JP3797090B2 - 棚設備の制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動倉庫などの棚設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記棚設備は、荷を収納する複数の区画収納空間(荷収納部)が上下多段かつ左右に並設された収納棚と、この収納棚に沿って走行する走行車体、この走行車体に垂設されたマストに沿って昇降される昇降台(昇降体)、およびこの昇降台上に設けられ、収納棚の区画収納空間と搬入出口においてフォークを出退させて前記荷の受け渡しを行うフォーク装置(移載手段)を有するスタッカークレーン(荷搬送手段)などから構成され、このスタッカークレーンの動作により搬入出口と収納棚の区画収納空間との間で荷の入出庫、収納棚の一方の区画収納空間と他方の区画収納空間との間での荷の移載が行われている。
【0003】
これら荷の入出庫と移載のとき、走行車体の走行動作と昇降台の昇降動作とフォーク装置の出退動作は、それぞれの動作を確認してシーケンシャルに実行されている。
【0004】
搬入出口の荷受台から収納棚の区画収納空間へ荷を入庫するときの動作を説明する。
1.搬入出口の荷受台に向かって走行車体の走行動作が実行される。
2.搬入出口の荷受台に対向する走行停止位置に走行車体が停止すると、荷受台における荷の掬い位置(荷を掬うことができる荷の下方位置)へ向かって昇降台の昇降動作が実行される。
3.昇降台が荷の掬い位置に停止すると、荷受台の中に向かってフォーク装置の伸張動作が実行される。
4.フォーク装置が出限位置(最大限伸張した位置)まで伸張すると、荷受台の荷の掬い終了位置(荷を持ち上げることができる位置)へ向かって昇降台の上昇動作が実行されて実際にフォーク装置に荷が掬われる。
5.昇降台が荷の掬い終了位置に停止すると、収納棚の区画収納空間より昇降台に向かってフォーク装置の後退動作が実行され、荷が昇降台上へ移載される。
6.フォーク装置が原点位置(昇降台上の元の位置)まで後退すると、入庫を行う目的の収納棚の区画収納空間へ向かって走行車体の走行動作が実行される。
7.目的の収納棚の区画収納空間に対向する走行停止位置に走行車体が停止すると、目的の収納棚の区画収納空間における荷の卸し位置(荷を卸すことができる荷収納部の上方位置)へ向かって昇降台の昇降動作が実行される。
8.昇降台が荷の卸し位置に停止すると、目的の収納棚の区画収納空間に向かってフォーク装置の伸張動作が実行される。
9.フォーク装置が出限位置まで伸張すると、収納棚の区画収納空間の荷の卸し終了位置(荷を荷収納部へ載せることができる位置)へ向かって昇降台の下降動作が実行されてフォーク装置より実際に荷が荷収納部へ卸される。
10.昇降台が荷の卸し終了位置に停止すると、昇降台に向かってフォーク装置の後退動作が実行され、フォーク装置が原点位置(昇降台上の元の位置)まで後退すると、入庫動作を終了する。
【0005】
このように、走行車体の走行動作と昇降台の昇降動作とフォーク装置の出退動作のそれぞれの動作は確認されて入庫動作が実行されている。また収納棚の区画収納空間から搬入出口の荷受台へ荷を出庫するときの動作、収納棚の区画収納空間の間で荷の移載を行うときの動作も同様に、それぞれの動作を確認してシーケンシャルに実行されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、棚設備の利用効率を高めるために、入出庫動作あるいは移載動作に要する時間を短縮することが求められている。
【0007】
しかし、上記従来形式によると、上記移載動作時間を短縮するために走行車体の走行速度、昇降台の昇降速度を速くする、すなわちスタッカークレーンの移動速度を短縮することには、荷崩れの防止の点から限界があった。スタッカークレーンの移動速度は荷崩れが発生しない程度として、なおかつ、移載動作に要する時間を短縮しなければならない。
【0008】
そこで、本発明は、限られた走行車体の走行速度、昇降台の昇降速度の中でさらに荷の移載の際の作業時間を短縮できる棚設備を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、荷を収納する複数の荷収納部が上下多段かつ左右に並設され、前記荷収納部に対する荷の出し入れ方向が互いに対向するように間隔を隔てて設置された一対の収納棚と、垂直方向に昇降される昇降体、およびこの昇降体上に設けられ、前記荷収納部と搬入出口において前記荷の受け渡しを行う移載手段を有する荷搬送手段とを備えた棚設備の制御方法であって、互いに対向する前記一対の収納棚の荷収納部間、あるいは同じ昇降レベルで1つずれた位置において互いに対向する荷収納部間で、前記移載手段を移動させるとき、前記移載手段を一方の収納棚の荷収納部の出限位置から他方の収納棚の荷収納部の出限位置まで停止させずに出退させることを特徴とするものである。
【0010】
上記方法によれば、互いに対向する一対の収納棚の荷収納部間、あるいは同じ昇降レベルで1つずれた位置において互いに対向する荷収納部間で、移載手段を移動させるとき、移載手段は一方の収納棚の荷収納部の出限位置から他方の収納棚の荷収納部の出限位置まで停止されずに出退される。よって、一旦移載手段を減速停止させ、続いて起動加速する場合と比較して、移載作業時間が短縮される。
【0011】
また請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明であって、収納棚を、複数の荷収納部を上下多段かつ左右に加えて前後に並設して構成し、互いに対向する前記一方の収納棚の前部または後部荷収納部と他方の収納棚の後部または前部荷収納部間、あるいは同じ昇降レベルで1つずれた位置において互いに対向する前記一方の収納棚の前部または後部荷収納部と他方の収納棚の後部または前部荷収納部間で、移載手段を移動させるとき、前記移載手段を一方の収納棚の前部または後部荷収納部の出限位置から他方の収納棚の後部または前部荷収納部の出限位置まで停止させずに出退させることを特徴とするものである。
【0012】
上記方法によれば、互いに対向する一方の収納棚の前部または後部荷収納部と他方の収納棚の後部または前部荷収納部間、あるいは同じ昇降レベルで1つずれた位置において互いに対向する一方の収納棚の前部または後部荷収納部と他方の収納棚の後部または前部荷収納部間で、移載手段を移動させるとき、移載手段は一方の収納棚の前部または後部荷収納部の出限位置から他方の収納棚の後部または前部荷収納部の出限位置まで停止されずに出退される。よって、一旦移載手段を減速停止させ、続いて起動加速する場合と比較して、移載作業時間が短縮される。
【0013】
