JP3793139B2 - X線撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大面積でS/N比の高いX線撮像装置に関し、特に医療用X線診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、医療診断用に用いられるX線撮像装置では、X線を人体に曝射させ人体を透過したX線を可視光に変換させる蛍光体に照射させ、その蛍光をフィルムに露光させる方式が(以下フィルム方式と呼ぶ)主流になっている。
【0003】
図18は、フィルム方式によるX線診断装置の概略構成を示す図である。図18において、901は患者にX線を曝射させるX線源であり、診断目的に応じてX線強度や曝射時間が調整される。人体(患者)902内でX線はあらゆる方向へ散乱される。そこでX線画像の解像度を増加させる目的で、903のグリッド板を用いてある特定方向のX線のみを蛍光体(シンチレータ)904に導き出される。
【0004】
シンチレータ904では、エネルギーの高いX線によって蛍光体の母体物質が励起(吸収)され、再結合する際の再結合エネルギーにより可視領域の蛍光が得られる。その蛍光はCaWO4 やCdWO4 など母体自身によるものやCsI:TlやZnS:Agなど母体内に付活された発光中心物質によるものがある。最近ではTb,Eu,Prのような希土類元素を発光中心に用いた蛍光体も用いられるようになってきた。
【0005】
グリッド板は、X線を吸収する物質(例えば鉛)とX線を透過する物質(例えばアルミニウム)が交互に並べられており、図2のような断面構成となっている。
【0006】
シンチレータ904からの蛍光は、905のフィルムに露光され、現像処理を経て患者のX線画像が得られる。
【0007】
また、フィルム905の代わりに1次元または2次元のCCD固体撮像素子を用いて、シンチレータ904からの蛍光を縮小光学系で結像させ光電変換するといったX線撮像装置もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
高齢化社会を向かえつつある日本はもとより世界的にも、病院内での診断効率の向上や、より精度の高い医療機器が強く望まれている。そういった状況の中、従来のフィルム方式でのX線撮像装置においては以下に述べる問題点を有する。
【0009】
患者のX線画像を医師が得るまでには途中にフィルムの現像処理工程があるために手間と時間がかかる。
【0010】
また時としてはX線撮影中に患者が動いてしまった場合や露出が合わない場合などに、再度撮影のやり直しが余儀なくされる。これらは病院内での診療の効率向上を妨げる要因である。
【0011】
また、撮影しようとしている患部は撮るアングルによっては鮮明なX線画像が得られないため、診断に必要とされるX線画像を得るためには撮影アングルを変えて数枚撮影しなければならない場合もある。これは患者が特に乳幼児や妊婦であった場合好ましいことではない。
【0012】
さらに、撮影されたX線画像フィルムは病院内である期間保管する必要があり、病院内でのそのフィルムの枚数は膨大な量となり、患者の来院の度に出したり入れたりといった病院内での管理面でも効率が良くない。また遠隔地にいる患者が例えば都心にある大学病院なみの診断を受ける必要がある場合や患者が海外に引っ越す場合、その他何らかの理由で病院を変更しなければならなくなった場合など、これまでに撮影されたX線フィルムを何らかの方法で次の病院へ送らなければならない。さもなければ、新たに通院する病院で再度撮影しなおさなければならない。
【0013】
これらのことは、今後の新しい医療社会を目指していくとき大きな障害となってくる。本発明では以上に説明された課題を解決することを第1の目的としている。
【0014】
近年医療業界において、"X線画像情報のディジタル化"の要求が高まりつつある。ディジタル化が達成されればX線画像情報を光磁気ディスクのような記録媒体を用いて管理でき、医師がリアルタイムに最適なアングルでの患者のX線画像情報を得ることができ、また、ファクシミリや他の通信方式等を利用すれば患者のX線画像情報は世界中どこの病院にでも短時間に送ることが可能となる。更に、得られたディジタルのX線画像情報はコンピュータを用いて画像処理を行えば、従来に比べより一層高い精度での診断が可能となり、従来のフィルム方式での上記課題がすべて解決される。
【0015】
最近では、"X線画像情報のディジタル化"の要求に答えるべくCCD固体撮像素子をフィルムの代わりに用いたX線撮像装置も考えられている。
【0016】
しかしながら、CCD固体撮像素子は、今のところ人体の大きさに匹敵する大きさで作製することはできない。CCD固体撮像素子を用いる場合、縮小光学系でシンチレータからの蛍光すなわちX線像をCCD受光面に結像させる必要がある。レンズを含む縮小光学系を小型にすることは困難であり、X線撮像装置が大型化するといった問題が生じる。
【0017】
また、レンズを介して結像するため、レンズに入射しない光が無駄になる。従って、縮小率にも依存するが、レンズに入る光は、1/100〜1/1000に減ってしまい、S/N(シグナル)比が、一般的に、レンズを通す前に比べ2桁〜3桁ダウンすると言われ、高い階調性が要求される医療機器に利用する場合、不利となることが予想される。
【0018】
[発明の目的]
