JP3794136B2 - ロータ式オープンエンド精紡機の繊維輸送装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコーミングローラによりスライバを開繊する開繊装置を備えたロータ式オープンエンド精紡機の繊維輸送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にロータ式オープンエンド精紡機においては、供給スライバがコーミングローラにより開繊されて不純物が分離され、ばらばらに開繊された繊維が高速回転するロータ内の負圧に基づいて繊維輸送通路(繊維輸送チャンネル)内に生じる気流によってロータ内に輸送される。そして、ロータ内へ輸送された繊維はロータの最大内径部である繊維集束部(繊維集束溝)に集束され、ネーブルの中心に設けられたガイド孔(糸引出し通路)から引出しローラの作用により引出され、同時にロータの回転により加撚されて糸となり、ボビンにパッケージとして巻取られるようになっている。また、オープンエンド精紡機には、コーミングローラの作用により開繊された繊維から分離された葉かす、実かす等の不純物(ゴミ)を除去する除塵開口部(除塵室)が設けられている。
【0003】
開繊された繊維はロータ内の負圧により生じる気流によってコーミングローラの周面に沿って移動し、除塵開口部を通過した後、繊維輸送通路に連通する空間に進入して繊維輸送通路へ導かれる。このとき、除塵開口部から繊維輸送通路へ向かう空気流量が少ないと、開繊された繊維の一部が除塵開口部から排出される。そして、ロータ内に送り込まれる有効な繊維の量が減少するという問題がある。また、前記空気流量を多くすると、繊維輸送通路からロータ内に吹き込まれる空気流が強くなり、繊維がロータ壁に強く衝突して折れ曲がり、製造される糸の糸質(糸品質)が悪くなるという問題がある。この現象は繊維輸送量の少ない細番手の糸の製造の場合により顕著になる。
【0004】
また、供給スライバに含まれる不純物が全て除塵開口部で除去されるのではなく、微小な塵埃等が分離されずにロータ内に送り込まれ、その塵埃等が繊維集束部に堆積する。従って、ロータ式オープンエンド精紡機では短い周期で定期的に繊維集束部の清掃を行う必要がある。
【0005】
後者の問題、即ち短い周期での繊維集束部の清掃が必要になるという問題を解決するため、特開昭57−199821号公報には図7に示すように、ロータ51内に開繊繊維を送り込む繊維輸送通路52の途中に吸引導管53を接続し、繊維輸送通路52内を流れる空気流の一部をロータ51へ送り込まずに繊維輸送通路52から導出する装置が開示されている。この装置では、除塵開口部で除去されずに繊維輸送通路52へ送り込まれた微小な塵埃等が、吸引導管53から導出される空気流とともに繊維から分離される。その結果、清掃周期を大幅に長くできる。
【0006】
また、除塵開口部から繊維輸送通路52に向かう空気流量を減らさずに、ロータ内に吹き込まれる空気流量を少なくできる。その結果、除塵開口部から排出される有効繊維の量を少なくできる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開昭57−199821号公報に開示された装置では、繊維輸送通路52を流れる空気流の一部が吸引導管53へ導出される部分において、繊維輸送流に乱れが発生する。そして、繊維輸送通路52に対する吸引導管53の接続位置と繊維輸送通路52の出口との距離が短いため、繊維輸送流の乱れが整流されず、繊維の折れ曲がりが発生して、紡出糸の糸質が悪化する。
【0008】
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は紡出糸の糸質を低下させずに、除塵開口部からの有効繊維の排出を少なくすることができるロータ式オープンエンド精紡機の繊維輸送装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、コーミングローラを備えた開繊装置により開繊された繊維をロータ内に導くため、コーミングローラの周面からロータ内の所定位置に至る繊維輸送通路を備え、かつ前記コーミングローラにスライバを供給する繊維供給部と、前記繊維輸送通路のコーミングローラの周面と対応する入口との間で、前記繊維供給部よりコーミングローラの回転方向の下流側に除塵開口部が設けられたオープンエンド精紡機において、前記繊維輸送通路の入口と前記除塵開口部との間のコーミングローラの周囲を覆う壁面に、第1端部が負圧源に連通された吸引通路の第2端部を開口させた。
【0010】
請求項2に記載の発明では、前記開口は前記除塵開口部に近い位置に形成されている。
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記開口は前記コーミングローラの幅とほぼ同じ幅に形成されている。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、オープンエンド精紡機は強制排気方式であって、前記負圧源は前記ロータの負圧源を共用している。
【0012】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記吸引通路の途中には流量調整手段が設けられている。
請求項6に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記負圧源は前記ロータの負圧源と独立して設けられ、前記吸引通路に作用する負圧の大きさが調整可能となっている。
【0013】
請求項1〜請求項6に記載の発明では、コーミングローラを備えた開繊装置により開繊された繊維が、コーミングローラの周面からロータ内の所定位置に至る繊維輸送通路を経てロータ内の負圧に基づいてロータ内に送り込まれる。ロータ内に輸送された開繊繊維はロータ内壁面に沿って滑動し、繊維集束部に集束される。繊維集束部に集束された繊維束の一端は引出しローラにより引出される糸と繋がっており、繊維集束部からはぎ取られて加撚されながら糸として引出される。開繊繊維はコーミングローラの周面を覆う壁面の途中に設けられた除塵開口部でゴミが分離された後、除塵開口部のコーミングローラの回転方向の下流側から繊維輸送通路の入口に向かう空気流とともに移動する。繊維輸送通路の入口に向かう空気流の一部は途中で吸引通路から負圧源へ導かれ、繊維輸送通路の出口からロータ内に流入する空気流量が減少する。従って、除塵開口部から繊維輸送通路の入口に向かう空気流量を多くしても、ロータ内に流入する空気流量が適正な流量に保持される。
【0014】
請求項2に記載の発明では、吸引通路の開口が除塵開口部に近い位置に形成されているため、吸引通路の吸引作用が繊維輸送通路内の空気流にほとんど影響を及ぼさない。
【0015】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、吸引通路の開口がコーミングローラの幅とほぼ同じ幅に形成されているため、小さな開口を複数形成する場合と異なり、コーミングローラの周面に沿って移動する開繊繊維に対する吸引作用が局部的に強くなることが抑制され、有効繊維が吸引通路から排出されるのが防止される。
【0016】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、ロータは負圧源に接続された室内に配設され、ロータ内の空気は前記負圧源の負圧に基づいて強制的に排気される。そして、吸引通路の負圧源としてロータの負圧源が共用される。
