JP3790456B2 - カゼインを含有しないクリームチーズ様製品の製造方法 - Google Patents

カゼインを含有しないクリームチーズ様製品の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チーズ様製品およびその製造方法を対象とする。より詳細には、本発明は、実質的にカゼインを含まず、エマルジョンをベースとした無凝乳および無乳清(カードおよびホエーを生成しない)方法を用いて製造されるクリームチーズ様製品を対象とする。
【0002】
【従来の技術】
天然チーズは、乳糖を代謝して乳酸を生産し、酸性を発現することのできる微生物をミルクに添加することによって一般に製造される。ミルクは通常、レンネットのような凝乳酵素で、または蛋白質の等電点に酸性を発現することによって凝固する。凝固したミルクを分けると、生成したカードからホエーが分離し、回収される。カードを圧搾してチーズ塊を形成し、その際、制御条件下で、暫くの時間をかけて硬化が一般に起こる。ミルクの動物脂肪の少なくとも一部を植物油で置換することによって、および/またはミルクのカゼインの少なくとも一部を植物蛋白質で置換することによって、天然チーズの風味と濃厚の特性を有する製品が製造されてきた。このようなチーズは、一般に「アナログチーズ」と呼称される。
【0003】
カゼインは、天然チーズ製品を製造するための必須蛋白質成分と一般に見なされてきた。風味と機能性のために、カゼインおよびカゼイン酸ナトリウムなどのカゼイネートは、カゼインをチーズ、チーズ製品、ホイップトッピング、コーヒー用クリーム代用品などの食品の中で最も汎用される蛋白源の1つとなっている。その結果、カゼインおよびカゼイネートに対する需要とコストとの両方が増大している。さらに、チーズ製造の副産物としてのホエーの生成は、一般に十分に利用しきれないホエー蛋白源を生み出すことになる。その上、チーズ製品を製造するために、大豆蛋白、とりわけ単離大豆蛋白などの植物性蛋白質を使用することによって、蛋白源について、特にカゼインと比較したとき、チーズ様製品に向けた豊富で安価な蛋白源が提供されることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、非カゼイン蛋白質(即ち、代用蛋白質)を用いて、許容し得る質感および堅さを有するチーズ様製品を製造するための連続的方法を提供することが望ましいであろう。また、カードおよびホエーのどちらも生成しないような方法を提供することも望ましいであろう。また、連続法であって、他の食品製造法において一般に十分に利用されていない副産物を安価な出発物質として使用する、エマルジョンをベースとした、本質的にカゼインを含有しない連続的方法を提供することも望ましいであろう。また、実質的にカゼインを含有しない代用蛋白質からチーズ様製品を提供することも望ましいであろう。その方法が、カードおよびホエーのいずれも生成することなくチーズ様製品を製造するものであることも望ましいであろう。また、非カゼイン蛋白源を利用して、チーズ様製品を製造する連続的方法を提供することも望ましいであろう。本発明は、それらの技術的進歩、および以下の明細書を参照することによって認められる他の利点を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、非カゼイン蛋白質(即ち、カゼインを含有しない代用蛋白質)をカゼイン蛋白質の代用とし、重要な形態では、チーズ様製品において実質的に完全にカゼインの代用とするチーズ様製品を提供する。また、本発明は、ホエーを生産しないが、ホエー蛋白質を利用することができる方法を提供する。本発明は、カードを生成しない、単独でエマルジョンをベースとした無凝乳法も提供する。本発明は、連続的方法も提供する。本発明は、高圧均質化と熱処理とを併用することによって乳濁能力を増強または拡張し、かつ不可逆的に熱変性した蛋白質マトリックスにより安定化されたエマルジョンを形成する方法も提供する。本発明は、エマルジョン系内の蛋白質を変性した後、その系を酸性化する方法も提供する。
【0006】
