JP3793986B2 - 超音波霧化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、本体に内蔵された振動子の振動より液体を霧化する超音波吸入器等の霧化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、超音波振動子を振動させ、この振動により液槽内の液体を霧化し、霧化液を液槽内から送風ファンにより、外部に放出させる超音波式の霧化装置がよく知られている。この種の霧化装置において、霧と混合させるための空気流と発振ユニットを空冷するための空気流を分流する空気分流手段を設けたものがある(特開平6−26677号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の超音波霧化装置では、送風用ファンが冷却ファンを兼ねるものであるから、送風用ファンに異常が発生し、停止してしまった場合、発振ユニットの冷却ができず、発振ユニット及び本体内部の発熱部品が冷却されず、安全上、好ましくないという問題がある。
【0004】
この発明は上記問題点に着目してなされたものであって、冷却ファンが停止しても発振ユニット及び本体内部の発熱素子が発熱することなく、かつ安全性を向上することのできる超音波霧化装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の超音波霧化装置は、霧化液を送出するための送風用ファンの他に、冷却ファンを備えたものにおいて、霧化動作のスタート/ストップスイッチと、霧化動作の連続モード及びタイマモードと、前記冷却ファンの回転が停止したことを検出する回転停止検出手段と、この回転停止検出手段による冷却ファンの回転停止の検出に応答してその旨を報知する報知手段と、を備え、報知手段は、連続モードの場合は動作状態を表示し、この動作状態表示中にスタート/ストップスイッチの再ONにより送風用ファンの動作停止とともに動作停止状態を表示し、動作状態表示中にエラーが発生したときは動作停止状態を表示し、タイマモードの場合は残時間を表示し、この残時間表示中にスタート/ストップスイッチの再ONにより送風用ファンの動作停止とともに残時間を表示し、残時間表示中にエラーが発生したときは残時間を点滅表示することを特徴とする。
【0006】
この超音波霧化装置では、冷却ファンが回転を停止した場合、この回転停止を回転停止検出手段で検出し、その旨、つまり冷却ファンの回転停止を報知手段で報知する。そのため、使用者は冷却ファンの回転停止を直ちに知ることができ、回路部が発熱する前に、適切な措置を取ることができる。報知は表示の点滅、音等によって行う。
【0007】
この発明の超音波霧化装置は、前記回転停止検出時に、霧化動作中である場合、霧化動作はそのまま継続するものでよい。
【0008】
また、前記回転停止検出時に、振動子による霧化動作及び送風用ファンの動作を停止するものでもよい。
【0009】
また、この発明の超音波霧化装置では、冷却ファンの回転/停止の開始時のチャタリングによる誤動作を避けるために、前記霧化動作及び送風用ファンの動作停止は、回転停止検出時から所定時間経過した後に行うとよい。
【0010】
同様に、前記回転停止の報知は、回転停止検出時から所定時間経過した後に行うようにしてもよい。
【0011】
また、この発明の超音波霧化装置では、回路部の発熱を検知する感温素子を備え、この感温素子が発熱を検知すると、この発熱検知に応答して振動子による霧化動作及び送風用ファンの動作を停止するようにしてもよい。
【0012】
さらに、前記感温素子が、回路部の発熱低下により発熱を検知しなくなった時点で、前記振動子による霧化動作及び送風用ファンの動作を再度、開始するようにしてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態により、この発明をさらに詳細に説明する。図1は、この発明の一実施形態である超音波霧化装置の外観前面図である。この実施形態超音波霧化装置の本体右上部の後方より前方に向けて傾斜させた部分に、表示部1、風量ダイヤル2、霧化量ダイヤル3、タイマダイヤル4及びスタート/ストップスイッチ5を設けている。また、本体側部に電源スイッチ6を備えている。また、本体の左部には、液槽カバー固定アーム7、排水ホース8、液槽受け9及び液槽カバー10を備えている。
【0014】
図2は、この実施形態超音波霧化装置の内部を示す断面図である。この実施形態超音波霧化装置の本体内には、ブザー11、発振ユニット12、電源トランス13、冷却ファン14、液槽15、少容量霧化キット16、フロートスイッチ17、水槽18、振動子19を備えている。液槽カバー10は、固定ポイント20で固定アーム7によって固定されている。