【0017】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、吸引通路の途中に設けられた流量調整手段により吸引通路の流量が紡出条件に対応した適正な値に調整される。
【0018】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、吸引通路はロータの負圧源と独立して設けられた負圧源に接続され、該負圧源の負圧に基づいてロータに作用する負圧と独立して負圧の調整が行われる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を強制排気方式のオープンエンド精紡機に具体化した第1の実施形態を図1及び図2に従って説明する。図1に示すように、オープンエンド精紡機のハウジング1の外面にはボス部2が形成されている。ハウジング1のボス部2が形成された側の外面と対応する位置に、ケーシング3がOリング3aを介してハウジング1に当接された状態で配設されている。ケーシング3はパイプ4を介して負圧源5に接続されている。ケーシング3内、即ちケーシング3及びハウジング1によって区画された室内にはロータ6が、ケーシング3を貫通して設けられた回転軸7に一体回転可能に支持された状態で配設されている。回転軸7は図示しない駆動手段により回転されるようになっている。
【0020】
ロータ6はその中心がボス部2の中心と対向し、ボス部2がロータ6内に突出する状態に配設されている。ロータ6の内壁面の最大内径部には繊維集束部としての繊維集束溝6aが形成されている。ボス部2の中央には糸引出し通路8の一端が開口されたネーブル9が配設されている。糸引出し通路8の端部は、ネーブル9の中心線と交差する状態で配設されたヤーンパイプ(図示せず)に連通し、ヤーンパイプのネーブル9寄りの端部が糸の撚り開始点となっている。
【0021】
ハウジング1内には繊維供給部10、開繊装置を構成するコーミングローラ11、除塵開口部12及び繊維輸送通路としての繊維輸送チャンネル13が設けられている。コーミングローラ11は図1の矢印方向に回転可能に設けられ、図示しない駆動手段により回転されるようになっている。繊維供給部10は供給口10a、フィードローラ14及びプレッサ15を備えている。除塵開口部12は繊維供給部10に対してコーミングローラ11の回転方向下流側に設けられている。繊維輸送チャンネル13はコーミングローラ11の中心に対して除塵開口部12と反対側において、入口13aがコーミングローラ11の周面と対応する位置に開口し、出口13bがボス部2の周面に開口するように形成されている。繊維輸送チャンネル13は入口13aから出口13bに向かってその断面積が徐々に小さくなるように形成されている。そして、ロータ6内の負圧に基づいて繊維輸送チャンネル13に向かう空気流が発生するようになっている。
【0022】
ハウジング1には第1端部がケーシング3に囲繞された空間と対応する位置に開口され、第2の端部が繊維輸送チャンネル13の入口と除塵開口部12との間のコーミングローラ11の周囲を覆う壁面16に開口された吸引通路17が形成されている。即ち、吸引通路17はケーシング3及びパイプ4を介して負圧源5に連通され、吸引通路17の負圧源としてロータ6の負圧源5が共用されている。
【0023】
壁面16に形成された吸引通路17の開口部17aは、除塵開口部12に近い位置に形成されている。図2に示すように、開口部17aはコーミングローラ11の幅とほぼ同じ幅Wの長方形状に形成されている。吸引通路17は壁面16の近傍から開口部17aに向かって次第に拡がるように形成されている。また、吸引通路17はその入口側の延びる方向と、開口部17aが形成された箇所における繊維の飛走方向(即ちコーミングローラ11の周面に対する接線方向)との成す角度θが90度より大きくなるように形成されている。角度θは150〜180度が好ましい。
【0024】
次に前記のように構成された装置の作用を説明する。紡出運転時には駆動手段の作用により、回転軸7とともにロータ6が回転駆動される。また、負圧源5の作用によりパイプ4を介してケーシング3内及びロータ6内が負圧となり、ロータ6内の負圧に基づいて繊維輸送チャンネル13を通ってロータ6内へ向かう空気流が発生する。一方、供給口10aから供給されたスライバSは、フィードローラ14とプレッサ15に把持された状態でコーミングローラ11の作用を受けて開繊され、開繊繊維はコーミングローラ11の周面に沿ってコーミングローラ11とほぼ一体的に繊維輸送チャンネル13に向かって移動する。開繊繊維が除塵開口部12と対応する位置を通過する際に、葉かす、実かす等のゴミが繊維から分離されて除塵開口部12へ放出される。そして、ゴミが分離された後の開繊繊維は、除塵開口部12よりコーミングローラ11の回転方向下流側の壁面16に沿って移動する。
【0025】
そして、繊維輸送チャンネル13の入口13aまで移動した開繊繊維は、繊維輸送チャンネル13に向かう空気流によってコーミングローラ11からはぎ取られ、空気流とともにロータ6内へと輸送される。繊維輸送チャンネル13からロータ6内に送り込まれた開繊繊維は、ロータ6の内壁面に付着するとともに内壁面に沿って滑動し、繊維集束溝6aに集束される。繊維集束溝6aに集束された繊維束は引出しローラ(図示せず)により糸引出し通路8を経て引出される糸Yと繋がっており、糸Yの引出しに伴い繊維集束溝6aからはぎ取られ、ロータ6の回転により加撚されながら糸Yとして引出される。
【0026】
除塵開口部12から繊維輸送チャンネル13に向かう空気流の一部は途中で吸引通路17からケーシング3へ導かれる。繊維輸送チャンネル13の出口13bからロータ6内に流入する空気流の流量をQT 、吸引通路17を通ってケーシング3内に流入する空気流の流量をQB とすると、除塵開口部12から繊維輸送チャンネル13に向かう空気流の流量Q1は両流量QT ,QB の和になる。従って、吸引通路17の空気流の流量QB を適正な値に設定することにより、ロータ6内への流入空気流の流量QT と、除塵開口部12からの空気流の流量Q1とを所望の値に設定することが可能になる。この実施の形態では流量QT はロータ6内に開繊繊維が供給された際に、ロータ6の内壁面と衝突して折れ曲がりが生じない適切な流量に設定されている。また、流量Q1は開繊繊維が除塵開口部12を通過する際に、糸を製造するのに有効な繊維が除塵開口部12に排出されるのを抑制することができる流量に設定されている。従って、除塵開口部12からの有効繊維の逃げが少なくなる。また、紡出糸の糸質の低下が防止される。
【0027】
開口部17aが除塵開口部12に近い位置に形成されているため、吸引通路17の吸引作用が繊維輸送チャンネル13内の空気流にほとんど影響を及ぼさず、繊維輸送チャンネル13内の空気流は乱れのない状態で流れる。従って、開口部17aの吸引作用により開繊繊維に乱れが生じても、その乱れは開繊繊維が繊維輸送チャンネル13内を飛走する間に修復される。
【0028】
