でもDRR化合物が好ましく使用される。
以下に、本発明の熱現像カラー感光材料に使用できるDRR化合物の具体例をあげるが、本発明の具体例はこれに限られるものではない。これらのDRR化合物のうちイエロー、マゼンタはそれぞれ単独で使用しても、2種以上の混合物として使用してもいずれでもよい。シアンDRR化合物は2種以上の混合物として使用する。
【0026】
まず、シアンのDRR化合物の具体例をあげる。シアンは、色素供与性化合物から放出された色素が、λmax が600〜650nmの1種以上の色素とλmax が650〜700nmの1種以上の色素の混合物であるが、このうちλmax が600〜650nmの色素のうち一種以上はλc(50%+)−λc(50%−)が70nm以上85nm以下である。
▲1▼λmax が600〜650nmでかつ、λc(50%+)−λc(50%−)が70nm以上85nm以下のシアン色素を分子内に有するDRR化合物の具体例を以下に
示す。
【0027】
【化1】
【0028】
▲2▼上記▲1▼のシアンDRR化合物と混合して用いることが可能なDRR化合物のうち、λmax が600〜650nmでかつλc(50%+)−λc(50%−)が70 nm以下のシアン色素を分子内に有するDRR化合物の具体例を以下に示す。
【0029】
【化2】
【0030】
【化3】
【0031】
【化4】
【0032】
【化5】
【0033】
【化6】
【0034】
【化7】
【0035】
【化8】
【0036】
▲3▼上記のシアンDRR化合物と混合して用いることが可能なDRR化合物のうちλmax が650〜700nmのシアン色素を分子内に有するDRR化合物の具体例を以下に示す。
【0037】
【化9】
【0038】
次にマゼンタのDRR化合物の具体例を以下に示す。
【0039】
【化10】
【0040】
【化11】
【0041】
【化12】
【0042】
【化13】
【0043】
【化14】
【0044】
次にイエローのDRR化合物の具体例を以下に示す。
【0045】
【化15】
【0046】
これらの色素供与性化合物の添加量は、0.01〜2.0g/m2 、好ましくは0.05〜1.0g/m2 の範囲である。
【0047】
本発明で用いる受像材料は、感光性ハロゲン化銀を用いた写真材料において、ハロゲン化銀の現像の結果、拡散性の色素を形成あるいは放出させこの拡散性の色素を受像材料に転写して画像を得る方式の受像材料として用いる。
この画像形成方式は大別して、常温付近で処理液を使って現像するいわゆる湿式カラー拡散転写方式と、熱現像によって現像を行う熱現像拡散転写方式とがあり、本発明の受像材料はそのどちらにも好適な受像材料として使用できる。 本発明の受像材料は特に熱現像拡散転写方式に好ましく用いられるので、以下にそれについて詳細に説明するが、この説明は、有機銀塩、現像方式等の熱現像に独特の部分を除いて、湿式のカラー拡散転写方式と共通に適用できる。
【0048】
本発明に用いる熱現像カラー感光材料は、基本的には支持体上に感光性ハロゲン化銀、バインダーおよび色素供与性化合物(後述するように還元剤が兼ねる場合がある)などを有するものであり、さらに必要に応じて有機金属塩酸化剤などを含有させることができる。これらの成分は同一の層に添加することが多いが、反応可能な状態であれば別層に分割して添加することもできる。例えば着色している色素供与性化合物はハロゲン化銀乳剤の下層に存在させると感度の低下を防げる。還元剤は熱現像感光材料に内蔵するのが好ましいが、例えば後述する受像材料から拡散させるなどの方法で、外部から供給するようにしてもよい。ただし感光材料に還元剤を内蔵させることによって、カラー画像形成の促進効果等が得られる。
【0049】
イエロー、マゼンタ、シアンの3原色を用いて色度図内の広範囲の色を得るためには、少なくとも3層のそれぞれ異なるスペクトル領域に感光性を持つハロゲン化銀乳剤層を組み合わせて用いる。例えば青感層、緑感層、赤外感層の3層の組み合わせ、緑感層、赤感層、赤外感光層の組み合わせ、あるいは、赤感層、第一赤外層、第二赤外層の組合せなどがある。これらについては、例えば特開昭59−180,550号、同64−13,546号、同62−253,159号、欧州特許公開第479,167号に記載してある。各感光層は通常型のカラー感光材料で知られている種々の配列順序を採ることができる。また、これらの各感光層は必要に応じて2層以上に分割してもよい。これらの各感光層は特開平1−252,954号に記載してある。これらの感光層の各々と組み合わせる色素供与性化合物の種類(イエロー、マゼンタ、シアン)は、本発明のように電気信号化された画像情報からカラー画像を再生する場合には任意であって、通常型のカラー感光材料のような制約はない。
【0050】
熱現像カラー感光材料には、上記のハロゲン化銀乳剤層の間および最上層、最下層には、保護層、下塗り層、中間層、黄色フィルター層、アンチハレーション層などの各種の非感光性層を設けても良く、支持体の反対側にはバック層などの種々の補助層を設けることができる。具体的には、上記特許記載のような層構成、米国特許第5,051,335号記載のような下塗り層、特開平1−167,838号、特開昭61−20,943号記載のような固体顔料を有する中間層、特開平1−120,553号、同5−34,884号、同2−64,634号記載のような還元剤やDIR化合物を有する中間層、米国特許第5,017,454号、同5,139,919号、特開平2−235,044号記載のような電子伝達剤を有する中間層、特開平4−249,245号記載のような還元剤を有する保護層またはこれらを組み合わせた層などを設けることができる。
支持体は、帯電防止機能をもち表面抵抗率が1012Ω・cm以下になる様設計することが好ましい。
【0051】
上記のような、熱現像カラー感光材料と受像材料から得られた画像を、印刷用のカラープルーフとして用いる場合、印刷インキから得られる印刷物との色差が無いことが要求される。色差が無いとはすなわち、熱現像感光材料と受像材料から得られた画像の色再現域が、印刷インキから得られた画像の色再現域より広いことが前提となる。またこの色再現域とは、全ての明度域での色再現を指している。
熱現像カラー感光材料と受像材料から得られた画像の、色再現域を決定する因子としては、用いられるイエロー、マゼンタ、シアンの3色の色素または、クロを含めた4色の色素、またはそれらの混合物の色素の色相が重要であることはいうまでもないが、画像の白地部分の色味も重要な影響を与える。
熱現像により得られる画像の白地は、受像材料そのものの白地、熱現像時に熱現像カラー感光材料から転写してくる成分の色味、および加熱により着色する成分がある場合は、それらの色味などにより決まる。このうち受像材料そのものの白地は、これらの因子のうち、重要な因子である。
受像材料そのものの白地は、支持体、色素固定層、色素固定層の上下に設けられる保護層、中間層などの色味により決まる。このためこれらの各構成成分の色味をいかに設計するかが重要な要素となる。
受像材料そのものの白地の調整方法は、支持体、色素固定層、色素固定層の上下に設けられる保護層、中間層などに、顔料または染料などの着色成分を添加する方法がある。紙支持体の上下にポリエチレンをラミネートしたものを支持体として使用する場合は、紙支持体またはラミネート層に酸化チタン、酸化マグネシウムなどの白色顔料、群青などの青色顔料などを添加する方法が具体例としてあげられる。また、着色成分の他に蛍光増白剤などを添加する方法もある。
さらに、熱現像カラー感光材料と受像材料から得られた画像の、S/N比を良好にするためには、熱現像時のみアルカリが発生し、画像形成前の材料の保存時または画像形成後の保存時においては中性であるような材料が適している。このような反応としては、難溶性金属化合物とこの難溶性金属化合物を構成する金属イオンと錯形成反応しうる化合物(錯形成化合物という)との2剤反応がその目的に適している。(このアルカリ発生方法については、欧州特許公開210,660号、米国特許第4,740,445号に記載してある。)
以下に、上記材料設計をするための具体的な手段を記述する。
【0052】
まず、本発明の熱現像カラー感光材料に使用するハロゲン化銀乳剤について、詳しく説明する。
本発明に使用し得るハロゲン化銀乳剤は、塩化銀、臭化銀、沃臭化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、塩沃臭化銀のいずれでもよい。
