JP3788496B2 - 画像処理装置および画像処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力された画像データをその画像中の属性に応じて複数の画像データに分離する画像処理装置及び画像処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機のディジタル化の進展とともにファクシミリ機能やプリンタ機能との複合化が進んでいる。また、これらの機器やコンピュータ、プリンタなど、各種の機器がLANや回線などのネットワークを介して接続されたネットワークシステムが出現している。最近はこれらの機器のカラー化も進み、カラーFAXやカラープリンタも主流になりつつある。このようなネットワークシステムでは、例えば、解像度がそれぞれ異なる異機種装置間での相互接続や、カラー複写機と白黒複写機といったような色空間がそれぞれ異なる異機種装置間での相互接続が可能である。
【0003】
このような異機種装置間で画像データをやりとりする場合、通常は入力した原稿画像を1枚のプレーン画像として扱う。つまり1枚のプレーン画像に対して、入力側機器で原稿タイプを判別して原稿に適した画像処理をプレーン画像全体に施して出力側機器へ送信する。このように原稿画像を1枚のプレーン画像として扱った場合、原稿画像が文字のみ、あるいは写真のみといった1種類の属性の画像データだけで構成されるのであれば特に問題はない。しかし、文字と写真が混在しているような複数の属性の画像データから構成されている場合には不都合が生じる。例えば文字と写真が混在している画像データを圧縮しようとした場合、1枚のプレーン画像に対して同じ圧縮処理を施すので、適用する圧縮手法によっては文字部あるいは写真部のいずれかの圧縮率が低下して通信時間が長くなったり、あるいはいずれかの画質が劣化してしまうという問題があった。
【0004】
これに対し、入力原稿の画像の特徴を判別し、判別結果から画像を属性毎に分離して複数のプレーン画像に分けて扱う手法がある。図12は、入力画像データを複数のプレーン画像に分離する手法を用いる場合における各プレーン画像の具体例の説明図である。この例では、入力画像データから文字情報プレーンと絵柄情報プレーン、それに分離情報プレーンを生成する。例えば図12(A)に示したように赤い文字「ABCDE」と、青い文字列と、写真などの絵柄部分(矩形で囲んだ部分)が同じ画像中に存在している。なお、図示の都合上、青い文字列については線分によって示している。この場合、図12(B)に示すように赤い文字「ABCDE」および青い文字列の色成分のみからなる文字情報プレーンと、図12(D)に示すように文字部分を除いた絵柄部分や背景部分からなる絵柄画像プレーンに分離する。さらに、図12(B)に示す文字情報プレーンあるいは図12(D)に示す絵柄情報プレーンのいずれかを選択するために、図12(C)に示す分離情報プレーンが生成される。この分離情報プレーンには、文字の形状に関する情報が含まれる。
【0005】
このようにして、この例では入力された画像は3つのプレーンに分離される。分離された文字情報プレーンは色情報と大まかな領域情報を有していればよい。また、分離情報プレーンは、細かな文字形状の情報を有しているものの、文字情報プレーンあるいは絵柄情報プレーンのいずれかを選択できればよいので、2値のデータで構成することができる。また、絵柄情報プレーンは、写真データなどが含まれるが、文字のような細かなエッジはそれほど重要視されない。
【0006】
このように各プレーンの画像はそれぞれの特徴を有した画像に分離されているので、例えば文字画像プレーンには文字データに適した圧縮手法を、絵柄画像プレーンには絵柄(写真)データに適した圧縮手法を、さらに分離情報プレーンには2値データに適した圧縮手法を適用できる。そのため、圧縮率も向上し、また画質劣化もそれほど目立たなくなる。さらに、これら各プレーンに対して最適な解像度変換処理手法を用いて解像度を変換することによって、それぞれ影響の少ない範囲でデータ量を削減することが可能となる。
【0007】
このような方法の類似技術として例えば特開平8−186711号公報に記載されている符号化装置がある。この装置では、カラー画像から文字情報を抽出し、抽出した文字情報は可逆圧縮し、文字情報を除いた絵柄情報は解像度変換して非可逆圧縮を施すというものである。
【0008】
一般的に、このような複数のプレーン画像に分けて扱う画像処理手法においては、像域分離処理を行って原画像から分離情報プレーンを作成し、分離情報プレーンをもとに原画像から文字情報プレーンと絵柄情報プレーンを生成している。しかしながら、例えばスキャナなどの画像読取装置から入力した画像に対して、単純に分離情報プレーンから文字情報プレーンや絵柄情報プレーンを生成した場合には、以下に示すような問題点がある。
【0009】
図13は、一般的な文字情報プレーンの作成方法の一例の説明図である。図12にも示すように、文字情報プレーンは、文字部分を含む帯状領域について文字の色によって塗りつぶした情報として生成する。これによって、エッジ部を低減し、圧縮効率の向上をねらっている。このような文字情報プレーンを作成するため、例えば図13に示すような処理を行って、文字部分以外の領域に対する塗りつぶしを行っている。
【0010】
すなわち、分離情報プレーンを参照し、文字部分が検出されると、その文字部分の最初の画素の色によって、それまでの文字以外の部分を塗りつぶす。図13に示す例では、図13(A)に示す分離情報プレーンにおいて左側から調べてゆく。そして文字「A」の左側部分が検出されると、そのエッジ部分の色を入力画像データから検出し、図13(B)に示すように、検出した色によってそれまでの文字以外の部分について塗りつぶす。また、文字の内部については、入力画像データの色でそのまま埋める。さらに分離情報プレーンを調べてゆき、再び文字「A」の右側の足の部分の左側のエッジが検出されると、そのエッジ部分の色を入力画像データから検出して、その色によって文字「A」の足の間を塗りつぶす。このようにして文字の線分以外の部分について順次塗りつぶしてゆく。最後に、右端の文字の右端のエッジの色によって、領域の右端まで塗りつぶすことにより、図12(A)に示す入力画像データから図12(B)に示す文字情報プレーンを作成することができる。
【0011】
図14は、一般的な文字情報プレーンの作成方法により分離された文字情報プレーンの一例の説明図である。図13に示すような文字情報プレーンの作成方法を用いて、スキャナなどで読み取られた図12(A)に示す入力画像データから文字情報プレーンを作成すると、図12(B)に示すように一様な色領域とはならない。実際には、図14に示すように、同じ色の領域中に、比較的濃度の濃い文字部分と、文字部分に比べて濃度が低い部分とが存在し、低濃度部が文字の周囲に広がった画像になる。このような文字情報プレーンが作成されてしまうと、濃度の変化によって圧縮率が低下してしまう。また、画像を合成したときに文字中に濃淡ムラが発生してしまう。
【0012】
このような現象は、特にスキャナ等の画像読取装置で読み取った画像に対して高い頻度で発生する。これは、図13に示した従来の文字情報プレーンの生成方法自体がスキャナなどで読み取った画像を想定したものではなく、コンピュータで作成した画像、例えばプリンタ言語などから生成したラスター画像を想定しているためである。
【0013】
