JP3796248B2 - ポリビニルアルコール系バインダー繊維およびそれを用いてなる紙または不織布 - Google Patents

ポリビニルアルコール系バインダー繊維およびそれを用いてなる紙または不織布 Download PDF

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本発明は、熱風乾燥方式のような高速乾燥や、マルチシリンダー方式のような低温乾燥等の低熱量の乾燥条件下で溶解可能であり、得られた紙または不織布が高い強力を発現させることを特徴とするポリビニルアルコール系バインダー繊維およびそれを用いてなる紙または不織布に関する。
現在、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する)系繊維は、その水溶性と強い接着性を有するという特徴を生かして、製紙用バインダー繊維として用いられている。PVA系バインダー繊維の十分な接着性は、抄紙工程において繊維が分散した水中で膨潤し、乾燥工程の熱により十分溶解し、乾燥しながら結晶化することにより達成される。
従来、PVA系繊維を用いて紙または不織布を製造する場合、乾燥工程において熱ドラム方式のヤンキードライヤーが一般的に使用されている。ヤンキードライヤーは乾燥熱量が大きいため乾燥時にPVA系バインダー繊維が十分に溶解し、接着性を発現する。しかし、近年になって乾燥の効率化や生産性向上のため、エアースルードライヤー等が用いられるケースが増加してきているが、エアースルードライヤーを用いて乾燥した場合、エアースルードライヤーは乾燥時間が短く、また乾燥熱量が小さいため、従来のPVA系バインダー繊維では十分に溶解できず、その結果、十分な接着性を発現できないという問題がある。
上記問題点を解決するために、一般的に原料であるPVA系樹脂に低ケン化度の樹脂を用いたり、またはPVA系樹脂にカルボキシル基やスルホン酸基、シリル基、四級アンモニウム塩等のカチオン性基などイオン性の官能基を導入することにより、溶解性を向上させる手法がとられている。例えば、樹脂の溶解性を向上させるために、PVA樹脂のケン化度を低下させ、かつPVA樹脂の重合度を低下させ溶解性を高める手法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。また、PVA樹脂にシリル基を導入したり、エチレン基の導入を行うことにより、溶解性および接着強力の向上を達成する技術が提案されている(例えば、特許文献3、4、5、6参照。)。
上記特許文献1〜6では、バインダー繊維の接着性向上を達成するために、PVA樹脂の改質を中心とした検討がなされているが、これらのバインダー繊維は丸孔の紡糸口金を用いて溶融紡糸あるいは湿式紡糸により製造されるため、繊維断面形状は丸型〜繭型形状となり、繊維断面から断面充実度を算出する式より計算した断面充実度は35%以上となる。そのため、特許文献1〜6で得られるバインダー繊維は熱ドラム方式のヤンキードライヤー方式のような乾燥熱量の大きい乾燥方法では十分な接着性が得られるが、熱風乾燥方式のような高速乾燥や、マルチシリンダー方式のような低温・低熱量の乾燥条件下では接着性が不十分であるという問題点があった。
特開昭51−96533号公報 特開昭54−96534号公報 特開昭60−231816号公報 特開平4−126818号公報 特開昭58−220806号公報 特開2003−27328号公報
上記課題点を鑑みて、本発明者等は鋭意検討を重ねた結果、断面充実度が30%以下となるような紡糸口金を用いて紡糸し、繊維断面を扁平形状にして繊維の表面積を向上させることにより、従来の熱ドラム方式のヤンキードライヤー方式のような乾燥熱量の大きい乾燥方法を必要とせず、低温・低熱量の乾燥条件下でも高い紙力が得られ、しかも乾燥の効率化や生産性の向上が実現できる紙または不織布が得られることを見出した。
