JP3789205B2 - 脱硝用触媒およびその再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は脱硝用触媒およびその再生方法に係り、特にバナジウム化合物を高濃度に含有する排ガス中で使用した場合に、触媒のSO2 酸化率の上昇を抑制することができる脱硝用触媒およびSO2 酸化率が上昇した触媒を容易に再生することができる脱硝用触媒の再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
化石燃料を用いるボイラなどの排ガスのうち、オリマルジョン、重油などの燃焼排ガス中には、多量の硫黄酸化物(SOx)および窒素酸化物(NOx)のほか、バナジウム(V)化合物を高濃度で含有するダストが含まれるのが通例である。これらの排ガス中の窒素酸化物をアンモニアで還元除去する脱硝装置では、排ガスやダストに含まれるV化合物が酸化チタン系脱硝触媒の表面に多量に付着するという現象が生じる。触媒表面に付着したV化合物はSO2 をSO3 に酸化する反応活性が高く、多量のSO3 を生成して後流機器を腐食するとともに、大気中に放出されて公害を引き起こす。このため脱硝触媒に付着したV化合物を除去して再生するための種々の試みがなされており、具体的な方法としては、水や蓚酸など薬液でV化合物を溶解して除去する方法(特開昭54−10294)、触媒表面の付着物を摩耗させて除去する方法(特願平07−216235)などが知られている。
【0003】
しかしながら、触媒を薬液で洗浄してV化合物を除去する方法は、大量の薬液が必要であることに加え、オリマルジョンや高硫黄含有重油などのV化合物含有率の高い燃料を用いた場合には触媒へのVの蓄積速度が大きく、再生が頻繁に必要であるなどの実用上大きな問題を抱えている。
また触媒表面を摩耗させてV化合物を除去する方法は、乾式であることや条件によっては脱硝装置を運転したまま実施できるなどの利点があるが、付着したV化合物は触媒表面に強固に付着し、また触媒内部にその一部が拡散した状態にあるため、全部摩耗させて除去することはきわめて困難であった。またこの場合にも触媒の再生が頻繁に必要であった。このように従来の再生では再生が頻繁に必要な上、再生設備が大がかりになるという問題を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の課題は、上記従来技術の問題を解決し、V化合物が付着してもSO2 酸化率が上昇しにくい触媒を提供することにより再生頻度を大幅に減少させることができる脱硝用触媒を提供することにある。
また本発明の第2の課題は、大量の薬液を必要とせず、しかも再生労力の低減を図ることができる簡便な脱硝用触媒の再生方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、脱硝用触媒のSO2 酸化率の増大は付着ダストに含まれるV化合物が触媒内部に移動し、触媒内部の酸化チタンの作用によりその酸化活性が増大することにより生じることに着目し、触媒表面に高V含有量層を設けてV化合物の触媒表面から内部への侵入を阻止することにより、SO2 酸化率の増大を防止できること、および触媒表面層の密度を内部の密度よりも小さくすることにより、表面層に付着したV化合物を容易に除去し、再生できることを見い出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明で特許請求される発明は以下のとおりである。
【0006】
(1)バナジウム化合物を含有する燃焼排ガスに用いる酸化チタン含有アンモニア接触還元脱硝用触媒において、触媒表面に、触媒内部のバナジウム化合物の含有量よりも高い濃度でバナジウム化合物を含有する表面層を有し、かつ該表面層の密度が、内部の密度より小さいことを特徴とする脱硝用触媒。
(2)前記触媒の内部が、酸化チタンと、酸化モリブデンおよび/または酸化タングステンとを有することを特徴とする(1)記載の脱硝用触媒。
(3)前記触媒の表面層が、酸化チタンと、酸化モリブデンおよび/または酸化タングステンと、酸化バナジウムとを有することを特徴とする(1)または(2)に記載の脱硝用触媒。
