JP3796363B2 - 位置検出装置及びそれを用いた露光装置 - Google Patents

位置検出装置及びそれを用いた露光装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は位置検出装置及びそれを用いた露光装置に関するもので、特にIC,LSI等の半導体デバイス、CCD等の撮像デバイス、そして液晶パネル等の表示デバイス等のデバイス製造用のステップアンドリピート方式やステップアンドスキャン方式等の露光装置(投影露光装置)において第1物体としてのレチクル面上に形成された微細な電子回路パターンを第2物体としてのウエハーに露光転写、又は投影光学系で投影露光するときの第1物体と第2物体との相対的な位置合わせ(アライメント)を行うときのウエハーに設けたマークの位置情報を干渉を利用して検出する際に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体製造用の投影露光装置においては、集積回路の高密度化に伴いレチクル面上の回路パターンをウエハー面上に高い解像力で投影露光できることが要求されている。回路パターンの投影解像力を向上させる方法としては、例えば露光光の波長を固定にして投影光学系のNAを大きくする方法や露光波長をg線からi線へと短波長の光束を用い、又はエキシマレーザーから発振される波長248nm,193nm等の短波長の光、更にSOR光を用いる方法等が多くとられている。
【0003】
一方、回路パターンの微細化に伴い電子回路パターンの形成されているレチクルやマスクとウエハーを高精度にアライメントすることが要求されてきている。
【0004】
この要求精度は、回路パターンの1/3以下と言われており、例えば1GビットDRAMでは、0.18μmルールの回路パターンとすると、60nm以下のオバーレー精度(露光領域全体のアライメント)が必要である。
【0005】
更に、このオバーレー精度を測定する重ね合わせ検査装置(位置検出装置)においては、オバーレー精度の1/10が要求され、1GビットDRAMでは、6nm以下が必要となる。そこで、より高精度の位置計測の為に、計測誤差発生要因における検出系要因であるTIS(Tool Induced Shift)の影響を軽減するTIS補正法も実施されている。
【0006】
図10はTISの説明図である。同図では、位置検出用のパターンを、例としてシリコンウエハーを91をエッチングにより段差を作り、その段差によるパターン92とアライメント実施後露光現像したレジスト像パターン93との相対関係を計測するものである。TIS補正法では2回計測を行う。そのとき、2回目は1回目に比べてウエハー91を180度回転して計測する。この為、1回目を0度計測値Δ0度、2回目を180度計測値Δ180度と呼んでいる。
【0007】
TIS補正法では、0度計測値Δ0度から180度計測値Δ180度を引いて2で割った値を計測値ΔTIS補正として使用して、このことで検出系要因の誤差を軽減して高精度計測を可能としている。このとき、0度計測値Δ0度と180度計測値Δ180度をたして2で割った値をTISと呼んでいる。
【0008】
重ね合わせ検査装置やアライメント検出系において、現在実際に使用されている方式のほとんどは、明視野画像処理方式である。図11は従来の重ね合わせ検査装置(位置検出装置)の要部概略図である。同図ではウエハー上に専用マークを構成し、それの像を光学系でCCD等の撮像素子上に形成し、その電気信号を各種信号処理を実施することにより位置検出を行っている。
【0009】
具体的に説明すると、ウエハー1上にマーク2をエッチング等により形成し、そのマーク2の上にリソグラフィーによりマーク3を形成している。この重ね合わせ検査装置では、このマーク2,3の相対位置関係を計測する。ハロゲンランプ5から射出した光束6を光学フィルター5a,レンズ5b,ミラー5cを介してファイバー7に導光する。ファイバー7からの光束を照明系8を介し、S偏光の光を偏光ビームスプリッター9で反射させ、リレー12,ミラー4,λ/4板10,対物レンズ11を介してウエハー1上の2つのマーク2,3を照明する。照明系8はファイバー7からの光束を集光するレンズ8a,絞り8b、絞り8bからの光束を集光するレンズ8c、そしてミラー8dとを有している。
【0010】
2つのマーク2,3からの反射光は、照明したときとは逆光路を通り、対物レンズ11,λ/4板10,ミラー4,リレー12を介し今度は偏光方向がP偏光となっているので偏光ビームスプリッター9を透過し、λ/4板21を介してエレクター13によりCCDカメラ14の撮像面上に導光させ、その面上に2つのマーク2,3を形成している。2つのマーク2,3の像はCCDカメラ14により電気信号とされ、その信号はコンピュータ(演算手段)15に入力している。コンピュータ15でその信号を画像解析して2つのマーク2,3の相対位置関係を検出している。