また、開口部17aの幅が広く、コーミングローラの幅とほぼ同じ幅に形成されているため、開口部17a付近における流速が小さな状態で、吸引通路17を流れる空気流の必要流量を確保できる。従って、壁面16に沿って繊維輸送チャンネル13に向かう空気流とともに移動する開繊繊維が、吸引通路17へ流入するのが抑制される。また、吸引通路17はその入口側の成す角度θが90度より大きくなるように形成されているため、開口部17から吸引通路17に流入する空気流の流れの方向は、繊維輸送チャンネル13に向かう流れの方向の成分を含まない。従って、開繊繊維が吸引通路17に向かう空気流に乗り難くなる。そして、この実施の形態では角度θが150〜180度に形成されているため、開繊繊維が吸引通路17に向かう空気流にさらに乗り難くなる。
【0029】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(イ) 繊維輸送チャンネル13の入口13aと除塵開口部12との間のコーミングローラ11の周囲を覆う壁面16に、第1端部が負圧源に連通された吸引通路17の第2端部が開口されている。従って、吸引通路17の空気流量を適正な値に設定することにより、紡出糸の糸質を低下させずに除塵開口部12からの有効繊維の排出を抑制できる。
【0030】
(ロ) 開口部17aが除塵開口部12に近い位置に形成されているため、吸引通路17の吸引作用が繊維輸送チャンネル13内の空気流にほとんど影響を及ぼさない。従って、開口部17aと対応する位置で開繊繊維に乱れが発生しても、その乱れは繊維輸送チャンネル13内を開繊繊維が飛走する間に修復され、紡出糸の糸質の低下を来さない。
【0031】
(ハ) 開口部17aがコーミングローラ11の幅とほぼ同じ幅Wに形成されているため、開口部17a付近における流速が小さな状態で、吸引通路17を流れる空気流の必要流量を確保できる。従って、開繊繊維の吸引通路17への流入が抑制される。
【0032】
(ニ) 開口部17aとして開口面積の大きなものが1個設けられているため、小さな開口を複数形成する場合に比較して開口部の形成が容易となる。また、小さな開口を形成した場合と異なり、コーミングローラの周面に沿って移動する開繊繊維に対する吸引作用が局部的に強くなることが抑制され、有効繊維が吸引通路から排出されるのが防止される。
【0033】
(ホ) 吸引通路17の負圧源としてロータ6の負圧源5を共用しているため、吸引通路17用に新たな負圧源を設ける必要がなく、構造が簡単になる。
(ヘ) 吸引通路17はその入口側の成す角度θが90度より大きくなるように形成されているため、開繊繊維が吸引通路17に向かう空気流に乗り難くなり、有効繊維が吸引通路17へ排出されるのが抑制される。角度θを150〜180度にした場合は、有効繊維の排出がほとんど無くなる。
【0034】
(ト) 吸引通路17の第1端部がケーシング3内と対応する位置に開口されるようにハウジング1内に形成されているため、吸引通路17を形成するスペースを確保し易く、吸引通路17を負圧源5に連通させるための管路を新たに設ける必要がない。
【0035】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態を図3に従って説明する。この実施の形態では吸引通路17を流れる空気流の流量を変更可能に構成した点が前記実施の形態と異なり、その他の構成は同じである。従って、同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0036】
吸引通路17の途中には流量調整手段としての流量調整弁18が設けられている。流量調整弁18は手動操作弁及び電磁操作弁のいずれであってもよい。ロータ式オープンエンド精紡機では紡出条件、主として紡出糸番手に対応して適正な径のロータが使用される。また、ロータ6内への流入空気流の流量QT も適正値が異なり、細番手の紡出糸を製造する場合は太番手の紡出糸を製造する場合より流量QT を少なくする必要がある。吸引通路17に流量調整手段が設けられていない前記実施の形態では、流量QT を下げるには負圧源5の負圧の大きさを小さくする必要がある。しかし、負圧源5の負圧を変更すると吸引通路17の空気流の流量QB もそれに対応して変化し、負圧が小さくなれば流量QB も小さくなって、除塵開口部12から有効繊維が排出されるのを抑制する効果が低下する。従って、紡出糸の番手に合わせた吸引通路17が形成されたハウジング1を複数種準備しておき、紡出条件に対応したハウジング1を使用する必要があり、交換作業が面倒である。
【0037】
この実施の形態では負圧源5の負圧の大きさが一定でも、流量調整弁18の開度を大きくすれば、吸引通路17の空気流の流量QB が大きくなってロータ6内への流入空気流の流量QT が小さくなる。また、流量調整弁18の開度を小さくすれば、吸引通路17の空気流の流量QB が小さくなってロータ6内への流入空気流の流量QT が大きくなる。従って、流量調整弁18の開度を紡出糸の番手に対応した開度に調整することにより、除塵開口部12からの空気流の流量Q1は同じで、ロータ6内への流入空気流の流量QT を適正な値に調整できる。その結果、紡出条件を変更する場合にハウジング1を変更する必要がなく、交換作業の手間が無くなる。
【0038】
即ち、この実施の形態では前記第1の実施の形態の(イ)〜(ト)の効果を有する他に、紡出条件の変更に対応してハウジング1を交換する作業が無くなるという効果を有する。紡出糸番手以外に、流量QT の変更が必要な紡出条件の変更としては例えばスライバSの原料の変更がある。
【0039】
また、流量調整弁18として電磁操作弁を使用した場合は、制御装置からの指令信号により多数の紡出ユニットの各流量調整弁18の開度が、紡出条件に対応した所定の開度に自動的に調整される。従って、作業者が各紡出ユニット毎に流量調整弁18の開度調整作業を行う必要がない。
【0040】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態を図4に従って説明する。この実施の形態では吸引通路17の負圧源がロータ6の負圧源5と独立して設けられている点と、吸引通路17に作用する負圧の大きさが調整可能となっている点とが前記両実施の形態と異なっている。前記実施の形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0041】
吸引通路17は第1端部がハウジング1の繊維供給部10が設けられた側と反対側に開口されている。負圧源5と独立した負圧源19はパイプ20を介して吸引通路17に接続されている。負圧源19は負圧の大きさが変更可能に構成されている。
【0042】
前記両実施の形態では負圧源5の負圧の大きさが直接ロータ6内の負圧及び吸引通路17に作用する負圧に大きな影響を及ぼす。そして、ロータ6内に流入する空気流の流量QT を、吸引通路17に流入する空気流の流量QB と関係なく自由に変更することはできない。また、第2の実施の形態では空気流の流量QT を空気流の流量QB と関係なく自由に変更することはできない。しかし、この実施の形態ではロータ6用と、吸引通路17用にそれぞれ独立して負圧源5,19が設けられているため、流量QT ,QB を所望の値に簡単に調整できる。従って、ハウジング1を交換することなく、紡出糸の番手の変更だけでなく、他の紡出条件の変更に対応してより適正な流量QT ,QB で紡出を行うことができる。
【0043】
また、この実施の形態では第1の実施の形態の(イ)、(ハ)、(ニ)及び(ヘ)の効果を有する。
