JP3794346B2 - 横坑構築工法及び横坑構築装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、例えば、地中にトンネル等の横坑を構築したり或いは下水管きょを構築する場合に実施される横坑構築工法及びこの横坑構築工法を実施するための横坑構築装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば、土圧式セミシールド機,泥水加圧式セミシールド機及び泥濃式セミシールド機等の横坑構築装置(セミシールド機)乃至はこれらの機械を使用した横坑構築工法(セミシールド工法)は、適用土質も広く、また操作性にも富んでいることから、地中にトンネル等の横坑を構築する場合或いは下水管きょを構築する場合には広く使用されている。
【0003】
上記各工法の中で、例として、土圧式セミシールド工法について説明する。この工法は、先導体として動力により駆動する掘削装置と、方向修正ジャッキ等が装備された横坑構築装置や掘削機本体により、地山の崩壊を防止しながら推進管を推進伝達体として発進立坑内の推進管体後部に配設したジャッキにより推進する工法であり、こうした土圧式セミシールド工法を行うセミシールド機は、例えば、特開昭57−15797号公報,特開昭57−74498号公報或いは特公昭61−25879号公報において提案されている。
【0004】
これらの公報に記載されている土圧式セミシールド機は、駆動モータにより回転駆動し正面には複数のビットが固定されてなるとともに内部に土砂等を導入する開口が形成されたカッターヘッドと、このカッターヘッドの背面側に形成され該カッターヘッドの回転駆動により地盤が掘削されて発生した土砂や泥土を外部に排出するスクリューコンベアー等の排泥装置を備えているものであり、上記土砂等は、この排泥装置により外部に排出される。
【0005】
そして、このような横坑構築工法においては、電磁波を用いた横坑構築装置の位置探索が広く使われている。すなわち、横坑構築装置に発信機となるコイルを設けておき、このコイルが形成する磁場を、地上に設置した受信機となるコイルに生ずる誘導起電力に基づいて検出することにより、地上において、地中の横坑構築装置の位置を探索するものである。このように探索された横坑構築装置の位置に基づいて、この横坑構築装置の進行方向を制御することによって、掘削の位置を制御して、所定の位置に横坑を構築することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようにして電磁波を用いて横坑構築装置の位置を探索する横坑構築工法においては、横坑構築装置と地上面との間における埋設管の有無や、横坑構築装置から地上面までの距離、あるいは、地上における車の往来などの影響を受け、探索精度及び探索に費やす時間はまちまちとなり、必ずしも満足のいく結果を得られるとは限らなかった。
【0007】
その原因のひとつは、横坑構築装置に搭載している発信機のコイル(ゾンデコイル)によって形成される磁場には、性質上、以下の図8及び図9に示すように、磁界分布の方向性が存在することにある。
【0008】
すなわち、図8に示すように、発信機のコイル101の軸に平行な方向については、発信機のコイル101による磁場は、地上において発信機の直頂付近で、発信機のコイル101と受信機のコイル102とのずれに対して、大きな検出磁界の変化が得られるため、探索は容易である。
【0009】
しかし、図9に示すように、発信機のコイル101の軸と受信機のコイル102の軸と直交する方向については、発信機のコイル101による磁場は、地上において発信機の直頂付近で、発信機のコイル101と受信機のコイル102とのずれに対して、検出される磁界の変化が少ないものとなり、探索に長時間を要し、或いは位置の特定が困難となる。
【0010】
このように、従来の横坑構築装置においては、一方向に対しては探索が容易であるが、他の方向については、探索に長時間を要したり、位置の特定が困難である。このため、このような横坑構築装置を用いる従来の横坑構築工法においては、図10に示すように、横坑構築装置に対する相対的な方向によって、横坑構築装置の位置の探索に誤差を生じ、正確な探索ができない。つまり、発信機のコイル101の軸に平行な方向については、高い精度で横坑構築装置の探索が行えるが、発信機のコイル101の軸に直交する方向についての探索精度が低いため、結果的に、横坑構築装置の位置は、発信機のコイル101の軸に直交する方向にある程度の長さをもった領域103内としか特定できず、正確に探索できないこととなる。
