JP3795732B2 - 除湿装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の室内を除湿して壁や窓等に結露が発生することを防止するための除湿装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、外気温度が低下する冬期等には、室内温度と室外温度との差が大きくなり、断熱性が低く外気によって冷却され易い窓等の開口部に、室内の湿気が結露し易くなる。
一方、近年、住宅等の建物においては、省エネルギー化を図る等のために、屋根、壁、床等の高断熱仕様化及び高気密仕様化が進められており、また、熱が逃げ易い窓等の開口部も、ペアガラスや断熱サッシ枠により構成される断熱構造のサッシを用いて、断熱性が高められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述の如く、高断熱仕様に構成される建物においては、外気温度が低い場合でも室内温度が下がりにくく、結露が発生しにくい構造となっている。
しかし、建物が高断熱仕様に構成されていても、室内空気に含まれる水蒸気量が一定量以上に多くなったり、室内空気の温度が一定温度よりも低くなった場合には、水蒸気は相対的に温度が低い箇所に逃げ場を求めて結露することとなる。
例えば、窓等のサッシ部は、前述の如く断熱構造に構成されていたとしても、他の部分よりは断熱性が低いため、このサッシ部に結露が生じてしまう場合がある。
従って、結露の発生を防止するためには、建物を高断熱仕様に構成するだけでなく、室内の湿気を積極的に取り除くことが望ましい。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
建物の壁面2における室内と室外とを連通する開口部3に、他の壁面構成部材よりも熱伝導性が高いパネル部材である除湿パネル6を枠体5を介して嵌装し、該除湿パネル6を波板形状に形成し、前記開口部3の室内側周囲を、囲壁であるコールドドラフト防止ボックス7で覆い、該コールドドラフト防止ボックス7を断熱部材で構成し、該コールドドラフト防止ボックス7は、除湿パネル6から一定寸法離れた位置に対向して配置される正面壁7aと、該正面壁7aの両側端部と開口部3との間に配置される側面壁7b・7bとで構成し、上方を開口すると共に、前記パネル部材と対向する正面壁7aに通気孔11を形 成し、前記除湿パネル6の表面に結露した水分は、該除湿パネル6面を枠体5の下辺部まで流下し、該枠体5に形成され室外側と室内側とを連通する排水孔5aを通じて室外へ排出され、枠体5下辺部の室外側端部には、外方へ突出し下方へ延出される水切部5bを形成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の除湿装置が設けられる住宅の外観を示す斜視図、図2は除湿装置を室内側から見た状態の斜視図、図3は除湿装置を示す側面断面図、図4は同じく平面断面図、図5は除湿パネルを示す斜視図である。
【0007】
本発明の除湿装置について説明する。図1には、除湿装置が設けられた建物である住宅1の外観を示している。該住宅1の、例えば二階部分に位置する壁面2には開口部3が開口しており、該開口部3には、除湿部材を構成する除湿パネル6が、枠体5を介して嵌装されている。
【0008】
図2乃至図4に示す如く、開口部3は、窓部等の他の開口部分における軸組み・外壁・額縁等の構造と同様の構成で開口されており、室内における床面近傍に形成されている。該開口部3の周縁部に嵌装される枠体5は、窓部に設けられるサッシ枠と略同様の形状に形成されている。
そして、除湿パネル6が、開口部3の全面に渡って枠体5に嵌装されており、該除湿パネル6と枠体5との接続部は、水密性及び気密性が確保されている。
【0009】
除湿パネル6は、開口部3によって連通される室内と室外とを隔離するものであり、その一面が室外に面しているため、防錆性、耐久性、耐風圧性、及び防火性等に優れた材質の部材にて構成され、且つ、熱伝導率が高い材質(少なくともペアガラスや断熱サッシ枠材よりも熱伝導率が高い材質)の部材が用いられている。該除湿パネル6は、図5に示すように、波板状に屈曲された板状部材により形成して、枠体5に装着される除湿パネル6の表面積をできるだけ大きくするようにしている。
【0010】
開口部3の室内側には、コールドドラフト防止ボックス7が配設され、該開口部3を覆っている。コールドドラフト防止ボックス7は、除湿パネル6から一定寸法離れた位置に対向して配置される正面壁7aと、該正面壁7aの両側端部と開口部3との間に配置される側面壁7b・7bと、正面壁7aの下端部と開口部3との間に配置される底面壁7cとで構成されている。