以上述べてきたように、本発明では従来のフィルム方式では得られない診療の効率アップが図れ、CCD方式にはない、スペースファクタに優れかつ高S/N比のとれる次世代のX線撮像装置の提供を目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、絶縁性基板上に、複数個の光電変換素子を含む画素が2次元状に形成された2次元画像読取装置と、前記2次元画像読取装置上に実質的に密着して形成された、X線を可視光に変換する蛍光体と、前記蛍光体のX線入射面に、特定方向からのX線を前記2次元画像読取装置へ導出するグリッド板とを有し、前記グリッド板は、X線を吸収する物質とX線を透過する物質とが交互に配されており、その配列ピッチが、前記光電変換素子の受光エリアの大きさに対してN分の1倍(Nは正の整数)であることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
[作用]
本発明に係るX線撮像装置は、グリッド板がX線を吸収する物質とX線を透過する物質とが交互に配されており、その配列ピッチが光電変換素子の受光エリアの大きさに比べて小さいことを特徴とする。また、グリッド板がX線を吸収する物質とX線を透過する物質とが交互に配されており、その配列ピッチが、画素が配列されたピッチよりも小さいことを特徴とする。これにより、フィルムを用いずに、X線画像を得ることができ、データ処理も容易となる。
【0022】
また、レンズを含む縮小光学系が不要のため、X線撮像装置全体を小型化できる作用が得られる。更に、蛍光体からの光が、ほとんど利用できるために、S/N比の高いX線撮像装置が提供できる。
【0023】
これによって、病院内において大幅な診療の効率がアップするのは言うまでもなく、全国での診断情報ネットワークの構築が可能となり、遠隔地にいても都心の病院の医療が受けられるといったような医療界全体での診断効率が上げられる。また、グリッドを設けているため、体内での散乱X線を除去するという作用が得られる。
【0024】
また、モアレが発生せず、信頼性の高い、高解像度のX線撮像装置の提供が可能となる。
【0025】
更に、前記光電変換素子の信号出力が最大となるような前記2次元画像読取装置と前記グリッドとの位置関係を具備することにより、X線撮像装置としてのS/N比が大きくなるという作用がある。
【0026】
また、前記光電変換素子を、前記絶縁基板側から下部電極として第1の金属薄膜層、エレクトロンおよびホールの通過を阻止するアモルファス窒化シリコン絶縁層(a−SiNx )、水素化アモルファスシリコン光電変換層(a−Si:H)、ホールキャリアの注入を阻止するN型の注入阻止層またはエレクトロンキャリアの注入を阻止するP型の注入阻止層、上部電極として透明導電層または前記注入阻止層上の一部に配置した第2の金属薄膜層で構成すれば、既存のCVD装置やスパッタ装置等の薄膜作製装置を容易に用いることができ、X線撮像装置の撮像部分を大面積にでき、しかも安価に作製できるという作用がある。
【0027】
そして、前記光電変換装置部と同サイズのグリッド及びX線可視変換蛍光体を用いて構成することにより、薄く小型で、S/Nの高いX線撮像装置が提供でき、それにより得られるX線画像データはディジタル技術と容易に併用できるため、今後の医療界全体の診断効率を大幅に向上させる作用効果をもたらす。以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
[実施形態1]
図1は本発明の第1の実施形態を示すX線撮像装置の全体構成図である。図1において、X線源901からのX線は、人体902に照射され、肺、骨、血管、あるいは病巣といった体内物質に応じて人体内で吸収、透過、散乱が起こり、人体内を通過してきたX線が、グリッド903の方向へ向かう。
【0029】
図2、図3は、グリッドの断面構成を示す図であり、グリッドは、X線を吸収する物質200(例えば鉛)とX線を透過する物質201(例えばアルミニウム)とが交互に配列されている。グリッドを設ける理由としては、体内で散乱されたX線による解像度の低下を防ぐことにある。すなわち特定方向(グリッドの断面方向)のX線のみが、X線透過物質201を通過しシンチレータ(蛍光体)904に到達し、体内で散乱されたX線はグリッドの吸収物質200で吸収されシンチレータには到達できない。
【0030】
シンチレータ904に照射されたX線は、シンチレータ内で蛍光物質で励起(吸収)され、光電変換素子401の分光感度波長領域に近い蛍光がシンチレータから発せられる。
【0031】
蛍光体と密着した光電変換素子401は、シンチレータ904からのX線像の対応する蛍光を光電変換し、スイッチング素子402により、図1には図示されていないが処理回路(AMP,AD変換器等)に信号電荷が転送される。
【0032】
ここで、蛍光体は、光電変換素子と完全に密着している必要はなく、実質的に密着していれば良い。「実質的な密着」とは、センサピッチに対し、充分に小さい間隔で蛍光体を配置することである。このようにすれば、光は充分に利用でき、また、画像がボケるということはない。
【0033】
光電変換素子401及びスイッチング素子402は絶縁基板400上に作り込まれており、401,402上には素子を保護するため保護膜403で覆われている。
【0034】
図2及び図3は図1で構成されるグリッドの断面を示した図である。図2では、X線源が比較的遠方に設置された場合に使用されるグリッドで、X線吸収物質(Pb)とX線透過物質(Al)とが平行に配置されているタイプである。一方、図3に示されるグリッドは、その断面構成において、X線吸収物質(Pb)とX線透過物質(Al)とがX線源901の方向に向けられた構造となっており、X線源とグリッドとの距離が比較的近い位置関係にある場合に使用され、X線撮像機器としてスペース的に利点がある。また図3のグリッドの場合、体内で吸収や散乱されずに直接通過したX線が、そのまま直接にシンチレータに照射されるため、より明るい蛍光が得られ、S/N比が有利になる。