すなわち本発明は、繊維の断面充実度が30%以下であり、30℃の水中における繊維の膨潤度が100%以上、かつ溶出量が20%以下であることを特徴とするPVA系バインダー繊維であり、好ましくは繊維断面が扁平形状しており、その長辺の長さをA、その長辺の中央部(1/2A)の厚さをB、その長辺の端部より1/4Aの部分の厚さをCとしたときに、A/B≧3かつ0.6≦C/B≦1.2である上記のPVA系バインダー繊維であり、より好ましくは長辺の中央部(1/2A)の厚さBが6μm以下である上記のPVA系バインダー繊維であり、さらに好ましくはPVA系樹脂が、カルボン酸基、スルホン酸基、エチレン基、シラン基、シラノール基、アミン基、アンモニウム基のいずれかを0.1〜15モル%共重合されてなる樹脂である上記のPVA系バインダー繊維に関するものであり、さらに上記のPVA系バインダー繊維を1〜50質量%含有してなる紙または不織布に関するものである。
本発明の単繊維の断面充実度が30%以下であり、30℃の水中における繊維の膨潤度が100%以上かつ溶出量が20%以下であるPVA系バインダー繊維を用いることにより、熱風乾燥方式のような高速乾燥や、マルチシリンダー方式のような低温乾燥等の低熱量の乾燥条件下でも高強力な紙または不織布を得ることが可能となる。
PVA系バインダー繊維の十分な接着性は、抄紙工程において繊維が分散した水中で膨潤し、乾燥工程の熱により十分溶解し、乾燥しながら結晶化することにより達成される。しかしながら従来のPVA系バインダー繊維では近年増加傾向のある高速乾燥、低温乾燥など低熱量の乾燥条件では溶解性が不十分なため、十分な接着性を得ることは困難である。従来の技術では溶解性の向上すなわちその指標である結晶融解温度を低下させるために、前記したようにケン化度の低下や変性基導入による結晶サイズの低下を利用したのに対し、本発明では繊維の断面充実度を大幅に低下させ、接着面積を増大させることで紙力の向上を達成することに特徴を有する。
本発明のPVA系バインダー繊維は繊維の断面充実度が30%以下であるような断面形状をとる必要がある。繊維断面を断面充実度が30%以下であるような断面形状にして繊維の表面積を向上させることにより、後述するが本発明のPVA系バインダー繊維を用いて紙または不織布を製造した場合、低温・低熱量の乾燥条件下でも高い紙力を得ることが可能となる。好ましくは27%以下、より好ましくは25%以下である。繊維の断面充実度を30%以下にする方法として好適なのは扁平形状とすることである。好ましくは図1に示すように扁平形状の長辺の長さをA、その長辺の中央部(1/2A)の厚さをB、その長辺の端部より1/4Aの部分の厚さをCとしたときに、A/B≧3かつ0.6≦C/B≦1.2であることが好ましい。A/B<3である場合、断面充実度が30%よりも大きくなり好ましくない。またC/B<0.6あるいはC/B>1.2となる場合、本発明の目的とする扁平形状を形成しないためバインダー繊維の表面積が低下し、効率的なバインダー効果が発現しない。より好ましくはA/B≧5かつ0.8≦C/B≦1.2であり、さらに好ましくはA/B≧6かつ0.9≦C/B≦1.1である。また好ましくは厚さBを6μm以下、より好ましくは5μm以下とすることで接着効率はより一層向上する。
なお、繊維の断面充実度、断面形状は走査型電子顕微鏡にて測定されたものを示す。
また本発明のPVA系バインダー繊維は30℃の水中における繊維の膨潤度が100%以上である必要がある。膨潤度が100%未満であるとバインダーとしての性能が十分に発現しない。好ましくは120%以上、より好ましくは140%以上である。
本発明において使用されるPVA系樹脂は特に制限はなく、例えば低ケン化度PVAやカルボン酸基、スルホン酸基、エチレン基、シラン基、シラノール基、アミン基、アンモニウム基のいずれか一つまたは二つ以上共重合していても構わないが、中でもカルボン酸基、スルホン酸基、エチレン基、シラン基、シラノール基、アミン基、アンモニウム基のいずれかを0.1〜15モル%共重合されていることがより好ましい。しかしながら共重合成分のないPVA系樹脂あるいは上記共重合成分が共重合されたPVA系樹脂から得られる本発明のPVA系バインダー繊維は、30℃の水中における繊維の溶出量が20%以下である必要がある。溶出量が20%を超えると、歩留まり悪化によるコストアップ、白水(抄紙中に使用する水)への溶出による排水負荷の上昇や、例えば紙にした場合、溶出したPVAの再付着による紙品位の低下(紙の風合いが硬くなる等)が生じる。好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
