JP3790453B2 - 藻類を用いたシママンネンタケの効率的な培養方法 - Google Patents
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Description
本発明は、藻類を用いたシママンネンタケ(Gnoderma boninense)の効率的な培養方法および該培養方法を用いて培養したシママンネンタケに関する。
【0002】
【従来の技術】
シママンネンタケは、食用または薬用に供される、担子菌網サルノコシカケ科シママンネンタケ属に属する菌である。その前記用途に関し、特許出願もなされている。
【0003】
例えば、マンネンタケ属の担子菌を培地により人工培養を行う際に、窒素源として、クロレラまたはその抽出物を添加することによって生産される、爽やかな風味を有する飲食物が報告されている(特開昭59−162842号公報)。
【0004】
また、シママンネンタケ培養し、特定の抽出操作などを行うことによって、抗癌性物質である含多糖類物質またはKM−9物質を工業的に大量生産する方法も報告されている(特開昭51−17166号公報、特開昭52−44388号公報)。
【0005】
このように、シママンネンタケを用いた食品の食味の改善、あるいはシママンネンタケからの抽出物の抽出方法などに関しては報告がなされているが、シママンネンタケの培養を効率的に行う方法は見出されていない。そのため、シママンネンタケを用いた食物などの生産効率も、必ずしも十分なものであるとはいえない。
【0006】
スピルリナおよびクロレラなどの藻類は、タンパク質などの栄養分が豊富であるため、その乾燥粉末などが健康食品として利用されている。また、クロレラに関しては、前記の通りシママンネンタケを用いた飲食物の食味改善作用が報告されている。しかしながら、クロレラを含む藻類の、シママンネンタケの成育促進作用に関してはこれまで知見はなく、したがって、藻類を用いたシママンネンタケの効率的な培養方法についても報告はなされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は、シママンネンタケの培養を効率的に行う方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、驚くべきことにスピルリナおよびクロレラのような藻類にシママンネンタケの成育を促進する作用があることを見出し、これらの藻類を成育促進物質として用いることによって、シママンネンタケの効率的な培養が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
したがって、本発明は、シママンネンタケを培養する方法において、培地にスピルリナを添加することによってシママンネンタケの成育を促進することを特徴とする、前記方法に関する。
また、本発明は、スピルリナの添加量が2〜5重量%であることを特徴とする、前記方法に関する。
さらに、本発明は、シママンネンタケの培養における、スピルリナの成育促進物質としての使用に関する。
【0010】
本発明によれば、スピルリナおよびクロレラを始めとする藻類を用いることによってシママンネンタケの培養を極めて効率的に行うことができる。このように、優れた効果を有する本発明は、前記藻類のシママンネンタケの増殖を促進する効果に関する知見を基になされたものである
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明によるシママンネンタケの培養方法においては、該菌種が着生している腐朽植物体の一部、あるいはその植物体上に発生している子実体の組織、または胞子を適当な寒天培地に移植し、適温で数週間培養し、この培養操作をさらに2〜3回繰り返し、雑菌の混入がないことを確認後、これを母菌として液体培地、あるいは固形培地に接種して培養を行う。
【0012】
なお、本発明における液体培地での培養とは、静置、振盪、通気および通気攪拌培養などのことであり、固形培地とは、寒天、ゼラチン、デンプン、おが屑、木材、パルプ、海綿、合成樹脂、ゴム、砂粒などであって、また、これらを組み合わせてもよい。
シママンネンタケを培養するための培地の種類に特に制限はないが、取り扱い易さおよび生産性の面から、液体培地が好適である。
【0013】
本発明における藻類としては、シママンネンタケの成育を促進するものであればいずれも用いることができるが、典型的にはスピルリナ又はクロレラ、とくにスピルリナが好適に用いられる。
本発明における培地は、シママンネンタケの成育に必要な栄養素が含有されていれば、いずれの通常の培地も好適に用いることができる。前記必要な栄養素のうち、炭素源としてはブドウ糖、麦芽糖、乳糖、ショ糖、デンプンおよび廃糖蜜などが挙げられ、窒素源としてはペプトン、肉エキス、酵母エキス、酵母、コーンステイーブリカー、アンモニウム塩類および尿素などの、有機または無機のチッソ含有物が挙げられる。無機塩類としては、リン酸塩、マグネシウム塩、鉄塩、その他の無機塩類が挙げられる、また、成育に必要なビタミン類を必要に応じて添加してもよい。
【0014】
培養の初期pHは約2〜7であり、20〜33℃において2〜20日間の培養を行う。通気攪拌培養を行う場合には、通気量を0.1〜2.0L/L/分、攪拌速度30〜800rpmの範囲で実施される。
藻類の添加量は、培地全体の2〜5重量%の範囲で改変可能であるが、培養の持続性を考慮すると3%が好ましい。
【0015】
本発明におけるシママンネンタケ菌糸体液体培養製造プロセス例の概略は図1に示すとおりである。
【0016】
【実施例】
以下に本発明によるシママンネンタケの培養方法の実施例を示すが、本発明は如何なる場合もこれらに限定されるものではない。
【0017】
スピルリナおよびクロレラの、シママンネンタケ成育促進効果
(1)方法
以下のシード培養の後、ジャー培養を行った。なお、ジャー培養は10L容量のジャーによって、6L規模にて行った。
a)シード培養
培地組成:グルコース 10(g/L)、酵母エキス 1.5(g/L)、KH2PO4 0.5(g/L)、K2HPO4 0.5(g/L)、MgSO4・7H2O 0.25(g/L)
培養条件:培養温度 28℃、振盪速度 150rpm、初期pH 6.0
培養日数:4日間 静置培養、6日間 振盪培養
b)ジャー培養
培地組成:グルコース 30(g/L)、酵母エキス 5(g/L)、KH2PO4 1(g/L)、K2HPO4 1(g/L)、MgSO4・7H2O 0.5(g/L)
【0018】
培養条件:培養温度 28℃、振盪速度 300rpm、通気量 0.5vvm、初期pH 6.0
培養日数:10〜14日間(振盪培養)
前培養と本培養の間に、培養物を3,000rpmにて2分間ホモジナイズした。
なお、スピルリナまたはクロレラ添加区においては、それらの乾燥粉末を、前培養の段階から、培地に30(g/L)添加した。
精製は、培養液サンプルについては、培養液を凍結乾燥し、粉末化することによって行った。また、固形分サンプルについては、培養液を濾過し、得られた固形分を凍結乾燥し、粉末化することによって行った。
各サンプルの重量を計量して粗乾燥物重量(DCW:g/L)を求めることによって、各処理区におけるシママンネンタケの培養量を比較した。
(2)結果
図2に示すように、スピルリナまたはクロレラ添加区においては、全培養期間を通して、これらを無添加区における、シママンネンタケの培養量を明らかに上回った。すなわち、スピルリナおよびクロレラを添加することによって、シママンネンタケの培養量を増加させることができることが明らかになった。
【0019】
【発明の効果】
本発明によるシママンネンタケの培養方法によれば、シママンネンタケの培養量を極めて容易に増加させることができるため、食用または薬用などに用いられるシママンネンタケを効率的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シママンネンタケ菌糸体液体培養製造プロセス例の概略図である。
【図2】スピルリナまたはクロレラの添加によって、シママンネンタケの培養量が増加することを示す図である。
Claims (3)
- シママンネンタケを培養する方法において、培地にスピルリナを添加することによってシママンネンタケの成育を促進することを特徴とする、前記方法。
- スピルリナの添加量が2〜5重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- シママンネンタケの培養における、スピルリナの成育促進物質としての使用。
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