JP2001505601A - ビニル単量体の重合方法 - Google Patents

ビニル単量体の重合方法

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Abstract

(57)【要約】 反応器内壁表面における堆積物の形成を防止するために、α−炭素において水素原子を持たない、少なくとも一種類の二級アミンN−オキシル化合物の存在下に重合を行なうことを特徴とする、ビニル単量体の水性相重合方法。

Description

【発明の詳細な説明】 ビニル単量体の重合方法 本発明は、ビニル単量体の水性相における付加重合方法に関する。 重合反応の過程において、反応器壁面上に重合体が付着堆積するのは一般的で ある。しかしながら、このような重合体堆積は処理を厄介にする。このような堆 積物は定期的に、一般的には各重合反応ごとに除去されねばならず、これには著 しいコストを必要とするからである。さらに、例えば分子量分布に関して非典型 的な重合体から成る堆積物は、場合により剥離して、生成重合体を非均質的にす る可能性がある。 そこで、このような堆積物の形成を回避する対策が開発されている。堆積物形 成の程度は、反応器壁の表面的構造、例えばその粗さに著しく依存しているので 、対策は一次的に表面を平滑化することに向けられている。機械的な対策に加え て、重合反応混合物に腐蝕防止剤を添加し、壁体表面の平滑性を維持することも 試みられている(例えば、1986年、ミュンヘン、ウィーンのハンゼル、フェ ルラーク社刊、G.W.ベッカー、D.ブラウン編、「クンストシュトフ、ハン トブーフ」、2/1巻、153頁参照)。しかしながら、これらの対策は、通常 、堆積物の形成を妥当に防止することはできない。 初期独国特願19609312.0号明細書には、ある種のビニル単量体の、 例えば蒸留、精製、貯蔵、輸送の過程において、二級アミンのN−オキシル化合 物を添加することにより、その過早の重合を防止する方法が記載されている。こ のN−オキシル化合物は、またスチレンその他のビニル芳香族化合物の蒸留の間 の安定性をもたらすために使用される(米国特許5254760号明細書)。し かしながら、このようなニトロキシル化合物は、たとえ痕跡量であっても、その 後の重合処理を阻害し、重合遅延および制御不能の連鎖停止反応をもたらし、再 重合不能の重合体、連鎖長の短かい重合体が製造されることも知られている。こ のような有害な効果については、マーデアらのPolym.Prep.(Am. Chem.Soc.Div.Polym.Sci.)35(1)778 (1994)に記載されている。 そこで、本発明の目的は、重合方法に認知可能の悪影響をもたらすことなく、 反応器壁面上における重合体堆積物の形成を実質的に阻止し得るビニル単量体の 重合方法を提供することである。 しかるに、この目的は、反応器壁面における堆積物形成を阻止するため、α− 炭素に水素原子を持たない、少なくとも一種類の二級アミンN−オキシル化合物 の存在下に重合を行なうことを特徴とする、水性相におけるビニル単量体の付加 重合方法により達成されることが本発明者らにより見出された。 本発明は、また、α−炭素に水素原子を持たない二級アミンN−オキシル化合 物の、ビニル単量体水性相重合の間における反応容器壁面の堆積物形成を防止す るための用途を提供する。 ここで、ビニル単量体と称するのは、オレフィン性末端二重結合を有するすべ ての付加重合可能単量体を意味する。その例としては、アクリル酸およびメタク リル酸ならびにこれらの誘導体、例えばニトリルおよびエステル、ことにメチル 、エチル、プロピルおよびブチルアクリラートおよびメタクリラート、さらにC2 −C5カルボン酸のビニルエステル、ことにビニルアセタート、ビニルプロピオ ナート、ビニルブタノアート、芳香族ビニル化合物、ことにスチレン、ジエン、 ことにブタジエン、ビニルハロゲン化物、ことに塩化ビニル、ビニルエーテル、 例えばメチル、エチルまたはブチルビニルエーテル、ビニルチオエーテル、ビニ ルカルバゾール、ビニルピロリドン、ビニルフタルイミド、ビニルイソシアナー ト、ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルスルホン酸、ビニルシ ラン、例えばビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルト リメトキシシランが挙げられる。 α−オレフィンも適当であって、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、 1−ヘキセン、1−オクテンが、ことに共重合方法において、他のコモノマーと 共に使用される。 本発明方法は、このような共重合方法の場合にことに有利に使用され得る。こ の方法で製造され得る適当な共重合の例としては、スチレン/ブタジエン共重合 体、合成ゴム状ブロック重合体、例えばスチレン/ブタジエン/ブタジエン/ス チレン共重合体、スチレン/ブチルアクリラート共重合体、ブタジエン/アクリ ロニトリル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体および エチレン/塩化ビニル共重合体が挙げられる。 本発明方法は、スチレンを単独で、または他のコモノマーと共に、必要に応じ て、揮発性発泡剤、例えばペンタンの存在下において重合させるために、また塩 化ビニルを重合させるために、ことに適当である。 本発明方法は、水性相における重合に関する。ここで水性相と称するのは、水 を可成りの重量割合、例えば少なくとも20重量%含有する、水と溶媒の混合液 中における、各種単量体もしくは重合体の溶液、乳濁液および懸濁液を意味する ための用語である。従って、慣用のすべての乳化重合、懸濁重合は、本発明方法 により行なわれ得る。選定され得る反応条件は、このような重合法に慣用の諸条 件および、例えばホウベン、ワイルの「メトーデン、オルガニッシェン、ヘミー 」E20巻、218頁以降、「ウルマンス、エンツィクロペディー、デル、テヒ ニッシェン、ヘミー」第4版、19巻、132頁以降およびこれらに引用されて いる諸文献に記載されている諸条件である。 本発明方法において、二級アミンのN−オキシル化合物は、重合反応の間、反 応混合物中に存在する。このようなN−オキシル化合物の使用は、種々の態様で 行なわれ得る。 N−オキシル化合物は、重合反応混合物に添加されるのが有利であるが、早期 重合をもたらさないように、あらかじめ単量体中に存在させることもできる。 重合反応混合物中におけるN−オキシル化合物の量割合は、重合速度にほとん ど影響を及ぼさないようになされるべきである。