JP3794353B2 - 追従制御対象表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自車の前方を走行する先行車に自車を追従させる制御を行う先行車追従制御システムを搭載した車両の追従制御対象表示装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、特開平11−125535号公報には、1つの表示画面に少なくとも前方車両の車速と、前方車両の自車との車間距離を対応して表示する車両速度表示装置が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の車両速度表示装置を、先行車追従制御システムを搭載した車両に採用しても、現在の制御対象車である追従先行車に関する情報(追従先行車の車速と、自車と追従先行車との車間距離)の情報しか得られない。
【0004】
ところが、実際の走行中においては、現在の追従先行車と自車との間に他車が割り込んできたり、現在の追従先行車が自車の前方から離脱することにより、追従車が切り替わる状況が発生する。また、コーナー旋回時には、隣接車線を走行する車両に対して追従制御が行われる可能性がある。
【0005】
このように、制御対象車が切り替わると、追従制御による自車の挙動も変わるが、ドライバーが制御対象の切替り候補を予期していない場合や制御対象の切替りを認識していない場合には、自車挙動の変更により違和感を持つ。
【0006】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、追従制御の制御対象車が切り替わった場合においても、追従制御が変更されることをドライバーに予測情報として与えることで、自車の挙動変更を容易に認識できるようにし、追従制御の変更に対して違和感を持つことを低減することができる追従制御対象表示装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の追従制御対象表示装置では、追従制御開始スイッチ操作により制御を開始し、自車の前方を走行する先行車に自車を追従させる制御を行い、現在の追従先行車と自車との間に他車が割り込んできたり、現在の追従先行車が自車の前方から離脱することにより、制御対象車を切り替える先行車追従制御システムを搭載した車両において、
自車の前方を走行する先行車を検出する先行車検出手段と、
自車が現在制御対象として追従中である追従先行車を特定する追従制御対象特定手段と、
前記先行車検出手段により検出された先行車のうち、現在制御対象である追従先行車以外の車両であって、将来追従制御対象となり得る追従候補車を特定する追従候補車特定手段と、
前記追従制御対象特定手段により特定された追従先行車および前記追従候補車特定手段により特定された追従候補車を表示する先行車表示手段と、
を備え、
前記先行車表示手段は、自車表示部と先行車表示部と追従候補車表示部とを有し、先行車追従制御時、実際の走行状況を上からみた縮尺スケールにて、自車と追従先行車と追従候補車とを併せて表示することを特徴とする。
【0008】
ここで、「追従候補車」とは、例えば、自車前方の所定領域内に存在する車両、もしくは、自車前方の所定領域内に接近しつつある車両のうち、現在制御対象として追従中である追従先行車を除いた車両から特定されるものをいう。
【0009】
また、「自車前方の所定領域」は、例えば、自車速によりその幅を変えたり、旋回情報によってオフセットする。
【0010】
さらに、追従候補車が複数存在する場合は、例えば、自車の進行方向で最も自車に近い車両を追従候補車として特定するようにする。
【0011】
【発明の効果】
よって、本発明の追従制御対象表示装置にあっては、先行車追従制御時、先行車表示手段の自車表示部と先行車表示部と追従候補車表示部とに、実際の走行状況を上からみた縮尺スケールにて、自車と追従先行車と追従候補車とが併せて表示されることになる。
この表示をドライバーが見ると、複数の前方車のうち、現在制御対象となっている追従先行車がどの車両で、近い将来に制御対象となる可能性が最も高い追従候補車がどの車両であるかを認識することができる。例えば、追従候補車が加速している車両である場合、自車の挙動が加速に移行すると、ドライバーはその前に表示されていた追従候補車が、新たに制御対象としての追従先行車に変更されたものであると予測することができる。また、ドライバーが改めて先行車表示手段の表示内容を見ることで、現在制御対象となっている追従先行車が予測した車両であることを確認することもできる。
このため、自車の挙動が変化してもドライバーが受ける違和感は大きく緩和されることになり、その結果、ドライバーが注意を向ける対象が的確に選択され、運転負荷が低減されることになる。
