JP3790385B2 - 車両用フレーム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラック,バス等の車両に使用される車両用フレームに関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は、従来の車両のフレーム構造を示すもので、このフレーム構造では、左右方向に間隔を置いて一対の縦フレーム1が配置され、この一対の縦フレーム1が横フレーム2により連結されている。
そして、一対の縦フレーム1には、エアサスペンションを配置するためのサスペンション部3が形成されている。
【0003】
縦フレーム1は、図8に示すように、上面5a、側面5bおよび下面5cを有する断面コ字状のフレーム本体5を有している。
そして、エアサスペンションが配置されるサスペンション部3においては、エアサスペンションを配置する上下方向の空間を確保するために、フレーム本体5の上下方向の高さが狭められている。
【0004】
すなわち、サスペンション部3では、フレーム本体5のサスペンション部3の前後の下面5cが上方に向けて傾斜され傾斜面5dが形成され、この傾斜面5dの上端を連結する位置に下面5eが形成されている。
そして、サスペンション部3には、図9に示すように、サスペンション部3を補強するために、フレーム本体5の側面5bに対向する位置に、レインフォース6が接合されている。
【0005】
また、フレーム本体5の下面5eには、エアサスペンションを装着するための座板7が配置されている。
一方、近時、バスでは、乗降性を向上するために、床面を可能な限り低くした低床式のものが開発されており、このような車両では、サスペンション部3においてフレーム本体5の高さをより小さくすることが要望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のフレーム構造では、サスペンション部3においてフレーム本体5の高さを小さくすると、断面係数が小さくなりフレーム本体5の剛性が低下するという問題があった。
また、低床式のバス等のために、専用の縦フレーム1を採用すると、フレーム本体5の種類が増大し、製造コストが増大するという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、サスペンション部のフレーム本体の高さを、剛性を維持しながら小さくすることができ、また、フレーム本体を容易に共用化することができる車両用フレームを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の車両用フレームは、車両の前後方向に配置され、上面、側面および下面を有する断面コ字状のフレーム本体に、サスペンションが装着されるサスペンション部を形成するとともに、前記サスペンション部の前後の前記下面に、前記サスペンション部において前記フレーム本体の前記上面と下面との間隔を狭めるための傾斜面を形成してなる車両用フレームにおいて、前記フレーム本体の前記サスペンション部の下面に切欠部を形成するとともに、この切欠部に底板を配置し、この底板の前後に形成される傾斜部を前記フレーム本体の下面の前記傾斜面に接合し、前記フレーム本体の前記サスペンション部において、前記フレーム本体の側面に対向して、上面と側面とを有する補強部材を配置するとともに、前記補強部材の上面を前記フレーム本体の上面の内側に接合し、前記フレーム本体の側面と前記補強部材の側面との間に、前記補強部材の上面と前記底板とを接合する支持板を配置してなることを特徴とする。
【0010】
(作用)
請求項1の車両用フレームでは、フレーム本体の下面が、サスペンション部において切り欠かれ、切欠部が形成される。
そして、この切欠部に底板が配置され、底板の前後に形成される傾斜部が、フレーム本体の下面の傾斜面に接合される。
【0011】
また、底板にサスペンションの荷重が作用すると、補強部材の側面および支持板を介して補強部材の上面に荷重が伝達され、この補強部材の上面からの荷重がフレーム本体の上面に分散された状態で伝達される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図面に示す実施形態について説明する。
【0013】
図1および図2は、本発明の車両用フレームの第1の実施形態の要部を示している。
なお、フレーム構造の全体は、図7に示したフレーム構造と略同様に構成されているため、この実施形態では、構造の異なるサスペンション部およびこの近傍の構造について詳細に説明する。