【0011】
この光学系において最も必要とされる結像性能は、像(マーク像)の対称性である。光学系に像の対称性を劣化させるものがある場合に、TISが存在することになる。
【0012】
この種の検出系においては、倍率を100倍程度の高い倍率とし、ほとんど軸上近傍で使用している。従って、像の対称性の劣化要因の主要因は軸外収差等ではなく、光学系の軸上近傍の偏心コマ収差と照明系の不均一性によるものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
近年、半導体デバイスの高集積化に伴って、回路パターンの微細化とともにデバイス構造の3次元化が進んでいる。半導体デバイスの高集積化を図る為に投影光学系の開口数を大きくするとそれに伴って投影光学系の焦点深度が浅くなってくる。このため、半導体デバイスの表面を研磨して段差部や凹凸部を取り除いて表面を平坦化し、平坦化した表面上へフォトレジストを塗布して、投影露光して高解像化を図ることが重要になっている。
【0014】
又、シリコン基板上に設ける絶縁膜層を研磨して、均一な厚さの膜層にすることは層間容量のばらつきや、ビアホールの深さを一定とする為の重要な要件となっている。
【0015】
従来より、半導体デバイスの表面の段差部や凹凸部を除去して平坦化する平坦化技術として化学的機械的研磨方法(Chemical Mechanical Polishing, CMP) が提案されている。
【0016】
この平坦化技術は、アライメントや重ね合わせ検査装置には大きな問題となっている。それは検出に使用するマークも平坦化により段差量がなくなり、例えば今最も多く、且つ精度良く使用されている明視野画像処理においては、計測に使用するマーク像のコントラストが低くなり、検出精度の劣化原因となっている。
【0017】
この対策として位相差検出方式も提案されているが、光学系内に位相板を入れて構成することになるので、前述のTISの発生要因となり、コントラストは上がっても精度を出すことが困難となっている。特に、普通の明視野系と共存する為には、光学系内に位相板を出し入れしなければならないので、大きなTISの発生要因となる。
【0018】
本発明は、位相差検出方式と同様に、コントラストの向上を図りつつTISの発生要因が少なく、CMP等の低段差のプロセスにおいても位置検出用のマークを安定して高い精度で検出することができ、レチクル面上のパターンをウエハー面上に高精度に露光転写することができる位置検出装置及びそれを用いた露光装置の提供を目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の位置検出装置は、コヒーレント光を放射する光源手段と該光源手段からのコヒーレント光をインコヒーレント光とするインコヒーレント化手段と、該インコヒーレント光で物体面上のマークを照明し、前記インコヒーレント光の一部で前記物体面上のマークと光学的に共役な面を照明し、前記マークからの反射光と前記マークと光学的に共役な面からの反射光とを、撮像手段上で重ねて干渉像を形成する光学系と、該撮像手段で得られる信号を用いて、該物体面上のマークの位置情報を得る演算手段とを有していることを特徴としている。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記インコヒーレント光のうち前記マークに向かう光束が通過する光学系と、前記マークと光学的に共役な面に向かう光束が通過する光学系とが互いに異なることを特徴としている。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記インコヒーレント化手段は、光路中に設けた回転可能な拡散板を有していることを特徴としている。
請求項4の発明は、請求項1、2又は3の発明において、前記光学系は、前記光源手段からのコヒーレント光を前記インコヒーレント化手段でインコヒーレント光とし、該インコヒーレント光を複数の光束に分割する偏光ビームスプリッターを有し、偏光ビームスプリッターで分割した一方の光束を前記物体面上に導光し、他方の光束を該物体面と光学的な共役面に導光していることを特徴としている。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項の発明において、前記物体上のマークは前記光学系の光軸方向に段差面を有しており、前記物体を該光学系の光軸方向に駆動させたとき該マークの段差面からの反射率の差が最も大きくなるフォーカス位置における該マークの像に基づく信号を前記撮像手段は検出していることを特徴としている。
