JP3788900B2 - レーダ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、受信信号をディジタル変換したのち演算処理によりビーム形成を行うDBF(Digital Beam Forming)レーダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
DBFレーダ装置は、アンテナ素子を複数備え、各アンテナ素子の受信信号をディジタル変換したのち演算処理によりビーム形成を行う。
ところで、この種の従来のレーダ装置にあって複数の受信ビームを形成するには、形成するビームごとに異なるビーム形成回路を使用するようにしていた。図3、図4を参照してこのことを説明する。図3のレーダ装置は複数のアンテナ素子A1〜A3の受信信号から和ビーム出力(PΣ)および差ビーム出力(PΔ)を得るもので、それぞれ和ビーム用、差ビーム用の2系統の処理回路を備えている。
【0003】
アンテナ素子A1〜A3の受信信号はそれぞれアナログ/ディジタル変換器(A/D)1でディジタル信号に変換されたのち、2系統に分けられてそれぞれ乗算器4に与えられる。各アンテナ素子A1〜A3に対応する2つの乗算器4には、それぞれ和ビーム係数(WΣ)、差ビーム係数(WΔ)が与えられる。各係数WΣ、WΔはそれぞれ係数発生器2,3で生成される。
【0004】
そして、乗算器4による乗算結果はそれぞれのビームごとに加算器5で加算され、和ビーム出力PΣ、差ビーム出力PΔが出力される。以上の構成で、和ビームPΣ、差ビームPΔを形成するためにそれぞれ3つの係数発生器2,3、乗算器4、二つの加算器5からなるビーム形成回路が必要となる。
【0005】
図4のタイムチャートに示すように、信号の受信からビームの形成までのプロセスは演算クロックに沿って行なわれる。すなわちt1,t2,t3,…の一つのサンプリング期間ごとに一つの演算クロックパルスが与えられ、和ビーム出力PΣ、差ビーム出力PΔが一つずつ形成される。
【0006】
このような構成であるから、形成すべきビームの数を増やそうとすると、それに応じてビーム形成回路の数が増えることになる。すなわち従来のDBFレーダ装置では、ビームの数を増やすことと装置構成の繁雑さとの間にトレードオフの関係が有り、手軽にビームの数を増やすことが難しかった。特に近年のレーダ装置では数多くの受信ビームを形成したいというニーズが大きく、これに応えるためには装置の規模が大きくなるという不具合が有った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように従来のDBF装置では、複数のビームを形成する場合に、形成ビーム数分のビーム形成回路を必要とした。このため受信ビームの数を増やすには装置の規模が大きくなるという不具合が有った。
【0008】
本発明は上記事情によりなされたもので、その目的は、複数のビームを簡易に形成でき、装置規模の縮小を図ったレーダ装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、シストリックアレイ方式により複数の受信ビームを形成するレーダ装置において、複数のアンテナ素子と、所定のサンプリング期間ごとに、各アンテナ素子に到来したレーダエコーをそれぞれディジタル信号に変換する複数のアナログ/ディジタル変換手段と、これらの複数のアナログ/ディジタル変換手段から出力される前記ディジタル信号にそれぞれビーム形成係数を乗算する複数の乗算器、およびこれらの乗算器の出力を順次加算する加算器とを備え、前記ビーム形成係数に応じた複数の受信ビームを形成するビーム形成回路とを具備し、前記アナログ/ディジタル変換手段のサンプリング期間内に各受信ビームごとのビーム形成係数を前記複数の乗算器にそれぞれ与えることにより、前記複数の乗算器および加算器を前記複数のビーム間で共用するようにしたことを特徴とする。
【0010】
このような手段を講じることにより、一つのサンプリング期間内に複数のビーム形成係数に基づく複数の受信ビームが、時分割的に形成される。これによりビーム形成のための回路を各ビームごとに専用に設ける必要が無く、一つのビーム形成回路を複数のビーム間で時分割的に共用できるようになる。これにより複数のビームを簡易に形成できるようになり、装置規模の縮小を図ることが可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係わるレーダ装置の構成を示すブロック図である。なお図1において図3と共通する部分には同一の符号を付し、ここでは異なる部分についてのみ説明する。