なお、実施の形態は前記各実施の形態に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
【0044】
○ 開口部17aをコーミングローラ11の幅とほぼ同じ幅に形成する場合、その形状は長方形に限らず、例えば楕円形や図5に示すような波形にしてもよい。
【0045】
○ 開口部17aは必ずしもコーミングローラ11の幅とほぼ同じ幅に形成する必要はなく、コーミングローラ11の幅より小さな幅の開口部17aを設けてもよい。また、開口部17aの数は1個に限らず、図6(a)及び図6(b)に示すように、コーミングローラ11の幅より小さな幅の開口部17aを複数設けてもよい。また、コーミングローラ11の幅とほぼ同じ幅の開口部17aを複数設けてもよい。
【0046】
○ 開口部17の形状は丸、楕円、三角形、四角形、多角形の他、不定形等任意の形状に形成してもよい。
○ 開口部17aの位置は除塵開口部12と繊維輸送チャンネル13の入口13aとの間であればよい。しかし、入口13a付近に設けると開口部17aからの吸引作用が繊維輸送チャンネル13内の空気流に影響を及ぼし易くなるため、除塵開口部12に近い位置に設けるのが好ましい。
【0047】
○ 吸引通路17をロータ6の負圧源5に連通させる構成として、吸引通路17の第1端部をケーシング3内に開口せずに、ケーシング3と対向する位置以外の位置に開口し、通路(パイプ)を介してパイプ4と連通させてもよい。
【0048】
○ 第3の実施の形態において、吸引通路17に作用する負圧の大きさを調整可能とする方法として、負圧源19を負圧の大きさを変更可能とする代わりに、パイプ20の途中に流量調整手段としての流量調整弁18を設けてもよい。
【0049】
○ 吸引通路17用の負圧源19を設けた構成において、複数の紡出ユニットで共通の負圧源19を使用するとともに、紡出ユニットを複数のグループに分け、グループ毎に吸引通路17に作用する負圧の大きさを変更可能とする。例えば、グループ毎に流量調整弁を設ける。この場合、各グループ毎に異なる紡出条件に対応して吸引通路17の流量調整が可能となり、各グループ毎に異なる紡出糸番手の糸を並行して生産することが可能となる。
【0050】
○ 繊維輸送チャンネル13をハウジング1に形成されたボス部2に設けた開口を出口とする通路として形成する代わりに、繊維輸送チャンネル13をパイプで形成し、その基端をコーミングローラ11の周面と対向する位置に配置し、先端をロータ6内の所定位置に配置してもよい。
【0051】
○ ロータ6内を負圧にする方式として、強制排気方式に代えて自己排気方式を採用してもよい。即ち負圧源5を無くしてロータ6に自己排気用の排気孔を設ける。この場合は、吸引通路17は吸引通路17用の負圧源19に接続される。なお、強制排気方式の構成に加えてロータ6に自己排気用の排気孔を設けてもよい。
【0052】
○ ロータ6内にロータと異なる速度で回転され、繊維集束部に集束された繊維束Fを糸引出し通路8へ導く開口(糸道)を有する回転体(インナーロータ)を備えたオープンエンド精紡機(例えば特開平5−44119号公報、特開平5−86512号公報等に開示)に適用してもよい。
【0053】
なお、本明細書で「ロータの負圧源」とは、強制排気方式の負圧源だけを意味するのではなく、自己排気方式におけるロータのようにロータ自身が負圧源となるものをも含む。
【0054】
前記各実施の形態から把握できる請求項記載以外の技術的思想(発明)について、以下にその効果とともに記載する。
(1) 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のオープンエンド精紡機は、ロータ内にロータと異なる速度で回転され、繊維集束部に集束された繊維束を糸引出し通路へ導く開口(糸道)を有する回転体(インナーロータ)を備えている。この場合、紡出糸の糸品質がより向上する。
【0055】
(2) 請求項6に記載の発明において、負圧源は複数の紡出ユニットに共用され、負圧源自身が負圧の大きさを調整可能に構成されている。この場合、負圧源の負圧を紡出条件に対応した適正な値に調整することにより、自動的に各紡出ユニットの吸引通路の負圧が適正な値となり、各吸引通路毎に負圧の調整を行う必要がない。従って、多数の紡出ユニットが1個の負圧源に接続された構成の場合、紡出条件の変更に伴う負圧調整が簡単になる。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜請求項6に記載の発明によれば、紡出糸の糸質を低下させずに、除塵開口部からの有効繊維の排出を少なくすることができる。
【0057】
請求項2に記載の発明によれば、吸引通路の開口と対応する位置で開繊繊維に乱れが発生しても、その乱れは繊維輸送通路内を開繊繊維が飛走する間に修復され、紡出糸の糸質の低下を来さない。
【0058】
請求項3に記載の発明によれば、開口付近における流速が小さな状態で、吸引通路を流れる空気流の必要流量を確保でき、開繊繊維の吸引通路への流入が抑制される。
【0059】
請求項4に記載の発明によれば、吸引通路の負圧源としてロータの負圧源を共用しているため、吸引通路用に新たな負圧源を設ける必要がなく、構造が簡単になる。
【0060】
請求項5に記載の発明によれば、紡出条件を変更する場合にハウジングを変更する必要がなく、交換作業の手間が無くなる。
請求項6に記載の発明によれば、ロータ内に流入する空気流の流量を、吸引通路に流入する空気流の流量と関係なく自由に変更することができ、ハウジングを交換することなく、紡出糸の番手の変更だけでなく、他の紡出条件の変更に対応してより適正な流量で紡出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態のオープンエンド精紡機の概略断面図。
【図2】 開口部の形状を示す模式図。
【図3】 第2の実施の形態のオープンエンド精紡機の概略断面図。
【図4】 第3の実施の形態のオープンエンド精紡機の概略断面図。
【図5】 別の開口部の形状を示す模式図。
【図6】 (a),(b)は別の開口部の形状を示す模式図。
【図7】 従来装置の断面図。
【符号の説明】
5…負圧源、6…ロータ、10…繊維供給部、11…開繊装置を構成するコーミングローラ、12…除塵開口部、13…繊維輸送通路としての繊維輸送チャンネル、15a…入口、16…壁面、17…吸引通路、17a…開口部、18…流量調整手段としての流量調整弁、19…負圧源、S…スライバ。
【発明の属する技術分野】
本発明はコーミングローラによりスライバを開繊する開繊装置を備えたロータ式オープンエンド精紡機の繊維輸送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にロータ式オープンエンド精紡機においては、供給スライバがコーミングローラにより開繊されて不純物が分離され、ばらばらに開繊された繊維が高速回転するロータ内の負圧に基づいて繊維輸送通路(繊維輸送チャンネル)内に生じる気流によってロータ内に輸送される。そして、ロータ内へ輸送された繊維はロータの最大内径部である繊維集束部(繊維集束溝)に集束され、ネーブルの中心に設けられたガイド孔(糸引出し通路)から引出しローラの作用により引出され、同時にロータの回転により加撚されて糸となり、ボビンにパッケージとして巻取られるようになっている。また、オープンエンド精紡機には、コーミングローラの作用により開繊された繊維から分離された葉かす、実かす等の不純物(ゴミ)を除去する除塵開口部(除塵室)が設けられている。
