JP3788272B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体や液晶表示素子(LCD)製造に用いられるドライエッチング装置、スパッタ装置、CVD装置等のプラズマ処理装置に関し、特に基板の冷却又は加熱のための伝熱手段としてガスを用いたプラズマ処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体製造装置におけるシリコン基板のプラズマ処理装置において、しばしば基板の冷却又は加熱のための伝熱手段として基板裏面と電極の間にヘリウム等の不活性ガスを充満させる方法が用いられる。以下、従来のドライエッチング装置の構成を図6と図7を参照しながら説明する。
【0003】
図7は従来のプラズマ処理装置の下部電極の概略構成図である。図7において下部電極37の中心には中心穴42があり、伝熱ガス供給手段43にて外部の低圧ヘリウム供給手段(図示せず)に接続されている。下部電極37の周囲にはシールリング44が配設され、下部電極37の上面には中心穴42に連通した伝熱ガスを拡散するための拡散溝50が形成されている。拡散溝50の深さは250μm程度が一般的である。また、下部電極37の基板載置面(凸面)45は包絡面が所定の等圧分布圧力を受ける被処理基板のたわみ曲面である階段状に形成されており、下部電極の階段の段差は、d1=50〜100μmとなるように形成されている。下部電極37の内部には冷却水路46があり、冷却水が循環可能になっている。
【0004】
以上のように構成されたドライエッチング装置について、以下その動作について図6を参照して説明する。図7と同一の部分には同一の符号を付しその説明は省略する。被処理基板36を下部電極37の上に載せ、下部電極37の周囲上方に待機している円環状または矩形環状のクランプリング47を下降させて下部電極37の基板載置面(凸面)45に沿わせて被処理基板36を押し付ける。その後、真空ポンプ32で真空容器31中の空気を排気し、反応ガス供給口34から微量のエッチングガスを導入しつつ、高周波電源41により高周波電力を印加して下部電極37と上部電極33の間にプラズマを作り、被処理基板36をエッチングする。
【0005】
この間、プラズマは高温であるため被処理基板36が加熱されるので、伝熱ガス供給手段43により500Pa前後の圧力のヘリウムガスを充満させる。ヘリウムガスは中心穴42から吹き出し、下部電極37の上面の拡散溝に充満する。ヘリウムガスは流動性がよいので、被処理基板36からよく熱を奪い、冷却水路46中の冷却水により冷却された下部電極37に熱を伝えて、被処理基板36がプラズマの熱で加熱され、レジストが変質することを防止する。また、被処理基板36の温度を一定かつ均一に保ってエッチング特性を良好にする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年被処理基板上の薄膜の高精細化に伴い、従来では問題にならなかった基板のプラズマ処理後に階段形状が被処理基板上の薄膜に転写される問題が発生した。これは従来の一般的な50〜100μmの段差を有する下部電極を用いた基板処理装置では、被処理基板と下部電極との距離変化が大きく、局所的な温度のばらつきや、プラズマ密度のばらつき等により、エッチング速度や成膜速度のばらつきが生じ、エッチングや成膜が均一にならず、基板処理後に階段形状が被処理基板36上に転写されるためである。
【0007】
また、特に大型基板(四角形状のガラス基板)の処理の際には、ヘリウムガスを充満させる空間が大きくなり、ヘリウムガスの調圧時間や排気時間が長くなり、基板の処理時間が長くなるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、プラズマ処理が均一で安定しており、冷却ガス量が少なくコントロールが容易なプラズマ処理装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願発明のプラズマ処理装置は、真空容器と、真空排気手段と、反応ガス供給手段と、一対の電極と、一方の電極に被処理基板を押し付ける基板クランプ手段と、少なくとも一方の電極への高周波電力供給手段と、被処理基板裏面と電極との間に伝熱ガスを充満させる伝熱ガス供給手段とを有し、前記被処理基板が配置される電極の前記被処理基板載置面は、鉛直方向の段差d1が20μm≦d1≦30μmである階段形状を持った凸形状の載置面であり、かつ、前記段差d1より小さい深さの放射状の拡散溝が設けられたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1〜図5に本発明の実施の形態を示す。
【0014】
(実施の形態1)
図1は実施例におけるプラズマ処理装置の構成を示す図である。図1において、1は真空容器、2は真空排気ポンプ(真空排気手段)である。3は下面にガス吹出し口を有する上部電極で、上部に図示していない反応ガス供給手段と接続した反応ガス供給口4を有し、アース5で接地されている。6はLCDガラス基板や半導体シリコンウエハなどの被処理基板である。7は下部電極であり、絶縁板8に載置されており、端子9を通じてコンデンサ10、高周波電源11に接続されている。
【0015】
下部電極7の中心には中心穴12があり、伝熱ガス供給手段13で外部の低圧ヘリウム供給手段(図示せず)に接続されている。下部電極7の周囲にはシールリング14が配設され、下部電極7の上面には浅い階段形状15が分布している。下部電極7の内部には冷却水路16があり、冷却水が循環されている。下部電極7の周囲上方には円環状または矩形環状のクランプリング17が配設され、支持棒18で支持されている。支持棒18はベローズ19により真空シールされて外部の昇降装置(図示せず)により上下動する。下部電極7の基板載置面(凸面)は包絡面が球面または所定の等圧分布圧力を受ける被処理基板6のたわみ曲面である階段状に形成されている。
【0016】