以上のように、追従制御の制御対象車が切り替わった場合においても、追従制御が変更されることをドライバーに予測情報として与えることで、自車の挙動変更を容易に認識できるようにし、追従制御の変更に対して違和感を持つことを低減することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の追従制御対象表示装置を実現する実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0013】
(第1実施例)
まず、構成を説明する。
図1は第1実施例の追従制御対象表示装置が適用された先行車追従制御システムを示す全体図である。
【0014】
図1において、1は車間距離センサ(先行車検出手段)、2は相対速度センサ(先行車検出手段)、3は追従制御開始スイッチ、4は設定車間スイッチ、5は設定車速変更スイッチ、6は自車速センサ、7はヨーレートセンサ(旋回情報検出手段)、8はコントローラ、9は表示装置(先行車表示手段)、10は制動力制御装置、11はエンジン出力制御装置である。
【0015】
前記車間距離センサ1は、自車と前方車両との距離を測距するセンサで、レーザーレーダやミリ波レーダ等が用いられる。
【0016】
前記相対速度センサ2は、自車と前方車両との相対速度を計測するセンサで、相対速度を直接測定するドップラーセンサを用いても良いし、また、測定した車間距離を微分演算することで相対速度を求めるようにしても良い。
【0017】
前記追従制御開始スイッチ3は、追従制御を行うか否かを選択する。前記設定車間スイッチ4は、追従制御の設定車間を変更する。前記設定車速変更スイッチ5は、設定車速を変更する。
【0018】
前記自車速センサ6は、自車の速度を検出する。前記ヨーレートセンサ7は、自車のヨーレートを検出する。
【0019】
前記コントローラ8は、先行車が存在しない場合は、設定車速を維持しての走行とし、先行車が存在する場合は、設定車速を上限とし、先行車に対し設定車間距離を保つように追従走行する追従走行制御を行う。このコントローラ8では、追従走行制御と同時に、追従制御の状態を表示する表示装置9に対する表示制御も行われる。なお、表示装置9については後述する。
【0020】
また、追従走行制御において、定速・加速・減速の各走行要求を達成するために、コントローラ8から制動力制御装置10に対しては制動力制御指令が出力され、また、エンジン出力制御装置11に対してはエンジン出力制御指令が出力される。
【0021】
図2は第1実施例装置の表示装置が組み込まれたメータパネルを示す図、図3は第1実施例装置の表示装置を示す図である。
【0022】
前記表示装置9は、図2に示すように、車室内のメーターパネル12内の速度計やエンジン回転数計の下側に配置されている。そして、表示装置9には、図3に示すように、自車両を示す自車表示部13と、追従先行車表示部14と、追従候補車表示部15と、を有する。
【0023】
次に、作用を説明する。
【0024】
[追従制御演算処理]
図4はコントローラ8で実行される追従制御演算処理を示すフローチャートで、以下、各ステップSについて説明する。
【0025】
ステップS100では、追従制御開始スイッチ3がONか否かが判断され、ONの場合は追従制御を行うものとしてステップS101へ進む。追従制御開始スイッチ3がOFFの場合は追従制御を行わないものと判断してステップS109へ進む。
【0026】
ステップS101では、自車速センサ6で検出した自車速Vmを読み込み、ステップS102へ進む。
【0027】
ステップS102では、設定車速Vtを算出する。初期の設定車速Vtは、追従制御開始スイッチ3がONとなった時点での自車速Vmとし、設定車速変更スイッチ5が操作された場合には、設定車速を変更する。
【0028】
ステップS103では、車間距離センサ1が先行車を検出しているか否かを判断し、先行車を検出している場合は先行車に追従制御するべくステップS104へ進む。先行車を検出していない場合は、ステップS108へ進み、設定車速Vmで定速走行を行う。
【0029】
ステップS104では、車間距離センサ1で検出した車間距離Lを読み込み、ステップS105へ進む。
【0030】
ステップS105では、設定車間スイッチ4で設定する車間時間になるようにステップS101にて検出した自車速Vmに応じた目標車間距離Ltを算出する。
【0031】
ステップS106では、ステップS104で算出した車間距離LをステップS105で算出した目標車間距離Ltに一致させるように、エンジン出力またはブレーキ力を算出し、エンジン出力制御装置11または制動力制御装置10へ指令信号を出力する。
【0032】
ステップS107では、後述するように追従制御の状態を表示装置9で表示するための処理を行う。