【0035】
図4は本発明のX線撮像装置における2次元の光電変換装置部分の4画素分の光電変換素子及びスイッチング素子を表した上面図である。図中ハッチング部405はシンチレータからの蛍光を受光する受光面である。402は光電変換素子401で光電変換された信号電荷を処理回路側へ転送するスイッチング素子であり、408はそのスイッチング素子を制御するコントロール線、409は処理回路へ結線される信号線である。410は光電変換素子にバイアスを与える電源ラインである。また、420は光電変換素子401とスイッチング素子402を接続するためのコンタクトホールである。
【0036】
図5は図4内のA−Bで切断した断面図である。ここで本発明における光電変換装置部の形成方法を説明する。
【0037】
まず、絶縁基板400上にスパッタ法や抵抗加熱法によりクロム(Cr)を第1の金属薄膜層421を約500オングストローム蒸着し、フォトリソグラフィーによりパターニングし不必要なエリアをエッチングする。この第1の金属薄膜層421は光電変換素子401の下部電極及びスイッチング素子402のゲート電極となる。
【0038】
次に、CVD法により、同一真空内でa−SiNx (425)、a−Si:H(426)、N+層(427)をそれぞれ、2000、5000、500オングストロームずつ順次積層させる。これらの各層は、光電変換素子401の絶縁層/光電変換半導体層/ホール注入阻止層であり、そしてスイッチング素子402(TFT)のゲート絶縁膜/半導体層/オーミックコンタクト層となる。
【0039】
また、第1の金属薄膜層421と第2の金属薄膜層422とのクロス部(図4の430)の絶縁層としても利用される。各層の膜厚は上記厚さに限らず光電変換装置として使用する電圧、電荷、シンチレータからの入射蛍光量等により最適に設計される。少なくとも、a−SiNx は、エレクトロンとホールが通過できず、また、TFTのゲート絶縁膜として十分機能できる500オングストローム以上が望ましい。
【0040】
各層を堆積した後、コンタクトホール(図4の420参照)となるエリアをRIEまたはCDE等でドライエッチングし、その後、第2の金属薄膜層422としてアルミニウム(Al)をスパッタ法や抵抗加熱法で約10000オングストローム堆積させる。さらにフォトリソグラフィーによりパターニングし不必要なエリアをエッチングする。
【0041】
第2の金属薄膜層は光電変換素子401の上部電極、スイッチングTFTのソース、ドレイン電極、その他の配線等となる。また第2の金属薄膜層422の成膜と同時にコンタクトホール部で上下の金属薄膜層が接続される。
【0042】
更に、TFTのチャネル部を形成するために、ソース電極、ドレイン電極間の一部をRIE法でエッチングし、その後、不必要なa−SiNx 層、a−Si:H層、N+層をRIE法でエッチングし各素子が分離される。これで、光電変換素子401、スイッチングTFT402、他の配線類(408,409,410)、コンタクトホール部420が形成される。
【0043】
図5の断面図においては2画素分のみしか図示されていないが、多数の画素が同時に絶縁基板400上に形成されることは言うまでもない。最後に、耐湿性向上の目的として、各素子、配線類をSiNX のパッシベーション膜(保護膜)403で被覆する。
【0044】
以上の説明の通り、光電変換素子、スイッチングTFT、配線類が同時に堆積された共通の第1の金属薄膜層、a−SiNx 、a−Si:H、N+層、および第2の金属薄膜層と各層のエッチングのみで形成される。また光電変換素子内に注入阻止層が1ヶ所しかなく、かつ同一真空層内で形成される。
【0045】
ここで、本実施形態で使用している光電変換素子401単体のデバイス動作について説明する。
【0046】
図6(a),(b)はそれぞれ本実施形態のリフレッシュモードおよび光電変換モードの動作を示す光電変換素子のエネルギバンド図で、図5の各層の厚さ方向の状態を表している。602はCrで形成された下部電極(以下G電極と記す)である。607は電子、ホール共に通過を阻止するSiNで形成された絶縁層であり、その厚さはトンネル効果により電子、ホールが移動できないほどの厚さである500オングストローム以上に設定される。604は水素化アモルファスシリコンa−Siの真性半導体i層で形成された光電変換半導体層、605は光電変換半導体層604へのホールの注入を阻止するa−Siのn層の注入阻止層、606はAlで形成される上部電極(以下D電極と記す)である。
【0047】
本実施形態では、D電極はn層を完全には覆っていないがD電極とn層との間は電子の移動が自由に行われるためD電極とn層の電位は常に同電位であり以下説明ではそれを前提としている。本光電変換素子にはD電極、G電極の電圧の印加の仕方によりリフレッシュモードと光電変換モードという2種類の動作がある。
【0048】
リフレッシュモードの図6(a)においてD電極はG電極に対して負の電位が与えられており、i層604中の黒丸で示されたホールは電界によりD電極に導かれる。同時に白丸で示された電子はi層604に注入される。このとき一部のホールと電子はn層605、i層604において再結合して消滅する。十分に長い時間この状態が続けばi層604内のホールはi層604から掃き出される。
【0049】
この状態から光電変換モードの図6(b)にするにはD電極にG電極に対して正の電位を与える。するとi層604中の電子は瞬時にD電極に導かれる。しかしホールはn層605が注入阻止層として働くためi層604に導かれることはない。この状態でi層604内に光が入射すると、光は吸収され電子・ホール対が発生する。この電子は電界によりD電極に導かれ、ホールはi層604内を移動しi層604と絶縁層607との界面に達する。しかし、絶縁層607内には移動できないため、i層604内に留まることになる。