重合のN−オキシル化合物に対 する感受性は、種々のパラメータ、ことに単量体の性質、N−オキシル化合物の 構造、温度、反応混合物中に存在するべきフリーラジカル開始剤、フリーラジカ ル捕捉剤などに依存する。しかしながら、好ましい量割合は、所定の重合反応条 件下における事前の数回の実験で決定され得る。 重合反応混合物中のN−オキシル化合物の量割合は、0.5から50ppm、 ことに1から20ppm、なかんずく2から10ppm(1ppm=単量体全量 に対するN−オキシル化合物の10-6重量部)の範囲に在るのが有利であること が見出された。この量割合において、堆積物形成は、反応速度に実質的な影響を 及ぼすことなく、一般的に完全に防止され得る。 N−オキシル化合物を重合反応混合物に添加するほかに、変形実施態様として 、反応器に重合反応混合物を装填する前に、N−オキシル化合物溶液で、反応器 壁面を湿潤させるのがことに適当であることが実証されている。 この湿潤処理は、反応器壁面および反応器内のその他の部分、例えば撹拌器に 、N−オキシル化合物溶液を噴霧することにより簡単かつ効果的に行なわれ得る 。N−オキシル化合物は、大部分が、水に難溶性であるが、メタノール、エタノ ール、プロパノール、アセトン、エチルアセタート、ジメチルホルムアミドなど の有機溶媒にはほとんど溶解する。多くのN−オキシル化合物にことに適する溶 媒はメタノールである。噴霧溶液中におけるN−オキシル化合物の濃度は臨界的 ではなく、溶液全量に対して0.01から1重量%が適当である。 反応器壁面の湿潤は、噴霧溶液と同様の溶液を容器に充満させ、次いでこれを 排出することによっても行なわれ得る。 N−オキシル化合物溶液による反応器壁面湿潤処理の利点は、重合反応混合物 へのその添加以上に、重合速度に対する影響が極端に低く、液面より上方の部分 、ことに堆積物が一般的に形成される液面直上部分における堆積物形成防止効果 をも有することである。 これら両形態の使用方法を併用するのも有利であって、この場合、重合材料溶 液への直接添加量は極めて少量で充分である。 本発明方法において使用するのに適当なN−オキシル化合物は、下式 で表わされ、かつ式中の複数のRが、相互に同じでも異なってもよく、それぞれ アルキル、シクロアルキル、アルキルまたはアリールを意味するか、あるいはそ の一対が合体して環を形成し、Yが5員または6員の環を形成するに必要な基を 意味する場合の化合物である。さらに具体的には、RはC1−C10、ことにC1− C8アルキル、C5−もしくはC6−シクロアルキル、ベンジルまたはフェニルで ある。Yは、例えばアルキレン基−(CH22−または−(CH23−である。 また下式 で表わされる構造を有し、芳香族環が1から3個の内部置換基、例えばC1−C4 アルキル、C1−C4アルコキシまたはシアノを持っていてもよいN−オキシル化 合物も適当である。 アミンとしては、環中にさらに他のヘテロ原子、例えば水素、酸素または硫黄 を持っていてもよい、ピペリジン化合物またはピロリドン化合物のような環式ア ミンの立体障害アミン誘導体(上記ヘテロ原子は立体障害アミンの窒素原子に隣 接しない)を使用するのが好ましい。立体障害はアミン窒素に隣接する両位置に おける置換基(好ましい置換基はα−CH2基の4個の全水素原子を置換する炭 化水素基である)によりもたらされる。この置換基として好ましいのは、フェニ ル、C3−C6シクロアルキル、ベンジル、ことにC1−C6アルキルであって、こ の場合、同じα−炭素に結合されているアルキル基は、相互に結合されて5員ま たは6員環を形成してもよい。ことに好ましい基は、以下においてR1、R2につ き記述される基である。立体障害アミンのN−オキシル化合物として好ましいの は、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジンである。 本発明において使用される好ましいN−オキシル化合物は、下式I で表わされ、 R1、R2が、それぞれC1−C4アルキルまたはフェニルを意味するか、あるい はこれらに結合されている炭素原子と共に5員または6員の飽和炭化水素環基を 形成し、 R3が水素、ヒドロキシル、アミノ、SO3H、SO3M、PO32、PO3HM 、PO32(Mはアルカリ金属である)、有機珪素、または酸素ないし窒素を介 して結合されるm価の有機基を意味するか、あるいはR4と合体して、酸素また はR4につき下記する環状構造を形成し、 R4が水素、C1−C12アルキルを意味するか、あるいは上記R3と共に酸素を 、またはR3と合体して酸素を形成するか、またはR3およびこれらに結合されて いる炭素と共に、以下の構造 を形成し、R3とR4が合体して1個の基を形成する場合にはmは1であり、 R5が水素、C1−C12アルキルまたは−(CH2z−COOR6を意味し、 R6が相互に同じでも異なってもよく、それぞれC1−C18アルキルを意味し、 kが0または1、 z、pが1から12、 mが1から100の数値をそれぞれ意味する場合の化合物である。 R1、R2は、具体的にはメチル、エチル、プロピル、ブチルを意味するか、あ るいは両者合体してテトラもしくはペンタメチレン基を形成し得る。R1、R2は メチルであるのが好ましい。 R4は、例えば水素、上述のC1−C4アルキル、さらにはペンチル、s−ペン チル、t−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、ヘプチル 、2−メチルヘキシル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル 、2−メチルノニル、イソノニル、2−メチルオクチル、デシル、イソデシル、 2−メチルノニル、ウンデシル、イソウンデシル、ドデシル、イソドデシル(イ ソオクチル、イソノニル、イソデシルなる名称は通称であって、オキソ合成によ り得られるカルボニルからの誘導体、「ウルマンス、エンサイクロピーディア、 オブ、インダストリアル、ケミストリー」第5版、Al巻、290−293頁、 同A10巻、284−285頁参照)を意味するのが適当である。 pは6−12、ことに9を意味するのが好ましく、zは1−4、ことに2を意 味するのが好ましい。 R5は、水素以外には、例えば上述したC1−C12アルキルを意味するのが適当 であり、ことに水素、C1−C4アルキル、(CH2z−COO(C1−C6アルキ ル)、なかんずく、−CH2−CH2−COO(CH211−CH3および−CH2 −CH2−COO(CH213−CH3を意味するのが好ましい。 