【0033】
ステップS108では、上記ステップS103で先行車を検出していない場合には、設定車速Vmで定速走行を行うようにエンジン出力を演算し、エンジン出力制御装置11へ指令信号を出力する。
【0034】
ステップS109では、ステップS100で追従制御開始スイッチOFFの場合は、追従制御を終了し、エンジン出力、ブレーキ出力を0とし、表示装置9を非表示状態とする。
【0035】
[表示処理]
図5は図4のステップS107で実行される表示処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップSについて説明する(先行車表示手段)。
【0036】
ステップS200では、図3に示す自車表示部13に自車を表示する。
【0037】
ステップS201では、車間距離センサ1が先行車を検知しているか否かを判断し、先行車有りの場合は先行車表示部14を表示させるためにステップS202へ進む(追従制御対象特定手段)。先行車無しの場合は表示処理ルーチンを終了する。
【0038】
ステップS202では、先行車を表示する。この先行車表示部14の表示位置は、実際の走行状況を上からみた縮尺スケールにて表示する。
【0039】
ステップS203では、後述する追従候補車検出処理を行う(図7)。
【0040】
ステップS204では、追従候補車の存在判定を行い、もし追従候補車が存在すればステップS205へ進む。追従候補車が存在しなければここまでで表示処理を終了する。
【0041】
ステップS205では、追従候補車表示部15を表示する。この追従候補車表示部15の表示位置は、実際の走行状況を上からみた縮尺スケールにて表示する。
【0042】
すなわち、追従先行車と追従候補車とが自車の前方に存在する場合には、表示装置9に対し、実際の走行状況を上からみた縮尺スケールにて、自車表示部13と先行車表示部14と追従候補車表示部15とを表示する。
【0043】
[追従候補車検出処理]
図6は追従候補車進入判定領域の設定と追従候補車のレーダー捕捉の説明図であり、自車16,追従先行車17,追従候補車18が描かれている。自車を受けからみるプランビューにおいて、自車中心を原点とするx-y座表系を設定する。このとき追従候補車18の位置ベクトルをS=(Sx,Sy)、相対速度ベクトルV=(Vx,Vy)とする。追従候補車進入判定領域19は、幅Dをもって自車16の前方に伸びる帯である。この幅Dは、先行車追従制御装置が先行車と判定する先行車認定幅Eよりも広い幅をとる。自車直進時は、追従候補車進入判定領域19の中心軸はy軸に一致する。追従候補車進にぅ油判定領域19の右境界までの距離をa、左境界までの距離をbとする。このとき、D=a+bとなる。また、自車直進時は、a=b=D/2である。レーダー走査範囲は、自車を中心としたレーダーコーン20として描かれている。
【0044】
図7は図5のステップS203で実行される追従候補車検出処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップSについて図6を参照しながら説明する(追従候補車特定手段)。
【0045】
ステップS300では、自車前方に設定する追従候補車進入判定領域の幅Dを算出する。これは自車の前方に幅Dを持った帯状の領域を設定して、その領域内に進入する可能性の高い車両を追従候補車として判断するためのものである。この幅Dは、先行車認識幅Eよりも広い値をとるので、D>Eとなる。
また、幅Dは自車速に正の相関をもって変化する。例えば、自車速50[km/h]以上の車速時には、高速道路幅の1.5倍に設定する。また、仮に自車速が50[km/h]を下回っている場合には、幅を小さくして1.2倍程度にする等の例が挙げられる(請求項3に記載の追従候補車特定手段)。
【0046】
ステップS301では、ヨーレートセンサ7から自車のヨーレートwを読み込む。
【0047】
ステップS302では、自車が直進状態にあるか、旋回中であるかの判断を行う。すなわち、ヨーレートwがほとんど0(|w|≒0)であるならば、自車は直進状態であると判別してステップS303へ進む。もしそうでなければ自車は旋回中なので、追従候補車進入判定領域のオフセットを設定して、旋回状態にあわせた追従候補車進入判定領域を設定するためにステップS304へ進む。
【0048】
ステップS303では、自車が直進状態にあるのでオフセット量は0、すなわち追従候補車進入判定領域の帯軸はy軸と一致するのでa=b=D/2となる。
【0049】
ステップS304では、自車が時計回りか反時計回りかのどちらに旋回しているのかの判別を行う。ここで、ヨーレートwは、反時計回りを正とする。ヨーレートw>0の場合、すなわち自車が反時計回り方向へ旋回している場合、ステップS306へ進む。そうでない場合は、自車は時計回り方向へ旋回しており、ステップS305へ進む。
