まず、本発明の参考例を図1を参照して説明する。本発明の参考例の音叉型圧電振動ジャイロは、図1(a)に示すように、圧電単結晶からなるアーム20、22及びベース24とを有する。圧電単結晶としては圧電横効果の結合係数が大きいものが好ましく、例えば、LiTaO3140°±20°回転Y板(LiTaO340°±20°回転Z板)、LiNbO3130°±20°回転Y板(LiNbO350°±20°回転Z板)、水晶Xカット板等を用いることができる。なお、圧電単結晶の結晶方位はその厚み方向におけるものである。
図1に示す構成では、駆動電極28a及び28bをベース24の表面及び裏面(ジャイロの厚み方向に対向する面)に設けてある。駆動電極28a及び28bの位置は、アーム20、22の根元付近(支点付近)の領域である。この駆動電極28a及び28bに図1(b)に示すように駆動電源OSCを接続して駆動すると、図1(a)及び(c)に示すような音叉振動がアーム20と22に起きる。この状態にあるジャイロを駆動モードにあるという。この駆動振動は圧電横効果により、ベース24の上面(アーム20、22が設けられている面)が矢印Aで示すように振動するものである。これにより、アーム20、22は図1(a)の破線で示すように振動する。このような振動モードにある状態で振動軸に回転運動が加わると、次式の運動方程式で表される振動方向と垂直方向にコリオリ力が発生する。
Zx ηx ≒Fx +2my Ω0 ηy
Zy ηy ≒Fy −2mx Ω0 ηx
ここで、Zx 、Zy はそれぞれx軸及びy軸方向(図(e)参照:x軸方向はジャイロの幅方向に相当し、y軸方向はジャイロの厚み方向に相当する)の機械的インピーダンス、ηx 、ηy はそれぞれx軸及びy軸方向の速度、Fx 、Fy はそれぞれx軸及びy軸方向のコリオリ力、mx 、my はそれぞれx軸及びy軸方向の質量、Ω0 は角速度である。
そこで、アーム20と22に上記の音叉振動(fx モード振動とも言う)の垂直方向振動(fy モード振動とも言う)を検出(又は励振)する電極を構成しておけが、コリオリ力を受けて互いにたわんだアームから電気的出力を得ることができる。ここで、図16に示すような一方のアームを駆動用とし、他方のアームを検出用とすると、コリオリ力に起因する以外の屈曲振動まで検出してしまうので、検出誤差が発生したり温度ドリフトの原因となるねじり振動等の不要振動成分も検出してしまう。
この点を考慮して、図2(b)に示すように、本発明の参考例ではアーム20と22の両方に検出電極を設けることで、同相方向の振動(図2(a))による出力を検知することなく、互いに逆方向に振動するモード(図1(e))だけを検出する。すなわち、2つのアーム20と22は互いに位相反転するように検出電極を設けている。図2(b)に示すように、同相方向の振動による検出出力はアーム20と22でどちらもプラスで同一電圧値であり、アーム20と22の出力を差動増幅することで、相殺することができる。
図3(a)は駆動モードの状態で角速度が加わった時のアーム20、22の振動(逆相の振動)を示し、図3(b)はこれによる内部電界を示す。図2(b)で示す結線された電極以外の電極はグランド(基準電位)に設定する。すなわち、アーム20と22は互いに同位相信号出力となるように検出電極を設けてある。これにより、角速度に起因する電圧はグランド電位に対し一方のアームでプラスとなり、他方のアームでマイナスとなる(すなわち、差動増幅)。この場合、図2を参照して説明したように、同相の振動による検出出力は相殺されて出力端子には現われない。
また、図4に示す電極構成でも、角速度に起因した逆相の振動による出力のみを検出することができる。図4(a)に示す逆相振動に対し図4(b)に示す電極構成で差動出力が得られる。同相振動による電圧は図4(b)の結線でプラス成分とマイナス成分とが相殺され、出力端子には現われない。
以上のように、本発明の参考例では圧電単結晶の圧電横効果を利用して駆動振動を発生させ、角速度の検出は角速度に起因した逆相振動のみを検出するような電極構成を採用している。
以上説明した駆動電極及び検出電極をまとめた電極構成を、本発明の参考例として図5に示す。図5(a)は音叉型圧電振動ジャイロの正面図、図5(b)は平面図である。駆動電極28a及び28bはそれぞれ、ベース24の表面及び裏面上に設けられ、かつアーム20及び22の根元部分に近接して位置している。換言すれば、駆動電極28a及び28bは、アーム20と22の支点部分を含む領域に設けられているとも言える。アーム20の4面には検出電極26a、26b、26c及び26dが設けられ、アーム22の4面には検出電極27a、27b、27c及び27dが設けられている。これらの検出電極は、例えば図3(b)又は図4(b)の通り結線されている。後述するように、同相振動を検出せず、逆相振動のみを検出するためには図5に示す8枚の検出電極を用いる必要はない。
なお、駆動電極28a及び28bの面積は、ジャイロの素子特性に応じて適宜選択する。また、容量比は例えば、駆動電極側で478で検出電極側で221であり、従来構成のように駆動側と検出側で容量比が大きくことなるようなことはない。