本発明の方法は、質感を作り上げるためにミルクカゼインを必要としない。したがって、従来のクリームチーズと同様な質感(即ち、堅さと滑らかさ)を有するカゼインを含有しないクリームチーズ様製品を生産するために、蛋白源として他の食品蛋白質(例えば、ホエー蛋白質、大豆蛋白質、およびそれらの組み合わせ)を使用してもよい。重要な形態では、本発明の方法は大豆をベースとしたクリームチーズ様製品を生産する。非常に重要な形態では、本発明の方法は、大豆系蛋白質を実質的に完全にカゼインの代用としている。他の重要な形態では、本発明の方法は、カゼインの代わりにホエー蛋白質を利用する。さらに非常に重要な形態では、本発明の方法は、ホエー蛋白質を実質的に完全にカゼインの代用としている。本発明のさらに他の利点は、(1)調製物中にカゼインを必要としないことによる生産性の顕著な節約、(2)副産物の酸性ホエーの処理法を削除することによる大きな経費節減、(3)処理時間を短縮し簡潔化した方法、および(4)最終製品の最小限のシネレシスを含む。重要な点として、唯一の蛋白源として大豆蛋白を用いる本発明により調製される製品は、約20時間までの間、室温で本質的にシネレシスを示さない。
【0007】
本発明は、実質的にカゼインを含有しないチーズ様製品を含む。また、本発明は、実質的にカゼインを含有しないクリームチーズ様製品を製造するのに有効な方法であって、(1)ミルクカゼイン以外の蛋白質、(2)バター脂肪、他の食品用脂肪などの溶融脂肪、および(3)華氏約120度から華氏約170度(約49℃から約77℃)の水を混合することによって、混合物を形成する工程と、得られた混合物に第1の均質化を施すことによって、蛋白質マトリックス安定化エマルジョン系を形成する工程と、
得られた蛋白質マトリックス安定化エマルジョン系を、蛋白質を変性させるのに有効な温度および時間にわたって加熱することによって、変性蛋白質マトリックス安定化エマルジョンを形成する工程と、
得られた変性蛋白質マトリックス安定化エマルジョンのpHを約4.0から約6.0に調節する工程と、
pHを調節して得られたエマルジョンに第2の均質化を施すことによって、クリームチーズ様製品を形成する工程と、
得られたクリームチーズ様製品を容器詰めする工程
とを有する方法も含む。安定化剤(例えば、ガム)、他の乳化剤、塩類、着色剤、フレーバリングなどの任意選択的な成分を、混合物またはエマルジョン(即ち、第1または第2の均質化段階の前)に添加することができる。
【0008】
重要な形態では、第1の均質化は二段階ホモジナイザー中で実施し、その第1段階は少なくとも約1000psi(6.89MPa)、一般には約1000から約5000psi(約6.89から約34.5MPa)であり、その第2段階は少なくとも約300psi(約2.07MPa)、一般には約300から約1000psi(約2.07から約6.89MPa)であるのが好ましい。
【0009】
他の重要な形態では、蛋白質マトリックス安定化エマルジョン系を少なくとも華氏約155度(約68℃)に少なくとも約5分間、一般には華氏約155度から華氏約195度(約68℃から約91℃)に約5分から約80分間にわたって加熱することによって、蛋白質を変性させる。
【0010】
他の重要な形態では、変性蛋白質マトリックス安定化エマルジョンのpHは、変性段階の間または後で約pH4.0から約6.0の所望の酸性度に、食品用酸を用いて調節される。
【0011】
他の重要な形態では、pHを調節したエマルジョンの第2の均質化も二段階ホモジナイザー中で実施し、その第1段階は少なくとも約1500psi(約10.3MPa)、一般には約3000から約6000psi(約20.7から約41.4MPa)であり、その第2段階は少なくとも約300psi(約2.07MPa)、一般には約300から約1000psi(約2.07から約6.89MPa)であるのが好ましい。
【0012】
最後に、他の重要な形態では、容器詰めをホットパッケージ技術により実施し、高温で容器詰めしたクリームチーズ様製品を冷蔵温度まで冷却する。好ましくは、ホットパッケージに向けたクリームチーズ様製品の温度は、華氏約120度から華氏約170度(約49℃から約77℃)である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本明細書で使用する場合、「カゼイン」とは、ミルク中に存在するか、または酸によってミルクから沈殿されている(酸カゼイン)か、またはレンネットによってミルクから沈殿されている(レンネットカゼイン)かしている、ポリペプチドまたは蛋白質の混合物を意味する。ミルク、酸カゼインおよびレンネットカゼインにおけるポリペプチドまたは蛋白質の個々の配合物は異なるが、それらは一般にαS1−カゼイン、αS2−カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼイン、およびそれらの遺伝的変異体を含んでいる。レンネットカゼインの場合、κ−カゼインの一部がレンネット処理の間に加水分解されてしまう。
