JP2004279166A - 位置検出装置 - Google Patents

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【課題】アライメント検出系に収差が存在する場合であっても高精度に位置検出を行うことができる位置検出装置を提供する。
【解決手段】位置検出用マークが構成された被検出体の位置を検出する位置検出装置であって、前記被検出体に構成された前記位置検出用マークを検出する領域と略同一の領域に複数の基準マークを有し、前記被検出体の位置の基準となる基準板と、前記位置検出用マークと前記基準マークとの相対位置から前記被検出体の位置を算出する制御部とを有することを特徴とする位置検出装置を提供する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般には、位置検出装置に係り、特に、ICやLSIなどの半導体チップ、液晶ディスプレイ(LCD)、CCD、磁気ヘッド等の各種デバイスを製造する際に使用される露光装置において、ウェハ等の物体の位置を高精度に検出する位置検出装置に関する。本発明は、特に、露光光源として紫外線や極端紫外線(EUV:extreme ultraviolet)光を利用する露光装置に用いられる位置検出装置に好適である。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の小型化及び薄型化の要請から、電子機器に搭載される半導体素子の微細化への要求はますます高くなってきている。半導体素子を製造するためのフォトリソグラフィー(焼き付け)方法としては、レチクル又はマスク(本出願ではこれらの用語を交換可能に使用する)に描画された回路パターンを投影光学系によってウェハ等に投影して回路パターンを転写する縮小投影露光装置が従来から使用されている。
【0003】
縮小投影露光装置の解像度(転写できる最小の寸法)は、露光に用いる光の波長に比例し、投影光学系の開口数(NA)に反比例する。従って、波長を短くすればするほど、解像度はよくなる。このため、近年の半導体素子の微細化への要求に伴い露光光源は、超高圧水銀ランプ(i線(波長約365nm))からKrFエキシマレーザー(波長約248nm)、ArFエキシマレーザー(波長約193nm)と短波長化が進められている。
【0004】
一方、投影露光装置においては、解像度の向上に伴って、マスクとウェハの相対的な位置を合わせるアライメントについても高精度化が必要とされている。換言すれば、投影露光装置は、高解像度であると共に、高精度な位置検出としての機能も要求されている。そのため、ウェハ等の上に構成されたアライメントマークを検出する位置検出装置、所謂、アライメントスコープ自体の性能の高精度化が必須である。
【0005】
アライメントスコープとして、大別して二種類の方法が提案されている。一つは、投影光学系を介さず、所謂、オフアクシス(Off−Axis)アライメント検出系(以下、OA検出系と称する)を別に構成してアライメントマークを光学的に検出する方法である。もう一つは、TTL−AA(Through the Lens Auto Alignment)と呼ばれる投影光学系を介して、非露光光のアライメント波長を用いてウェハ上のアライメントマークを検出する方法である。
【0006】
何れの検出系においても、検出対象となるアライメントマークの像(画像データ)を光電変換素子によって電気的な信号に変換し、かかる電気信号に基づいて、位置の算出を行うことが精度上、或いは、様々な半導体プロセスに対する柔軟性から主流となってきている。
【0007】
図9を参照して、従来のOA検出系を備えたアライメント方式の一例について説明する。図9は、従来のオフアクシスアライメント検出系1000を示す概略構成図である。OA検出系1000において、照明光源1100から導光された光は、照明リレー光学系1110及び1120を通過し、回転開口絞り1130上に結像する。回転開口絞り1130を通過した特定の光は、更に照明光学系1140を通過した後、偏光ビームスプリッタ1150に導かれる。偏光ビームスプリッタ1150によって反射されたS偏光は、リレーレンズ1160、λ/4板1170を通過した後、円偏光に変換され、対物レンズ1180を通ってウェハW上に形成されたアライメントマークAMをケーラー照明する。
【0008】
アライメントマークAMから発生した反射光、回折光及び散乱光は、対物レンズ1180、λ/4板1170、リレーレンズ1160を戻り、今度はP偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ1150を通過し、結像光学系1190によって、アライメントマークAMの像を光電変換素子1200上に形成する。光電変換されたアライメントマークAMの像の位置に基づいて、ウェハWの位置を検出する。
【0009】