また請求項3に記載の発明は、上記請求項1または請求項2に記載の発明であって、搬入出口に荷搬送手段の走行経路を挟んで、荷の出し入れ方向が互いに対向するように荷捌手段を設け、前記荷捌手段と、前記走行経路を挟んで前記荷捌手段と同じ昇降レベルで荷捌手段より1つずれた収納棚の荷収納部との間で、移載手段を移動させるとき、前記移載手段を、前記収納棚の荷収納部の出限位置から走行経路を挟んだ荷捌手段の出限位置まで、または前記荷捌手段の出限位置から走行経路を挟んだ収納棚の荷収納部の出限位置まで、停止させずに出退させることを特徴とするものである。
【0014】
上記方法によれば、荷捌手段と、走行経路を挟んで荷捌手段と同じ昇降レベルで荷捌手段より1つずれた収納棚の荷収納部との間で、移載手段を移動させるとき、前記移載手段は、収納棚の荷収納部の出限位置から走行経路を挟んだ荷捌手段の出限位置まで、または荷捌手段の出限位置から走行経路を挟んだ収納棚の荷収納部の出限位置まで、停止されずに出退される。よって、一旦移載手段を減速停止させ、続いて起動加速する場合と比較して、移載作業時間が短縮される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態における棚設備の要部斜視図である。
【0018】
図1に示すように、棚設備FSには、荷出し入れ方向が互いに対向するように間隔を隔てて設置した左右一対の枠組み状の収納棚Aと、それらの収納棚Aどうしの間に形成した作業通路Bを自動走行するスタッカークレーン(荷搬送手段の一例)Cとが設けられている。
【0019】
各収納棚Aは、垂直な支柱{トラス;平行して配置された部材(棒体)}Gとこの支柱Gに取付けた腕木{荷受部;平行して配置された部材(棒体)}Kにより上下多段かつ左右に複数の荷収納部Dを形成(並設)しており、各荷収納部Dには腕木Kを介して荷Fを積載したパレットPLあるいは荷F自体が支持される。荷F、パレットPL、あるいはこれら荷FおよびパレットPLの組合せにより「荷」を形成している。
【0020】
前記作業通路Bには、収納棚Aに沿って走行レール1が設置され、また走行レール1に沿ってその上部にガイドレール6が架設され、作業通路Bの一端側に設置した荷搬出入部(搬入出口の一例)Eには、入出庫指令をスタッカークレーンCに入力するコントローラE1と、走行レール1を挟んで一対の荷載置台(二荷捌手段の一例)E2とが設けられ、スタッカークレーンCは、入出庫指令に基づいて走行レール1に沿って走行して、荷載置台E2と荷収納部Dとの間でのパレットPL(荷F)の出し入れを行う入出庫用の荷搬送手段、一方の荷収納部Dと他方の荷収納部Dと間でのパレットPL(荷F)の移載を行う移載用の荷搬送手段として構成されている。
【0021】
前記スタッカークレーンCは、図2に示すように、走行レール1に沿って走行する走行車体(走行体の一例)2に、昇降台(昇降体の一例)3を昇降操作自在に垂直方向へ案内支持する前後一対の昇降マスト4を設け、前後一対の昇降マスト4の上端を連結し、ガイドレール6に案内される上部フレーム7を設けて構成され、昇降台3には荷移載用のフォーク装置(移載手段の一例)5が設けられている。
【0022】
前記昇降台3は、その左右両側に連結した昇降用チェーン8にて吊下げ支持され、この昇降用チェーン8は、上部フレーム7に設けた案内スプロケット9と一方の昇降マスト4に設けた案内スプロケット10とに巻き掛けられて、走行車体2の一端に装備した巻き取りドラム11に連結されている。
【0023】
そして、巻き取りドラム11を、いわゆるインバータ式のモータである昇降用電動モータM1にて正逆に駆動回転させて、昇降用チェーン8の繰り出しや巻き取り操作で昇降台3を駆動昇降させるように構成されている。
【0024】
昇降台3の昇降位置は、走行車体2に取り付けられた光学式の第1測距装置OSの検出情報に基づいて管理される。この第1測距装置OSは、走行車体2の移動方向に水平に測距用のビーム光を投射し、その反射光により距離を測定する第1レーザ測距計19と、レーザ測距計19から投射されたビーム光の進路を鉛直上方に屈曲させて昇降台3の下面に設置された第1反射板20に照射するためのミラー20aとを備えて構成されている。第1測距装置OSにより検出された昇降台3の昇降位置検出情報は、図4に示すように、クレーン制御装置CCの昇降制御部30に入力されている。
【0025】
また昇降マスト4には、昇降台3の下限位置の下降原点(始点)LPと上限位置の上昇原点(終点)UPに対応する被検出体mL,mUが設けられ、昇降台3には、これら被検出体mL,mUを検出する光電スイッチからなる下限検出器25と上限検出器26が設けられ、その情報は、図4に示すように、クレーン制御装置CCの昇降制御部30に入力されている。
【0026】
クレーン制御装置CCの昇降制御部30は、下限検出器25の検出情報により昇降台3の下降を停止し、また上限検出器26の検出情報により昇降台3の上降を停止するとともに、第1測距装置OSにより検出された昇降台3の昇降位置検出情報から昇降台3の下限位置の原点LPからの距離(昇降位置)を測定し、昇降用電動モータM1を正逆に駆動して昇降台3の位置を制御している。
【0027】
前記走行車体2には、図3に示すように、走行レール1上を走行自在な前後2つの車輪12と、走行レール1に対する車体横幅方向での位置を規制するように走行レール1に係合する前後二箇所に且つ左右一対に設けた下部位置規制用ロータ13と、走行用駆動装置として、いわゆるインバータ式のモータである走行用電動モータM2が設けられている。
【0028】
また、上部フレーム7には、図2に示すように、ガイドレール6を左右から挟み込んで、スタッカークレーンCの走行に伴って、その側面に沿って上下軸回りで転動する左右一対の上部位置規制用ローラ17が走行方向の前後端部に設けられている。
【0029】
そして、2つの車輪12の車体前後方向一端側の車輪が、走行用電動モータM2にて駆動させる推進用の駆動輪12aに構成され、車体前後方向の他端側の車輪が、遊転自在な従動輪12bとして構成され、スタッカークレーンCは、上部フレーム7に設けた上部位置規制用ローラ17にて倒れ止めされながらガイドレール6に案内され、走行用電動モータM2による駆動で走行レール1に沿って自走自在に構成されている。
【0030】
走行車体2の走行位置は、図3に示すように、走行車体2に取り付けられた光学式の第2測距装置OSの検出情報に基づいて管理される。この第2測距装置OSは、走行車体2の移動方向に水平に測距用のビーム光を投射し、その反射光により距離を測定する第2レーザ測距計21と、作業通路B(走行車体2の移動経路)の搬入出部Eとは反対側の端部にレーザ測距計21の投射光に対向して設置された第2反射体22とを備えて構成されている。この第2測距装置OSによる走行車体2の走行位置検出情報は、図4に示すように、クレーン制御装置CCの走行制御部31に入力されている。
