JP5806253B2 - 推進工法用又はシールド工法用掘進機の掘進方法 - Google Patents
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Description
この発明は、上述した問題を解消しようとするもので、カッターヘッドの切削ビットの損傷を抑えることができる推進工法又はシールド工法用掘進機の掘進方法を得ることを目的とするものである。
また、前記障害物センサは、電磁波送受信機である。
また、障害物センサが、電磁波送受信機であるので、金属部材を含む障害物を精度よく検出できる。
図1はこの発明の実施の形態1である推進工法用又はシールド工法用掘進機を示す断面図である。図において、掘進機1は発進立坑35の側面に設けられた開口36よりほぼ水平方向に、油圧で制御される本体推進ジャッキ37で掘進方向に推進される。この場合は、本体推進ジャッキ37は、掘進機1のみならず推進管25も推進する。本体推進ジャッキ37は発進立坑35内に設置された支圧壁38で支持される。掘進機1の先端部には、カッターヘッド4がその回転軸4aを隔壁5に支承されて配置される。カッターヘッド4には、掘進方向における前部に、複数のローラービット20と複数の切削ビット21が保持される。カッターヘッド4の後部側面は、先端円筒体2で覆われており、先端円筒体2の内周側でカッターヘッド4が回転自在に保持される。カッターヘッド4は隔壁5に保持された駆動機(モーター)13でギヤを介して回転駆動される。駆動機13は掘進機1が大きくなれば、複数個設置される。
また、障害物が木材(松杭,その他木杭,流木)の場合は、掘進速度を5.0〜10.0mm/minの範囲に切削すれば、所定トルク以下で掘進することができ、カッターヘッドの切削ビットの損傷を抑えることができる。
実施の形態2では、カッターヘッド4の掘進中に金属部材を含む障害物を探査する障害物センサを備え、カッターヘッド4は駆動機13の所定トルク以下の通常掘進速度で本体推進ジャッキ37で掘進方向に推進され、掘進中に障害物センサで金属部材を含む障害物を検出したときは、本体推進ジャッキ37による推進を停止し、カッターヘッド4の掘進速度を、通常掘進速度より遅く前記所定トルク以下の掘進速度になるように、伸縮装置でカッターヘッド4を掘進方向に推進させて、障害物を切削するようにしたものである。
実際には、受信コイル12により受信した誘導磁場71は、(a)障害物69の誘導磁場71、(b)送信した磁場70、そして(c)マシンや周辺の地盤による誘導磁場からなる。これら3種(a〜c)の混ざり合った磁場の中から(a)障害物69の誘導磁場71のみを抽出する方法を以下に述べる。
(1)事前に障害物69のない位置で初期値となる磁場(d)を測定する。この初期値となる磁場(d)は、(b)と(c)の混合した磁場である。
(2)次に、掘削中に磁場を測定する。障害物69が前方に存在する位置に来ると、初期値の磁場(d)に(a)障害物69の誘導磁場が加算される。
(3)(a)を分離し障害物を見分ける。この見分けは、例えば、位相差(位相角差)で行う。
場波形、103は周辺の地盤による誘導磁場波形、104は初期値となる測定磁場波形、105は電流値位相ずれ補正角を示す。図14は掘削時のΔφjを示す図である。111は送信磁場波形、112は障害物による誘導磁場波形hcj=rcj・sin(ωt-φcj)、113は掘削時の測定磁場波形、114は電流値位相ずれ補正角を示す。
(1)送信機63から流す送信電流をIcjとする。ここでIcjはjの測定を行った時の電流値を意味する。
Icj=Scj・cos(ωt-φcj)
ここで、Scj:電流強度、t:時間[sec]、ω:角周波数(=2πf) f:周波数[Hz]
φcj:位相角[°]
次にIcjによって発生する送信磁場111をHcjとすると、
Hcj=Rcj・cos(ωt-φcj)
ここで、Rcj:磁場強度であり、送信機63から流す電流と同相である。
(2)初期値となる測定磁場をHoとする。
Ho=Ro・cos(ωt-φo)
ここで、Ro:磁場強度、φo:位相角[°]
(3)掘削時の測定磁場をHjとする。
Hj=Rj・cos(ωt-φj)
ここで、Rj:磁場強度、φj:位相角[°]
このように、初期値(例えば、障害物が無い時)と掘削時(例えば、障害物が有る時)とで、位相角に違いが生じるので、電磁波受信機で受信された電磁波(測定磁場)における障害物が有るときと無いときの位相の変化を解析する位相変化解析装置を備えたことにより、障害物を探査することができる。