【0014】
「実質的にカゼインを含有しない」とは、最終的なクリームチーズ様製品が、約1パーセント未満、より好ましくは約0.5パーセント未満のカゼインおよび/またはカゼイネートを有することを意味する。「無凝乳法」とは、カードおよびホエーの生産が回避される方法を意味することを意図している。したがって、このような無凝乳法はホエーの分離段階を全く必要としない。「単離大豆蛋白」とは、大豆から得た少なくとも約90パーセントの蛋白質を有する、大豆から単離した物質を意味する。
【0015】
本発明の目的のために、「蛋白質マトリックス安定化エマルジョン系」とは、蛋白質マトリックスによって安定化され、マトリックス内に水分子を捕捉している(即ち、連続相が蛋白質マトリックスおよび水を含む)エマルジョン系を指す。本発明の目的のために、「変性蛋白質マトリックス安定化エマルジョン」とは、変性蛋白質を含み、蛋白質マトリックスによって安定化され、マトリックス内に水分子を捕捉している(即ち、連続相が蛋白質マトリックスおよび水を含む)エマルジョン系を意味する。このようなマトリックス安定化系の蛋白質濃度は、従来の蛋白質安定化エマルジョン系よりも一般に高い。従来のエマルジョン系では、蛋白質は主に界面に吸収され、水が一部の可溶化蛋白質と共に連続相を形成する。したがって、このような従来のエマルジョン系の安定性は制限される。なぜならば、連続相中の水分子の運動がエマルジョン系を不安定化および/または破壊する傾向を示すと考えられるからである。
【0016】
本発明の方法によれば、非カゼイン蛋白質を、熱水(例えば、華氏約120度から華氏約170度(約49℃から約77℃))および溶融脂肪(好ましくはバター脂肪)と混合する。次いで、生成した混合物にせん断力を掛けることによって、粗製のエマルジョンを形成する。一般に、混合は、華氏約120度から華氏約170度(約49℃から約77℃)の温度で実施する。一般に、混合物は、約3から約12パーセントの非カゼイン蛋白質、約5から約35パーセントの脂肪、約40から約80パーセントの水で形成される。より好ましくは、混合物は、約4から約10パーセントの非カゼイン蛋白質、約15から約30パーセントの脂肪、約45から約65パーセントの水で形成される。適当な非カゼイン蛋白質は、ホエー蛋白、大豆蛋白、他の豆類蛋白、卵蛋白、動物蛋白およびその混合物を含み、一般に、ホエー蛋白および大豆蛋白が好ましい。適当な脂肪は、バター脂肪および大豆油、ピーナッツ油などの他の食用脂肪を含むが、そのような脂肪の混合物も使用することができる。非カゼイン蛋白質は、所望のエマルジョンを形成する際の乳化剤として作用することができる。追加の乳化剤は必要ではないが、所望であればそれらを使用することができる。適当な乳化剤は、例えばリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウムなどを含む。このような乳化剤を、第1および/または第2の均質化段階の前に添加することができる。
【0017】
次に、混合物に第1の均質化を実施することによって、精細なエマルジョンを形成する。一般に、このエマルジョンは約1から約100ミクロン、より好ましくは約1から約20ミクロンの範囲に平均粒度を有する。第1の均質化を二段階ホモジナイザー中で実施し、その第1段階は約1000から約5000psi(約6.89から約34.5MPa)であり、その第2段階は約300から約1000psi(約2.07から約6.89MPa)であるのが好ましい。蛋白質マトリックス安定化エマルジョン系は、第1の均質化で形成される。その後、蛋白質を変性させるのに有効な温度および有効な時間にわたって、蛋白質マトリックス安定化エマルジョン系を加熱する。一般に、温度は少なくとも華氏約155度(約68℃)で、重要な形態では、華氏約155度から華氏約195度(約68℃から約91℃)である。