【0003】
開繊された繊維はロータ内の負圧により生じる気流によってコーミングローラの周面に沿って移動し、除塵開口部を通過した後、繊維輸送通路に連通する空間に進入して繊維輸送通路へ導かれる。このとき、除塵開口部から繊維輸送通路へ向かう空気流量が少ないと、開繊された繊維の一部が除塵開口部から排出される。そして、ロータ内に送り込まれる有効な繊維の量が減少するという問題がある。また、前記空気流量を多くすると、繊維輸送通路からロータ内に吹き込まれる空気流が強くなり、繊維がロータ壁に強く衝突して折れ曲がり、製造される糸の糸質(糸品質)が悪くなるという問題がある。この現象は繊維輸送量の少ない細番手の糸の製造の場合により顕著になる。
【0004】
また、供給スライバに含まれる不純物が全て除塵開口部で除去されるのではなく、微小な塵埃等が分離されずにロータ内に送り込まれ、その塵埃等が繊維集束部に堆積する。従って、ロータ式オープンエンド精紡機では短い周期で定期的に繊維集束部の清掃を行う必要がある。
【0005】
後者の問題、即ち短い周期での繊維集束部の清掃が必要になるという問題を解決するため、特開昭57−199821号公報には図7に示すように、ロータ51内に開繊繊維を送り込む繊維輸送通路52の途中に吸引導管53を接続し、繊維輸送通路52内を流れる空気流の一部をロータ51へ送り込まずに繊維輸送通路52から導出する装置が開示されている。この装置では、除塵開口部で除去されずに繊維輸送通路52へ送り込まれた微小な塵埃等が、吸引導管53から導出される空気流とともに繊維から分離される。その結果、清掃周期を大幅に長くできる。
【0006】
また、除塵開口部から繊維輸送通路52に向かう空気流量を減らさずに、ロータ内に吹き込まれる空気流量を少なくできる。その結果、除塵開口部から排出される有効繊維の量を少なくできる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開昭57−199821号公報に開示された装置では、繊維輸送通路52を流れる空気流の一部が吸引導管53へ導出される部分において、繊維輸送流に乱れが発生する。そして、繊維輸送通路52に対する吸引導管53の接続位置と繊維輸送通路52の出口との距離が短いため、繊維輸送流の乱れが整流されず、繊維の折れ曲がりが発生して、紡出糸の糸質が悪化する。
【0008】
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は紡出糸の糸質を低下させずに、除塵開口部からの有効繊維の排出を少なくすることができるロータ式オープンエンド精紡機の繊維輸送装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、コーミングローラを備えた開繊装置により開繊された繊維をロータ内に導くため、コーミングローラの周面からロータ内の所定位置に至る繊維輸送通路を備え、かつ前記コーミングローラにスライバを供給する繊維供給部と、前記繊維輸送通路のコーミングローラの周面と対応する入口との間で、前記繊維供給部よりコーミングローラの回転方向の下流側に除塵開口部が設けられたオープンエンド精紡機において、前記繊維輸送通路の入口と前記除塵開口部との間のコーミングローラの周囲を覆う壁面に、第1端部が負圧源に連通された吸引通路の第2端部を開口させた。
【0010】
請求項2に記載の発明では、前記開口は前記除塵開口部に近い位置に形成されている。
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記開口は前記コーミングローラの幅とほぼ同じ幅に形成されている。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、オープンエンド精紡機は強制排気方式であって、前記負圧源は前記ロータの負圧源を共用している。
【0012】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記吸引通路の途中には流量調整手段が設けられている。
請求項6に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記負圧源は前記ロータの負圧源と独立して設けられ、前記吸引通路に作用する負圧の大きさが調整可能となっている。
【0013】
請求項1〜請求項6に記載の発明では、コーミングローラを備えた開繊装置により開繊された繊維が、コーミングローラの周面からロータ内の所定位置に至る繊維輸送通路を経てロータ内の負圧に基づいてロータ内に送り込まれる。ロータ内に輸送された開繊繊維はロータ内壁面に沿って滑動し、繊維集束部に集束される。繊維集束部に集束された繊維束の一端は引出しローラにより引出される糸と繋がっており、繊維集束部からはぎ取られて加撚されながら糸として引出される。開繊繊維はコーミングローラの周面を覆う壁面の途中に設けられた除塵開口部でゴミが分離された後、除塵開口部のコーミングローラの回転方向の下流側から繊維輸送通路の入口に向かう空気流とともに移動する。繊維輸送通路の入口に向かう空気流の一部は途中で吸引通路から負圧源へ導かれ、繊維輸送通路の出口からロータ内に流入する空気流量が減少する。従って、除塵開口部から繊維輸送通路の入口に向かう空気流量を多くしても、ロータ内に流入する空気流量が適正な流量に保持される。
【0014】
請求項2に記載の発明では、吸引通路の開口が除塵開口部に近い位置に形成されているため、吸引通路の吸引作用が繊維輸送通路内の空気流にほとんど影響を及ぼさない。
【0015】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、吸引通路の開口がコーミングローラの幅とほぼ同じ幅に形成されているため、小さな開口を複数形成する場合と異なり、コーミングローラの周面に沿って移動する開繊繊維に対する吸引作用が局部的に強くなることが抑制され、有効繊維が吸引通路から排出されるのが防止される。
【0016】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、ロータは負圧源に接続された室内に配設され、ロータ内の空気は前記負圧源の負圧に基づいて強制的に排気される。そして、吸引通路の負圧源としてロータの負圧源が共用される。
【0017】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、吸引通路の途中に設けられた流量調整手段により吸引通路の流量が紡出条件に対応した適正な値に調整される。
【0018】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、吸引通路はロータの負圧源と独立して設けられた負圧源に接続され、該負圧源の負圧に基づいてロータに作用する負圧と独立して負圧の調整が行われる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を強制排気方式のオープンエンド精紡機に具体化した第1の実施形態を図1及び図2に従って説明する。図1に示すように、オープンエンド精紡機のハウジング1の外面にはボス部2が形成されている。ハウジング1のボス部2が形成された側の外面と対応する位置に、ケーシング3がOリング3aを介してハウジング1に当接された状態で配設されている。ケーシング3はパイプ4を介して負圧源5に接続されている。ケーシング3内、即ちケーシング3及びハウジング1によって区画された室内にはロータ6が、ケーシング3を貫通して設けられた回転軸7に一体回転可能に支持された状態で配設されている。回転軸7は図示しない駆動手段により回転されるようになっている。
