JP3791931B2 - ビニル単量体の重合方法 - Google Patents
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Description
本発明は、ビニル単量体の水性相における付加重合の間の反応器壁面上への重合体堆積を阻止するための、N−オキシル化合物の用途に関する。
重合反応の過程において、反応器壁面上に重合体が付着堆積するのは一般的である。しかしながら、このような重合体堆積は処理を厄介にする。このような堆積物は定期的に、一般的には各重合反応ごとに除去されねばならず、これには著しいコストを必要とするからである。さらに、例えば分子量分布に関して非典型的な重合体から成る堆積物は、場合により剥離して、生成重合体を非均質的にする可能性がある。
そこで、このような堆積物の形成を回避する対策が開発されている。堆積物形成の程度は、反応器壁の表面的構造、例えばその粗さに著しく依存しているので、対策は一次的に表面を平滑化することに向けられている。機械的な対策に加えて、重合反応混合物に腐蝕防止剤を添加し、壁体表面の平滑性を維持することも試みられている(例えば、1986年、ミュンヘン、ウィーンのハンゼル、フェルラーク社刊、G.W.ベッカー、D.ブラウン編、「クンストシュトフ、ハントブーフ」、2/1巻、153頁参照)。しかしながら、これらの対策は、通常、堆積物の形成を妥当に防止することはできない。
初期独国特願19609312.0号明細書には、ある種のビニル単量体の、例えば蒸留、精製、貯蔵、輸送の過程において、二級アミンのN−オキシル化合物を添加することにより、その過早の重合を防止する方法が記載されている。このN−オキシル化合物は、またスチレンその他のビニル芳香族化合物の蒸留の間の安定性をもたらすために使用される(米国特許5254760号明細書)。しかしながら、このようなニトロキシル化合物は、たとえ痕跡量であっても、その後の重合処理を阻害し、重合遅延および制御不能の連鎖停止反応をもたらし、再重合不能の重合体、連鎖長の短かい重合体が製造されることも知られている。このような有害な効果については、マーデアらのPolym.Prep.(Am.Chem.Soc.Div.Polym.Sci.)35(1)778(1994)に記載されている。
そこで、本発明の目的は、重合方法に認知可能の悪影響をもたらすことなく、反応器壁面上における重合体堆積物の形成を実質的に阻止し得るビニル単量体の重合方法を提供することである。
しかるに、この目的は、ビニル単量体の水性相における付加重合の間の反応器壁面における堆積物形成を阻止するために、α−炭素に水素原子を持たない二級アミンN−オキシル化合物の使用により達成されることが本発明者らにより見出された。
ここで、ビニル単量体と称するのは、オレフィン性末端二重結合を有するすべての付加重合可能単量体を意味する。その例としては、アクリル酸およびメタクリル酸ならびにこれらの誘導体、例えばニトリルおよびエステル、ことにメチル、エチル、プロピルおよびブチルアクリラートおよびメタクリラート、さらにC2−C5カルボン酸のビニルエステル、ことにビニルアセタート、ビニルプロピオナート、ビニルブタノアート、芳香族ビニル化合物、ことにスチレン、ジエン、ことにブタジエン、ビニルハロゲン化物、ことに塩化ビニル、ビニルエーテル、例えばメチル、エチルまたはブチルビニルエーテル、ビニルチオエーテル、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、ビニルフタルイミド、ビニルイソシアナート、ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルスルホン酸、ビニルシラン、例えばビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシランが挙げられる。
α−オレフィンも適当であって、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが、ことに共重合方法において、他のコモノマーと共に使用される。
本発明方法は、このような共重合方法の場合にことに有利に使用され得る。この方法で製造され得る適当な共重合の例としては、スチレン/ブタジエン共重合体、合成ゴム状ブロック重合体、例えばスチレン/ブタジエン/ブタジエン/スチレン共重合体、スチレン/ブチルアクリラート共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体およびエチレン/塩化ビニル共重合体が挙げられる。
本発明方法は、スチレンを単独で、または他のコモノマーと共に、必要に応じて、揮発性発泡剤、例えばペンタンの存在下において重合させるために、また塩化ビニルを重合させるために、ことに適当である。
本発明方法は、水性相における重合に関する。ここで水性相と称するのは、水中における、および水を可成りの重量割合、例えば少なくとも20重量%含有する、水と溶媒の混合液中における、各種単量体もしくは重合体の溶液、乳濁液および懸濁液を意味するための用語である。従って、慣用のすべての乳化重合、懸濁重合は、本発明方法により行なわれ得る。選定され得る反応条件は、このような重合法に慣用の諸条件および、例えばホウベン、ワイルの「メトーデン、オルガニッシェン、ヘミー」E20巻、218頁以降、「ウルマンス、エンツィクロペディー、デル、テヒニッシェン、ヘミー」第4版、19巻、132頁以降およびこれらに引用されている諸文献に記載されている諸条件である。
本発明方法において、二級アミンのN−オキシル化合物は、重合反応の間、反応混合物中に存在する。このようなN−オキシル化合物の使用は、種々の態様で行なわれ得る。
N−オキシル化合物は、重合反応混合物に添加されるのが有利であるが、早期重合をもたらさないように、あらかじめ単量体中に存在させることもできる。