R6は、上述C1−C12アルキルのほかに、トリデシル、イソトリデシル、ペン タデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルを意味し得る。 R3は例えば以下のようなm価の基を意味するのが好ましい。 ただし、式中の R7はC1−C12アルキルまたは−(CH2z−COOR6を、 R8は水素またはC1−C18アルキルを、 R9はC1−C18アルキル、ビニル、またはイソプロペニルを、 R10はC8−C22アルキルを、 R11は水素または頭初単量体のフリーラジカル重合において通常形成されるよ うな有機基をそれぞれ意味し、 kは0または1、 xは1から12、 nは偶数mを意味する。 R3がこれらのいずれかの基を意味する場合には、R4は水素であるのが好まし い。この場合にはmは1から100の数値を意味するが、ことに1、2、3、4 または10から50であるのが好ましい。ことにオリゴマーもしくはポリマー基 の場合には、混合物を使用するのが好ましい。 R7として適当であるのは、R5について上述したと同様であるが、C1−C4ア ルキルを意味するのが好ましい。 R8は水素以外に適当であるのは、R8について上述したと同様であるが、水素 を意味するのが好ましい。 R9としては、ビニル、イソプロペニル、C15−C17アルキルがことに適当で ある。 R10として適当であるのは、上述のC8−C18アルキル、さらにはノナデシル 、アイコシル、ウンアイコシル、ドアイコシルである。ことに好ましいのは、炭 素連鎖長さの異なる、複数種類のR10の混合物の場合である。 R11は、上述したように、水素または頭初単量体、この場合、エチレン誘導体 、マレインイミド誘導体のフリーラジカル重合において通常形成されるような有 機基、換言すれば、重合開始剤から形成される基、あるいは中間生成物として生 成する遊離基から形成される基、さらには、この分野の技術者に周知のこのよう な基である。 本発明においては、また下式Iaで表わされるN−オキシル化合物を使用するのも有利である。 式中のR1、R2はN−オキシル化合物Iについて前述した意味を有するが、 R12は炭素、酸素または窒素を介して結合されるm’価の基、 R13は水素、C1−C12アルキルまたはC1−C12アルコキシを意味するか、あ るいはR12と合体して、炭素または酸素を介して、化合結合により、これら両者 に結合されている炭素に結合されるm’価の基を形成し、あるいはR12およびR12 、R13に結合されている炭素と合体して、不飽和の3から6員同素環または複 素環(この場合m’は1である)を形成し、 m’は1、2または3を意味する。 適当なm’価の基R12は、C1−C4アルキル、非置換フェニル、または1から 3個のC1−C4アルキル置換基を有するフェニル基である。これらの基のピペリ ジン環への結合は、酸素、NH基またはN(C1−C4アルキル)基を介して行な われ得る。 適当な基R12の例は以下に示される(線は自由原子価を表わす)。 基R13であってもよいC1−C12アルキルおよびC1−C12アルコキシについて は、R4に関してすでに例示した。R12、R13は、また合体して、炭素または窒 素を介して、化学的結合により、これら両者に結合されている炭素(ピペリジン 環の4−位における炭素)に結合されるm’価の基を形成する。このようなm’ 価の基の例を下記に示す(線は自由原子価を表わす)。 12とR13は、さらにこれら結合されている炭素原子と共に、3員から7員の 同素環または複素環を形成し得る。 このような環を下記に例示する。 上述した式中のR14は、相互に同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、C1 −C12アルキル、非置換フェニル、1から4個のC1−C4アルキル置換基を持 っている置換フェニルを意味する。C1−C12アルキルおよびフェニル環の 置換基としてのC1−C4アルキルについては、具体例につき前述した。上述式中 のk’は0、1または2を意味する。式中のC*は環中に組込まれているピペリ ジンの4−位炭素を意味する。 その他の好ましいニトロキシル(N−オキシル)化合物は、以下に列記される 。すなわち、 1−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、 1−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール、 1−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン、 1−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−アセター ト、 1−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル 2−エチ ルヘキサノアート、 1−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル ステアラ ート、 1−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル ベンゾア ート、 1−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル 4−t− ブチルベンゾアート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) スクシアート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) アジパート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) セバカート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) n−ブチルマロナート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) フタラート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) イソフタラート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) テレフタラート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) ヘキサヒドロテレフタラート、 N,N’−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン− 4−イル)アジパミド、 N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) カプロラクタム、 N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) ドデシルスクシンイミド、 2,4,6−トリス[N−ブチル−N−(1−オキシル−2,2,6,6−テ トラメチルピペリジン−4−イル)]s−トリアジン、 4,4’−エチレンビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペ ラジン−3−オン)および トリス(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシピペリジン−4−イル) ホスファイトである。 