【0050】
ステップS305では、追従候補車進入判定領域を右にオフセットする処理を行い、旋回中の左隣接車線上の車両が不必要に追従候補車進入判定領域に入ることを予防する。このオフセット量は、ヨーレートwに相関して右へ変位させる。例えば、このオフセット量を、a=L/2−w、b=L/2+w等に設定する。但し、wは負の値である。
【0051】
ステップS306では、追従候補車進入判定領域を左にオフセットする処理を行い、旋回中の右隣接車線上の車両が不必要に追従候補車進入判定領域に入ることを予防する。このオフセット量は、ヨーレートwに相関して左へ変位させる。例えば、このオフセット量を、a=L/2−w、b=L/2+w等に設定する。但し、wは正の値である。
なお、ステップS304〜ステップS306は、請求項4の追従候補車特定手段に相当する。
【0052】
ステップS307では、以上の論理により追従候補車進入判定領域のオフセット量が決定されると、追従候補車進入判定処理を行う。
【0053】
[追従候補車進入判定処理]
図8は図7のステップS307の追従候補車進入判定処理を示すフローチャートで、以下、各ステップSについて説明する。なお、以下、ステップS400〜ステップS412までの判定処理(請求項2の追従候補車特定手段)を、追従制御先行車を除く前方を走行する全てのレーダー捕捉車に対して行う。
【0054】
ステップS400では、車間距離センサ1により判定車両の位置ベクトルS=(Sx,Sy)を測距する。
【0055】
ステップS401では、相対速度センサ2により判定車両の相対速度ベクトルV=(Vx,Vy)を計測する。
【0056】
ステップS402では、判定車両がx-y平面上、第2象限、すなわち、Sx<0である場合にはステップS403へ進む。また、第1象限にある場合はステップS406へ進む。
【0057】
ステップS403では、判定車両が追従候補車進入判定領域内に存在するか否かの判定を行い、存在する場合にはステップS409へ進み、判定車両を追従候補車とする。そうでない場合にはステップS404に進む。
【0058】
ステップS404では、判定車両が追従候補車進入判定領域内へ向かう横方向速度ベクトルVxを持つ、すなわち、Vx>0か否かを判定する。この条件を満たせばステップS405へ進む。そうでなければステップS410へ進み、判定車両は追従候補車として扱わない。
【0059】
ステップS405では、判定車両が追従候補車進入判定領域内へ向かう横方向速度ベクトルVxの大きさを判定する。Vxの絶対値が規定値cよりも大きい場合には判定車両は追従候補車進入判定領域内に進入する可能性が高いものとしてステップS409へ進み、判定車両を追従候補車とする。そうでなければステップS410へ進み、その判定車両は追従候補車として扱わない。この規定値cは、判定車両の現在の横位置から、比較的急速に追従候補車進入判定領域に侵入する速度相当に設定する。
【0060】
ステップS406では、判定車両が追従候補車進入判定領域内に存在するか否かの判定を行い、存在する場合にはステップS411へ進み、判定車両を追従候補車とする。そうでない場合にはステップS407に進む。
【0061】
ステップS407では、判定車両が追従候補車進入判定領域内へ向かう横方向速度ベクトルVxを持つ、すなわち、Vx<0か否かを判定する。この条件を満たせばステップS408へ進む。そうでなければステップS412へ進み、判定車両は追従候補車として扱わない。
【0062】
ステップS408では、判定車両が追従候補車進入判定領域内へ向かう横方向速度ベクトルVxの大きさを判定する。Vxの絶対値が規定値cよりも大きい場合には判定車両は追従候補車進入判定領域内に進入する可能性が高いものとしてステップS411へ進み、判定車両を追従候補車とする。そうでなければステップS412へ進み、その判定車両は追従候補車として扱わない。
【0063】
ステップS413では、以上の判定処理で、追従候補車が複数存在する場合は、その候補車中、自車に縦方向で一番近い車両、すなわち、Min Syを追従候補車として扱う(請求項5に記載の追従候補車特定手段)。
【0064】
[制御対象の変更時の表示作用]
先行車追従制御システムが認識している追従車とドライバーが認識している追従車とが異なる場合には、ドライバーはシステムの挙動を予測することができない。このような状況において、先行車追従制御システムにおいて加速や減速をすると、ドライバーはなぜ加速や減速をするのかが分からず、違和感を受ける可能性がある。先行車追従制御システムの作動中において、システムが認識している追従車とドライバーが認識している追従車が異なる可能性の高い事例としては、例えば、以下のような事例が考えられる。
【0065】