ここで、リレーレンズ1160と光電変換素子1200との間には、OA検出系1000の基準となる基準板1300が構成されている。基準板1300は、図10に示すように、アライメントマークAM領域に対してはウェハWからの光をそのまま透過する透過領域1310と、アライメントマークAMの外側の領域に対してはウェハWからの光を遮光する遮光領域1320と、更に、遮光領域1320には、一部だけ透過性のある領域(基準マーク)SMが構成されている。図10は、基準板1300の一例を示す概略平面図である。
【0010】
ウェハWからの反射光は、基準マークSMにも到達するようになっており、基準マークSMを通過した後、光電変換素子1200上に基準マークSMの形状として映し出される。光電変換素子1200上に映し出された基準マークSMとウェハW上のアライメントマークAMとの相対位置を電気信号として検出することで、アライメントマークAMの位置を算出することができる。
【0011】
一方、図示しない露光光スコープによりウェハステージ上に構成されたマークとレチクル上に構成されたマークの相対位置を検出し、その後、ウェハステージ上のマークと基準マークSMとの相対位置をOA検出系1000で検出することで、所謂、ベースラインが計測される。ベースラインが計測される際のOA検出系1000の基準となるものが基準マークSMである。ベースラインが計測された後は、基準マークSMを基準にウェハW上のアライメントマークAMの位置が検出される。
【0012】
なお、TTL−AA方式も、基本的には、OA検出系を用いて投影光学系を介してウェハの位置を検出する点が異なっているだけで、同様に、基準となる基準マークを構成している。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図10に示すような基準マークSMが構成された基準板1300を使用するアライメントスコープによってウェハ上のアライメントマークを検出し、ウェハの位置を算出する場合、アライメントスコープの結像光学系や基準板が経時変化するために高精度な位置検出ができないことがある。通常、これらが経時変化した場合は、その都度ベースラインを計測し直すことで、対応することができるとされている。
【0014】
しかし、基準板の基準マークは、ウェハのアライメントマークを検出する領域(視野)とは異なった場所に構成しているため、OA検出系に収差がある場合は基準マークとアライメントマークの変動が必ずしも一致しないことがある。この場合、ベースラインを計測し直しても、正確な補正ができないという問題を生じる。
【0015】
極端な例として、OA検出系に歪曲収差の様な視野(画角)に依存して位置変動量が異なっている場合、基準板の基準マークは顕著に変動するが、ウェハのアライメントマーク領域は変化しないしないことがある。
【0016】
そこで、本発明は、アライメント検出系に収差が存在する場合であっても高精度に位置検出を行うことができる位置検出装置を提供することを例示的目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての位置検出装置は、位置検出用マークが構成された被検出体の位置を検出する位置検出装置であって、前記被検出体に構成された前記位置検出用マークを検出する領域と略同一の領域に複数の基準マークを有し、前記被検出体の位置の基準となる基準板と、前記位置検出用マークと前記基準マークとの相対位置から前記被検出体の位置を算出する制御部とを有することを特徴とする。前記基準板は、前記被検出体と光学的に共役な位置に配置されることを特徴とする。前記位置検出用マークを照明する第1の光源と、前記基準マークを照明する第2の光源とを更に有することを特徴とする。
【0018】
本発明の別の側面としての位置検出方法は、被検出体に構成された位置検出用マークを検出する領域と同一の領域に複数の基準マークを有し、前記被検出体の位置の基準となる基準板を使用して、前記被検出体の位置を検出する位置検出方法であって、前記被処理体の前記位置検出用マークのみを照明するステップと、前記基準板の前記基準マークのみを照明するステップと、前記照明ステップによって形成された前記位置検出用マークの像と前記基準マークの像とを合成するステップとを有することを特徴とする。
【0019】
本発明の更に別の側面としての露光装置は、上述の位置検出装置を有することを特徴とする。EUV光を露光光として利用することを特徴とする。
【0020】
本発明の更に別の側面としてのデバイス製造方法は、上述の露光装置を用いて被処理体を露光するステップと、露光した前記被処理体に所定のプロセスを行うステップとを有することを特徴とする。