(4)前記触媒の表面層および内部が、酸化チタンと、酸化モリブデンおよび/または酸化タングステンと、酸化バナジウムとを有することを特徴とする(1)記載の脱硝用触媒。
(5)少なくとも2枚の網状無機繊維基材の間およびその網目間に酸化チタンと酸化モリブデンおよび/または酸化タングステンとを主成分とする酸化物が埋め込まれた板状成形体の上に、バナジウムを含有する触媒表面層を形成したことを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかに記載の脱硝用触媒。
(6)燃焼排ガス中のバナジウム含有ダストが付着した(1)ないし(5)のいずれかに記載の脱硝用触媒の表面層に、無機粒子を衝突させ、該表面層の少なくとも一部を摩耗させて表面層に付着したバナジウム化合物を除去することを特徴とする脱硝用触媒の再生方法。
【0007】
【作用】
本発明の触媒は、表層部にV化合物がすでに存在するので、内部にまでV化合物が入っていかないため、酸化率上昇が抑制される。またV化合物の拡散が防止される。
排ガス中のV化合物が触媒表面に付着してSO2 酸化率が増大する原因の1つは、付着したV化合物を含むダストのSO2 の酸化活性が高いためであるが、これよりもさらに大きな原因は、付着ダストなどからV化合物が酸化チタン系触媒内部に侵入することにある。酸化チタン系触媒をV含有率の大きい排ガスの脱硝に使用した場合、まず触媒表面にV化合物が付着し、その後熱による拡散や脱硝装置の起動停止時にV化合物が潮解して触媒内部にしみ込んでV化合物が酸化チタン上に移動する。図2はこの様子を模式的に示したものであり、図3はV移動後の触媒のVの断面方向の分布を示したものである。一般に酸化チタン上に存在するV化合物は酸化チタンの作用により活性化され、酸化活性が大幅に向上することが知られており、上記触媒の場合にも移動したV化合物が活性化され、ダスト中に存在するときより遥かに高いSO2 酸化活性を示すようになる。
【0008】
これに対し、本発明の触媒は、図1に示したように触媒表面が高いV含有量の触媒成分で被覆されており、V化合物含有ダストはこのV含有率の高い表面層と接することになる。一方、V化合物の触媒内への熱拡散による移動は、ダストと触媒成分中のV濃度差が大きいほど起こり易いことが知られている。従って、ダストと接触する触媒表面層中のV含有率を所定値以上に高めた本発明の触媒ではV化合物の触媒内部への熱拡散はきわめて小さく、V含有ダストが触媒表面に堆積してもSO2 酸化率の上昇がほとんど起こらない。
【0009】
また、万が一ダストの吸湿などで触媒表面層内にV化合物が侵入したとしても、表面層中のTiO2 には吸着容量以上のV化合物がすでに吸着されているため、侵入したV化合物がTiO2 に吸着される量はわずかである。このため、多量のV化合物がダストから移動して触媒表面層のV濃度が高くなったとしても、該V化合物がTiO2 により活性化されることはなく、従って、SO2 酸化活性の増加の度合いは小さくなる。ここで吸着容量とは、表面層のTiO2 がそれ以上V化合物を吸着することができない飽和容量をいう。
【0010】
V化合物のダスト内から触媒表面層への侵入を確認するために、V含有率の高いダストを含む排ガス中で本発明の脱硝用触媒を使用し、V化合物が触媒中にどの程度侵入したかをX線マイクロアナライザを用いて触媒断面方向で調べたが、V化合物の侵入深さは数十μm以下であった。これにより、触媒表面層にさらに大量のV化合物が付着してSO2 酸化率が許容値より高くなったとしても、V化合物は触媒表面層に留まり、触媒内部には侵入しないことが確認された。
また本発明における触媒の表面層の密度が内部の密度より小さい脱硝用触媒では、ダストが表面層に付着してもダストの付着強度が小さいため剥離され易い性状となる。このため、ダストが付着した表面層にシリカや燃焼灰の粗粒等の無機微粒子を衝突させることにより、薬液などを使用することなく容易に付着ダストを剥離させ、V化合物を除去し、再生することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明における脱硝用触媒は、V化合物を含有する燃焼排ガスに用いる酸化チタン含有アンモニア接触還元脱硝用触媒であり、触媒表面層に、触媒中の酸化チタンの吸着容量以上で、かつ触媒内部のV化合物含有量よりも高い濃度でV化合物を含有する表面層を有している。