ここで、図5に示す電極構造をベースに、特に検出電極構成の変形例について、図6及び図7を参照して説明する。図6の(a)〜(l)は前述した図3(b)の検出電極構成を利用したもので検出電極を2つのグループに分け、図7(a)〜(h)は前述した図4(b)の検出電極構成を利用したもので検出電極を3つのグループに分けたものである。図を分かりやすくするために、アーム20と22に設けられた電極の参照番号は省略する。
図6(a)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの厚み方向両面から引き出した電極と、もう一方のアームの厚み方向両面から引き出した電極とが基準電位と接続され、出力は検出電極のうちの一方のアームの幅方向表裏面から引き出した電極(図中の●)と、もう一方のアームの幅方向表裏面から引き出した電極(○)との電位差を検出する。
図6(b)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの幅方向表裏面から引き出した電極が、もう一方のアームの幅方向表裏面から引き出した電極と基準電位とに接続され、出力は検出電極のうちの一方のアームの厚み方向両面から引き出した電極(○)と、もう一方のアームの厚み方向両面から引き出した電極(●)との電位差を検出する。
図6(c)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極が、もう一方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極と基準電位とに接続され、出力は検出電極のうちの一方のアームの幅方向外側面から引き出した電極(○)と、もう一方のアームの幅方向外側面から引き出した電極(●)との電位差を検出する。 図6(d)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極が、もう一方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極と基準電位とに接続され、出力は検出電極のうちの一方のアームの幅方向内側面から引き出した電極(○)と、もう一方のアームの幅方向内側面から引き出した電極(●)との電位差を検出する。 図6(e)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの幅方向外側面から引き出した電極が、もう一方のアームの厚み方向外側面から引き出した電極と基準電位とに接続され、出力は検出電極のうちの一方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極(●)と、もう一方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極(○)との電位差を検出する。
図6(f)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの幅方向外側面及び厚み方向表裏面から引き出した電極が、もう一方のアームの幅方向外側面及び厚み方向表裏面から引き出した電極と基準電位とに接続され、出力は検出電極のうちの一方のアームの幅方向外側面から引き出した電極(○)と、もう一方のアームの幅方向外側面から引き出した電極(●)との電位差を検出する。
図6(g)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの幅方向内側面及び厚み方向表裏面から引き出した電極が、もう一方のアームの幅方向内側面及び厚み方向表裏面から引き出した電極と基準電位とに接続され、出力は検出電極のうちの一方のアームの幅方向内側面から引き出した電極(●)と、もう一方のアームの幅方向内側面(○)から引き出した電極との電位差を検出する。
図6(h)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの幅方向内側面と他方のアームの幅方向内側面とから引き出した電極が基準電位に接続され、出力は一方のアームの幅方向外側面及び厚み方向表裏面から引き出した電極(○)と、もう一方のアームの幅方向外側面及び厚み方向表裏面から引き出した電極(●)との電位差を検出する。
図6(i)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの幅方向外側面と他方のアームの幅方向外側面とから引き出した電極が基準電位に接続され、出力は一方のアームの幅方向内側面及び厚み方向表裏面から引き出した電極(○)と、もう一方のアームの幅方向内側面及び厚み方向表裏面から引き出した電極(●)との電位差を検出する。
図6(j)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの幅方向両面と厚み方向裏面と他方のアームの幅方向両面と厚み方向表面とから引き出した電極が基準電位に接続され、出力は一方のアームの厚み方向表面から引き出した電極(○)と、もう一方のアームの厚み方向裏面から引き出した電極(●)との電位差を検出する。
図6(k)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの厚み方向表面と他方のアームの厚み方向表面とから引き出した電極が基準電位に接続され、一方のアームの幅方向両面と厚み方向裏面から引き出した電極(●)と他方のアームの幅方向両面と厚み方向裏面とから引き出した電極(○)との電位差を検出する。