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1項の発明において、前記物体上のマークは前記光学系の光軸方向に段差面を有しており、前記物体を該光学系の光軸方向に駆動させたとき該マークの段差面からの反射率の差が最も大きくなるフォーカス位置における該マークの第1像と、該物体を光学系の光軸方向に更に駆動させたとき、該マークの段差面からの反射率の差が最も大きくなり、かつ該第1像に基づく反射率の差の符号と逆転するフォーカス位置における該マークの第2像との差分の画像信号を前記演算手段は利用していることを特徴としている。
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか1項の発明において、前記光源手段は複数の光源を有しており、前記物体上のマークは前記光学系の光軸方向に段差面を有しており、該物体を該光学系の光軸方向に駆動させたとき、該マークの段差面からの反射率の差が最も大きくなる光束を放射する光源を選択して使用していることを特徴としている。
【0021】
請求項8の発明の露光装置は、請求項1〜7いずれかに記載の位置検出装置を有しており、前記位置検出装置を用いて前記物体の位置を検出し、前記検出結果を用いてパターンの露光転写を行うことを特徴としている。
請求項9の発明の露光装置は、請求項1〜7のいずれか1項記載の位置検出装置を用いて前記物体と別の物体との相対的な位置合わせを行った後に、前記物体面上のパターンを前記別の物体面上に露光転写していることを特徴としている。
【0022】
請求項10の発明のデバイスの製造方法は、請求項1〜7のいずれか1項記載の位置検出装置を用いてレチクルとウエハーとの相対的な位置合わせを行った後に該レチクル面上のパターンをウエハー面上に露光転写した後に、該ウエハーを現像処理工程を介してデバイスを製造していることを特徴としている。
請求項11の発明のデバイスの製造方法は、請求項8又は9の露光装置を用いてレチクルとウエハーとの相対的な位置合わせを行った後に該レチクル面上のパターンをウエハー面上に露光した後に、該ウエハーを現像処理工程を介してデバイスを製造していることを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施形態1の要部概略図である。同図は半導体素子(デバイス)製造用のステップアンドリピート方式又はステップアンドスキャン方式の投影露光装置に搭載された重ね合わせ検査装置(位置検出装置)を示している。該位置検出装置はHe−Neレーザー(光源)31からの発振光である波長633nmのようにウエハー1上に塗布されたホトレジストを感光させない光(非露光光)で後述するように各要素を介した後にウエハー1上の立体形状の2つのアライメントマーク(マーク)2,3を照明している。
【0025】
そして該アライメント2,3からの光束を後述するように各要素を介してCCDカメラ14に導光して、CCDカメラ14によってアライメントマーク2,3の位置情報を観察しその位置を検出している。
【0026】
本実施形態では、投影露光装置の照明系(不図示)を構成する光源からの光、例えば超高圧水銀ランプから発光するg線やi線、又はエキシマレーザーからの発振波長の露光光で回路パターンが形成されているレチクル(第1物体:不図示)を照明している。そして、投影光学系(不図示)はレチクル面上の回路パターンをウエハー(第2物体)1面上に、例えば1/5、又は1/10に縮小投影している。
【0027】
ウエハー1はウエハーチャック(不図示)上に置かれている。ウエハーチャックはθ−Zステージ(駆動手段:不図示)上に構成され、ウエハー1をチャック表面に吸着することにより、各種振動に対してウエハー1の位置がずれないようにしている。θ−Zステージはチルトステージ(不図示)の上に構成され、ウエハー1をフォーカス方向(光学系の光軸方向)に上下動かすことを可能としている。
【0028】
図1に示す位置検出装置では、シリコンエッチングウエハー(ウエハー)1の上にエッチングパターンマーク(マーク)2を(リソグラフィー、現像、エッチング等により)形成し、そのエッチングパターンマーク2の上に(リソグラフィー、現像により)レジストパターンマーク(マーク)3を形成している。同図においては、この2つのマーク2,3の相対位置関係を計測している。
【0029】