本発明で用いるPVA系樹脂の重合度については、得られるPVA系バインダー繊維の溶出量の面からは300以上、一方生産性、コストの面からは3000以下であることが好ましい。より好ましくは800〜2000である。またPVAのケン化度についてはPVAの溶出の面からは95モル%以上であることが好ましい。PVAのケン化度が95モル%よりも低いと、バインダー使用時のPVAの溶出が著しく、歩留まりの悪化および排水への溶出等の問題が発生したり、またバインダーとして使用された後も耐水性が極めて低く、特に湿潤条件でバインダー性能が著しく低下する。より好ましくはケン化度96〜99.9モル%の範囲である。
本発明のPVA系バインダー繊維は、上記したPVA系樹脂を水に対して8〜18質量%溶解させた紡糸原液を、該樹脂に対して固化能を有する塩類の水溶液からなる凝固浴中に吐出させ繊維状とした後、2〜5倍湿延伸を行い、乾燥することにより得られる。水に溶解するPVA系樹脂の濃度が18質量%より高い場合、PVAポリマーが溶解した溶液の粘度が高くなり、紡糸が不可能となる。好ましくは10〜16質量%である。
固化能を有する塩類の水溶液としては、硫酸ナトリウム(芒硝)、硫酸アンモニウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。上記した固化能を有する塩類の水溶液からなる凝固浴中に吐出させ繊維状とした後に湿延伸を行うが、湿延伸倍率が2倍より低いと正常な紡糸が行えず、一方湿延伸倍率が5倍を越える延伸を行うと、PVA分子の配向が著しく進行するため結晶融解温度が上昇し、得られた繊維は水に対する膨潤度が低下し、バインダーとして機能しなくなる。
本発明の断面形状が断面充実度30%以下のPVA系バインダー繊維を製造するためには幅80〜800μm、厚さ20〜80μmの矩形孔の紡糸口金を使用して紡糸原液を固化能を有する塩類の水溶液中に吐出させ、紡糸口金の金板面と第一ローラーとの間の張力を0.003〜0.01cN/dtexの範囲になるようにして紡糸することが好ましい。この張力が0.003cN/dtex未満であると、繊維の断面が変形して断面形状が繭型となってしまい、本発明の目的とする断面形状の繊維を得ることができない。一方、張力が0.01cN/dtex以上になると凝固浴中で繊維が断糸し、正常に紡糸することができない。より好ましくは0.0035〜0.006cN/dtexである。
本発明で用いられるPVA系バインダー繊維の単繊維の平均繊度に特に制限はないが、0.01〜50dtexの範囲であることが好ましい。平均繊度が0.01dtexより小さい場合は繊維の製造が困難となり生産性が低下し、コストアップとなる。一方、平均繊度が50dtexよりも大きくなると、単繊維の繊維径自体が太くなるため接着性が低下するようになる。より好ましくは0.1〜5.0dtexである。本発明の繊維はあらゆる形態で使用することができ、例えばカットファイバー、フィラメントヤーン、紡績糸等としても構わない。
本発明のPVA系バインダー繊維を用いて紙または不織布を製造するが、紙または不織布中の該PVA系バインダー繊維は全固形分に対して1〜50質量%含んでいることが好ましい。紙または不織布中の該PVA系バインダー繊維の含有量が1質量%よりも少ないと、繊維の構成本数が少ないためバインダーとして機能せず、したがって接着性が発現しなくなる。一方、紙または不織布中の該PVA系バインダー繊維の含有量が50質量%よりも多いと、バインダー繊維が主体となるため、バインダー繊維の収縮による紙または不織布の表面平滑性の低下や、風合いが硬くなる等の品位の低下を招く恐れがある。より好ましくは2〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%である。