重合反応混合物中におけるN−オキシル化合物の量割合は、重合速度にほとんど影響を及ぼさないようになされるべきである。重合のN−オキシル化合物に対する感受性は、種々のパラメータ、ことに単量体の性質、N−オキシル化合物の構造、温度、反応混合物中に存在するべきフリーラジカル開始剤、フリーラジカル捕捉剤などに依存する。しかしながら、好ましい量割合は、所定の重合反応条件下における事前の数回の実験で決定され得る。
重合反応混合物中のN−オキシル化合物の量割合は、0.5から50ppm、ことに1から20ppm、なかんずく2から10ppm(1ppm=単量体全量に対するN−オキシル化合物の10-6重量部)の範囲に在るのが有利であることが見出された。この量割合において、堆積物形成は、反応速度に実質的な影響を及ぼすことなく、一般的に完全に防止され得る。
N−オキシル化合物を重合反応混合物に添加するほかに、変形実施態様として、反応器に重合反応混合物を装填する前に、N−オキシル化合物溶液で、反応器壁面を湿潤させるのがことに適当であることが実証されている。
この湿潤処理は、反応器壁面および反応器内のその他の部分、例えば撹拌器に、N−オキシル化合物溶液を噴霧することにより簡単かつ効果的に行なわれ得る。N−オキシル化合物は、大部分が、水に難溶性であるが、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、エチルアセタート、ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒にはほとんど溶解する。多くのN−オキシル化合物にことに適する溶媒はメタノールである。噴霧溶液中におけるN−オキシル化合物の濃度は臨界的ではなく、溶液全量に対して0.01から1重量%が適当である。
反応器壁面の湿潤は、噴霧溶液と同様の溶液を容器に充満させ、次いでこれを排出することによっても行なわれ得る。
N−オキシル化合物溶液による反応器壁面湿潤処理の利点は、重合反応混合物へのその添加以上に、重合速度に対する影響が極端に低く、液面より上方の部分、ことに堆積物が一般的に形成される液面直上部分における堆積物形成防止効果をも有することである。
これら両形態の使用方法を併用するのも有利であって、この場合、重合材料溶液への直接添加量は極めて少量で充分である。
本発明方法において使用するのに適当なN−オキシル化合物は、下式
で表わされ、かつ式中の複数のRが、相互に同じでも異なってもよく、それぞれアルキル、シクロアルキル、アルアルキルまたはアリールを意味するか、あるいはその一対が合体して環を形成し、Yが5員または6員の環を形成するに必要な基を意味する場合の化合物である。さらに具体的には、RはC1−C20、ことにC1−C8アルキル、C5−もしくはC6−シクロアルキル、ベンジルまたはフェニルである。Yは、例えばアルキレン基−(CH2)2−または−(CH2)3−である。
また下式
で表わされる構造を有し、芳香族環が1から3個の不活性置換基、例えばC1−C4アルキル、C1−C4アルコキシまたはシアノを持っていてもよいN−オキシル化合物も適当である。
アミンとしては、環中にさらに他のヘテロ原子、例えば窒素、酸素または硫黄を持っていてもよい、ピペリジン化合物またはピロリドン化合物のような環式アミンの立体障害アミン誘導体(上記ヘテロ原子は立体障害アミンの窒素原子に隣接しない)を使用するのが好ましい。立体障害はアミン窒素に隣接する両位置における置換基(好ましい置換基はα−CH2基の4個の全水素原子を置換する炭化水素基である)によりもたらされる。この置換基として好ましいのは、フェニル、C3−C6シクロアルキル、ベンジル、ことにC1−C6アルキルであって、この場合、同じα−炭素に結合されているアルキル基は、相互に結合されて5員または6員環を形成してもよい。ことに好ましい基は、以下においてR1、R2につき記述される基である。立体障害アミンのN−オキシル化合物として好ましいのは、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジンである。
本発明において使用される好ましいN−オキシル化合物は、下式I
で表わされ、
R1、R2が、それぞれC1−C4アルキルまたはフェニルを意味するか、あるいはこれらに結合されている炭素原子と共に5員または6員の飽和炭化水素環基を形成し、
R3が水素、ヒドロキシル、アミノ、SO3H、SO3M、PO3H2、PO3HM、PO3M2(Mはアルカリ金属である)、有機珪素、または酸素ないし窒素を介して結合されるm価の有機基を意味するか、あるいはR4と合体して、酸素またはR4につき下記する環状構造を形成し、
R4が水素、C1−C12アルキルを意味するか、あるいは上記R3と共に酸素、またはR3と合体して酸素を形成するか、またはR3およびこれらに結合されている炭素と共に、以下の構造
を形成し、R3とR4が合体して1個の基を形成する場合にはmは1であり、
R5が水素、C1−C12アルキルまたは−(CH2)z−COOR6を意味し、
R6が相互に同じでも異なってもよく、それぞれC1−C18アルキルを意味し、
kが0または1、
z、pが1から12、
mが1から100の数値をそれぞれ意味する場合の化合物である。
R1、R2は、具体的にはメチル、エチル、プロピル、ブチルを意味するか、あるいは両者合体してテトラもしくはペンタメチレン基を形成し得る。R1、R2はメチルであるのが好ましい。
