JP3789688B2 - 混成集積回路装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、混成集積回路装置であり、特に耐電圧特性が優れ、且つ放熱性の優れた混成集積回路装置を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
まず一般に図4の様な混成集積回路装置があり、これは例えば特公昭61−55247号が詳しい。
【0003】
つまり混成集積回路装置は、金属基板1と、この表面に被覆された絶縁性樹脂膜2と、この上に接着されたCuよりなる導電パターン3、4と、この導電パターン3、4と電気的に接続された半導体素子等の回路素子5と、この導電パターンの一部であるパッド3と半田を介して固着された外部リード6と、この外部リード6と前記回路素子5とを電気的に接続する金属細線7およびこれらをモールドする樹脂8とを有している。
【0004】
ここで樹脂8は、トランスファーモ−ルド等で封止する材料でも良い。また樹脂8の代わりにケース材9を使用しても良い。このケース材9を採用した場合、ケース材9と金属基板1とで成る空間は、中空構造でも良いし、中に前記樹脂8が充填されても良い。
【0005】
図4は、放熱性が考慮されて基板1の裏面が露出されているものである。
【0006】
製造方法としては色々あるが、金属基板の大板を用意し、この金属基板と接着性を有する接着剤が形成された銅箔を熱圧着により貼り合わせる。
【0007】
そしてボンディング位置にNiメッキを施し、所定のパターンに銅箔をパターニングし、配線、チップや外部リードを固着するランド等を形成し、その後、所定の形状に金属基板をプレスカットする。
【0008】
そして分離された金属基板1に回路素子5を実装し、ケース材9を固着し、ケース材9と金属基板1で成る空間に必要により樹脂8を充填して完成する。
【0009】
ただし、銅箔のパターニングは、プレスカットしてからでも良い。
【0010】
また金属基板1としてAl金属を採用する場合、耐電圧特性を向上させるため、また金属基板1の搬送性を向上させるために両面に陽極酸化膜10を生成させていた。
【0011】
陽極酸化膜10は、Al2O3から成り絶縁性に優れ、且つ硬質であるため、金属基板1裏面に傷が付きにくい特徴を有している。
【0012】
特に前述した大板から完成までの間に、金属基板は搬送装置の搬送手段、例えば搬送ローラの上に載せ、目的の場所まで搬送していた。特にCu、Al等は、金属の中でも入手し易い材料ではあるが、傷が付きやすい軟らかい材料である。また金属基板は、放熱性に優れるため大電力用に多用されている。そして、放熱性がより考慮され金属基板裏面をパッケージから露出させる製品もある。しかし前述したように軟らかい材料であるため、完成までの工程で傷が付き製品として見栄えが悪い等の理由から、金属基板の裏面には陽極酸化膜が採用されていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、最近は、より放熱性が優れ、より高電圧が維持でき、更にはより高周波特性に優れた混成集積回路基板が求められる様になってきた。
【0014】
つまり配線と金属基板との間の絶縁材料は、絶縁特性に優れていないと、耐電圧特性も高周波特性も向上しない。また前述したように製造工程ラインでの搬送性、プレス/カット性、更には装置としての放熱性等を考慮して前記問題を解決しなければならない。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の課題に鑑みて成され、第1に、第2の絶縁性樹脂膜に混入されたフィラーは、前記第2の絶縁性樹脂膜の表面よりも突出し、扁平可能な材料よりなる第1のフィラーを有する事で解決するものである。
【0016】
フィラーを第2の絶縁性樹脂膜より突出させることで、搬送工程での裏面の傷付きを抑制し、しかもこの金属基板裏面を実装基板に当接した際、実質点接触から扁平する事による面接触を可能とし、放熱性の向上を実現できる。
【0017】
同様に、放熱手段と扁平して当接される事で、混成集積回路装置の発熱を抑制することができる。
【0018】
更には、第2の絶縁性樹脂膜の表面よりも突出し、扁平可能な材料よりなる第1のフィラーを有し、金属基板裏面と実質同一面を成す前記封止部材の面よりも前記第1のフィラーの方を突出させることで、前記第1のフィラーをより扁平させることができる。
【0019】
第4に、第2の絶縁性樹脂膜に混入されたフィラーは、前記第2の絶縁性樹脂膜の表面よりも突出し、扁平可能な材料よりなる第1のフィラーと、前記第2の絶縁性樹脂膜の表面よりも突出し、金属を主材料とする第2のフィラーを有する事で解決するものである。