以下実施例により本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお本発明の実施例において、PVA樹脂の重合度、PVAバインダー繊維の断面充実度、断面形状、溶出量、膨潤度、およびPVAバインダー繊維を用いて製造した紙の湿裂断長(WB)、乾裂断長(DB)は以下の測定方法によって測定されたものを示す。
[PVA樹脂の重合度]
PVA系ポリマーを1〜10g/lの濃度(Cv)になるように熱水で溶解して得られた溶液の相対粘度ηrelをJIS K6726試験法に準拠して30℃で測定し、下記(1)式より極限粘度[η]を求め、さらに(2)式より重合度PAを算出する。
[η]=2.303log(ηrel)/Cv ・・・(1)
PA=([η]×104/8.29)×1.613 ・・・(2)
[PVAバインダー繊維の断面充実度 %]
走査型電子顕微鏡〔(株)日立製作所製〕にて繊維の断面形状を測定し、繊維の断面積をS1、その繊維を取り囲む最小円の面積をS2とし、以下の式により求める。
断面充実度(%)=(S1/S2)×100
[PVAバインダー繊維の断面形状 A/B、C/B、B(μm)]
走査型電子顕微鏡〔(株)日立製作所製〕にて繊維の断面形状を測定し、求めた。
[PVAバインダー繊維のPVA溶出量 %]
繊維中のPVA樹脂純分が1gとなるように換算量を秤量したのち、30℃の水100ml中に浸漬し、液温を30℃に保ったまま30分静置する。静置後、未溶解部分を除去した上澄み液50mlを採取し、水蒸気浴上で蒸発乾固したのち、105℃の乾燥機中で4時間乾燥させ、乾燥後乾燥残分a(g)を計量する。この乾燥残分にはPVAと硫酸ナトリウム等の無機分が含まれるため、さらに500〜800℃でPVA成分が完全に無くなるまで焼成する。焼成後、残分b(g)を測定し、下記の式から溶出量を求める。
溶出量(%)=(a−b)×200
[PVAバインダー繊維の膨潤度 %]
繊維中のPVA樹脂純分が1gとなるように換算量を秤量したのち、30℃の水100ml中に浸漬し、液温を30℃に保ったまま30分静置する。静置後、繊維分を濾取して回転数3000rpmの延伸脱水機で10分間脱水し、脱水後の質量(M1)を測定する。質量測定したサンプルを105℃の熱風乾燥機中で4時間乾燥後、質量(M2)を測定し、以下の式から膨潤度を求める。
膨潤度(%)=[(M1−M2)/M2]×100
[紙の湿裂断長WB、乾裂断長DB N・m/g]
紙の湿裂断長WBは紙を20℃の水中で24時間吸水させた後、幅15mm、長さ170mmの試料を把持長さ100mm、引張速度50mm/分で測定した強力WS(N)と試料の秤量W(g/m)より下記式にて求めた。
WB=WS/(15×W)×1000(N・m/g)
一方、紙の乾裂断長DBは、23℃×50%RH室内で24時間調湿した後、幅15mm、長さ170mmの試料を把持長さ100mm、引張速度50mm/分で測定した強力DS(N)と試料の秤量W(g/m)より下記式にて求めた。
DB=DS/(15×W)×1000(N・m/g)
[実施例1]
(1)平均重合度1700、ケン化度98.0モル%のPVA樹脂14質量%水溶液からなる紡糸原液を孔数4000、縦30μm×横180μmの長方形のスリット型の紡糸口金より飽和硫酸ナトリウムからなる凝固浴中に吐出させ、紡糸口金の金板面と第一ローラーとの間の張力が0.035〜0.045cN/dtexとなるように第1ローラーで巻き取った後、4倍の湿延伸を行い、定長乾燥機中にて120℃で10分間乾燥させ、表1に示すように、断面充実度23%、断面形状がA/B=6.3、C/B=0.97、B=4.5μmの繊度1.5dtexの扁平形状PVA繊維を得た。また得られた扁平状PVA繊維の膨潤度は182%、PVAの溶出量は6.9%であった。