【0031】
また前記走行車体2には、走行レール1の始点位置の後退原点HPと終点位置の前進原点OPに配置された被検出体jL,jUを検出するリミットスイッチからなる始点検出器28および終点検出器29が設けられており、その情報は、図4に示すように、クレーン制御装置CCの走行制御部31に入力されている。
【0032】
クレーン制御装置CCの走行制御部31は、始点検出器28の検出情報により走行車体2の後進を停止し、また終点検出器29の検出情報により走行車体2の前進を停止するとともに、第2測距装置OSによる走行車体2の走行位置検出情報により、走行車体2の始点位置の原点HPからの距離(走行位置)を測定し、走行用電動モータM2を駆動して走行車体2の位置を制御している。
【0033】
またフォーク装置5には、出退動作(昇降台3上より両荷載置台E2または両収納棚Aの荷収納部Dへ向かって伸張する動作と、昇降台3へ後退する動作)を行い、実際にパレットPLが載置されるフォーク本体41と、このフォーク本体41を出退動作させる移載用駆動機構{移載用電動モータM3(図4)を含む}42から構成されている。
【0034】
フォーク本体の移動位置は、移載用電動モータM3に連結された移載用ロータリエンコーダ43(図4)の検出情報に基づいて管理される。移載用ロータリエンコーダ43の検出情報は、図4に示すように、クレーン制御装置CCの移載制御部32に入力されている。
【0035】
また前記移載用駆動機構42内には、フォーク本体41が出限位置まで伸張されたことを検出する出限検出器44およびフォーク本体41が昇降台3の元の位置(原点)まで後退されていることを検出する原点検出器45が設けられ、またフォーク本体41の先端には障害物を検出する障害物検出器46が設けられ、さらにフォーク本体41上にはパレットPL(荷F)を検出する在荷検出器47が設けられており、これらの情報は、図4に示すように、クレーン制御装置CCの移載制御部32に入力されている。上記検出器44,45,46,47は、たとえばリミットスイッチや近接スイッチにより形成される。
【0036】
クレーン制御装置CCの移載制御部30は、原点検出器45の検出情報によりフォーク本体41の後退を停止し、また出限検出器44の検出情報によりフォーク本体41の伸張を停止するとともに、原点検出器45の検出情報によりリセットされるカウンタにより移載用ロータリエンコーダ43の検出情報、すなわちパルス信号をカウントすることにより、フォーク本体41の昇降台3(原点)からの突出距離(伸張位置)を測定し、移載用電動モータM3を正逆に駆動してフォーク本体41の位置を制御している。
【0037】
またクレーン制御装置CCの移載制御部30は、昇降制御部30により昇降台3が上昇され、所定の荷収納部Dまたは荷載置台E上よりパレットPLの掬い動作が実行されているとき、在荷検出器47により前記所定の荷収納部Dまたは荷載置台E2におけるパレットPLの有無を確認しており、パレットPLを検出できないとき、掬い動作不良信号を昇降制御部30へ出力してパレットPLの掬い動作を停止させている。また移載制御部30は、フォーク本体41を伸張させ、所定の荷収納部Dまたは荷載置台E2へのパレットPLの卸し動作が実行されているとき、障害物検出器46により所定の荷収納部Dまたは荷載置台E2におけるパレットPL(荷F)の有無を確認しており、パレットPL(荷F)を検出すると、フォーク本体41の伸張動作(卸し動作)を停止させている。
【0038】
また上記クレーン制御装置CCは、図4に示すように、コントローラE1からの搬送指令を受けて、上記測定した昇降位置をフィードバックしながら昇降台3を指定された昇降位置に昇降させる昇降制御部30と、上記測定した走行位置をフィードバックしながら走行車体2を指定された走行位置に移動させる走行制御部31と、上記測定した伸張位置をフィードバックしながらフォーク本体41を伸張・後退させて荷Fを移載させる移載制御部32から構成され、クレーン制御装置CCにより制御されて荷Fの搬送並びに各収納部Dなどとの間の荷Fの移載が行われる。
【0039】
また上記クレーン制御装置CCは、第1測距装置OSまたは第2測距装置OSに異常が発生し、昇降台3の高さ位置または走行車体2の走行位置を検出できなくなると、フォーク本体41の出退(伸張・後退)動作を停止し、その後第1測距装置OS、第2測距装置OSとも正常に回復し、昇降台3の高さ位置および走行車体2の走行位置の検出が回復するとフォーク本体41の出退動作を再開するようにしている。
【0040】
なお、昇降制御部30には、荷載置台E2および各荷収納部DにおけるパレットPLの原点LP(下限位置)からの掬い距離(掬い位置)および卸す距離(卸し位置)が予め記憶され、走行制御部31には、荷載置台E2および各荷収納部Dの走行停止位置の原点HPからの距離が予め記憶されており、コントローラE1からの搬送指令として、入庫動作と出庫動作の別および目的のパレットPLの掬い動作、卸し動作を行う荷収納部Dのナンバーからなる入庫データまたは出庫データが、昇降制御部30と走行制御部31へ出力され、また入庫動作と出庫動作の別からなる入庫データまたは出庫データが、移載制御部32へ出力される。
【0041】
上記クレーン制御装置CCでは、目的の荷載置台E2および各荷収納部Dにおいて、パレットPLの掬い動作と卸し動作を、走行車体2と昇降台3とフォーク本体41の動作を一部同時に実行して(連動して)動作時間を短縮している。各掬い動作と卸し動作における前記連動について図5〜図9を参照しながら説明する。図5〜図9において、Lは作業通路B側の昇降台3(フォーク本体41/荷F)の端部と収納棚A(作業通路Bの支柱G)との水平距離(一定)、L’は作業通路B側の昇降台3(フォーク本体41/荷F)の端部と収納部Dに格納された荷Fとの水平距離(一定)、Frはフォーク本体41の走行車体走行方向の半分の幅、PrはパレットPLの走行車体走行方向の半分の幅、Jは収納部D内方(腕木K内方間)の走行車体走行方向の半分の幅、フォーク本体41の高さh、パレットPLおよび荷Fの高さf、フォーク本体41の掬い位置と腕木Kとの距離(高さ)Fb、フォーク本体41の掬い位置とその下方の荷Fとの余裕高さFa、フォーク本体41の卸し位置と腕木Kとの距離(高さ)Db、フォーク本体41の卸し位置とその上方の腕木Kとの距離(高さ)Da、Nはフォーク本体41の伸張距離である。
【0042】
また走行車体2の目的の荷載置台E2および各荷収納部D近くでの平均走行速度をu、昇降台3の目的の荷載置台E2および各荷収納部D近くでの平均昇降速度をv、フォーク本体41のパレットPLを積載していないときの出退速度をw1、パレットPLを積載しているときの出退速度をw2とする。
