JP3787187B2 - 感放射線組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般に放射線に感応するポジ型感放射線組成物に関するものであり、更に詳しくは半導体集積回路作製用ポジ型レジストに関する。
【0002】
【従来の技術】
大規模集積回路(LSI)の高集積化の必要性が高まるにつれて、フォトリソグラフィ技術に対し、超微細加工技術が求められている。この要求に対して、従来のg線(波長436nm)やi線(波長365nm)よりも短波長である遠紫外線(例えば、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)、ArFエキシマレーザー光(波長193nm))を露光装置の光源として利用することが試みられている。しかしながら、この遠紫外線を光源とした場合は、光の強度が弱いため露光時間が長くかかるということが問題であった。これを解決するために化学増幅型レジストが検討されている。
【0003】
化学増幅型レジストとは、例えばポジ型の場合、アルカリ現像液に可溶な樹脂に酸の作用により脱保護するような置換基を導入して溶解抑制効果をもたせた樹脂と光または電子線などの放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、光酸発生剤と称する)を含有する感放射線組成物である。この組成物に光や電子線を照射すると、光酸発生剤から酸が生じ、露光後の加熱(PEB)により、酸が溶解抑制効果を与えていた置換基を脱保護する。この結果、露光部分がアルカリ可溶性となり、アルカリ現像液で処理することにより、ポジ型のレジストパターンが得られる。この時、酸は触媒として作用し、微量で効果を発揮する。また、PEBにより酸の動きが活発になり、連鎖反応的に化学反応が促進され、感度が向上する。しかしながら、露光部で発生した酸の一部が未露光部まで移動し、その結果未露光部の一部がアルカリ可溶性となり、レジストパターンが細ったり、目的とする微細パターンが得られない現象を招きやすかった。また、酸の移動は露光からPEBまでの間(以下、この時間を引き置き時間と称する。)にも起こり、引き置き時間が1時間以上経過した後に現像処理を行うと、レジストパターンが著しい寸法変動を起こし、実作業上問題であった。このような問題を解決するために、レジスト中にアミン化合物を添加し、未露光部に移動してきた酸を中和するという技術が、特開昭63−149640号、特開平5−127369号、特開平6−266111号各公報等に記載されている。しかしながら、レジスト中にアミン化合物を添加すると、露光部分に生じた酸の一部も中和してしまい、感度の低下が生じるという欠点を有する。これに対し、光酸発生剤の添加量を増加すれば発生する酸の量が多くなり、感度は向上するが、光酸発生剤が光を吸収する量も多くなり、光が基板まで十分に届かなくなり、解像性が低下する。又、良好な感度を得るために、ビスフェノールAのようなアルカリ可溶性の低分子化合物の水酸基をtert−ブトキシカルボニル基で保護した化合物を溶解阻害剤として添加するという技術も特開平6−266110号公報に記載されているが、低分子化合物の添加により、レジストの耐熱性が低下するという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、かかる問題を解決し、遠紫外線を用いたフォトリソグラフィ技術において、高感度で微細なレジストパターンの形成ができ、引き置き時間が長時間に及んでもレジストパターンの寸法安定性が良好であり、かつ、耐熱性の良好な感放射線組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる問題を解決すべく鋭意研究した結果、下記構造単位(I)を含む樹脂A、下記構造単位(II)を含む樹脂B、
【0006】
【化2】
【0007】
(ただし、R1 、R2 、R3 、R7 、R8 、及びR9 はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、R4 及びR5 はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1以上10以下のアルキル基を表し、R6 及びR10は炭素数1以上10以下のアルキル基を表す。また、R4 とR5 あるいはR4 とR6 とが互いに結合して、炭素数3以上10以下の環を形成していてもよい。)
放射線により酸を発生する化合物C、及び該化合物Cにより発生した酸に対して塩基として作用する有機化合物Dを含有してなる感放射線組成物を用いることによって、上記目的が達成できることを見いだした。
【0008】
以下に本発明に関わる感放射線組成物を具体的に説明する。