【0050】
このとき電子はD電極に移動し、ホールはi層604内の絶縁層607界面に移動するため、素子内の電気的中性を保つため電流がG電極から電流が流れる。この電流は光により発生した電子・ホール対に対応するため、入射した光に比例する。ある期間光電変換モードの図6(b)を保った後、再びリフレッシュモードの図6(a)の状態になると、i層604に留まっていたホールは前述のようにD電極に導かれ、同時にこのホールに対応した電流が流れる。このホールの量は光電変換モード期間に入射した光の総量に対応する。この時i層604内に注入される電子の量に対応した電流も流れるが、この量はおよそ一定なため差し引いて検出すればよい。つまり、本実施形態においての光電変換素子はリアルタイムに入射する光の量を出力すると同時に、ある期間に入射した光の総量も出力することもできる。
【0051】
しかしながら、何らかの理由により光電変換モードの期間が長くなったり、入射する光の照度が強い場合、光に入射があるにもかかわらず電流が流れないことがある。これは図6(c)のように、i層604内にホールが多数留まり、このホールのためi層604内の電界が小さくなり、発生した電子がD電極に導かれなくなりi層604内のホールと再結合してしまうからである。この状態で光の入射の状態が変化すると、電流が不安定に流れることもあるが、再びリフレッシュモードにすればi層604内のホールは掃き出され次の光電変換モードでは再び光に比例した電流が得られる。
【0052】
また、前述の説明において、リフレッシュモードでi層604内のホールを掃き出す場合、全てのホールを掃き出すのが理想であるが、一部のホールを掃き出すだけでも効果はあり、前述と等しい電流が得られ、問題はない。つまり、次の光電変換モードでの検出機会において図6の(c)の状態になっていなければよく、リフレッシュモードでのD電極のG電極に対する電位、リフレッシュモードの期間およびn層605の注入阻止層の特性を決めればよい。
【0053】
また、さらにリフレッシュモードにおいてi層604への電子の注入は必要条件でなく、D電極のG電極に対する電位は負に限定されるものでもない。ホールが多数i層604に留まっている場合には例えD電極のG電極に対する電位が正の電位であってもi層内の電界はホールをD電極に導く方向に加わるからである。n層605の注入阻止層の特性も同様に電子をi層604に注入できることが必要条件ではない。
【0054】
次に、図7で示された光電変換素子を具体的に2次元に拡張して構成した場合における光電変換動作について説明する。図9は、2次元に配列した光電変換装置を表した等価回路図であり、図10はその動作を示すタイミングチャートである。
【0055】
図9において、S11〜S33は光電変換素子で下部電極側をG、上部電極側をDで示している。T11〜T33はスイッチングTFTである。Vsは読み出し用電源、Vrはリフレッシュ用電源であり、それぞれスイッチSWs、SWrを介して全光電変換素子S11〜S33のD電極に接続されている。スイッチSWsはインバータを介して、スイッチSWrは直接にリフレッシュ制御回路RFに接続されており、リフレッシュ期間はSWrがon、その他の期間はSWsがonするよう制御されている。1画素は1個の光電変換素子とスイッチングTFTで構成され、その信号出力は信号配線SIGにより検出用集積回路ICに接続されている。
【0056】
ここでの光電変換装置は計9個の画素を3つのブロックに分け1ブロックあたり3画素の出力を同時に転送しこの信号配線SIGを通して検出用集積回路ICによって順次出力に変換され出力される(Vout)。また1ブロック内の3画素を横方向に配置し、3ブロックを順に縦に配置することにより各画素を二次元的に配置している。
【0057】
次に図7と図8を用いて、本実施形態でのX線撮像装置における光電変換部1画素の動作について説明する。図7は1画素分の光電変換素子およびスイッチングTFTを含んだ等価回路であり、図8はその動作を示すタイミングチャートである。まず、光電変換素子401をリフレッシュするためにバイアス電源701をある電圧値(Vr)にした状態でスイッチングTFT402のゲートVg(730)およびリセット用スイッチング素子705をONする。これにより光電変換素子401のD電極がVrに、G電極がリセット用電源707のバイアスVBTにリフレッシュされ(Vr<VBT)、この操作以降、光電変換素子は蓄積状態(読みとりモード)になる。
【0058】
その後、X線源901をONし、人体とグリッド903を通過したX線がシンチレータ904に照射され、その蛍光が光電変換素子401に照射され光電変換される。光電変換素子を構成するa−SiNx 絶縁層、a−Si:H光電変換半導体層は誘電体でもあるため、光電変換素子は容量素子としても機能する。すなわち、光電変換素子で光電変換された信号電荷は光電変換素子内に蓄積される。その後、TFTのVgをONさせ、光電変換素子内の信号電荷を容量素子713に転送する。容量素子713は特に図4上素子として形成されているわけではなく、TFTの上下電極間の容量や信号線409とゲート線408のクロス部430等で必然的に形成されている。
【0059】
もちろん、設計に応じて素子として別途作り込んでもよい。以上の動作が、電源供給やTFTのゲート制御を除いて、絶縁基板上に形成されたアモルファスデバイスで行われる。その後、容量素子713の信号電荷が処理回路内にスイッチング素子725により容量720に転送され、オペアンプ721により信号が出力される。その後、スイッチ722により容量720が、スイッチ705により容量素子713がリセットされ、1画素分の動作が完了する。