本発明で使用するハロゲン化銀乳剤は、表面潜像型乳剤であっても、内部潜像型乳剤であってもよい。内部潜像型乳剤は造核剤や光カブラセとを組合わせて直接反転乳剤として使用される。また、粒子内部と粒子表層が異なる相を持ったいわゆるコアシェル乳剤であってもよく、またエピタキシャル接合によって組成の異なるハロゲン化銀が接合されていても良い。ハロゲン化銀乳剤は単分散でも多分散でもよく、特開平1−167,743号、同4−223,463号記載のように単分散乳剤を混合し、階調を調節する方法が好ましく用いられる。粒子サイズは0.1〜2μm、特に0.2〜1.5μmが好ましい。ハロゲン化銀粒子の晶癖は立方体、8面体、14面体のような規則的な結晶を有するもの、球状、高アスペクト比の平板状のような変則的な結晶系を有するもの、双晶面のような結晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの複合系その他のいずれでもよい。
具体的には、米国特許第4,500,626号第50欄、同4,628,021号、リサーチ・ディスクロージャー誌(以下RDと略記する) No.17,029(1978年)、同 No.17,643(1978年12月)22〜23頁、同 No.18,716(1979年11月)、648頁、同 No.307,105(1989年11月)863〜865頁、特開昭62−253,159号、同64−13,546号、特開平2−236,546号、同3−110,555号、およびグラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテ社刊(P.Glafkides,Chemie et Phisique Photographique, Paul Montel, 1967) 、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Duffin, Photographic Emulsion Chemistry,Focal Press, 1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman et al., Making and Coating Photographic Emulsion, Focal Press, 1964) 等に記載されている方法を用いて調製したハロゲン化銀乳剤のいずれもが使用できる。
【0053】
本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤を調製する過程で、過剰の塩を除去するいわゆる脱塩を行うことが好ましい。このための手段として、ゼラチンをゲル化させて行うヌーデル水洗法を用いても良く、また多価アニオンより成る無機塩類(例えば硫酸ナトリウム)、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(例えばポリスチレンスルホン酸ナトリウム)、あるいはゼラチン誘導体(例えば脂肪族アシル化ゼラチン、芳香族アシル化ゼラチン、芳香族カルバモイル化ゼラチンなど)を利用した沈降法を用いても良い。沈降法が好ましく用いられる。
【0054】
本発明で使用する感光性ハロゲン化銀乳剤は、種々の目的でイリジウム、ロジウム、白金、カドミウム、亜鉛、タリウム、鉛、鉄、オスミウムなどの重金属を含有させても良い。これらの化合物は、単独で用いても良いしまた2種以上組み合わせて用いてもよい。添加量は、使用する目的によるが一般的には、ハロゲン化銀1モルあたり10-9〜10-3モル程度である。また含有させる時には、粒子に均一に入れてもよいし、また粒子の内部や表面に局在させてもよい。具体的には、特開平2−236,542号、同1−116,637号、同5−181246号等に記載の乳剤が好ましく用いられる。
【0055】
本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子形成段階において、ハロゲン化銀溶剤としてロダン塩、アンモニア、4置換チオエーテル化合物や特公昭47−11,386号記載の有機チオエーテル誘導体または特開昭53−144,319号に記載されている含硫黄化合物等を用いることができる。
【0056】
その他の条件については、前記のグラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテ社刊(P.Glafkides,Chemie et Phisique Photographique, Paul Montel, 1967) 、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Duffin, Photographic Emulsion Chemistry, Focal Press, 1966) 、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman et al., Making and Coating Photographic Emulsion, Focal Press, 1964) 等の記載を参照すれば良い。すなわち酸性法、中性法、アンモニア法のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形式としては片側混合法、同時混合法、それらの組み合わせのいずれを用いてもよい。単分散乳剤を得るためには、同時混合法が好ましく用いられる。
粒子を銀イオン過剰の下において形成させる逆混合法も用いることができる。同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成される液相中のpAgを一定に保つ、いわゆるコントロールドダブルジェット法も用いることができる。
【0057】
また、粒子成長を早めるために、添加する銀塩およびハロゲン塩基の添加濃度、添加量、添加速度を上昇させてもよい(特開昭55−142,329号、同55−158,124号、米国特許第3650757号等)。
さらに反応液の攪拌方法は、公知のいずれの攪拌方法でもよい。またハロゲン化銀粒子形成中の反応液の温度、pHは、目的に応じてどのように設定してもよい。好ましいpH範囲は2.2〜8.5、より好ましくは2.5〜7.5である。
【0058】
感光性ハロゲン化銀乳剤は通常は化学増感されたハロゲン化銀乳剤である。本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤の化学増感には、通常型感光材料用乳剤で公知の硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法などのカルコゲン増感法、金、白金、バラヂウムなどを用いる貴金属増感法および還元増感法などを単独または組合わせて用いることができる(例えば特開平3−110,555号、特開平5−241267号など)。これらの化学増感を含窒素複素環化合物の存在下で行うこともできる(特開昭62−253,159号)。また後掲するかぶり防止剤を化学増感終了後に添加することができる。具体的には、特開平5−45,833号、特開昭62−40,446号記載の方法を用いることができる。
化学増感時のpHは好ましくは5.3〜10.5、より好ましくは5.5〜8.5であり、pAgは好ましくは6.0〜10.5、より好ましくは6.8〜9.0である。
本発明において使用される感光性ハロゲン化銀乳剤の塗設量は、銀換算1mgないし10g/m2の範囲である。
【0059】
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀に緑感性、赤感性、赤外感性、感色性を持たせるためには、感光性ハロゲン化銀乳剤をメチン色素類その他によって分光増感する。また、必要に応じて青感性乳剤に青色領域の分光増感を施してもよい。
用いられる色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素が包含される。
具体的には、米国特許第4,617,257号、特開昭59−180,550号、同64−13,546号、特開平5−45,828号、同5−45,834号などに記載の増感色素が挙げられる。
これらの増感色素は単独に用いてもよいが、それらの組合わせを用いてもよく、増感色素の組合わせは特に、強色増感や分光感度の波長調節の目的でしばしば用いられる。