【0011】
そこで、本発明は、地中の横坑構築装置の地上からの位置の探索における誤差をなくし、正確な探索ができるようになされた横坑構築工法及び横坑構築装置を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、第1の発明(請求項1記載の発明)は、駆動モータにより回転されるカッターヘッドを有する横坑構築装置を先導体として用い、該カッターヘッドを回転させて地中を掘削するとともに、地山の崩壊を防止しながら推進管を上記横坑構築装置の後方から順次推進させる横坑構築工法において、上記横坑構築装置内に発信コイルを収納させておき、この発信コイルの形成する磁場を地上に設置した受信コイルに生ずる誘導起電力に基づいて検出し、検出された磁場の強度に基づいて、上記横坑構築装置の位置を探索するにあたり、上記発信コイルとして、互いに軸方向を直交させた一対のコイルからなるものを用い、発信コイルの形成する磁場を検出するとともに、上記発信コイルをなす一対のコイルに、互いに90°の位相差を有する交流電流を供給することを特徴とするものである。
【0013】
この第1の発明の横坑構築工法によれば、発信コイルが互いに軸方向を直交させた一のコイルと他のコイルの一対のコイルからなり、磁界の変化が少ない一のコイルの直交方向は、大きな検出磁界の変化を得られる他のコイルの軸と平行な方向となることから、この発信コイルと受信コイルとの位置関係に因ることなく大きな検出磁界の変化を得ることが可能となり、このため、どのような方向から測定した場合にも、容易に地中における横坑構築装置の位置を特定しながら横坑の構築を行うことが可能となる。特に、この発明では、上記発信コイルをなす一対のコイルに、互いに90°の位相差を有する交流電流を供給することから、この発信コイルによれば対称磁界分布、すなわち、球状の磁界分布を得ることが可能となり、このため、どのような方向から測定した場合にも、容易に地中における横坑構築装置の位置を特定しながら横坑の構築を行うことが可能となる。
【0014】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、駆動モータにより回転されて土砂を掘削するカッターヘッドが先端側に形成された本体部と、前記本体部内に収納され、互いに軸方向を直交させた一対のコイルであって互いに90°の位相差を有する交流電流が供給される発信コイルとを備え、前記発信コイルは、各コイルが形成する磁場を、地上の受信コイルに生ずる誘導起電力に基づいて検出されることにより、地中における位置を探索されることを特徴とするものである。
【0015】
この第2の発明に係る横坑構築装置によれば、発信コイルが互いに軸方向を直交させた一のコイルと他のコイルの一対のコイルからなり、磁界の変化が少ない一のコイルの直交方向は、大きな検出磁界の変化を得られる他のコイルの軸と平行な方向となることから、この発信コイルと受信コイルとの位置関係に因ることなく大きな検出磁界の変化を得ることが可能となり、このため、どのような方向から測定した場合にも、容易に地中における横坑構築装置の位置を特定することが可能となる。特に、この第2の発明では、発信コイルをなす一対のコイルには、互いに90°の位相差を有する交流電流が供給されることから、この発信コイルによれば対称磁界分布、すなわち、球状の磁界分布を得ることが可能となり、このため、どのような方向から測定した場合にも、容易に地中における横坑構築装置の位置を特定されることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施の形態は、本発明を、小口径(外径が30cm〜70cm)の横坑構築装置に適用したものである。この横坑構築装置は、駆動モータにより回転されるカッターヘッドを有し、該カッターヘッドを回転させて地中を掘削するとともに、地山の崩壊を防止しながら推進管を上記横坑構築装置の後方から順次推進させる横坑構築工法において、先導体として用いられるものである。
【0021】