触媒内部にはV化合物が含有されていても含有されていなくてもよく、V化合物が含有されている場合には、触媒表面層のV化合物含有量より低い含有量となるように調節することが必要である。触媒の内部は、通常、酸化チタン(TiO2 )、酸化チタンとモリブデン(Mo)酸化物、酸化チタンとタングステン(W)酸化物、またはこれらの酸化物とバナジウム(V)酸化物を主成分とし、公知の方法によりハニカム状または板状体に成形される。この触媒成形体には、基材として網状無機繊維布帛、メタルラス等を使用することができる。網状無機繊維としては、ガラス繊維等を使用することができ、この場合には、少なくとも2枚の網状無機繊維布帛の間およびその網目間に酸化チタン等の酸化物を埋め込んで板状成形体とすることが好ましい。
【0012】
触媒表面層は、通常、酸化チタンと、酸化モリブデンおよび/または酸化タングステンと、酸化バナジウムとを有し、そのV含有量は、触媒中の酸化チタンの吸着容量以上で、かつ触媒内部のV化合物よりも高い含有量であるが、通常は、TiO2 に対して4〜20原子%とするのが好ましく、より好ましくは5〜15原子%である。触媒表面層のV含有量が前記吸着容量未満では、排ガス中のV化合物が表面層に侵入した場合に侵入したV化合物が酸化チタンにより活性化されてSO2 酸化活性が増加する。また触媒表面層のV含有量を内部のそれよりも高い濃度にすることにより、表面層に付着したダスト中のV化合物が表面層内部、さらには触媒内部に侵入するのを抑制することができる。
【0013】
この表面層は、上記ハニカム状または板状成形体の表面に、粉末状または水を分散媒とするスラリの形で付着させて形成することができる。例えば、ハニカム状または板状の湿式成形体がまだ湿った状態の時点で上記高V触媒成分粉末と接触させて付着させるか、成形後の湿った状態または一旦焼成したものに、上記触媒スラリをコーティングまたは転着することにより形成することができる。表面層の付着量は、Vの付着防止効果およびダストの剥離性の点から5〜200g/m2 が好ましく、より好ましくは50〜100g/m2 であり、厚みとして0.1mm以下とするのが好ましく、より好ましくは0.025〜0.075mmである。
このようにして得られた触媒全体のV含有量は、被処理排ガスの種類により異なるが、SO2 酸化が問題となる場合には1.0重量%以下とするのが好ましく、より好ましくは0.5重量%以下である。また、排ガスにSO2 が含まれておらずSO2 酸化が問題にならない場合には触媒のV含有量には制限はないが、1重量%以下でも充分な性能が得られる。
【0014】
また本発明の脱硝用触媒は、V含有量の高い触媒表面層の密度を内部の密度より小さくすることが好ましい。これにより触媒表面にV含有ダストが付着した場合でも、該表面に鉄砂、酸化ケイ素粒子等の無機微粒子を衝突させることにより、付着したV含有ダスト層を剥離、除去し、容易に再生することができる。このような触媒は、例えば、ハニカム基材や板状基材などの各種基材表面に触媒成分を塗布して成形する湿式成形法においては、高V含有触媒成分ペーストまたはスラリを、湿式成形時におけるペーストの水分含有量より高い水分になるように調製し、これを成形体表面に塗布またはウオッシュコーティングなどの手段で覆い、乾燥等を施して得ることができる。触媒内部に対する触媒表面層の密度はダストの剥離を容易にするという点から、1.5〜2.0とするのが好ましい。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、例中の%は特に限定しない限り重量%を意味する。
実施例1
酸化チタン粉末20kgにモリブデン酸アンモニウム((NH4 )6 ・Mo7 O24・4H2 O)を2.3kg、無機繊維(商品名カオウール)を3.3kgとに水を加えてニーダで混練し、水分32%の基材用ペーストを調製した。
一方、繊維径9μmのEガラス性繊維1400本の捻糸を10本/インチの粗さで平織りした網状物にチタニア40%、シリカゾル20%、ポリビニールアルコール1%のスラリを含浸し、150℃で乾燥して剛性を持たせ触媒基材を得た。
【0016】