まず、本発明の感放射線組成物の第1成分である構造単位(I)を含む樹脂Aについて説明する。樹脂Aは、フェノール骨格を有するアルカリ可溶性樹脂をベース樹脂とし、その水酸基の一部または全部を適切なアセタール化剤によりアセタール化、またはケタール化剤によりケタール化して保護したものである。フェノール骨格を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えばポリビニルフェノール類、又はヒドロキシスチレン類と他のビニル系モノマーとの共重合体等が挙げられる。ポリビニルフェノール類としては、具体的には、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(o−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(m−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(p−ヒドロキシフェニル)プロピレンなどのヒドロキシスチレン類の単独または2種以上をラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤またはカチオン重合開始剤の存在下で重合した樹脂が用いられる。また、重合後樹脂の吸光度を下げるために水素添加を行なったものを用いてもよい。又、上記共重合体としては、上述のヒドロキシスチレン類と、アクリル酸、ビニルアルコールまたはこれらの誘導体等のビニル系モノマーとの共重合体が挙げられる。
【0009】
これらの樹脂の分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(GPC測定)で7,000〜100,000が好ましい。7,000よりも低い場合は、レジストの耐熱性が低くなり、100,000よりも高い場合は、アルカリ現像液に対する溶解性が低く低感度となる傾向がある。フェノール骨格を有するアルカリ可溶性樹脂としてはポリビニルフェノール類が好ましく、構造単位(I)において、特にR1 〜R3 が水素原子の場合が好ましい。
【0010】
アセタール化またはケタール化により導入される保護基としては、構造単位(I)において、R4 〜R6 がそれぞれ独立にC1 〜C4 のアルキル基である保護基か、R4 とR6 が連結して5又は6員環を形成した基が好ましい。特に、1−エトキシエチル基又はテトラヒドロピラール基が好ましい。これらの保護基の具体例としてはメトキシメチル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−n−プロポキシエチル基、1−イソプロポキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−tert−ブトキシエチル基、1−n−ペンチルオキシエチル基、1−n−ヘキシルオキシエチル基、1−シクロペンチルオキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−メトキシ−1−メチルエチル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、2−オキシリル基、2−オキセチル基、2−オキセピル基、2−オキソキル基、2−オキソニル基、2−オキセキル基等が挙げられる。なお、ベース樹脂にポリビニルフェノールを用いて前記の保護基が導入されたモノマー単位の割合は、前者が10〜60モル%が好ましい。保護基が導入されたモノマー単位の含有比が10モル%よりも低い場合は、アルカリ現像液に対する溶解性が高く、レジストパターンが膜減りを起こす可能性があり、また60モル%よりも高い場合は感度が劣る傾向がある。
【0011】
次に、本発明の感放射線組成物の第2成分である構造単位(II)を含む樹脂Bについて説明する。樹脂Bは、フェノール骨格を有するアルカリ可溶性樹脂をベース樹脂とし、その水酸基の一部または全部を適切なエステル化剤によりエステル化して保護したものである。フェノール骨格を有するアルカリ可溶性樹脂としては樹脂Bと同様の樹脂が挙げられる。これらの樹脂の分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(GPC測定)で1,000〜100,000が好ましい。1,000よりも低い場合は、樹脂Bとして添加した際レジストの耐熱性が低くなる怖れがあり、100,000よりも高い場合は、アルカリ現像液に対する溶解性が低く、低感度となる怖れがある。樹脂Bに於ても、フェノール骨格を有するアルカリ可溶性樹脂としては、ポリビニルフェノール類が好ましく、特に式(II)のR7 〜R9 の水素原子が好ましい。また、エステル化により導入される保護基としては、イソプロポキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等のR10がC1 〜C10の保護基が挙げられるが、特に、tert−ブトキシカルボニル基であるのが好ましい。