【0060】
次に図9と図10を用いて本実施形態のX線撮像装置部分の動作について説明する。
【0061】
はじめにシフトレジスタSR1およびSR2により制御配線g1〜g3、s1〜s2にHiが印加される。すると転送用スイッチングTFT・T11〜T33とスイッチM1〜M3が導通し、全光電変換素子S11〜S33のG電極はGND電位になる(積分検出器Ampの入力端子はGND電位に設計されているため)。同時にリフレッシュ制御回路RFがHiを出力しスイッチSWrがonし全光電変換素子S11〜S33のD電極はリフレッシュ用電源Vrにより正電位になる。すると全光電変換素子S11〜S33はリフレッシュモードになりリフレッシュされる。
【0062】
つぎにリフレッシュ制御回路RFがLoを出力しスイッチSWsがonし全光電変換素子S11〜S33のD電極は読み取り用電源Vsにより正電位になる。すると全光電変換素子S11〜S33は光電変換モードになる。この状態でシフトレジスタSR1およびSR2により制御配線g1〜g3、s1〜s2にLoが印加される。すると転送用スイッチングTFT・T11〜T33のスイッチM1〜M3がoffし、全光電変換素子S11〜S33のG電極はDC的にはオープンになるが各光電変換素子はコンデンサでもあるため電位は保持される。しかしこの時点ではX線は入射されていないため全光電変換素子S11〜S33には光は入射されず光電流は流れない。
【0063】
この状態でX線がパルス的に出射され人体、シンチレータ等を通過しシンチレータからの蛍光がそれぞれの光電変換素子S11〜S33に入射する。この光は人体等の内部構造の情報が含まれている。この光により流れた光電流は電荷としてそれぞれの光電変換素子内に蓄積されX線の入射終了後も保持される。つぎにシフトレジスタSR1により制御配線g1にHiに制御パルスが印加され、シフトレジスタSR2の制御配線s1〜s3への制御パルス印加によって転送用TFT・T11〜T13、スイッチM1〜M3を通してv1〜v3が順次出力される。同様にシフトレジスタSR1,SR2の制御により他の光信号も順次出力される。これにより人体等の内部構造の二次元情報がv1〜v9として得られる。静止画像を得る場合はここまでの動作であるが動画像を得る場合はここまでの動作を繰り返す。
【0064】
本実施形態では光電変換素子のD電極が共通に接続され、この共通の配線をスイッチSWrとスイッチSWsを介してリフレッシュ用電源Vrと読み取り用電源Vsの電位に制御しているため、全光電変換素子を同時にリフレッシュモードと光電変換モードとに切り換えることができる。このため複雑な制御なくして1画素あたり1個のTFTで光出力を得ることができる。
【0065】
図9においては9個の画素を3×3に二次元配置し3画素ずつ同時に、3回に分割して転送・出力したがこれに限らず、例えば縦横1mmあたり5×5個の画素を2000×2000個の画素として二次元的に配置すれば40cm×40cmのX線検出器が得られる。これをX線フィルムの代わりにX線発生器と組み合わせX線レントゲン装置を構成すれば胸部レントゲン検診や乳ガン検診に使用できる。そうすることによりフィルムと異なり瞬時にその出力をCRTで映し出すことが可能で、さらに出力をディジタルに変換しコンピュータで画像処理して目的に合わせた出力に変換することも可能である。また光磁気ディスクに保管もでき、過去の画像を瞬時に検索することもできる。また感度もフィルムより良く人体に影響の少ない微弱なX線で鮮明な画像を得ることもできる。
【0066】
図11、図12に2000×2000個の画素を持つ検出器の実装を示す概念図を示す。2000×2000個の検出器を構成する場合、図9で示した破線内の素子を縦・横に数を増せばよいが、この場合制御配線もg1〜g2000と2000本になり信号配線SIGもsig1〜sig2000と2000本になる。またシフトレジスタSR1や検出用集積回路ICも2000本の制御・処理をしなければならず大規模となる。これをそれぞれ1チップの素子で行なうことは1チップが非常に大きくなり製造時の歩留りや価格等で不利である。そこで、シフトレジスタSR1は例えば100段ごと1個のチップに形成し、20個(SR1−1〜SR1−20)を使用すればよい。また検出用集積回路も100個の処理回路ごと1個のチップに形成し、20個(IC1〜IC20)を使用する。
【0067】
図11は左側(L)に20チップ(SR1−1〜SR1−20)と下側(D)に20チップ実装し、1チップあたり100本の制御配線、信号配線をおのおのワイヤーボンディングでチップと接線している。図11中破線部は図9の破線部に相当する。また外部への接続は省略している。また、SWr,SWs,Vr,Vs,RF等も省略している。検出用集積回路IC1〜IC20からは20本の出力(Vout)があるが、これらはスイッチ等を介して1本にまとめたり、20本をそのまま出力し並列処理すればよい。
【0068】
図12には、別の実施形態を示す。左側(L)に10チップ(SR1−1〜SR1−10)、右側(R)に10チップ(SR1−11〜SR1−20)と上側に10チップ(IC1〜10)、下側(D)に10チップ(IC11〜20)を実装している。この構成は上・下・左・右側(U,D,L,R)にそれぞれ各配線を1000本ずつに振り分けているため、各辺の配線の密度が小さくなり、また各辺のワイヤーボンディングの密度も小さく、歩留りが向上する。配線の振り分けは左側(L)にg1,g3,g5,…,g1999、右側(R)にg2,g4,g6,…,g2000とし、つまり奇数番目の制御線を左側(L)、偶数番目の制御線を右側(R)に振り分ける。こうすると各配線は等間隔に引き出され配線されるので密度の集中なく歩留りが向上する。また、上側(U)下側(D)への配線も同様に振り分ければよい。