即ち、開口部3形成部分における、室内側の一定の空間は、室内側方向を正面壁7aにより、両側方を側面壁7b・7bにより、下方を底面壁7cにより覆われ、上方は開口している。
【0011】
コールドドラフト防止ボックス7を構成する正面壁7a、側面壁7b・7b、及び底面壁7cは、それぞれ断熱部材により構成されている。正面壁7aには、適宜大きさの開口面積を有する通気孔11が形成されており、例えば本例の場合には、複数の通気孔11・11・・・を左右に並設して設けている。
【0012】
また、コールドドラフト防止ボックス7を構成する正面壁7a、側面壁7b・7b、及び底面壁7cの内側面には、ステンレス等の防錆性が良好な部材により構成される平板状部材12が、それぞれ貼設されている。
【0013】
除湿装置は、除湿パネル6及びコールドドラフト防止ボックス7等により、以上の如く構成され、該除湿装置によって、次のように室内の除湿が行われる。即ち、外気温度が低くて、外気温度と室内温度との間に温度差がある場合、熱伝導率が高い部材で構成される除湿パネル6は、外気により外気温度に近い温度まで冷却される。
【0014】
湿気を含んだ室内空気が、上方からコールドドラフト防止ボックス7内へ侵入し除湿パネル6に接触すると、低温の除湿パネル6により室内空気が露点以下に冷却され、室内空気に含まれる湿気が除湿パネル6表面に結露する。
このように、室内空気の湿気が除湿パネル6表面に結露することにより除湿がなされ、室内空気中の湿気が減少する。
【0015】
除湿パネル6表面に結露した水分は該除湿パネル6面を枠体5の下辺部まで流下し、該枠体5に形成され室外側と室内側とを連通する排水孔5aを通じて室外へ排出される。枠体5の下辺部は、室内側から室外側へ向かって下方へ傾斜しているので、該下辺部まで流下した水滴は自動的に室外へ排出される。
また、外方へ突出する枠体5下辺部の室外側端部には、下方へ延出される水切部5bが形成されており、室外へ排出された水滴は該水切部5bを伝わって下方へ滴下するので、排出された水滴が外壁に付着して、該外壁が汚れてしまうことを防止することができる。
【0016】
また、コールドドラフト防止ボックス7内は開口部3からの冷気により冷却されるため、該コールドドラフト防止ボックス7内面に貼設される高熱伝導性の板状部材12に結露が生じることがある。
この場合、底面壁7cの内側面に貼設される板状部材12は室内側から室外側へ向かって下方へ傾斜しており、該底面壁7cの室外側端部は枠体5の下辺部よりも上方に配置されているので、板状部材12表面に結露した水滴は、底面壁7cの板状部材12表面から枠体5の下辺部へ滴下され、排水孔5aを通じて室外へ排出される。
【0017】
コールドドラフト防止ボックス7の正面壁7aには、前述の如く通気孔11が形成されており、コールドドラフト防止ボックス7内に侵入して除湿された室内空気が該通気孔11から室内へ戻ることを可能としている。
これにより、該室内空気が上方からコールドドラフト防止ボックス7内へ侵入して、除湿パネル6により除湿された後に通気孔11を通じて室内へ排出されるといった室内空気の対流が活発になり、室内空気に含まれる湿気をコールドドラフト防止ボックス7内へ呼び込んで効率的に除湿を行うことができる。
【0018】
また、除湿パネル6は外気温度程度まで冷却されるため、該除湿パネル6近傍の室内空気も冷却されることになるが、該除湿パネル6の室内側周囲は、断熱部材により構成される囲壁であるコールドドラフト防止ボックス7により覆われているので、除湿パネル6により冷却された室内空気が床面に流れ出す、所謂コールドドラフトを防止することができ、建物の断熱性を低下させることを出来るだけ防いでいる。
【0019】
さらに、コールドドラフト防止ボックス7は、開口部3に着脱自在に取り付けられているので、室内の掃除を行う際には該コールドドラフト防止ボックス7を取り外すことができ邪魔になることがなく、除湿パネル6や枠体5等の清掃も簡単に行うことができる。
【0020】
また、結露が生じることがない夏期の間には、コールドドラフト防止ボックス7の上方や通気孔11を断熱部材で塞いだり、該コールドドラフト防止ボックス7の代わりに断熱部材で構成される板状部材を取り付けて開口部3を塞ぐことにより、建物の断熱性を確保して室内の冷房効果を低下させないようにすることができる。
【0021】
以上の如く、本除湿装置においては、外気によって自然に冷却される除湿パネル6により、室内空気の湿気を積極的に結露させて除湿を行うように構成しているので、該除湿装置を作動させるために電力等のエネルギー源を必要をせず、省エネルギー化を図ることができる。