図15は、グラフィックス画像における濃度変化の一例の説明図、図16は、グラフィックス画像から作成した文字情報プレーンの一例における濃度変化の説明図である。図15に示すように、例えばコンピュータなどで作成したグラフィックス画像では、濃度や色の変化が急峻に現れる。また、文字領域であると認識される部分(図中の文字線画の幅a)では、どの位置でも濃度は一定である。上述の図13に示すような方法によって文字情報プレーンを作成する場合、文字線画のエッジ部分の濃度を利用する。ここでは、図15中の破線円内の濃度を利用して文字情報プレーンを作成することになる。グラフィックス画像の場合には、上述の図13に示すような方法によって文字情報プレーンを作成しても、図16に示すように、ほぼ平坦な濃度の文字情報プレーンが得られる。このような理想的な文字情報プレーンが得られると、濃度変化がないことから例えば解像度変換処理を行っても画質に影響はない。また、同じ濃度の画素が多く連続するため、高圧縮率で圧縮処理を行うことが可能である。
【0014】
図17は、画像読取装置によって入力した画像における濃度変化の一例の説明図、図18は、画像読取装置によって入力した画像から作成した文字情報プレーンの一例における濃度変化の説明図である。スキャナなどの画像読取装置を用いて入力した画像では、その特性上、図17に示すように濃度や色の変化が緩やかであり、例えば文字の1本の線の中でも中央部とエッジ部とで濃度が異なっている。画像読取装置で読み取る原画像において文字の幅がbであるとすると、分離情報プレーンを作成する際の閾値処理によって、線幅は図中のaで示す幅となる。さらに、そのような分離情報プレーンを用い、上述の図13に示すような方法によって文字情報プレーンを作成する場合、文字線画以外の部分は、文字の線のエッジ部分の濃度で埋められる。この文字線分のエッジ部分の濃度は、図17からも分かるように、線分の中央部に比べて濃度が低い。このように図17中の破線円内の濃度を利用して文字情報プレーンを作成するため、文字情報プレーンは図18に示すように、文字の線分内は高濃度であり、他の部分は低濃度となってしまう。このようにして、画像読取装置などを用いて読み取った画像については、図14に示すように文字部分の濃度が高く、他の部分の濃度が低い文字情報プレーンが作成されてしまう。
【0015】
このように濃度に違いがある文字情報プレーン対し、例えば解像度変換処理、特に投影法や4点補間法など注目画素に対して周辺画素を多く参照する手法を施した場合、文字線画部と背景部に濃度差のために文字線画エッジ部の濃度が変わってしまい、画質劣化が著しくなってしまう。また、このような文字情報プレーンに圧縮処理を施した場合には、文字線画部と背景部の濃度差によって同じ濃度の画素があまり連続せず、圧縮効率が低下するという問題もあった。このような問題は、分離情報プレーンを作成する際に用いる閾値Thを調整しても、言い換えれば分離情報抽出アルゴリズムがいかなるものであっても、画像読取装置で読み取った画像であれば多かれ少なかれ必ず発生するものである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、文字情報プレーンに解像度変換処理や圧縮処理を施しても、合成後の出力画像の画質劣化がほとんどなく、より高画質かつ高圧縮率で画像を送信あるいは蓄積可能な画像処理装置および画像処理方法を提供するとことを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、入力画像データから文字や線画などの色情報を有する第1画像データ、写真やグラフィックの第2画像データ、および前記第1画像データまたは前記第2画像データのいずれかを選択する選択データのうち少なくとも前記選択データ及び前記第1画像データを含む2以上の画像データを生成する画像処理装置および画像処理方法において、まず入力画像データから前記選択データを生成する。そして、生成した選択データを参照して、例えば選択データの有効画素データの端部を除去したり、有効画素データに対して収縮処理を施したり、有効画素データの中心点のみを残し、あるいは有効画素データに対応する入力画像データの濃度値から、2次選択データを生成する。この2次選択データに基づいて、入力画像データから色情報を検出して第1画像データを生成するとともに必要に応じて第2画像データを生成する。
【0018】
選択データから生成される2次選択データは、第1画像データ、あるいは第1画像データまたは第2画像データのいずれかに生成される文字線画の色情報の特定に用いられる。上述のように、選択データの有効画素データから端部を除去したり、有効画素データに対して収縮処理を施したり、有効画素データの中心点のみを残し、あるいは有効画素データに対応する入力画像データの濃度値から例えば濃度の高い部分を選択し、2次選択データを生成する。これによって、生成された2次選択データは、選択データの有効画素データのうち、エッジ部分を含まないデータとなる。そのため、例えば画像読取装置で読み取られた画像が入力画像データとして与えられた場合でも、文字線画の色情報として少なくとも線分のエッジ部を避けた位置の色情報を取得することができる。これによって、文字線画の色情報により生成された第1画像データは、濃度変化が少なく、例えば解像度変換処理や圧縮処理を施しても画質劣化がほとんどなく、より高画質かつ高圧縮率で画像を送信あるいは蓄積可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態を示すブロック構成図である。図中、1は色空間変換部、2は選択データ生成部、3は輝度信号抽出部、4は像域分離部、5は2次分離情報生成部、6は多層分離部、7,9,11は解像度変換部、8,10,12は圧縮部、13は画像フォーマットラッピング部である。
【0020】
色空間変換部1は、入力画像データを入力デバイスの色空間(例えばRGB色空間など)から所定の色空間(例えばCIE−L* * * などデバイスに依存しない色空間)に変換する。なお、所定の色空間で表現されている入力画像データが入力される場合には、この色空間変換部1を設けずに構成してもよい。
【0021】
選択データ生成部2は、第1画像データまたは第2画像データのいずれかを選択する選択データを生成する。以下、選択データが含まれる画像プレーンを分離情報プレーンと呼ぶ。選択データ生成部2は、輝度信号抽出部3および像域分離部4を有している。輝度信号抽出部3は、色空間変換部1で色空間変換された入力画像データから輝度成分(例えばCIE−L* * * 色空間であればL* 成分)だけを抽出する。像域分離部4は、輝度信号抽出部3で抽出した輝度信号に基づいて、画像を属性に応じて分離し、分離情報プレーンを生成して出力する。
【0022】
2次分離情報生成部5は、選択データ生成部2で生成された分離情報プレーンを参照し、2次選択データを生成する。以下の説明では、2次選択データを2次分離情報と呼ぶ。2次分離情報の生成方法は後述する。
【0023】