【0069】
また、図示していないが、別の実施形態として配線の振り分けは左側(L)にg1〜g100,g201〜g300,…,g1801〜g1900、右側(R)にg101〜g200,g301〜g400,…,g1901〜g2000を振り分け、つまり、1チップごと連続な制御線を振り分け、これを左・右(L,R)交互に振り分ける。こうすると、1チップ内は連続に制御でき、駆動タイミングが楽で回路を複雑にしなくてよく安価なものが使用できる。上側(U)、下側(D)についても同様で、連続な処理が可能で安価な回路が使用できる。
【0070】
また、図11、図12共に1枚の基板上に破線部の回路を形成した後、その基板上にチップを実装してもよいし、別の大きな基板上に破線部の回路基板とチップを実装してもよい。また、チップをフレキシブル基板上に実装して破線部の回路基板に張り付け接線してもよい。
【0071】
またこのような非常に多くの画素をもつ大面積の光電変換装置は従来の光センサを用いた複雑な工程では不可能であったが、本発明の光電変換装置の工程は各素子を共通な膜で同時に形成しているため工程数が少なく、簡易的な工程で済むため高歩留まりが可能で低コストで大面積・高性能の光電変換装置の生産を可能としている。
【0072】
以上の説明から明らかなように、本発明に係わる光電変換素子は本実施形態で示したものに限定するものではない。つまり第一の電極層、ホールおよび電子の移動を阻止する絶縁層、光電変換半導体層、第二の電極層があり、第二の電極層と光電変換半導体層の間に光電変換半導体層へのホールの注入を阻止する注入阻止層があればよい。
【0073】
また、以上の説明において、ホールと電子を逆にし構成してもよい。例えば注入阻止層はp層でもよい。この場合、電圧や電界の印加を逆にし、他の構成部を構成すれば同様の動作となる。さらに光電変換半導体層は光が入射して電子、ホール対を発生する光電変換機能をもっていればよい。層構成も一層でなく多層で構成していてもよく、また連続的に特性が変化していてもよい。
【0074】
同様にTFTにおいてもゲート電極、ゲート絶縁膜、チャネル形成が可能な半導体層、オーミックコンタクト層、主電極があればよい。たとえばオーミックコンタクト層はp層でもよく、この場合ゲート電極の制御の電圧を逆にしてホールをキャリアとして使用すればよい。
【0075】
[実施形態2]
図13は本発明の第2の実施形態を示すX線撮像装置の断面構成図であり、上から、X線を吸収する物質200とX線を透過する物質201から成るグリッド903、X線を可視光に変換する蛍光体904、そして光電変換素子401やスイッチング素子402やそれらを保護する保護層403等が成膜された絶縁基板400で構成されている。
【0076】
光電変換素子401やスイッチング素子402の層構成は図5と全く同じであり、各層の番号も図5と同様である。ただし、図13における光電変換装置部分(401,402,他の配線類)は、図5のような幾何学的に連続した2ビット(隣り合った2ビット)を表しているのではなく、任意に選ばれた2ビットを示している。この2ビットを図13に明記しているように、以後の説明ではセンサAとセンサBとする。
【0077】
これらのセンサの受光エリアは図13で示されているように"S"で示されている。また、X線を吸収する物質200とX線を透過する物質201の大きさをそれぞれ、"A"、"T"とし、"A"と"T"の和"A+T"をグリッドのピッチとする。そして、ここではそれぞれの大きさ("S"、"A"、"T")をグリッドピッチの(1次元)方向(図13内で示されるX方向)でのみ考えることとする。
【0078】
図13における特徴は、センサの受光エリアの大きさ"S"がグリッドのピッチ("A+T")に等しくなっていることである。センサA(図13左側のセンサ)は、その受光エリアに対するグリッドの位相が揃っており、"S"="A+B"の関係が理解される。センサAでは、X線を透過する物質領域201を一つ分だけ透過したX線が、蛍光体904で可視光に変化され、その光量分だけセンサAで光電変換されることになる。一方センサBでは、図13に示されるように、受光エリアに対する、グリッドの位相関係がセンサAと同じになるとは限らない。これは、センサ(光電変換素子)のピッチ("SP "とする)がグリッドのピッチと同じピッチにしていないことによる。
【0079】
通常、グリッドピッチとセンサピッチとが異なる場合、均一な光が照射されたとしても、空間的な位相の違いから出力の分布が発生し、画像上に周期的な濃淡を引き起こす。一般的に、この現象は、モアレと称される。モアレを生じた場合、X線撮像装置としての画像の品位は大きく低下することになる。
【0080】
しかしながら、センサBの受光エリア"S"はグリッドのピッチ"A+T"と等しいため、センサBで光電変換される光量は、X線透過物質領域201一つ分だけ通過したX線による蛍光量に等しい(センサB上において"S"="T+A1+A2")。
【0081】
すなわち、光電変換素子の受光エリア"S"とグリッドのピッチ"T+A"を等しくすることにより、光電変換素子上のグリッド(200と201)の位相関係に全く依存せず、どの光電変換素子も等しい光電変換出力が得られる。
【0082】