(4)(*1計算)により、以下の各位相角の値を計算する。
電流値位相ずれ補正:
Δφo=φo-φco
Δφj=φj-φcj
ここで、φco:送信機63から流す初期値の電流をIcoとすると、
Ico=Sco・cos(ωt-φco)、送信磁場Hco=Rco・cos(ωt-φco)となるが、その時の位相角[°]である。
初期値補正:
Δφoj=Δφj-Δφo
Δφojは、障害物69が存在した場合、誘導磁場112のためにある値を示す。逆に、障害物69がなければΔφoj≒0となる。
このΔφojの値を、数値、あるいは図化することにより障害物の有無を探査する。
一般式として、H:磁場、R:受信磁場強度、φ:位相角とする。
H=Rcos(ωt-φ)
H=R(cos(φ)cos(ωt) + sin(φ)sin(ωt))
フーリエ解析を用いて、
cos(ωt)の項を取り出すと、A=Rcos(φ)
sin(ωt)の項を取り出すと、B=Rsin(φ)
B/A=(Rsin(φ))/(Rcos(φ))
B/A=tan(φ)
∴ φ=tan-1(B/A)
初期値のΔφo=初期の受信コイルによる測定磁場の位相角―初期の送信磁場(又は送信電流)の位相角掘削時のΔφj=掘削時の受信コイルによる測定磁場の位相角―掘削時の送信磁場(又は送信電流)の位相角位相角差Δφoj=掘削時のΔφj―初期値のΔφoが障害物69が存在した場合、誘導磁場112のためにある値を示す。逆に、障害物69がなければΔφoj≒0となる。
(a)受信センサと鋼矢板の距離が1.5m〜1.0m付近で位相のズレが0.07°程度変化した。
(b)受信センサと鋼矢板の距離が1.0m以下になると計測値が常に0・07°以上となった。
(c)受信センサと鋼矢板の距離が0.5m以下になると計測値が常に0・14°以上となった。
実施の形態2において、カッターヘッド4を駆動機13で回転させる。駆動機13の所定トルク以下、例えば40トルク(%)以下で運転する。障害物がない通常時では、カッターヘッド4を本体推進ジャッキ37で、通常掘進速度、例えば40mm/minで掘進方向に推進させる。このとき、伸縮装置の伸縮ジャッキ7は中間点まで伸長した待機状態にある。掘進中に障害物センサで金属部材を含む障害物69を検出したときは、本体推進ジャッキ37による推進を停止する。ここで、探査ロッドを挿入したり、内視鏡を挿入して、障害物69までの距離を確認することもできる。距離が確認できれば、本体推進ジャッキ37を再稼働してその距離だけ掘進機1をゆっくり前進させて、突き当たれば、本体推進ジャッキ37を停止させる。次に、カッターヘッド4の掘進速度を、通常時の掘進速度より遅く前記所定トルク以下の掘進速度になるように、伸縮装置の伸縮ジャッキ7でカッターヘッド4を掘進方向に推進させて、障害物69を切削する。
なお、この発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
3 後続円筒体 4 カッターヘッド
4a 回転軸 5 隔壁
6 伸縮管 6a 伸縮管前部
6b 伸縮管後部 6c 伸縮管伸縮部
7 伸縮ジャッキ 8 制御盤
9 油圧ポンプ 10 電磁弁
11 送信コイル 12 受信コイル
13 駆動機 14 方向修正ジャッキ
15 操作盤 16a トルク計
16b 電流計 16c 動力線
17 注入管 18 ボーリングマシン
19 排泥タンク 20 ローラービット
21 切削ビット 22 排泥バルブ
25 推進管 26 管内操作台車
35 発進立坑 36 開口
37 本体推進ジャッキ 38 支圧壁
41 ストロークセンサ 44 操作盤
44a タッチパネル 44b ボリューム調整つまみ
44c 非常停止スイッチ 46 インバータ
47a 油圧注入ホース 47b 油圧抽出ホース
48a 油圧注入ホース 48b 油圧抽出ホース
49 伸縮長伝達ケーブル 50 電磁弁開閉指示伝達ケーブル
51 情報伝達指示ケーブル 53 油圧力管理ケーブル
52a 注入指示ケーブル52a 52b 抽出指示ケーブル
52c 中立指示ケーブル 53 油圧管理ケーブル
54 インバータ制御ケーブル 63 送信機
64 受信機 67 コンピュータ
68 モニタ 69 障害物
70 送信磁場 71 障害物の誘導磁場
72 誘導電流 73 電源
81 周波数発生装置 82 送信波増幅器
83 受信フィルタ 84 A/D変換器
91 送信電流波形 101 送信磁場波形
102 マシンの誘導磁場波形 103 地盤の誘導磁場波形
104 初期値の測定磁場波形 105 電流値位相ずれ補正角
111 送信磁場波形 112 障害物の誘導磁場波形