図6(l)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの幅方向内側面と他方のアームの幅方向内側面とから引き出した電極が基準電位に接続され、一方のアームの厚み方向表裏面とから引き出した電極(○)と他方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極(●)との電位差を検出する。
次に、図4(b)の検出電極構成を利用した電極構成を図7(a)〜(h)を参照して説明する。
図7(a)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極と他方のアームの幅方向両面から引き出した電極とを接続して第1の検出電極(図の○)を構成し、一方のアームの幅方向両面から引き出した電極と他方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極とを接続して第2の検出電極(図の●)を構成し、第1及び第2の検出電極の電位差を検出する。
図7(b)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極と他方のアームの幅方向外側面から引き出した電極とを接続して第1の検出電極(○)を構成し、一方のアームの幅方向外側面から引き出した電極と他方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極とを接続して第2の検出電極(●)を構成し、第1及び第2の検出電極の電位差を検出する。
図7(c)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極と他方のアームの幅方向内側面から引き出した電極とを接続して第1の検出電極(○)を構成し、一方のアームの幅方向内側面から引き出した電極と他方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極とを接続して第2の検出電極(●)を構成し、第1及び第2の検出電極の電位差を検出する。
図7(d)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの厚み方向裏面から引き出した電極と他方のアームの幅方向両面から引き出した電極とを接続して第1の検出電極(○)を構成し、一方のアームの幅方向両面面から引き出した電極と他方のアームの厚み方向表表面から引き出した電極とを接続して第2の検出電極(●)を構成し、第1及び第2の検出電極の電位差を検出する。
図7(e)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの幅方向内側面から引き出した電極と他方のアームの幅方向外側面と厚み方向表裏面とから引き出した電極とを接続して第1の検出電極(○)を構成し、一方のアームの幅方向外側面と厚み方向表裏面とから引き出した電極と他方のアームの幅方向内側面から引き出した電極とを接続して第2の検出電極(●)を構成し、第1及び第2の検出電極の電位差を検出する。
図7(f)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの厚み方向両面と幅方向内側面とから引き出した電極と他方のアームの幅方向外側面とから引き出した電極とを接続して第1の検出電極(○)を構成し、一方のアームの幅方向外側面と他方の電極の厚み方向表裏面とから引き出した電極と他方のアームの幅方向内側面とから引き出した電極とを接続して第2の検出電極(●)を構成し、第1及び第2の検出電極の電位差を検出する。
図7(g)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの厚み方向両面と幅方向外側面とから引き出した電極と他方のアームの幅方向外側面とから引き出した電極とを接続して第1の検出電極(○)を構成し、一方のアームの幅方向内側面と他方の電極の厚み方向表裏面と幅方向内側面とから引き出した電極とを接続して第2の検出電極(●)を構成し、第1及び第2の検出電極の電位差を検出する。
以上のように、検出電極を各アームの4面又は3面に設けて上述の配線とすることで、簡単な構成で回転角速度を精度良く検出することができる。
図8には、図7(g)に示す電極構成を有する音叉型圧電振動ジャイロの構成を示す図である。なお、電極構成を分かりやすくするために、電極の厚み等は強調して図示してある。図8(a)は正面図、図8(b)は右側面図、図8(c)は裏面図、及び図8(d)は平面図である。
検出電極26a、26b及び26dは一体的に形成され、引き出し線31を介してベース24の表面上に設けられた外部接続用の端子33に接続されている。同様に、検出電極27a、27b及び27dは一体的に形成され、引き出し電極線32を介してベース24の表面上に設けられた外部接続用の端子34に接続されている。検出電極26cは引き出し電極線35を介して、外部接続用の端子37に接続されている。同様に、検出電極27cは引き出し電極線36を介して、外部接続用の端子38に接続されている。駆動電極28aは引き出し電極線40を介して、外部接続用の端子39に接続されている。ベース24の裏面に形成された駆動電極28bは、ベース24に設けられたスルーホール43及びベース24の表裏面を通る引き出し電極線42を介して、ベース24の表面に設けられた外部接続用の端子41に接続されている。