【0014】
図1および図2において、符号11は、縦フレームを構成するフレーム本体を示している。
このフレーム本体11には、エアサスペンションを配置するためのサスペンション部13が形成されている。
フレーム本体11は、上面11a、側面11bおよび下面11cを有する断面コ字状に形成されている。
【0015】
そして、サスペンション部13においては、フレーム本体11のサスペンション部13の前後の下面11cが、上方に向けて傾斜され傾斜面11dが形成されている。
そして、傾斜面11dの上端の間が、サスペンション部13において切り欠かれ、切欠部11eが形成されている。
【0016】
この切欠部11eには、図3に示すように、底板15が配置され、この底板15の前後に形成される傾斜部15aが、フレーム本体11の下面の傾斜面11dに、例えば、溶接により接合されている。
また、この実施形態では、切欠部11eにおいて、フレーム本体11の側面11bが、底板15に対応する形状で切り欠かれている。
【0017】
そして、この実施形態では、図2に示すように、フレーム本体11の側面11bに対向して、補強部材17が配置されている。
なお、図1は各部材の形状を概略的に示すもので、例えば、図1に示される補強部材17は、図1の状態から水平方向に180度回転した状態で、フレーム本体11に配置される。
【0018】
この補強部材17は、上面17aと側面17bとを有するL字状に形成されている。
補強部材17の上面17aは、フレーム本体11の上面11aの内側に、例えば、溶接により接合されている。
また、補強部材17の側面17bの下端は、例えば、溶接により底板15に接合されている。
【0019】
そして、フレーム本体11の側面11bと補強部材17の側面17bとの間の中央部には、補強部材17の上面17aと底板15とを、例えば、溶接により接合する支持板19が配置されている。
そして、フレーム本体11の側面11bの外側には、レインフォース21が、例えば、溶接により接合されている。
【0020】
このレインフォース21は、サスペンション部13において、フレーム本体11の側面11bに作用する荷重を前後に分散するとともに、この部の捻れを抑制する働きをする。
また、底板15の底面には、エアサスペンションが装着される座板23が、例えば、溶接により接合されている。
【0021】
上述した車両用フレームでは、座板23を介して底板15にサスペンションの荷重が作用すると、補強部材17の側面17bおよび支持板19を介して補強部材17の上面17aに荷重が伝達され、この補強部材17の上面17aからの荷重がフレーム本体11の上面11aに分散された状態で伝達される。
また、レインフォース21により、フレーム本体11の側面11bに作用する荷重が前後に分散され、同時に、この部の捻れが抑制される。
【0022】
以上のように構成された車両用フレームでは、フレーム本体11の下面11cをサスペンション部13において切り欠き切欠部11eを形成するとともに、この切欠部11eに底板15を配置し、この底板15の前後に形成される傾斜部15aをフレーム本体11の下面11cの傾斜面11dに接合したので、フレーム本体11を共用化しながら、サスペンション部13のフレーム本体11の高さを小さくすることができる。
【0023】
すなわち、図3に二点鎖線で示したように、従来のフレーム本体11のサスペンション部13の高さH1が、例えば、175mmであるのに対して、上述した車両用フレームでは、フレーム本体11のサスペンション部13の高さH2を、例えば、85mm程度の寸法にすることができる。
そして、図4に示すように、車両の床面をHだけ低くすることができる。
【0024】
すなわち、図4は、フレーム本体11にエアサスペンション31の空気バネ33を配置した状態を示しており、実線がこの実施形態の取付位置を、破線が従来の取付位置を示している。
そして、このような位置に空気バネ33を配置することにより、タイヤ35の位置が、図の破線で示す位置から実線に示す位置になり、車両の床面をHだけ低くすることができる。
【0025】
なお、図において符号37はショックアブソーバを示しており、ブラケット39を介してフレーム本体11に連結されている。
また、ショックアブソーバ37の下端には、取付部41を介して空気バネ33が連結されている。