〈コーナー旋回中〉
コーナー旋回中、ドライバーは同じレーン上の先行車を制御対象の追従車として認識しているのに対し、先行車追従制御システムが隣接車線を走行する車両を追従している場合は、自車両はその車両の挙動に対応して制御されるため、ドライバーは、自車両の挙動に違和感を受ける可能性がある。
【0066】
〈合流地点〉
高速道路に入った後、合流時に先行車追従制御システムをONにする場合で、様々な車両が自車レーンに合流する場合を考える。この時、複数の車両が左右から割り込んできて、車両が一直線上に並んでいない場合、どの車両に追従しているのかわかりにくくなる。
この状況でシステムが追従制御を行うために加速や減速をした場合、ドライバーは違和感を受ける可能性がある。
【0067】
〈並走バイク〉
並走するバイクに追従中の状況において、ドライバーが制御対象として認識しているバイクと、システムが制御対象とするバイクとが異なっており、かつ、これらのバイクの挙動が異なる状況では、ドライバーは違和感を受ける可能性がある。
【0068】
これに対し、自車が第1実施例装置を搭載した車両である場合は、上記のような、コーナー旋回中や、高速道路での合流地点や、バイクが並走する走行時等において、表示装置9の自車表示部13と先行車表示部14と追従候補車表示部15とに、実際の走行状況を上からみた縮尺スケールにて、自車と追従先行車と追従候補車とが併せて表示されることになる。
【0069】
この表示をドライバーが見ると、複数の前方車のうち、現在制御対象となっている追従先行車がどの車両で、近い将来に制御対象となる可能性が最も高い追従候補車がどの車両であるかを認識することができる。例えば、追従候補車が加速している車両である場合、自車の挙動が加速に移行すると、ドライバーはその前に表示されていた追従候補車が、新たに制御対象としての追従先行車に変更されたものであると予測することができる。また、ドライバーが改めて表示装置9の表示内容を見ることで、現在制御対象となっている追従先行車が予測した車両であることを確認することもできる。
【0070】
このため、自車の挙動が変化してもドライバーが受ける違和感は大きく緩和されることになり、その結果、ドライバーが注意を向ける対象が的確に選択され、運転負荷が低減されることになる。
【0071】
次に、効果を説明する。
第1実施例の追従制御対象表示装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0072】
(1) 自車の前方を走行する先行車に自車を追従させる制御を行う先行車追従制御システムを搭載した車両において、自車の前方を走行する先行車を検出する車間距離センサ1と、自車が現在制御対象として追従中である追従先行車を特定する追従制御対象特定手段(ステップS103)と、前記車間距離センサ1により検出された先行車のうち、現在制御対象である追従先行車以外の車両であって、将来追従制御対象となり得る追従候補車を特定する追従候補車特定手段(ステップS400〜ステップS412)と、前記追従制御対象特定手段により特定された追従先行車および前記追従候補車特定手段により特定された追従候補車を表示する表示装置9と、を備えた構成としたため、追従制御の制御対象車が切り替わった場合においても、追従制御が変更されることをドライバーに予測情報として与えることで、自車の挙動変更を容易に認識できるようにし、追従制御の変更に対して違和感を持つことを低減することができる。
【0073】
(2) 追従候補車特定手段(ステップS400〜ステップS412)は、自車前方の所定領域内に存在する車両、もしくは、自車前方の所定領域内に接近しつつある車両のうち、現在制御対象として追従中である追従先行車を除いた車両から追従候補車を特定するようにしたため、将来追従制御対象となり得る追従候補車を的確に特定することができる。
【0074】
(3) 追従候補車特定で用いる追従候補車進入判定領域幅Dを、自車速Vmが大なるほど大とするようにしたため、走行車両の流れが速くなるほど、他車は僅かな操舵により自車の前方に割り込む可能性が高くなると考えられるので、これに対応して追従候補車進入判定領域幅Dを拡大することにより、追従候補車を確実に特定することができる。
【0075】
(4) 自車の旋回情報を得るヨーレートセンサ7を設け、追従候補車特定で用いる追従候補車進入判定領域幅Dを、自車の旋回情報に対応してオフセットするようにしたため、コーナー走行時に隣接車線を走行している車両を追従候補車と誤認識することを低減することができる。
【0076】
(5) 追従候補車特定において、追従候補車が複数存在する場合は、自車の進行方向で最も自車に近い車両を追従候補車として特定(ステップS413)するようにしたため、自車に最も近くて自車の前方に割り込む可能性の高い車両をドライバーに追従候補車として認識させることができる。
