JP4060922B2 - 感放射線性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は一般に放射線に感応する感放射線性組成物に関するものであり、特に半導体集積回路作成用のポジ型レジストとして好適な感放射性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路の高集積度化は、一般に言われるように3年間に4倍のスピードで進行し、例えばダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー(DRAM)を例にとれば、現在では、64Mビットの記憶容量を持つものの本格生産が開始されている。それにともない集積回路の生産に不可欠のフォトリソグラフィー技術に対する要求も年々きびしくなってきている。例えば、64MDRAMでは0.35μmルールのリソグラフィー技術が必要とされ、高集積度化の進んだ256MDRAMでは0.25μmルールのリソグラフィー技術が必要とされている。これにともない、それぞれのリソグラフィーのレベルに対応できるレジストの開発が切望されている。
【0003】
さらに、集積回路の工業生産にとって、加工寸法の微細化に伴い解像力と並んで様々な特性が重要視されている。集積回路の大量生産には微細加工プロセスのスループットが高いことが必要であり、レジストでは感度が高いこと、画像形成時のプロセスも、より短い時間で十分な性能を出すことが求められている。
【0004】
超微細化が進んでいる今日ではレジストの露光に用いられる波長も、水銀灯のi線(365nm)からKrFエキシマレーザ光(248nm)へと短波長化が進んでおり、このような短波長露光に適したポジ型レジストとして、化学増幅型ポジ型フォトレジストが種々提案されている(特公平2−27660、特開昭63−27829号)。化学増幅型レジストとは、放射線(紫外線、遠紫外線、X線、例えば電子線のような荷電粒子線等)の照射により発生した酸の触媒作用により放射線照射部の現像液に対する溶解性を制御するレジストであり、酸発生剤と酸触媒反応によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するような化合物を含有する。このような化学増幅型ポジ型フォトレジストに於ても、解像力、矩形性の点でさらに改良が求められている。
【0005】
未露光部と露光部との溶解度差を大きくする試みとして、アルカリ可溶性樹脂、光酸発生剤及び分子内にビニルエーテル基を2つ以上もつ化合物を含むレジスト材料(特開平5−100429号、同5−100428号)が提案されている。これは、レジスト液を塗布した後、ベークにより基板上で熱架橋させアルカリ不溶性とし、露光した酸で架橋した部分を分解し画像を形成するというものである。しかしながら、この方法ではベース樹脂のアルカリ可溶性が大きいため、ビニルエーテル基を持つ化合物を多量に入れる必要があり、現像時にスカムが発生しやすく、少量の場合には未露光部の溶解速度が十分に落ちず、溶解コントラストが不足するため解像性が低下してしまうという問題があった。
【0006】
さらには前記アルカリ可溶性樹脂の代わりに特定のアルカリ可溶性樹脂のアルカリ可溶性基を酸により分解する特定の置換基で部分的に保護した樹脂、光酸発生剤及び分子内にビニルエーテル基を2つ以上もつ化合物を含むレジスト材料が提案されている(特開平9−274320号)。この方法は、分子内にビニルエーテル基を2つ以上もつ化合物を少量添加することで解像力を保っているが、プロセス条件によってはビニルエーテル化合物をすべて架橋させることは難しく、添加して架橋しなかったビニルエーテル化合物がアルカリ不溶であるために、現像時にスカムが発生しやすくなり、また十分な架橋を行なうためには比較的高温または長時間を要し、現在の高いスループットを求められるプロセス条件には不十分であることがわかった。また、特開平9−62006号では酸性化合物をさらに添加しているが、アルカリ可溶性部分を保護した置換基が室温で酸と反応して分解するようなアセタール基のような置換基の場合、レジスト液の保存安定性が劣る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決した新規な感放射線性組成物を提供することである。すなわち、高い感光性、高解像性を有し、パターン形状の良好な感放射線性組成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、感放射性組成物の構成成分として特定化合物を加えることにより、従来の成膜プロセス条件に於ても露光部と未露光部のコントラストが向上すること、しかも、特に半導体集積回路作成用のフォトレジストとして使用した場合、良好なパターン形状が得られることを見いだした。すなわち、本発明の要旨は、(a)アルカリ可溶性樹脂または該樹脂のアルカリ可溶性付与基の少なくとも一部に酸分解性保護基を有する樹脂及び、(b)1分子中に少なくとも2つ以上のアシルオキシアルコキシ基を有する化合物を含有することを特徴とする感放射線性組成物に存する。
特に好適には、アシルオキシアルコキシ基が下記一般式(1)
【0009】
【化5】
【0010】
(式中、R1 〜R3 は独立に水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいアルケニル基を示す。)