本発明方法においては、N−オキシル化合物として、ことにN,N’−ビス( 1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N ’−ビス−ホルミル−1,6−ジアミノヘキサンを使用するのが有利である。 上述した各種のN−オキシル化合物は、対応するピペリジン化合物から出発し て、これを例えば過酸化水素で酸化することにより製造され得る。この酸化に関 する詳細は、例えば独国旧特願19510184.7号明細書に記載されている 。ピペリジン化合物のような、α−炭素において水素原子を持たない二級アミン およびその製法は周知に属する。 実施例1−3 31容積のオートクレーブに、1300gの水、10.5gの4重量%濃度ポ リビニルアルコール(鹸化度88%)溶液、0.34gの40重量%濃度ポリビ ニルアルコール(鹸化度47%)溶液、11.65gの3重量%濃度ヒドロキシ メチルプロピルセルロース溶液、0.56gのt−ブチル ペルネオデカノアー ト、1.75gのナトリウム トリホスファート、および種に異なる量(下表を 見よ)のN,N’−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリ ジ−4−イル)−N,N’−ビスホルミル−1,6−ジアミノヘキサンを装填し た。次いでオートクレーブを閉鎖し、窒素を充填し、洩漏の点検をし、放圧した 。次いで700gの塩化ビニルを給送し、オートクレーブを55℃に加熱し、圧 力が4バール降下するまで重合を継続し、次いでオートクレーブを放圧、開放し た。結果を下表に示す。 実施例4 メタノールにN,N’−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル ピペリジン−4−イル)−N,N’−ビスホルミル−1,6−ジアミノヘキサン を溶解させた0.1%濃度溶液を、オートクレーブの内壁表面に均斉に噴霧し、 室温で乾燥させた。次いでオートクレーブに、重合反応混合物を装填し、実施例 1−3に記載されたように、正確に、N,N’−ビス(1−オキシル−2,2, 6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N’−ビスホルミル−1, 6−ジアミノヘキサン重合反応混合物を添加することなく、重合反応させた。結 果を下表に示す。 対比例 オートクレーブに同様に重合反応材料を装填し、実施例4に記載されているの と同様に正確に、ただしオートクレーブ内壁表面への噴霧を行なうことなく、重 合反応させた。結果を下表に示す。 ★ N,N’−ビス−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン −4−イル)−N,N’−ビスホルミル−1,6−ジアミノヘキサン溶液を 噴霧
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成10年10月5日(1998.10.5) 【補正内容】 明細書 ビニル単量体の重合方法 本発明は、ビニル単量体の水性相における付加重合の間の反応器壁面上への重 合体堆積を阻止するための、N−オキシル化合物の用途に関する。 重合反応の過程において、反応器壁面上に重合体が付着堆積するのは一般的で ある。しかしながら、このような重合体堆積は処理を厄介にする。このような堆 積物は定期的に、一般的には各重合反応ごとに除去されねばならず、これには著 しいコストを必要とするからである。さらに、例えば分子量分布に関して非典型 的な重合体から成る堆積物は、場合により剥離して、生成重合体を非均質的にす る可能性がある。 そこで、このような堆積物の形成を回避する対策が開発されている。堆積物形 成の程度は、反応器壁の表面的構造、例えばその粗さに著しく依存しているので 、対策は一次的に表面を平滑化することに向けられている。機械的な対策に加え て、重合反応混合物に腐蝕防止剤を添加し、壁体表面の平滑性を維持することも 試みられている(例えば、1986年、ミュンヘン、ウィーンのハンゼル、フェ ルラーク社刊、G.W.ベッカー、D.ブラウン編、「クンストシュトフ、ハン トブーフ」、2/1巻、153頁参照)。しかしながら、これらの対策は、通常 、堆積物の形成を妥当に防止することはできない。 初期独国特願19609312.0号明細書には、ある種のビニル単量体の、 例えば蒸留、精製、貯蔵、輸送の過程において、二級アミンのN−オキシル化合 物を添加することにより、その過早の重合を防止する方法が記載されている。こ のN−オキシル化合物は、またスチレンその他のビニル芳香族化合物の蒸留の間 の安定性をもたらすために使用される(米国特許5254760号明細書)。し かしながら、このようなニトロキシル化合物は、たとえ痕跡量であっても、その 後の重合処理を阻害し、重合遅延および制御不能の連鎖停止反応をもたらし、再 重合不能の重合体、連鎖長の短かい重合体が製造されることも知られている。こ のような有害な効果については、マーデアらのPolym.Prep.(Am. Chem.Soc.Div.Polym.Sci.)35(1)778(199 4)に記載されている。 そこで、本発明の目的は、重合方法に認知可能の悪影響をもたらすことなく、 反応器壁面上における重合体堆積物の形成を実質的に阻止し得るビニル単量体の 重合方法を提供することである。 しかるに、この目的は、ビニル単量体の水性相における付加重合の間の反応器 壁面における堆積物形成を阻止するために、α−炭素に水素原子を持たない二級 アミンN−オキシル化合物の使用により達成されることが本発明者らにより見出 された。 ここで、ビニル単量体と称するのは、オレフィン性末端二重結合を有するすべ ての付加重合可能単量体を意味する。