多層分離部6は、2次分離情報生成部5で生成された2次分離情報に従い、色空間変換部1で色空間変換された入力画像データを属性ごとに複数の画像データ、例えば第1画像データと第2画像データに分離する。ここでは、文字や線画などの色情報を有する画像データと、写真やグラフィックなどの画像データの2つの画像データに分離する例を示している。以下の説明では、文字や線画などの色情報を含む画像データを文字情報プレーン、写真やグラフィックなどの画像データを絵柄情報プレーンと呼ぶ。もちろん、多層分離部6で分離する画像データは2つに限られるものではないし、また、例えば写真とグラフィックスを別の画像データとして分離するなど、分離する属性も文字と絵柄に限られるものではない。また、絵柄部分がなければ絵柄情報プレーンを生成しなくてもよいし、一様な画像であれば、固定値を出力してプレーン画像を生成しないように構成することもできる。なお、以下の説明では、多層分離部6において文字や線画などの色情報を含む文字情報プレーンを生成する際には、2次分離情報に従って上述の図13で説明した方法と同様の方法を用いるものとする。図13における説明と異なるのは、2次分離情報を使用する点である。
【0024】
解像度変換部7は、文字情報プレーンに対して、文字画像に最適な手法で解像度変換処理を施す。もちろん、解像度変換処理が必要なければ設ける必要はない。圧縮部8は、文字情報プレーンに対して、文字画像に最適な手法で圧縮処理を施す。本発明では、文字情報プレーンとして文字線画の色の濃度変化が少なくなるように生成されているので、解像度変換処理を行っても画質にほとんど影響しない。また、濃度変化が少ないので、同様の濃度の画素が連続し、高圧縮率で圧縮処理を行うことが可能である。
【0025】
解像度変換部9は、絵柄情報プレーンに対して、写真やグラフィック画像に最適な手法で解像度変換処理を施す。もちろん、解像度変換処理が必要なければ設ける必要はない。圧縮部10は、絵柄情報プレーンに対して、写真やグラフィック画像に最適な手法で圧縮処理を施す。
【0026】
解像度変換部11は、選択データ生成部2で生成された分離情報プレーンに対して、分離情報プレーンに最適な手法で解像度変換処理を施す。もちろん、解像度変換処理が必要なければ設ける必要はない。圧縮部12は、分離情報プレーンに対して、分離情報プレーンに最適な手法で圧縮処理を施す。
【0027】
画像フォーマットラッピング部13は、解像度変換処理や圧縮処理が施された文字情報プレーン、絵柄情報プレーン、分離情報プレーンを所定の画像フォーマットに組み込んで出力する。出力されたデータは、例えば送信手段により送信したり、あるいは記憶装置などに格納することができる。
【0028】
なお、この例では多層分離部6において各情報プレーンに分離した後の処理として、解像度変換部7,9,11による解像度変換処理と、圧縮部8,10,12による圧縮処理を示しているが、これらの処理に限らず、種々の処理を行うことができる。特に、属性に応じて分離されたデータが処理対象であるので、属性に応じて異なる処理を施すことが望まれる処理を行うとよい。もちろん、選択データ生成部2および多層分離部6から出力される各情報プレーンをそのまま本発明の画像処理装置の出力としてもよい。また、色空間変換部1における色空間変換処理以外にも、入力画像データに対して一律に行う種々の画像処理を行ってもよい。
【0029】
図2は、本発明の実施の一形態における動作の一例を示すフローチャートである。まずS41において、入力画像データが色空間変換部1に入力される。入力画像データは、例えば原稿を入力する手段として図示しないスキャナなどの画像入力装置を用い、原稿をスキャン入力することができる。あるいは、予めCD−ROMやその他の大容量記憶メディアに記憶された画像データを入力したり、予めハードディスクなどの蓄積装置に蓄積された画像データを入力してもよい。さらにはデジタルカメラで撮影した画像データを入力してもよく、特に入力方法は限定されない。もちろん、コンピュータなどで作成したグラフィック画像が入力されてもよい。
【0030】
画像データが入力されると、S42において、色空間変換部1にて所定の色空間に変換する。入力機器に依存した色空間(例えばDeviceRGBなど)をデバイスに依存しない色空間(例えばCIE−L* * * など)に変換することによって、多様な出力機器に対して高品質な画像を提供できるようにすることができる。もちろん、入力画像データとしてデバイスに依存しない色空間の画像データが入力される場合には、この処理は必要ない。
【0031】
色空間変換が完了したら、S43において、選択データ生成部2の輝度信号抽出部3にて、画像データ中に含まれる輝度信号を抽出する。これは後段の像域分離部4が基本的に輝度信号をもとに像域分離処理するために行っている。例えば色空間変換部1でCIE−L* * * 色空間に変換したのであれば、L* 成分を輝度信号として抽出すればよい。また、像域分離部4が輝度信号以外の、例えば色差信号a* 、b* なども使って像域分離処理するのであれば、像域分離部4には色差信号を入力しなければならない。
【0032】
輝度信号を抽出したら、S44において、像域分離部4は像域分離処理を開始する。ここでは一例として、像域分離処理に輝度信号のみを参照し、分離情報プレーンには文字線画情報を抽出するものとする。像域分離方法については特に限定しない。一例としては、所定のブロック単位(8×8画素単位など)で属性を判定して、例えば
階調のちらばり大→文字線画領域
階調のちらばり小→文字線画以外の領域(写真領域/背景領域)
などのように像域分離することができる。もちろん、他の像域分離方式を用いてもよい。分離結果(=分離情報プレーン)は、ここでは後段の多層分離部6で2つのプレーンに分離するので、2つのプレーンのいずれかを選択可能な2値データで構成することができる。例えば文字線画と判定された画素には“1(黒)”を、それ以外の画素には“0(白)”を割り当てることができる。もちろん、逆の値であってもよい。以下の説明では、文字線画と判定された画素を有効画素データと呼ぶことがある。このようにして、白黒2値の分離情報プレーンが生成される。S45において、像域分離処理が完了したか否かを判定し、入力原稿1ページ分の全ブロックについて像域分離処理が完了するまでS44の像域分離処理を行う。
【0033】
像域分離処理が完了したら、S46において、2次分離情報生成部5で分離情報プレーンを参照して2次分離情報を生成する。ここでは分離情報プレーンに対して収縮処理を施すことによって、2次分離情報を生成するものとする。収縮処理とは基本的に文字線画を細める処理である。図3は、収縮処理前後の画像の具体例の説明図、図4は、収縮処理方法の一例の説明図である。例えば分離情報プレーンに、図3(A)に示したように“F”という文字が抽出されているとする。このとき、抽出された文字“F”に対して、文字線画の周囲1画素を収縮させる処理を施すことにより、2次分離情報は図3(B)に示すようになる。
【0034】
具体的な収縮処理アルゴリズムとしては、例えば図4(A)〜(E)に示す主走査方向と図4(F)に示す副走査方向に分け、それぞれ1×3画素ブロック単位、3×1画素ブロック単位で判定を行う。例えば主走査方向では、注目画素が“1”のとき、図4(B),(E)の場合には注目画素はそのままとし、図4(C),(D)のときは注目画素を“0”に置き換える。また、注目画素が“0”の場合もそのままとする。このような処理を分離情報プレーンのすべての画素が注目画素となるよう一通りスキャンして主走査方向の収縮処理を行う。副走査方向についても同様の判定により画素の置き換えを行う。そして、両者の結果の論理積をとる。これにより、主走査方向および副走査方向の両方に対して収縮処理を施した2次分離情報を得ることができる。
【0035】