また、室外温度が低い期間は自動的に常時機能するため、除湿装置を作動させるための操作や手間を必要としない。
【0022】
さらに、除湿装置は、窓部のサッシ枠と同様の枠体に除湿パネルを嵌め込んで構成されているので施工が簡単で耐久性も高い。
また、本除湿装置には可動部等がないため、作動時に騒音が発生することなく静かであり、構成が簡単で故障の発生もなく、メンテナンスを殆ど必要としない。
【0023】
なお、本除湿装置は、連続した一空間に対して一箇所程度設ければ十分な除湿効果を発揮することができ、例えば、建物の北面に接する室内やキッチンや洗面所等、又は二階のホールに設置するのが特に好適である。
また、コールドドラフト防止ボックス7内の空間に飲料や食料を収納しておけば、仮置きの冷蔵庫として使用することも可能である。
また、除湿パネル6は、建物の壁面2に元々形成されている開口部3を利用して嵌装するのみならず、新たに開口部3を形成して取り付けることもできる。
【0024】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
建物の壁面2における室内と室外とを連通する開口部3に、他の壁面構成部材よりも熱伝導性が高いパネル部材である除湿パネル6を枠体5を介して嵌装し、該除湿パネル6を波板形状に形成し、前記開口部3の室内側周囲を、囲壁であるコールドドラフト防止ボックス7で覆い、該コールドドラフト防止ボックス7を断熱部材で構成し、該コールドドラフト防止ボックス7は、除湿パネル6から一定寸法離れた位置に対向して配置される正面壁7aと、該正面壁7aの両側端部と開口部3との間に配置される側面壁7b・7bとで構成し、上方を開口すると共に、前記パネル部材と対向する正面壁7aに通気孔11を形成し、前記除湿パネル6の表面に結露した水分は、該除湿パネル6面を枠体5の下辺部まで流下し、該枠体5に形成され室外側と室内側とを連通する排水孔5aを通じて室外へ排出され、枠体5下辺部の室外側端部には、外方へ突出し下方へ延出される水切部5bを形成したので、前記囲壁は、上方が開口するとともに、前記パネル部材と対向する壁面に通気孔11が形成されるので、室内空気が上方から囲壁内へ侵入して、パネル部材により除湿された後に通気孔を通じて室内へ排出されるといった室内空気の対流が活発になり、室内空気に含まれる湿気を囲壁内へ呼び込んで効率的に除湿を行うことができる。
【0025】
また、前記開口部の室内側周囲を底面も含めて、囲壁で覆い、該囲壁を断熱部材で構成し、通気孔11を上方に開口したので、パネル部材により冷却されたパネル部材近傍の室内空気が床面に流れ出す現象である所謂コールドドラフトを、該囲壁と通気孔11により防止することができ、建物の断熱性を低下させることが無くなったのである。
【0026】
さらに、室外へ排出された水滴は該水切部5bを伝わって下方へ滴下するので、排出された水滴が外壁に付着して、該外壁が汚れてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の除湿装置が設けられる住宅の外観を示す斜視図である。
【図2】 除湿装置を室内側から見た状態の斜視図である。
【図3】 除湿装置を示す側面断面図である。
【図4】 同じく平面断面図である。
【図5】 除湿パネルを示す斜視図である。
【符号の説明】
2 壁面
3 開口部
5 枠体
6 除湿パネル
7 コールドドラフト防止ボックス
11 通風孔
Claims (1)
- 建物の壁面2における室内と室外とを連通する開口部3に、他の壁面構成部材よりも熱伝導性が高いパネル部材である除湿パネル6を枠体5を介して嵌装し、該除湿パネル6を波板形状に形成し、前記開口部3の室内側周囲を、囲壁であるコールドドラフト防止ボックス7で覆い、該コールドドラフト防止ボックス7を断熱部材で構成し、該コールドドラフト防止ボックス7は、除湿パネル6から一定寸法離れた位置に対向して配置される正面壁7aと、該正面壁7aの両側端部と開口部3との間に配置される側面壁7b・7bとで構成し、上方を開口すると共に、前記パネル部材と対向する正面壁7aに通気孔11を形成し、前記除湿パネル6の表面に結露した水分は、該除湿パネル6面を枠体5の下辺部まで流下し、該枠体5に形成され室外側と室内側とを連通する排水孔5aを通じて室外へ排出され、枠体5下辺部の室外側端部には、外方へ突出し下方へ延出される水切部5bを形成したことを特徴とする除湿装置。
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