この触媒基材2枚の間に、上記の基材用ペーストを置き、圧延ローラを通過させた後、12時間大気中で風乾後500℃で2時間焼成し、酸化チタンと酸化モリブデンとからなる厚み1.2mmの板状触媒を得た。
これとは別に、酸化チタン粉末20kgにモリブデン酸アンモニウム((NH4 )6 ・Mo7 O24・4H2 O)を2.5kg、メタバナジン酸アンモニウム2.33kg、蓚酸3.0kgとに水を加えてニーダで混練してペースト状にしたものを直径3mmの柱状に造粒後、流動層乾燥器で乾燥、500℃で2時間焼成し、続いてハンマーミルで粉砕して1μm以下の粒子が50%以上の含まれる触媒粉末を得た(V含有量:3.56%)。
【0017】
次にこの粉末100gに水150gを加えて水分60%のスラリとし、該スラリを刷毛を用いて上記板状触媒の表面に触媒成分の付着量が100g/m2 になるように塗布し、その後150℃で乾燥して本発明の脱硝用触媒を得た。
この脱硝用触媒の表面層の厚みは約0.06mmであった。触媒の平均V含有量は0.32%であった。また触媒の密度は内部が2.1g/cm3 、表面層が1.6g/m2 であった。
【0018】
実施例2〜4
実施例1において、表面に塗布する触媒成分であるメタバナジン酸アンモニウムの添加量を2.33kgから1.2kg、4.66kgおよび7.00kgにそれぞれ変えた以外は実施例1と同様の方法で本発明の脱硝用触媒を得た。
この場合の表面層のV含有量は各々1.78%、7.12%および10.68%であり、また触媒の平均V含有量は各々0.16%、0.64%、0.96%であった。
【0019】
比較例1
実施例1で得られた触媒スラリの塗布を行わない板状触媒を用いた。
比較例2〜5
酸化チタン粉末20kgにモリブデン酸アンモニウム((NH4 )6 ・Mo7 O24・4H2 O)を2.5kg、メタンバナジン酸アンモニウムを各々0.21kg、0.11kg、0.42kg、0.63kg、および蓚酸3.0kgとに水を加えてニーダで混練してペースト状にしたものを直径3mmの柱状に造粒後、流動層乾燥器で乾燥、500℃で2時間焼成し、続いてハンマーミルで粉砕して1μm以下の粒子が50%以上含まれる触媒粉末を得た。この粉末20kgに無機繊維3kgと水を加えてニーダで混練し、水分32%の基材用ペーストを各々調製した。
この基材用ペーストを実施例1と同様の方法で無機繊維基材2枚を用い、圧延ローラで塗り込んみ、これを12時間大気中で風乾後500℃で2時間焼成し、V化合物が触媒全体に分布した各々の板状触媒を得た。
この板状触媒のV含有量は各々0.32%、0.16%、0.64%、0.96%であった。
【0020】
実施例5
実施例1において、モリブデン酸アンモニウムに代えて等モルのパラタングステン酸アンモニウム((NH4 )10・W12O41・5H2 O)を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の脱硝用触媒を得た。
【0021】
比較例6
比較例2において、モリブデン酸アンモニウムの代わりに等モルのパラタングステン酸アンモニウムを使用した以外は比較例2と同様の方法で平均V含有量が0.32%である触媒を得た。
【0022】
実施例6〜9
比較例2〜5で得た各々の触媒の表面に、実施例1で使用した高V含有スラリを刷毛を用いて触媒表面に塗り、乾燥後500℃で2時間焼成して触媒の表面に高V触媒層が形成された本発明の脱硝用触媒を得た。触媒の平均V含有量は各々0.64%、0.48%、0.96%、1.28%であった。
【0023】
<試験例>
実施例1〜9の触媒と比較例1〜6の触媒について、V化合物の付着が触媒性能に及ぼす影響を調べるため、これらの触媒をオリマルジョンの燃焼灰(V2 O5 含有量がVとして8.9%)の中に埋め込み、大気中350℃で20時間、25℃で湿度90%の恒温恒湿の条件で20時間の繰り返しを10サイクル行う加速劣化試験を行った。
試験前後の各触媒について表1の条件で脱硝率および表2の条件でSO2 酸化率を測定し、それらの結果を表3にまとめて示した。また図4には、実施例1〜4と比較例2〜5の触媒について、試験前後におけるV含有量とSO2 酸化率の関係を図示した。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