本発明の目的のために、「蛋白質を変性させる」とは、蛋白質マトリックス安定化エマルジョン系に含まれる蛋白質の少なくとも80パーセント、より好ましくは少なくとも90パーセントが変性されることを意味するものである。次いで、変性エマルジョンのpHを、乳酸、クエン酸、食用酢などの食用酸で約4から約6の間に調節する。pHを調節したエマルジョンに第2の均質化を施すことによって、クリームチーズ様製品を形成する。好ましくは、第2の均質化を二段階ホモジナイザー中で実施し、その第1段階は約1500から約6000psi(約10.3から約41.4MPa)であり、その第2段階は約300から1000psi(約2.07から6.89MPa)である。クリームチーズ様製品を従来の技術を用いて容器詰めし、次いで冷蔵温度(即ち、約35から約45℃)まで冷却する。好ましくは、クリームチーズ様製品を華氏約120から約170度(約49から約77℃)の温度で適当な容器(例えば、小型食品容器)中に高温で詰め、次いで冷蔵温度まで冷却する。
【0018】
本発明のクリームチーズ様製品は、例えば塩、乳化剤、安定化剤、ガム、着色剤、フレーバリング、香辛料などの追加成分を含んでもよい。適当な乳化剤は、例えばリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウムなどを含む。適当なガムは、例えばローカストビーンガム、カラゲニンガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースなどを含む。一般にこのような任意選択的な成分を使用する場合、その量は約2パーセント未満である。一般に、このような任意選択的な成分を、第1の均質化前の混合物、または第2の均質化前のエマルジョンに添加することができる。一般に、このような任意選択的な成分を第2の均質化前のエマルジョンに添加することが好ましい。
【0019】
本発明を例示するために以下の実施例を提供するが、本発明を制限するためではない。他に示さない限り、全てのパーセンテージおよび比は重量を基準とするものである。
【0020】
(実施例1)
この実施例は100パーセントホエー蛋白をベースとしたクリームチーズの調製を例示し、ホエー蛋白変性の製品質感に対する効果を示す。以下のような方法を使用した。
【0021】
(1)1.4kgのホエー蛋白(WPC AMPC800)を、13.2kgの熱水(華氏約160度(約71℃))および4.0kgの溶融した無水バター脂肪と混合し、
(2)得られた混合物を二段階ホモジナイザーで均質化(第1段階を3000psi(20.7MPa)で、第2段階を500psi(3.45MPa)で実施)し、
(3)得られた均質化混合物を華氏160度(71℃)(表1の試料A)または華氏170度(77℃)(表1の試料B)まで加熱し、約30分間保持し、
(4)得られた加熱混合物に90gの乳酸(88%)を添加することによって、pHを5.0より低く調節し、
(5)NaCl(40g)およびキサンタンガム(40g)を添加し、次いで混合し(所望であれば、この時点にフレーバリングおよび/または他の任意選択的な成分を添加することができる)、
(6)得られた試料を、二段階ホモジナイザーを用いて均質化(第1段階を4000psi(27.6MPa)で、第2段階を500psi(3.45MPa)で実施)し、
(7)得られた均質化試料をカップの中に高温で詰め、封入し、
(8)高温でカップに詰めた試料を華氏40度(4.4℃)で貯蔵する。
【0022】
次の表1に要約したように、2つの試料を調製した。
【0023】
【表1】
Figure 0003790456
【0024】
これらの実験の結果を表2に要約する。ホエー蛋白は従来のクリームチーズ生産の副産物であるが、開発された本発明の技術にホエー蛋白を使用することにより、クリームチーズ様製品を生産することができる。実験設計によれば、最終的クリームチーズ製品に対する目標組成は、蛋白質6.0パーセント、脂肪22パーセント、および水分68パーセントであった。全般的に見て、試料Aおよび試料Bの両方で、3000Paより高い冷時粘度および平滑な質感を有している。試料Bの実際の水分は69.8パーセント(目標値より約1.8パーセント高い)である。しかし、試料Bの粘度は試料Aよりはるかに高い。このことは、加熱条件が製品質感にとって重要であることを示唆する。熱変性ホエー蛋白(特にβ−ラクトグロブリン分子)は分子間ジスルフィド結合(架橋)を形成することが可能であるため、加熱条件を十分に制御すべきである。