【0015】
図3は、この実施形態超音波霧化装置の外観後面図である。図4は、ファンカバーを外した状態の後面図である。図3において、21はファンケース、22はファンカバーである。後面内部には、送風用ファン23、送風経路24を備えている。25は液槽カバー固定アーム軸である。
【0016】
図5は実施形態超音波霧化装置の機能構成を示すブロック図である。この実施形態超音波霧化装置は、操作部31と、報知部32と、制御部33と、発振周波数生成部34と、霧化部35と、送風部36と、冷却部37と、エラー検出部38と、冷却ファン停止検出部39と、感温素子40とを備えている。
【0017】
操作部31には、風量ダイヤル2、霧化量ダイヤル3、タイマダイヤル4、スタート/ストップスイッチ5等を含むものである。報知部32は、図1の表示部1に相当し、表示駆動回路、表示器、ブザーを含む。制御部33は、主としてCPUで構成され、風量ダイヤル2、霧化量ダイヤル3、タイマダイヤル4等の設定やエラー検出部38からの信号に応じ、発振周波数生成部34、霧化部35、送風部36、冷却部37、報知部32に信号を送り、風量、霧化量、連続動作時間等を制御する機能を有する。発振周波数生成部34は、振動子19を駆動する信号を発生させるための回路であり、図2の発振ユニット12に相当する。霧化部35は振動子19を含む。送風部36は送風用モータを含む送風用ファン23に相当する。冷却部37は振動子19、発振回路ユニット12を冷却するための、図2の冷却ファン14に相当する。冷却ファン停止検出部39は、フォトインタラプタを備え、回転数を検出することにより、回転停止を確認する。他の回路停止検出手段とて、フォトインタラプタに代えて、冷却ファンに流れる電流値の違いにより確認する。回転が停止した時にリレーのオン/オフが切り替わる構造にしておき、そのオン/オフにより確認するようにしてもよい。
【0018】
次に、図6、図7に示すフロー図を参照して、実施形態超音波霧化装置の動作を説明する。先ず、電源スイッチがONされると、ステップST1において、スタート/ストップスイッチ5がONされたか否か判定する。ONされないと、このままこのスイッチに停まり、スタート/ストップスイッチ5がONされるのを待機する。一方、このスタート/ストップスイッチ5がONされると、ステップST2に移行する。
【0019】
ステップST2においては、発振周波数生成部34(発振ユニット12)と、送風部36及び冷却部37が動作を開始する。発振ユニット12が動作し、霧化部35の振動子19が水槽18内の水に超音波を伝える。超音波は水槽18内の水を通して、薬剤槽15の薬液に伝わる。薬剤槽15内の液体は、超音波の作用で液面近くに発生するキャビテーションの影響を受けて薬液が噴水状に上がり、霧状になって飛散する。飛散した霧は、送風部36から送られて来た風と一緒に外部に送り出される。また、冷却部37の動作により、回路部を中心とする内部の発熱が抑えられる。
【0020】
ステップST2の動作開始後、ステップST3においては、タイマダイヤル4が連続モードであるか否か判定する。連続モードであれば、ステップST4へ移行する。一方、連続モードでなければタイマモードであるとして、ステップST7へ移行する。ステップST4においては、動作状態を示す表示を表示部32で行う。この表示は、順次表示セグメントが動的に変化する態様でなされる。これにより、看護婦等は連続モードで動作状態であることを知ることができる。また、ステップST5においては、一定時間毎にブザーを発生する。これによっても、連続モードで動作状態であることを知ることができる。ステップST6に続いて、ステップST7に移行する。
【0021】
ステップST6においては、エラーが発生しているか否かを判定する。エラーとは、例えば渇水エラー、ファンカバーの装着エラー、薬剤槽の装着エラー等である。エラー発生の場合は、ステップST19へ移行する。エラーが発生していない場合は、ステップST7へ移行する。ステップST7においては、タイマモードか否かを判定する。タイマダイヤル4がタイマに設定されていると、判定YESでステップST8へ移行する。判定NOの場合は、ステップST10へ移行する。
【0022】
ステップST8では、ステップST6と同様、エラー発生か否かを判定する。エラーが発生していなければステップST9へ移行する。エラーが発生しておれば、ステップST23へ移行する。ステップST9においては、タイマモードでエラーを発生していないので、残時間を報知部32に表示する。そして、ステップST10へ移行する。
【0023】