その例としては、アクリル酸およびメタク リル酸ならびにこれらの誘導体、例えばニトリルおよびエステル、ことにメチル 、エチル、プロピルおよびブチルアクリラートおよびメタクリラート、さらにC2 −C5カルボン酸のビニルエステル、ことにビニルアセタート、ビニルプロピオ ナート、ビニルブタノアート、芳香族ビニル化合物、ことにスチレン、ジエン、 ことにブタジエン、ビニルハロゲン化物、ことに塩化ビニル、ビニルエーテル、 例えばメチル、エチルまたはブチルビニルエーテル、ビニルチオエーテル、ビニ ルカルバゾール、ビニルピロリドン、ビニルフタルイミド、ビニルイソシアナー ト、ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルスルホン酸、ビニルシ ラン、例えばビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルト リメトキシシランが挙げられる。 α−オレフィンも適当であって、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、 1−ヘキセン、1−オクテンが、ことに共重合方法において、他のコモノマーと 共に使用される。 本発明方法は、このような共重合方法の場合にことに有利に使用され得る。こ の方法で製造され得る適当な共重合の例としては、スチレン/ブタジエン共重合 体、合成ゴム状ブロック重合体、例えばスチレン/ブタジエン/ブタジエン/ス チレン共重合体、スチレン/ブチルアクリラート共重合体、ブタジエン/アクリ ロニトリル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体および エチレン/塩化ビニル共重合体が挙げられる。 本発明方法は、スチレンを単独で、または他のコモノマーと共に、必要に応じ て、揮発性発泡剤、例えばペンタンの存在下において重合させるために、また塩 化ビニルを重合させるために、ことに適当である。 本発明方法は、水性相における重合に関する。ここで水性相と称するのは、水 を可成りの重量割合、例えば少なくとも20重量%含有する、水と溶媒の混合液 中における、各種単量体もしくは重合体の溶液、乳濁液および懸濁液を意味する ための用語である。従って、慣用のすべての乳化重合、懸濁重合は、本発明方法 により行なわれ得る。選定され得る反応条件は、このような重合法に慣用の諸条 件および、例えばホウベン、ワイルの「メトーデン、オルガニッシェン、ヘミー 」E20巻、218頁以降、「ウルマンス、エンツィクロペディー、デル、テヒ ニッシェン、ヘミー」第4版、19巻、132頁以降およびこれらに引用されて いる諸文献に記載されている諸条件である。 本発明方法において、二級アミンのN−オキシル化合物は、重合反応の間、反 応混合物中に存在する。このようなN−オキシル化合物の使用は、種々の態様で 行なわれ得る。 N−オキシル化合物は、重合反応混合物に添加されるのが有利であるが、早期 重合をもたらさないように、あらかじめ単量体中に存在させることもできる。 重合反応混合物中におけるN−オキシル化合物の量割合は、重合速度にほとん ど影響を及ぼさないようになされるべきである。重合のN−オキシル化合物に対 する感受性は、種々のパラメータ、ことに単量体の性質、N−オキシル化合物の 構造、温度、反応混合物中に存在するべきフリーラジカル開始剤、フリーラジカ ル捕捉剤などに依存する。しかしながら、好ましい量割合は、所定の重合反応条 件下における事前の数回の実験で決定され得る。 重合反応混合物中のN−オキシル化合物の量割合は、0.5から50ppm、 ことに1から20ppm、なかんずく2から10ppm(1ppm=単量体全量 に対するN−オキシル化合物の10-6重量部)の範囲に在るのが有利であること が見出された。この量割合において、堆積物形成は、反応速度に実質的な影響を 及ぼすことなく、一般的に完全に防止され得る。 N−オキシル化合物を重合反応混合物に添加するほかに、変形実施態様として 、反応器に重合反応混合物を装填する前に、N−オキシル化合物溶液で、反応器 壁面を湿潤させるのがことに適当であることが実証されている。 この湿潤処理は、反応器壁面および反応器内のその他の部分、例えば撹拌器に 、N−オキシル化合物溶液を噴霧することにより簡単かつ効果的に行なわれ得る 。N−オキシル化合物は、大部分が、水に難溶性であるが、メタノール、エタノ ール、プロパノール、アセトン、エチルアセタート、ジメチルホルムアミドなど の有機溶媒にはほとんど溶解する。多くのN−オキシル化合物にことに適する溶 媒はメタノールである。噴霧溶液中におけるN−オキシル化合物の濃度は臨界的 ではなく、溶液全量に対して0.01から1重量%が適当である。 反応器壁面の湿潤は、噴霧溶液と同様の溶液を容器に充満させ、次いでこれを 排出することによっても行なわれ得る。 N−オキシル化合物溶液による反応器壁面湿潤処理の利点は、重合反応混合物 へのその添加以上に、重合速度に対する影響が極端に低く、液面より上方の部分 、ことに堆積物が一般的に形成される液面直上部分における堆積物形成防止効果 をも有することである。 これら両形態の使用方法を併用するのも有利であって、この場合、重合材料溶 液への直接添加量は極めて少量で充分である。 本発明方法において使用するのに適当なN−オキシル化合物は、下式 で表わされ、かつ式中の複数のRが、相互に同じでも異なってもよく、それぞれ アルキル、シクロアルキル、アルキルまたはアリールを意味するか、あるいはそ の一対が合体して環を形成し、Yが5員または6員の環を形成するに必要な基を 意味する場合の化合物である。さらに具体的には、RはC1−C10、ことにC1 −C8アルキル、C5−もしくはC6−シクロアルキル、ベンジルまたはフェニル である。Yは、例えばアルキレン基−(CH22−または−(CH23−である 。 また下式 で表わされる構造を有し、芳香族環が1から3個の内部置換基、例えばC1−C4 アルキル、C1−C4アルコキシまたはシアノを持っていてもよいN−オキシル化 合物も適当である。 アミンとしては、環中にさらに他のヘテロ原子、例えば水素、酸素または硫黄 を持っていてもよい、ピペリジン化合物またはピロリドン化合物のような環式ア ミンの立体障害アミン誘導体(上記ヘテロ原子は立体障害アミンの窒素原子に隣 接しない)を使用するのが好ましい。立体障害はアミン窒素に隣接する両位置に おける置換基(好ましい置換基はα−CH2基の4個の全水素原子を置換する炭 化水素基である)によりもたらされる。この置換基として好ましいのは、フェニ ル、C3−C6シクロアルキル、ベンジル、ことにC1−C6アルキルであって、こ の場合、同じα−炭素に結合されているアルキル基は、相互に結合されて5員ま たは6員環を形成してもよい。