増感色素とともに、それ自身分光増感作用を持たない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない化合物であって、強色増感を示す化合物に乳剤中に含んでもよい(例えば米国特許第3,615,641号、特開昭63−23,145号等に記載のもの)。
これらの増感色素を乳剤中に添加する時期は化学熟成時もしくはその前後でもよいし、米国特許第4,183,756号、同4,225,666号に従ってハロゲン化銀粒子の核形成前後でもよい。またこれらの増感色素や強色増感剤は、メタノールなどの有機溶媒の溶液、ゼラチンなどの分散物あるいは界面活性剤の溶液で添加すればよい。添加量は一般にハロゲン化銀1モル当り10-8ないし10-2モル程度である。
【0060】
このような工程で使用される添加剤および本発明の熱現像カラー感光材料や受像材料に使用できる公知の写真用添加剤は、前記のRD No.17,643、同 No.18,716および同 No.307,105に記載されており、その該当箇所を下記の表にまとめる。
【0061】
熱現像カラー感光材料や受像材料の構成層のバインダーには親水性のものが好ましく用いられる。その例としては前記のリサーチ・ディスクロージャーおよび特開昭64−13,546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたものが挙げられる。具体的には、透明か半透明の親水性バインダーが好ましく、例えばゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン等の多糖類のような天然化合物とポリビニールアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体等の合成高分子化合物が挙げられる。また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245,260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SO3M(Mは水素原子またはアルカリ金属)有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマーどうし、もしくは他のビニルモノマーとの共重合体(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、住友化学(株)製のスミカゲルL−5H)も使用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いることもできる。特にゼラチンと上記バインダーの組み合わせが好ましい。またゼラチンは、種々の目的に応じて石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、カルシウムなどの含有量を減らしたいわゆる脱灰ゼラチンから選択すれば良く、組み合わせて用いることも好ましい。
【0062】
微量の水を供給して熱現像を行うシステムを採用する場合、上記の高吸水性ポリマーを用いることにより、水の吸水を迅速に行うことが可能となる。また本発明とは別に、高吸水性ポリマーを色素固定層やその保護層に使用すると、転写後に色素が受像材料から他のものに再転写するのを防止することができる。
本発明において、バインダーの塗布量は1m2当たり20g以下が好ましく、特に10g以下、更には7g〜0.5gにするのが適当である。
【0063】
本発明においては、感光性ハロゲン化銀乳剤と共に、有機金属塩を酸化剤として併用することもできる。このような有機金属塩の中で、有機銀塩は、特に好ましく用いられる。
上記の有機銀塩酸化剤を形成するのに使用し得る有機化合物としては、米国特許第4,500,626号第52〜53欄等に記載のベンゾトリアゾール類、脂肪酸その他の化合物がある。また米国特許第4,775,613号記載のアセチレン銀も有用である。有機銀塩は、2種以上を併用してもよい。
以上の有機銀塩は、感光性ハロゲン化銀1モルあたり、0.01〜10モル、好ましくは0.01〜1モルを併用することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤と有機銀塩の塗布量合計は銀換算で0.05〜10g/m2、好ましくは0.1〜4g/m2が適当である。
【0064】
本発明に用いる還元剤としては、熱現像カラー感光材料の分野で知られているものを用いることができる。また、後述する還元性を有する色素供与性化合物も含まれる(この場合、その他の還元剤を併用することもできる)。また、それ自身は還元性をもたないが現像過程で求核試薬や熱の作用により還元性を発現する還元剤プレカーサーも用いることができる。
本発明に用いられる還元剤の例としては、米国特許第4,500,626号の第49〜50欄、同4,839,272号、同4,330,617号、同4,590,152号、同5,017,454号、同5,139,919号、特開昭60−140,335号の第(17)〜(18)頁、同57−40,245号、同56−138,736号、同59−178,458号、同59−53,831号、同59−182,449号、同59−182,450号、同60−119,555号、同60−128,436号、同60−128,439号、同60−198,540号、同60−181,742号、同61−259,253号、同62−201,434号、同62−244,044号、同62−131,253号、同62−131,256号、同63−10,151号、同64−13,546号の第(40)〜(57)頁、特開平1−120,553号、同2−32,338号、同2−35,451号、同2−234,158号、同3−160,443号、欧州特許第220,746号の第78〜96頁等に記載の還元剤や還元剤プレカーサーである。米国特許第3,039,869号に開示されているもののような種々の還元剤の組合せも用いることができる。
【0065】
耐拡散性の還元剤を使用する場合には、耐拡散性還元剤と現像可能なハロゲン化銀との間の電子移動を促進するために、必要に応じて電子伝達剤および/または電子伝達剤プレカーサーを組合せて用いることができる。特に好ましくは、前記米国特許第5,139,919号、欧州特許公開第418,743号、特開平1−138,556号、同3−102,345号記載のものが用いられる。また特開平2−230,143号、同2−235,044号記載のように安定に層中に導入する方法が好ましく用いられる。
電子伝達剤またはそのプレカーサーは、前記した還元剤またはそのプレカーサーの中から選ぶことができる。電子伝達剤またはそのプレカーサーはその移動性が耐拡散性の還元剤(電子供与体)より大きいことが望ましい。特に有用な電子伝達剤は1−フェニル−3−ピラゾリドン類又はアミノフェノール類である。
電子伝達剤と組合せて用いる耐拡散性の還元剤(電子供与体)としては、前記した還元剤の中で感光材料の層中で実質的に移動しないものであればよく、好ましくはハイドロキノン類、スルホンアミドフェノール類、スルホンアミドナフトール類、特開昭53−110827号、米国特許第5,032,487号、同5,026,634号、同4,839,272号に電子供与体として記載されている化合物および後述する耐拡散性で還元性を有する色素供与性化合物等が挙げられる。
また特開平3−160,443号記載のような電子供与体プレカーサーも好ましく用いられる。
さらに中間層や保護層に混色防止、色再現改善、白地改善、受像材料への銀移り防止など種々の目的で上記還元剤を用いることができる。具体的には、欧州特許公開第524,649号、同357,040号、特開平4−249,245号、同2−64,633号、同2−46,450号、特開昭63−186,240号記載の還元剤が好ましく用いられる。また特公平3−63,733号、特開平1−150,135号、同2−110,557号、同2−64,634号、同3−43,735号、欧州特許公開第451,833号記載のような現像抑制剤放出還元性化合物も用いられる。
本発明に於いては還元剤の総添加量は銀1モルに対して0.01〜20モル、特に好ましくは0.1〜10モルである。
【0066】