ステップST10においては、スタート/ストップスイッチ5がOFFされたか否かを判定する。スイッチ5がOFFされた場合は、ステップST11へ移行する。一方、スイッチ5がOFFでない場合は、ステップST3へ戻る。ステップST11においては、発振ユニット12を停止させ、振動子19の振動を停止する。また、次のステップST12においては、送風用のモータを停止する。そして、ステップ13へ移行する。ステップST13においては、連続モードか否かを判定する。タイマダイヤル4が連続モードである場合には、ステップST14へ移行する。連続モードでない場合は、ステップST15へ移行する。
【0024】
ステップST14においては、報知部32で連続状態での動作停止状態である旨を示す表示を行う。この表示は、静止文字の“00”である。この表示を目視することにより、看護婦等は装置が連続モードで動作停止状態であることを知ることができる。ステップST15においては、タイマモードでの動作停止状態なので報知部32に残時間を表示する。
【0025】
ステップST19においては、発振周波数生成部34及び送風用モータを動作停止させる。そして、ステップST20へ移行する。ステップST20においては、冷却ファン停止検出か否かを判定する。冷却ファン停止検出の場合は、ステップST21へ移行する。一方、冷却ファン停止検出でない場合は、他のエラーであるとして、ステップST16へ移行する。ステップST21においては、冷却ファン停止から500msecを経過したか否かを判定する。500msecの経過でステップST22へ移行する。ステップST22においては、報知部32に冷却ファン停止の表示をし、ブザーにて音でもその旨を報知する。そして、ステップST16へ移行する。ここで、冷却ファン停止検出から500msec経過で、その旨を報知し、発振周波数生成部等を動作停止させているのは、冷却ファンの回転開始/停止時のチャタリングによる誤動作を避けるためである。
【0026】
ステップST16においては、連続モードでのエラー発生時なので、文字“00”、つまり動作停止状態を示す表示とする。さらに、ステップST17へ移行し、報知を行う。このエラー報知はエラー発生箇所の表示やエラー発生を示す報知音等である。ステップST17からステップST18へ移行し、エラーか否かを判定し、エラーなしでステップST1に戻る。
【0027】
ステップST23においては、発振周波数生成部34及び送風用モータを動作停止させる。そして、ステップST24へ移行する。ステップST24においては、冷却ファン停止検出か否かを判定する。冷却ファン停止検出の場合は、ステップST25へ移行する。一方、冷却ファン停止検出でない場合は、他のエラーであるとして、ステップST27へ移行する。ステップST25においては、冷却ファン停止検出から500msecを経過したか否かを判定する。500msecの経過で、ステップST26へ移行する。ステップST26においては、報知部32に冷却ファン停止の表示をし、ブザーにて音でもその旨を報知する。続いて、ステップST27へ移行する。ステップST27においては、タイマモードでの動作中のエラー発生時なので、残時間を点滅表示する。この残時間の点滅表示により、霧化異常がわかりやすい。
【0028】
図8は、この発明の他の実施形態超音波霧化装置の動作を説明するフロー図である。この実施形態超音波霧化装置では、先ずステップST31において、冷却ファンが回転中か否かを確認する。この確認は、上述したと同様にフォトインタラプタ等により、回転数を検出することにより、冷却ファンが回転しているかを確認するとよい。また、冷却ファンに流れる電流値の違いによって確認してもよいし、回転が停止した時にリレーのオン/オフが切り替わる構造にしておき、それにより確認してもよい。ステップST31において、冷却ファンが回転中の場合は、ステップST37へ移行する。回転中でない場合は、ステップST32へ移行する。
【0029】
ステップST37においては、通常の霧化動作及び送風用ファンの動作を継続し、ステップST31へ戻る。ステップST32においては、冷却ファンが回転停止していることを報知する。報知の方法は、LCD等による表示でもよいし、ブザー等による音の報知でもよい。両方による報知であってもよい。続いてステップST33へ移行する。
【0030】
ステップST33においては、感熱素子が発熱を検知したか否か判定する。これは冷却ファンが回転停止した場合でも出力(霧化、送風)をすぐ停止するのではなく、内部素子が異常動作を起こす寸前までは、出力を止めないという考え方より、感温素子が動作する温度を内部素子の限界温度に設定しておき、内部素子が異常動作を行う前に出力を止めるようにするための確認である。なお、感温素子の設定温度は、内部素子が異常動作を起こす寸前より、かなり余裕を持った温度設定値にしてもよい。ステップST33において、発熱を検知するとステップST34へ移行する。発熱を検知しない場合は、ステップST37へ移行する。