次に、上述した電極構成とは異なる電極構成について説明する。
上述した電極構成では、駆動電極28a及び28bはベース24の表裏面上であって、アーム20と22の根元付近に設けられていた。以下に説明する電極構成では、駆動電極をアーム20と22の夫々の表裏面上の内側に設けて、圧電単結晶の横圧電効果を利用して駆動振動を起こすことを特徴とする。
図9は、この電極構成を示す図である。図9(a)はジャイロの正面図、図9(b)はジャイロの平面図である。略U字状パターンの駆動電極48a及び48bが、ジャイロの表面及び裏面に図示するように設けられている。駆動電極48aは、アーム20及び22の表面上の内側部分及びベース24の表面上の根元付近に設けられている。同様に、駆動電極48bは、アーム20及び22の裏面上の内側部分及びベース24の裏面上の根元付近に設けられている。
このような構成の駆動電極48a及び48bに駆動電源OSCで駆動信号を与えると、図9(b)の直線状の矢印で示すような内部電界が発生し、図9(a)に示すような伸び振動(音叉振動)が発生する。この状態(振動モードにある状態)で回転角速度が加わると、図9(b)に示す変位に起因して曲線状の矢印で示すような内部電界が発生する。従って、この内部電界による電圧を検出することで回転角速度を検出することができる。この電圧を検出ための検出電極を、アーム20及び22の表裏面の各々の外側部分に設けることができる。
このような電極構成を図10に示す。図10(a)は上記電極構成を有する音叉型圧電振動ジャイロの正面図、図10(b)は右側面図、図10(c)は平面図である。駆動電極48a及び48bは前述したように設けられてる。図示する電極構成では、各アームごとに3つの検出電極が設けられている。アーム20の厚み方向表裏面及び幅方向外側面にはそれぞれ、検出電極46a、46b及び46cが設けられている。同様に、アーム22の厚み方向表裏面及び幅方向外側面にはそれぞれ、検出電極47a、47b及び47cが設けられている。検出電極46aと46bはそれぞれ、アーム20の表面及び裏面の外側部分に配置されている。これにより、アーム20の表面及び裏面では夫々、内側に駆動電極が外側に検出電極が位置するようにこれらの電極が並んで設けられている。アーム22においても同様である。なお、図10では、引き出し電極線や外部接続用端子等は便宜上省略してある。
なお、図10に示す構成において、容量比は一例として、駆動電極側で136であり、検出電極側で278であり、従来構成のように駆動側と検出側で容量比が大きくことなるようなことはない。
図11は図10に示す電極配置における電極構成を示す図である。図11(a)は2つの検出電極間の電位差で回転角速度を検出する構成であり、図11(b)、(c)は基準電極に対する2つの電極の電位差(差動増幅)で回転角速度を検出する構成である。
図11(a)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極と他方のアームの幅方向外側面から引き出した電極とを接続した第1の検出電極(○)と、一方のアームの幅方向外側面から引き出した電極と他方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極とを接続した第2の検出電極(●)との電位差を検出する。 図11(b)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極と他方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極とを基準電位に接続し、一方のアームの幅方向外側面から引き出した電極(○)と、他方のアームの幅方向外側面から引き出した電極(●)との電位差を検出する。
図11(c)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの幅方向外側面から引き出した電極と他方のアームの幅方向外側電極から引き出した電極とを基準電位に接続し、一方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極(●)と、他方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極(○)との電位差を検出する。
図12は図10に示す音叉型圧電振動ジャイロの変形例であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は平面図である。駆動電極58aと58bはそれぞれジャイロの厚み方向表面と裏面に設けられており、かつ各アーム内側に設けられた部分を有する。また、駆動電極58aと58bのベース24の表裏面上に設けられた部分58a’と58b’は、図5に示す駆動電極に類似している。すなわち、駆動電極58aと58bはベース24及びアーム20、22の内側で作用する圧電横効果による音叉振動を駆動する。駆動電極58aは引き出し電極線61を介して外部接続用端子60に接続されている。また、駆動電極58bは引き出し電極線68及びベース24に設けられたスルーホール66を介して、ベース24の表面に設けられた外部接続用端子67に接続されている。