R4は、例えば水素、上述のC1−C4アルキル、さらにはペンチル、s−ペンチル、t−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、ヘプチル、2−メチルヘキシル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、2−メチルノニル、イソノニル、2−メチルオクチル、デシル、イソデシル、2−メチルノニル、ウンデシル、イソウンデシル、ドデシル、イソドデシル(イソオクチル、イソノニル、イソデシルなる名称は通称であって、オキソ合成により得られるカルボニルからの誘導体、「ウルマンス、エンサイクロピーディア、オブ、インダストリアル、ケミストリー」第5版、A1巻、290−293頁、同A10巻、284−285頁参照)を意味するのが適当である。
pは6−12、ことに9を意味するのが好ましく、zは1−4、ことに2を意味するのが好ましい。
R5は、水素以外には、例えば上述したC1−C12アルキルを意味するのが適当であり、ことに水素、C1−C4アルキル、(CH2)z−COO(C1−C6アルキル)、なかんずく、−CH2−CH2−COO(CH2)11−CH3および−CH2−CH2−COO−(CH2)13−CH3を意味するのが好ましい。
R6は、上述C1−C12アルキルのほかに、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルを意味し得る。ドデシルおよびヘキサデシルが好ましい。
R3は例えば以下のようなm価の基を意味するのが好ましい。
ただし、式中の
R7はC1−C12アルキルまたは−(CH2)z−COOR6を、
R8は水素またはC1−C18アルキルを、
R9はC1−C18アルキル、ビニル、またはイソプロペニルを、
R10はC8−C22アルキルを、
R11は水素または頭初単量体のフリーラジカル重合において通常形成されるような有機基をそれぞれ意味し、
kは0または1、
xは1から12、
nは偶数mを意味する。
R3がこれらのいずれかの基を意味する場合には、R4は水素であるのが好ましい。この場合にはmは1から100の数値を意味するが、ことに1、2、3、4または10から50であるのが好ましい。ことにオリゴマーもしくはポリマー基の場合には、混合物を使用するのが好ましい。
R7として適当であるのは、R5について上述したと同様であるが、C1−C4アルキルを意味するのが好ましい。
R8は水素以外に適当であるのは、R6について上述したと同様であるが、水素を意味するのが好ましい。
R9としては、ビニル、イソプロペニル、C15−C17アルキルがことに適当である。
R10として適当であるのは、上述のC8−C18アルキル、さらにはノナデシル、アイコシル、ウンアイコシル、ドアイコシルである。ことに好ましいのは、炭素連鎖長さの異なる、複数種類のR10の混合物の場合である。
R11は、上述したように、水素または頭初単量体、この場合、エチレン誘導体、マレインイミド誘導体のフリーラジカル重合において通常形成されるような有機基、換言すれば、重合開始剤から形成される基、あるいは中間生成物として生成する遊離基から形成される基、さらには、この分野の技術者に周知のこのような基である。
本発明においては、また下式Ia
で表わされるN−オキシル化合物を使用するのも有利である。
式中のR1、R2はN−オキシル化合物Iについて前述した意味を有するが、
R12は炭素、酸素または窒素を介して結合されるm′価の基、
R13は水素、C1−C12アルキルまたはC1−C12アルコキシを意味するか、あるいはR12と合体して、炭素または酸素を介して、化合結合により、これら両者に結合されている炭素に結合されるm′価の基を形成し、あるいはR12およびR12、R13に結合されている炭素と合体して、飽和の3から7員同素環または複素環(この場合m′は1である)を形成し、
m′は1、2または3を意味する。
適当なm′価の基R12は、C1−C4アルキル、非置換フェニル、または1から3個のC1−C4アルキル置換基を有するフェニル基である。これらの基のピペリジン環への結合は、酸素、NH基またはN(C1−C4アルキル)基を介して行なわれ得る。
適当な基R12の例は以下に示される(線は自由原子価を表わす)。
基R13であってもよいC1−C12アルキルおよびC1−C12アルコキシについては、R4に関してすでに例示した。R12、R13は、また合体して、炭素または窒素を介して、化学的結合により、これら両者に結合されている炭素(ピペリジン環の4−位における炭素)に結合される基を形成する。このような2m′価の基の例を下記に示す(線は自由原子価を表わす)。
R12とR13は、さらにこれら結合されている炭素原子と共に、3員から7員の同素環または複素環を形成し得る。
このような環を下記に例示する。
上述した式中のR14は、相互に同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、C1−C12アルキル、非置換フェニル、1から4個のC1−C4アルキル置換基を持っている置換フェニルを意味する。C1−C12アルキルおよびフェニル環の置換基としてのC1−C4アルキルについては、具体例につき前述した。上述式中のk′は0、1または2を意味する。式中のC*は環中に組込まれているピペリジンの4−位炭素を意味する。
その他の好ましいニトロキシル(N−オキシル)化合物は、以下に列記される。すなわち、
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−アセタート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル 2−エチルヘキサノアート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル ステアラート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル ベンゾアート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル 4−t−ブチルベンゾアート、
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシアート、