【0020】
扁平可能な材料は、特に高分子材料を主材料とするものが多く、金属材料よりも熱伝導性に劣る。逆に熱伝導性の優れる材料は、硬質性であり、フィラーを球体と仮定すれば、実装基板には実質点接触でしか当接できない。
【0021】
従って第1のフィラーを扁平させることで、第1のフィラーの当接面を拡大し、しかも扁平させることで第2のフィラーを当接させることができる。
【0022】
また同様に第2のフィラーを扁平させて放熱手段に当接させる事で、第1のフィラーも前記放熱手段に当接させることができる。
【0023】
更には、金属基板裏面と実質同一面を成す封止部材の面よりも前記第1のフィラーおよび第2のフィラーが突出している事で混成集積回路基板裏面のフィラーが実装基板や放熱手段に良好に実装できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図1および図2を参照しながら説明する。
【0025】
まず例えばプレスにより打ち抜かれた金属性の混成集積回路基板11がある。この混成集積回路基板11は、Al、CuやFe等が考えられる。
【0026】
この混成集積回路基板11は、予め大板で用意されている。この大板は、金属の表面が元々光沢性、平坦性を有するため、粗面12,13が形成される。この粗面は、細かな凹凸により接着性を向上させるものであり、ここでは、機械的ブラッシング、化学的処理により膜の凹凸を生成させている。また、混成集積回路基板の材料によりその処理方法が異なるが、Alの場合はクロメート処理等が考えられる。またこの粗面は、混成集積回路基板の材料そのものが凹凸化されても良いし、化学的処理による反応物で凹凸が生成されても良い。
【0027】
またこの粗面は、凹凸を有し、金属であるため反応も起こる。この反応物は、混成集積回路基板11上で剥離しやすく、且つ機械的強度があまりない。そのため、この反応を防止するために、且つ第1の絶縁性樹脂膜14との接着強度を増強させるために第1の保護膜15が極薄く形成されている。この保護膜15は、第1の絶縁性樹脂膜14と接着させるために、同類の材料により成る、または同類の材料が混入されているものを採用すると良い。
【0028】
また粗面の生成と第1の絶縁性樹脂膜14の形成までに前記反応物が生成されない条件であれば、前記第1の保護膜15は、不要となる。反応物が生成されない条件とは、製造工程の雰囲気を非反応ガス雰囲気、例えば窒素雰囲気、不活性ガス雰囲気にすればよい。しかしこの工程であるとコストが上昇する問題がある。
【0029】
ここで混成集積回路基板11の両面に粗面化膜が生成された後、第1の絶縁性樹脂膜14、第2の絶縁性樹脂膜16を両面に被覆する。
【0030】
前記第1の絶縁性樹脂膜14は、銅箔の下に予め接着のりとして被覆され、これを熱圧着により貼り合わせても良い。また第2の絶縁性樹脂膜16は、フィルム状のものを用意し、貼り合わせても良いし、別途塗布装置で被覆しても良い。
【0031】
また第1の絶縁性樹脂膜、第2の絶縁性樹脂膜16には、熱伝導性が考慮されてフィラー17,18、19が混入されている。このフィラー17、18は、酸化アルミニウム、酸化Si等の金属酸化物から選択されたもの、または混合のもであり、絶縁耐料の維持と熱伝導率の向上を実現している。更にフィラー18、19は、第2の絶縁性樹脂膜16から一部が露出し、混成集積回路基板11の摩擦抵抗を減少させている。また第2の絶縁性樹脂膜16の硬度と相まって、裏面の傷つきの度合いを抑制している。
【0032】
また後述するプレスの前または後で、銅箔がパターニングされる。更に金属細線の接合部には、接合性が考慮されてNiメッキが施される場合は、この処理の後にパターニングされる。
【0033】
この混成集積回路基板11は、紙面に対して下側からプレス(またはカッター)で矢印の方向に打ち抜かれており、混成集積回路基板11底面の周辺にある角部20は、アールを有している。また混成集積回路基板11上面の周辺にある角部21は、実質全周辺に渡り突起部が設けられ、混成集積回路基板11の側面には、下側にせん断面、上側には破断面が全周に渡り設けられている。
【0034】
つまり図でも示してあるが、第2の絶縁性樹脂膜16の方が薄く形成され、しかも後述する扁平可能なフィラー19が混入されている分、その中に混入されているフィラー18の量も少なくなっている。
【0035】
ここでフィラー19は、扁平可能なフィラーであり、例えば高分子材料より成る。
【0036】
従ってプレスまたはカッターのブレードは、フィラーの少ない裏面から食い込んでいくため、ブレードの機械的破壊(歯の摩耗)が抑制できる。しかも第1の絶縁性樹脂膜14側は、破断されるため、ブレードは、フィラー17と接触がより抑制される。