図5は、収縮処理の一例における処理過程の具体例の説明図である。ここでは、図3に示した例における処理を示している。図3(A)と同様に、図5(A)に示す分離情報プレーンには文字“F”が抽出されている。この図5(A)に示す分離情報プレーンに対して、主走査方向に例えば図4(B)〜(E)に示す収縮処理を施すことによって、図5(B)に示すような情報が得られる。また、図5(A)に示す分離情報プレーンに対して、副走査方向に同様の収縮処理を施すことによって、図5(C)に示すような情報が得られる。この図5(B)および図5(C)に示す情報の論理積を演算することによって、図5(D)に示すように、主走査方向、副走査方向とも1画素ずつ収縮させた2次分離情報が得られる。
【0036】
なお、上述のように1画素だけ収縮する処理は、文字領域のエッジ部分の1画素を除去する処理と等価である。また、ここでは1画素だけ収縮する場合を示したが、収縮画素数については特に限定されない。また、この例のように主走査方向と副走査方向を分けて処理せず、3×3ウインドウサイズや5×5ウインドウサイズ等のフィルタを用いて主走査方向と副走査方向の収縮処理を同時に行ってもよい。また、別の収縮方式を用いるなど、収縮処理の方式は限定されない。さらに、ここでは主走査方向と副走査方向の両方について行ったが、例えば図13で説明したように文字情報プレーンを作成する際のスキャン方向が決まっている場合、その方向のみについて収縮処理を行うことができる。例えば文字情報プレーンを作成する際のスキャン方向が主走査方向であれば、図5(B)に示すように主走査方向のみ収縮させた情報を2次分離情報としてもよい。さらに、精度を増すため、主走査方向と副走査方向の両方について収縮処理を行った後、文字情報プレーンを作成する際のスキャン方向と直交する方向に膨張処理を施し、このとき付加する画素については文字線画の内部の色を使用するように指示するコードを付加しておいてもよい。
【0037】
S47において収縮処理の完了を判定し、収縮処理が終了するまでS46における収縮処理を繰り返す。
【0038】
収縮処理が完了したら、S48において、収縮処理を施して生成した2次分離情報を用いて、多層分離部6にて各プレーンを生成する。ここでは図12に示すように、文字線画部の色情報を文字情報プレーンに格納し、文字線画部以外の絵柄情報と背景画像を絵柄情報プレーンに格納する。もちろん、分離する情報はこの例に限られるものではない。例えばグラフィックデータをさらに別に分離するなど、多層分離部6で生成するプレーン数は2に限らない。なお、この例では選択データ生成部2で生成された分離情報プレーンをそのまま用いるので、分離情報プレーンを含めると3プレーンが生成される。
【0039】
多層分離部6にて生成する文字情報プレーンは、上述の図12(B)に示すように、文字を覆う領域に文字色を配した情報である。図6は、文字情報プレーン生成処理の一例の説明図である。例えば図6に示すように、8×8画素単位で2次分離情報を参照し、文字情報プレーンに分離すべきデータ(有効画素データ)が含まれていれば、対応する入力画像データの文字色を8×8画素の色情報として文字情報プレーンに格納すればよい。例えば図6(A)に示すように2次分離情報の8×8画素内に文字‘H’の形状が存在した場合、対応する文字色を図6(B)に示す入力画像データから取り出し、図6(C)に示すように8×8画素の色情報として文字情報プレーンに格納する。このとき、2次分離情報として分離情報プレーンに対して収縮処理を施している。そのため、図6(B)に示すように例えば画像読取装置で入力した画像のように、文字‘H’のエッジ部に低濃度部が存在していても、その低濃度部を選択することなく、文字線分の内部の色を抽出することができる。このような矩形領域ごとの色情報とすることによって、解像度変換処理における劣化をほとんどなくし、また高圧縮率で圧縮が可能となる。もちろん、処理単位は8×8画素に限らない。
【0040】
また、図6に示す方法の他、例えば上述の図13で示した方法を用いてもよい。この場合、文字情報プレーンを作成する際のスキャン方向と直交する方向に収縮処理が施されていると、収縮したラインについて文字領域が検出できなくなる。そのため、2次分離情報を生成する際に、文字情報プレーンを作成する際のスキャン方向にのみ収縮処理を行っておくとよい。さらに精度を増すため、主走査方向と副走査方向の両方について収縮処理を行った後、文字情報プレーンを作成する際のスキャン方向と直交する方向に膨張処理を施し、このとき付加する画素については文字線画の内部の色を使用するように指示するコードを付加しておいてもよい。このようにしておくと、例えば文字情報プレーンを作成する際のスキャン方向と平行した線分のエッジが位置するラインについても、文字線分の内部の色によって文字情報プレーンを生成することができる。
【0041】
なお、多層分離部6における文字情報プレーンの生成方法は、上述の2つの方法に限らず、他の種々の方法によって文字情報プレーンを生成してもよい。
【0042】
S49において各プレーンへの分離処理が終了したか否かを判定し、すべての色変換後の画像データについて分離処理が終了するまでS48における分離処理を行う。
【0043】
各プレーンへの分離処理が完了したら、S50において、解像度変換部7、解像度変換部9、解像度変換部11で各プレーンにそれぞれ解像度変換処理を施す。解像度変換アルゴリズムおよびパラメータについては任意である。文字情報プレーンには文字情報に適した解像度変換アルゴリズム、この例では色パレット情報に適した解像度変換アルゴリズムを適用すればよい。また、絵柄情報プレーンには写真、グラフィック画像などの絵柄情報に適した解像度変換アルゴリズムを適用すればよい。さらに、分離情報プレーンには選択データ、ここでは2値の文字線画の形状情報に適した解像度変換アルゴリズムを適用すればよい。また、解像度変換処理を施さないプレーンについては解像度変換を行わなくてよく、さらに解像度変換部を設けなくてもよい。
【0044】
各プレーンの解像度変換処理が完了したら、S51において解像度変換後の各プレーンに圧縮部8、圧縮部10、圧縮部12にて圧縮処理を施す。圧縮アルゴリズムおよびパラメータについては任意である。文字情報プレーンには文字情報、この例では色パレット情報に適した圧縮アルゴリズム、絵柄情報プレーンには写真・グラフィック画像などの絵柄情報に適した圧縮アルゴリズム、分離情報プレーンには選択データ(この例では文字線画の形状を示す2値データ)に適した圧縮アルゴリズムを適用すればよい。また圧縮処理を施さないプレーンについては圧縮処理を行わなくてよく、さらに圧縮処理部を設けなくてもよい。
【0045】
各プレーンの圧縮処理が完了したら、S52において、画像フォーマットラッピング部13にて各プレーンの画像データをまとめて1つの画像ファイルフォーマットに組み込む。画像ファイルフォーマットとしては、例えばTIFF(Tag Image File Format)やPDF(Portable Document Format)など、現在広く普及しているものを使ってもよいし、あるいは別の画像ファイルフォーマットを使ってもよく、特に限定されない。
【0046】
