JP3796667B2 - 枡形コンクリート製品用型枠 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、底付きの枡形コンクリート製品を成形するための型枠に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、枡形のように有底のコンクリート製品を製造する場合は外枠と内枠との間にコンクリートを充填し、そのコンクリートが固化した後、コンクリート製品を内枠が付いたまま一旦吊り上げてから反転させて据え置き、内枠を油圧ジャッキ等を使用して内枠を引き抜いていた。しかし、この場合、相当の重量を有する型枠とコンクリート製品を吊り上げて反転させる作業は危険であり、また内枠に油圧ジャッキ等を取り付けてコンクリート製品から引き抜く作業は大変な手間がかかるので効率が悪い。
【0003】
またこのようにコンクリート製品を内枠が付いたまま反転させて内枠を抜く作業をしないようにするものとして、特公昭58−44450のように、内部周側枠を側面中央位置で分断したL型状の内枠を内倒自在に台座に枢着し、L型状の内枠の接合部間隙に楔型杆を嵌合する様になした型枠が知られている。しかし、この型枠では内枠を組立・脱型する場合、ベース枠の下面にモンキースパナ等を挿入して内枠内部に配置されているネジ軸を回転させなければならないので、この作業が困難である。また、内枠を起立したり・傾斜したりする動作を行うための装置が複雑であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は底付きの枡形コンクリート製品を成形する型枠において、内枠の脱型及び組立操作を、型枠の外側の位置から作業者が安全かつ容易にできるようにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は枠状基体上の底枠板の外側に配置される外枠板の下部を、前記枠状基体に起倒自在に軸着して外枠を形成し、また該底枠板の内側に配置される上底板付内枠板の下部も前記枠状基体に起倒自在に軸着し、前記各上底板付内枠板が互いに相対する間に、下向きに拡大する傾斜側面を有する昇降用上底板を配置して内枠を形成し、該昇降用上底板に対面するその他の上底板の側縁が上向きに拡大するテーパーを形成し、このテーパー面と昇降用上底板の側面が互いに面接触し、さらに前記昇降用装置の上下動操作部を、前記枠状基体を支持する架台の外側に配置した枡形コンクリート製品の型枠である。
【0006】
【作用】
この発明の枡形コンクリート製品の型枠の構成は上述のとおりであるので、その状態において底枠板と外枠及び内枠で囲まれた空間から外枠板上縁までの空間内にコンクリートを充填し、それを固化させて枡状のコンクリート製品を形成する。
【0007】
その後、架台の外側に配置されている昇降装置の上下動操作部を操作して、昇降装置と結合している昇降用上底板を下降させる。
昇降用上底板の下降により、その他の上底板の自由端縁に間隙が生ずる。その結果、副上底板付内枠板は、支持を失うためその自重によって軸着部を中心として傾倒をはじめ、昇降用上底板に突き当たって停止する。
【0008】
上下動操作部を操作後、外枠板を外側に倒し、コンクリート製品の外表面から剥離する。そして、クレーン等によりコンクリート製品を吊り上げる。
このとき、主上底板付内枠板とコンクリート製品との接触面に上下方向の引離し力が作用して、その付着を破壊するので主上底板付内枠板も下部を中心として内側に向かって傾斜し、副上底板付内枠板に突き当たって停止しコンクリート製品の内面から分離する。
【0009】
このようにして枡形コンクリート製品を脱型した後、各外枠板を起立・固定するとともに上下動操作部を前述とは逆の方向に操作して昇降用上底板を上昇させ、昇降用上底板側縁の傾斜面(テーパー)により主上底板付内枠板と副上底板付内枠板を持ち上げ、再び一組の内枠を形成する。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1〜図3に示す如く、本発明の枡形コンクリート製品用型枠は四角形の枠状基体1上に設けた底枠板2の外側に、互いに対向する外枠板3x、3yを起倒自在に外軸9で軸着して外枠を形成し、該底枠板2の内側に、互いに対向する一対の副上底板付内枠4yと、他の一対の主上底板付内枠板4xを夫々起倒自在に内軸10で軸着している。
【0011】
図4に示す如く、前記一対の副上底板4bの自由端縁4c、4c及び前記一対の主上底板4aの自由端縁4d、4dで囲まれた部分に、架台25の外周側に設けられた上下動操作部7に昇降装置8を介して結合されている昇降用上底板6が配置され、内枠4は一対の主上底板付内枠板4xと一対の副上底板付内枠板4yと昇降用上底板6を組み合わせて円柱形の内枠4を形成している。
【0012】
この昇降用上底板6の外周縁は下向きに拡大する傾斜面6a、6bを形成し、傾斜面6a、6bと前記自由端縁4c、4c、4d、4d、を接触させることで、各上底板付内枠板を支持し、内枠4の内部にコンクリートが浸入するのを防止する。
【0013】
また、一対の副上底板4bの両側縁4e、4e間の巾4fを内枠4の外縁に向かって漸減するようなテーパー状に形成すると共に、この両側縁4e、4eを前記一対の概半円形の主上底板4aの自由端縁4d、4dの両端付近4g、4gに対し水平方向に摺動可能に設けることで、内枠4の平面形状を円形に形成する。
【0014】
昇降用上底板6の下面に連杆11の上端を上部軸12で結合し、またその連杆11の下端を下部軸13で軸受14に結合し、更に軸受14を水平螺杆15に移動可能に螺合し、その水平螺杆15の一端を架台25の外側に突き出し、その突出部に上下動操作部7を形成し、水平螺杆15の他端付近と中程に枠状基体1内に固定されているストッパ17a、17bを配置して昇降用上底板6の上下移動範囲を調節する。
【0015】
外枠板3x、3yを図4に示す如くクランプ18で固定して外枠3を形成し、上下動操作部7を操作することによって主上底板付内枠板4xと副上底板付内枠板4y及び昇降用上底板6を接合し、円柱形の内枠4を形成して、図1の状態にし、外枠3と内枠4で囲まれた空間にコンクリートを充填・養生する。
【0016】
コンクリートが固化して枡形コンクリート製品30が形成された後、操作部を手動で水平螺杆15を図1の矢印A15の方向に回転するように操作すると、これに螺合している軸受14が矢印A14方向に移動を始め、速杆11の下部もA14の方向に移動するため昇降用上底板6は下降する。軸受14は図2で示す位置まで移動してストッパ17bに突き当たり停止する。この下降に伴ってガイド杆19とこれに嵌合するガイド筒20は互いに摺動・収縮し、昇降用上底板6の下降運動を正しく案内する。
【0017】
図2に示すように昇降用上底板6の下降後、一対の副上底板4bの間に隙間C6が生じるので、副上底板付内枠板4yはその自重によって内軸10を中心として矢印A4y方向に傾き始め、昇降用上底板6に突き当たって停止する。
【0018】
また、上下動操作部7を操作後、図4のクランプ18をはずし、外枠3を形成する各外枠板3x・3yを外軸9を中心として矢印A3方向に倒して枡形コンクリート製品30の外側表面を開放する。
【0019】
そして枡形コンクリート製品30を図示していない吊金具を介してクレーン等で持ち上げる。その時、コンクリート製品を吊上げる際の振動によって、コンクリート面との間に引き離し力が作用し接触面の多い主上底板付内枠板4xとの付着が破壊されるので、主上底板付内枠板4xは図3、図4及び図6のA4x方向に倒れ始め、先に傾倒していた副上底板付内枠板4yに突き当たって停止する。
【0020】
この様にして枡形コンクリート製品30を吊上げて底枠板2からも分離し、所定の場所に移動させて成形作業を終了する。
【0021】
次の成形作業を開始する際には各外枠板3x、3yを前述の矢印A3と逆方向に起立させ、クランプで固定する。また昇降用上底板6の下部に配置されている連杆11と水平螺杆15等からなる昇降装置8の上下動操作部7を前述の矢印A15と逆の方向に回転するように操作して、軸受14を前述の矢印A14と逆の方向に移動させ昇降用上底板6を上昇させる。その昇降用上底板6の周囲の傾斜面6a、6bで各上底板のテーパー状になった自由端縁4c、4c、4d、4dを上昇する動きに伴って押し上げる事により各上底板付内枠板4x、4yは起立して、内枠組立作業は終了する。