【0025】
本発明は、従来方法ではクリームチーズ製品の質感にカゼインが寄与しているが、他の蛋白質もクリームチーズ様質感を形成することができることを示している。
【0026】
【表2】
Figure 0003790456
【0027】
(実施例2)
この実施例は大豆蛋白をベースとしたクリームチーズ様製品の調製を例示する。以下のような手順を使用した。
【0028】
(1)1.362kgの単離大豆蛋白(Supro670,Protein Technology International,セントルイス)、12.7kgの熱水(華氏約160度(約71℃))、および4.1kgの溶融した無水バター脂肪を混合し、
(2)得られた混合物を二段階ホモジナイザーで均質化(第1段階を4000psi(27.6MPa)で、第2段階を500psi(3.45MPa)で実施)し、
(3)得られた均質化試料を華氏180度(82℃)まで加熱し、約20分間保持し、
(4)得られた加熱混合物に100.0gの乳酸(88%)を添加することによって、pHを5.0より低く調節し、
(5)30gのクリームチーズフレーバリングを添加し、混合し、
(6)得られた生成物を3つの部分に分割し、
(7)試料Aを形成するために、第1部分に33.3gのNaClを添加し、混合し、
(8)試料Bを形成するために、33.3gのNaClおよび15.1gのローカストビーンガムを添加し、混合し、
(9)試料Cを形成するために、33.3gのNaClおよび15.1gのカラゲニンガムを添加し、混合し、
(10)試料A、B、Cを、それぞれ二段階ホモジナイザーを用いて均質化(第1段階を5000psi(34.5MPa)で、第2段階を500psi(3.45MPaで実施)し、
(11)各均質化試料をカップの中に高温で詰め、封入し、
(12)高温でカップに詰めた試料を華氏40度(4.4℃)で貯蔵する。
【0029】
試料A、B、およびCの調製に関する詳細を以下の表3に要約する。
【0030】
【表3】
Figure 0003790456
【0031】
その結果を表4に要約する。全般的に見て、優れた製品が得られた。これらの製品は100パーセント大豆蛋白を含んでいた(乳蛋白を含有しない)が、平滑なクリームチーズ様の質感を有していた。設計時の蛋白含量(目標処方値:総大豆蛋白6.3パーセント、脂肪22.5パーセント、水分68パーセント)では、各試料の冷時粘度は1500Paを超えていた。総大豆蛋白の含量を増加させると、製品がもっと堅くなると予想される。ガムの添加で顕著な粘度を生じなかったが、平滑性は増加し、シネレシスが大いに減少した。着色剤を添加しなくても、全体的な色は許容し得るものである。非公式グループによる味覚評価の結果、顕著な豆の風味がなく、質感は滑らかで(特に、ローカストビーンガムを用いた試料Cに対して)、後味や嫌な風味のないことが判明した。
【0032】
製造した全ての試作品のシネレシスは非常に低く、安定な系が十分に確立されていることを示した。ガムを添加しなくても、室温で5時間インキュベーションしている間のシネレシスの割合は、わずかに約2.4パーセントであった。ローカストビーンガムを添加すると、室温で5時間後のシネレシスの割合は本質的に0パーセントであり、優れた質感の安定性を示した。3種の試料の性質を以下の表4に要約する。
【0033】
【表4】
Figure 0003790456
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、非カゼイン蛋白質を用いて、許容し得る質感および堅さを有する実質的にカゼインを含有しないクリームチーズ様製品を提供することが可能となる。また、そのようなクリームチーズ様製品を製造する方法では、カードおよびホエーのいずれも生成されないため、簡便かつ低コストで製品を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を示す概略図である。

Claims (24)

  1. クリームチーズ様製品を製造する方法であって、
    非カゼイン蛋白質、脂肪、および水を混合することによって、混合物を形成する工程と、
    前記混合物に第1の均質化を施すことによって、蛋白質マトリックス安定化エマルジョン系を形成する工程と、