色素供与化合物、耐拡散性還元剤などの疎水性添加剤は、米国特許第2,322,027号記載の方法などの公知の方法により熱現像感光材料の層中に導入することができる。この場合には、米国特許第4,555,470号、同4,536,466号、同4,536,467号、同4,587,206号、同4,555,476号、同4,599,296号、特公平3−62,256号などに記載のような高沸点有機溶媒を、必要に応じて沸点50℃〜160℃の低沸点有機溶媒と併用して、用いることができる。またこれら色素供与性化合物、耐拡散性還元剤、高沸点有機溶媒などは2種以上併用することができる。
高沸点有機溶媒の量は用いられる色素供与性化合物1gに対して10g以下、好ましくは5g以下、より好ましくは1g〜0.1gである。また、バインダー1gに対して1cc以下、更には0.5cc以下、特に0.3cc以下が適当である。
また特公昭51−39,853号、特開昭51−59,943号に記載されている重合物による分散法や特開昭62−30,242号等に記載されている微粒子分散物にして添加する方法も使用できる。
水に実質的に不溶な化合物の場合には、前記方法以外にバインダー中に微粒子にして分散含有させることができる。
疎水性化合物を親水性コロイドに分散する際には、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、前記のリサーチ・ディスクロージャー記載の界面活性剤として挙げたものを使うことができる。
本発明の熱現像カラー感光材料には、現像の活性化と同時に画像の安定化を図る化合物を用いることができる。好ましく用いられる具体的化合物については米国特許第4,500,626号の第51〜52欄に記載されている。
【0067】
色素の拡散転写により画像を形成するシステムにおいて、本発明の熱現像カラー感光材料の構成層には不要な色素や着色物を固定化または無色化し、得られる画像の白地を改良する目的で種々の化合物を添加することができる。
具体的には、欧州公開特許第353,741号、同461,416号、特開昭63−163,345号、同62−203,158号記載の化合物を用いることができる。
【0068】
本発明の熱現像カラー感光材料の構成層には色分離性改良や高感化などの目的で、種々の顔料や染料を用いることができる。
具体的には前記リサーチ・ディスクロージャー記載の化合物や、欧州公開特許第479,167号、同502,508号、特開平1−167,838号、同4−343,355号、同2−168,252号、特開昭61−20,943号、欧州公開特許第479,167号、同502,508号等に記載の化合物や層構成を用いることができる。
【0069】
色素の拡散転写により画像を形成するシステムにおいては熱現像カラー感光材料と共に受像材料が用いられる。受像材料は感光材料とは別々の支持体上に別個に塗設させる形態であっても、感光材料と同一の支持体上に塗設される形態であってもよい。感光材料と受像材料相互の関係、支持体との関係、白色反射層との関係は米国特許第4,500,626号の第57欄に記載の関係が本発明にも適用できる。
本発明に好ましく用いられる受像材料は媒染剤とバインダーを含む層を少なくとも1層有する。媒染剤は写真分野で公知のものを用いることができ、その具体例としては米国特許第4,500,626号第58〜59欄、特開昭61−88,256号(32) 〜(41)頁や特開平1−161,236号第(4) 〜(7) 頁に記載の媒染剤、米国特許第4,774,162号、同4,619,883号、同4,594,308号等に記載のものを挙げることができる。また、米国特許第4,463,079号に記載されているような色素受容性の高分子化合物を用いてもよい。
本発明の受像材料に用いられるバインダーは、前記の親水性バインダーが好ましい。さらに欧州公開特許第443,529号記載のようなカラギナン類の併用や、特公平3−74,820号記載のようなガラス転移温度40℃以下のラテックス類を併用することが好ましく用いられる。
受像材料には必要に応じて保護層、剥離層、下塗り層、中間層、バック層、カール防止層などの補助層を設けることができる。特に保護層を設けるのは有用である。
【0070】
熱現像カラー感光材料および受像材料の構成層には、可塑剤、スベリ剤あるいは感光材料と受像材料との剥離性改良剤として高沸点有機溶媒を用いることができる。具体的には、前記リサーチ・ディスクロージャーや特開昭62−245,253号などに記載されたものがある。
更に、上記の目的のために、各種のシリコーンオイル(ジメチルシリコーンオイルからジメチルシロキサンに各種の有機基を導入した変性シリコーンオイルまでの総てのシリコーンオイル)を使用できる。その例としては、信越シリコーン(株)発行の「変性シリコーンオイル」技術資料P6−18Bに記載の各種変性シリコーンオイル、特にカルボキシ変性シリコーン(商品名X−22−3710)などが有効である。
また特開昭62−215,953号、同63−46,449号に記載のシリコーンオイルも有効である。
【0071】
熱現像カラー感光材料や受像材料には退色防止剤を用いてもよい。退色防止剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、あるいはある種の金属錯体があり、前記リサーチ・ディスクロージャー記載の色素画像安定剤や紫外線吸収剤なども、有用である。
酸化防止剤としては、例えばクロマン系化合物、クマラン系化合物、フェノール系化合物(例えばヒンダードフェノール類)、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミン誘導体、スピロインダン系化合物がある。また、特開昭61−159,644号記載の化合物も有効である。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物(米国特許第3,533,794号など)、4−チアゾリドン系化合物(米国特許第3,352,681号など)、ベンゾフェノン系化合物(特開昭46−2,784号など)、その他特開昭54−48,535号、同62−136,641号、同61−88,256号等に記載の化合物がある。また、特開昭62−260,152号記載の紫外線吸収性ポリマーも有効である。
金属錯体としては、米国特許第4,241,155号、同4,245,018号第3〜36欄、同第4,254,195号第3〜8欄、特開昭62−174,741号、同61−88,256号(27)〜(29)頁、同63−199,248号、特開平1−75,568号、同1−74,272号等に記載されている化合物がある。
【0072】
受像材料に転写された色素の退色を防止するための退色防止剤は予め受像材料に含有させておいてもよいし、熱現像感光材料や後述する転写溶剤などの外部から受像材料に供給するようにしてもよい。
上記の酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属錯体はこれらどうしを組み合わせて使用してもよい。
熱現像カラー感光材料や受像材料には蛍光増白剤を用いてもよい。特に受像材料に蛍光増白剤を内蔵させるか、熱現像感光材料や転写溶剤などの外部から供給させるのが好ましい。その例としては、K.Veenkataraman 編「The Chemistry of Synthetic Dyes 」第V巻第8章、特開昭61−143752号などに記載されている化合物を挙げることができる。より具体的には、スチルベン化合物、クマリン系化合物、ビフェニル系化合物、ベンゾオキサゾリン系化合物、ナフタルイミド系化合物、ピラゾリン系化合物、カルボスチリル系化合物などが挙げられる。
蛍光増白剤は退色防止剤や紫外線吸収剤と組み合わせて用いることができる。これらの褪色防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤の具体例は、特開昭62−215,272号(125) 〜(137) 頁、特開平1−161,236号(17) 〜(43)頁に記載されている。
【0073】
熱現像カラー感光材料や受像材料の構成層に用いる硬膜剤としては、前記リサーチ・ディスクロージャー、米国特許第4,678,739号第41欄、同4,791,042号、特開昭59−116,655号、同62−245,261号、同61−18,942号、特開平4−218,044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタアミド)エタンなど)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)、あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234,157号などに記載の化合物)が挙げられる。