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジパート、
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルマロナート、
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)フタラート、
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)イソフタラート、
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)テレフタラート、
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサヒドロテレフタラート、
N,N′−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジパミド、
N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カプロラクタム、
N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ドデシルスクシンイミド、
2,4,6−トリス[N−ブチル−N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)]s−トリアジン、
4,4′−エチレンビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペラジン−3−オン)および
トリス(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシピペリジン−4−イル)ホスファイトである。
本発明方法においては、N−オキシル化合物として、ことにN,N′−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N′−ビス−ホルミル−1,6−ジアミノヘキサンを使用するのが有利である。
上述した各種のN−オキシル化合物は、対応するピペリジン化合物から出発して、これを例えば過酸化水素で酸化することにより製造され得る。この酸化に関する詳細は、例えば独国旧特願19510184.7号明細書に記載されている。ピペリジン化合物のような、α−炭素において水素原子を持たない二級アミンおよびその製法は周知に属する。
実施例1−3
3l容積のオートクレーブに、1300gの水、10.5gの4重量%濃度ポリビニルアルコール(鹸化度88%)溶液、0.34gの40重量%濃度ポリビニルアルコール(鹸化度47%)溶液、11.65gの3重量%濃度ヒドロキシメチルプロピルセルロース溶液、0.56gのt−ブチル ペルネオデカノアート、1.75gのナトリウム トリホスファート、および種に異なる量(下表を見よ)のN,N′−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−4−イル)−N,N′−ビスホルミル−1,6−ジアミノヘキサンを装填した。次いでオートクレーブを閉鎖し、窒素を充填し、洩漏の点検をし、放圧した。次いで700gの塩化ビニルを給送し、オートクレーブを55℃に加熱し、圧力が4バール降下するまで重合を継続し、次いでオートクレーブを放圧、開放した。結果を下表に示す。
実施例4
メタノールにN,N′−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N′−ビスホルミル−1,6−ジアミノヘキサンを溶解させた0.1%濃度溶液を、オートクレーブの内壁表面に均斉に噴霧し、室温で乾燥させた。次いでオートクレーブに、重合反応混合物を装填し、実施例1−3に記載されたように、正確に、N,N′−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N′−ビスホルミル−1,6−ジアミノヘキサン重合反応混合物を添加することなく、重合反応させた。結果を下表に示す。
対比例
オートクレーブに同様に重合反応材料を装填し、実施例4に記載されているのと同様に正確に、ただしオートクレーブ内壁表面への噴霧を行なうことなく、重合反応させた。結果を下表に示す。
重合反応の過程において、反応器壁面上に重合体が付着堆積するのは一般的である。しかしながら、このような重合体堆積は処理を厄介にする。このような堆積物は定期的に、一般的には各重合反応ごとに除去されねばならず、これには著しいコストを必要とするからである。さらに、例えば分子量分布に関して非典型的な重合体から成る堆積物は、場合により剥離して、生成重合体を非均質的にする可能性がある。
そこで、このような堆積物の形成を回避する対策が開発されている。堆積物形成の程度は、反応器壁の表面的構造、例えばその粗さに著しく依存しているので、対策は一次的に表面を平滑化することに向けられている。機械的な対策に加えて、重合反応混合物に腐蝕防止剤を添加し、壁体表面の平滑性を維持することも試みられている(例えば、1986年、ミュンヘン、ウィーンのハンゼル、フェルラーク社刊、G.W.ベッカー、D.ブラウン編、「クンストシュトフ、ハントブーフ」、2/1巻、153頁参照)。しかしながら、これらの対策は、通常、堆積物の形成を妥当に防止することはできない。
初期独国特願19609312.0号明細書には、ある種のビニル単量体の、例えば蒸留、精製、貯蔵、輸送の過程において、二級アミンのN−オキシル化合物を添加することにより、その過早の重合を防止する方法が記載されている。このN−オキシル化合物は、またスチレンその他のビニル芳香族化合物の蒸留の間の安定性をもたらすために使用される(米国特許5254760号明細書)。しかしながら、このようなニトロキシル化合物は、たとえ痕跡量であっても、その後の重合処理を阻害し、重合遅延および制御不能の連鎖停止反応をもたらし、再重合不能の重合体、連鎖長の短かい重合体が製造されることも知られている。このような有害な効果については、マーデアらのPolym.Prep.(Am.Chem.Soc.Div.Polym.Sci.)35(1)778(1994)に記載されている。