113 掘削時の測定磁場波形 114 電流値位相ずれ補正角。
Claims (5)
- 推進工法用又はシールド工法用掘進機において、
切削ビットを前部に有し隔壁に回転軸が支承されるカッターヘッドと、
前記カッターヘッドと共に掘進機本体を掘進方向に推進させる本体推進ジャッキと、
前記カッターヘッドを回転駆動させる駆動機と、
この駆動機の駆動トルクを検出するトルク計と、
前記隔壁に連なる伸縮管に配置され前記カッターヘッドを掘進方向に推進させる掘進速度を可変し得る伸縮ジャッキを有する伸縮装置と、
前記カッターヘッドの掘進中に金属部材を含む障害物を探査する障害物センサとを備え、
前記カッターヘッドは前記駆動機の所定トルク以下の通常掘進速度で前記本体推進ジャッキで掘進方向に推進され、掘進中に前記障害物センサで金属部材を含む前記障害物を検出したときは、前記本体推進ジャッキによる推進を停止し、前記カッターヘッドの掘進速度を、前記通常掘進速度より遅く、前記通常掘進速度時と同じ前記所定トルク以下の掘進速度になるように、前記伸縮装置で前記カッターヘッドを掘進方向に推進させて、前記障害物を切削し、
前記障害物が鉄筋コンクリートの場合は、前記カッターヘッドの掘進速度が0.05〜1.3mm/minの範囲で前記鉄筋コンクリートを切削するようにした推進工法用又はシールド工法用掘進機の掘進方法。 - 推進工法用又はシールド工法用掘進機において、
切削ビットを前部に有し隔壁に回転軸が支承されるカッターヘッドと、
前記カッターヘッドと共に掘進機本体を掘進方向に推進させる本体推進ジャッキと、
前記カッターヘッドを回転駆動させる駆動機と、
この駆動機の駆動トルクを検出するトルク計と、
前記隔壁に連なる伸縮管に配置され前記カッターヘッドを掘進方向に推進させる掘進速度を可変し得る伸縮ジャッキを有する伸縮装置と、
前記カッターヘッドの掘進中に金属部材を含む障害物を探査する障害物センサとを備え、
前記カッターヘッドは前記駆動機の所定トルク以下の通常掘進速度で前記本体推進ジャッキで掘進方向に推進され、掘進中に前記障害物センサで金属部材を含む前記障害物を検出したときは、前記本体推進ジャッキによる推進を停止し、前記カッターヘッドの掘進速度を、前記通常掘進速度より遅く、前記通常掘進速度時と同じ前記所定トルク以下の掘進速度になるように、前記伸縮装置で前記カッターヘッドを掘進方向に推進させて、前記障害物を切削し、
前記障害物が鋼材,鋼矢板,H型鋼,I型鋼又は鋼管杭の場合は、前記カッターヘッドの掘進速度が0.05〜0.11mm/minの範囲で前記鋼材,鋼矢板,H型鋼,I型鋼又は鋼管杭を切削するようにした推進工法用又はシールド工法用掘進機の掘進方法。 - 前記障害物センサは、電磁波送受信機である請求項1又は請求項2記載の推進工法用又はシールド工法用掘進機の掘進方法。
- 推進工法用又はシールド工法用掘進機において、
切削ビットを前部に有し隔壁に回転軸が支承されるカッターヘッドと、
前記カッターヘッドと共に掘進機本体を掘進方向に推進させる本体推進ジャッキと、
前記カッターヘッドを回転駆動させる駆動機と、
この駆動機の駆動トルクを検出するトルク計と、
前記隔壁に連なる伸縮管に配置され前記カッターヘッドを掘進方向に推進させる掘進速度を可変し得る伸縮ジャッキを有する伸縮装置と、
前記カッターヘッドの掘進中に金属部材を含む障害物を探査する障害物センサとを備え、
前記カッターヘッドは前記駆動機の所定トルク以下の通常掘進速度で前記本体推進ジャッキで掘進方向に推進され、掘進中に前記障害物センサで金属部材を含む前記障害物を検出したときは、前記本体推進ジャッキによる推進を停止し、前記カッターヘッドの掘進速度を、前記通常掘進速度より遅く、前記通常掘進速度時と同じ前記所定トルク以下の掘進速度になるように、前記伸縮装置で前記カッターヘッドを掘進方向に推進させて、前記障害物を切削し、
前記伸縮装置における前記伸縮ジャッキは複数個であり、複数個の前記伸縮ジャッキを前記伸縮管の内周壁に周方向に分散して配置し、前記カッターヘッドの掘進速度を制御するに当たっては、複数個の前記伸縮ジャッキの中で掘進方向において最先端位置に推進している前記伸縮ジャッキの推進を停止させると共に、最後端位置に推進している前記伸縮ジャッキの油圧を調整して所望の掘進速度になるようにした推進工法用又はシールド工法用掘進機の掘進方法。 - 前記障害物センサは、電磁波送受信機である請求項4記載の推進工法用又はシールド工法用掘進機の掘進方法。
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