これらの硬膜剤は、塗布されたゼラチン1gあたり0.001〜1g好ましくは、0.005〜0.5gが用いられる。また添加する層は、感光材料や受像材料の構成層のいずれの層でも良いし、2層以上に分割して添加しても良い。
【0074】
熱現像カラー感光材料や受像材料の構成層には、種々のカブリ防止剤または写真安定剤およびそれらのプレカーサーを使用することができる。その具体例としては、前記リサーチ・ディスクロージャー、米国特許第5,089,378号、同4,500,627号、同4,614,702号、特開昭64−13,546号(7) 〜(9) 頁、(57)〜(71)頁および(81)〜(97)頁、米国特許第4,775,610号、同4,626,500号、同4,983,494号、特開昭62−174,747号、同62−239,148号、同63−264,747号、特開平1−150,135号、同2−110,557号、同2−178,650号、RD17,643(1978年)(24)〜(25)頁等記載の化合物が挙げられる。
これらの化合物は、銀1モルあたり5×10-6〜1×10-1モルが好ましく、さらに1×10-5〜1×10-2モルが好ましく用いられる。
【0075】
熱現像カラー感光材料や受像材料の構成層には、塗布助剤、剥離性改良、スベリ性改良、帯電防止、現像促進等の目的で種々の界面活性剤を使用することができる。界面活性剤の具体例は前記リサーチ・ディスクロージャー、特開昭62−173,463号、同62−183,457号等に記載されている。
熱現像カラー感光材料や受像材料の構成層には、スベリ性改良、帯電防止、剥離性改良等の目的で有機フルオロ化合物を含ませてもよい。有機フルオロ化合物の代表例としては、特公昭57−9053号第8〜17欄、特開昭61−20944号、同62−135826号等に記載されているフッ素系界面活性剤、またはフッ素油などのオイル状フッ素系化合物もしくは四フッ化エチレン樹脂などの固体状フッ素化合物樹脂などの疎水性フッ素化合物が挙げられる。
【0076】
熱現像カラー感光材料や受像材料には、接着防止、スベリ性改良などの目的でマット剤を用いることができる。マット剤としては二酸化ケイ素、ポリオレフィンまたはポリメタクリレートなどの特開昭61−88256号(29)頁記載の化合物の他に、ベンゾグアナミン樹脂ビーズ、ポリカーボネート樹脂ビーズ、AS樹脂ビーズなどの特開昭63−274944号、同63−274952号記載の化合物がある。その他前記リサーチ・ディスクロージャー記載の化合物が使用できる。
その他、熱現像カラー感光材料および受像材料の構成層には、熱溶剤、消泡剤、防菌防バイ剤、コロイダルシリカ等を含ませてもよい。これらの添加剤の具体例は特開昭61−88256号第(26)〜(32)頁、特開平3−11,338号、特公平2−51,496号等に記載されている。
【0077】
本発明において熱現像カラー感光材料及び/又は受像材料には画像形成促進剤を用いることができる。画像形成促進剤には銀塩酸化剤と還元剤との酸化還元反応の促進、色素供与性物質からの色素の生成または色素の分解あるいは拡散性色素の放出等の反応の促進および、熱現像感光材料層から色素固定層への色素の移動の促進等の機能があり、物理化学的な機能からは塩基または塩基プレカーサー、求核性化合物、高沸点有機溶媒(オイル)、熱溶剤、界面活性剤、銀または銀イオンと相互作用を持つ化合物等に分類される。ただし、これらの物質群は一般に複合機能を有しており、上記の促進効果のいくつかを合せ持つのが常である。これらの詳細については米国特許4,678,739号第38〜40欄に記載されている。
塩基プレカーサーとしては、熱により脱炭酸する有機酸と塩基の塩、分子内求核置換反応、ロッセン転位またはベックマン転位によりアミン類を放出する化合物などがある。その具体例は米国特許第4,514,493号、同4,657,848号等に記載されている。
【0078】
少量の水の存在下に熱現像と色素の転写を同時に行うシステムにおいては、塩基及び/又は塩基プレカーサーを受像材料に含有させる方法が熱現像感光材料の保存性を高める意味で好ましい。
上記の他に、欧州特許公開210,660号、米国特許第4,740,445号に記載されている難溶性金属化合物およびこの難溶性金属化合物を構成する金属イオンと錯形成反応しうる化合物(錯形成化合物という)の組合せや、特開昭61−232,451号に記載されている電解により塩基を発生する化合物なども塩基プレカーサーとして使用できる。特に前者の方法は効果的である。この難溶性金属化合物と錯形成化合物は、前記特許に記載のように、熱現像感光材料と受像材料に別々に添加することが有利である。
【0079】
本発明において熱現像カラー感光材料及び/又は受像材料には、現像時の処理温度および処理時間の変動に対し、常に一定の画像を得る目的で種々の現像停止剤を用いることができる。
ここでいう現像停止剤とは、適正現像後、速やかに塩基を中和または塩基と反応して膜中の塩基濃度を下げ現像を停止する化合物または銀および銀塩と相互作用して現像を抑制する化合物である。具体的には、加熱により酸を放出する酸プレカーサー、加熱により共存する塩基と置換反応を起す親電子化合物、または含窒素ヘテロ環化合物、メルカプト化合物及びその前駆体等が挙げられる。更に詳しくは特開昭62−253,159号(31)〜(32)頁に記載されている。
【0080】
本発明において熱現像カラー感光材料や受像材料の支持体としては、処理温度に耐えることのできるものが用いられる。一般的には、日本写真学会編「写真工学の基礎−銀塩写真編−」、(株)コロナ社刊(昭和54年)(223)〜(240) 頁記載の紙、合成高分子(フィルム)等の写真用支持体が挙げられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、セルロース類(例えばトリアセチルセルロース)またはこれらのフィルム中へ酸化チタンなどの顔料を含有させたもの、更にポリプロピレンなどから作られるフィルム法合成紙、ポリエチレン等の合成樹脂パルプと天然パルプとから作られる混抄紙、ヤンキー紙、バライタ紙、コーティッドペーパー(特にキャストコート紙)、金属、布類、ガラス類等が用いられる。
これらは、単独で用いることもできるし、ポリエチレン等の合成高分子で片面または両面をラミネートされた支持体として用いることもできる。このラミネート層には、酸化チタン、群青、カーボンブラックなどの顔料や染料を必要に応じて含有させておくことができる。
この他に、特開昭62−253,159(29)〜(31)頁、特開平1−161,236号(14)〜(17)頁、特開昭63−316,848号、特開平2−22,651号、同3−56,955号、米国特許第5,001,033号等に記載の支持体を用いることができる。
これらの支持体の裏面は、親水性バインダーとアルミナゾルや酸化スズのような半導性金属酸化物、カーボンブラックその他の帯電防止剤を塗布してもよい。具体的には、特開昭63−220,246号などに記載の支持体を使用できる。また支持体の表面は親水性バインダーとの密着性を改良する目的で種々の表面処理や下塗りを施すことが好ましく用いられる。
【0081】
熱現像カラー感光材料に画像を露光し記録する方法としては、例えばカメラなどを用いて風景や人物などを直接撮影する方法、プリンターや引伸機などを用いてリバーサルフィルムやネガフィルムを通して露光する方法、複写機の露光装置などを用いて、原画をスリットなどを通して走査露光する方法、画像情報を電気信号を経由して発光ダイオード、各種レーザー(レーザーダイオード、ガスレーザーなど)などを発光させ走査露光する方法(特開平2−129,625号、特願平3−338,182号、同4−9,388号、同4−281,442号等に記載の方法)、画像情報をCRT、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイなどの画像表示装置に出力し、直接または光学系を介して露光する方法などがある。
【0082】
熱現像カラー感光材料へ画像を記録する光源としては、上記のように、自然光、タングステンランプ、発光ダイオード、レーザー光源、CRT光源などの米国特許第4,500,626号第56欄、特開平2−53,378号、同2−54,672号記載の光源や露光方法を用いることができる。