【0021】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の一側面としてのオフアクシスアライメント検出系(OA検出系)200を有する露光装置1について説明する。なお、各図において同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。ここで、図1は、本発明の一側面としてのOA検出系200を有する露光装置1の例示的一形態を示す概略構成図である。
【0023】
露光装置1は、例えば、ステップ・アンド・リピート方式やステップ・アンド・スキャン方式でレチクル110に形成された回路パターンをウェハWに露光する投影露光装置である。かかる露光装置は、サブミクロンやクオーターミクロン以下のリソグラフィー工程に好適であり、以下、本実施形態ではステップ・アンド・スキャン方式の露光装置(「スキャナー」とも呼ばれる)を例に説明する。ここで、「ステップ・アンド・スキャン方式」は、レチクルに対してウェハを連続的にスキャン(走査)してマスクパターンをウェハに露光すると共に、1ショットの露光終了後ウェハをステップ移動して、次の露光領域に移動する露光方法である。「ステップ・アンド・リピート方式」は、ウェハのショットの一括露光ごとにウェハをステップ移動して次の露光領域に移動する露光方法である。
【0024】
図1を参照するに、露光光源を含む照明光学系100(露光光原としては、超高圧水銀ランプ、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー等)から射出した光ILは、回路パターンが形成されているレチクル110を照明する。このとき、レチクル110は、レチクル110の上方(又は下方)に配置されたアライメント検出系120によって投影光学系130の光軸AXとレチクルパターンの中心が一致するように、レチクルホルダー115に予め位置決めされている。
【0025】
レチクル110を通った光は、投影光学系130を介してウェハステージ140上に保持されたウェハWに投影され、レチクルパターンを所定の倍率で転写する。
【0026】
一方、ウェハWには、セカンドウェハと呼ばれる既にパターンが形成されている種類のものがあり、かかるウェハに次のパターンを形成する場合には、予めウェハの位置を検出しておかなければならない。そこで、ウェハステージ140の横方向の距離を計測できる干渉計150に基づいてウェハステージ140を駆動し、後述するOA検出系200の検出領域にウェハWを位置決めする。干渉計150によって位置決めされたウェハWに対して、ウェハW上に形成されたアライメントマークAMをOA検出系200によって位置検出し、ウェハW上に形成されたチップ(要素)の配列情報を得ることができる。干渉計150は、例えば、ウェハステージ140上に設置された干渉計ミラー142に光を照射し、干渉計ミラー142で反射された反射光によってウェハステージ140の横方向の距離を計測する。干渉計140の計測結果は、制御部300に送信され、駆動手段144を介してウェハステージ140が駆動される。
【0027】
次に、かかるチップ(要素)の配列情報に基づいて、ウェハWを投影光学系130の露光領域(レチクル110の転写領域)にウェハステージ140を駆動して、順次露光を行う。
【0028】
ここで、投影光学系130の露光領域には、投影光学系130のフォーカス方向を計測するフォーカス検出系150が構成されている。フォーカス検出系150において、照明光源151から射出した光は、照明レンズ152を介してスリット153を照明する。スリット153を透過した光は、照明光学系154及びミラー155によってウェハW上にスリットパターンを結像する。
【0029】
ウェハW上に投影されたスリットパターンは、ウェハW表面上で反射し、照明光学系154と反対側に構成されたミラー156、検出光学系157に入射する。検出光学系157は、ウェハW上に形成されたスリットパターンを光電変換素子158上に再結像させる。ウェハWが上下することで、光電変換素子158上のスリット像が移動し、かかる移動量からウェハWのフォーカス方向の距離を測定することができる。通常は、スリット153を複数(ウェハW上の多点)用意しておき、それぞれのフォーカス位置を検出すること(ウェハW上の多点計測)で、投影光学系130のレチクル110像の像面に対するウェハWの傾きを計測することもできる。
【0030】
以下、図2を参照して、OA検出系200について説明する。図2は、本発明のOA検出系200の例示的一形態を示す概略構成図である。照明光源210から導光された光は、照明リレー光学系211及び212を通過する。本実施形態では、照明光源210は、ファイバーで構成されており、照明リレー光学系211及び212によって、ファイバー端面が後述する回転開口絞り213上に結像するように配置されている。回転開口絞り213上には、複数の空間フィルタが構成されており、照明のσ値や、拡散板などの瞳の光量分布を均一化する光学素子等を必要に応じて切り換え、交換が可能としている。なお、ここで、ファイバー端面及び回転開口絞り213は、後述する対物レンズ218の瞳位置PL(対物絞り)と共役な関係となっている。