    前記蛋白質マトリックス安定化エマルジョン系を、蛋白質を変性させるのに有効な温度および有効な時間にわたって加熱することによって、変性蛋白質マトリックス安定化エマルジョンを形成する工程と、
    前記変性蛋白質マトリックス安定化エマルジョンのpHを約4から約6に調節する工程と、
    pHを調節したエマルジョンに第2の均質化を施すことによって、クリームチーズ様製品を形成する工程と、
    クリームチーズ様製品を容器詰めする工程
    とを有することを特徴とする方法。
  2. 前記蛋白質マトリックス安定化エマルジョン系を、華氏約155度から華氏約195度(約68℃から約91℃)の温度に約5分から約80分間にわたって加熱することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1の均質化を二段階ホモジナイザー中で実施し、その際、第1段階は約1000から約5000psi(約6.89から約34.5MPa)の圧力下にあり、第2段階は約300から約1000psi(約2.07から約6.89MPa)の圧力下にあることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記第2の均質化を二段階ホモジナイザー中で実施し、その際、第1段階は約1500から約6000psi(約10.3から約41.4MPa)の圧力下にあり、第2段階は約300から1000psi(約2.07から6.89MPa)の圧力下にあることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記クリームチーズ様製品を、ホットパッケージ技術を用いて容器詰めし、次いで冷蔵温度まで冷却することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 実質的にカゼインを含有しないクリームチーズ様製品を製造する方法であって、
    非カゼイン蛋白質、脂肪、および水を混合することによって、水性の蛋白質−脂肪配合物を形成し、その際の非カゼイン蛋白質が大豆蛋白、ホエー蛋白、豆類蛋白、卵蛋白、動物蛋白、またはその混合物である工程と、
    前記水性の蛋白質−脂肪配合物に第1の均質化を施すことによって、蛋白質マトリックス安定化エマルジョンを形成する工程と、
    前記蛋白質マトリックス安定化エマルジョンを、前記非カゼイン蛋白質を変性させるのに十分な温度および時間にわたって加熱することによって、変性蛋白質マトリックス安定化エマルジョンを形成する工程と、
    前記変性蛋白質マトリックス安定化エマルジョンのpHを約4から約6に調節する工程と、
    pHを調節したエマルジョンに第2の均質化を施すことによって、クリームチーズ様製品を形成する工程と、
    前記クリームチーズ様製品を高温で容器詰めする工程と、
    前記クリームチーズ様製品を冷蔵温度まで冷却する工程
    とを有することを特徴とする方法。
  7. 前記蛋白質マトリックス安定化エマルジョンを加熱する温度が華氏約155度から華氏約195度(約68℃から約91℃)であり、前記蛋白質マトリックス安定化エマルジョンを加熱する時間が約5分から約80分であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 前記第1の均質化を二段階ホモジナイザー中で実施し、その際、第1段階は約1000から約5000psi(約6.89から約34.5MPa)の圧力下にあり、第2段階は約300から約1000psi(約2.07から約6.89MPa)の圧力下にあることを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
  9. 前記第2の均質化を二段階ホモジナイザー中で実施し、その際、第1段階は約1500から約6000psi(約10.3から約41.4MPa)の圧力下にあり、第2段階は約300から1000psi(約2.07から6.89MPa)の圧力下にあることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記クリームチーズ様製品が約0.01から約2パーセントのガムを含むことを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記非カゼイン蛋白質が大豆蛋白であることを特徴とする請求項6から10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記非カゼイン蛋白質がホエー蛋白であることを特徴とする請求項6から10のいずれかに記載の方法。