この実施の形態に係る横坑構築装置1は、図1に示すように、横坑構築装置本体2と、この横坑構築装置本体の正面に着脱可能に配設されたカッターヘッド3とから構成されている。上記横坑構築装置本体2は、円筒状に成形され、内部には上記カッターヘッド3を回転駆動させるための駆動モータ4が配設されている。この駆動モータ4の駆動軸4aには、歯車5が固定されている。また、この横坑構築装置本体2の正面側内周には、リング状に成形された内歯歯車6が配設され、この内歯歯車6は、上記歯車5と噛合している。そして、この内歯歯車6の正面にはリング状の連結部材7を介してアウターコーン8が固定されている。すなわち、上記横坑構築装置本体2内の正面側には、上記駆動モータ4の駆動力により回転駆動されるアウターコーン8が設けられている。このアウターコーン8は、外周面はリング状に成形され内周面は正面側から背面側に亘って徐々に縮径されてなるものであり、このアウターコーン8の縮径された内周面には、複数の突片9が固定されている。
【0022】
また、上記駆動モータ4の上方には、土圧制御弁10が固定されており、この土圧制御弁10の正面側には、この横坑構築装置本体2内に流入した泥土を後方に搬送する排泥管11が配設され、この排泥管11の先端には、隔壁12が設けられている。この隔壁12は円盤状に成形され、外周面には上記連結部材7よりも縮径された円筒状のリング部13が溶接されており、このリング部13の外周面と、上記回転駆動する連結部材7との間には軸受14が配設されている。なお、上記隔壁12には、図示しない排泥口が形成され、横坑構築装置本体2内に流入した泥土は、この排泥口を通って上記排泥管11内に流入する。
【0023】
また、上記隔壁12の中心には、インナーコーン15が固定されている。このインナーコーン15は、アウターコーン8の奥行きとほぼ同じ奥行き(長さ)を有するものであって、外周面は先端側から基端側に亘って徐々に拡径されている。すなわち、この横坑構築装置本体2の先端側には、上記アウターコーン8とインナーコーン15とからなる破砕部が設けられており、後述するカッターヘッド3に形成された開口を通って内部に流入した礫等は、上記駆動モータ4の駆動力により回転駆動するアウターコーン8の内周面と固定されたインナーコーン15の外周面とにより、細かく破砕された上で、上記排泥口を通過して排泥管11内に流入する。なお、上記インナーコーン15の先端には、後述するカッターヘッド3に設けられた一方の軸受け部48に当接する他方の軸受部15aが形成されている。
【0024】
そして、上述のように構成された横坑構築装置本体2の先端には、カッターヘッド3が着脱可能に固定されている。このカッターヘッド2は、図2に示すように、上記横坑構築装置本体2の外径とほぼ同じ長さの外径に成形された筒状部20と、この筒状部20の正面に設けられた第1のカッタースポーク部21と、該筒状部20の正面に設けられた第2のカッタースポーク部22とを備えている。上記第1及び第2のカッタースポーク部21,22は、何れも両端が上記筒状部20の先端に溶接され、該筒状部20の先端に形成された開口を一部閉塞するものである。そして、この第1のカッタースポーク部21と第2のカッタースポーク部22とは、正面視において、(交差するものではなく)X字状に一体化されてなる。したがって、このカッターヘッド3の正面には、扇型となされた二つの大きな開口23,24と、扇形となされた二つの小さな開口25,26が設けられている。
【0025】
なお、上記第1のカッタースポーク部21の両端には、それぞれゲージカッタービット27,28が転動可能に配設され、該ゲージカッタービット27,28間には、センタカッター29,30,31,32が転動可能に配設されている。また、上記第2のカッタースポーク部22には、インナーカッター33,34が転動可能に配設されている。また、上記第1のカッタースポーク部21の一端側側面及び他端側側面には、外側に外周スクレーパツース35,36が形成され、これら外周スクレーパツース35,36の内側には、スクレーパツース37,38が形成され、また、上記第2のカッタースポーク部22の両端には、礫破砕ビット39,40と、外周スクレーパツース41,42が形成され、これらの外周スクレーパツース41,42内側には、スクレーパツース43,44が形成されている。また、上記筒状部20の先端面であって、上記大きな開口23,24が形成されている部位には、取込ビット45,46が形成されている。なお、この実施の形態においては、上記第2のカッタースポーク部22には、掘削する地山に加泥材を注入する加泥材注入口47が設けられ、この加泥材注入口47は、図示しない加泥材注入管に連結されている。