「掬い動作」(図5および図6参照)
まず走行車体2とフォーク本体41の連動を目的の荷収納部Dにおいて行うときについて説明する(図5参照)。なお、荷載置台E2において行うときも同様である。
【0043】
フォーク本体41の端部が収納棚Aの腕木Kに接触するまでの時間tは、
t=L/w1
で求められる。
【0044】
走行車体2が目的の荷収納部Dの走行停止位置Xに近づき、フォーク本体41を伸張を開始し、フォーク本体41の走行車体2の走行方向とは反対側の端点αと、走行方向反対側の腕木Kの内方の端点βが接触する距離は、u×tで表されるので、このときのフォーク本体41の中心、すなわち昇降台3の中心と上記走行停止位置Xとの距離Qは、
Q=J+u×t−Fr
で求められる。
【0045】
走行車体2が目的の荷収納部Dの走行停止位置Xに対してこの距離Qまで近づいたときに、フォーク本体41を伸張させれば、フォーク本体41が収納棚Aの腕木Kおよび支柱Gに接触することを避けることができる。
【0046】
次に昇降台3とフォーク本体41の連動を目的の荷収納部Dにおいて行うときについて説明する(図6参照)。なお、荷載置台E2において行うときも同様である。
【0047】
フォーク本体41の端部が収納棚Aの荷Fに接触するまでの時間t’は、
t’=L’/w1
で求められる。
【0048】
昇降台3が下方から目的の荷収納部Dの掬い位置Yに近づき、フォーク本体41の伸張を開始し、フォーク本体41の収納棚A側の下端点γと、目的の荷収納部Dの下の段に格納されている荷Fの作業通路B側の上端点δが接触する距離は、v×t’で表されるので、このときのフォーク本体41の上面、すなわち昇降台3の上面と上記掬い位置Yとの高さ距離Sは、
S=Fa+v×t’−h
で求められる。
【0049】
昇降台3が目的の荷収納部Dの掬い位置Yに対してこの高さ距離Sまで近づいたときに、フォーク本体41を伸張させれば、フォーク本体41が収納棚Aの荷Fに接触することを避けることができる。
【0050】
また昇降台3が上方から目的の荷収納部Dの掬い位置Yに近づくとき、フォーク本体41の伸張を開始し、フォーク本体41の収納棚A側の上端点θと、目的の荷収納部Dに格納されているパレットPLの作業通路B側の下端点λが接触する距離は、v×t’で表されるので、このときのフォーク本体41の上面、すなわち昇降台3の上面と上記掬い位置Yとの高さ距離S’は、
S’=Fb+v×t’
で求められる。
【0051】
昇降台3が目的の荷収納部Dの掬い位置Yに対してこの高さ距離Sまで近づいたときに、フォーク本体41を伸張させれば、フォーク本体41がパレットPLに接触することを避けることができる。
【0052】
いま、Fa−h=Fbと設定することにより、S’=Sとすることができる。このような掬い動作のとき、Q/u=S/v=N/w1となるように、上記走行車体2の平均走行速度uと、昇降台3の平均昇降速度vと、フォーク本体41のパレットPLを積載していないときの出退速度w1を設定している。よって、走行車体2が目的の荷収納部Dの走行停止位置Xに到達し、昇降台3が目的の荷収納部Dの掬い位置Yに到達したとき、フォーク本体41は出限位置に同じタイミングで到達する。
「卸し動作」(図7〜図9参照)
まず走行車体2とフォーク本体41の連動を目的の荷収納部Dにおいて行うときについて説明する(図7参照)。なお、荷載置台E2において行うときも同様である。
【0053】
パレットPLの端部が収納棚Aの腕木Kに接触するまでの時間tは、
t=L/w2
で求められる。
【0054】
走行車体2が目的の荷収納部Dの走行停止位置Xに近づき、フォーク本体41を伸張を開始し、パレットPLの走行車体2の走行方向とは反対側の端点εと、走行方向反対側の腕木Kの内方の端点βが接触する距離は、u×tで表されるので、このときのパレットPLの中心、すなわち昇降台3の中心と上記走行停止位置Xとの距離Mは、
M=J+u×t−Pr
で求められる。
【0055】
走行車体2が目的の荷収納部Dの走行停止位置Xに対してこの距離Mまで近づいたときに、フォーク本体41を伸張させれば、パレットPLが収納棚Aの腕木Kおよび支柱Gに接触することを避けることができる。
【0056】
次に昇降台3とフォーク本体41の連動を目的の荷収納部Dにおいて行うときについて説明する(図8および図9参照)。なお、荷載置台E2において行うときも同様である。
【0057】
フォーク本体41の伸張により荷Fが収納棚Aの支柱Gに接触するまでの時間tは、
t=L/w2
で求められる。
【0058】
図8に示すように、昇降台3が上方より目的の荷収納部Dの卸し位置Zに近づき、フォーク本体41の伸張を開始し、荷Fの収納棚A側の上端点ζと、目的の荷収納部Dの上の段の腕木Kの作業通路B側の下端点ηが接触する距離(高さ)は、v×tで表されるので、このときのフォーク本体41の上面、すなわち昇降台3の上面と上記卸し位置Zとの高さ距離Rは、
R=Da−f+v×t
で求められる。
【0059】
昇降台3が目的の荷収納部Dの卸し位置Zに対してこの高さ距離Rまで近づいたときに、フォーク本体41を伸張させれば、荷Fが収納棚Aの腕木Kに接触することを避けることができる。
【0060】
また図9に示すように、昇降台3が下方より目的の荷収納部Dの卸し位置Zに近づき、フォーク本体41の伸張を開始し、収納棚A側の下端点γと、目的の荷収納部Dの腕木Kの作業通路B側の上端点μが接触する距離(高さ)は、v×tで表されるので、このときのフォーク本体41の上面、すなわち昇降台3の上面と上記卸し位置Zとの高さ距離Rは、
R=Db+v×t
で求められる。
【0061】
昇降台3が目的の荷収納部Dの卸し位置Zに対してこの高さ距離Rまで近づいたときに、フォーク本体41を伸張させれば、フォーク本体41が収納棚Aの腕木Kに接触することを避けることができる。
【0062】
いま、Da−f=Dbと設定することにより、R’=Rとすることができる。このような卸し動作のとき、M/u=R/v=N/w2となるように、フォーク本体41のパレットPLを積載しているときの出退速度w2を設定している。よって、走行車体2が目的の荷収納部Dの走行停止位置Xに到達し、昇降台3が目的の荷収納部Dの卸し位置Zに到達したとき、フォーク本体41は出限位置に同じタイミングで到達する。
【0063】
このように、荷収納部Dの腕木Kまたは腕木K上の荷FまたはパレットPLの位置と、昇降台3上のフォーク本体41または荷Fの位置により、昇降台3の昇降動作とフォーク本体41の伸張動作の連動(タイミング)が取られ、また荷収納部Dの腕木Kの位置と、昇降台3上のフォーク本体41または荷Fの位置により、走行車体2の走行動作とフォーク本体41の伸張動作の連動(タイミング)が取られている。
「入庫動作」