【0020】
ロータ6はその中心がボス部2の中心と対向し、ボス部2がロータ6内に突出する状態に配設されている。ロータ6の内壁面の最大内径部には繊維集束部としての繊維集束溝6aが形成されている。ボス部2の中央には糸引出し通路8の一端が開口されたネーブル9が配設されている。糸引出し通路8の端部は、ネーブル9の中心線と交差する状態で配設されたヤーンパイプ(図示せず)に連通し、ヤーンパイプのネーブル9寄りの端部が糸の撚り開始点となっている。
【0021】
ハウジング1内には繊維供給部10、開繊装置を構成するコーミングローラ11、除塵開口部12及び繊維輸送通路としての繊維輸送チャンネル13が設けられている。コーミングローラ11は図1の矢印方向に回転可能に設けられ、図示しない駆動手段により回転されるようになっている。繊維供給部10は供給口10a、フィードローラ14及びプレッサ15を備えている。除塵開口部12は繊維供給部10に対してコーミングローラ11の回転方向下流側に設けられている。繊維輸送チャンネル13はコーミングローラ11の中心に対して除塵開口部12と反対側において、入口13aがコーミングローラ11の周面と対応する位置に開口し、出口13bがボス部2の周面に開口するように形成されている。繊維輸送チャンネル13は入口13aから出口13bに向かってその断面積が徐々に小さくなるように形成されている。そして、ロータ6内の負圧に基づいて繊維輸送チャンネル13に向かう空気流が発生するようになっている。
【0022】
ハウジング1には第1端部がケーシング3に囲繞された空間と対応する位置に開口され、第2の端部が繊維輸送チャンネル13の入口と除塵開口部12との間のコーミングローラ11の周囲を覆う壁面16に開口された吸引通路17が形成されている。即ち、吸引通路17はケーシング3及びパイプ4を介して負圧源5に連通され、吸引通路17の負圧源としてロータ6の負圧源5が共用されている。
【0023】
壁面16に形成された吸引通路17の開口部17aは、除塵開口部12に近い位置に形成されている。図2に示すように、開口部17aはコーミングローラ11の幅とほぼ同じ幅Wの長方形状に形成されている。吸引通路17は壁面16の近傍から開口部17aに向かって次第に拡がるように形成されている。また、吸引通路17はその入口側の延びる方向と、開口部17aが形成された箇所における繊維の飛走方向(即ちコーミングローラ11の周面に対する接線方向)との成す角度θが90度より大きくなるように形成されている。角度θは150〜180度が好ましい。
【0024】
次に前記のように構成された装置の作用を説明する。紡出運転時には駆動手段の作用により、回転軸7とともにロータ6が回転駆動される。また、負圧源5の作用によりパイプ4を介してケーシング3内及びロータ6内が負圧となり、ロータ6内の負圧に基づいて繊維輸送チャンネル13を通ってロータ6内へ向かう空気流が発生する。一方、供給口10aから供給されたスライバSは、フィードローラ14とプレッサ15に把持された状態でコーミングローラ11の作用を受けて開繊され、開繊繊維はコーミングローラ11の周面に沿ってコーミングローラ11とほぼ一体的に繊維輸送チャンネル13に向かって移動する。開繊繊維が除塵開口部12と対応する位置を通過する際に、葉かす、実かす等のゴミが繊維から分離されて除塵開口部12へ放出される。そして、ゴミが分離された後の開繊繊維は、除塵開口部12よりコーミングローラ11の回転方向下流側の壁面16に沿って移動する。
【0025】
そして、繊維輸送チャンネル13の入口13aまで移動した開繊繊維は、繊維輸送チャンネル13に向かう空気流によってコーミングローラ11からはぎ取られ、空気流とともにロータ6内へと輸送される。繊維輸送チャンネル13からロータ6内に送り込まれた開繊繊維は、ロータ6の内壁面に付着するとともに内壁面に沿って滑動し、繊維集束溝6aに集束される。繊維集束溝6aに集束された繊維束は引出しローラ(図示せず)により糸引出し通路8を経て引出される糸Yと繋がっており、糸Yの引出しに伴い繊維集束溝6aからはぎ取られ、ロータ6の回転により加撚されながら糸Yとして引出される。
【0026】
除塵開口部12から繊維輸送チャンネル13に向かう空気流の一部は途中で吸引通路17からケーシング3へ導かれる。繊維輸送チャンネル13の出口13bからロータ6内に流入する空気流の流量をQT 、吸引通路17を通ってケーシング3内に流入する空気流の流量をQB とすると、除塵開口部12から繊維輸送チャンネル13に向かう空気流の流量Q1は両流量QT ,QB の和になる。従って、吸引通路17の空気流の流量QB を適正な値に設定することにより、ロータ6内への流入空気流の流量QT と、除塵開口部12からの空気流の流量Q1とを所望の値に設定することが可能になる。この実施の形態では流量QT はロータ6内に開繊繊維が供給された際に、ロータ6の内壁面と衝突して折れ曲がりが生じない適切な流量に設定されている。また、流量Q1は開繊繊維が除塵開口部12を通過する際に、糸を製造するのに有効な繊維が除塵開口部12に排出されるのを抑制することができる流量に設定されている。従って、除塵開口部12からの有効繊維の逃げが少なくなる。また、紡出糸の糸質の低下が防止される。
【0027】
開口部17aが除塵開口部12に近い位置に形成されているため、吸引通路17の吸引作用が繊維輸送チャンネル13内の空気流にほとんど影響を及ぼさず、繊維輸送チャンネル13内の空気流は乱れのない状態で流れる。従って、開口部17aの吸引作用により開繊繊維に乱れが生じても、その乱れは開繊繊維が繊維輸送チャンネル13内を飛走する間に修復される。
【0028】
また、開口部17aの幅が広く、コーミングローラの幅とほぼ同じ幅に形成されているため、開口部17a付近における流速が小さな状態で、吸引通路17を流れる空気流の必要流量を確保できる。従って、壁面16に沿って繊維輸送チャンネル13に向かう空気流とともに移動する開繊繊維が、吸引通路17へ流入するのが抑制される。また、吸引通路17はその入口側の成す角度θが90度より大きくなるように形成されているため、開口部17から吸引通路17に流入する空気流の流れの方向は、繊維輸送チャンネル13に向かう流れの方向の成分を含まない。従って、開繊繊維が吸引通路17に向かう空気流に乗り難くなる。そして、この実施の形態では角度θが150〜180度に形成されているため、開繊繊維が吸引通路17に向かう空気流にさらに乗り難くなる。
【0029】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(イ) 繊維輸送チャンネル13の入口13aと除塵開口部12との間のコーミングローラ11の周囲を覆う壁面16に、第1端部が負圧源に連通された吸引通路17の第2端部が開口されている。従って、吸引通路17の空気流量を適正な値に設定することにより、紡出糸の糸質を低下させずに除塵開口部12からの有効繊維の排出を抑制できる。