本実施形態では、ウエハー上のマークを光学系により光電変換素子上に結像させ、そのビデオ信号からウエハーの位置を計測する計測系において、光源にコヒーレント光を使用し、光源とファイバーの間に回転拡散板を配置してインコヒーレント化した光で、ウエハー上のマークを照明し、その照明光の一部をウエハー上のマークと光学的な共役面で反射させ、ウエハー上のマークからの反射光と再度合わせて光電変換素子上に結像させ像とし、実際に計測に使用する画像としてウエハー上のマークの外側と内側の反射率の差が最も大きくなるフォーカスでの画像から、同じく反射率の差が最も大きくなるが、前とは逆の符号となるフォーカスでの画像を引いた画像を使用し、ウエハーの段差変化に対しては、コントラストが最も大きくなる光源を使用する構成とした検出系を用いている。
【0030】
次に本実施形態における重ね合わせ検査方法(マーク位置検出方法)について説明する。
【0031】
31は光源(光源手段)であり、例えばHe−Neレーザーから成り、コヒーレント光を放射している。32は回転拡散板であり、光源31からのレーザー光(コヒーレント光)をインコヒーレント光としている。回転拡散板32は後述するCCDカメラ14でマーク像として取り込む時間内に、ウエハー1面上に形成されるスペックルを移動させて平均化している。33は集光レンズであり、回転拡散板32を介したインコヒーレント光(光束)を集光し、ミラー6で反射させてファイバー7に入射させている。ファイバー7から放射した光束は照明系8で集光して、偏光ビームスプリッター9でS偏光を反射させ、点P2に結像させた後に順に、リレー光学系12,ミラー4,λ/4板10,対物レンズ(投影光学系)11を介してウエハー1面上の2つのマーク2,3を照明している。照明系8はレンズ8a,絞り8b,集光レンズ8c、そしてミラー8dを有している。尚、絞り8bと点P2は共役となっている。
【0032】
ウエハー1上の2つのマーク2,3からの反射光は元の光路を逆戻りして、順に、対物レンズ11,λ/4板10,ミラー4,リレー光学系12を介し、点P2に結像した後に偏光ビームスプリッター9に入射する。このとき偏光ビームスプリッター9に入射する光束はP偏光となっているので、偏光ビームスプリッター9を通過し、λ/4板21を通過してエレクター13によってCCDカメラ14の撮像面上に導光し、その面上に2つのマーク2,3の像(マーク像)を形成している。
【0033】
次にCCDカメラ14の撮像面上でマーク2,3の像を干渉像とする為の参照光について説明する。
【0034】
光源31からの光束で照明系8からの光束のうち偏光ビームスプリッター9を通過したP偏光は、λ/4板22により円偏光とし、鏡23で反射している。このとき、鏡23の位置は、観察するウエハー1と光学的な共役面に配置している。反射した光は再度λ/4板22を通過しS偏光となり、偏光ビームスプリッター9に入射する。S偏光となった光は偏光ビームスプリッター9で反射し、λ/4板21を透過し、エレクター13によりCCDカメラ14の撮像面上に参照光として入射している。CCDカメラ14の撮像面上では、前述のウエハー1のマーク2,3からの反射像と参照光が重なり、その面上に干渉像が形成される。
【0035】
2つのマーク2,3に関する像は、CCDカメラ14により光電変換され、その信号は回線を通じてコンピュータ(演算手段)15に入力している。コンピュータ15でその信号を画像処理して、2つのマーク2,3の相対位置関係を検出している。
【0036】
本実施形態は以上のようにしてマーク2,3に関する干渉像を得ている。これにより、従来の明視野照明のみで得た像よりコントラストが向上した像を得ている。更に本実施形態では、2つのフォーカスの干渉像の差分を取ることで、更にコントラストを2倍にした像を得ている。
【0037】
この2つのフォーカスは、図2〜図4に示すようにアライメントマーク(図1のマーク2の上面2aに相当)41とマーク41の外側のマーク(図1のマーク2の下面2bに相当)42のCCDカメラ14からの出力の差(=像の強度の差)が最も大きくなって、符号が逆となるフォーカス位置としている。これはウエハー1を光学系の光軸方向に駆動したときにマーク41,42からの反射光の強度変化に基づいて得られる。
【0038】
例えば、アライメントマーク41の段差が照明波長λ(He−Ne LASERなら633nm)の4分の1のλ/4だったとする。するとマーク41の外側のマーク42と参照光の光路長差が照明波長λの整数倍の干渉の明るい条件にフォーカスを変えて設定すると、マーク41の外側のマーク42の干渉像は、最も強度が強くなる。
【0039】