【0031】
回転開口絞り213を通過した特定の光は、更に照明光学系214を通過した後、偏光ビームスプリッタ215に導かれる。偏光ビームスプリッタ215によって反射されたS偏光は、リレーレンズ216、λ/4板217を通過した後、円偏光に変換され、対物レンズ218を通ってウェハW上に形成されたアライメントマークAMをケーラー照明する。
【0032】
アライメントマークAMから発生した反射光、回折光及び散乱光は、対物レンズ218、λ/4板217、リレーレンズ216を戻り、今度はP偏光に変換され、偏光ビームスプリッタ215、ハーフミラー223を通過し、結像光学系219によって、アライメントマークAMの像を光電変換素子220(例えば、CCDカメラ)上に形成する。光電変換されたアライメントマークAMの像の位置に基づいて、ウェハWの位置を検出する。
【0033】
このとき、ウェハW上のアライメントマークAMを精度よく検出するためには、アライメントマークAMの像が鮮明に検出されなければならない。換言すれば、OA検出系200のピントがアライメントマークAMに合っていなければならない。そのため、一般的には、図示しないAF検出系が構成されており、かかるAF検出系の検出結果に基づいて、アライメントマークAMをOA検出系200のベストフォーカス面に駆動して、アライメントマークAMの検出を行っている。
【0034】
一方、基準板照明光源221から射出した光は、基準板照明光学系222により、基準板230を一様な光量分布となるようケーラー照明している。基準板230には、後述するスリット形状の基準マークSMが構成されており、基準マークSMを透過した光のみがハーフミラー223側に導光される。なお、基準板照明光源221は、本実施形態では、ファイバーを使用して導光されたファイバー射出端面であるが、LED、ハロゲン等であってもよい。
【0035】
ハーフミラー223では、基準マークSMからの光を光電変換素子220側に導光している。基準板230のパターン面は、結像光学系219と光電変換素子220により決まる中間結像面MIとハーフミラー223を介した共役な位置に配置されている。即ち、基準マークSMの像が、光電変換素子220上に結像するように構成されている。なお、ウェハW上のアライメントマークAMは、ウェハWを光軸方向に駆動することで、光電変換素子220上に良好な像として検出することが可能となっている。
【0036】
また、ハーフミラー223は、波長特性を有するダイクロミックミラーや、偏光特性を有する偏光ビームスプリッタとして構成してもよい。ハーフミラー223をダイクロミックミラーで構成する場合は、アライメントマークAMを照明する光(以下、「アライメント光」と称する)の波長と、基準板230を照明する光(以下、「基準光」と称する)の波長を変えておき、アライメント光に対しては透過特性を有し、基準光に対しては反射特性を有するようにすればよい。また、ハーフミラー223を偏光ビームスプリッタで構成する場合は、アライメント光と基準光の偏光方向を直交ニコルの関係にしておけばよい。
【0037】
なお、何れの場合もアライメント光に対しては透過、基準光に対しては反射の構成にしているが、これに限定されるものではなく、透過と反射の関係を反転した構成であってもよい。換言すれば、基準光をアライメント光の光路外に構成すると共に、基準マークSMの像をアライメント光の光路上に合成できるようにしていればよい。
【0038】
更に、基準板照明光学系222についても、上述した構成に限定するものではなく、基準板照明光源221によって基準板230をクリティカル照明する構成としてもよい。また、基準光は、光量を自由に変更できるようにすることで、光電変換素子220で検出される信号強度を最適化することが望ましい。
【0039】
以上のように、アライメント光を射出する照明光源210と基準光を射出する基準板照明光源221を別光源とすることで、アライメントマークAMを照明するときは基準光を射出せず、基準マークSMを照明するときはアライメント光を射出しないことで、同一視野内にアライメントマークAM及び基準マークSMを形成することができる。
【0040】
なお、基準光とアライメント光を時間的にシリアルに計測する場合、かかる時間差によって基準マークSMとアライメントマークAMの位置ずれが生じる可能性もある。しかし、現実的には、基準マークSMとアライメントマークAMの計測のタイミングの差は数秒でしかないため、その誤差要因は非常に小さく問題とならない。
【0041】
基準マークSMの検出位置とアライメントマークAMの検出位置は、制御部300に送信され、基準マークSMとアライメントマークAMの相対位置が算出される。
【0042】