【0037】
また導電パターンは、例えばCuより成るもので、配線22、ランド23、ボンデイング用のパッド24、外部リード用の固着パッド25等として設けられ、導電ランドにはベアの半導体ICやトランジスタ等のチップ26(半導体素子)が設けられる。また配線間はチップコンデンサ、チップ抵抗および印刷抵抗等の回路素子27が半田等のロウ材や銀ペースト等を介して電気的に固着され、あるいは印刷抵抗がスクリーン印刷等で形成されている。更には前記チップと配線を電気的に接続するため、チップ上の電極とボンディング用のパッドとの間には金属細線28が電気的に接続され、外部リード用の固着パッド25には半田を介して外部リード29が電気的に接続されている。
【0038】
またこれらCuのパターンは、絶縁性のフレキシブルシートに貼り合わされ、このフレキシブルシートが混成集積回路基板に貼り合わされても良い。この場合、第1の保護膜15は、このシートと同類か、この材料が混入されているものが好ましい。
【0039】
そして、混成集積回路基板11およびこの上に実装された実装部品を封止するために、封止用の樹脂20が設けられている。
【0040】
この封止方法は、従来技術で述べたケース材31を採用しても良いし、混成集積回路基板11の裏面が露出するようにトランスファーモールド、インジェクションモールドで実現されても良い。
【0041】
またケース材31を用いる場合は、混成集積回路基板とケース材31で成る空間は、中空でも良いし、またこの空間に絶縁性樹脂材料30が注入されても良い。
【0042】
また以下の様にペレットを用いて封止しても良い。この製造方法を簡単に説明する。まずここまでの説明からも明らかなように、混成集積回路基板11を用意する。
【0043】
次に、ペレットを混成集積回路基板11の上に配置する。ここでペレットは、補強用シートに熱硬化前の粉末状の樹脂が一体化されたものである。
【0044】
補強用シートは、樹脂が熱硬化後もフラット性を保持する材質が好ましく、エポキシ含浸のガラス繊維等が好ましい。また薄いガラス基板等でも良い。
【0045】
この状態で、例えばヒーターの上に載置し、150度程度にして樹脂を溶融し、その後熱硬化される。
【0046】
前述した溶融樹脂は、自分自身の自重や補強シートの自重により沈み込み、同時に補強シートの端部から混成集積回路基板11の突起部21まで流れ出て、ダレ部を形成する。
【0047】
ダレ部は、突起部21が有ることでここまで流れ、そのダムとしての働きと表面張力により止まる。
【0048】
補強シートがフラット性を有するため、印刷性が向上し、機種名等を載せることができる。しかもフラット性を有することから、補強シートに自動機の吸引部を当てて、吸引が可能となり、例えばプリント基板等に自動実装が可能となる。
【0049】
本発明の第1の特徴は、第2の絶縁性樹脂膜16に扁平可能なフィラーを混入することにある。有機溶剤で溶融している絶縁性樹脂にフィラーを混入し、成膜すると、膜は有機溶媒が揮発し膜厚自身が薄くなって硬化するため、フィラーが突出する。この突出は、混成集積回路基板11裏面の傷付きを防止することができる。また堅いフィラーを採用するとフィラーは実質粒径であるので、混成集積回路基板が実装基板や放熱基板等の放熱手段に当接した時、フィラーは点接触となる。従って混成集積回路基板11を伝わり外部へ逃げる熱の抵抗は大きくなる。本発明は、このフィラーを扁平可能な材料とすることで、前記点接触を面接触にし、この熱抵抗を低下させるものである。
【0050】
図1では、斜線でハッチングしたものが第2のフィラー17、18であり、若干大きめに示したハッチング無しのものが第2のフィラー19である。特に第2のフィラー19は、扁平を図示するため、若干カットして示してある。
【0051】
つまり高分子材料や柔軟な材料から成るフィラーが混入されている場合、本混成集積回路装置を実装させた時は、このフィラーが扁平するように実装されることで、混成集積回路基板から外へ逃げる熱の抵抗が改善される。
【0052】
第2の特徴は、より放熱性を改善するために、前記第2の絶縁樹脂膜16に第2のフィラー18を混入させることである。ここでも第1のフィラー19も第2のフィラー18も放熱手段32に当接させる必要がある。
【0053】
つまり第1のフィラー19を扁平させ、その結果第2のフィラー18を当接させることにより、熱抵抗を低下させる点に特徴を有する。
【0054】
この特徴を持たせるためには、若干第1のフィラー19の径を大きくすることで実現できる。実際は、第1のフィラー19を50μm近傍に、第2のフィラー18を10μm〜5μm程度にしている。
【0055】