で示される化合物であり、更に放射線の作用により酸を発生する酸発生剤を含有する上記感熱放射線性組成物に存する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の感放射線性組成物の特徴は1分子中に少なくとも2つ以上のアシルオキシアルコキシ基、好ましくは式(1)で示される基を有する化合物(以下、当該熱架橋剤と略すことがある。)を含有することにある。当該熱架橋剤を感放射線性組成物に加え、基板に塗布し、加熱することにより、感放射線性組成物の成分中でほとんどの割合をしめるアルカリ可溶性樹脂あるいは該樹脂のアルカリ可溶性付与基の少なくとも一部に酸分解性保護基を有する樹脂(以下、これらを総称してベース樹脂ということがある。)のアルカリ可溶部位と当該熱架橋剤が交換反応をおこし、ベース樹脂間を架橋し、樹脂の分子量が増大し、アルカリ現像液に著しく溶けにくくなる。その後マスクを通して露光すると、架橋部位が光により発生した酸で分解するため、アルカリ現像液に対する溶解速度が増大し、現像により画像を形成すると考えられる。また、該組成物中に一部未反応の状態で当該熱架橋剤が存在する場合でも、露光で発生した酸でも分解し、アルカリ可溶性化合物を生成するので、露光部の溶解速度が向上しさらに溶解コントラストが格段に大きくなり、解像力、矩形性が向上すると考えられる。ビニルエーテル基を複数個もつ化合物では、その化合物自体が酸分解性ではないので、未反応基が残った場合には、アルカリ可溶性とはならず、スカムの原因となったり、コントラストを高める効果はないと考えられる。
【0012】
本発明のアシルオキシアルコキシ基のアシル部分は、置換基を有することが可能であり、又、アルコキシ部分もアルキレン鎖部分に置換基を有することが可能である。
本発明に使用される当該熱架橋剤の具体的な例としては、下記一般式(1)で表わされる基を1分子中に2つ以上もつ化合物が挙げられる。
【0013】
【化6】
【0014】
(式中、R1 〜R3 は独立に水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいアルケニル基を示す。)
R1 で示されるアルキル基としては、一般にメチル基、エチル基、ビニル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基,アリル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は脂環式のアルキル基が挙げられ、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、p−ブチルフェニル基、m−ブチルフェニル基、o−ブチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基等が挙げられ、アルケニル基としてはアリル基等の炭素数1〜20のアルケニル基が挙げられる。R1 〜R3 で示されるアルキル基、アリール基、アルケニル基が置換基を有する場合の置換基としては、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシ基、アルキル基を有していてもよいアミノ基、シアノ基、アリール基、アリールオキシ基が挙げられる。
【0015】
置換基を有するアルキル基、アリール基及びアルケニル基としては、例えばクロロメチル基、クロロエチル基、トリクロロメチル基、トリフロロメチル基などのハロゲン置換アルキル基、アセチルメチル基、ベンゾイルメチル基等のアシル置換アルキル基、ベンジル基等のアリール置換アルキル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基等のアルコキシ置換アリール基、p−アミノフェニル基、m−アミノフェニル基、o−アミノフェニル基、p−ジメチルアミノフェニル基、m−ジメチルアミノフェニル基、o−ジメチルアミノフェニル基等のアルキル置換されていてもよいアミノ置換アリール基、p−ニトロフェニル基、m−ニトロフェニル基、o−ニトロフェニル基等のニトロ置換アリール基、p−ベンゾイルフェニル基、m−ベンゾイルフェニル基、o−ベンゾイルフェニル基等のアシル置換アリール基、フロロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェニル基等のハロゲン置換アリール基等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0016】
R1 は好ましくは炭素数1〜20の置換されていてもよいアルキル基又はアリール基である。
R2 は好ましくは、水素原子あるいは置換されていてもよいアルキル基で有り、アルキル基の炭素数は1〜10が挙げられ、置換基としてはR1 で示されるアルキル基の置換基と同様のものが挙げられるが、好ましくは水素原子または炭素数1〜10の無置換アルキル基であり、さらに好ましくは水素原子またはメチル基である。
R3 は好ましくは置換されていてもよいアルキル基であり、アルキル基の炭素数は1〜10が挙げられ、置換基としてはR1 で示されるアルキル基の置換基と同様のものが挙げられるが、好ましくは無置換のアルキル基である。さらに好ましくは下記式の基
【0017】
【化7】
【0018】
(式中、R31、R32は独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。)
であり、中でもメチル基が特に好ましい。
当該熱架橋剤に於て、2つ以上のアシルオキシアルコキシ基が結合する連結基は、該アシルオキシアルコキシ基を連結する多価の連結基であれば特に限定されるものではない。
好ましい熱架橋剤は、前記一般式(1)の置換基とこれと結合する多価の連結基を含めて、一般式(I)あるいは(II)で表わすことができる。
【0019】
A−[−O−(R−O−) n −CR 2 R 3 −O−CO−R 1 ] m (I)
A−[−B−(R−O−) n −CR 2 R 3 −O−CO−R 1 ] m (II)
【0020】