【0026】
また、上記カッターヘッド3を構成する第1のカッタースポーク部21と第2のカッタースポーク部22とが一体化されている部位(中心)の背面側には、図1に示すように、上記インナーコーン15の先端に形成された他方の軸受部15aが挿入される一方の軸受48が設けられている。そして、上記カッターヘッド3を構成する筒状部20の後端は、間にスペーサ49を介して上記アウターコーン8の先端に図示しないボルト及びナットにより着脱可能に固定されている。
【0027】
したがって、上述した実施の形態に係る横坑構築装置1によれば、図1に示す駆動モータ4が回転駆動すると、歯車5と噛合する内歯歯車6,アウターコーン8及びカッターヘッド3が回転駆動する。そして、このカッターヘッド3の回転駆動により、上記第1のカッタースポーク部21又は第2のカッタースポーク部22に形成され又は配設されたゲージカッタービット27,28,センタカッター29,30,31,32,インナーカッター33,34,外周スクレーパツース35,36,スクレーパツース37,38,礫破砕ビット39,40により、地山が掘削され、また、この地山内に大きな礫が混入している場合には、上記ゲージカッタービット27,28,センタカッター29,30,31,32,インナーカッター33,34或いは礫破砕ビット39,40により破砕される。このとき、破砕された礫が図2に示す二つの小さな開口25,26から横坑構築装置本体2内に取り込まれない場合であっても、上記二つの大きな開口23,24から内部に取り込まれる。
【0028】
そして、このように横坑構築装置本体2の内部に取り込まれた礫は、土圧により、上記アウターコーン8とインナーコーン15との間に到達し、大きな礫は、該アウターコーン8の回転駆動力と土圧によりインナーコーン15に挟まれてさらに細かく破砕され、このさらに細かく破砕された礫は、上記隔壁12に形成された図示しない排泥口から排泥管11内に流入し、最終的には、地上に排出される。
【0029】
そして、この横坑構築装置1においては、横坑構築装置本体2内に、この横坑構築装置の地中における位置を地上より探索するための発信器50が収納されている。この発信器50は、図3,図4及び図5に示すように、互いに軸方向を直交させた一対のコイル51,52と、交流電源54及び位相変換器55から構成されている。この発信器50は、各コイル51,52が形成する磁場により、地上に位置する受信コイル53に誘導起電力を生じさせて検出させることにより、地中における位置を探索されるものである。
【0030】
また、本発明に係る横坑構築工法においても、上記の発信器50の形成する磁場を地上に設置した受信コイル53によって検出し、検出された磁場の強度に基づいて、上記横坑構築装置1の位置を探索する。この探索の際には、互いに軸方向を直交させた一対のコイル51,52と、交流電源54及び位相変換器55から構成されている発信器50を用い、地上に受信コイル53を位置させて、発信器50の形成する磁場を検出する。
【0031】
これら横坑構築工法及び横坑構築装置においては、上記発信器50をなす一対のコイル51,52には、図5に示すように、交流電源54により、互いに90°の位相差を有する交流電流、すなわち、サイン(sin)波電流及びコサイン(cos)波電流がそれぞれ供給される。このような90°の位相差を有する交流電流を各コイル(SIN発信コイル及びcos発信コイル)51,52に流すため、各コイル51,52に供給される電流は、90°の位相差を発生させる位相変換器55を通して供給される。すなわち、図5に示すように、これら一対のコイル51,52は、交流電源54に対して並列に接続され、交流電源54から位相変換器55を介して、90°の位相差を有し、かつ、電流値の等しい交流電流を供給される。
【0032】
上記発信器50のコイル51,52に交流電源を供給する回路は、より具体的には、図6に示すように、交流電源54として、電源器56から電源供給されて作動する水晶発振器57と、この水晶発振器57の出力を分周する分周器58と、から構成されており、この発信器50は以下のように作動する。すなわち、電源器56は、例えば、直流12Vの外部電源を供給され、水晶発振器57及びその他の各回路を作動させるための所定電圧を発生する。また、分周器58は、水晶発振器57の出力を分周して、33kHz、または、8kHzなどの所定の周波数のサイン(sin)波電流を出力する。