一方、アライメントマーク41については段差がλ/4なので、逆に最も弱い強度となる(参照光の反射強度とウエハーからの反射強度が等しければ、干渉縞のビジビリティーが高くなり、完全に強度は無くなってしまう)。この結果、図2に示すようなパターン(第1像)となる。
【0040】
次にフォーカスを前のフォーカスからλ/4だけ変えると、今度は図3に示すようにマーク41の外側のマーク42と参照光の光路長差が、照明波長λの整数倍にλ/4たした干渉の暗い条件になり、マーク41の外側マーク42の干渉像は、最も強度が弱くなる。一方、アライメントマーク41については、段差がλ/4なので、逆に最も強い強度となる。この結果、図3に示すようなパターン(第2像)となる。
【0041】
この2つの像の差分を取ることで、図4に示すように1つフォーカスの干渉像の2倍のコントラストを持つ像43を得ることが可能となる。尚、参照光を必要としない明視野照明で使用したい場合には、図1におけるシャッター24を挿入し、又はλ/4板22と鏡23を除去すれば良い。
【0042】
次に図5,図6に示す干渉顕微鏡方式を用いて本発明の構成との差を説明する。
【0043】
図5はリニーク干渉顕微鏡方式、図6はミロー干渉顕微鏡方式を用いた一部分の説明図である。これらの方式の説明の文献は、岩波出版、久保田 広著、波動光学414,415 頁に記載されており、図5,図6もそこからの引用である。
【0044】
図5に示すリニーク干渉顕微鏡方式は、対物と同じものを参照光に使用して軸外での設計上の収差をキャンセルしている。一方、図6に示すミロー干渉顕微鏡方式は、対物と観察物体との間にハーフミラーを配置して参照光として、ハーフミラーによって反射した光を使用している。
【0045】
図5に示すリニーク干渉顕微鏡方式が対物レンズL1と同じ対物レンズL2を参照光に使用しているが、本発明では対物と同じものを使用せずに、鏡23に中間像を作成してその反射光を参照光と使用している。共通光学系でない対物−リレー間の光学系に球面収差やコマ収差等と言う前述のTISがあると、干渉像がワンカラーからずれてしまい、きれいな干渉像を得ることができない。
【0046】
しかしながら本発明においては、明視野系で前述のようにTISを取りきることが必要条件であるので、その為、中間像からの参照光を使用してもきれいな干渉像を得ることが可能となる。
【0047】
尚、インコヒーレント化することと干渉像との関係は、実際にCCDカメラ14で得られる干渉縞はスペックルなしで観察することが実験で確認済である。これは、干渉縞は光学的な共役面同士(鏡23とウエハー1)の干渉ででき、光学的な共役面同士の一点一点同士の光路長で干渉条件で干渉縞ができ、その縞に対して前述の回転拡散板32でスペックルを移動させることで平均化しているのである。
【0048】
図7は本発明の実施形態2の要部概略図である。同図において図1で示した要素と同一要素には同符号を付している。本実施形態は発振波長の異なるレーザーを3個用いている。
【0049】
本実施形態では、検出するマーク2,3の段差量が変わっても、レーザーを選択して使用することで高コントラスト信号を得ようとするものである。例えばマーク2,3の段差量が照明波長の整数倍に半波長分たした場合を考えると、干渉像は、アライメントマーク3とマーク3の外側のマーク2との干渉条件が同一となり、信号コントラストは低いものとなってしまいます。
【0050】
数値例で示すと、照明光の波長を633nmとすると、段差量をその1.5倍分の950nmとする。このときが上記の条件である。そこで、例えば発振波長785nmのレーザーを照明光に使用すると、950nmの段差量は1.21λ(950=785+165=785+0.21 ×785)となり、高コントラストな干渉像を形成することが可能となる。
【0051】
図7のように、異なるレーザーを3個構成しなければならないわけではなく、2個構成するだけで十分効果はあるが、複雑な半導体プロセスを考慮して、できるだけ多くの光源を構成した方が良いので、ここでは3個とした。
【0052】
又、本発明ではこれまで低段差で従来の明視野検出系での画像コントラストが低い場合についての高コントラスト化に適用したことについて説明を行ってきた。本発明の構成は、これに限定されずに、例えば立体形状のマーク計測に応用しても同様に効果を発揮する。
【0053】
図1のように、光源にHe- Ne LASER31とハロゲンランプ5を用意して切り替えて使用できる構成としている。光源にHe- Ne LASER31を使用する場合に、4フォーカスの画像(λ/4ずつフォーカス量を変えたときに得られる画像)を使用して立体形状計測を行う、所謂縞走査法に使用することができる。
【0054】