また、非線形光学材料とレーザー光等のコヒーレントな光源を組み合わせた波長変換素子を用いて画像露光することもできる。ここで非線形光学材料とは、レーザー光のような強い光電界をあたえたときに現れる分極と電界との間の非線形性を発現可能な材料であり、ニオブ酸リチウム、リン酸二水素カリウム(KDP)、沃素酸リチウム、BaB2O4などに代表される無機化合物や、尿素誘導体、ニトロアニリン誘導体、例えば3−メチル−4−ニトロピリジン−N−オキシド(POM)のようなニトロピリジン−N−オキシド誘導体、特開昭61−53462号、同62−210432号に記載の化合物が好ましく用いられる。波長変換素子の形態としては、単結晶光導波路型、ファイバー型等が知られておりそのいずれもが有用である。
また、前記の画像情報は、ビデオカメラ、電子スチルカメラ等から得られる画像信号、日本テレビジョン信号規格(NTSC) に代表されるテレビ信号、原画をスキャナーなど多数の画素に分割して得た画像信号、CG、CADで代表されるコンピューターを用いて作成された画像信号を利用できる。
【0083】
本発明の熱画像カラー感光材料および/または受像材料は、加熱現像および色素の拡散転写のための加熱手段として導電性の発熱体層を有する形態であっても良い。この場合の発熱要素には、特開昭61−145,544号等に記載のものを利用できる。
熱現像工程での加熱温度は、約50℃〜250℃であるが、特に約60℃〜180℃が有用である。色素の拡散転写工程は熱現像と同時に行っても良いし、熱現像工程終了後に行っても良い。後者の場合、転写工程での加熱温度は、熱現像工程における温度から室温の範囲で転写可能であるが、特に50℃以上で、熱現像工程の温度より約10℃低い温度までが好ましい。
【0084】
色素の移動は熱のみによっても生じるが、色素移動を促進するために溶媒を用いてもよい。また、米国特許第4,704,345号、同4,740,445号、特開昭61−238,056号等に記載されている、少量の溶媒(特に水)の存在下で加熱し現像と転写を同時または連続して行う方法も有用である。この方式においては、加熱温度は50℃以上で溶媒の沸点以下が好ましい、例えば溶媒が水の場合は50℃〜100℃が好ましい。
現像の促進および/または色素の拡散転写のために用いる溶媒の例としては、水、無機のアルカリ金属塩や有機の塩基を含む塩基性の水溶液(これらの塩基としては画像形成促進剤の項で記載したものが用いられる)、低沸点溶媒または低沸点溶媒と水もしくは前記塩基性脂肪族との混合溶液が挙げられる。また界面活性剤、かぶり防止剤、難溶性金属塩との錯形成化合物、防黴剤、防菌剤を溶媒中に含ませてもよい。
これらの熱現像、拡散転写の工程で用いられる溶媒としては水が好ましく用いられるが、水としては一般に用いられる水であれば何を用いても良い。具体的には蒸留水、水道水、井戸水、ミネラルウオーター等を用いることができる。また本発明の熱現像感光材料および受像材料を用いる熱現像装置においては水を使い切りで使用しても良いし、循環し繰り返し使用してもよい。後者の場合材料から溶出した成分を含む水を使用することになる。また特開昭63−144,354号、同63−144,355号、同62−38,460号、特開平3−210,555号等に記載の装置や水を用いても良い。
【0085】
これらの溶媒は熱現像カラー感光材料、受像材料またはその両者に付与する方法を用いることができる。その使用量は全塗布膜の最大膨潤体積に相当する溶媒の重量以下でよい。
この水を付与する方法としては、例えば特開昭62−253,159号(5) 頁、特開昭63−85,544号等に記載の方法が好ましく用いられる。また、溶媒をマイクロカプセルに閉じ込めたり、水和物の形で予め熱現像感光材料もしくは受像材料またはその両者に内蔵させて用いることもできる。
付与する水の温度は前記特開昭63−85,544号等に記載のように30℃〜60℃であれば良い。特に水中での雑菌類の繁殖を防ぐ目的で45℃以上にすることは有用である。
【0086】
また色素移動を促進するために、常温で固体であり高温では溶解する親水性熱溶剤を熱現像感光材料および/または受像材料に内蔵させる方式も採用できる。内蔵させる層は感光性ハロゲン化銀乳剤層、中間層、保護層、色素固定層いずれでも良いが、色素固定層および/またはその隣接層が好ましい。
親水性熱溶剤の例としては、尿素類、ピリジン類、アミド類、スルホンアミド類、イミド類、アルコール類、オキシム類その他の複素環類がある。
【0087】
現像および/または転写工程における加熱方法としては、加熱されたブロックやプレートに接触させたり、熱板、ホットプレッサー、熱ローラー、熱ドラム、ハロゲンランプヒーター、赤外および遠赤外ランプヒーターなどに接触させたり、高温の雰囲気中を通過させる方法などがある。
熱現像感光材料と受像材料を重ね合わせる方法は特開昭62−253,159号、特開昭61−147,244号(27)頁記載の方法が適用できる。
【0088】
本発明の写真要素の処理には種々の熱現像装置のいずれもが使用できる。例えば、特開昭59−75,247号、同59−177,547号、同59−181,353号、同60−18,951号、実開昭62−25,944号、特願平4−277,517号、同4−243,072号、同4−244,693号等に記載されている装置などが好ましく用いられる。また市販の装置としては富士写真フイルム(株)製ピクトロスタット100、同ピクトロスタット200、同ピクトログラフィー3000、同ピクトログラフィー2000などが使用できる。
【0089】
上記、熱現像カラー感光材料と受像材料により得られた画像を、印刷用のカラープルーフとして用いる場合、その濃度表現の方法は、連続階調制御、または不連続な濃度の部分を利用した面積階調制御、または両者を合わせた階調制御のいずれの方法でも良い。
露光光源として、LD、LEDを用いることにより、デジタル信号の出力が可能となる。これにより、印刷物のデザイン、色味などの画像の制御をCRT上で行ない、最終出力として、カラープルーフを出力するという使用法(DDCP)が可能となる。すなわちDDCPはカラープルーフの分野において、プルーフの出力を効率的に行なうための有効な手段となる。これはカラープリンタが、比較的簡易な構成であって廉価であり、またカラープリンタでは、周知のように、カラー印刷機に係る製版フィルムの作成、刷版(PS版)等の作成が不要であり、短時間に、複数回容易に、シート上に画像が形成されたハードコピーを作成できることによる。
露光光源として、LD、LEDを用いる場合、イエロー、マゼンタ、シアンの3つの分光感度、またはイエロー、マゼンタ、シアン、クロの4つの分光感度、また望ましい色相を得ることを目的として、2種以上の色材を混合して得られる各色の分光感度は、それぞれ20nm以上離れた別々の波長にその分光感度のピークを持つことが好ましい。さらに別の方法として、2つまたはそれ以上の異なる色の分光感度が、10倍以上の感度差がある場合、1つの露光波長で2種以上の色の画像を得る方法もある。
【0090】
続いて、カラープリンタにより、印刷物上のモアレ等を再現する方法について述べる。
低解像度のカラープリンタにより、高解像度の印刷物上に現れるモアレ等を忠実に再現する印刷用カラープルーフを作成するためには、CMYK4版の網点面積率データajのそれぞれに対してしきい値マトリクス24を参照して、それぞれ48800DPIのビットマップデータb'j に変換する。次に、一定範囲のビットマップデータb'j を同時に参照して、色毎に面積率ciを数え上げる。次いで、予め求めておいた前記各色毎の測色値データである1600DPIの第1の3刺激値データX.Y.Zを計算する。この第1の3刺激値データX.Y.Zに対してアンチエリアジングフィルタ処理を行って400DPIの第2の3刺激値データX’.Y’.Z’を計算する。この計算データをカラープリンタの入力データにする。(以上については特願平7−5257に詳細に記載してある。)
【0091】
カラープリンタ等の出力装置を用いてカラー画像の記録を行う場合、例えば、イエロー、マゼンタ、シアンに係る色信号を操作することで所望の色を有したカラー画像を実現することが可能であるが、前記色信号は、出力装置の出力特性に依存するため、特性の異なる外部装置から供給された色信号は、前記出力特性を考慮して色変換処理を行う必要がある。