そこで、本発明の目的は、重合方法に認知可能の悪影響をもたらすことなく、反応器壁面上における重合体堆積物の形成を実質的に阻止し得るビニル単量体の重合方法を提供することである。
しかるに、この目的は、ビニル単量体の水性相における付加重合の間の反応器壁面における堆積物形成を阻止するために、α−炭素に水素原子を持たない二級アミンN−オキシル化合物の使用により達成されることが本発明者らにより見出された。
ここで、ビニル単量体と称するのは、オレフィン性末端二重結合を有するすべての付加重合可能単量体を意味する。その例としては、アクリル酸およびメタクリル酸ならびにこれらの誘導体、例えばニトリルおよびエステル、ことにメチル、エチル、プロピルおよびブチルアクリラートおよびメタクリラート、さらにC2−C5カルボン酸のビニルエステル、ことにビニルアセタート、ビニルプロピオナート、ビニルブタノアート、芳香族ビニル化合物、ことにスチレン、ジエン、ことにブタジエン、ビニルハロゲン化物、ことに塩化ビニル、ビニルエーテル、例えばメチル、エチルまたはブチルビニルエーテル、ビニルチオエーテル、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、ビニルフタルイミド、ビニルイソシアナート、ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルスルホン酸、ビニルシラン、例えばビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシランが挙げられる。
α−オレフィンも適当であって、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが、ことに共重合方法において、他のコモノマーと共に使用される。
本発明方法は、このような共重合方法の場合にことに有利に使用され得る。この方法で製造され得る適当な共重合の例としては、スチレン/ブタジエン共重合体、合成ゴム状ブロック重合体、例えばスチレン/ブタジエン/ブタジエン/スチレン共重合体、スチレン/ブチルアクリラート共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体およびエチレン/塩化ビニル共重合体が挙げられる。
本発明方法は、スチレンを単独で、または他のコモノマーと共に、必要に応じて、揮発性発泡剤、例えばペンタンの存在下において重合させるために、また塩化ビニルを重合させるために、ことに適当である。
本発明方法は、水性相における重合に関する。ここで水性相と称するのは、水中における、および水を可成りの重量割合、例えば少なくとも20重量%含有する、水と溶媒の混合液中における、各種単量体もしくは重合体の溶液、乳濁液および懸濁液を意味するための用語である。従って、慣用のすべての乳化重合、懸濁重合は、本発明方法により行なわれ得る。選定され得る反応条件は、このような重合法に慣用の諸条件および、例えばホウベン、ワイルの「メトーデン、オルガニッシェン、ヘミー」E20巻、218頁以降、「ウルマンス、エンツィクロペディー、デル、テヒニッシェン、ヘミー」第4版、19巻、132頁以降およびこれらに引用されている諸文献に記載されている諸条件である。
本発明方法において、二級アミンのN−オキシル化合物は、重合反応の間、反応混合物中に存在する。このようなN−オキシル化合物の使用は、種々の態様で行なわれ得る。
N−オキシル化合物は、重合反応混合物に添加されるのが有利であるが、早期重合をもたらさないように、あらかじめ単量体中に存在させることもできる。
重合反応混合物中におけるN−オキシル化合物の量割合は、重合速度にほとんど影響を及ぼさないようになされるべきである。重合のN−オキシル化合物に対する感受性は、種々のパラメータ、ことに単量体の性質、N−オキシル化合物の構造、温度、反応混合物中に存在するべきフリーラジカル開始剤、フリーラジカル捕捉剤などに依存する。しかしながら、好ましい量割合は、所定の重合反応条件下における事前の数回の実験で決定され得る。
重合反応混合物中のN−オキシル化合物の量割合は、0.5から50ppm、ことに1から20ppm、なかんずく2から10ppm(1ppm=単量体全量に対するN−オキシル化合物の10-6重量部)の範囲に在るのが有利であることが見出された。この量割合において、堆積物形成は、反応速度に実質的な影響を及ぼすことなく、一般的に完全に防止され得る。
N−オキシル化合物を重合反応混合物に添加するほかに、変形実施態様として、反応器に重合反応混合物を装填する前に、N−オキシル化合物溶液で、反応器壁面を湿潤させるのがことに適当であることが実証されている。
この湿潤処理は、反応器壁面および反応器内のその他の部分、例えば撹拌器に、N−オキシル化合物溶液を噴霧することにより簡単かつ効果的に行なわれ得る。N−オキシル化合物は、大部分が、水に難溶性であるが、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、エチルアセタート、ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒にはほとんど溶解する。多くのN−オキシル化合物にことに適する溶媒はメタノールである。噴霧溶液中におけるN−オキシル化合物の濃度は臨界的ではなく、溶液全量に対して0.01から1重量%が適当である。
反応器壁面の湿潤は、噴霧溶液と同様の溶液を容器に充満させ、次いでこれを排出することによっても行なわれ得る。