【0033】
また、分周器58の出力電流は、位相変換器55に送られる。位相変換器55は、基準信号ループ回路59に制御され、送られたサイン波電流を、サイン波電流及びこのサイン波電流に対して90°の位相差を有するコサイン(cos)波電流の2つに変換して出力する。
【0034】
位相変換器55から出力されたサイン波電流は、増幅器60を経ることで増幅がなされてコイル51に供給され、サイン波の磁界を発生する。また、位相変換器55から出力されたコサイン波電流は、増幅器61を経ることで増幅がなされてコイル52に供給され、コサイン波の磁界を発生する。
【0035】
次に、この発信器50の一対のコイル51,52が形成する磁界について説明する。以下、図7に示すように、軸方向を直交させた一対のコイル51,52が置かれている位置(交点)を原点とし、これらコイル51,52が形成する磁界をHx,Hyとする。これら磁界Hx,Hyが、任意の点Pに置かれた受信器のコイル53(検出コイル)に対して鎖交する磁界について検討する。このとき、受信器のコイル53における磁界Hpは、以下の式(1)によって示される。なお、式(1)中のψは、受信器のコイル53の軸のx軸に対する角度である。
【0036】
Hp∝Hx×cosψ+Hy×sinψ ・・・(1)
【0037】
ここで、一対のコイル51,52に同位相の交流電流が供給されているものと仮定し、この場合にそれぞれのコイル51,52に印加される電圧をV×sinωtとすると、コイルから生じる磁界の大きさは電圧に比例することから、磁界Hx,Hyは、以下のように示される。
【0038】
Hx=H×sinωt
Hy=H×sinωt
【0039】
したがって、以下の式(2)が成立する。
【0040】
上記式(2)より、受信器のコイル53の軸のx軸に対する角度ψによって、Hpの大きさ(|Hp|)は、以下のようなものとなる。
【0041】
ψ=0°のとき、|Hp|=H
ψ=45°のとき、|Hp|=(2/√2)×H
ψ=90°のとき、|Hp|=H
ψ=135°のとき、|Hp|=0
【0042】
したがって、この場合には、検出される磁界の強さは、受信器のコイル53の軸のx軸に対する角度ψに依存することとなる。
【0043】
しかし、この実施例の横坑構築装置1においては、上述の通り、一対のコイル51,52には、互いに90°の位相差を有する交流電流が供給されている。このため、各コイル51,52に印加される電圧は、V×sinωt、V×cosωtと表すことができる。したがって、磁界Hx,Hyは、以下のように示される。
【0044】
Hx=H×sinωt
Hy=H×cosωt
【0045】
したがって、以下の式(3)が成立する。
【0046】
【0047】
上記式(3)より、この場合には、検出される磁界の強さは、受信器のコイル53の軸のx軸に対する角度ψに依存することがなく、下記の式(4)に示す通り、Hpの大きさ(|Hp|)は、Hであることがわかる。
【0048】
|Hp|=H ・・・(4)
【0049】
すなわち、この実施例の横坑構築装置1においては、発信器50の各コイル51,52の形成する磁場が合成されて、略々球形の磁場が形成され、発信器50の各コイル51,52と地上の受信コイル53との軸方向に関係なく、一定の磁界が検出されるので、地中の横坑構築装置1の位置を地上から正確に探索することができる。
【0050】
すなわち、この横坑構築装置1において、受信器のコイル53において検出される磁界の強度の変化は、発信器50の各コイル51,52と地上の受信器のコイル53との間の距離の変化にのみ依存したものとなる。したがって、この横坑構築装置1においては、どのような方向についても同様の精度で、受信器のコイル53において検出される磁界が極大となる位置、すなわち、発信器50の各コイル51,52と地上の受信器のコイル53との間の距離が極小となる発信機50の直頂位置を特定することができる。
【0051】