次に、図3を参照して、基準板230の基準マークSMについて説明する。図3(a)は、ウェハW上に構成されたアライメントマークAMを光電変換素子220で検出した場合の一例を示す概略平面図である。図3(a)に示すアライメントマークAMの場合、計測方向はY軸方向で、視野中心の4本のアライメントマークAMを使用して位置を検出する。なお、X軸方向については、図3(a)に示すアライメントマークAMを90°回転させたマークを構成すればよい。
【0043】
視野中心の4本のアライメントマークAMの外側にある2本のフェンスマークFは、以下の効果を有する。実際の半導体製造工程において、ウェハW上のアライメントマークAMは、段差構造をもつ場合がある。段差構造をもつアライメントマークAMに流体であるレジストを塗布すると、アライメントマークAMの周辺部でレジスト膜厚のムラ(膜ムラ)を生じてしまう。膜ムラをもったアライメントマークAMを検出すると、膜ムラのために光の干渉条件が変化し、検出誤差をもってしまう。通常、最外のアライメントマークAMの膜ムラは、内側のアライメントマークAMの膜ムラより大きいために、内側のアライメントマークAMだけを検出することで、レジストの膜ムラの影響をできるだけ除去することが可能となる。そこで、フェンスマークFを、内側のアライメントマークAMと同ピッチで構成し、フェンスマークFは計測には使用しないことで膜ムラの影響を抑えることができる。なお、低段差マーク等でレジストの膜ムラが発生しないマークであれば、フェンスマークFを設けなくてもよい。
【0044】
一方、基準マークSMの例示的一形態を示す基準板230の概略平面図を図3(b)及び(c)に示す。図3(b)及び(c)に示す基準マークSMは、図3(a)に示すアライメントマークAMの領域と同じ領域、又は、アライメントマークAMの領域内に構成されている。図3(b)に示す基準マークSMは、本数を増やすことで計測の再現性を向上させている。図3(c)に示す基準マークSMは、図3(a)に示すアライメントマークAMと全く同じ形態にしたものである。但し、基準板230にはレジストを塗布しないため膜ムラの影響を抑えるためのフェンスマークは必要ない。
【0045】
図4及び図5を参照して、アライメントマークAMと基準マークSMを同一領域内に配置する効果について説明する。図4(a)は、横軸に画角(検出視野の高さ)、横軸に歪曲収差から発生するマーク位置ずれを示すグラフである。OA検出系200に歪曲収差が存在しない場合、横軸に平行な直線となり、画角が変化してもマーク位置ずれは発生しないことになる。
【0046】
図4(a)では、OA検出系200が光軸に対して対称な歪曲収差を有する場合を示しており、画角の高いところでマーク位置ずれ量が大きくなっている。このように、光軸に対して対称な歪曲収差を有する検出系で、4本のアライメントマークを検出した場合に、アライメントマークの位置を線形的に視野に対してずらしていったときの4本のアライメントマークの平均値のダマサレ量をグラフにしたものを図4(b)に示す。これは、線形的に位置を変えた場合の残差成分である。このように、歪曲収差を有する検出系では、その収差量、マークの領域に依存して、ダマサレ量が変化する。画角の外側だけのマークで同様なダマサレ量を考えた場合、中心部分のダマサレ量に比べ、大きな量となることは容易に想像できるであろう。
【0047】
つまり、マーク領域が異なる従来の基準マークSMとアライメントマークAMでは、基準マークSMの位置が変化した場合、その変化量とアライメントマークAMの変化量は一致しなくなる。これでは、ベースラインを計測して補正を行ってもアライメントマークAMの位置だけ取り残されてしまい、検出誤差を生じてしまう。
【0048】
更に、実際のアライメント光学系を考えた場合、設計値の光軸の位置に光電変換素子を配置できるとは限らない。また、種々の光学系を光軸上に配置できるとも限らない。かかる場合には、光学偏芯による歪曲収差を発生させてしまい、更に基準マークSMとアライメントマークAMの変動量が一致しなくなる。
【0049】
図5(a)は、像高に対する歪曲収差によるずれ量を示すグラフ、図5(b)は、アライメントマークAMを線形的に駆動して計測した場合の線形成分からのダマサレ量を示すグラフである。図5(a)及び(b)を参照するに、検出系が偏芯による歪曲収差を有する場合、画角の外側ではより顕著にずれ量が大きくなり、その結果、ダマサレ量も大きくなってしまう。更に、最外のマークのダマサレ量は、対称な歪曲収差の場合に比べ、極端に大きいものとなってしまう。これでは、ベースラインを計測し直しても、高精度な位置合わせができない。
【0050】
従って、アライメントマークAMの領域と基準マークSMの領域を一致させる(又は、少なくともアライメントマークAMの領域内に基準マークSMを配置する)ことは非常に有効である。
【0051】