図16は、光電変換素子の受光エリア"S"が、グリッドのピッチ"T+A"の2倍に等しい("S"="T+A"*2)場合を示した図である。センサA、センサBともに(どの位置に配置されたセンサにおいても)、グリッド内X線透過物質領域201二つ分を通過したX線による蛍光が光電変換され、受光面"S"に対するグリッドの位相関係に依存しない光電変換出力が得られ、その効果は、図13で示されるものと同じである。更に、図示してはいないが、"S"="T+A"*N(N:3以上の整数)でも同じであることは自明である。
【0083】
図13、図16では本発明の実施例をX線撮像装置の断面構成図を例にとり、グリッドのピッチを1次元方向だけに限り説明してきた。言い換えれば、図2に示されるグリッドを用いた例であり、この場合の発明の効果は、言うまでもなく1次元領域に限るものである。しかしながら、本発明は2次元のX線撮像装置に係るものであるからにして当然のことながら2次元領域にわたりX線吸収物質200とX線透過物質201を配列させた市松模様的なグリッドを用い、そのX方向、Y方向のグリッドのピッチ("TX +AX ","TY +AY ")をそれぞれの方向に対応する光電変換素子の受光面の大きさ(SX ,SY )の正の整数倍にする、すなわち、"SX "="TX +AX "*NX (NX :正の整数)
"SY "="TY +AY "*NY (NY :正の整数)
とすることにより、X,Y両方向に対し発明の効果が期待されることは言うまでもない。
【0084】
図17に、そのようなX線撮像装置の概略的な斜視図を示しておく(光電変換素子部は省略)。
【0085】
[実施形態3]
図14、図15は、本発明の第3の実施形態を示すX線撮像装置の断面構成図である。図13と同一構成部材については、図13の部材と同じ符号を記してある。
【0086】
図15において、センサAとセンサBは、同一の光電変換素子であり、センサピッチ"Sp"に対してグリッド(200,201)のピッチが等しく、それらの位相関係が異なった場合の例を示してある。図15から判るようにセンサ受光面がグリッドを構成するX線吸収物質200の影部に配置されているため、センサの光量として最大限には利用されない。しかしながら、グリッドピッチとセンサピッチが等しいため絶対にモアレが発生しない。またグリッドを用いているため人体内での散乱X線を除去できるという長所はもちろん有している。つまり、X線画像上に被写体に存在しない濃淡や縞模様が現れることがなく極めて良好な画質を得ることができる。
【0087】
図14では、グリッドピッチ("T+A")とセンサピッチ("Sp")が等しく、かつそれらの空間的位相関係が、グリッドを構成するX線透過物質201の真下にセンサAとセンサBの受光面が配置されるようになっている。このような位置関係にすることにより、センサの受光面で受光される光量は最大となる。すなわち、X線撮像装置としてのシグナル出力を最大にすることができ、S/Nを大きくとることが可能となる。つまり、図15で示される装置よりも、更に高画質を得るX線撮像装置の提供が可能となる。
【0088】
また、図14及び図15では、センサピッチ("Sp")とグリッドピッチ("T+A")を等しくした場合のX線撮像装置の断面構成例を用い1次元方向に限って説明してきたが、実施形態2の図17においても説明したように、何も1次元に限定されるものではない。すなわち、2次元領域にわたり、X線吸収物質200とX線透過物質201を配列させた市松模様状のグリッド(図17)を用いて、そのX方向、Y方向のグリッドピッチ("Tx+Ax","Ty+Ay")をそれぞれの方向に対応する光電変換素子のピッチ("Spx","Spy")と等しくする、すなわち"Spx"="Tx+Ax""Spy"="Ty+Ay"とし、空間的な位相関係を、図14に示す様にセンサ受光面での光量を最大となるように配置し、同様にそれを2次元に施すことにより、X,Y両方向に対してその効果が現れる。
【0089】
更に、"Spx"="Tx+Ax"*Nx(Nx:正の整数)
"Spy"="Ty+Ay"*Ny(Ny:正の整数)
と拡張しても、その効果が同じであることは自明である。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、2次元画像読取装置とX線可視変換蛍光体を実質上密着させた構成をとることにより、レンズを含む縮小光学系が不要なためX線撮像装置を大幅に小型にすることができ、かつX線可視変換蛍光体からの蛍光を光電変換素子上で有効に利用できるためS/Nの高い装置の提供が可能となる。またグリッドを具備することにより、体内での散乱X線による成分を除去することができ、解像度の高い良質のX線画像が得られる。そして、フィルムを用いていないため、光電変換素子からの出力すなわちX線画像データはディジタル値として扱うことができ、汎用のハード、ソフトを用いればデータ処理も高速かつ容易に行える。
【0091】
そして、光電変換素子の受光面の大きさが、グリッドのピッチ方向において、グリッドピッチに等しい、もしくはグリッドピッチのN倍(N:2以上の正数)に等しくすることにより、2次元画像読取装置とグリッドとの位置関係に依存することなく、空間的位相のずれによるモアレの発生が完全になくなり、画質の良いX線撮像装置を提供することができる。
【0092】
しかも、2次元画像読取装置とグリッドの位置関係が自由であれば、特に製造上微妙な位置調整を行う必要もなく製造コストを下げることもできる。加えて、X線撮像装置を搭載した検診バスのような振動の多い環境下においても耐用できるといった信頼性の高い装置として提供が可能となる。
【0093】
また、光電変換素子の信号出力を最大となるように光電変換素子とグリッドの位置関係を合わせることにより、X線撮像装置としてのS/Nを高くすることができ診断の精度が向上する。