各アーム20、22に対しそれぞれ3つの検出電極が設けられている。アーム20の厚み方向表裏面及び幅方向外側面にはそれぞれ、検出電極56a、56b及び56cが設けられている。同様に、アーム22の厚み方向表裏面及び幅方向外側面にはそれぞれ、検出電極57a、57b及び57cが設けられている。これらの検出電極は、前述の図11(a)に示すように接続されている。検出電極56aは引き出し電極線63を介して外部接続用端子62に接続され、検出電極56bは引き出し電極線70及びスルーホール69を介して引き出し電極線63に接続されている。また、検出電極56cは引き出し電極線74を介して外部接続用端子73に接続されている。同様に、検出電極57aは引き出し電極線65を介して外部接続用端子64に接続され、検出電極57bは引き出し電極線72及びスルーホール71を介して引き出し電極線65に接続されている。また、検出電極57cは引き出し電極線76を介して外部接続用端子75に接続されている。駆動電極は各アーム20、22の表裏面の内側部分ではなく、外側部分に設ける構成であっても、圧電横効果による音叉振動を駆動することができる。
図13は、この電極構成を有する音叉型圧電振動ジャイロを示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。アーム20、22の表裏面の外側及びベース24の表裏面にそれぞれ、一体的に駆動電極78a及び78bが設けられている。この駆動電極78aと78bに図13(b)に示すように駆動電源OSCを接続すると、圧電横効果により図13(b)の直線の矢印で示す内部電界が発生し、これによりアーム20と22が図13(a)で示すようにたわみ、音叉振動が発生する。この状態(駆動モード)で回転角速度がジャイロに加わると、図13(b)に示す曲線の矢印のように内部電界が発生する。この内部電界による電圧を検出することで、回転角速度を検出できる。
アーム20の厚み方向表裏面にはそれぞれ、検出電極76a及び76bが設けられ、幅方向内側面には検出電極76cが設けられている。同様に、アーム22の厚み方向表裏面にはそれぞれ、検出電極77a及び77bが設けられ、幅方向内側面には検出電極77cが設けられている。
図14は、上記検出電極の接続を示す図である。図14(a)は2つの検出電極間の電位差で回転角速度を検出する構成であり、図14(b)、(c)は基準電極に対する2つの電極の電位差(差動増幅)で回転角速度を検出する構成である。
図14(a)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極と他方のアームの幅方向内側面から引き出した電極とを接続した第1の検出電極(○)と、一方のアームの幅方向内側面から引き出した電極と他方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極とを接続した第2の検出電極(●)との電位差を検出する。 図14(b)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極と他方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極とを基準電位に接続し、一方のアームの幅方向内側面から引き出した電極(○)と、他方のアームの幅方向内側面から引き出した電極(●)との電位差を検出する。
図14(c)に示す電極構成は次の通りである。アーム20と22に設けた検出電極のうち、一方のアームの幅方向内側面から引き出した電極と他方のアームの幅方向内側電極から引き出した電極とを基準電位に接続し、一方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極(●)と、他方のアームの厚み方向表裏面から引き出した電極(○)との電位差を検出する。
図15は、図14(b)に示す電極構成を有する音叉型圧電振動ジャイロを示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。駆動電極88a及び88bはそれぞれ、ジャイロの表面及び裏面に図示するように設けられている。駆動電極88bは、ベース24に設けられたスルーホール94を通る引き出し電極線95を介して、外部接続用の端子96に接続されている。また、アーム20及び22の表面に設けられる検出電極は、ベース24の表面に設けられた接続部分を介して一体的に構成された検出電極86aである。同様に、アーム20及び22の裏面に設けられる検出電極は、ベース24の裏面に設けられた接続部分を介して一体的に構成された検出電極86bである。検出電極86bはスルーホール90を通る引き出し電極線91を介して外部接続用端子92に接続されている。また、検出電極86aは引き出し電極線93を介して外部接続用端子92に接続されている。
図16は、本発明の参考例の音叉型圧電振動ジャイロの出力電圧を検出する検出回路の構成及び動作を説明するための図である。図16中、参照番号100は、前述した本発明の音叉型圧電振動ジャイロである。検出回路は、演算増幅器OP1、OP2、OP3と、抵抗R1〜R10と、キャパシタC1〜C3とを有する。ジャイロ100の出力out1及びout2はそれぞれ、抵抗R2及びR3を介して演算増幅器OP1及びOP2の非反転入力端子に与えられる。演算増幅器OP3の出力端子は、検出回路の出力端子を構成する。