【0031】
ステップST34においては、感温素子が動作し、霧化動作及び送風用ファンの動作を停止する。そして、ステップST35へ移行する。ステップST35においては、感温素子が発熱を非検知か否か判定する。これは出力停止によって内部素子の温度が低下し、感温素子が非動作(非検知)になるかを確認している。非検知の場合は、ステップST36へ移行する。また、発熱を検知した状態であると、ステップST31へ戻る。ステップST36においては、霧化動作及び送風用ファンの動作を再始動する。そして、ステップST37へ移行し、通常の霧化及び送風用ファンの動作に入る。以上のステップST31〜ST37の処理により、冷却ファンの回転停止状態においても、少しでも長く噴霧動作(霧化、送風)を行い、また霧化停止後においても、内部素子の温度が低下したら、すぐに噴霧動作を再開するようにしている。ここで使用する感温素子は、具体的にはサーモスタットを一例として使用する。発熱がないとサーモスタットによって回路は閉じており、噴霧部、送風部等は動作している。発熱があるとサーモスタットが動作し、つまり発熱検知し、回路を開き、噴霧部、送風部等の動作を停止する。
【0032】
【発明の効果】
この発明によれば、冷却ファンの回転停止を検出すると、この回転停止検出に応答して、その旨を報知するので、使用者等は冷却ファンの回転停止を直ちに知ることができ、回路部が発熱する前に適切な処置を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態である超音波霧化装置の外観前面図である。
【図2】同実施形態超音波霧化装置の断面図である。
【図3】同実施形態超音波霧化装置の外観後面図である。
【図4】図3のファンカバーを外した状態を示す図である。
【図5】同実施形態超音波霧化装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】同実施形態超音波霧化装置の処理動作を示すフロー図である。
【図7】図6とともに、同実施形態超音波霧化装置の処理動作を示すフロー図である。
【図8】この発明の他の実施形態超音波霧化装置の処理動作を説明するためのフロー図である。
【符号の説明】
1 表示部
5 スタート/ストップスイッチ
12 発振ユニット
19 振動子
22 送風用ファン
31 操作部
32 報知部
33 制御部
34 発振周波数生成部
35 霧化部
36 送風部
37 冷却部
38 エラー検出部
39 冷却ファン停止検出部
40 感温素子
Claims (7)
- 霧化液を送出するための送風用ファンの他に、冷却ファンを備えた超音波霧化装置において、
霧化動作のスタート/ストップスイッチと、霧化動作の連続モード及びタイマモードと、前記冷却ファンの回転が停止したことを検出する回転停止検出手段と、この回転停止検出手段による冷却ファンの回転停止の検出に応答してその旨を報知する報知手段と、を備え、
前記報知手段は、連続モードの場合は動作状態を表示し、この動作状態表示中にスタート/ストップスイッチの再ONにより送風用ファンの動作停止とともに動作停止状態を表示し、動作状態表示中にエラーが発生したときは動作停止状態を表示し、タイマモードの場合は残時間を表示し、この残時間表示中にスタート/ストップスイッチの再ONにより送風用ファンの動作停止とともに残時間を表示し、残時間表示中にエラーが発生したときは残時間を点滅表示することを特徴とする超音波霧化装置。 - 前記回転停止検出時に、霧化動作中である場合、霧化動作はそのまま継続するものであることを特徴とする請求項1記載の超音波霧化装置。
- 前記回転停止検出時に、振動子による霧化動作及び送風用ファンの動作を停止することを特徴とする請求項1記載の超音波霧化装置。
- 前記霧化動作及び送風用ファンの動作停止は、回転停止検出時から所定時間経過した後に行うことを特徴とする請求項3記載の超音波霧化装置。
- 前記回転停止の報知は、回転停止検出時から所定時間経過した後に行うことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載の超音波霧化装置。
- 回路部の発熱を検知する感温素子を備え、この感温素子が発熱を検知すると、この発熱検知に応答して振動子による霧化動作及び送風用ファンの動作を停止するようにしたことを特徴とする請求項1記載の超音波霧化装置。
- 前記感温素子が、回路部の発熱低下により発熱を検知しなくなった時点で、前記振動子による霧化動作及び送風用ファンの動作を再度、開始することを特徴とする請求項6記載の超音波霧化装置。
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