式(I)及び(II)に於て、Aはm価のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基又はこれらの組み合せからなる基であり、Bは−COO−、−NHCOO−又は−NHCONH−であり、Rは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、nは0又は1〜10の整数、mは2〜6の整数を示し、R1 〜R3 は前記一般式(1)のR1 〜R3 と同義である。
さらに好ましくは一般式(I)または(II)において,Aが下記式
【0021】
【化9】
【0022】
のいづれかであり、Bが−CONH−であり、Rが−CH2 CH2 −であり、nが1〜5であり、かつmが2又は3である化合物である。
一般式(I)または(II)で表わされる化合物は、例えば、一般式(III )あるいは(IV)で表わされる化合物と一般式(V)で表わされる化合物との反応により合成することができる。
【0023】
A−[−O−(R−O−) n −CQ 1 =CQ 2 Q 3 ] m (III)
A−[−B−(R−O−) n −CQ 1 =CQ 2 Q 3 ] m (IV)
R1−COOH (V)
【0024】
(ただし、Q1 〜Q3 は水素原子またはアルキル基であり、A、B、R、m、nは一般式(I)及び(II)のA、B、R、m、nと同義であり、R1 は前記一般式(1)のR1 と同義である。)
反応条件としては、例えば有機溶媒中、あるいは溶媒のない状態で、化合物(V)を(III )あるいは(IV)に対し、当量あるいは(V)を過剰に加え、反応系中に少量のルイス酸、プロトン酸等の酸触媒を入れてもよく、−20℃〜120℃で5分から10時間かけて反応させることに合成できる。
【0025】
(III )および(IV)に相当する化合物は特開平5−100429号公報に記載の方法に準じて合成できる。
当該熱架橋剤の具体的な化合物としては式(a−1)〜(a−51)で記載される化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。但し、式(a−1)〜(a−51)に於て、R11はメチル、エチル又はt−ブチル基を、R21は水素原子又はメチル基を、R31はメチル基を示す。
【0026】
【化11】
【0027】
【化12】
【0028】
【化13】
【0029】
【化14】
【0030】
【化15】
【0031】
【化16】
【0032】
【化17】
【0033】
【化18】
【0034】
【化19】
【0035】
【化20】
【0036】
【化21】
【0037】
本発明に用いられる熱架橋剤は、単独で使用してもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。当該熱架橋剤の添加量は、通常、ベース樹脂100重量部に対して、好ましくは0.5〜30重量部、より好ましくは1〜10重量部である。0.5部より少ないと架橋結合が十分に形成されず、添加した効果が十分に得られない場合があり、30部より多いと架橋結合が多くなりすぎ、露光後の酸触媒による脱離反応が十分に進行せず、レジスト材料の解像性が低下する場合がある。
【0038】
本発明に用いられるアルカリ可溶性樹脂又はアルカリ可溶性樹脂のアルカリ可溶性付与基の少なくとも一部に酸分解性保護基を有する樹脂は、現像時に露光部がアルカリ可溶性となり、アルカリ現像液に溶出し、均一な塗布膜形成能のあるものなら、すべて用いられ得るが、アルカリ可溶性樹脂としては、ノボラック樹脂、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリビニル安息香酸またはこれらの誘導体などが挙げられる。このうち特に好ましくはノボラック樹脂、ポリビニルフェノールもしくはこれらの誘導体である。例えばヒドロキシスチレン単独での重合またはヒドロキシスチレンと各種のビニルモノマーとを共重合して得られる樹脂が挙げられる。ヒドロキシスチレンと共重合するビニルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルアルコールまたは、これらの誘導体などが用いられる。
【0039】
ノボラック樹脂としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、3−エチルフェノール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、フェニルフェノール等のアルキル基又はアリール基で置換されていてもよいフェノール類;2−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、4−フェノキシフェノール等のアルコキシ又はアリールオキシフェノール類;α−ナフトール、β−ナフトール、3−メチル−α−ナフトール等のアルキル基で置換されてもよいナフトール類;1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,2,3−トリヒドロキシ−5−メチルベンゼン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等のアルキル基で置換されてもよいポリヒドロキシベンゼン類等のヒドロキシ芳香族化合物とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等の脂肪族アルデヒド類、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド類、アセトン等のアルキルケトン類等のカルボニル化合物とを、例えば塩酸、硫酸、しゅう酸等の酸触媒の存在下、加熱し、重縮合させることにより製造されたものが挙げられる。
【0040】