所定の画像ファイルフォーマットに組み込まれた画像データは、S53において、ネットワークもしくは公衆回線などを介して他の受信機器に送信される。送信時に受信機器を指定する方法としては、サリュテーションマネージャー(SLM)プロトコルを用いて複数の受信機器の中から特定の機器を指定したり、あるいは公衆回線を用いてFAXとして使用するのであれば相手の電話番号を入力してもよい。また、電子メールとして相手のメールアドレスを指定したり、あるいはそれ以外の方法によって受信機器を指定してもよく、方法は特に限定されない。また、送信せずに記憶装置に格納してもよい。
【0047】
この動作例における像域分離処理や2次分離情報の生成処理、各プレーン生成処理はページ単位で行っているが、これに限らず、例えば所定ライン、例えば8ブロックラインごとに、像域分離、2次分離情報生成、各プレーン生成の処理を行って、最終的に1ページを処理してもよい。
【0048】
以上述べたように、この動作例では、収縮処理を施した2次分離情報を使って原稿画像から文字情報プレーンを生成するので、例えば画像読取装置で読み取った画像が入力された場合でも、エッジ部の低濃度部により文字情報プレーンが作成されることなく、線内の高濃度部によって理想的な文字情報プレーンを作成することができる。このため各プレーンに解像度変換処理や圧縮処理を施しても画質劣化がほとんどなく、より高画質かつ高圧縮率な画像送信を実現することができる。また、送信を行わない場合にも、データ量を削減することができるので、記憶容量などの削減を図ることができる。
【0049】
図7は、本発明の実施の一形態における動作の別の例を示すフローチャートである。ここでは特に、2次分離情報生成部5における処理の別の例を示す。また、それに伴って、生成される2次分離情報も異なる。
【0050】
まずS61において、入力画像データが色空間変換部1に入力される。入力画像データは、上述の動作例と同様、例えばスキャナなどの画像読取装置により原稿をスキャン入力したり、あるいは、例えば予めCD−ROMやその他の大容量記憶メディアに記憶された画像データを入力したり、予めハードディスクなどの蓄積装置に蓄積された画像データを入力してもよい。さらにはデジタルカメラで撮影した画像データを入力してもよく、特に入力方法は限定されない。
【0051】
画像データが入力されると、S62において、色空間変換部1にて所定の色空間に変換する。入力機器に依存した色空間(例えばDeviceRGBなど)をデバイスに依存しない色空間(例えばCIE−L* * * など)に変換する。この色空間変換によって、多様な出力機器に対して高品質な画像を提供することができる。もちろん、入力画像データとしてデバイスに依存しない色空間の画像データが入力される場合には、この処理は必要ない。
【0052】
色空間変換が完了したら、S63において、選択データ生成部2の輝度信号抽出部3にて、画像データ中に含まれる輝度信号を抽出する。例えば後段の像域分離部4が輝度信号を基本として像域分離処理を行う場合には、色空間変換部1でCIE−L* * * 色空間に変換したのであれば、L* 成分を輝度信号として抽出すればよい。また、像域分離部4が輝度信号以外の、例えば色差信号a* 、b* なども使って像域分離処理するのであれば、像域分離部4には色差信号を入力しなければならない。
【0053】
輝度信号を抽出したら、S64において、像域分離部4は像域分離処理を開始する。ここでは一例として、像域分離処理に輝度信号のみを参照し、分離情報プレーンには文字線画情報を抽出するものとする。像域分離方法については特に限定しない。一例としては、所定のブロック単位(例えば8×8画素単位など)で属性を判定して、例えば
階調のちらばり大→文字線画領域
階調のちらばり小→文字線画以外の領域(写真領域/背景領域)
などのように像域分離することができる。もちろん、他の像域分離方式を用いてもよい。分離結果(=分離情報プレーン)は、ここでは2つのプレーンに分離するために必要な2値データで構成することができる。例えば文字線画と判定された画素には“1(黒)”を、それ以外の画素には“0(白)”を割り当てることができる。もちろん、逆の値であってもよい。この例においても、文字線画と判定された画素を示す値が付された画素を、有効画素データと呼ぶことがある。このようにして、白黒2値の分離情報プレーンが生成される。S65において、像域分離処理が完了したか否かを判定し、1ページ分の入力画像データの全ブロックについて像域分離処理が完了するまでS64の像域分離処理を行う。
【0054】
1ページ分の入力画像データについての像域分離処理が完了したら、S66において、2次分離情報生成部5で分離情報プレーンを参照し、有効画素データの中心点を求め、2次分離情報を生成する。有効画素データの中心点とは、分離情報プレーンに抽出した文字線画の各線分の中心のことで、あるスキャン方向について両端のエッジから等距離にある画素のことである。図8は、有効画素データの中心点の一例の説明図である。例えば画像読取装置などによってスキャン入力された入力画像データについて、例えば上述のS64において説明したようにして像域分離部4で分離情報プレーンを生成すると、例えば原稿上で線幅bの線は図8においてaとして示した部分が線として認識される。ここで、線の領域aについて、左右のエッジからそれぞれY画素の点が中心点である。
【0055】
図9は、有効画素データの中心点の具体例の説明図である。ここでは図9(A)に示すように、分離情報プレーンに“F”という文字が抽出されている場合を考え、主走査方向についての有効画素データの中心点を求める。図9(A)において、黒く塗りつぶした部分が有効画素データである。図9において主走査方向を水平方向にとっているので、水平方向に見て黒く塗りつぶされた有効画素データの列の中心点を求めてゆく。このような処理を各ラインについて行うことにより、図9(B)に示すような2次分離情報が得られる。
【0056】
図10は、有効画素データの中心点を求める処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、図7におけるS66において行われる処理である。まずS81において、1ライン分の2次分離情報を保持するラインバッファを初期化する。初期化する値としては、有効画素データ以外であればよく、例えば‘0’(白)で初期化することができる。
【0057】
次にS82において、分離情報プレーンの1ラインのデータを順に調べ、文字線画が存在する有効画素データ(図9では黒く塗りつぶした画素)を検出する。有効画素データを検出したら、S83において、その画素から連続する有効画素データのカウントを開始する。S84において、カウント終了、すなわち連続する有効画素データが途切れたか否かを判定し、有効画素データが途切れるまでカウントを続ける。有効画素データが途切れたら、S85において、中心点の相対位置を算出する。ここでは
相対位置=カウント値/2
で算出する。中心点の相対位置を算出したら、S86において中心位置を算出する。ここでは
中心位置=連続する有効画素データの開始位置+相対位置
とする。中心位置を算出したら、S87において、ラインバッファ上の該当位置を有効画素データで置き換える。
【0058】
S88において、1ラインの処理が終了したか否かを判定し、終了していない場合にはS82へ戻って、次の連続した有効画素データの中心点を求める処理を行う。1ライン分の処理が終了したら、この処理を終了する。
【0059】
以上の処理により、1ラインについて、有効画素データの中心点からなる2次分離情報を得ることができる。このような処理を、図7のS66,S67で繰り返すことにより、1ページ分のすべてのラインについて、順次、有効画素データの中心点を求めてゆき、2次分離情報を生成する。