なお、ベース樹脂にポリビニルフェノールを用いて前記の保護基が一部導入された場合は、保護基が導入されたモノマー単位とフェノール性水酸基を有するモノマー単位からなる共重合体構造をもつが、その割合は前者が10〜60モル%、後者が90〜40モル%が好ましい。保護基が導入されたモノマー単位の含有比が10モル%よりも低い場合は、アルカリ現像液に対する溶解性が高く、レジストパターンが膜減りを起こす可能性があり、また、60モル%よりも高い場合は感度が劣る傾向がある。この樹脂Bの添加目的は、感度の向上である。すなわち、上記の保護基、特にtert−ブトキシカルボニル基が導入された樹脂Bに光酸発生剤から発生した酸が作用すると、保護基が脱離し、さらに脱離した保護基が分解して水素イオンが発生する。この水素イオンが酸として作用するため、最初に作用する酸が少量でも高感度が得られることを利用したものである。したがって、光酸発生剤より発生した酸に対して塩基として作用する有機化合物を添加した際、露光部分に生じた酸の一部が中和されても感度の低下が抑えられると考えられる。また、樹脂Bは高分子であるのでレジストの耐熱性を低下させることもない。
【0012】
本発明の感放射線組成物中における樹脂Bの含有量は、本発明の効果を達成しうる割合であれば特に限定されないが通常樹脂Aの100重量部に対して、1〜900重量部が好ましく、樹脂A100重量部に対して10〜400であるのが更に好ましい。樹脂Bの含有量が1重量部より少ない場合は、感度が低下する傾向があり、また、900重量部よりも多い場合は、解像性が低下する傾向にある。
【0013】
次に、本発明の感放射線組成物の第3成分である化合物Cについて説明する。当該化合物は、光または電子線などの放射線の照射により酸を発生する化合物であり、一般には有機ハロゲン化合物、スルホン酸エステル、オニウム塩、ジアゾニウム塩、ジスルホン化合物等の公知の化合物、及びこれらの混合物が使用可能である。具体的には、例えば、トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリブロモメチル)−6−p−メトキシフェニル−s−トリアジンなどのハロアルキル基含有s−トリアジン類、1,2,3,4−テトラブロモブタン、1,1,2,2−テトラブロモエタン、四臭化炭素、ヨードホルムなどのハロゲン置換パラフィン系炭化水素類、ヘキサブロモシクロヘキサン、ヘキサクロロシクロヘキサン、ヘキサブロモシクロドデカンなどのハロゲン置換シクロパラフィン系炭化水素、ビス(トリクロロメチル)ベンゼン、ビス(トリブロモメチル)ベンゼンなどのハロアルキル基含有ベンゼン誘導体、トリブロモメチルフェニルスルホン、トリクロロメチルフェニルスルホン等のハロアルキル基含有スルホン化合物類、2,3−ジブロモスルホランなどのハロゲン含有スルホラン化合物、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどのハロアルキル基含有イソシアヌレート類、トリフェニルスルホニウムクロライド、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメチルスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネートなどのスルホニウム塩、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメチルスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネートなどのヨードニウム塩、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、1,2,3−トリ(p−トルエンスルホニル)ベンゼン、p−トルエンスルホン酸ベンゾインエステル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸ブチル、1,2,3−トリ(メタンスルホニル)ベンゼン、メタンスルホン酸フェニル、メタンスルホン酸ベンゾインエステル、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、トリフルオロメタンスルホン酸ブチル、1,2,3−トリ(トリフルオロメタンスルホニル)ベンゼン、トリフルオロメタンスルホン酸フェニル、トリフルオロメタンスルホン酸ベンゾインエステルなどのスルホン酸エステル類、ジフェニルジスルホンなどのジスルホン類、ジ(フェニルスルホニル)ジアゾメタンなどのスルホンジアジド類、o−ニトロベンジル−p−トルエンスルホネートなどのo−ニトロベンジルエステル類、N,N’−ジ(フェニルスルホニル)ヒドラジドなどのスルホンヒドラジド類などが挙げられる。
【0014】