一方、ハロゲンランプ5を使用すると白色干渉となり可干渉距離が短くなり、それを使用したコヒーレンスプローブ法と言う立体形状計測が可能となる。この立体形状検出法法のうち縞走査法に関しては、コロナ社、光計測のニーズとシーズ、228 頁に記載されている。又、コヒーレンスプローブ法に関しては、学際企画、新しい光学顕微鏡、第一巻レーザ顕微鏡の理論と実際の82頁に記載されているので詳細は省略する。
【0055】
次に上記説明した位置検出装置を利用した半導体デバイスの製造方法の実施例を説明する。
【0056】
図8は半導体デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、或は液晶パネルやCCD等)の製造のフローチャートである。
【0057】
本実施例においてステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク製作)では設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。
【0058】
一方、ステップ3(ウエハー製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハーを製造する。ステップ4(ウエハープロセス)は前行程と呼ばれ、前記用意したマスクとウエハーを用いてリソグラフィ技術によってウエハー上に実際の回路を形成する。
【0059】
次のステップ5(組立)は後行程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハーを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。
【0060】
ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
【0061】
図9は上記ステップ4のウエハープロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハーの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハー表面に絶縁膜を形成する。
【0062】
ステップ13(電極形成)ではウエハー上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハーにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハーに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では前記説明した露光装置によってマスクの回路パターンをウエハーに焼付露光する。
【0063】
ステップ17(現像)では露光したウエハーを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによってウエハー上に多重に回路パターンが形成される。
【0064】
本実施例の製造方法を用いれば、従来は製造が難しかった高集積度の半導体デバイスを製造することができる。
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば以上のように各要素を設定することにより、位相差検出方式と同様に、コントラストの向上を図りつつTISの発生要因が少なく、CMP等の低段差のプロセスにおいても位置検出用のマークを安定して高い精度で検出することができ、レチクル面上のパターンをウエハー面上に高精度に露光転写することができる位置検出装置及びそれを用いた露光装置を達成することができる。
【0066】
この他本発明によれば、新たな干渉顕微鏡方式を従来の明視野照明と併設することが可能となり、CMPプロセス等の低段差のマークも高コントラスト化することで、高精度の位置検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1の要部概略図
【図2】 干渉像でマークの外側が明るい条件のフォーカスの場合を示す図
【図3】 干渉像でマークの外側が暗い条件のフォーカスの場合を示す図
【図4】 干渉像でマークの外側が明るい、暗い条件での信号とその差分の信号を示す図
【図5】 従来のリニーク干渉顕微鏡方式の原理を示す図
【図6】 従来のミロー干渉顕微鏡方式の原理を示す図
【図7】 本発明の実施形態2の要部概略図
【図8】 本発明のデバイスの製造方法のフローチャート
【図9】 本発明のデバイスの製造方法のフローチャート
【図10】 従来の重ね合わせ検査装置の光学系を示す図
【図11】 TIS補正法を示す図
【符号の説明】
1 ウエハー