上記クレーン制御装置CCによる入庫動作時の作用を図10のフローチャートと図11のタイムチャートを参照しながら詳細に説明する。
[ステップ−1]
コントローラE1から入庫データが昇降制御部30と走行制御部31と移載制御部32へ出力される。
[ステップ−2]
昇降制御部30は上記入庫データを入力すると、荷載置台E2におけるパレットPLの掬い位置を求め、現在停止位置よりパレットPLの掬い位置Yへ向かって昇降台3の昇降を開始する。
【0064】
また走行制御部31は、荷載置台E2におけるパレットPLの走行停止位置を求め、現在位置からパレットPLの走行停止位置Xへ向かって走行車体2の走行を開始する。
[ステップ−3]
昇降制御部30は、昇降台3が荷載置台E2におけるパレットPLの掬い位置より上記距離S手前の位置に到達すると、移載制御部32に対して伸張開始許可信号を出力する。
【0065】
昇降制御部 → 移載制御部 ;伸張開始許可信号
また走行制御部31は、走行車体2が荷載置台E2における走行停止位置より上記距離Q手前の位置に到達すると、移載制御部32に対して伸張開始許可信号を出力する。
【0066】
走行制御部 → 移載制御部 ;伸張開始許可信号
移載制御部32は、昇降制御部30および走行制御部31より伸張開始許可信号を入力すると、図11に示すように、出退速度w1でフォーク本体41の伸張を開始する。
[ステップ−4]
移載制御部32は、フォーク本体41の先端が出限位置の手前に到達すると、昇降制御部30へ昇降開始許可信号を出力し、出退検出器44の検出信号を入力すると、フォーク本体41の伸張を停止する。
【0067】
移載制御部 → 昇降制御部 ;昇降開始許可信号
また走行制御部31は、走行車体2が荷載置台E2の走行停止位置に到達すると、走行を停止する。
【0068】
上記走行速度uと昇降速度vとフォーク本体41の出退速度w1の設定により、図11に示すように、出限位置に到達するタイミングと昇降台3の掬い位置への到達のタイミングが一致する。また走行車体2が目的の荷収納部Dの走行停止位置Xに到達するタイミングが一致する。
[ステップ−5]
昇降制御部30は、移載制御部32より昇降開始許可信号を入力すると(昇降台3が掬い位置へ到着する前に入力される)、続けて昇降台3の掬い位置より上方距離i(図6参照)に設定している掬い終了位置へ向かってさらに昇降台3を上昇させる(連続動作)。
【0069】
これにより、図11に示すように、昇降台3は掬い位置から掬い終了位置まで連続して昇降する。
[ステップ−6]
昇降制御部30は、昇降台3の掬い終了位置の手前の高さまで到達すると、移載制御部32に対して後退開始許可信号を出力する。
【0070】
昇降制御部 → 移載制御部 ;後退開始許可信号
移載制御部32は、この後退開始許可信号を入力すると、出退速度w2でのフォーク本体41の後退を開始する。
【0071】
これにより、昇降台3が掬い終了位置に到達する前に移載用電動モータM3が起動されることによってアイドルタイムが短縮され、図11に示すように、昇降台3が掬い終了位置に到達するタイミングと、フォーク本体41が後退を開始するタイミングが一致する。
[ステップ−7]
移載制御部32は、フォーク本体41先端(フォーク本体41およびパレットPL全体)が荷載置台E2から脱出手前の位置に到達すると、走行制御部31へ走行開始許可信号を出力し、昇降制御部30へ昇降開始許可信号を出力する。
【0072】
移載制御部 → 走行制御部 ;走行開始許可信号
移載制御部 → 昇降制御部 ;昇降開始許可信号
昇降制御部30は昇降開始許可信号を入力すると、上記入庫データにより目的の荷収納部DにおけるパレットPLの卸し位置を求め、現在停止位置よりパレットPLの卸し位置Zへ向かって昇降台3の昇降を開始する。
【0073】
また走行制御部31は、荷載置台E2におけるパレットPLの走行停止位置を求め、現在位置からパレットPLの走行停止位置Xへ向かってへの走行車体2の走行を開始する。
【0074】
これにより、図11に示すように、フォーク本体41先端が荷載置台E2から脱出する前に、走行用電動モータM2と昇降用電動モータM1が起動されることによってアイドルタイムが短縮され、フォーク本体41先端(フォーク本体41およびパレットPL全体)が荷載置台E2から脱出すると同時に、目的の荷収納部Dへの走行車体2の移動が開始され、目的の荷収納部DにおけるパレットPL卸し位置への昇降台3の昇降が開始される。
【0075】
また移載制御部32は、原点検出器45の検出信号を入力すると、フォーク本体41の後退を停止する。
[ステップ−8]
昇降制御部30は、昇降台3が目的の荷収納部DにおけるパレットPLの卸し位置より上記距離R手前の位置に到達すると、移載制御部32に対して伸張開始許可信号を出力する。
【0076】
昇降制御部 → 移載制御部 ;伸張開始許可信号
また走行制御部31は、走行車体2が目的の荷収納部Dにおける走行停止位置より上記距離Q手前の位置に到達すると、移載制御部32に対して伸張開始許可信号を出力する。
【0077】
走行制御部 → 移載制御部 ;伸張開始許可信号
移載制御部32は、図11に示すように、昇降制御部30および走行制御部31より伸張開始許可信号を入力すると、出退速度w2でフォーク本体41の伸張を開始する。
[ステップ−9]
移載制御部32は、フォーク本体41の先端が出限位置の手前に到達すると、昇降制御部30へ昇降開始許可信号を出力し、出退検出器44の検出信号を入力すると、フォーク本体41の伸張を停止する。
【0078】
移載制御部 → 昇降制御部 ;昇降開始許可信号
また走行制御部31は、走行車体2が目的の荷収納部Dの走行停止位置に到達すると、走行を停止する。
【0079】
上記走行速度uと昇降速度vとフォーク本体41の出退速度w2の設定により、図11に示すように、出限位置に到達するタイミングと昇降台3の卸し位置への到達のタイミングが一致する。また走行車体2が目的の荷収納部Dの走行停止位置Xに到達するタイミングが一致する。
[ステップ−10]
昇降制御部30は、移載制御部32より昇降開始許可信号を入力すると(昇降台3が卸し位置へ到着する前に入力される)、続けて昇降台3の卸し位置より下方距離i(図8参照)に設定している卸し終了位置へ向かってさらに昇降台3を下降させる(連続動作)。
【0080】
これにより、図11に示すように、昇降台3は卸し位置から卸し終了位置まで連続して昇降する。
[ステップ−11]
昇降制御部30は、昇降台3の卸し終了位置の手前の高さまで到達すると、移載制御部32に対して後退開始許可信号を出力する。
【0081】
昇降制御部 → 移載制御部 ;後退開始許可信号
移載制御部32は、この後退開始許可信号を入力すると、出退速度w1でのフォーク本体41の後退を開始する。