そこで、当該出力装置を用いて色の異なる複数の既知のカラーパッチを作成し、前記カラーパッチを測色することにより、例えば、前記カラーパッチの既知の色信号CMYを出力装置に依存しない刺激値信号XYZに変換する変換関係(以下、この変換関係を「順変換関係」という)を得、次いで、前記順変換関係から、刺激値信号XYZを色信号CMYに変換する変換関係(以下、この変換関係を「逆変換関係」という)を求め、この逆変換関係を用いて、前記色変換処理を行う方法がある。
ここで、前記刺激値信号XYZから色信号CMYを求める方法として、以下の3つの例を挙げるが、本発明の例はこれらに限られるものではない。
1.4点の刺激値信号XYZを頂点とする四面体を設定し、この四面体により刺激値信号XYZの空間を分割するとともに、色信号CMYの空間も同様にして四面体で分割し、対応する四面体中の任意の刺激値信号XYZに対する色信号CMYを線型演算によって求める方法。
2.ニュートン法を用いて、任意の刺激値信号XYZに対応する色信号CMYを繰り返し演算によって求める方法。(PHOTOGRAPHIC SCIENCE AND ENGINEERING Volume 16, Number 2, March-April 1972 pp136-pp143 “Metameric color matching in subtractive color photography"参照)
【0092】
3.色信号を第1表色系から第2表色系に変換する色変換方法において、前記第2表色系の既知の実色信号から得られる前記第1表色系の実色信号の関係を第1順変換関係として求める第1ステップと、前記第1順変換関係を単調関数で近似して、前記実色信号からなる領域外に仮想色信号を設定する第2ステップと、前記第2表色系における前記実色信号及び前記仮想色信号より構成される色信号から得られる前記第1表色系の当該色信号の関係を第2順変換関係として求める第3ステップと、前記第2変換関係から、繰り返し演算法を用いて、前記第1表色系の色信号の関係を逆変換関係として求める第4ステップと、からなり前記逆変換関係を用いて色信号を第1表色系から第2表色系に変換する方法。即ちこの変換方法は、色信号を第1表色系から第2表色系に変換する色変換方法において、第2表色系の既知の実色信号(例えばCMY色信号)に対応する第1表色系の実色信号(例えば、XYZ色信号)を求めた後、これらの実色信号間における第1順変換関係を単調関数で近似し、前記実色信号で構成される領域外に仮想色信号を設定する。そして、前記、実色信号及び前記仮想色信号からなる第2表色系と第1表色系との間の第2順変換関係より、ニュートン法に代表される繰り返し演算により前記第1表色系を前記第2表色系に変換する逆変換関係を求め、この逆変換関係を用いて色変換を行う方法。
などが例として挙げることができる。
【0093】
上記、熱現像カラー感光材料と受像材料により得られる画像のサイズは、A列本判、A1〜A6、菊判、B列本判、B1〜B6、四六判のいずれであっても良い。またサイズに対応して、熱現像感光材料と受像材料のサイズは巾が100mm〜2000mmの範囲のいずれのサイズをとることもできる。
熱現像感光材料と受像材料は、材料をロール状またはシート状のいずれで供給しても良く、どちらか一方のみロール状で、一方がシート状の組合せで使用することも可能である。
【0094】
【実施例】
以下実施例をもって本発明の説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0095】
表1に示す構成の受像材料M101を作製した。
【0096】
【化16】
【0097】
【化17】
【0098】
【化18】
【0099】
【化19】
【0100】
【化20】
【0101】
【化21】
【0102】
【化22】
【0103】
【化23】
【0104】
【表1】
【0105】
【表2】
【0106】
さらに、M101の第2層の構成成分から蛍光増白剤(1) を除いた受像材料を作製し、この受像材料をM102とした。
【0107】
次に、熱現像カラー感光材料の作製方法を説明する。
始めに、感光性ハロゲン化銀乳剤の作製方法を説明する。
感光性ハロゲン化銀乳剤(1) 〔第5層(680nm感光層)用乳剤〕
十分に攪拌している表3に示す組成の水溶液に表4に示す組成の(I液)と(II) 液を13分間かけて同時に添加し、又、その10分後に、表4に示す組成の(III)液と(IV) 液を33分間かけて添加した。
【0108】
【表3】
【0109】
【表4】
【0110】
【化24】
【0111】
又、(III)液の添加開始13分後から27分間かけて増感色素▲1▼を0.350%含有する水溶液150ccを添加した。
【0112】
常法により、水洗、脱塩(沈降剤aを用いてpHを4.1で行った)後、石灰処理オセインゼラチン22gを加えて、pHを6.0、pAgを7.9に調節した後、60℃で化学増感した。化学増感に用いた化合物は、表5に示す通りである。得られた乳剤の収量は630gで変動係数10.2%の単分散立方体塩臭化銀乳剤で、平均粒子サイズは0.20μmであった。
【0113】
【化25】
【0114】
【表5】
【0115】
【化26】
【0116】
【化27】
【0117】
感光性ハロゲン化銀乳剤(2) 〔第3層(750nm感光層)用乳剤〕
十分に攪拌している表6に示す組成の水溶液に表7に示す組成の(I)液と(II) 液を18分間かけて同時に添加し、又、その10分後に、表7に示す組成の(III)液と(IV) 液を24分間かけて添加した。
【0118】
【表6】
【0119】
【表7】
【0120】
常法により、水洗、脱塩(沈降剤bを用いてpHを3.9で行った)後、脱カルシウム処理した石灰処理オセインゼラチン(カルシウム含有率150ppm 以下)22gを加えて、40℃で再分散し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを0.39g加えてpHを5.9、pAgを7.8に調節した。その後、70℃で化学増感した。化学増感に用いた化合物は、表8に示す通りである。又、化学増感の最後に増感色素▲2▼をメタノール溶液として(表9に示す組成の溶液)添加した。さらに、化学増感後40℃に降温して後に述べる安定剤▲1▼のゼラチン分散物200gを添加し、十分攪拌した後、収納した。得られた乳剤の収量は938gで変動係数12.6%の単分散立方体塩臭化銀乳剤で、平均粒子サイズは0.25μmであった。
【0121】
【表8】
【0122】
【表9】
【0123】
【化28】
【0124】
感光性ハロゲン化銀乳剤(3) 〔第1層(810nm感光層)用乳剤〕
十分に攪拌している表10に示す組成の水溶液に表11に示す組成の(I)液と(II) 液を18分間かけて同時に添加し、又、その10分後に、表11に示す組成の(III)液と(IV) 液を24分間かけて添加した。
【0125】
【表10】
【0126】
【表11】
【0127】
常法により、水洗、脱塩(沈降剤aを用いてpHを3.8で行った)後、石灰処理オセインゼラチン22gを加えて、pHを7.4、pAgを7.8に調節した。その後、60℃で化学増感した。化学増感に用いた化合物は、表12に示す通りである。得られた乳剤の収量は683gで変動係数9.7%の単分散立方体塩臭化銀乳剤で、平均粒子サイズは0.32μmであった。
【0128】
【表12】
【0129】
次にコロイド銀のゼラチン分散物の調製法について述べる。
【0130】
十分に攪拌している表13に示す組成の水溶液に、表14に示す組成の液を24分間かけて添加した。その後沈降剤aを用いて水洗した後、石灰処理オセインゼラチンを43gを加えて、pHを6.3に調節した。平均粒子サイズは0.02μmで収量は512gであった。(銀2%、ゼラチン6.8%を含有する分散物)
【0131】
【表13】
【0132】
【表14】
【0133】
次に、疎水性添加剤のゼラチン分散物の調製法について述べる。
【0134】
イエロー色素供与性化合物、マゼンタ色素供与性化合物、シアン色素供与性化合物のゼラチン分散物をそれぞれ表15の処方どおり調製した。即ち各油相成分を、約70℃に加熱溶解させ均一な溶液とし、この溶液に約60℃に加温した水相成分を加え攪拌混合した後、ホモジナイザーで10分間、10000rpm にて分散した。これに加水し、攪拌して均一な分散物を得た。さらにシアン色素供与性化合物のゼラチン分散物を限外ろ過モジュール(旭化成限外ろ過モジュール;ACV−3050)を用いて、水による希釈と濃縮を繰り返して表15の酢酸エチルの量の17.6分の1になるように酢酸エチル量を減量した。
【0135】