以上、金属基板の裏面の傷を防止するため、その裏面に第2の絶縁樹脂膜16を形成し、更にこの第2の絶縁樹脂膜16の傷防止にフィラーを混入させている。そしてこのフィラーを介した放熱特性を改善させるために、1つは扁平フィラーを採用し、1つはフィラーを扁平させることでシリカ等のフィラーを放熱手段に当接させている。
【0056】
従って、金属基板の裏面に傷が付くことなく、更には傷が付かないことで、各工程の薬液やガス等である腐食剤に対して耐食性があり、本混成集積回路装置の裏面の美観を維持しつつ、放熱性の改善が可能となった。
【0057】
一方、図3は、本混成集積回路装置の裏面側から見た斜視図である。点線で示したものが図1で示す混成集積回路基板11である。また実線で示すものがケース材31および外部リード40である。また符号41は、ねじ止め孔である。
【0058】
混成集積回路基板の裏面が符号42で示され、これと平行に延在されたケース材裏面43の位置関係を図示している。
【0059】
ケース材裏面43と混成集積回路基板裏面42が同一面を成すか、混成集積回路基板裏面42の方が突出していないと、第1のフィラー19が扁平されないためである。
【0060】
また突出幅は、矢印44で示したが、実際は0〜数十ミクロン程度でよい。従って完成品を巨視的に見たら、混成集積回路基板裏面42とケース材裏面43は、実質同一面を成すような配置になっている。
【0061】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、フィラーを混入させることで大幅に熱伝導率を向上させる事ができる。また第1の絶縁性樹脂膜は、耐電圧特性を向上させ、裏面は、表面よりもより熱伝導率を向上させるために、第2の絶縁性樹脂膜を薄く形成している。従って裏面からプレスする事でブレードの摩耗を抑制することができる。
【0062】
またフィラーを第2の絶縁性樹脂膜より突出させることで、搬送工程での裏面の傷付きを抑制し、しかもこの金属基板裏面を実装基板に当接した際、実質点接触から扁平する事による面接触を可能とし、放熱性の向上を実現できる。
【0063】
同様に、フィラーが放熱手段と扁平して当接される事で、混成集積回路装置の温度上昇を抑制することができる。
【0064】
更には、第2の絶縁性樹脂膜の表面よりも突出し、扁平可能な材料よりなる第1のフィラーを有し、金属基板裏面と実質同一面を成す前記封止部材の面よりも前記第1のフィラーの方を突出させることで、前記第1のフィラーをより扁平させることができる。
【0065】
また、扁平可能な材料は、特に高分子材料を主材料とするものが多く、金属材料よりも熱伝導性に劣る。逆に熱伝導性の優れる材料は、硬質性であり、フィラーを球体と仮定すれば、実装基板には実質点接触でしか当接できない。
【0066】
従って第1のフィラーを扁平させることで、第1のフィラーの当接面を拡大し、しかも扁平させることで第2のフィラーを当接させることができる。
【0067】
また同様に第2のフィラーを扁平させて放熱手段に当接させる事で、第1のフィラーも前記放熱手段に当接させることができ、放熱特性を改善させることができる。
【0068】
更には、金属基板裏面と実質同一面を成す封止部材の面よりも前記第1のフィラーおよび第2のフィラーが突出している事で混成集積回路基板裏面のフィラーが実装基板や放熱手段に良好に実装できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である混成集積回路装置の断面図である。
【図2】図1に採用する混成集積回路基板の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態である混成集積回路装置の斜視図である。
【図4】従来の混成集積回路装置を説明する断面図である。
【符号の説明】
11 混成集積回路基板
12、13 粗面
14 第1の絶縁性樹脂膜
16 第2の絶縁性樹脂膜
17、18 第2のフィラー
19 第1のフィラー
31 ケース材
Claims (1)
- 金属基板と、前記金属基板の表面上に形成され、熱伝導性を向上するフィラーが混入された第1の絶縁性樹脂膜と、前記第1の絶縁性樹脂膜上に形成された配線と、前記配線と接続された回路素子と、前記金属基板の裏面上に形成され、フィラーが混入された第2の絶縁性樹脂膜とを有する混成集積回路装置であり、
前記第2の絶縁性樹脂膜に混入されたフィラーは、前記第2の絶縁性樹脂膜の裏面よりも突出し、高分子材料を主材料とする第1のフィラーと、前記第2の絶縁性樹脂膜の裏面よりも突出し、金属を主材料とする第2のフィラーを有することを特徴とする混成集積回路装置。
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