【0060】
なお、上述の説明では主走査方向に対してのみ中心点を算出した場合を述べたが、さらに副走査方向に対して中心点を求めたものを2次分離情報とするなど、中心点の算出方法は特に限定されるものではない。
【0061】
図7に戻り、S67において分離情報プレーン中の有効画素データの中心点を求める処理の完了を判定し、1ページ分の処理が終了するまで、S66における例えば図8に示した処理を繰り返す。
【0062】
有効画素データの中心点を求める処理が完了したら、S68において、2次分離情報を用いて多層分離部6にて各プレーンを生成する。ここでは図12に示すように、文字線画部の色情報を文字情報プレーンに格納し、文字線画部以外の絵柄情報と背景画像を絵柄情報プレーンに格納する。もちろん、分離する情報はこの例に限られるものではない。S69において各プレーンへの分離処理が終了したか否かを判定し、すべての色変換後の画像データについて分離処理が終了するまでS68における分離処理を行う。
【0063】
文字情報プレーンの作成方法については、例えば図6で説明したように8×8画素単位で2次分離情報を参照し、有効画素データが含まれていれば、その有効画素データの位置に対応する入力画像データの色情報を8×8画素単位全体の色として格納する。上述のように、2次分離情報は文字線画の中心点を有効画素データとして保持しているので、例えば画像読取装置などによって読み取った画像であっても、エッジ部の低濃度部が採用されることなく、線の中心部の高濃度部によって文字情報プレーンを生成することができる。なお、単位の大きさは8×8画素に限られるものではなく、任意の大きさを設定することができる。
【0064】
また文字情報プレーンの作成方法として、上述の図13で説明したように、有効画素データが検出された時点で、その有効画素データに対応する入力画像データの色情報によって、それまでの領域を塗りつぶす方法も採用することができる。この場合も、文字や線画の線の中心点を2次分離情報の有効画素データとして求めているので、線の中心部における色によって塗りつぶしが行われる。そのため、良好な文字情報プレーンを作成することができる。もちろん、このほかの文字情報プレーンの作成方法を用いてもよい。
【0065】
各プレーンの生成が完了したら、S70において、解像度変換部7、解像度変換部9、解像度変換部11で各プレーンにそれぞれ解像度変換処理を施す。解像度変換アルゴリズムおよびパラメータについては任意である。文字情報プレーンには文字情報に適した解像度変換アルゴリズム、この例では色パレット情報に適した解像度変換アルゴリズムを適用すればよい。また、絵柄情報プレーンには写真、グラフィック画像などの絵柄情報に適した解像度変換アルゴリズムを適用すればよい。さらに、分離情報プレーンには選択データ、ここでは2値の文字線画の形状情報に適した解像度変換アルゴリズムを適用すればよい。また、解像度変換処理を施さないプレーンについては解像度変換を行わなくてよく、さらに解像度変換部を設けなくてもよい。
【0066】
各プレーンの解像度変換処理が完了したら、S71において解像度変換後の各プレーンに圧縮部8、圧縮部10、圧縮部12にて圧縮処理を施す。圧縮アルゴリズムおよびパラメータについては任意である。文字情報プレーンには文字情報、この例では色パレット情報に適した圧縮アルゴリズム、絵柄情報プレーンには写真・グラフィック画像などの絵柄情報に適した圧縮アルゴリズム、分離情報プレーンには選択データ(この例では文字線画の形状を示す2値データ)に適した圧縮アルゴリズムを適用すればよい。また圧縮処理を施さないプレーンについては圧縮処理を行わなくてよく、さらに圧縮処理部を設けなくてもよい。
【0067】
各プレーンの圧縮処理が完了したら、S72において、画像フォーマットラッピング部13にて各プレーンの画像データをまとめて1つの画像ファイルフォーマットに組み込む。画像ファイルフォーマットとしては、例えばTIFF(Tag Image File Format)やPDF(Portable Document Format)など、現在広く普及しているものを使ってもよいし、あるいは別の画像ファイルフォーマットを使ってもよく、特に限定されない。
【0068】
所定の画像ファイルフォーマットに組み込まれた画像データは、S73において、ネットワークもしくは公衆回線などを介して他の受信機器に送信される。送信時に受信機器を指定する方法としては、サリュテーションマネージャー(SLM)プロトコルを用いて複数の受信機器の中から特定の機器を指定したり、あるいは公衆回線を用いてFAXとして使用するのであれば相手の電話番号を入力してもよい。また、電子メールとして相手のメールアドレスを指定したり、あるいはそれ以外の方法によって受信機器を指定してもよく、方法は特に限定されない。また、送信するほか、例えば記憶装置に格納してもよい。
【0069】
また、上述の動作の説明では、像域分離処理や2次分離情報生成処理、各プレーン生成処理はページ単位で行っているが、これに限らず、例えば所定ライン、例えば8ブロックラインごとに、像域分離、2次分離情報生成、各プレーン生成の各処理を行って、最終的に1ページを処理してもよい。
【0070】
以上述べたように、この動作例によれば、分離情報プレーンから算出した文字線画の中心点からなる2次分離情報を使って、入力画像データから文字情報プレーンを生成するので、例えば画像読取装置等により読み取った画像が入力された場合でも、理想的な文字情報プレーンが作成できる。このため各プレーンに解像度変換処理や圧縮処理を施しても画質劣化がほとんどなく、より高画質かつ高圧縮率な画像送信を実現することができる。また、送信を行わない場合にも、データ量を削減することができるので、記憶容量などの削減を図ることができる。
【0071】
以上、2つの動作例において、それぞれ2次分離情報の生成方法を説明した。本発明は、これらのほか、種々の2次元分離情報の生成方法を適用することが可能である。その1つとして、例えば、分離情報プレーンに抽出された有効画素データの位置に相当する入力画像データの濃度分布を所定ウインドウサイズ単位で算出し、濃度分布に応じて動的に閾値を決定して、その閾値によって入力画像から2次分離情報を生成することができる。もちろん、それ以外の方法で2次分離情報を生成してもよく、特にこれらの例に限定されるものではない。
【0072】
図11は、本発明の画像処理装置および画像処理方法の応用例を示すシステム構成図である。図中、31,32は送信機器、33〜35は受信機器、36はネットワークである。この例では、上述の実施の形態で説明した本発明の画像処理装置および画像処理方法を送信機器に組み込んで、ネットワークを介した画像通信に用いる例を示している。
【0073】
送信機器31,32は、スキャナやデジタルカメラなどの画像読取装置で入力された画像や、グラフィック機能によって作成された画像、ネットワークを介して図示しないホストコンピュータ等から受信した電子文書等を、ネットワーク36を介して画像データを送信するものである。この送信機器31,32は、上述の本発明の画像処理装置または画像処理方法を含んでいる。受信機器33〜35は、ネットワーク36を介して送信機器31もしくは送信機器32から送信されてきた所定の画像フォーマットの画像データを受信し、蓄積装置に蓄積したり、ディスプレイ装置への表示や紙などの被記録媒体に記録して出力する。ネットワーク36は、公衆回線やLANなどのネットワーク回線で構成されており、送信機器31,32および受信機器33〜35を相互に接続している。なお図11では、わかりやすくするために送信機器と受信機器の機能をそれぞれ独立させているが、それぞれが送信機能と受信機能を備えた複合機であってもよい。