また、本実施形態では、投影光学系130と別構成になっているOA検出系200について説明したが、これに限定されるものではなく、投影光学系130を介してウェハWを計測するTTL−AA方式でも同様な構成は可能である。また、本実施形態では、アライメントマークAMのマーク本数を4本として説明したが、これに限定されるものではなく、その他の本数であってもアライメントマークAMの領域内に基準マークSMを配置すれば、同様の効果を発揮することは言うまでもないであろう。
【0052】
また、図6に示すような基準板230を用いることで、一方向の検出だけではなく、2次元的(XY方向)の検出を行うことができる。図6(a)は、ウェハW上のアライメントマークX1乃至X6及びY1乃至Y6を示す概略平面図であり、図6(b)及び(c)は、基準マークSMの例示的一形態を示す基準板230の概略平面図である。なお、図6(a)においては、上述したフェンスマークFは、省略している。
【0053】
図6(a)を参照するに、アライメントマークX1乃至X6はX方向の位置を検出するためのものであり、アライメントマークY1乃至Y6はY方向の位置を検出するためのものである。図6(b)及び(c)に示す基準マークSMは、図6(a)に示すアライメントマークX1乃至X6及びY1乃至Y6の領域と同じ領域、又は、アライメントマークX1乃至X6及びY1乃至Y6の領域内に構成されている。図6(b)に示す基準マークSMは、本数を増やすことで計測の再現性を向上させている。図6(c)に示す基準マークSMは、図6(a)に示すアライメントマークX1乃至X6及びY1乃至Y6と全く同じ形態にしたものである。
【0054】
図6(b)及び図6(c)に示す基準マークSMが構成された基準板230は、図6(a)に示すアライメントマークX1乃至X6及びY1乃至Y6の領域に対して同一、又は、アライメントマークX1乃至X6及びY1乃至Y6の領域内に基準マークSMを構成しているため、上述したように、OA検出系200に歪曲収差等の収差が存在しても高精度な位置検出を行うことができる。
【0055】
次に、図7及び図8を参照して、上述の露光装置1を利用したデバイス製造方法の実施例を説明する。図7は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。本実施形態においては、半導体チップの製造を例に説明する。ステップ1(回路設計)では、デバイスの回路設計を行う。ステップ2(マスク製作)では、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。ステップ3(ウェハ製造)では、シリコンなどの材料を用いてウェハを製造する。ステップ4(ウェハプロセス)は、前工程と呼ばれ、マスクとウェハを用いてリソグラフィー技術によってウェハ上に実際の回路を形成する。ステップ5(組み立て)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作成されたウェハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)では、ステップ5で作成された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テストなどの検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、それが出荷(ステップ7)される。
【0056】
図8は、ステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。ステップ11(酸化)では、ウェハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)では、ウェハの表面に絶縁膜を形成する。ステップ14(イオン打ち込み)では、ウェハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)では、ウェハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では、露光装置1によってマスクの回路パターンをウェハに露光する。ステップ17(現像)では、露光したウェハを現像する。ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行うことによってウェハ上に多重に回路パターンが形成される。本実施形態のデバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。このように、露光装置1を使用するデバイス製造方法、並びに結果物としてのデバイスも本発明の一側面を構成する。
【0057】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0058】
本出願は、更に以下の事項を開示する。
【0059】
〔実施態様1〕 位置検出用マークが構成された被検出体の位置を検出する位置検出装置であって、