【0082】
これにより、昇降台3が卸し終了位置に到達する前に移載用電動モータM3が起動されることによってアイドルタイムが短縮され、図11に示すように、昇降台3が卸し終了位置に到達するタイミングと、フォーク本体41が後退を開始するタイミングが一致する。
[ステップ−12]
移載制御部32は、フォーク本体41先端が目的の荷収納部Dから脱出手前に到達すると、走行制御部31へ走行開始許可信号を出力し、昇降制御部30へ昇降開始許可信号を出力する。
【0083】
移載制御部 → 走行制御部 ;走行開始許可信号
移載制御部 → 昇降制御部 ;昇降開始許可信号
*次の入庫データがあれば、ステップ−2へ戻り、荷載置台E2への走行車体2の移動開始と、昇降台3の荷載置台E2におけるパレットPL掬い位置への昇降開始が実行される。これにより、フォーク本体41先端が目的の荷収納部Dから脱出する前に、走行用電動モータM2と昇降用電動モータM1が起動されることによってアイドルタイムが短縮され、フォーク本体41先端(フォーク本体41およびパレットPL全体)が目的の荷収納部Dから脱出すると同時に、荷載置台E2への走行車体2の移動が開始され、荷載置台E2におけるパレットPL掬い位置への昇降台3の昇降が開始される。
【0084】
また移載制御部32は、原点検出器45の検出信号を入力すると、フォーク本体41の後退を停止する。
また昇降制御部30は、昇降台3が卸し終了位置に到達すると、昇降台3の昇降を停止する。
【0085】
上述するように、入庫動作時、目的の荷載置台E2および各荷収納部DにおけるパレットPLの掬い動作と卸し動作時に、フォーク本体41と収納棚Aの支柱Gあるいは腕木K、さらにパレットPLと荷Fとの接触を避けながら、走行車体2と昇降台3とフォーク本体41の動作を一部同時に実行している。
【0086】
なお、出庫動作は入庫動作と同じなので説明は省略する。
このように、フォーク本体41を所定の荷収納部Dまたは搬入出口の荷載置台E2に向かって伸張させる場合、昇降台3が昇降されるとともに、フォーク本体41が伸張されることにより、昇降台3が掬い位置または卸し位置へ到着し、フォーク本体41の伸張が開始されるまでの時間を短縮でき、所定の荷収納部Dまたは搬入出口の荷載置台E2に対するパレットPLの搬入出に要する時間を短縮することができる。
【0087】
また、昇降台3の昇降によりフォーク本体41が所定の荷収納部Dまたは搬入出口の荷載置台E2におけるパレットPLの掬い位置または卸し位置の高さに到達されるときに、フォーク本体41が出限位置まで伸張されていることにより、そのまま昇降台3の昇降によりパレットPLの掬いまたは卸し動作に連続して移ることができ、パレットPLの搬入出に要する時間を短縮することができる。
【0088】
また、フォーク本体41が出限位置手前の所定位置まで伸張されると、パレットPLの掬う際には昇降台3は上昇され、パレットPLを卸す際には昇降台3は下降されることにより、フォーク本体41が出限位置まで伸張されて昇降台3が掬い動作または卸し動作にかかるまでの時間が短縮され、パレットPLの搬入出に要する時間を短縮することができる。
【0089】
また昇降台3が掬い動作または卸し動作のために昇降台3が所定高さ昇降されると、フォーク本体41が後退されることにより、掬い動作または卸し動作終了後フォーク本体41が後退するまでの時間が短縮され、パレットPLの搬入出に要する時間を短縮することができる。
【0090】
また昇降台3が掬い動作または卸し動作を開始すると、フォーク本体41が後退されることにより、掬い動作または卸し動作終了後フォーク本体41が後退するまでの時間が短縮され、パレットPLの搬入出に要する時間を短縮することができる。
【0091】
またフォーク本体41の先端が所定の荷収納部Dまたは搬入出口の荷載置台E2より後退されると同時に、昇降台3の昇降と走行車体2の走行が開始されることにより、フォーク本体41の後退が終了する前に昇降台3の昇降と走行車体2の走行を開始することができ、パレットPLの搬入出に要する時間を短縮することができる。
【0092】
また走行車体2が所定の荷収納部Dまたは搬入出口の荷載置台E2の走行停止位置に到達されるときに、フォーク本体41が出限位置まで伸張されていることにより、そのまま昇降台3の昇降によりパレットPLの掬いまたは卸し動作に移ることができ、パレットPLの搬入出に要する時間を短縮することができる。
【0093】
以上のように、パレットPLの搬入出に要する時間を短縮することができることにより、棚設備の利用効率を高めることができる。
また走行車体2の走行位置または昇降台3の高さ位置を検出できなくなると、フォーク本体41の出退動作が停止されることにより、フォーク本体41が収納棚Aに接触する恐れ、この接触によるパレットPLの荷崩れの恐れを回避でき、またその後走行車体2の走行位置または昇降台3の高さ位置の検出が回復するとフォーク本体41の出退動作が再開されることにより、作業員が再操作してフォーク本体41の動作を再開する必要がなくなり、すぐに自動再開されることによってパレットPLの搬入出に要する時間を短縮することができる。
【0094】
また走行車体2の走行位置と昇降台3の高さ位置を光学式の測距装置OSにより計測することにより、エンコーダを使用して位置を測定するときに必要な原点を設け、原点を検出してパルスカウントのリセット動作(パルスカウントの較正動作)を行う必要がなくなり、またパルスカウントの値が電源不良などの原因で失われると、走行車体2の走行位置または昇降台3の高さ位置が計測できなくなるのに対し、光学式の測距装置OSでは一度電源が不良となっても電源が正常になった時点で走行車体2の走行位置または昇降台3の高さ位置を計測することができる。
【0095】
また所定の荷収納部Dまたは搬入出口の荷載置台E2におけるパレットPLと荷Fの有無によって掬い動作または卸し動作が停止されることにより、無駄なフォーク本体41の動作をなくすことができ、さらに所定の荷収納部Dまたは搬入出口の荷載置台E2おけるパレットPLあるいは荷Fとフォーク本体41が接触する恐れを回避でき、この接触による荷崩れを回避することができる。
「フォークの出退連続動作」
また上記クレーン制御装置CCでは、コントローラE1より指令される移載データにより一対の収納棚Aの荷収納部D間でフォーク本体41を移動させるとき、すなわちパレットPLを対向する一対の収納棚Aの荷収納部D間で移動させるとき、フォーク本体41を一方の収納棚Aの荷収納部Dの出限位置から他方の収納棚Aの荷収納部Dの出限位置まで停止させずに、速度を保ちながらあるいは加速しながら出退するようにフォーク装置5を制御している。
【0096】