【0074】
例えば送信機器31から画像を送信する場合、本発明の実施の一形態で説明したようにして、送信すべき画像に適した分離処理によって1以上のデータを生成し、それぞれ所定の画像処理を施した後、圧縮し、画像フォーマットラッピング処理によって1つにまとめて送信する。分離された各データは、属性によって最適に分離されているため、各属性に最適な画像処理および圧縮処理がなされる。特に本発明では、2次分離情報を用いて分離処理を行っているので、文字情報プレーンに濃淡が顕著に現れることはない。そのため、各プレーンに解像度変換処理や圧縮処理を施しても画質劣化がほとんどなく、より高画質かつ高圧縮率な画像送信を実現することができる。また、データ量も少なくすることができるので、高速な送信を行うことができる。
【0075】
受信機器33〜35では、送信機器31からネットワーク36を介して送られてきた情報を受信し、文字情報プレーン、絵柄情報プレーン、分離情報プレーンなどに分解する。もちろん、例えば絵柄情報プレーンがない場合など、いずれかのプレーンが送信されない場合もある。その場合には、受信情報から送られてこなかったプレーンを新たに作成すればよい。そして、各プレーンの解像度を合わせた後、画素ごとに、分離情報プレーンに従って文字情報プレーンまたは絵柄情報プレーンのいずれかの画素を選択する。これによって元の画像を復元することができる。復元した画像は、例えば蓄積装置に蓄積したり、ディスプレイ装置で表示したり、あるいは記録装置によって紙などの被記録媒体に記録して出力することができる。
【0076】
もちろん、本発明の応用としては図11に示したシステム構成に限られるものではなく、画像通信を伴う各種の画像通信機器や、画像の蓄積を伴う各種の機器に適用可能である。もちろん、通信や蓄積のための手段を具備しない画像処理装置単体として構成してもよい。
【0077】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、選択データを参照して、例えば選択データの有効画素データの端部を除去したり、有効画素データに対して収縮処理を施したり、有効画素データの中心点のみを残し、あるいは有効画素データに対応する入力画像データの濃度値から、2次選択データを生成する。そして、生成した2次選択データに従って、文字線画の色情報を含む画像データを生成する。これによって、生成された画像データは、入力画像データが例えば画像読取装置などで読み取られた画像であっても、エッジの低濃度部に影響されることなく、線の内部の色によって濃淡の少ない画像として生成することができる。そのため、例えば解像度変換処理や圧縮処理を施しても画質劣化がほとんどなく、より高画質で、かつデータ量も少なく、また高圧縮率を実現することが可能となる。これによって、例えば高速な画像送信を実現し、また、記憶容量などの削減を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の一形態を示すブロック構成図である。
【図2】 本発明の実施の一形態における動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】 収縮処理前後の画像の具体例の説明図である。
【図4】 収縮処理方法の一例の説明図である。
【図5】 収縮処理の一例における処理過程の具体例の説明図である。
【図6】 文字情報プレーン生成処理の一例の説明図である。
【図7】 本発明の実施の一形態における動作の別の例を示すフローチャートである。
【図8】 有効画素データの中心点の一例の説明図である。
【図9】 有効画素データの中心点の具体例の説明図である。
【図10】 有効画素データの中心点を求める処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】 本発明の画像処理装置および画像処理方法の応用例を示すシステム構成図である。
【図12】 入力画像データを複数のプレーン画像に分離する手法を用いる場合における各プレーン画像の具体例の説明図である。
【図13】 一般的な文字情報プレーンの作成方法の一例の説明図である。
【図14】 一般的な文字情報プレーンの作成方法により分離された文字情報プレーンの一例の説明図である。
【図15】 グラフィックス画像における濃度変化の一例の説明図である。
【図16】 グラフィックス画像から作成した文字情報プレーンの一例における濃度変化の説明図である。
【図17】 画像読取装置によって入力した画像における濃度変化の一例の説明図である。
【図18】 画像読取装置によって入力した画像から作成した文字情報プレーンの一例における濃度変化の説明図である。
【符号の説明】
1…色空間変換部、2…選択データ生成部、3…輝度信号抽出部、4…像域分離部、5…2次分離情報生成部、6…多層分離部、7,9,11…解像度変換部、8,10,12…圧縮部、13…画像フォーマットラッピング部、31,32…送信機器、33〜35…受信機器、36…ネットワーク。

Claims (28)

  1. 入力画像データから文字や線画などの色情報を有する第1画像データ、写真やグラフィックの第2画像データ、および前記第1画像データまたは前記第2画像データのいずれかを選択する選択データのうち少なくとも前記選択データ及び前記第1画像データを含む2以上の画像データを生成する画像処理装置において、前記入力画像データから前記選択データを生成する選択データ生成手段と、前記選択データ生成手段によって生成された前記選択データを参照して2次選択データを生成する2次選択データ生成手段と、前記2次選択データ生成手段によって生成された前記2次選択データに基づいて前記入力画像データから前記色情報を検出して前記第1画像データを生成するとともに必要に応じて前記第2画像データを生成する画像データ生成手段を有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記選択データ生成手段は、前記選択データとして前記入力画像データから文字線画情報を抽出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記選択データ生成手段は、特定の色情報に基づいて前記入力画像データから前記選択データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  4. 前記2次選択データ生成手段は、前記選択データに対して少なくとも所定方向の前記第1画像データを選択する有効画素データの端部を除去することにより前記2次選択データを生成することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  5. 前記2次選択データ生成手段は、前記選択データの少なくとも所定方向の前記第1画像データを選択する有効画素データに対して収縮処理を施すことにより前記2次選択データを生成することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  6. 