尚、上記ヒドロキシ芳香族化合物は本発明に悪影響を与えないかぎりハロゲン原子、ニトロ基、エステル基等の置換基を有していても良い。又、これらの樹脂は必要に応じ、更に、水素等により還元し、短波長領域の吸光度を低くしたものを用いても良い。
ポリビニルフェノールまたはその誘導体としては、好ましくは主鎖又はベンゼン環にアルキル置換基を有していてもよいポリビニルフェノールが挙げられ、具体的には、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(o−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(m−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(p−ヒドロキシフェニル)プロピレンなどのヒドロキシスチレン類の単独または2種以上をラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤またはカチオン重合開始剤の存在下で重合した樹脂が用いられる。また、重合後樹脂の吸光度を下げるために水素添加を行なったものを用いてもよく、又、芳香族化合物モノマー中に本発明に悪影響を与えない限りハロゲン原子、ニトロ基、エステル基等の置換基を有しても良い。ノボラック樹脂、ポリビニルフェノール又はその誘導体の重量平均分子量はポリスチレン換算値(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ測定)で、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000以上70,000以下、さらに好ましくは5,000以上45,000以下のものが用いられる。
【0041】
分子量がこの範囲よりも小さいとレジストとしての十分な塗膜が得られず、耐熱性も悪くなり、この範囲よりも大きいと露光部分のアルカリ現像液に対する溶解性が小さくなり、レジストのパターンが得られずらい。
ベース樹脂のうち好ましくは、アルカリ可溶性付与基、中でも水酸基の一部を酸分解性保護基(酸触媒により脱離可能な保護基)で保護した樹脂である。該保護基としては、酸により脱離する保護基であれば特に限定されるものではないが、具体的には下記式(2)、(3)及び(4)で表わされる構造を有するものが挙げられるが、これら保護基は単独で用いても併用して用いてもよい。
【0042】
【化22】
【0043】
(式中、R4 〜R8 は独立に、水素原子、アルキル基またはアルコキシ基であり、R4 とR6 は結合して環を形成していてもよい。R9 及びR10はアルキル基を表わす。)
R4 〜R8 で表わされるアルキル基またはアルコキシ基の炭素数は、1〜6が好ましく、より好ましくは、1〜4であり、R9 及びR10で表わされるアルキル基の炭素数は1〜10が好ましい。R4 とR6 が結合して環を形成する場合、−R5 −R6 −としてはアルキレン鎖が例示され、−CH2 CH2 −又は−CH2 CH2 CH2 −であるのが好ましい。
【0044】
式(2)で示される具体的な例としては、エトキシエチル基、2−クロロエトキシエチル基、エトキシプロピル基、プロポキシエチル基、n−ブトキシエチル基、iso−ブトキシエチル基、t−ブトキシエチル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に解像性の点からエトキシエチル基が好ましい。
【0045】
式(3)で示される具体的な例としては、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特にはt−ブトキシカルボニル基が好ましい。
式(4)で示される具体的な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特にはt−ブチル基が好ましい。
尚、前述のベース樹脂は単独もしくは2種以上を混合しても使用できる。
【0046】
また、保護基の導入率としては耐熱性及び画像形成能の点から、通常0〜60%が適当であり、より好ましい導入率としては10〜60%さらに好ましくは20〜50である。
本発明のベース樹脂としては、ポリビニルフェノール又はその誘導体の水酸基の少なくとも一部に酸分解性保護基を有する樹脂が特にエキシマレーザーを光源とする場合、樹脂の透明性及び露光前後の溶解性のコントラストの点から特に有利であり、より具体的にはベース樹脂が下記一般式(5)で表わされるものである。
【0047】
【化23】
【0048】
(式中T1 、T2 及びT3 は前記一般式(2)、(3)及び(4)から選ばれる基を表わす。ただし、T1 、T2 及びT3 は異なる酸分解性保護基である。Z1 〜Z8 は独立に水素原子又はメチル基を表わす。また、w、x及びyはそれぞれ0または正数であるが、w、x、yが同時に0となることはなく、zは正数である。またw、x、y、zは0≦w/(w+x+y+z)≦0.5、0≦x/(w+x+y+z)≦0.5、0≦y/(w+x+y+z)≦0.5、0.4≦z/(w+x+y+z)≦0.9の関係を満たす。)
上記式(5)で表わされる樹脂の内、より好ましくはT1 が前記一般式(2)の基であり、T2 及びT3 が相異なり前記一般式(2)〜(4)で表わされる基である樹脂である。
【0049】
これらの組成比は好ましくは0.1≦w/(w+x+y+z)≦0.4、0≦x/(w+x+y+z)≦0.2、0≦y/(w+x+y+z)≦0.2、0.5≦z/(w+x+y+z)≦0.8である。wの全体(w+x+y+z、以下同様)に対する割合が0.5を、xの全体に対する割合が0.5を、yの全体に対する割合が0.5を、zの全体に対する割合が0.9を越えるか、或いはzの全体に対する割合が0.4に満たないと、アルカリ溶解速度のコントラストが小さくなり、解像度が悪くなる場合がある。w、x、y、zはその値を上記範囲内で適宜選定することによりパターンの寸法制御、パターンの形状コントロールを任意に行うことができる。