  13. 前記非カゼイン蛋白質が大豆蛋白とホエー蛋白との混合物であることを特徴とする請求項6から10のいずれかに記載の方法。
  14. 前記大豆蛋白が単離大豆蛋白であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  15. 変性非カゼイン蛋白質を含み、実質的にカゼインを含有しないクリームチーズ様製品であって、非カゼイン蛋白質が、ホエー蛋白、大豆蛋白、豆類蛋白、卵蛋白、動物蛋白、およびその混合物から成る群から選択され、
    非カゼイン蛋白質、脂肪、および水を混合することによって、混合物を形成する工程と、
    前記混合物に第1の均質化を施すことによって、蛋白質マトリックス安定化エマルジョン系を形成する工程と、
    前記蛋白質マトリックス安定化エマルジョン系を、蛋白質を変性させるのに有効な温度および有効な時間にわたって加熱することによって、変性蛋白質マトリックス安定化エマルジョンを形成する工程と、
    前記変性蛋白質マトリックス安定化エマルジョンのpHを約4から約6に調節する工程と、
    pHを調節したエマルジョンに第2の均質化を施すことによって、実質的にカゼインを含有しないクリームチーズ様製品を形成する工程と、
    前記実質的にカゼインを含有しないクリームチーズ様製品を容器詰めする工程
    とを含む方法によって調製されることを特徴とする製品。
  16. 前記蛋白質マトリックス安定化エマルジョン系を華氏約155度から華氏約195度(約68℃から約91℃)の温度に約5分から約80分にわたって加熱することを特徴とする請求項15に記載の実質的にカゼインを含有しないクリームチーズ様製品。
  17. 前記第1の均質化を二段階ホモジナイザー中で実施し、その際、第1段階は約1000から約5000psi(約6.89から約34.5MPa)の圧力下にあり、第2段階は約300から約1000psi(約2.07から約6.89MPa)の圧力下にあることを特徴とする請求項15または16に記載の実質的にカゼインを含有しないクリームチーズ様製品。
  18. 前記第2の均質化を二段階ホモジナイザー中で実施し、その際、第1段階は約1500から約6000psi(約10.3から約41.4MPa)の圧力下にあり、第2段階は約300から1000psi(約2.07から6.89MPa)の圧力下にあることを特徴とする請求項15から17のいずれかに記載の実質的にカゼインを含有しないクリームチーズ様製品。
  19. 前記クリームチーズ様製品を、ホットパッケージ技術を用いて容器詰めし、次いで冷蔵温度まで冷却することを特徴とする請求項15から18のいずれかに記載の実質的にカゼインを含有しないクリームチーズ様製品。
  20. 前記非カゼイン蛋白質が、ホエー蛋白、大豆蛋白、豆類蛋白、卵蛋白、動物蛋白、またはその混合物であることを特徴とする請求項15から19のいずれかに記載の実質的にカゼインを含有しないクリームチーズ様製品。
  21. 前記非カゼイン蛋白質がホエー蛋白であることを特徴とする請求項15から19のいずれかに記載の実質的にカゼインを含有しないクリームチーズ様製品。
  22. 前記非カゼイン蛋白質が大豆蛋白であることを特徴とする請求項15から19のいずれかに記載の実質的にカゼインを含有しないクリームチーズ様製品。
  23. 前記実質的にカゼインを含有しないクリームチーズ様製品が約0.01から約2パーセントのガムを含むことを特徴とする請求項15から22のいずれかにに記載の実質的にカゼインを含有しないクリームチーズ様製品。
  24. 前記ガムが、ローカストビーンガム、カラゲニンガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、またはカルボキシメチルセルロースであることを特徴とする請求項23に記載の実質的にカゼインを含有しないクリームチーズ様製品。
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