(2)上記(1)で得られたPVA繊維を3mmにカットしたものを繊維純分として20質量部、ガラス繊維(旭ファイバーグラス株式会社製「GP024」、繊維径9μm、繊維長6mm)を80質量部混合して均一に混合攪拌してスラリーを調製した。かかるスラリーを用いてTAPPI式抄紙機に供給して抄造した後、乾燥温度210℃のネット式エアースルードライヤーを用いて乾燥し、秤量40g/mの紙を製造した。得られた紙のDB、WBは表1に示すように各々4.59N・m/g、0.34N・m/gであった。
[実施例2]
(1)平均重合度1700、ケン化度98.0モル%、エチレン含有量5モル%のPVA樹脂14質量%水溶液からなる紡糸原液を実施例1と同一条件にて紡糸、延伸、熱処理を行い、表1に示すように、断面充実度23%、断面形状がA/B=6.1、C/B=0.97、B=4.5μmの繊度1.5dtexの扁平形状PVA繊維を得た。また得られた扁平状PVA繊維の膨潤度は154%、PVAの溶出量は2.3%であった。
(2)上記(1)で得られたPVA繊維を実施例1と同一条件にて紙を製造した。得られた紙のDB、WBは表1に示すように各々4.63N・m/g、0.78N・m/gであった。
[実施例3]
(1)平均重合度1700、ケン化度99.9モル%のPVA樹脂14質量%水溶液からなる紡糸原液を実施例1と同一条件にて紡糸、延伸、熱処理を行い、表1に示すように、断面充実度23%、断面形状がA/B=6.2、C/B=0.99、B=4.4μmの繊度1.5dtexの扁平形状PVA繊維を得た。また得られた扁平状PVA繊維の膨潤度は143%、PVAの溶出量は0.9%であった。
(2)上記(1)で得られたPVA繊維を実施例1と同一条件にて紙を製造した。得られた紙のDB、WBは表1に示すように各々2.80N・m/g、0.38N・m/gであった。
[実施例4]
(1)平均重合度1700、ケン化度98.0モル%のPVA樹脂14質量%水溶液からなる紡糸原液を孔数4000、縦30μm×横450μmの長方形のスリット型の紡糸口金より飽和硫酸ナトリウムからなる凝固浴中に吐出させ、紡糸口金の金板面と第一ローラーとの間の張力が0.035〜0.045cN/dtexとなるように第1ローラーで巻き取った後、4倍の湿延伸を行い、定長乾燥機中にて120℃で10分間乾燥させ、表1に示すように、断面充実度9%、断面形状がA/B=16、C/B=0.98、B=4.5μmの繊度3.8dtexの扁平形状PVA繊維を得た。また得られた扁平状PVA繊維の膨潤度は162%、PVAの溶出量は3.1%であった。
(2)上記(1)で得られたPVA繊維を実施例1と同一条件にて紙を製造した。得られた紙のDB、WBは表1に示すように各々4.48N・m/g、0.35N・m/gであった。
[実施例5]
(1)平均重合度1700、ケン化度98.0モル%のPVA樹脂14質量%水溶液からなる紡糸原液を実施例1と同一条件で紡糸、湿延伸を行い、さらに15〜30℃の水中にて定長水洗した後、定長乾燥機中にて120℃で10分間乾燥させ、表1に示すように、断面充実度23%、断面形状がA/B=6.1、C/B=0.97、B=4.4μmの繊度1.5dtexのソルトフリーの扁平形状PVA繊維を得た。また得られた扁平状PVA繊維の膨潤度は160%、PVAの溶出量は1.1%であった。
(2)上記(1)で得られたPVA繊維を実施例1と同一条件にて紙を製造した。得られた紙のDB、WBは表1に示すように各々4.22N・m/g、0.33N・m/gであった。
[実施例6]
(1)平均重合度1700、ケン化度98.0モル%のPVA樹脂18質量%のDMSO(ジメチルスルホキシド)溶液からなる紡糸原液を孔数20000、縦30μm×横180μmの長方形のスリット型の紡糸口金よりメタノールからなる固化浴中に吐出させ、紡糸口金の金板面と第一ローラーとの間の張力が0.035〜0.045cN/dtexとなるように第1ローラーで巻き取った後、3倍の湿延伸を行い、定長乾燥機中にて140℃で10分間乾燥させ、表1に示すように、断面充実度25%、断面形状がA/B=5.5、C/B=0.95、B=4.7μmの繊度2.2dtexのソルトフリーの扁平形状PVA繊維を得た。また得られた扁平状PVA繊維の膨潤度は170%、PVAの溶出量は3.3%であった。