ことに好ましい基は、以下においてR1、R2につ き記述される基である。立体障害アミンのN−オキシル化合物として好ましいの は、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジンである。 本発明において使用される好ましいN−オキシル化合物は、下式Iで表わされ、 R1、R2が、それぞれC1−C4アルキルまたはフェニルを意味するか、あるい はこれらに結合されている炭素原子と共に5員または6員の飽和炭化水素環基を 形成し、 R3が水素、ヒドロキシル、アミノ、SO3H、SO3M、PO32、PO3HM 、PO32(Mはアルカリ金属である)、有機珪素、または酸素ないし窒素を介 して結合されるm価の有機基を意味するか、あるいはR4と合体して、酸素また はR4につき下記する環状構造を形成し、 R4が水素、C1−C12アルキルを意味するか、あるいは上記R3と共に酸素、 またはR3と合体して酸素を形成するか、またはR3およびこれらに結合されてい る炭素と共に、以下の構造 を形成し、R3とR4が合体して1個の基を形成する場合にはmは1であり、 R5が水素、C1−C12アルキルまたは−(CH2z−COOR6を意味し、 R6が相互に同じでも異なってもよく、それぞれC1−C18アルキルを意味し、 kが0または1、 z、pが1から12、 mが1から100の数値をそれぞれ意味する場合の化合物である。 R1、R2は、具体的にはメチル、エチル、プロピル、ブチルを意味するか、あ るいは両者合体してテトラもしくはペンタメチレン基を形成し得る。R1、R2は メチルであるのが好ましい。 R4は、例えば水素、上述のC1−C4アルキル、さらにはペンチル、s−ペン チル、t−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、ヘプチル 、2−メチルヘキシル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル 、2−メチルノニル、イソノニル、2−メチルオクチル、デシル、イソデシル、 2−メチルノニル、ウンデシル、イソウンデシル、ドデシル、イソドデシル(イ ソオクチル、イソノニル、イソデシルなる名称は通称であって、オキソ合成によ り得られるカルボニルからの誘導体、「ウルマンス、エンサイクロピーディア、 オブ、インダストリアル、ケミストリー」第5版、A1巻、290−293頁、 同A10巻、284−285頁参照)を意味するのが適当である。 pは6−12、ことに9を意味するのが好ましく、zは1−4、ことに2を意 味するのが好ましい。 R5は、水素以外には、例えば上述したC1−C12アルキルを意味するのが適当 であり、ことに水素、C1−C4アルキル、(CH2z−COO(C1−C6アルキ ル)、なかんずく、−CH2−CH2−COO(CH211−CH3および−CH2 −CH2−COO(CH213−CH3を意味するのが好ましい。 R6は、上述C1−C12アルキルのほかに、トリデシル、イソトリデシル、ペン タデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルを意味し得る。 R3は例えば以下のようなm価の基を意味するのが好ましい。 ただし、式中の R7はC1−C12アルキルまたは−(CH2z−COOR6を、 R8は水素またはC1−C18アルキルを、 R9はC1−C18アルキル、ビニル、またはイソプロペニルを、 R10はC8−C22アルキルを、 R11は水素または頭初単量体のフリーラジカル重合において通常形成されるよ うな有機基をそれぞれ意味し、 kは0または1、 xは1から12、 nは偶数mを意味する。 R3がこれらのいずれかの基を意味する場合には、R4は水素であるのが好まし い。この場合にはmは1から100の数値を意味するが、ことに1、2、3、4 または10から50であるのが好ましい。ことにオリゴマーもしくはポリマー基 の場合には、混合物を使用するのが好ましい。 R7として適当であるのは、R5について上述したと同様であるが、C1−C4ア ルキルを意味するのが好ましい。 R8は水素以外に適当であるのは、R8について上述したと同様であるが、水素 を意味するのが好ましい。 R9としては、ビニル、イソプロペニル、C15−C17アルキルがことに適当で ある。 R10として適当であるのは、上述のC8−C18アルキル、さらにはノナデシル 、アイコシル、ウンアイコシル、ドアイコシルである。ことに好ましいのは、炭 素連鎖長さの異なる、複数種類のR10の混合物の場合である。 R11は、上述したように、水素または頭初単量体、この場合、エチレン誘導体 、マレインイミド誘導体のフリーラジカル重合において通常形成されるような有 機基、換言すれば、重合開始剤から形成される基、あるいは中間生成物として生 成する遊離基から形成される基、さらには、この分野の技術者に周知のこのよう な基である。 本発明においては、また下式Iaで表わされるN−オキシル化合物を使用するのも有利である。 式中のR1、R2はN−オキシル化合物Iについて前述した意味を有するが、 R12は炭素、酸素または窒素を介して結合されるm’価の基、 R13は水素、C1−C12アルキルまたはC1−C12アルコキシを意味するか、あ るいはR12と合体して、炭素または酸素を介して、化合結合により、これら両者 に結合されている炭素に結合されるm’価の基を形成し、あるいはR12およびR12 、R13に結合されている炭素と合体して、不飽和の3から6員同素環または複 素環(この場合m’は1である)を形成し、 m’は1、2または3を意味する。 適当なm’価の基R12は、C1−C4アルキル、非置換フェニル、または1から 3個のC1−C4アルキル置換基を有するフェニル基である。これらの基のピペリ ジン環への結合は、酸素、NH基またはN(C1−C4アルキル)基を介して行な われ得る。 適当な基R12の例は以下に示される(線は自由原子価を表わす)。 基R13であってもよいC1−C12アルキルおよびC1−C12アルコキシについて は、R4に関してすでに例示した。R12、R13は、また合体して、炭素または窒 素を介して、化学的結合により、これら両者に結合されている炭素(ピペリジン 環の4−位における炭素)に結合されるm’価の基を形成する。このようなm’ 価の基の例を下記に示す(線は自由原子価を表わす)。 12とR13は、さらにこれら結合されている炭素原子と共に、3員から7員の 同素環または複素環を形成し得る。 このような環を下記に例示する。 上述した式中のR14は、相互に同じでも異なってもよく、それぞれ、水素、C1 −C12アルキル、非置換フェニル、1から4個のC1−C4アルキル置換基を持 っている置換フェニルを意味する。