図2に四角形状の基板に対応する下部電極の詳細、図3に円形状の基板に対応する下部電極の詳細を示す。図2および図3において下部電極の階段形状の鉛直方向の段差d1は25μm以下となるように形成されている。これは、段差d1の値を変化させ、実際にプラズマ処理を実施したところ、エッチング速度や成膜速度のばらつきを問題とならない程度に小さくすることができるのは、段差d1が25μm以下の場合であった。この段差d1が25μmであれば、段差d1が50μmのときに比較して、ヘリウムガスが充満する空間の容量は1/2となり、安定時間と排気時間も約半分に短縮することができる。
【0017】
また、下部電極7上面には、伝熱ガスをすばやく被処理基板6裏面の全面にいきわたらせるための拡散溝21が設けられている。拡散溝21の深さd2は、階段状段差d1よりも浅く、かつ25μm未満である。従来、装置タクトを遅らせないためには、拡散溝深さd2は250μm程度が必要とされてきたが、今回の実験により、25μm未満でも伝熱ガスが十分な速度で被処理基板6裏面全面にいきわたり、十分に熱伝達が均一に行なわれることがわかった。拡散溝21深さd2は、階段状段差d1よりも浅いため、下部電極7の上方から見ると、連続した形状の溝ではなく、断続した形状の溝になる。
【0018】
このような下部電極の階段の段差と拡散溝を用いることにより、下部電極7の形状に起因する、被処理基板6と下部電極7との距離の違いや微小な温度の違い等によって生じるエッチング速度や成膜速度のばらつきを極力小さくすることができ、被処理基板6全面で高均一なプラズマ処理を施せる。また、ヘリウムガスが充満する空間の容量が極力小さくできるため、ヘリウムガスを供給開始してから所定の圧力に達するまでの安定時間と、プラズマ処理後にヘリウムガス供給を停止してから所定の圧力に排気する排気時間を、大幅に短縮することができる。
【0019】
なお、本実施の形態では段差d1を25μmとしたが、段差d1が20μm≦d1≦30μmであれば、段差d1を25μmの時とほぼ同様に、エッチング速度や成膜速度のばらつきを極力小さくすることができ、ヘリウムガスの供給時間と排気時間を短縮することができる。
【0020】
(実施の形態2)
図4に四角形状の基板に対応する下部電極の詳細、図5に円形状の基板に対応する下部電極の詳細を示す。図4および図5において、実施の形態1と同様の部分には同一の符号を付しその説明は省略する。
【0021】
図4および図5において、下部電極7の基板載置面(凸面)は、所定の等圧分布圧力を受ける被処理基板のたわみ曲面に形成されており、実施の形態1のように、階段の段差は存在しない。下部電極7の基板載置面(凸面)は、ショットブラスト加工あるいはショットピーニング加工等の機械加工により、中心線平均粗さ(Ra)20〜100μmに形成されている。このショットブラスト加工あるいはショットピーニング加工とは、硬度の高い小球等を加工対象表面に急速かつ連続的に打ち当てて、加工対象表面に無数の丸い窪みを形成し表面を梨地状に加工するもものである。
【0022】
これにより下部電極7の形状に起因する、被処理基板と下部電極7との距離の違いや微小な温度の違い等によって生じるエッチング速度や成膜速度のばらつきを極力小さくすることができ、被処理基板表面の全面に高均一なプラズマ処理を施せる。
【0023】
ここでは、被処理基板の裏面と下部電極7の基板載置面(凸面)の間には、平均20〜100μmの空間ができ、伝熱ガスを被処理基板の裏面全面に、すばやく拡散させることができる。
【0024】
さらに、下部電極の基板載置面(凸面)を加工する際に、ショットブラスト加工あるいはショットピーニング加工で表面加工できるため、階段形状や拡散溝を加工するのに比べ、加工時間を大幅に短縮でき、下部電極の製作コストを低下することが出来る。
【0025】
また、実施の形態1と同様に、ヘリウムガスが充満する空間の容量を極力小さくできるため、ヘリウムガスを供給開始してから所定の圧力に達するまでの安定時間と、プラズマ処理後にヘリウムガス供給を停止してから所定の圧力に排気する排気時間を、大幅に短縮することができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明のプラズマ処理装置によれば、下部電極の基板載置面(凸面)と被処理基板裏面の空間を最適にすることで、プラズマ処理中に被処理基板と下部電極との距離の違いや微小な温度の違い等によって生じる下部電極の基板載置面(凸面)形状が被処理基板に与える影響を小さくすることができ、高均一で、不良のないプラズマ処理が可能となる。また、冷却に必要な伝熱ガスの量が少なく、そのコントロールが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のプラズマ処理装置の構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態1の四角形状の下部電極の詳細を示す図
【図3】本発明の実施の形態1の円形状の下部電極の詳細を示す図
【図4】本発明の実施の形態2の四角形状の下部電極の詳細を示す図
【図5】本発明の実施の形態2の円形状の下部電極の詳細を示す図
【図6】従来のプラズマ処理装置の構成を示す図
【図7】従来の下部電極の詳細を示す図
【符号の説明】
1 真空容器
2 真空排気ポンプ(真空排気手段)
3 上部電極
7 下部電極
11 高周波電源
13 伝熱ガス供給手段
15 階段形状
17 クランプリング(基板クランプ手段)
Claims (1)
- 真空容器と、真空排気手段と、反応ガス供給手段と、一対の電極と、一方の電極に被処理基板を押し付ける基板クランプ手段と、少なくとも一方の電極への高周波電力供給手段と、被処理基板裏面と電極との間に伝熱ガスを充満させる伝熱ガス供給手段とを有し、前記被処理基板が配置される電極の前記被処理基板載置面は、鉛直方向の段差d1が20μm≦d1≦30μmである階段形状を持った凸形状の載置面であり、かつ、前記段差d1より小さい深さの放射状の拡散溝が設けられたことを特徴とするプラズマ処理装置。
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