前述した本発明の一実施例の説明からも明らかなように、第1の発明(請求項1記載の発明)に係る横坑構築工法によれば、発信コイルが互いに軸方向を直交させた一のコイルと他のコイルの一対のコイルからなり、磁界の変化が少ない一のコイルの直交方向は、大きな検出磁界の変化を得られる他のコイルの軸と平行な方向となることから、この発信コイルと受信コイルとの位置関係に因ることなく大きな検出磁界の変化を得ることが可能となり、このため、どのような方向から測定した場合にも、容易に地中における横坑構築装置の位置を特定しながら横坑の構築を行うことが可能となる。特に、この発明では、一対のコイルには互いに90°の位相差を有する交流電流を供給することから、この発信コイルによれば対称磁界分布、すなわち、球状の磁界分布を得ることが可能となり、このため、どのような方向から測定した場合にも、容易に地中における横坑構築装置の位置を特定しながら横坑の構築を行うことが可能となる。
【0052】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)に係る横坑構築装置によれば、発信コイルが互いに軸方向を直交させた一のコイルと他のコイルの一対のコイルからなり、磁界の変化が少ない一のコイルの直交方向は、大きな検出磁界の変化を得られる他のコイルの軸と平行な方向となることから、この発信コイルと受信コイルとの位置関係に因ることなく大きな検出磁界の変化を得ることが可能となり、このため、どのような方向から測定した場合にも、容易に地中における横坑構築装置の位置を特定することが可能となる。特に、この発明では、一対のコイルには互いに90°の位相差を有する交流電流を供給することから、この発信コイルによれば対称磁界分布、すなわち、球状の磁界分布を得ることが可能となり、このため、どのような方向から測定した場合にも、容易に地中における横坑構築装置の位置を特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る横坑構築装置の構成を示す断面図である。
【図2】上記横坑構築装置のカッターヘッドを示す正面図である。
【図3】上記横坑構築装置における発信器及び受信器をなすコイルを示す概念図である。
【図4】上記横坑構築装置における発信器の構成を示す平面図、側面図及び正面図である。
【図5】上記横坑構築装置の発信器をなすコイルに電流を供給するための回路の構成を示す回路図である。
【図6】上記横坑構築装置の発信器をなすコイルに電流を供給するための回路構成を示すブロック図である。
【図7】上記発信器をなすコイル及び受信器の位置関係を示す平面図である。
【図8】従来の横坑構築装置において発信器のコイルの軸に平行な方向について検出される磁界の様子を示すグラフである。
【図9】従来の横坑構築装置において発信器のコイルの軸に直交する方向について検出される磁界の様子を示すグラフである。
【図10】従来の横坑構築装置における横坑構築装置の地中における位置の特定のしかたを示す平面図である。
【符号の説明】
1 横坑構築装置
2 横坑構築装置本体
3 カッターヘッド
4 駆動モータ
50 発信器
51,52 一対のコイル
53 受信コイル
54 交流電源
Claims (2)
- 駆動モータにより回転されるカッターヘッドを有する横坑構築装置を先導体として用い、該カッターヘッドを回転させて地中を掘削するとともに、地山の崩壊を防止しながら推進管を上記横坑構築装置の後方から順次推進させる横坑構築工法において、上記横坑構築装置内に発信コイルを収納させておき、この発信コイルの形成する磁場を地上に設置した受信コイルに生ずる誘導起電力に基づいて検出し、検出された磁場の強度に基づいて、上記横坑構築装置の位置を探索するにあたり、上記発信コイルとして、互いに軸方向を直交させた一対のコイルからなるものを用い、発信コイルの形成する磁場を検出するとともに、上記発信コイルをなす一対のコイルに、互いに90°の位相差を有する交流電流を供給することを特徴とする横坑構築工法。
- 駆動モータにより回転されて土砂を掘削するカッターヘッドが先端側に形成された本体部と、前記本体部内に収納され、互いに軸方向を直交させた一対のコイルであって互いに90°の位相差を有する交流電流が供給される発信コイルとを備え、前記発信コイルは、各コイルが形成する磁場を、地上の受信コイルに生ずる誘導起電力に基づいて検出されることにより、地中における位置を探索されることを特徴とする横坑構築装置。
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