図12および図13に示すように、対向する荷収納部D間でパレットPLの移載を行うとき、フォーク本体41を一方の収納棚Aの荷収納部Dの出限位置まで伸張してパレットPLを掬った後、昇降台3を昇降させる必要がないため(対向する荷収納部Dでは掬い終了位置と卸し終了位置のレベルに差がないため)、フォーク本体41を他方の収納棚Aの荷収納部Dの出限位置まで停止させずに出退させることができる。またこのとき、昇降による振れがなく荷崩れの危険が少ないことから、パレットPLを積載しているときのフォーク本体41の出退速度w2より途中で加速して、移載の時間を短縮している。
【0097】
上記フォーク装置5の連続出退動作は、下記のように実行される。
昇降制御部30は、コントローラE1より移載のデータを入力し、移載する各各荷収納部Dにおける掬い位置および卸し位置を確認し、同じレベルであると確認すると、掬い動作終了後昇降の必要なしと判断し、上記ステップ−6(図10)において、掬い終了位置の手前で後退許可信号を出力するとき、同時に「昇降なしの信号」を移載制御部32へ出力する。
【0098】
また走行制御部31は、コントローラE1より移載のデータを入力し、移載する各荷収納部Dにおける走行停止位置を確認し、同じ走行停止位置であると確認すると、掬い動作終了後走行の必要なしと判断して、上記ステップ−4(図10)において、パレットPLを掬う位置の走行停止位置で走行車体2を停止した後、「走行なしの信号」を移載制御部32へ出力する。
【0099】
移載制御部32は、走行制御部31より「走行なしの信号」を入力し、昇降制御部30より後退許可信号とともに「昇降なしの信号」を入力すると、フォーク本体41の出限位置から後退を開始し、途中で出退速度w2より加速し、原点検出器45により原点を検出しても停止せずに他方の収納棚Aへ向かって伸張し、他方の出限位置を出限検出器44により検出すると、フォーク本体41の伸張を停止させる。
【0100】
このように、対向する荷収納部D間でパレットPLを移載するとき、フォーク本体41を停止させることなく、連続して後退・伸張を行うことにより、フォーク本体41を減速停止させ、続いてフォーク本体41を起動加速する場合と比較して移載作業時間を短縮でき、さらに途中で加速を行うことにより、さらに作業時間を短縮することができ、棚設備の利用効率を改善することができる。なお、このようなフォーク本体41の連続動作は、走行レール1を挟んで設置された荷捌手段である一対の荷載置台E2間でパレットPLを移載するときでも、同様に行うことができる。
【0101】
またフォーク本体41の連続動作を、図14に示すように、昇降台3が同じレベルで、一つずれた位置で対向する荷収納部D間(あるいは荷収納部Dと荷載置台E2間であってもよい)で行うことができる。
【0102】
このとき、一方の収納棚Aの荷収納部Dからフォーク本体41の先端(パレットPL全体)が脱出してから、出退速度w2でフォーク本体41が距離L後退するとき、走行車体2を走行速度uで、フォーク本体41を伸張させてもパレットPLが他方の収納棚Aの支柱Gに接触することを避けることができる「昇降台3の中心と走行停止位置Xとの距離M」の位置まで移動させることができるとき、すなわち、荷収納部D間、荷収納部Dと荷載置台E2との間のスタッカークレーンCの走行方向の間隔をUとすると、
L/w2≧(U−M)/u
のとき、フォーク本体41を連続して後退・伸張させることができる。
【0103】
このように、フォーク本体41を、収納棚Aの荷収納部Dの出限位置から走行レール1(走行経路)を挟んで1つずれた位置の荷収納部Dまたは荷載置台E2の出限位置まで、または荷載置台E2の出限位置から走行レール1を挟んだ収納棚Aの荷収納部Dの出限位置まで、停止させることなく、連続して出退(後退・伸張)させることができ、移載作業時間を短縮することができる。また上記間隔Uが複数nのとき、
L/w2≧(U×n−M)/u
を満たすフォーク本体41の出退速度w2と走行車体2の走行速度uを設定すると、複数nの間隔Uでずれた位置で対向する荷収納部D間(あるいは荷収納部Dと荷載置台E2間)であっても、また走行レール1(走行経路)の始端と終端に走行経路を挟んでパレットPLの搬入口と搬出口を別々に設け、これらと荷収納部Dとの間でパレットPLの移載を行うときにでも、フォーク本体41を連続して後退・伸張させることができる(なお、搬入出口は、搬入口と搬出口を別々に設けたときも含んでいる)。
【0104】
なお、上記実施の形態では、棚設備を自動倉庫の構成、すなわち収納棚Aと、走行車体2と昇降台3とフォーク装置5を有するスタッカークレーンCを備えた構成としているが、走行車体2を有していない棚設備、すなわち収納棚Aと昇降台3と昇降台3上に設けたフォーク装置5から構成される棚設備にも適用することができる。このような棚設備の一例を図15に示す。
【0105】
この棚設備では、荷の一例としてのコンテナ50を、前後に所定間隔を隔てて一対備えられた収納棚51A,51Bの荷収納部52のうちのいずれかの荷収納部53に収納させることができるとともに、所定の収納棚51A,51Bの荷収納部52と、収納棚51Aの荷収納部52を利用して形成した上下2段のコンテナ50の搬出入部54との間でコンテナ50を入出庫でき、さらに荷収納部52間でコンテナ50を移載できるようにしている。なお、コンテナ50には、例えば小型部品などが品種別に積載される。荷収納部52は、一対の収納棚51A,52Bそれぞれにおいて、上下方向並びに横方向に並列する状態で、複数設けられている。
【0106】
また、一対の収納棚51A,51Bの前後中間部には、コンテナ50を各荷収納部52と搬出入部54との間に亘って搬送する搬送装置TRが備えられおり、この搬送装置TRは、コンテナ50を各荷収納部52(搬出入部54)との間で移載して搬送する移載手段であるフォーク装置56と、フォーク装置56を収納棚51A,51Bの略横方向全幅にわたって駆動移動自在に案内支持する昇降体である昇降台55とからなり、昇降台55は、搬送装置TRの一部を構成する昇降駆動装置57にて、収納棚51A,51Bの上下高さのほぼ全域にわたって昇降操作自在となっている。
【0107】
このような棚設備においても、目的のコンテナ50の搬出入部54および各荷収納部52におけるコンテナ50の掬い動作と卸し動作時に、フォーク装置56と収納棚51A,51Bの荷収納部52を形成する支柱Gあるいは腕木K、さらにコンテナ50との接触を避けながら、昇降台55とフォーク装置56の動作を連動して一部同時に実行させることができ、コンテナ50の搬入出の時間を短縮することができ、棚設備の利用効率を改善することができる。
【0108】