2 重ね合わせ用マーク(シリコンエッチングウエハー)
3 重ね合わせ用マーク(レジストパターン)
4 ミラー
5 光源(例えばハロゲンランプ)
6 使用する照明波長
7 ファイバー
8 照明光学系
9 偏光ビームスプリッター
10 λ/4板
11 対物レンズ
12 リレーレンズ
13 エレクター
14 CCDカメラ
15 コンピュータ
21,22 λ/4板
23 鏡
24 シャッター
31 He−Ne LASER

Claims (11)

  1. コヒーレント光を放射する光源手段と
    該光源手段からのコヒーレント光をインコヒーレント光とするインコヒーレント化手段と、
    該インコヒーレント光で物体面上のマークを照明し、前記インコヒーレント光の一部で前記物体面上のマークと光学的に共役な面を照明し、前記マークからの反射光と前記マークと光学的に共役な面からの反射光とを、撮像手段上で重ねて干渉像を形成する光学系と
    該撮像手段で得られる信号を用いて、該物体面上のマークの位置情報を得る演算手段と
    を有していることを特徴とする位置検出装置。
  2. 前記インコヒーレント光のうち前記マークに向かう光束が通過する光学系と、前記マークと光学的に共役な面に向かう光束が通過する光学系とが互いに異なることを特徴とする請求項1記載の位置検出装置。
  3. 前記インコヒーレント化手段は、光路中に設けた回転可能な拡散板を有していることを特徴とする請求項1又は2の位置検出装置。
  4. 前記光学系は、前記光源手段からのコヒーレント光を前記インコヒーレント化手段でインコヒーレント光とし、該インコヒーレント光を複数の光束に分割する偏光ビームスプリッターを有し、偏光ビームスプリッターで分割した一方の光束を前記物体面上に導光し、他方の光束を該物体面と光学的な共役面に導光していることを特徴とする請求項1、2又は3の位置検出装置。
  5. 前記物体上のマークは前記光学系の光軸方向に段差面を有しており、前記物体を該光学系の光軸方向に駆動させたとき該マークの段差面からの反射率の差が最も大きくなるフォーカス位置における該マークの像に基づく信号を前記撮像手段は検出していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項の位置検出装置。
  6. 前記物体上のマークは前記光学系の光軸方向に段差面を有しており、前記物体を該光学系の光軸方向に駆動させたとき該マークの段差面からの反射率の差が最も大きくなるフォーカス位置における該マークの第1像と、該物体を光学系の光軸方向に更に駆動させたとき、該マークの段差面からの反射率の差が最も大きくなり、かつ該第1像に基づく反射率の差の符号と逆転するフォーカス位置における該マークの第2像との差分の画像信号を前記演算手段は利用していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項の位置検出装置。
  7. 前記光源手段は複数の光源を有しており、前記物体上のマークは前記光学系の光軸方向に段差面を有しており、該物体を該光学系の光軸方向に駆動させたとき、該マークの段差面からの反射率の差が最も大きくなる光束を放射する光源を選択して使用していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項の位置検出装置。
  8. 請求項1〜7いずれかに記載の位置検出装置を有しており、前記位置検出装置を用いて前記物体の位置を検出し、前記検出結果を用いてパターンの露光転写を行うことを特徴とする露光装置。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項記載の位置検出装置を用いて前記物体と別の物体との相対的な位置合わせを行った後に、前記物体面上のパターンを前記別の物体面上に露光転写していることを特徴とする露光装置。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項記載の位置検出装置を用いてレチクルとウエハーとの相対的な位置合わせを行った後に該レチクル面上のパターンをウエハー面上に露光転写した後に、該ウエハーを現像処理工程を介してデバイスを製造していることを特徴とするデバイスの製造方法。
  11. 請求項8又は9の露光装置を用いてレチクルとウエハーとの相対的な位置合わせを行った後に該レチクル面上のパターンをウエハー面上に露光した後に、該ウエハーを現像処理工程を介してデバイスを製造していることを特徴とするデバイスの製造方法。
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