本発明の感放射線組成物における化合物Cの含有量は、樹脂Aの100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましい。化合物Cの含有量が0.1重量部より少ない場合は感度が低くなる傾向があり、20重量部よりも多い場合は、化合物Cが光を吸収する量が多くなり、光が基板まで十分にとどかなくなり、解像性が低下する傾向がある。
【0015】
次に、本発明の感放射線組成物の第4成分である有機化合物Dについて説明する。該有機化合物Dは、上記の光酸発生剤から生じた酸に対して塩基として作用する化合物である。即ち、上記の如き光酸発生剤から生じた酸を中和しうる化合物であれば、特に限定されないが、塩基として無機化合物を用いると、パターン形成後、レジストを除去した後に微量の残査が生じ、悪影響を与えることから、有機塩基を用いる。有機塩基とは、含窒素化合物から選ばれる有機アミン化合物が好適である。具体的には、例えば下記式(III)
【0016】
【化3】
【0017】
(ただし、式(III)中、R11、R12、R13、R14は水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基を表す。また、ここで、アルキル基、アルコキシ基、アシロキシ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基のアルキル部分は炭素数が1〜10であり、アリール基、アリールオキシ基のアリール部分は炭素数が3〜10である。R11、R12、R13、R14は少なくとも2つが同一でも、互いに異なっていてもよい。)
で表されるピリミジン化合物、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等の炭素数1以上4以下のヒドロキシアルキル基で置換されたアミン類、4−アミノフェノール、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール等のアミノフェノール類等が挙げられる。
【0018】
その中でも上記式(III)で示されるピリミジン化合物が好ましく、中でも式(III)中、R11〜R14の少なくとも1つが水素原子以外の基であるのが好ましく、さらに、少なくとも1つがアミノ基又はヒドロキシ基であるのが好ましく、特に少なくとも1つがアミノ基であるのが好ましい。かかるピリミジン化合物の具体例としては、ピリミジン、2−アミノピリミジン、4−アミノピリミジン、5−アミノピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、2,5−ジアミノピリミジン、4,5−ジアミノピリミジン、4,6−ジアミノピリミジン、2,4,5−トリアミノピリミジン、2,4,6−トリアミノピリミジン、4,5,6−トリアミノピリミジン、2,4,5,6−テトラアミノピリミジン、2−ヒドロキシピリミジン、4−ヒドロキシピリミジン、5−ヒドロキシピリミジン、2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,5−ジヒドロキシピリミジン、4,5−ジヒドロキシピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2,4,5−トリヒドロキシピリミジン、2,4,6−トリヒドロキシピリミジン、4,5,6−トリヒドロキシピリミジン、2,4,5,6−テトラヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4−ヒドロキシピリミジン、2−アミノ−5−ヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4,5−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、4−アミノ−2,5−ジヒドロキシピリミジン、4−アミノ−2,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4−メチルピリミジン、2−アミノ−5−メチルピリミジン、2−アミノ−4,5−ジメチルピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメチルピリミジン、4−アミノ−2,5−ジメチルピリミジン、4−アミノ−2,6−ジメチルピリミジン、2−アミノ−4−メトキシピリミジン、2−アミノ−5−メトキシピリミジン、2−アミノ−4,5−ジメトキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメトキシピリミジン、4−アミノ−2,5−ジメトキシピリミジン、4−アミノ−2,6−ジメトキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−メチルピリミジン、2−ヒドロキシ−5−メチルピリミジン、2−ヒドロキシ−4,5−ジメチルピリミジン、2−ヒドロキシ−4,6−ジメチルピリミジン、4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルピリミジン、4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルピリミジン、2−ヒドロキシ−4−メトキシピリミジン、2−ヒドロキシ−5−メトキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4,5−ジメトキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシピリミジン、4−ヒドロキシ−2,5−ジメトキシピリミジン、4−ヒドロキシ−2,6−ジメトキシピリミジン等が挙げられる。
【0019】
本発明の感放射線組成物における有機化合物Dの含有量は、化合物Cの含有量に対して、0.1〜100モル%が好ましく、さらに好ましくは、1〜50モル%である。0.1モル%より少ない場合は解像性が低く、100モル%よりも多い場合は、低感度となる傾向がある。
本発明の感放射線組成物には、上記の各成分のほかに必要に応じて、染料、顔料、界面活性剤等を含有させることができる。
【0020】
本発明の感放射線組成物は、上記各成分を適当な溶媒に溶かして用いる。溶媒としては、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶媒、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングルコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのプロピレングリコール系溶媒、2−ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン系溶媒、あるいはこれらの混合溶媒、あるいはさらに芳香族炭化水素を添加したものなどが挙げられる。
【0021】
次に、本発明の感放射線組成物を用いたレジストパターンの形成方法について説明する。上記の溶媒に溶かした本発明の感放射線組成物を半導体基板上に塗布し、プリベーク、露光によるパターンの転写、露光後の加熱、現像の各工程を経てレジストパターンを得ることができる。半導体基板は、通常、半導体製造用基板として使用されているものであり、シリコン基板、ガリウムヒ素基板などである。塗布には通常、スピンコーターが使用され、露光には、高圧水銀灯の436nm光、365nm光、低圧水銀灯の254nm光、またはエキシマレーザーなどを光源とする157nm光、193nm光、222nm光、248nm光が用いられる。露光の際の光は、単色光でなくブロードであってもよい。また、位相シフト法による露光も適用可能である。
【0022】
現像液には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などの無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミンなどの第1級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどの第2級アミン類、トリエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミンなどの第3級アミン類、テトラメチルアンモニウムハイドロオキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキシドなどの第4級アンモニウム塩、もしくはこれにアルコール、界面活性剤などを添加したものを使用することができる。
本発明の感放射線組成物は、超LSIの製造のみならず、一般のIC製造用、マスク製造用、画像形成用、液晶画面製造用、カラーフィルター製造用あるいはオフセット印刷用としても有用である。
【0023】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、実施例により何等制約を受けない。
合成例1 テトラヒドロピラニル化ポリ(p−ビニルフェノール)の合成
窒素導入管、攪拌機、温度計を備えた500mlの4ツ口フラスコに、ポリ(p−ビニルフェノール)(重量平均分子量12,000)12gを入れ、酢酸エチル150mlを加えて溶解し、さらに3,4−ジヒドロ−2H−ピラン6.6gを加えた。これに、12Nの塩酸0.15mlを滴下し、攪拌しながら40℃で4時間反応させた。反応後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mlを加えて反応液を中和した後、酢酸エチル層を分液した。酢酸エチル層は、洗液が中性になるまで水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥した酢酸エチル溶液を約100mlに濃縮した後、1500mlのn−ヘキサン中に滴下してポリマーを析出させ、濾別後、室温で10時間真空乾燥することによって、14.5gのテトラヒドロピラニル化ポリ(p−ビニルフェノール)を得た。合成したテトラヒドロピラニル化ポリ(p−ビニルフェノール)のテトラヒドロピラニル化率は、 1H−NMR分析の結果、31%であった。なお、テトラヒドロピラニル化率は、 1H−NMRスペクトルにおけるテトラヒドロピラニル基のメチンのプロトンのピーク(5.4ppm)面積とベンゼン環のプロトンのピーク(6.6ppm)面積を比較することによって決定した。