また上記実施の形態では、収納棚Aを、複数の荷収納部Dを上下多段かつ左右に設けて構成して、フォーク本体41の連続動作が実行できるようにしているが、図16に示すように、収納棚Aを、複数の荷収納部Dを上下多段かつ左右に加えて前後に並設して構成したとき、フォーク本体41の連続動作を実行するようにすることもできる。すなわち、一方の収納棚Aの前部荷収納部Dと他方の収納棚Aの後部荷収納部間でフォーク本体41を移動させるとき、または一方の収納棚Aの後部荷収納部Dと他方の収納棚Aの前部荷収納部間でフォーク本体41を移動させるとき、フォーク本体41を一方の収納棚Aの前部または後部荷収納部Dの出限位置から他方の収納棚Aの後部または前部荷収納部Dの出限位置まで停止させずに、速度を保ちながらあるいは加速しながら出退するようにすることができる。
【0109】
また上記実施の形態では、収納棚Aを、複数の荷収納部Dを上下多段かつ左右に設けて構成しているが、図17に示すように、一方の収納棚Aの荷収納部Dの任意の列(図17では下段の一列)を、側面外方からこのパレットPL上の荷Fを搬出可能な構成とすることができる。この荷Fを搬出可能な構成とした荷収納部Dを搬出用収納部(搬入出口の一例でもある)61と称している。この搬出用収納部61と荷収納部D間、また搬出用収納部61と荷載置台E2間でパレットPLの移載を行うようにしている。図17において、62は、搬出用収納部61を設けた収納棚Aの側面外方で搬出用収納部61の上方と、搬出用収納部61および荷収納部Dの側面に張られたネットであり、作業員の頭上に万一でも荷Fが落下しないように保護している。
【0110】
また上記実施の形態では、特許請求の範囲の『荷』を、パレットPLと荷Fにより構成しているが、図15に示すように、コンテナであってもよく、フォーク本体41により搬送できる物体であればよい。
【0111】
また上記実施の形態では、走行車体2の走行位置と昇降台3の高さ位置の測定に、光学式の測距装置OSを使用しているが、従来のようにロータリエンコーダやリニアエンコーダを使用することも可能である。
【0112】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、互いに対向する一対の収納棚の荷収納部間、あるいは同じ昇降レベルで1つずれた位置において互いに対向する荷収納部間で、移載手段を移動させるとき、移載手段は一方の収納棚の荷収納部の出限位置から他方の収納棚の荷収納部の出限位置まで停止されずに出退されることにより、一旦移載手段を減速停止させ、続いて起動加速する場合と比較して、移載作業時の作業時間を短縮でき、棚設備の利用効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における棚設備の要部斜視図である。
【図2】同棚設備のスタッカークレーンの概略構成図である。
【図3】同棚設備のスタッカークレーンの要部拡大図である。
【図4】同棚設備の制御構成図である。
【図5】同棚設備の掬い動作時のフォーク伸張のタイミング説明図である。
【図6】同棚設備の掬い動作時のフォーク伸張のタイミング説明図である。
【図7】同棚設備の卸し動作時のフォーク伸張のタイミング説明図である。
【図8】同棚設備の卸し動作時のフォーク伸張のタイミング説明図である。
【図9】同棚設備の卸し動作時のフォーク伸張のタイミング説明図である。
【図10】同棚設備のクレーン制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図11】同棚設備のクレーン制御装置の動作を説明するタイムチャートである。
【図12】同棚設備のフォーク連続動作時の説明図である。
【図13】同棚設備のフォーク連続動作時の説明図である。
【図14】同棚設備のフォーク連続動作時の説明図である。
【図15】他の実施の形態における棚設備の要部斜視図である。
【図16】他の実施の形態における棚設備の要部側面図である。
【図17】他の実施の形態における棚設備の要部斜視図である。
【符号の説明】
A 収納棚
C スタッカークレーン
CC クレーン制御装置
D 荷収納部
E1 コントローラ
E2 荷載置台(搬入出口)
FS 棚設備
F 荷
G 支柱
K 腕木
OS 測距装置
M1 昇降用電動モータ
M2 走行用電動モータ
M3 移載用電動モータ
PL パレット
1 走行レール
2 走行車体
3 昇降台
4 昇降マスト
5 フォーク装置
25 下限検出器
26 上限検出器
28 始点検出器
29 終点検出器
30 昇降制御部
31 走行制御部
32 移載制御部
41 フォーク本体
43 ロータリーエンコーダ
44 出現検出器
45 原点検出器
46 障害物検出器
47 在荷検出器

Claims (3)

  1. 荷を収納する複数の荷収納部が上下多段かつ左右に並設され、前記荷収納部に対する荷の出し入れ方向が互いに対向するように間隔を隔てて設置された一対の収納棚と、
    垂直方向に昇降される昇降体、およびこの昇降体上に設けられ、前記荷収納部と搬入出口において前記荷の受け渡しを行う移載手段に有する荷搬送手段と
    を備えた棚設備の制御方法であって、
    互いに対向する前記一対の収納棚の荷収納部間、あるいは同じ昇降レベルで1つずれた位置において互いに対向する荷収納部間で、前記移載手段を移動させるとき、
    前記移載手段を一方の収納棚の荷収納部の出限位置から他方の収納棚の荷収納部の出限位置まで停止させずに出退させること
    を特徴とする棚設備の制御方法
  2. 収納棚を、複数の荷収納部を上下多段かつ左右に加えて前後に並設して構成し、
    互いに対向する前記一方の収納棚の前部または後部荷収納部と他方の収納棚の後部または前部荷収納部間、あるいは同じ昇降レベルで1つずれた位置において互いに対向する前記一方の収納棚の前部または後部荷収納部と他方の収納棚の後部または前部荷収納部間で、移載手段を移動させるとき、
    前記移載手段を一方の収納棚の前部または後部荷収納部の出限位置から他方の収納棚の後部または前部荷収納部の出限位置まで停止させずに出退させること
    を特徴とする請求項1に記載の棚設備の制御方法
  3. 搬入出口に荷搬送手段の走行経路を挟んで、荷の出し入れ方向が互いに対向するように荷捌手段を設け、
    前記荷捌手段と、前記走行経路を挟んで前記荷捌手段と同じ昇降レベルで荷捌手段より1つずれた収納棚の荷収納部との間で、移載手段を移動させるとき、
    前記移載手段を、前記収納棚の荷収納部の出限位置から走行経路を挟んだ荷捌手段の出限位置まで、または前記荷捌手段の出限位置から走行経路を挟んだ収納棚の荷収納部の出限位置まで、停止させずに出退させること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の棚設備の制御方法
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