発振器OSCで矩形波をジャイロ100に与えると、その出力電圧波形は静電結合等によるもれ出力成分を含む。演算増幅器OP1及びOP2はそれぞれ、ジャイロ100の出力out1及びout2を増幅し、演算増幅器OP3は演算増幅器OP1及びOP2の出力を差動増幅する。演算増幅器OP3の出力波形から分かるように、静電結合等のもれを差動増幅により取り去る(キャンセルする)ことができる。
以上、本発明の参考例を説明した。上記の参考例からわかるように、従来技術に比べ簡単な構成で不要振動を検出することなく高精度かつ回転角速度を検出できる。また、配線は簡単であり、量産化に適している。
ところで、上記の参考例では検出電極を各アームの4面又は3面に設ける必要があるが、本発明者は各アームの2面にのみ駆動電極及び検出電極を設け、必要な感度を維持でき、簡単な電極構成で量産化に適した音叉型圧電振動ジャイロの構成を検討した。この検討は、図17に示す事項をベースに図18に示す駆動モードと検出モードとの電界分布の違いに着目したものである。以下の説明は、既に説明した事項と一部重複する部分を含むが、これは説明を判りやすくするためである。
まず、図17(a)、(c)はそれぞれ同一の音叉型圧電振動ジャイロを示す斜視図である。なお、圧電単結晶等の圧電体で構成される素子部分のみを示し、電極の図示は省略してある。音叉型圧電振動ジャイロ100は2つのアーム112、114とこれらと一体的に形成されたベース116とを有する。
図17(a)に示すアーム112、114の表面及び裏面の外側部分に、図17(b)に示すように電極131、132、137、138を設け、電極131と132との間及び電極137と138との間に駆動電圧を印加すると、図17(b)のアーム112、114内に示す矢印の通り電界が発生し、図17(a)及び(b)の矢印で示すように、圧電横効果によりアーム112、114の外側部分が伸縮運動をする。この伸縮運動により、アーム112、114に音叉振動(面内振動又はfxモード振動ともいう)が励振できる。
この音叉振動の振動軸に回転運動が加わると、次式の運動方程式のような振動方向と垂直方向にコリオリ力が発生する。
Zx ηx ≒Fx +2my Ω0 ηy
Zy ηy ≒Fy −2mx Ω0 ηx
ここで、Zx 、Zy はそれぞれ図19に示すX軸及びY軸方向の機械的インピーダンス、ηx 、ηy はそれぞれx軸及びy軸方向の速度、Fx 、Fy はそれぞれX軸及びY軸方向のコリオリ力、mx 、my はそれぞれx軸及びy軸方向の質量、Ω0 は角速度である。なお、図18に示す音叉は圧電単結晶からなり、回転軸をX軸として、例えば、LiTaO340°±20°回転Z板やLiNbO350°±20°回転Z板等の三方晶を用いることができる。なお、圧電単結晶の結晶方位はその厚み方向におけるものである。
そこで、図17(d)に示すように、2つのアーム112、114に上記音叉振動に垂直な方向の振動(面垂直振動又はfyモード振動ともいう)を検出する電極133、134、135、136を構成しておけば、コリオリ力を受けて互いに逆方向にたわんだアームから電気的出力(角速度に比例した電圧)を得ることができる。
この場合において、本発明者は図18に示す駆動モードと検出モードとの電荷分布の違いに着目して、電荷分布の大きい箇所に電極を配置することで、4面又は3面といった電極は必要なく、各アームの2面のみで検出モードを受けることができることを見い出した。
図18(A)は、fxモードの電界分布を示し、図18(B)はfyモードの電界分布を示す。図18(A)、(B)において、記号A〜Hはそれぞれ、アーム112、114内に発生した電荷分布(及びそのポテンシャル)を示し、”+”と”−”はそれぞれ電荷の極性を示す。また、矢印は電界を示す。
図18(A)は、図17(b)に示す電極構成で音叉振動を駆動した場合を示す。また、図18(B)は、図18(A)に示す状態で角速度によるコリオリ力が発生した場合の電荷分布を示す。異方性に起因して発生する電荷の発生場所、極性及び電荷量が図示するようになることが判った。本発明では、図18(B)に示す電荷分布において、電荷の最大又は比較的大きい場所と最低又は比較的小さい場所に電極を設け、ここに発生する電位差を出力することにより角速度を検出する。例えば、図18(B)の電荷分布AとEの電位差を検出するように電極を配列する。より特定すれば、アーム112と114の上面(図18(B)において電界分布A、E側を上面、電界分布C、G側を下面とする)の内側部分に電極を設ける。この電極構成は、図17(d)に示す電極133と135に相当する。原理的には、この電極133と135のみでコリオリ力による発生した電位差を検出できるが、図17(d)に示す電極134と136を設けて電界分布CとGの電位差を検出するようにすることで、感度は向上する。
なお、図18(A)において、A〜Hをポテンシャル(電位)とすると、これらの大小関係は次の通りである。
A=−D=−E=H>−B=C=F=−G
また、図18(B)において、電位A〜Hの大小関係は次の通りである。