C1−C12アルキルおよびフェニル環の 置換基としてのC1−C4アルキルについては、具体例につき前述した。上述式中 のk’は0、1または2を意味する。式中のC*は環中に組込まれているピペリ ジンの4−位炭素を意味する。 その他の好ましいニトロキシル(N−オキシル)化合物は、以下に列記される 。すなわち、 1−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、 1−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール、 1−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン、 1−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−アセター ト、 1−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル 2−エチ ルヘキサノアート、 1−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル ステアラ ート、 1−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル ベンゾア ート、 1−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル 4−t− ブチルベンゾアート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) スクシアート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) アジパート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) セバカート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) n−ブチルマロナート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) フタラート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) イソフタラート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) テレフタラート、 ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) ヘキサヒドロテレフタラート、 N,N’−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン− 4−イル)アジパミド、 N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) カプロラクタム、 N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル) ドデシルスクシンイミド、 2,4,6−トリス[N−ブチル−N−(1−オキシル−2,2,6,6−テ トラメチルピペリジン−4−イル)]s−トリアジン、 4,4’−エチレンビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペ ラジン−3−オン)および トリス(2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシピペリジン−4−イル) ホスファイトである。 本発明方法においては、N−オキシル化合物として、ことにN,N’−ビス( 1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N ’−ビス−ホルミル−1,6−ジアミノヘキサンを使用するのが有利である。 上述した各種のN−オキシル化合物は、対応するピペリジン化合物から出発し て、これを例えば過酸化水素で酸化することにより製造され得る。この酸化に関 する詳細は、例えば独国旧特願19510184.7号明細書に記載されている 。ピペリジン化合物のような、α−炭素において水素原子を持たない二級アミン およびその製法は周知に属する。 実施例1−3 31容積のオートクレーブに、1300gの水、10.5gの4重量%濃度ポ リビニルアルコール(鹸化度88%)溶液、0.34gの40重量%濃度ポリビ ニルアルコール(鹸化度47%)溶液、11.65gの3重量%濃度ヒドロキシ メチルプロピルセルロース溶液、0.56gのt−ブチル ペルネオデカノアー ト、1.75gのナトリウム トリホスファート、および種に異なる量(下表を 見よ)のN,N’−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリ ジ−4−イル)−N,N’−ビスホルミル−1,6−ジアミノヘキサンを装填し た。次いでオートクレーブを閉鎖し、窒素を充填し、洩漏の点検をし、放圧した 。次いで700gの塩化ビニルを給送し、オートクレーブを55℃に加熱し、圧 力が4バール降下するまで重合を継続し、次いでオートクレーブを放圧、開放し た。結果を下表に示す。 実施例4 メタノールにN,N’−ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル ピペリジン−4−イル)−N,N’−ビスホルミル−1,6−ジアミノヘキサン を溶解させた0.1%濃度溶液を、オートクレーブの内壁表面に均斉に噴霧し、 室温で乾燥させた。次いでオートクレーブに、重合反応混合物を装填し、実施例 1−3に記載されたように、正確に、N,N’−ビス(1−オキシル−2,2, 6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N’−ビスホルミル−1, 6−ジアミノヘキサン重合反応混合物を添加することなく、重合反応させた。結 果を下表に示す。 対比例 オートクレーブに同様に重合反応材料を装填し、実施例4に記載されているの と同様に正確に、ただしオートクレーブ内壁表面への噴霧を行なうことなく、重 合反応させた。結果を下表に示す。 N,N’−ビス−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン −4−イル)−N,N’−ビスホルミル−1,6−ジアミノヘキサン溶液を 噴霧請求の範囲 1.