【0077】
以上、本発明の追従制御対象表示装置を第1実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この第1実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0078】
例えば、第1実施例装置では、表示手段として、自車と追従先行車と追従候補車を表示する表示装置9の例を示したが、例えば、レーダー等により捕捉される自車の前方車両を全て表示し、これらの車両の中から追従先行車と追従候補車を他車と区別する表示方法により表示したり、また、追従候補車を第1候補、第2候補、第3候補というように順位付けして表示するようにしても良い。
【0079】
また、第1実施例装置では、旋回情報検出手段としてヨーレートセンサ7を用いる例を示したが、横加速度センサや舵角センサ等を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の追従制御対象表示装置が適用された先行車追従制御システムを示す全体図である。
【図2】第1実施例装置の表示装置が組み込まれたメータパネルを示す図である。
【図3】第1実施例装置の表示装置を示す図である。
【図4】第1実施例装置が適用されたシステムのコントローラで実行される追従制御演算処理を示すフローチャートである。
【図5】第1実施例装置が適用されたシステムのコントローラで実行される表示処理を示すフローチャートである。
【図6】第1実施例装置での追従候補車進入判定領域の設定と追従候補車のレーダー捕捉の説明図である。
【図7】第1実施例装置が適用されたシステムのコントローラで実行される追従候補車検出処理を示すフローチャートである。
【図8】第1実施例装置が適用されたシステムのコントローラで実行される追従候補車進入判定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 車間距離センサ(先行車検出手段)
2 相対速度センサ(先行車検出手段)
3 追従制御開始スイッチ
4 設定車間スイッチ
5 設定車速変更スイッチ
6 自車速センサ
7 ヨーレートセンサ(旋回情報検出手段)
8 コントローラ
9 表示装置(先行車表示手段)
10 制動力制御装置
11 エンジン出力制御装置
12 メーターパネル
13 自車表示部
14 追従先行車表示部
15 追従候補車表示部
Claims (5)
- 追従制御開始スイッチ操作により制御を開始し、自車の前方を走行する先行車に自車を追従させる制御を行い、現在の追従先行車と自車との間に他車が割り込んできたり、現在の追従先行車が自車の前方から離脱することにより、制御対象車を切り替える先行車追従制御システムを搭載した車両において、
自車の前方を走行する先行車を検出する先行車検出手段と、
自車が現在制御対象として追従中である追従先行車を特定する追従制御対象特定手段と、
前記先行車検出手段により検出された先行車のうち、現在制御対象である追従先行車以外の車両であって、将来追従制御対象となり得る追従候補車を特定する追従候補車特定手段と、
前記追従制御対象特定手段により特定された追従先行車および前記追従候補車特定手段により特定された追従候補車を表示する先行車表示手段と、
を備え、
前記先行車表示手段は、自車表示部と先行車表示部と追従候補車表示部とを有し、先行車追従制御時、実際の走行状況を上からみた縮尺スケールにて、自車と追従先行車と追従候補車とを併せて表示することを特徴とする追従制御対象表示装置。 - 請求項1に記載された追従制御対象表示装置において、
前記追従候補車特定手段は、自車前方の所定領域内に存在する車両、もしくは、自車前方の所定領域内に接近しつつある車両のうち、現在制御対象として追従中である追従先行車を除いた車両から追従候補車を特定することを特徴とする追従制御対象表示装置。 - 請求項2に記載された追従制御対象表示装置において、
前記追従候補車特定手段は、前記所定領域の幅を、自車速が大なるほど大とすることを特徴とする追従制御対象表示装置。 - 請求項1または請求項2に記載された追従制御対象表示装置において、
自車の旋回情報を得る旋回情報検出手段を設け、
前記追従候補車特定手段は、前記所定領域の幅を、自車の旋回情報に対応してオフセットすることを特徴とする追従制御対象表示装置。 - 請求項1,2または4の何れか1項に記載された追従制御対象表示装置において、
前記追従候補車特定手段は、追従候補車が複数存在する場合は、自車の進行方向で最も自車に近い車両を追従候補車として特定することを特徴とする追従制御対象表示装置。
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