【0030】
(ロ) 開口部17aが除塵開口部12に近い位置に形成されているため、吸引通路17の吸引作用が繊維輸送チャンネル13内の空気流にほとんど影響を及ぼさない。従って、開口部17aと対応する位置で開繊繊維に乱れが発生しても、その乱れは繊維輸送チャンネル13内を開繊繊維が飛走する間に修復され、紡出糸の糸質の低下を来さない。
【0031】
(ハ) 開口部17aがコーミングローラ11の幅とほぼ同じ幅Wに形成されているため、開口部17a付近における流速が小さな状態で、吸引通路17を流れる空気流の必要流量を確保できる。従って、開繊繊維の吸引通路17への流入が抑制される。
【0032】
(ニ) 開口部17aとして開口面積の大きなものが1個設けられているため、小さな開口を複数形成する場合に比較して開口部の形成が容易となる。また、小さな開口を形成した場合と異なり、コーミングローラの周面に沿って移動する開繊繊維に対する吸引作用が局部的に強くなることが抑制され、有効繊維が吸引通路から排出されるのが防止される。
【0033】
(ホ) 吸引通路17の負圧源としてロータ6の負圧源5を共用しているため、吸引通路17用に新たな負圧源を設ける必要がなく、構造が簡単になる。
(ヘ) 吸引通路17はその入口側の成す角度θが90度より大きくなるように形成されているため、開繊繊維が吸引通路17に向かう空気流に乗り難くなり、有効繊維が吸引通路17へ排出されるのが抑制される。角度θを150〜180度にした場合は、有効繊維の排出がほとんど無くなる。
【0034】
(ト) 吸引通路17の第1端部がケーシング3内と対応する位置に開口されるようにハウジング1内に形成されているため、吸引通路17を形成するスペースを確保し易く、吸引通路17を負圧源5に連通させるための管路を新たに設ける必要がない。
【0035】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態を図3に従って説明する。この実施の形態では吸引通路17を流れる空気流の流量を変更可能に構成した点が前記実施の形態と異なり、その他の構成は同じである。従って、同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0036】
吸引通路17の途中には流量調整手段としての流量調整弁18が設けられている。流量調整弁18は手動操作弁及び電磁操作弁のいずれであってもよい。ロータ式オープンエンド精紡機では紡出条件、主として紡出糸番手に対応して適正な径のロータが使用される。また、ロータ6内への流入空気流の流量QT も適正値が異なり、細番手の紡出糸を製造する場合は太番手の紡出糸を製造する場合より流量QT を少なくする必要がある。吸引通路17に流量調整手段が設けられていない前記実施の形態では、流量QT を下げるには負圧源5の負圧の大きさを小さくする必要がある。しかし、負圧源5の負圧を変更すると吸引通路17の空気流の流量QB もそれに対応して変化し、負圧が小さくなれば流量QB も小さくなって、除塵開口部12から有効繊維が排出されるのを抑制する効果が低下する。従って、紡出糸の番手に合わせた吸引通路17が形成されたハウジング1を複数種準備しておき、紡出条件に対応したハウジング1を使用する必要があり、交換作業が面倒である。
【0037】
この実施の形態では負圧源5の負圧の大きさが一定でも、流量調整弁18の開度を大きくすれば、吸引通路17の空気流の流量QB が大きくなってロータ6内への流入空気流の流量QT が小さくなる。また、流量調整弁18の開度を小さくすれば、吸引通路17の空気流の流量QB が小さくなってロータ6内への流入空気流の流量QT が大きくなる。従って、流量調整弁18の開度を紡出糸の番手に対応した開度に調整することにより、除塵開口部12からの空気流の流量Q1は同じで、ロータ6内への流入空気流の流量QT を適正な値に調整できる。その結果、紡出条件を変更する場合にハウジング1を変更する必要がなく、交換作業の手間が無くなる。
【0038】
即ち、この実施の形態では前記第1の実施の形態の(イ)〜(ト)の効果を有する他に、紡出条件の変更に対応してハウジング1を交換する作業が無くなるという効果を有する。紡出糸番手以外に、流量QT の変更が必要な紡出条件の変更としては例えばスライバSの原料の変更がある。
【0039】
また、流量調整弁18として電磁操作弁を使用した場合は、制御装置からの指令信号により多数の紡出ユニットの各流量調整弁18の開度が、紡出条件に対応した所定の開度に自動的に調整される。従って、作業者が各紡出ユニット毎に流量調整弁18の開度調整作業を行う必要がない。
【0040】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態を図4に従って説明する。この実施の形態では吸引通路17の負圧源がロータ6の負圧源5と独立して設けられている点と、吸引通路17に作用する負圧の大きさが調整可能となっている点とが前記両実施の形態と異なっている。前記実施の形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0041】
吸引通路17は第1端部がハウジング1の繊維供給部10が設けられた側と反対側に開口されている。負圧源5と独立した負圧源19はパイプ20を介して吸引通路17に接続されている。負圧源19は負圧の大きさが変更可能に構成されている。
【0042】
前記両実施の形態では負圧源5の負圧の大きさが直接ロータ6内の負圧及び吸引通路17に作用する負圧に大きな影響を及ぼす。そして、ロータ6内に流入する空気流の流量QT を、吸引通路17に流入する空気流の流量QB と関係なく自由に変更することはできない。また、第2の実施の形態では空気流の流量QT を空気流の流量QB と関係なく自由に変更することはできない。しかし、この実施の形態ではロータ6用と、吸引通路17用にそれぞれ独立して負圧源5,19が設けられているため、流量QT ,QB を所望の値に簡単に調整できる。従って、ハウジング1を交換することなく、紡出糸の番手の変更だけでなく、他の紡出条件の変更に対応してより適正な流量QT ,QB で紡出を行うことができる。
【0043】
また、この実施の形態では第1の実施の形態の(イ)、(ハ)、(ニ)及び(ヘ)の効果を有する。
なお、実施の形態は前記各実施の形態に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
【0044】
○ 開口部17aをコーミングローラ11の幅とほぼ同じ幅に形成する場合、その形状は長方形に限らず、例えば楕円形や図5に示すような波形にしてもよい。
【0045】
○ 開口部17aは必ずしもコーミングローラ11の幅とほぼ同じ幅に形成する必要はなく、コーミングローラ11の幅より小さな幅の開口部17aを設けてもよい。また、開口部17aの数は1個に限らず、図6(a)及び図6(b)に示すように、コーミングローラ11の幅より小さな幅の開口部17aを複数設けてもよい。また、コーミングローラ11の幅とほぼ同じ幅の開口部17aを複数設けてもよい。
【0046】
○ 開口部17の形状は丸、楕円、三角形、四角形、多角形の他、不定形等任意の形状に形成してもよい。