そして、上述した車両用フレームでは、フレーム本体11のサスペンション部13において、フレーム本体11の側面11bに対向して、上面17aと側面17bとを有する補強部材17を配置するとともに、補強部材17の上面17aをフレーム本体11の上面11aの内側に接合し、フレーム本体11の側面11bと補強部材17の側面17bとの間に、補強部材17の上面17aと底板15とを接合する支持板19を配置したので、サスペンション部13のフレーム本体11の剛性を充分に維持することができる。
【0026】
図5および図6は、本発明の車両用フレームの第2の実施形態の要部を示すもので、この実施形態では、底板15Aと補強部材17Aとが一体形成され、断面コ字状に形成されている。
また、フレーム本体11の側面11bの内側に、第2の補強部材25が配置されている。
【0027】
この第2の補強部材25は、上面25aと側面25bとを有しており、側面25bが、フレーム本体11の側面11bに、例えば、溶接により接合されている。
また、上面25aが、補強部材17Aの上面17aの下側に、例えば、溶接により接合されている。
そして、第2の補強部材25の上面25aと底板15Aとの間には、第2の補強部材25の上面25aと底板15Aとを、例えば、溶接により接合する支持板19Aが配置されている。
【0028】
なお、図5は各部材の形状を概略的に示すもので、例えば、図5に示される補強部材17Aおよび第2の補強部材25は、図5の状態から水平方向に180度回転した状態で、フレーム本体11に配置される。
この実施形態においても第1の実施形態と同様の効果を得ることができるが、この実施形態では、第2の補強部材25を配置したのでサスペンション部13の剛性をより増大することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1の車両用フレームでは、フレーム本体のサスペンション部の下面に切欠部を形成するとともに、この切欠部に底板を配置し、この底板の前後に形成される傾斜部をフレーム本体の下面の傾斜面に接合したので、フレーム本体を共用化しながら、サスペンション部のフレーム本体の高さを小さくすることができる。
【0030】
また、フレーム本体のサスペンション部において、フレーム本体の側面に対向して、上面と内側面とを有する補強部材を配置するとともに、補強部材の上面をフレーム本体の上面の内側に接合し、フレーム本体の側面と補強部材の側面との間に、補強部材の上面と底板とを接合する支持板を配置したので、サスペンション部のフレーム本体の剛性を充分に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用フレームの第1の実施形態のサスペンション部およびこの近傍を示す分解斜視図である。
【図2】図1のサスペンション部を示す断面図である。
【図3】図1の底板をフレーム本体に配置した状態を示す正面図である。
【図4】図1の車両用フレームにサスペンションを配置した状態を示す説明図である。
【図5】本発明の車両用フレームの第2の実施形態のサスペンション部およびこの近傍を示す分解斜視図である。
【図6】図5のサスペンション部を示す断面図である。
【図7】従来のフレーム構造を示す斜視図である。
【図8】図7のサスペンション部およびこの近傍を示す分解斜視図である。
【図9】図8のサスペンション部を示す断面図である。
【符号の説明】
11 フレーム本体
11a 上面
11b 側面
11c 下面
11d 傾斜面
11e 切欠部
13 サスペンション部
15 底板
15a 傾斜部
17 補強部材
17a 上面
17b 側面
19 支持板
Claims (1)
- 車両の前後方向に配置され、上面、側面および下面を有する断面コ字状のフレーム本体に、サスペンションが装着されるサスペンション部を形成するとともに、前記サスペンション部の前後の前記下面に、前記サスペンション部において前記フレーム本体の前記上面と下面との間隔を狭めるための傾斜面を形成してなる車両用フレームにおいて、
前記フレーム本体の前記サスペンション部の下面に切欠部を形成するとともに、この切欠部に底板を配置し、この底板の前後に形成される傾斜部を前記フレーム本体の下面の前記傾斜面に接合し、前記フレーム本体の前記サスペンション部において、前記フレーム本体の側面に対向して、上面と側面とを有する補強部材を配置するとともに、前記補強部材の上面を前記フレーム本体の上面の内側に接合し、前記フレーム本体の側面と前記補強部材の側面との間に、前記補強部材の上面と前記底板とを接合する支持板を配置してなることを特徴とする車両用フレーム。
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