ビニル単量体の水性相重合の間の反応器内壁表面上への重合体堆積を阻止 するために、α−炭素において水素原子を持たない二級アミンN−オキシル化合 物を、単量体に対して2から50ppmの量で使用することを特徴とする、上記 N−オキシル化合物の用途。 2.N−オキシル化合物を、重合反応混合物に添加することを特徴とする、請 求項1の用途。 3.重合反応混合物を反応器に装填する前に、反応器内壁表面を、N−オキシ ル化合物溶液で湿潤させることを特徴とする、請求項1の用途。 4.必要に応じて、発泡剤の存在下に、スチレンを、単独で、または他のコモ ノマーと共に重合させる場合の、請求項1から3のいずれかの用途。 5.塩化ビニルを重合させる場合の、請求項1から3のいずれかの用途。 6.使用される上記N−オキシル化合物が、以下の一般式I で表わされ、かつ R1、R2が、C1−C4アルキルまたはフェニルを意味するか、あるいはこれら が、これらに結合されている炭素と共に5員もしくは6員の飽和炭化水素環を形 成し、 R3が水素、ヒドロキシル、アミノ、SO3H、SO3M、PO32、PO3HM 、PO32、有機珪素基または酸素もしくは窒素を介して結合されているm価有 機基を意味するか、あるいはR4と共に酸素または下記R4で定義される環状構造 を形成し(Mはアルカリ金属である)、 R4が水素またはC1−C12アルキル基を意味するか、またはR3と共に酸素 あるいはR3およびこれらに結合されている炭素と共に、以下の環構造(R3、R4が合体して基を形成する場合、mは1である)を形成し、 R5が水素、C1−C12アルキルまたは−(CH2z−COOR6を意味し、 R6が、相互に同じでも異なってもよく、それぞれC1−C18アルキルを意味し 、 kが0または1、 z、pが1から12、 mが1から100の数値をそれぞれ意味する場合の化合物であることを特徴と する、請求項1から5のいずれかの用途。 7.式IのR3 で表わされ、かつ式中の R7がC1−C12アルキルまたは−(CH2z−COOR6を、 R8が水素またはC1−C18アルキルを、 R9がC1−C18アルキル、ビニルまたはイソプロペニルを、 R10がC8−C22アルキルを、 R11が水素または頭初単量体のフリーラジカル重合において通常形成されるよ うな有機基を、 kが0または1を、 xが1から12を、 nが偶数mをそれぞれ意味する場合の基であることを特徴とする、請求項6の 用途。 8.上記N−オキシル化合物として、N,N’−ビス(1−オキシル−2,2 ,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N’−ビス ホルミル− 1,6−ジアミノヘキサンを使用することを特徴とする、請求項1から7のいず れかの用途。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AU ,BG,BR,BY,CA,CN,CZ,GE,HU, IL,JP,KR,KZ,LT,LV,MX,NO,N Z,PL,RO,RU,SG,SI,SK,TR,UA ,US (72)発明者 ツビラー,ユルゲン ドイツ国、D―67655、カイゼルスラウテ ルン、ヘルツォーク―フォン―ヴァイマル ―シュトラーセ、19 (72)発明者 アウミュラー,アレクサンダー ドイツ国、D―67435、ノイシュタット、 リース リングヴェーク、25

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.反応器内壁表面における堆積物の形成を防止するために、α−炭素におい て水素原子を持たない、少なくとも一種類の二級アミンN−オキシル化合物の存 在下に重合を行なうことを特徴とする、ビニル単量体の水性相重合方法。 2.上記N−オキシル化合物を、重合反応混合物に添加することを特徴とする 、請求項1の方法。 3.上記N−オキシル化合物を、0.5から50ppmの濃度で、重合反応混 合物に添加することを特徴とする、請求項1または2の方法。 4.重合反応容器に重合反応混合物を装填する前に、上記N−オキシル化合物 の溶液で、反応器内壁表面を湿潤処理することを特徴とする、請求項1の方法。 5.必要に応じて、発泡剤の存在下に、スチレンを、単独で、または他のコモ ノマーと共に重合させることを特徴とする、請求項1から4のいずれかの方法。 6.塩化ビニルを重合させることを特徴とする、請求項1から4のいずれかの 方法。 7.使用される上記N−オキシル化合物が、以下の一般式I で表わされ、かつ R1、R2が、C1−C4アルキルまたはフェニルを意味するか、あるいはこれら が、これらに結合されている炭素と共に5員もしくは6員の飽和炭化水素環を形 成し、 R3が水素、ヒドロキシル、アミノ、SO3H、SO3M、PO32、PO3HM 、PO32、有機珪素基または酸素もしくは窒素を介して結合されているm価有 機基を意味するか、あるいはR4と共に酸素または下記R4で定義 される環状構造を形成し(Mはアルカリ金属である)、 R4が水素またはC1−C12アルキル基を意味するか、あるいはR3と共に酸素 を、またはR3およびこれらに結合されている炭素と共に、以下の環構造 (R3、R4が合体して基を形成する場合、mは1である)を形成し、 R5が水素、C1−C12アルキルまたは−(CH2z−COOR6を意味し、 R6が、相互に同じでも異なってもよく、それぞれC1−C18アルキルを意味し 、 kが0または1、 z、pが1から12、 mが1から100の数値をそれぞれ意味する場合の化合物であることを特徴と する、請求項1から6のいずれかの方法。 8.式IのR3が以下の式 で表わされ、かつ式中の R7がC1−C12アルキルまたは−(CH2z−COOR6を、 R8が水素またはC1−C18アルキルを、 R9がC1−C18アルキル、ビニルまたはイソプロペニルを、 R10がC8−C22アルキルを、 R11が水素または頭初単量体のフリーラジカル重合において通常形成されるよ うな有機基を、 kが0または1を、 xが1から12を、 nが偶数mをそれぞれ意味する場合の基であることを特徴とする、請求項7の 方法。 9.上記N−オキシル化合物として、N,N’−ビス(1−オキシル−2,2 ,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−N,N’−ビス ホルミル− 1,6−ジアミノヘキサンを使用することを特徴とする、請求項1から8のいず れかの方法。 10.α−炭素において水素原子を持たない、二級アミンN−オキシル化合物 の、ビニル単量体の水性相重合の間における反応器内壁表面における堆積物形成 を防止するための用途。
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