表3および図4から明らかなように、本発明の触媒は初期性能が高く、初期SO2 酸化率が低く優れたものである。またV付着に関する加速試験後のSO2 酸化率の上昇割合が比較例に較べ格段に小さく、V含有量の高い燃料の燃焼排ガス用脱硝触媒として好適であることは確認された。
また比較例2〜5の触媒表面に高V含有触媒成分層を被覆した実施例6〜9の触媒では、比較例2〜5の触媒と比較すると、初期性能では大差がないが、実施例触媒の加速試験後のSO2 酸化率はいずれも低く、SO2 酸化率の上昇が顕著に抑制されていることがわかる。
以上の結果から、本発明の脱硝用触媒は、V化合物含有ダストによるSO2 酸化率の上昇を起こしにくいきわめて優れた特徴を有する触媒であることがわかった。
【0028】
また、上記試験とは別に上記加速試験を終了した実施例6〜9および比較例2〜5の触媒テストピース(100mm×100mm)に、高さ30cmから粒径48〜32メッシュの鉄砂4kgを徐々に落下させ、V化合物層を剥離する試験を行い、その後、上記の条件でSO2 酸化率を測定し、その結果を表3に示した。
本発明になる触媒のSO2 酸化率は鉄砂を落下させて再生することにより初期に近い値まて戻ったが、比較例の触媒のSO2 酸化率は高いままであった。これは本発明の触媒では表面に水分の多いスラリを用いて付着せしめた低密度の被覆層にV化合物が付着しており、鉄砂の落下で簡単に剥がされて取り除かれたためである。このように本発明の触媒は、触媒表面を乾式で摩耗させることにより上昇したSO2 酸化率を低減できる触媒であることが確認された。
【0029】
【発明の効果】
本発明の触媒は、V含有量が高い燃料を用いるボイラなどの排ガス脱硝に用いても、脱硝触媒表面にV化合物が移動しにくく、たとえ移動した場合でもV化合物がTiOにより活性化されないため、付着V化合物によるSO2 酸化率の上昇速度を抑制することができ、再生処理の頻度を大幅に低減することが可能になる。また、触媒のSO2 酸化活性がV付着により上昇した場合であっても、触媒表面層の密度が小さいため、ダストの付着強度が弱く、無機粒子を衝突させることにより容易にV化合物を除去することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の触媒の概要を示す図。
【図2】従来触媒上のV化合物の挙動を示す図。
【図3】触媒内部に付着したV元素の分布を示す図。
【図4】実施例触媒と比較例触媒のSO2 酸化率を比較した図。
【符号の説明】
1…高V濃度層、2…低V濃度層、3…V含有ダスト、4…V化合物の拡散した触媒層、5…触媒。
Claims (6)
- バナジウム化合物を含有する燃焼排ガスに用いる酸化チタン含有アンモニア接触還元脱硝用触媒において、触媒表面に、触媒内部のバナジウム化合物の含有量よりも高い濃度でバナジウム化合物を含有する表面層を有し、かつ該表面層の密度が、内部の密度より小さいことを特徴とする脱硝用触媒。
- 前記触媒の内部が、酸化チタンと、酸化モリブデンおよび/または酸化タングステンとを有することを特徴とする請求項1記載の脱硝用触媒。
- 前記触媒の表面層が、酸化チタンと、酸化モリブデンおよび/または酸化タングステンと、酸化バナジウムとを有することを特徴とする請求項1または2に記載の脱硝用触媒。
- 前記触媒の表面層および内部が、酸化チタンと、酸化モリブデンおよび/または酸化タングステンと、酸化バナジウムとを有することを特徴とする請求項1記載の脱硝用触媒。
- 少なくとも2枚の網状無機繊維基材の間およびその網目間に酸化チタンと酸化モリブデンおよび/または酸化タングステンとを主成分とする酸化物が埋め込まれた板状成形体の上に、バナジウムを含有する触媒表面層を形成したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の脱硝用触媒。
- 燃焼排ガス中のバナジウム含有ダストが付着した請求項1ないし5のいずれかに記載の脱硝用触媒の表面層に、無機粒子を衝突させ、該表面層の少なくとも一部を摩耗させて表面層に付着したバナジウム化合物を除去することを特徴とする脱硝用触媒の再生方法。
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