N−オキシル化合物溶液による反応器壁面湿潤処理の利点は、重合反応混合物へのその添加以上に、重合速度に対する影響が極端に低く、液面より上方の部分、ことに堆積物が一般的に形成される液面直上部分における堆積物形成防止効果をも有することである。
これら両形態の使用方法を併用するのも有利であって、この場合、重合材料溶液への直接添加量は極めて少量で充分である。
本発明方法において使用するのに適当なN−オキシル化合物は、下式
で表わされ、かつ式中の複数のRが、相互に同じでも異なってもよく、それぞれアルキル、シクロアルキル、アルアルキルまたはアリールを意味するか、あるいはその一対が合体して環を形成し、Yが5員または6員の環を形成するに必要な基を意味する場合の化合物である。さらに具体的には、RはC1−C20、ことにC1−C8アルキル、C5−もしくはC6−シクロアルキル、ベンジルまたはフェニルである。Yは、例えばアルキレン基−(CH2)2−または−(CH2)3−である。
また下式
で表わされる構造を有し、芳香族環が1から3個の不活性置換基、例えばC1−C4アルキル、C1−C4アルコキシまたはシアノを持っていてもよいN−オキシル化合物も適当である。
アミンとしては、環中にさらに他のヘテロ原子、例えば窒素、酸素または硫黄を持っていてもよい、ピペリジン化合物またはピロリドン化合物のような環式アミンの立体障害アミン誘導体(上記ヘテロ原子は立体障害アミンの窒素原子に隣接しない)を使用するのが好ましい。立体障害はアミン窒素に隣接する両位置における置換基(好ましい置換基はα−CH2基の4個の全水素原子を置換する炭化水素基である)によりもたらされる。この置換基として好ましいのは、フェニル、C3−C6シクロアルキル、ベンジル、ことにC1−C6アルキルであって、この場合、同じα−炭素に結合されているアルキル基は、相互に結合されて5員または6員環を形成してもよい。ことに好ましい基は、以下においてR1、R2につき記述される基である。立体障害アミンのN−オキシル化合物として好ましいのは、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジンである。
本発明において使用される好ましいN−オキシル化合物は、下式I
で表わされ、
R1、R2が、それぞれC1−C4アルキルまたはフェニルを意味するか、あるいはこれらに結合されている炭素原子と共に5員または6員の飽和炭化水素環基を形成し、
R3が水素、ヒドロキシル、アミノ、SO3H、SO3M、PO3H2、PO3HM、PO3M2(Mはアルカリ金属である)、有機珪素、または酸素ないし窒素を介して結合されるm価の有機基を意味するか、あるいはR4と合体して、酸素またはR4につき下記する環状構造を形成し、
R4が水素、C1−C12アルキルを意味するか、あるいは上記R3と共に酸素、またはR3と合体して酸素を形成するか、またはR3およびこれらに結合されている炭素と共に、以下の構造
を形成し、R3とR4が合体して1個の基を形成する場合にはmは1であり、
R5が水素、C1−C12アルキルまたは−(CH2)z−COOR6を意味し、
R6が相互に同じでも異なってもよく、それぞれC1−C18アルキルを意味し、
kが0または1、
z、pが1から12、
mが1から100の数値をそれぞれ意味する場合の化合物である。
R1、R2は、具体的にはメチル、エチル、プロピル、ブチルを意味するか、あるいは両者合体してテトラもしくはペンタメチレン基を形成し得る。R1、R2はメチルであるのが好ましい。
R4は、例えば水素、上述のC1−C4アルキル、さらにはペンチル、s−ペンチル、t−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、ヘプチル、2−メチルヘキシル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、2−メチルノニル、イソノニル、2−メチルオクチル、デシル、イソデシル、2−メチルノニル、ウンデシル、イソウンデシル、ドデシル、イソドデシル(イソオクチル、イソノニル、イソデシルなる名称は通称であって、オキソ合成により得られるカルボニルからの誘導体、「ウルマンス、エンサイクロピーディア、オブ、インダストリアル、ケミストリー」第5版、A1巻、290−293頁、同A10巻、284−285頁参照)を意味するのが適当である。
pは6−12、ことに9を意味するのが好ましく、zは1−4、ことに2を意味するのが好ましい。
R5は、水素以外には、例えば上述したC1−C12アルキルを意味するのが適当であり、ことに水素、C1−C4アルキル、(CH2)z−COO(C1−C6アルキル)、なかんずく、−CH2−CH2−COO(CH2)11−CH3および−CH2−CH2−COO−(CH2)13−CH3を意味するのが好ましい。
R6は、上述C1−C12アルキルのほかに、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルを意味し得る。ドデシルおよびヘキサデシルが好ましい。
R3は例えば以下のようなm価の基を意味するのが好ましい。
ただし、式中の
R7はC1−C12アルキルまたは−(CH2)z−COOR6を、
R8は水素またはC1−C18アルキルを、
R9はC1−C18アルキル、ビニル、またはイソプロペニルを、
R10はC8−C22アルキルを、
R11は水素または頭初単量体のフリーラジカル重合において通常形成されるような有機基をそれぞれ意味し、
kは0または1、
xは1から12、
nは偶数mを意味する。
R3がこれらのいずれかの基を意味する場合には、R4は水素であるのが好ましい。この場合にはmは1から100の数値を意味するが、ことに1、2、3、4または10から50であるのが好ましい。ことにオリゴマーもしくはポリマー基の場合には、混合物を使用するのが好ましい。