【0024】
合成例2 1−エトキシエチル化ポリ(p−ビニルフェノール)の合成
窒素導入管、攪拌機、温度計を備えた500mlの4ツ口フラスコに、ポリ(p−ビニルフェノール)(重量平均分子量41,000)15gを入れ、酢酸エチル175mlを加えて溶解し、さらにエチルビニルエーテル7.7gを加えた。これに、12Nの塩酸0.15mlを滴下し、攪拌しながら40℃で4時間反応させた。反応後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mlを加えて反応液を中和した後、酢酸エチル層を分液した。酢酸エチル層は、洗液が中性になるまで水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥した酢酸エチル溶液を2000mlのn−ヘキサン中に滴下してポリマーを析出させた後、濾別し、室温で10時間真空乾燥することによって、17gの1−エトキシエチル化ポリ(p−ビニルフェノール)を得た。合成した1−エトキシエチル化ポリ(p−ビニルフェノール)の1−エトキシエチル化率は、 1H−NMR分析の結果、26%であった。なお、1−エトキシエチル化率は、 1H−NMRスペクトルにおける1−エトキシエチル基のメチンのプロトンのピーク(5.3ppm)面積とベンゼン環のプロトンのピーク(6.6ppm)面積を比較することによって決定した。
【0025】
合成例3 tert−ブトキシカルボニルオキシ化ポリ(p−ビニルフェノール)(1)の合成
窒素導入管、攪拌機、温度計を備えた500mlの4ツ口フラスコに、ポリ(p−ビニルフェノール)(重量平均分子量2,500)36gを入れ、アセトン150mlを加えて溶解し、さらに4−ジメチルアミノピリジン0.1gを加えて40℃に加熱した。これに、ジ−tert−ブチルジカーボネート17.7gをゆっくり滴下し、攪拌しながら40℃で4時間反応させた。反応後、反応溶液を1500mlの水中に滴下してポリマーを析出させ、1時間懸洗した後、濾別した。得られたポリマーをアセトン100mlに溶解した後、再び、1500mlの水中に滴下してポリマーを析出させ、1時間懸洗した後、濾別した。得られたポリマーは再度、アセトン100mlに溶解した後、1500mlの水中に滴下してポリマーを析出させ、1時間懸洗した後、濾別し、室温で24時間真空乾燥することによって、44gのtert−ブトキシカルボニルオキシ化ポリ(p−ビニルフェノール) (1)を得た。熱分解による重量減少率測定の結果から、合成したtert−ブトキシカルボニルオキシ化ポリ(p−ビニルフェノール) (1)のtert−ブトキシカルボニルオキシ化率は、27%であった。
【0026】
合成例4 tert−ブトキシカルボニルオキシ化ポリ(p−ビニルフェノール)(2)の合成
窒素導入管、攪拌機、温度計を備えた500mlの4ツ口フラスコに、ポリ(p−ビニルフェノール)(重量平均分子量12,000)36gを入れ、アセトン150mlを加えて溶解し、さらに4−ジメチルアミノピリジン0.1gを加えて40℃に加熱した。これに、ジ−tert−ブチルジカーボネート17.7gをゆっくり滴下し、攪拌しながら40℃で4時間反応させた。反応後、反応溶液を1500mlの水中に滴下してポリマーを析出させ、1時間懸洗した後、濾別した。得られたポリマーをアセトン100mlに溶解した後、再び、1500mlの水中に滴下してポリマーを析出させ、1時間懸洗した後、濾別した。得られたポリマーは再度、アセトン100mlに溶解した後、1500mlの水中に滴下してポリマーを析出させ、1時間懸洗した後、濾別し、室温で24時間真空乾燥することによって、44gのtert−ブトキシカルボニルオキシ化ポリ(p−ビニルフェノール)(2)を得た。熱分解による重量減少率測定の結果から、合成したtert−ブトキシカルボニルオキシ化ポリ(p−ビニルフェノール) (2)のtert−ブトキシカルボニルオキシ化率は、27%であった。
【0027】
合成例5 tert−ブトキシカルボニルオキシ化ビスフェノールAの合成