○ 開口部17aの位置は除塵開口部12と繊維輸送チャンネル13の入口13aとの間であればよい。しかし、入口13a付近に設けると開口部17aからの吸引作用が繊維輸送チャンネル13内の空気流に影響を及ぼし易くなるため、除塵開口部12に近い位置に設けるのが好ましい。
【0047】
○ 吸引通路17をロータ6の負圧源5に連通させる構成として、吸引通路17の第1端部をケーシング3内に開口せずに、ケーシング3と対向する位置以外の位置に開口し、通路(パイプ)を介してパイプ4と連通させてもよい。
【0048】
○ 第3の実施の形態において、吸引通路17に作用する負圧の大きさを調整可能とする方法として、負圧源19を負圧の大きさを変更可能とする代わりに、パイプ20の途中に流量調整手段としての流量調整弁18を設けてもよい。
【0049】
○ 吸引通路17用の負圧源19を設けた構成において、複数の紡出ユニットで共通の負圧源19を使用するとともに、紡出ユニットを複数のグループに分け、グループ毎に吸引通路17に作用する負圧の大きさを変更可能とする。例えば、グループ毎に流量調整弁を設ける。この場合、各グループ毎に異なる紡出条件に対応して吸引通路17の流量調整が可能となり、各グループ毎に異なる紡出糸番手の糸を並行して生産することが可能となる。
【0050】
○ 繊維輸送チャンネル13をハウジング1に形成されたボス部2に設けた開口を出口とする通路として形成する代わりに、繊維輸送チャンネル13をパイプで形成し、その基端をコーミングローラ11の周面と対向する位置に配置し、先端をロータ6内の所定位置に配置してもよい。
【0051】
○ ロータ6内を負圧にする方式として、強制排気方式に代えて自己排気方式を採用してもよい。即ち負圧源5を無くしてロータ6に自己排気用の排気孔を設ける。この場合は、吸引通路17は吸引通路17用の負圧源19に接続される。なお、強制排気方式の構成に加えてロータ6に自己排気用の排気孔を設けてもよい。
【0052】
○ ロータ6内にロータと異なる速度で回転され、繊維集束部に集束された繊維束Fを糸引出し通路8へ導く開口(糸道)を有する回転体(インナーロータ)を備えたオープンエンド精紡機(例えば特開平5−44119号公報、特開平5−86512号公報等に開示)に適用してもよい。
【0053】
なお、本明細書で「ロータの負圧源」とは、強制排気方式の負圧源だけを意味するのではなく、自己排気方式におけるロータのようにロータ自身が負圧源となるものをも含む。
【0054】
前記各実施の形態から把握できる請求項記載以外の技術的思想(発明)について、以下にその効果とともに記載する。
(1) 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のオープンエンド精紡機は、ロータ内にロータと異なる速度で回転され、繊維集束部に集束された繊維束を糸引出し通路へ導く開口(糸道)を有する回転体(インナーロータ)を備えている。この場合、紡出糸の糸品質がより向上する。
【0055】
(2) 請求項6に記載の発明において、負圧源は複数の紡出ユニットに共用され、負圧源自身が負圧の大きさを調整可能に構成されている。この場合、負圧源の負圧を紡出条件に対応した適正な値に調整することにより、自動的に各紡出ユニットの吸引通路の負圧が適正な値となり、各吸引通路毎に負圧の調整を行う必要がない。従って、多数の紡出ユニットが1個の負圧源に接続された構成の場合、紡出条件の変更に伴う負圧調整が簡単になる。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜請求項6に記載の発明によれば、紡出糸の糸質を低下させずに、除塵開口部からの有効繊維の排出を少なくすることができる。
【0057】
請求項2に記載の発明によれば、吸引通路の開口と対応する位置で開繊繊維に乱れが発生しても、その乱れは繊維輸送通路内を開繊繊維が飛走する間に修復され、紡出糸の糸質の低下を来さない。
【0058】
請求項3に記載の発明によれば、開口付近における流速が小さな状態で、吸引通路を流れる空気流の必要流量を確保でき、開繊繊維の吸引通路への流入が抑制される。
【0059】
請求項4に記載の発明によれば、吸引通路の負圧源としてロータの負圧源を共用しているため、吸引通路用に新たな負圧源を設ける必要がなく、構造が簡単になる。
【0060】
請求項5に記載の発明によれば、紡出条件を変更する場合にハウジングを変更する必要がなく、交換作業の手間が無くなる。
請求項6に記載の発明によれば、ロータ内に流入する空気流の流量を、吸引通路に流入する空気流の流量と関係なく自由に変更することができ、ハウジングを交換することなく、紡出糸の番手の変更だけでなく、他の紡出条件の変更に対応してより適正な流量で紡出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態のオープンエンド精紡機の概略断面図。
【図2】 開口部の形状を示す模式図。
【図3】 第2の実施の形態のオープンエンド精紡機の概略断面図。
【図4】 第3の実施の形態のオープンエンド精紡機の概略断面図。
【図5】 別の開口部の形状を示す模式図。
【図6】 (a),(b)は別の開口部の形状を示す模式図。
【図7】 従来装置の断面図。
【符号の説明】
5…負圧源、6…ロータ、10…繊維供給部、11…開繊装置を構成するコーミングローラ、12…除塵開口部、13…繊維輸送通路としての繊維輸送チャンネル、15a…入口、16…壁面、17…吸引通路、17a…開口部、18…流量調整手段としての流量調整弁、19…負圧源、S…スライバ。
Claims (6)
- コーミングローラを備えた開繊装置により開繊された繊維をロータ内に導くため、コーミングローラの周面からロータ内の所定位置に至る繊維輸送通路を備え、かつ前記コーミングローラにスライバを供給する繊維供給部と、前記繊維輸送通路のコーミングローラの周面と対応する入口との間で、前記繊維供給部よりコーミングローラの回転方向の下流側に除塵開口部が設けられたロータ式オープンエンド精紡機において、
前記繊維輸送通路の入口と前記除塵開口部との間のコーミングローラの周囲を覆う壁面に、第1端部が負圧源に連通された吸引通路の第2端部を開口させたロータ式オープンエンド精紡機の繊維輸送装置。 - 前記開口は前記除塵開口部に近い位置に形成されている請求項1に記載のロータ式オープンエンド精紡機の繊維輸送装置。
- 前記開口は前記コーミングローラの幅とほぼ同じ幅に形成されている請求項1又は請求項2に記載のロータ式オープンエンド精紡機の繊維輸送装置。
- オープンエンド精紡機は強制排気方式であって、前記負圧源は前記ロータの負圧源を共用している請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のロータ式オープンエンド精紡機の繊維輸送装置。
- 前記吸引通路の途中には流量調整手段が設けられている請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のロータ式オープンエンド精紡機の繊維輸送装置。
- 前記負圧源は前記ロータの負圧源と独立して設けられ、前記吸引通路に作用する負圧の大きさが調整可能となっている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のロータ式オープンエンド精紡機の繊維輸送装置。
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