前記2次選択データ生成手段は、前記選択データに対して少なくとも所定方向の前記第1画像データを選択する有効画素データの中心点のみを残す処理を行うことにより前記2次選択データを生成することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  7. 前記2次選択データ生成手段は、前記選択データの少なくとも所定方向の前記第1画像データを選択する有効画素データに対応する前記入力画像データの濃度値に基づいて前記2次選択データを生成することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  8. 入力画像データから文字や線画などの色情報を有する第1画像データおよび該第1画像データを選択するか否かを示す選択データを生成する画像処理装置において、前記入力画像データから前記選択データを生成する選択データ生成手段と、前記選択データ生成手段によって生成された前記選択データを参照して2次選択データを生成する2次選択データ生成手段と、前記2次選択データ生成手段によって生成された前記2次選択データに基づいて前記入力画像データから前記色情報を検出して前記第1画像データを生成する画像データ生成手段を有することを特徴とする画像処理装置。
  9. 前記選択データ生成手段は、前記選択データとして前記入力画像データから文字線画情報を抽出することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
  10. 前記選択データ生成手段は、特定の色情報に基づいて前記入力画像データから前記選択データを生成することを特徴とする請求項8に記載の画像処理装置。
  11. 前記2次選択データ生成手段は、前記選択データに対して少なくとも所定方向の前記第1画像データを選択する有効画素データの端部を除去することにより前記2次選択データを生成することを特徴とする請求項8ないし請求項10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  12. 前記2次選択データ生成手段は、前記選択データの少なくとも所定方向の前記第1画像データを選択する有効画素データに対して収縮処理を施すことにより前記2次選択データを生成することを特徴とする請求項8ないし請求項10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  13. 前記2次選択データ生成手段は、前記選択データに対して少なくとも所定方向の前記第1画像データを選択する有効画素データの中心点のみを残す処理を行うことにより前記2次選択データを生成することを特徴とする請求項8ないし請求項10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  14. 前記2次選択データ生成手段は、前記選択データの少なくとも所定方向の前記第1画像データを選択する有効画素データに対応する前記入力画像データの濃度値に基づいて前記2次選択データを生成することを特徴とする請求項8ないし請求項10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  15. 入力画像データから文字や線画などの色情報を有する第1画像データ、写真やグラフィックの第2画像データ、および前記第1画像データまたは前記第2画像データのいずれかを選択する選択データのうち少なくとも前記選択データ及び前記第1画像データを含む2以上の画像データを生成する画像処理方法において、前記入力画像データから前記選択データを選択データ生成手段で生成し、該選択データを参照して2次選択データを2次選択データ生成手段で生成し、画像データ生成手段により前記2次選択データに基づいて前記入力画像データから前記色情報を検出して前記第1画像データを生成するとともに必要に応じて前記第2画像データを生成することを特徴とする画像処理方法。
  16. 前記選択データは、前記入力画像データから文字線画情報を抽出することによって生成することを特徴とする請求項15に記載の画像処理方法。
  17. 前記選択データは、特定の色情報に基づいて前記入力画像データから生成することを特徴とする請求項15に記載の画像処理方法。
  18. 前記2次選択データは、前記選択データに対して少なくとも所定方向の前記第1画像データを選択する有効画素データの端部を除去することにより生成することを特徴とする請求項15ないし請求項17のいずれか1項に記載の画像処理方法。
  19. 前記2次選択データは、前記選択データの少なくとも所定方向の前記第1画像データを選択する有効画素データに対して収縮処理を施すことにより生成することを特徴とする請求項15ないし請求項17のいずれか1項に記載の画像処理方法。
  20. 前記2次選択データは、前記選択データに対して少なくとも所定方向の前記第1画像データを選択する有効画素データの中心点のみを残す処理を行うことにより生成することを特徴とする請求項15ないし請求項17のいずれか1項に記載の画像処理方法。
  21. 前記2次選択データは、前記選択データの少なくとも所定方向の前記第1画像データを選択する有効画素データに対応する前記入力画像データの濃度値に基づいて生成することを特徴とする請求項15ないし請求項17のいずれか1項に記載の画像処理方法。
  22. 入力画像データから文字や線画などの色情報を有する第1画像データおよび該第1画像データを選択するか否かを示す選択データを生成する画像処理方法において、前記入力画像データから前記選択データを選択データ生成手段で生成し、該選択データを参照して2次選択データを2次選択データ生成手段で生成し、画像データ生成手段により前記2次選択データに基づいて前記入力画像データから前記色情報を検出して前記第1画像データを生成することを特徴とする画像処理方法。
  23. 前記選択データは、前記入力画像データから文字線画情報を抽出することによって生成することを特徴とする請求項22に記載の画像処理方法。
  24. 前記選択データは、特定の色情報に基づいて前記入力画像データから生成することを特徴とする請求項22に記載の画像処理方法。
  25. 前記2次選択データは、前記選択データに対して少なくとも所定方向の前記第1画像データを選択する有効画素データの端部を除去することにより生成することを特徴とする請求項22ないし請求項24のいずれか1項に記載の画像処理方法。
  26. 前記2次選択データは、前記選択データの少なくとも所定方向の前記第1画像データを選択する有効画素データに対して収縮処理を施すことにより生成することを特徴とする請求項22ないし請求項24のいずれか1項に記載の画像処理方法。
  27. 前記2次選択データは、前記選択データに対して少なくとも所定方向の前記第1画像データを選択する有効画素データの中心点のみを残す処理を行うことにより生成することを特徴とする請求項22ないし請求項24のいずれか1項に記載の画像処理方法。
  28. 前記2次選択データは、前記選択データの少なくとも所定方向の前記第1画像データを選択する有効画素データに対応する前記入力画像データの濃度値に基づいて生成することを特徴とする請求項22ないし請求項24のいずれか1項に記載の画像処理方法。
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