窒素導入管、攪拌機、温度計を備えた500mlの4ツ口フラスコに、ビスフェノールA24gを入れ、テトラヒドロフラン200mlを加えて溶解し、さらに4−ジメチルアミノピリジン0.1gを加えて40℃に加熱した。これに、ジ−tert−ブチルジカーボネート50gをゆっくり滴下し、攪拌しながら40℃で4時間反応させた。反応後、反応溶液を500mlの水中に滴下して白色の固体を析出させた。この固体を水で3回洗浄した後、室温で24時間真空乾燥することによって、35gのtert−ブトキシカルボニルオキシ化ビスフェノールAを得た。
【0028】
実施例1〜4
(1)レジスト感光液の調製
表−1に示す処方にしたがって、構造単位(I)を含む樹脂A、構造単位(II)を含む樹脂B、光酸発剤(化合物C)、及び有機塩基(有機化合物D)を溶媒に溶かした後、0.2μmのメンブレンフィルターでろ過することによって、レジスト感光液(S1)〜(S4)を調製した。
【0029】
【表1】
【0030】
(2)レジストパターンの形成及び評価
表−1のレジスト感光液をシリコン基板上にスピンコートし、ホットプレート上で表2の条件でプリベークを行い、膜厚0.75μmのレジスト膜とした。このシリコン基板上のレジスト膜をニコン社製KrFエキシマレーザー縮小投影露光装置(NA=0.42)を用い、1〜100mJ/cm2のエネルギー量で露光した後、ホットプレート上で表2の条件でポストベークを行った。その後、このレジスト膜をテトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38重量%水溶液で1分間現像することによって、レジストパターンを形成させた。このようにして得られたレジストパターンを用いて、表−2に示した感度、解像度、耐熱温度の評価を行った。次に、前記の露光処理後、1時間経過したもの(引き置き1時間後のもの)をホットプレート上で表−2の条件でポストベークを行い、その後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38重量%水溶液で1分間現像することによって、レジストパターンを形成させた。このようにして得られたレジストパターンを用いて、表−2に示した引き置き1時間後の寸法変動の評価を行った。
なお、それぞれの評価は、次に示す通りの基準で行なった。
【0031】
〔感度〕
レジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、0.40μmのライン アンド スペースが規定の線幅通りに解像するのに要した露光量(適正露光量)を感度とした。露光量が低い方が高感度であることを示している。
〔解像度〕
上記適正露光量において解像しているライン アンド スペースのうち、膜減りをすることなく解像している最も細いライン アンド スペースの線幅を解像度とした。
【0032】
〔耐熱温度〕
レジストパターンを100℃から10℃ずつ昇温した温度で5分間加熱後、パターンを観察し、変形が生じない最も高い温度を耐熱温度とした。
〔引き置き1時間後のレジストパターンの寸法変動〕
引き置き0時間において、上記適正露光量で解像している0.4μmのラインアンド スペースの線幅と引き置き1時間後において、同一の露光量で解像している0.4μmのライン アンド スペースの線幅を比較した。
結果を表−2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
比較例1〜4
(1)レジスト感光液の調製
表−3に示す処方にしたがって、構造単位(I)を含む樹脂A、構造単位(II)を含む樹脂B、光酸発生剤(化合物C)、及び有機塩基(有機化合物D)を溶媒に溶かした後、0.2μmのメンブレンフィルターでろ過することによって、レジスト感光液(R1 )〜(R4 )を調製した。
(2)レジストパターンの形成及び評価
表−3のレジスト感光液を用いて表−4に示す条件でプリベークを行ない、実施例1〜4と同様にしてレジストパターンを形成し、評価についても実施例1〜4と同様に行なった。
結果を表−4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】
【発明の効果】
本発明の感放射線組成物は、高感度で高解像性であり、引き置き時間が長時間に及んでもレジストパターンの寸法変動を生じることなく、かつ、耐熱性に優れている。このことより、LSI、超LSI製造時のフォトリソグラフィ技術において、優れた効果を発揮し、工業的に極めて有用である。
Claims (1)
- 構造単位(I)を含む樹脂A、構造単位(II)を含む樹脂B、
放射線により酸を発生する化合物C、及び該化合物Cにより発生した酸に対して塩基として作用する有機化合物Dを含有してなる感放射線組成物であって、有機化合物Dが、炭素数1以上4以下のヒドロキシアルキル基で置換されたアミン類、アミノフェノール類、または式(III)で表されるピリミジン化合物である感放射線組成物。
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