【0013】
図1においてアンテナ素子A1〜A3の受信信号は、それぞれアナログ/ディジタル変換器(A/D)1でディジタル信号に変換されたのち乗算器4に与えられる。各アンテナ素子A1〜A3に対する一つの乗算器4には、それぞれ和ビーム係数(WΣ)、差ビーム係数(WΔ)が時分割的に与えられる。
【0014】
そして、乗算器4による乗算結果は加算器5で加算され、和ビーム出力PΣ、差ビーム出力PΔが出力される。以上の構成では、和ビームPΣ、差ビームPΔを形成するためにそれぞれ3つの係数発生器2,3が必要であるが、乗算器4は合計で3つ、加算器5は2つで済む。
【0015】
図2のタイムチャートを参照して上記構成の動作を説明する。本実施形態では、図4に比して演算クロックを2倍にし、一つのサンプリング期間(t1,t2,t3,…)ごとに二つの演算パルスを与えるようにしている。このようにすると、各サンプリング期間ごとに和ビーム出力PΣ、差ビーム出力PΔを時分割的に得ることができる。
【0016】
このように本実施形態では、各アンテナ素子A1〜A3からの受信信号をA/D変換器でディジタル信号に変換したのち、ディジタルの各受信信号を乗算器4に入力する。そして、受信入力信号のクロックに対して2倍に多重化した演算クロックを与え、一つのサンプリング期間内に係数をWΣ,WΔに切り換えつつ、時間方向に多重化した複数の受信ビームPΣ,PΔを形成するようにしている。
【0017】
このように演算クロックを多重化し、一つのビーム形成回路を時分割的に多重して使用することにより、一つのサンプリング期間ごとに和ビーム出力PΣと差ビーム出力PΔとを得ることができる。すなわち、装置の規模を大きくすること無く、複数のビームを簡易に形成できるようになる。またその結果、装置規模の縮小を図ったレーダ装置を提供することが可能になる。
【0018】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えばビーム形成の数は2つに限らず、更に多くのビームを形成できる。このような場合にもハードウェア的な構成は図1と変わることなく、主として演算クロックの倍率を上げることで対処可能であるのでメリットは更に大きくなる。このほか、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施を行うことができる。
【0019】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、複数のビームを簡易に形成でき、装置規模の縮小を図ったレーダ装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わるレーダ装置の構成を示すブロック図。
【図2】 図1のレーダ装置の動作を説明するためのタイムチャート。
【図3】 従来のレーダ装置の構成を示すブロック図。
【図4】 図3のレーダ装置の動作を説明するためのタイムチャート。
【符号の説明】
A1,A2,A3…アンテナ素子
1…A/D(アナログ/ディジタル)変換器
2…係数発生器(Σビーム用)
3…係数発生器(Δビーム用)
4…乗算器
5…加算器
Claims (1)
- シストリックアレイ方式により複数の受信ビームを形成するレーダ装置において、
複数のアンテナ素子と、
所定のサンプリング期間ごとに、各アンテナ素子に到来したレーダエコーをそれぞれディジタル信号に変換する複数のアナログ/ディジタル変換手段と、
これらの複数のアナログ/ディジタル変換手段から出力される前記ディジタル信号にそれぞれビーム形成係数を乗算する複数の乗算器、およびこれらの乗算器の出力を順次加算する加算器とを備え、前記ビーム形成係数に応じた複数の受信ビームを形成するビーム形成回路とを具備し、
前記アナログ/ディジタル変換手段のサンプリング期間内に各受信ビームごとのビーム形成係数を前記複数の乗算器にそれぞれ与えることにより、前記複数の乗算器および加算器を前記複数のビーム間で共用するようにし、時間方向に多重化された複数のビームを生成することを特徴とするレーダ装置。
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Publications (2)
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