(2)上記(1)で得られたPVA繊維を実施例1と同一条件にて紙を製造した。得られた紙のDB、WBは表1に示すように各々4.32N・m/g、0.34N・m/gであった。
[比較例1]
(1)平均重合度1700、ケン化度99.9モル%のPVA樹脂14質量%水溶液からなる紡糸原液を孔径60μm、孔数4000の紡糸口金より飽和硫酸ナトリウムからなる凝固浴中に吐出させ、第1ローラーで巻き取った後、4倍の湿延伸を行い、定長乾燥機中にて120℃で10分間乾燥させ、表1に示すように、断面充実度39%、繊度1.0dtexの繭型形状のPVA繊維を得た。また得られた繭型形状PVA繊維の膨潤度は145%、PVAの溶出量は1.0%であった。
(2)上記(1)で得られたPVA繊維を実施例1と同一条件にて紙を製造した。得られた紙のDB、WBは表1に示すように各々0.35N・m/g、0.05N・m/gであり、紙力が本発明で得られたPVAバインダー繊維を用いた紙(実施例1〜6)と比べて著しく劣るものであった。
[比較例2]
(1)平均重合度1700、ケン化度98.0モル%のPVA樹脂14質量%水溶液からなる紡糸原液を比較例1と同一条件にて紡糸、延伸、熱処理を行い、表1に示すように、断面充実度39%、繊度1.0dtexの繭型形状のPVA繊維を得た。また得られた繭型形状PVA繊維の膨潤度は162%、PVAの溶出量は3.1%であった。
(2)上記(1)で得られたPVA繊維を実施例1と同一条件にて紙を製造した。得られた紙のDB、WBは表1に示すように各々1.52N・m/g、0.29N・m/gであり、紙力が本発明で得られたPVAバインダー繊維を用いた紙(実施例1〜6)と比べて劣るものであった。
[比較例3]
PVAバインダー繊維として、株式会社ニチビ製の断面充実度43%、断面形状がA/B=3.7、C/B=1.4、B=7.1μmのダンベル型断面形状のソルブロン「NL2003」を用いて紙を製造した。表1に示すように該バインダー繊維の膨潤度は160%、PVAの溶出量は10%であり、得られた紙のDB、WBは各々1.81N・m/g、0.01N・m/gであり、紙力が本発明で得られたPVAバインダー繊維を用いた紙(実施例1〜6)と比べて著しく劣るものであった。
Figure 0003796248
本発明の単繊維の断面充実度が30%以下であり、30℃の水中における繊維の膨潤度が100%以上かつ溶出量が20%以下であるPVA系バインダー繊維を用いることにより、熱風乾燥方式のような高速乾燥や、マルチシリンダー方式のような低温乾燥等の低熱量の乾燥条件下でも高強力な紙または不織布を得ることが可能となる。
扁平断面繊維の断面形状模式図。

Claims (5)

  1. 繊維の断面充実度が30%以下であり、30℃の水中における繊維の膨潤度が100%以上、かつ溶出量が20%以下であることを特徴とするポリビニルアルコール系バインダー繊維。
  2. 繊維断面が扁平形状しており、その長辺の長さをA、その長辺の中央部(1/2A)の厚さをB、その長辺の端部より1/4Aの部分の厚さをCとしたときに、A/B≧3かつ0.6≦C/B≦1.2である請求項1記載のポリビニルアルコール系バインダー繊維。
  3. 長辺の中央部(1/2A)の厚さBが6μm以下である請求項2記載のポリビニルアルコール系バインダー繊維。
  4. ポリビニルアルコール系樹脂が、カルボン酸基、スルホン酸基、エチレン基、シラン基、シラノール基、アミン基、アンモニウム基のいずれかを0.1〜15モル%共重合されてなる樹脂である請求項1〜3のいずれか1項記載のポリビニルアルコール系バインダー繊維。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載のポリビニルアルコール系バインダー繊維を1〜50質量%含有してなる紙または不織布。
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