R7として適当であるのは、R5について上述したと同様であるが、C1−C4アルキルを意味するのが好ましい。
R8は水素以外に適当であるのは、R6について上述したと同様であるが、水素を意味するのが好ましい。
R9としては、ビニル、イソプロペニル、C15−C17アルキルがことに適当である。
R10として適当であるのは、上述のC8−C18アルキル、さらにはノナデシル、アイコシル、ウンアイコシル、ドアイコシルである。ことに好ましいのは、炭素連鎖長さの異なる、複数種類のR10の混合物の場合である。
R11は、上述したように、水素または頭初単量体、この場合、エチレン誘導体、マレインイミド誘導体のフリーラジカル重合において通常形成されるような有機基、換言すれば、重合開始剤から形成される基、あるいは中間生成物として生成する遊離基から形成される基、さらには、この分野の技術者に周知のこのような基である。
本発明においては、また下式Ia
で表わされるN−オキシル化合物を使用するのも有利である。
式中のR1、R2はN−オキシル化合物Iについて前述した意味を有するが、
R12は炭素、酸素または窒素を介して結合されるm′価の基、
R13は水素、C1−C12アルキルまたはC1−C12アルコキシを意味するか、あるいはR12と合体して、炭素または酸素を介して、化合結合により、これら両者に結合されている炭素に結合されるm′価の基を形成し、あるいはR12およびR12、R13に結合されている炭素と合体して、飽和の3から7員同素環または複素環(この場合m′は1である)を形成し、
m′は1、2または3を意味する。
適当なm′価の基R12は、C1−C4アルキル、非置換フェニル、または1から3個のC1−C4アルキル置換基を有するフェニル基である。これらの基のピペリジン環への結合は、酸素、NH基またはN(C1−C4アルキル)基を介して行なわれ得る。
適当な基R12の例は以下に示される(線は自由原子価を表わす)。
基R13であってもよいC1−C12アルキルおよびC1−C12アルコキシについては、R4に関してすでに例示した。R12、R13は、また合体して、炭素または窒素を介して、化学的結合により、これら両者に結合されている炭素(ピペリジン環の4−位における炭素)に結合される基を形成する。このような2m′価の基の例を下記に示す(線は自由原子価を表わす)。
R12とR13は、さらにこれら結合されている炭素原子と共に、3員から7員の同素環または複素環を形成し得る。
このような環を下記に例示する。
上述した式中のR14は、相互に同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、C1−C12アルキル、非置換フェニル、1から4個のC1−C4アルキル置換基を持っている置換フェニルを意味する。C1−C12アルキルおよびフェニル環の置換基としてのC1−C4アルキルについては、具体例につき前述した。上述式中のk′は0、1または2を意味する。式中のC*は環中に組込まれているピペリジンの4−位炭素を意味する。
その他の好ましいニトロキシル(N−オキシル)化合物は、以下に列記される。すなわち、
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−アセタート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル 2−エチルヘキサノアート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル ステアラート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル ベンゾアート、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル 4−t−ブチルベンゾアート、
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシアート、
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジパート、
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバカート、
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチルマロナート、
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)フタラート、
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)イソフタラート、
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)テレフタラート、
ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサヒドロテレフタラート、
N,N′−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アジパミド、
N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カプロラクタム、
N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ドデシルスクシンイミド、
2,4,6−トリス[N−ブチル−N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)]s−トリアジン、
4,4′−エチレンビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペラジン−3−オン)および
トリス(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシピペリジン−4−イル)ホスファイトである。
本発明方法においては、N−オキシル化合物として、ことにN,N′−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N′−ビス−ホルミル−1,6−ジアミノヘキサンを使用するのが有利である。
上述した各種のN−オキシル化合物は、対応するピペリジン化合物から出発して、これを例えば過酸化水素で酸化することにより製造され得る。この酸化に関する詳細は、例えば独国旧特願19510184.7号明細書に記載されている。ピペリジン化合物のような、α−炭素において水素原子を持たない二級アミンおよびその製法は周知に属する。
実施例1−3
3l容積のオートクレーブに、1300gの水、10.5gの4重量%濃度ポリビニルアルコール(鹸化度88%)溶液、0.34gの40重量%濃度ポリビニルアルコール(鹸化度47%)溶液、11.65gの3重量%濃度ヒドロキシメチルプロピルセルロース溶液、0.56gのt−ブチル ペルネオデカノアート、1.75gのナトリウム トリホスファート、および種に異なる量(下表を見よ)のN,N′−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−4−イル)−N,N′−ビスホルミル−1,6−ジアミノヘキサンを装填した。次いでオートクレーブを閉鎖し、窒素を充填し、洩漏の点検をし、放圧した。次いで700gの塩化ビニルを給送し、オートクレーブを55℃に加熱し、圧力が4バール降下するまで重合を継続し、次いでオートクレーブを放圧、開放した。結果を下表に示す。
実施例4
メタノールにN,N′−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N′−ビスホルミル−1,6−ジアミノヘキサンを溶解させた0.1%濃度溶液を、オートクレーブの内壁表面に均斉に噴霧し、室温で乾燥させた。次いでオートクレーブに、重合反応混合物を装填し、実施例1−3に記載されたように、正確に、N,N′−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N′−ビスホルミル−1,6−ジアミノヘキサン重合反応混合物を添加することなく、重合反応させた。結果を下表に示す。
対比例
オートクレーブに同様に重合反応材料を装填し、実施例4に記載されているのと同様に正確に、ただしオートクレーブ内壁表面への噴霧を行なうことなく、重合反応させた。結果を下表に示す。
Claims (7)
- 塩化ビニルの水性相中での重合方法であって、反応器内壁表面上への重合体堆積を阻止するために、α−炭素に水素原子を持たない二級アミンのN−オキシル化合物の少なくとも1種の存在下で重合を行なうことを含む重合方法。
- 上記N−オキシル化合物を、重合反応混合物に添加することを特徴とする、請求項1の重合方法。
- 上記N−オキシル化合物を重合反応混合物に0.5〜50ppmの濃度で添加することを特徴とする、請求項1または2の重合方法。
- 重合反応混合物を反応器に装填する前に、反応器内壁表面を、上記N−オキシル化合物の溶液で湿潤させることを特徴とする、請求項1の重合方法。
- 使用される上記N−オキシル化合物が、以下の一般式I
{式中、R 1 、R 2 が、C 1 −C 4 アルキルまたはフェニルを意味するか、あるいはこれらが、これらに結合されている炭素と共に5員もしくは6員の飽和炭化水素環を形成し、
R 3 が水素、ヒドロキシル、アミノ、SO 3 H、SO 3 M、PO 3 H 2 、PO 3 HM、PO 3 M 2 (Mはアルカリ金属である)、有機珪素基、または酸素もしくは窒素を介して結合されているm価有機基を意味するか、あるいはR 4 と共に酸素または下記R 4 で定義される環状構造を形成し、
R 4 が水素またはC 1 −C 12 アルキル基を意味するか、またはR 3 と共に酸素あるいはR 3 およびこれらに結合されている炭素と共に、以下の環構造
(R 3 、R 4 が合体して基を形成する場合、mは1である)を形成し、
R 5 が水素、C 1 −C 12 アルキルまたは−(CH 2 ) z −COOR 6 を意味し、
R 6 が、相互に同じでも異なってもよく、それぞれC 1 −C 18 アルキルを意味し、
kが0または1、
z、pが1から12、
mが1から100の数値をそれぞれ意味する。}で表わされる化合物であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかの重合方法。 - 式IのR 3 が
{式中、R 7 がC 1 −C 12 アルキルまたは−(CH 2 ) z −COOR 6 を、
R 8 が水素またはC 1 −C 18 アルキルを、
R 9 がC 1 −C 18 アルキル、ビニルまたはイソプロペニルを、
R 10 がC 8 −C 22 アルキルを、
R 11 が水素または頭初単量体のフリーラジカル重合において通常形成されるような有機基を、
R 14 が、水素、C 1 −C 12 アルキル、非置換フェニルまたは1〜4個のC 1 −C 4 アルキル置換基を持っている置換フェニルを、
z、m、R 6 は、請求項5に示した意味を、
kが0または1を、
xが1から12を、
nが偶数mをそれぞれ意味する。}で表わされる基の群から選択された基であることを特徴とする、請求項5の重合方法。 - 上記N−オキシル化合物として、N,N′−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N′−ビス ホルミル−1,6−ジアミノヘキサンを使用することを特徴とする、請求項1から6のいずれかの重合方法。
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