A=−E>−B=−D=F=H>C=G
なお、図18に示す電荷分布からは、必ずしも図17(d)に示すように内側部分の電極からコリオリ力による電位差を検出することに限られるものではなく、図17(b)に示すような外側部分の電極を用いて電位差を検出しても良いことが判る。例えば、上記外側部分の電極を検出電極として用いて電荷分布AとEのポテンシャル差を検出する場合には、外側部分には電荷分布AとEの広がりが内側部分に比べて小さいので検出感度は落ちるが、電荷分布AとEのポテンシャル差を検出できる。
以上のように、4面又は3面に検出電極を設けることなく、検出電極と駆動電極を各アームの2面のみに設けることで、コリオリ力による電位差(角速度に比例した電圧)を検出することができる。
図20は、上記電極131〜138を有する本発明の音叉型圧電振動ジャイロの斜視図である。図20では、電極131〜138が設けられたアーム112、114の表面に対向する裏面に設けられた同様の電極は見えないが、電極131〜138と同様に設けられている。なお、参照番号141〜144はそれぞれ電極132、134、136、138の引き出し電極であり、また参照番号145〜148はそれぞれ引き出し電極141〜144に接続された外部接続用の端子である。
以下、図18に基づく第1ないし第9電極構成例について説明する。
図21は、第1の電極構成例を示す図である。同図において、アーム112、114の中心より内側に位置する電極134、136は検出電極として機能し、外側に位置する電極131、137は駆動電極として機能する。検出電極134、136と駆動電極131、137とはアーム112、114の異なる面側に設けられている。その他の電極は接地電位を基準電位とする接地電極として機能する。破線の矢印は電界を示す。駆動電極131及び137に駆動電圧を印加すると矢印の電界が発生してアーム112、114が振動する。この状態でコリオリ力を検出すると、電極134と136の間にコリオリ力による角速度に比例した電位差が生じる。なお、電極133と135を接地しているので、アーム112と114との間の電気的結合を小さく抑さえることができる。
図22は、第2の電極構成例を示す図である。同図において、アーム112、114の中心より外側に位置する電極132、138は検出電極として機能し、内側に位置する電極133、135は駆動電極として機能する。検出電極132、138と駆動電極133、135とはアーム112、114の異なる面側に設けられている。その他の電極は接地電極として機能する。図22に示すように、検出電極132、138をアーム112、114の外側に設けても、これらの電極間にコリオリ力による角速度に比例した電位差が発生する。
図23は、第3の電極構成例を示す図である。図23に示すように、電極133と134は相互に接続され、電極135と136は相互に接続され、検出電極を構成する。電極131、137は駆動電極として機能する。また、電極132、138は接地電極として機能する。検出電極133と134を接続することで図18(B)の電極分布AとCの電荷が加算され、検出電極135と136を接続することで図18(B)の電極分布EとGの電荷が加算される。よって、図23の電極構成は、図21や図22の電極構成に比べ検出感度が高い。
図24は、第4の電極構成例を示す図である。図24に示す構成は図21及び図22に示す構成とは異なり、検出電極及び駆動電極ともアーム112、114の同一面側に設けられており、更にアーム112、114のそれぞれの反対側のほぼ面に電極132A、電極138Aを設けたことを特徴とする。電極131と137は駆動電極として用いられ、電極133と135は検出電極として用いられる。更に、電極132Aと138A(以下、全面電極ともいう)は接地電極として用いられる。アーム112からアーム114方向に電界が発生し、角速度に比例した電極133と135との間の電位差を検出できる。
以下、図25乃至図30は、本発明の実施例を説明する図である。
図25は、第5の電極構成例を示す図である。第5の電極構成は、電極133と135が駆動電極と検出電極を兼ねることを特徴とする。以下、このような電極を共通電極ともいう。矩形波を発生する駆動源151の一端は接地され、他端は演算増幅器(以下、オペアンプという)152、153の非反転入力端子に接続されている。オペアンプ152、153の反転入力端子はそれぞれ電極133、135に接続されている。電極131、132A、137及び138は接地されている。
図26は、図25に示すオペアンプ153及びその周辺回路素子(図25では省略してある)からなる差動増幅回路を示す図である。オペアンプ153の出力電圧は抵抗R1とR2で抵抗分割され、分圧電圧が反転入力端子に与えられる。オペアンプ152の周辺回路も、図26に示すように構成されている。オペアンプ152、153の非反転入力端子及び反転入力端子はイマジナリーショートの状態にあるので、駆動源151が出力する矩形波の駆動電圧はオペアンプ152、153を通して電極133、135に与えられる。この状態でコリオリ力が作用すると、アーム112と114の電極に符号の異なる電荷が蓄積される。図25の2本の横方向矢印は、この蓄積された電荷による電界を示す。これをオペアンプ152、153で矩形波と比較することで、電極133と135との間の電位差に相当する電圧、すなわち角速度に比例する電圧A−Bが得られる。