【0094】
更に、前記光電変換素子を、前記絶縁基板側から下部電極として第1の金属薄膜層、エレクトロンおよびホールの通過を阻止するアモルファス窒化シリコン絶縁層(a−SiNx )、水素化アモルファスシリコン光電変換層(a−Si:H)、ホールキャリアの注入を阻止するN型の注入阻止層またはエレクトロンキャリアの注入を阻止するP型の注入阻止層、上部電極として透明導電層または前記注入阻止層上の一部に配置した第2の金属薄膜層で構成すれば、既存のCVD装置やスパッタ装置等の薄膜作製装置を用いることができ、大面積のX線撮像装置の提供が可能となる。
【0095】
従って、病院内において従来にない大幅な診療効率アップが図れることは言うまでもなく、全国の診断情報ネットワークの構築が可能となり医療界全体の診断の効率が上げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のX線撮像装置の第1の実施形態を示す全体構成図である。
【図2】図1のグリッドの断面図(X線源が比較的遠い場合)である。
【図3】図1のグリッドの断面図(X線源が比較的近い場合)である。
【図4】X線撮像装置内の光電変換装置部分の上面図(4ビット分)である。
【図5】図4のA−Bにおける断面図である。
【図6】光電変換素子のデバイス動作を示すバンド図である。
【図7】図1のX線撮像装置における光電変換部の等価回路図(1画素分)である。
【図8】図7の等価回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】図1のX線撮像装置における光電変換部の等価回路図(9画素分)である。
【図10】図9の等価回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図11】2000*2000画素を有するX線検出器の実装概念図である。
【図12】2000*2000画素を有するX線検出器の実装概念図(他の例)である。
【図13】本発明の第2の実施形態を示す断面図("S"="T+A"の場合)である。
【図14】本発明の第3の実施形態を示す断面図である。
【図15】本発明の第3の実施形態を示す断面図である。
【図16】本発明の第2の実施形態を示す断面図("S"="T+A"*2倍の場合)である。
【図17】本発明の第2の実施形態を示す斜視図である。
【図18】X線撮像装置の従来例を示す全体構成図(フィルム方式)である。
【符号の説明】
200 X線吸収物質(例えば鉛)
201 X線透過物質(例えばアルミ)
400 絶縁基板
401 光電変換素子
402 スイッチング素子
403 保護膜
421 第1の金属薄膜層
422 第2の金属薄膜層
425 a−SiNx
426 a−Si:H427 N+層
408 スイッチング素子402のゲートコントロール線
409 スイッチング素子402からの信号線
410 光電変換素子401にバイアスを与えるバイアス線
405 光電変換素子401の受光面
420 コンタクトホール
430 第1の金属薄膜層421と第2の金属薄膜層422とのクロス部
602 バンド図における光電変換素子の下部電極(G)
606 バンド図における光電変換素子の上部電極(D)
604 バンド図における光電変換素子のi層(a−Si:H)
605 バンド図における光電変換素子のN層
607 バンド図における光電変換素子の絶縁層(a−SiNx )
701 バイアス電源(Vr)
730 TFT402のゲート端子
705,722 リセット用スイッチ素子
707 リセット用電源(VBT)
713 容量素子
720 処理回路(IC)内の容量
725 処理回路内のスイッチング素子
724 オペアンプ
901 X線源
902 人体(患者)
903 グリッド
904 シンチレータ(X線−可視変換蛍光体)
S11〜S33 光電変換素子
T11〜T33 スイッチング素子
Vs 読み出し電源
Vr リフレッシュ電源
SWs Vs電源切り替えスイッチ
SWr Vr電源切り替えスイッチ
RF リフレッシュ制御回路
g1〜g2000 TETの制御配線
sig1〜sig2000 信号配線
Claims (3)
- 絶縁性基板上に、複数個の光電変換素子を含む画素が2次元状に形成された2次元画像読取装置と、
前記2次元画像読取装置上に実質的に密着して形成された、X線を可視光に変換する蛍光体と、
前記蛍光体のX線入射面に、特定方向からのX線を前記2次元画像読取装置へ導出するグリッド板とを有し、
前記グリッド板は、X線を吸収する物質とX線を透過する物質とが交互に配されており、その配列ピッチが、前記光電変換素子の受光エリアの大きさに対してN分の1倍(Nは正の整数)であることを特徴とするX線撮像装置。 - 前記光電変換素子の信号出力が最大となるような前記2次元画像読取装置と前記グリッドとの位置関係を具備することを特徴とする請求項1に記載のX線撮像装置。
- 前記光電変換素子は、前記絶縁基板側から下部電極として第1の金属薄膜層、エレクトロンおよびホールの通過を阻止するアモルファス窒化シリコン絶縁層(a−SiNx )、水素化アモルファスシリコン光電変換層(a−Si:H)、ホールキャリアの注入を阻止するN型の注入阻止層またはエレクトロンキャリアの注入を阻止するP型の注入阻止層、上部電極として透明導電層または前記注入阻止層上の一部に配置した第2の金属薄膜層で構成することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のX線撮像装置。
Priority Applications (1)
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