【表15】
【0136】
カブリ防止剤▲4▼のゼラチン分散物を、表16の処方どおり調製した。即ち油相成分を約60℃に加熱溶解させこの溶液に約60℃に加温水相成分を加え、攪拌混合した後、ホモジナイザーで10分間、10000rpm にて分散し、均一な分散物を得た。
【0137】
【表16】
【0138】
高沸点溶媒▲1▼のゼラチン分散物を、表17の処方どおり調製した。即ち油相成分を約60℃に加熱溶解させこの溶液に約60℃に加温した水相成分を加え、攪拌混合した後、ホモジナイザーで10分間、10000rpm にて分散し、均一な分散物を得た。
【0139】
【表17】
【0140】
還元剤▲2▼のゼラチン分散物を、表18の処方どおり調製した。即ち油相成分を、60℃に加熱溶解させこの溶液に約60℃に加温した水相成分を加え、攪拌混合した後ホモジナイザーで10分間、1000rpm にて分散し、均一な分散物を得た。さらに得られた分散物から減圧脱有機溶剤装置を用いて酢酸エチルを除去した。
【0141】
【表18】
【0142】
ポリマーラテックス(a) の分散物を、表19の処方とおり調製した。即ち表18の量のポリマーラテックス(a) 、界面活性剤▲5▼、水の混合液を攪拌しながらアニオン性界面活性剤▲6▼を10分間かけて添加し、均一な分散物を得た。さらに得られた分散物を限外ろ過モジュール((旭化成限外ろ過モジュール:ACV−3050)を用いて、水による希釈と濃縮を繰り返して分散物中の塩濃度が9分の1になるように調製した。
【0143】
【表19】
【0144】
安定剤▲1▼のゼラチン分散物を、表20の処方どおり調製した。即ち油相成分を室温で溶解させ、この溶液に約40℃に加温した水相成分を加え、攪拌混合した後ホモジナイザーで10分間、10000rpm にて分散した。これに加水、攪拌して均一な分散物を得た。
【0145】
【表20】
【0146】
水酸化亜鉛のゼラチン分散物を、表21の処方どおり調製した。即ち各成分を混合溶解した後、ミルで平均粒径0.75mmのガラスビーズを用いて30分間分散した。さらにガラスビーズを分離除去し、均一な分散物を得た。(水酸化亜鉛は平均粒子サイズが0.25μmのものを使用した。)
【0147】
【表21】
【0148】
次に、保護層に添加するマット剤のゼラチン分散物の調製法について述べる。塩化メチレンにPMMAを溶解した液を少量の界面活性剤とともにゼラチン中に添加し、高速攪拌分散した。続いて減圧脱溶剤装置を用いて塩化メチレンを除去し、平均粒子サイズガ4.3μmの均一な分散物を得た。
【0149】
【化29】
【0150】
【化30】
【0151】
【化31】
【0152】
【化32】
【0153】
【化33】
【0154】
【化34】
【0155】
【化35】
【0156】
【化36】
【0157】
【化37】
【0158】
【化38】
【0159】
【化39】
【0160】
【化40】
【0161】
【化41】
【0162】
【化42】
【0163】
以上のものを用いて表22、23に示す熱現像カラー感光材料101を作製した。
【0164】
【表22】
【0165】
【表23】
【0166】
さらに実施例の材料として熱現像カラー感光材料102〜105を作製した。また比較例の材料として熱現像カラー感光材料111〜113を作製した。この熱現像カラー感光材料の作製方法は、表15に示した色素供与性化合物の分散物のおのおのの色素供与性化合物を以下の表24に示した化合物およびそれぞれ表24に示した添加量に変更し、それ以外は熱現像カラー感光材料101と全く同様にして作製した。
【0167】
【化43】
【0168】
【化44】
【0169】
【化45】
【0170】
【化46】
【0171】
これらの感光材料101〜105、111〜113を、それぞれ受像材料M101〜102と組み合わせて、富士写真フイルム株式会社製のデジタルカラープリンターフジックスピクトログラフィーPG−3000で、標準条件で画像出力を行った。出力した画像は250色〜2000色の複数の印刷用標準カラーチャート(校正チャート)である。このカラーチャートを用いて、本文明細書中に記載してある色変換方法のうちの3の方法によって色合わせを行った。
【0172】
色合わせ後、再度印刷用標準カラーチャートを出力し、印刷用の標準カラーチャートとPG−3000で出力した標準カラーチャートそれぞれの色相を測定し、色再現域を計算した。この結果からL値が60における、シアンから緑の領域と、マゼンタから赤の領域の、色度図上の色差が、最も大きくなるときの値を表25に示した。ただしこの色差は、上記の方法でPG−3000により出力したサンプルの色再現域が、印刷用の色再現域より狭い場合の値である。また、両者のカラーチャートの各パッチの色の差を目視にて判定し、差がないものを○、あるものを×として評価した。この結果を表25にまとめた。
【0173】
さらに、PG−3000により出力したサンプルの、クロの部分の最高画像濃度の測定を行った。測定は、日本平板機材株式会社製X−Rite310TR(ステータスAフィルター)により行った。測定値のうちビジュアル濃度を表24に記載した。次に出力サンプルの光源依存性を調べた。観察時に使用した照明光源(観察光源)は、標準光源であるD65光源、タングステンCIEA光源、蛍光灯F−6光源の2種である。それぞれの光源で照明したサンプルのグレー部を低濃度から高濃度部にわたって目視にて評価し、印刷標準カラーチャートと比較して光源の種類によりグレーの色味の変化が大きいものを×、同等のものを△、比較して色味の変化が少ないものを○として評価した。この結果は表25にまとめた。
【0174】
【表24】
【0175】
【表25】
【0176】
表の結果から、本発明の実施例1〜7は、比較例8〜10と比較して、印刷物との色差が無く、高い画像濃度が得られ、さらに照明光源による色味の変化が優れている、即ち優れた光源依存性を有しており、印刷校正用のカラープルーフとして理想的な性能を有していることが分かる。
【0177】
【発明の効果】
上記の通り、本発明によれば、熱現像カラー感光材料と色素受像材料を別の支持体上に設け、両要素を重ね合わせ、拡散性の色素を転写することにより画像を形成する画像形成システムにおいて、印刷用標準インキにより得られる画像と色差の少ない画像を形成し、かつ十分なDmaxと良好な光源依存性を有する画像を形成させることができる。
Claims (3)
- 熱現像カラー感光材料と受像材料を別の支持体上に設け、両要素を重ね合わせ、熱現像により形成あるいは放出する拡散性の色素を受像材料に転写することにより画像を形成する画像形成システムにおいて、熱現像カラー感光材料が少なくとも、感光性ハロゲン化銀および色素供与性化合物を含有し、かつ熱現像により拡散性のイエロー、マゼンタ、シアンの色素を形成あるいは放出させることを特徴とする熱現像カラー感光材料であり、かつ拡散性の色素がイエロー、マゼンタがそれぞれ一種以上の色素でかつシアンが二種以上の色素の混合であり、イエロー色素の分光吸収の吸収強度が最大になる波長(以下λmax と示す)が440nmから460nm、マゼンタ色素のλmax が525nmから545nm、混合したシアン色素の分光吸収のλmax が610nmから640nmであり、かつシアン色素が以下の(1) 、(2) の項目を満たすことを特徴とする熱現像カラー感光材料。
(1) シアン色素が、λmax が600〜650nmの1種以上の色素とλmax が650〜700nmの1種以上の色素の混合物である。
(2) λmax が600〜650nmのシアン色素のうち、一種以上のシアン色素が、長波側の吸収強度がピーク吸収強度の50%になる波長と短波側の吸収強度がピーク吸収強度の50%になる波長の差が70nm以上85nm以下である。 - ハロゲン化銀の現像に必要なアルカリを、熱現像カラー感光材料と受像材料に別々に内蔵した難溶性金属化合物およびこの難溶性金属化合物を構成する金属イオンと錯形成反応しうる化合物(錯形成化合物という)との2剤反応により発生することを特徴とする、請求項1に記載の熱現像カラー感光材料。
- シアンの色素供与性化合物が少なくとも1種のアゾナフトール化合物またはアゾフェノール化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱現像カラー感光材料。
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