前記被検出体に構成された前記位置検出用マークを検出する領域と略同一の領域に複数の基準マークを有し、前記被検出体の位置の基準となる基準板と、
前記位置検出用マークと前記基準マークとの相対位置から前記被検出体の位置を算出する制御部とを有することを特徴とする位置検出装置。
【0060】
〔実施態様2〕 前記基準板は、前記被検出体と光学的に共役な位置に配置されることを特徴とする実施態様1記載の位置検出装置。
【0061】
〔実施態様3〕 前記位置検出用マークを照明する第1の光源と、
前記基準マークを照明する第2の光源とを更に有することを特徴とする実施態様1記載の位置検出装置。
【0062】
〔実施態様4〕 被検出体に構成された位置検出用マークを検出する領域と同一の領域に複数の基準マークを有し、前記被検出体の位置の基準となる基準板を使用して、前記被検出体の位置を検出する位置検出方法であって、
前記被処理体の前記位置検出用マークのみを照明するステップと、
前記基準板の前記基準マークのみを照明するステップと、
前記照明ステップによって形成された前記位置検出用マークの像と前記基準マークの像とを合成するステップとを有することを特徴とする位置検出方法。
【0063】
〔実施態様5〕 実施態様1乃至3記載のうちいずれか一項記載の位置検出装置を有することを特徴とする露光装置。
【0064】
〔実施態様6〕 EUV光を露光光として利用することを特徴とする実施態様5記載の露光装置。
【0065】
〔実施態様7〕 実施態様5又は6記載の露光装置を用いて被処理体を露光するステップと、
露光した前記被処理体に所定のプロセスを行うステップとを有することを特徴とするデバイス製造方法。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、アライメント検出系に収差が存在する場合であっても高精度に位置検出を行うことができる位置検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一側面としてのオフアクシスアライメント検出系を有する露光装置の例示的一形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明のオフアクシスアライメント検出系の例示的一形態を示す概略構成図である。
【図3】図3(a)は、ウェハに構成されたアライメントマークを光電変換素子で検出した場合の一例を示す概略平面図、図3(b)及び(c)は、基準マークの例示的一形態を示す基準板の概略平面図である。
【図4】図4(a)は、オフアクシスアライメント検出系に光軸に対して対称な歪曲収差が存在する場合に発生するマーク位置ずれ量を示すグラフ、図4(b)は、アライメントマークの位置を線形的に視野に対してずらしていったときのアライメントマークの平均値のダマサレ量を示すグラフである。
【図5】図5(a)は、光学偏芯による歪曲収差が存在する場合に発生するマーク位置ずれ量を示すグラフ、図5(b)は、アライメントマークを線形的に駆動して計測した場合の線形成分からのダマサレ量を示すグラフである。
【図6】図6(a)は、ウェハ上のアライメントマークを示す概略平面図、図6(b)及び(c)は、基準マークの例示的一形態を示す基準板の概略平面図である。
【図7】デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。
【図8】図7に示すステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。
【図9】従来のオフアクシスアライメント検出系を示す概略構成図である。
【図10】図9に示す基準板の一例を示す概略平面図である。
【符号の説明】
1 露光装置
100 照明光学系
110 レチクル
120 アライメント検出系
130 投影光学系
140 ウェハステージ
150 干渉
200 オフアクシスアライメント光学系
210 照明光源
211及び212 照明リレー光学系
213 回転開口絞り
214 照明光学系
215 偏光ビームスプリッタ
216 リレーレンズ
217 λ/4板
218 対物レンズ
219 結像光学系
220 光電変換素子
221 基準板照明光源
222 基準板照明光学系
223 ハーフミラー
230 基準板
300 制御部
W ウェハ
AM アライメントマーク
SM 基準マーク

Claims (1)

  1. 位置検出用マークが構成された被検出体の位置を検出する位置検出装置であって、
    前記被検出体に構成された前記位置検出用マークを検出する領域と略同一の領域に複数の基準マークを有し、前記被検出体の位置の基準となる基準板と、
    前記位置検出用マークと前記基準マークとの相対位置から前記被検出体の位置を算出する制御部とを有することを特徴とする位置検出装置。
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