図27は、第6の電極構成例を示す図である。図27に示す構成は、アーム112と114に蓄積される電荷の電荷量に起因した電位差を、各アーム112、114の両面から検出するものである。このために、先に説明したオペアンプ152、153に加え新たにオペアンプ154、155を設けている。オペアンプ154、155の非反転入力端子はオペアンプ152、153の非反転入力端子とともに接地され、反転入力端子はそれぞれ電極132A、138Aに接続されている。駆動電圧は電極131と137に与えられる。コリオリ力に起因してアーム112に発生した電荷量はオペアンプ152、154の出力の和(A+C)に相当し、アーム114に発生した電荷量はオペアンプ153、155の出力の和(B+D)に相当する。よって、角速度に比例した検出出力は(A+C)−(B+D)となる。図27に示す構成は図25に示す構成に比べて回路が多少複雑になるが、検出感度は向上する。
図28は、第7の電極構成例を示す図である。この電極構成は、図27に示す電極構成を簡素化したものに相当する。すなわち、オペアンプ152、153を取り除き、アーム112、114の一方の側からのみ検出電圧A−Bを得る構成である。図27に示す構成に比べ、図28に示す構成は簡略化されている半面、検出感度は多少劣化する。なお、端子133と135を接地しているので、アーム112と114との間の電気的結合を小さく抑さえることができる。
図29は、第8の電極構成例を示す図である。この構成では、アーム112、114の両面の電極を共通電極として用い、共通電極を介して駆動電圧を印加し検出電圧を検出する。オペアンプ152の反転入力端子は電極133と132に接続され、オペアンプ153の反転入力端子は電極135と138に接続されている。また、オペアンプ154の反転入力端子は電極134と131に接続され、オペアンプ155の反転入力端子は電極136と137に接続されている。駆動電圧はアーム112、114の各々の両面から与えられるので、各アーム内には両方向に電界が発生する。コリオリ力によりアーム112、114の各々に発生した電荷量の差は、オペアンプ152〜155を介して検出出力(A+C)−(B+D)として得られる。図29に示す構成は、検出感度が良い半面、回路が多少複雑である。
図30は、第9の電極構成例を示す図である。この構成は、図29に示す第8の電極構成例を簡略化したものに相当する。具体的には、駆動電圧をアーム112、114の一方からのみ与える構成である。駆動電圧はオペアンプ152、153を介して電極133、135に与えられる。また、電極133と135に対向するアーム112、114の面には、全面電極132A、138Aが設けられている。全面電極132Aはオペアンプ154の反転入力端子と電極131に接続されている。また、全面電極138Aはオペアンプ155の反転入力端子と電極137に接続されている。角速度に比例した検出出力は(A+C)−(B+D)となる。図30に示す構成は図29に示す構成よりも簡単である。
なお、上記実施の形態では、各電極131〜138は同一サイズの電極パターンであり、また電極132A、138Aも同一サイズの電極パターンであるが、電荷分布等を考慮して、異なるサイズの電極パターンとしてもよい。
図31は、電極サイズと3つのパラメータとの関係を示す図である。より詳細には、図31(a)は電極サイズと共振抵抗(kΩ)との関係、図31(b)は電極サイズと容量比(γ)との関係、図31(c)は電極サイズとQ値との関係を示すグラフである。電極サイズは、2つのアームの対向する2面の全面に電極を設け、レーザ光で2つのアームの電極を同じ量だけトリミングして次第に面積を縮小していった場合の各アームの各面毎の総面積である。Q値が最大で容量比(γ)が最小となるような面積が好ましい。今、電極サイズが2mm2とした場合、各アーム幅を1.0mmとし、アーム長さを7.5mmとすると、各アームの2つの対向する面の各々に設けられる電極は、アーム幅1.0mmの半分以下の大きさ(例えば0.3mm)で良いことがわかる。よって、各面の駆動電極の幅のトータルをアーム幅よりも小さくしても、良好にfxモードの振動を発生させることがわかる。
図32は、検出電極サイズと上記3つのパラメータとの関係を示す図である。より詳細には、図32(a)は検出電極サイズと共振抵抗(kΩ)との関係、図31(b)は検出電極サイズと容量比(γ)との関係、図31(c)は検出電極サイズとQ値との関係を示すグラフである。検出電極サイズは、2つのアームの対向する2面の全面に電極を設け、レーザ光で2つのアームの電極を同じ量だけトリミングして次第に面積を縮小していった場合の各アームの各面毎の総面積である。Q値が最大で容量比(γ)が最小となるような面積が好ましい。図32から、検出電極はできるだけ大きいほうが上記条件を満足する。
以上、図31及び図32から、駆動電極は相対的に小さく、検出電極は相対的に大きくすれば、検出電極の容量比を小さくする、すなわち感度を上げることができる。
以上、本発明の実施の形態を説明した。上記の説明から分かるように、本発明では各アームの2面にのみ電極を設ける構成のため、必要な感度を維持でき、より簡単な電極構成でより量産化に適している。