【0022】
以上、本発明の実施の形態を図1〜図6で説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図7〜図8の実施例もその中に含まれる。
【0023】
図7は図1〜図6に示した実施の形態において、昇降用上底板6の下面と副上底板付内枠板4yとをリンク杆21と、ピン23、24で結合したものであり、昇降用上底板6の上下動に連動して副上底板付内枠板4yを前記実施例の場合と比較して確実に矢印A4y方向への起倒を行なうことができる。
【0024】
図8は図1〜図6の実施の形態の内枠4は密接時に形状が円柱形になるよう形成したものであるのに対し、多角柱状になるよう各上底板付内枠板4x、4yを形成した場合であって、その内枠4の機構は同一である。
【0025】
【発明の効果】
この発明は上述のとおりであるから、型枠の外側に設置された上下動操作部7を操作して内枠の型組・脱型作業を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の枡形コンクリート製品用型枠の縦断面図である。
【図2】本発明の枡形コンクリート製品用型枠の昇降用上底板の下降状態図である。
【図3】図1のIII−III線部の断面図である。
【図4】図1の平面図である。
【図5】図4のV−V線部の断面図である。
【図6】副上底板付内枠板4yが矢印A4y方向に倒れた時のV−V線部の断面図である。
【図7】他の実施例の図1に相当する部分の縦断面図である。
【図8】さらに他の実施例の図4に相当する部分の平面図である。
【符号の説明】
1 枠状基体
2 底枠板
3 外枠板
4 内枠
4x 主上底板付内枠板
4y 副上底板付内枠板
6 昇降用上底板
7 上下動操作部
8 昇降装置
9 外軸
10 内軸
11 連杆
14 軸受
15 水平螺杆
25 架台

Claims (6)

  1. 枠状基体上に底枠板を設け、該底枠板の外側に、互いに対向する一対の外枠板の二対を夫々起倒自在に軸着して外枠を形成し、また、該底枠板の内側に、互いに対向する一対の副上底板付内枠板と他の一対の主上底板付内枠板を夫々起倒自在に軸着し、各上底板で囲まれる位置に昇降用上底板を配置して内枠を形成し、さらに、昇降用上底板の下面と該枠状基体を支持する架台の外周側に配置する上下動操作部を昇降装置を介して結合したことを特徴とする枡形コンクリート製品用型枠。
  2. 内枠を構成する各上底板付内枠板と、各上底板に囲まれる位置に配置される昇降用上底板が同一面上に互いに密接すると、内枠の形状が円柱形になるよう配置されていることを特徴とする請求項1記載の枡形コンクリート製品用型枠。
  3. 内枠を構成する各上底板付内枠板と、各上底板に囲まれる位置に配置される昇降用上底板が同一面上に互いに密接すると、内枠の形状が多角柱形になるよう配置されていることを特徴とする請求項1記載の枡形コンクリート製品用型枠。
  4. 昇降用上底板の側縁を下向きに拡大する傾斜面にしたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の枡形コンクリート製品用型枠。
  5. 内枠を構成している副上底板付内枠板と昇降用上底板をリンク杆を介して連結したことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の枡形コンクリート製品用型枠。
  6. 底枠板の内側に軸着された上底板付内枠板のうち一対が、上底板の両側縁間の巾を外方に向かって漸減するようなテーパー状に形成すると共に、このテーパー状両側縁を他の一対の上底板の相対する端縁に対して、水平方向に摺動可能になるよう構成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の枡形コンクリート製品用型枠。
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