【0050】
T1 、T2 及びT3 は互いに異なる酸分解性保護基であり、前記一般式(2)〜(4)から選ばれる基を表わすが、T1 、T2 及びT3 の好ましい基は、前記一般式(2)〜(4)の好ましい基と同様である。
T1 、T2 及びT3 は特にはエトキシエチル基、t−ブトキシカルボニル基、t−ブチル基から選ばれる基が好ましい。
【0051】
更に、本発明のベース樹脂においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在し、低分子量のポリマーが多く存在すると耐熱性が低下する場合があり、高分子量のポリマーが多く存在するとアルカリに対して溶解し難いものを含み、パターン形成後の裾引きの原因となる場合がある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、ベース樹脂の分子量分布は1.0〜1.5、特に1.0〜1.3の狭分散であることが好ましい。
【0052】
本発明の組成物は酸発生剤を含むのが有利である。本発明の酸発生剤とは露光に用いられる光または電子線などの放射線の作用によって、酸を発生するものを意味し、かかる作用を有するものであれば、何でも用いることができるが、具体的には、たとえば、トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリブロモメチル)−6−p−メトキシフェニル−s−トリアジンなどのハロゲン含有s−トリアジン誘導体、1,2,3,4−テトラブロモブタン、1,1,2,2−テトラブロモエタン、四臭化炭素、ヨードホルムなどのハロゲン置換パラフィン系炭化水素、ヘキサブロモシクロヘキサン、ヘキサクロロシクロヘキサン、ヘキサブロモシクロドデカンなどのハロゲン置換シクロパラフィン系炭化水素、ビス(トリクロロメチル)ベンゼン、ビス(トリブロモメチル)ベンゼンなどのハロゲン含有ベンゼン誘導体、トリブロモメチルフェニルスルホン、トリクロロメチルフェニルスルホン、2,3−ジブロモスルホランなどのハロゲン含有スルホン化合物、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどのハロゲン含有イソシアヌレート誘導体、トリフェニルスルホニウムクロライド、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネートなどのスルホニウム塩、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネートなどのヨードニウム塩、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、1,2,3−トリ(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン、p−トルエンスルホン酸ベンゾインエステル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸ブチル、1,2,3−トリ(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、メタンスルホン酸フェニル、メタンスルホン酸ベンゾインエステル、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、トリフルオロメタンスルホン酸ブチル、1,2,3−トリ(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、トリフルオロメタンスルホン酸フェニル、トリフルオロメタンスルホン酸ベンゾインエステル、などのスルホン酸エステル類、o−ニトロベンジル−p−トルエンスルホネートなどのo−ニトロベンジルエステル類、N,N′−ジ(フェニルスルホニル)ヒドラジドなどのスルホンヒドラジド類、下記一般式(6)
【0053】
【化24】
【0054】
(Dは−CH2 −または
【0055】
【化25】
【0056】
であり、R11及びR12はそれぞれ独立して置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基を表わし、kは0又は1を表わす。)で表わされる化合物のなどが挙げられ、一般式(6)で表わされる化合物の例としては、ジフェニルジスルホンなどのジスルホン類、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)メタンなどのビススルホニルメタン類、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタンなどのビススルホニルジアゾメタン類などを挙げることができる。これら酸発生剤のうちで好ましくは、一般式(6)で表わされる化合物であり、より好ましくは下記一般式(7)
【0057】
【化26】
【0058】
(式中、R11及びR12はそれぞれ独立して置換されていてもよいアルキル基または置換されていてもよいアリール基を示す。)で表わされる化合物である。
一般式(7)で表わされる化合物の具体例としては、特開平9−5990号、同4−219757号、同5−249682号、同4−210960号公報等により公知の化合物及びシクロヘキシルスルホニル−(o−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(m−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(p−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(o−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(m−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(p−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(o−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(m−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(p−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(o−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(m−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(p−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(o−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(m−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(p−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(o−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(m−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(p−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(o−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(m−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(p−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(o−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(m−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(p−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(o−トリフルオロメトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(m−トリフルオロメトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(p−トリフルオロメトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(o−トリフルオロメトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(m−トリフルオロメトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(p−トリフルオロメトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(2,3,4−トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(2,4,6−トリエチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(2,3,4−トリエチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(2,3,4−トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(2,4,6−トリエチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(2,3,4−トリエチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル(o−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル(m−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル(p−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(o−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(m−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル−(2,3,4−トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル−(2,4,6−トリエチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル−(2,3,4−トリエチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、2,4−ジメチルフェニルスルホニル−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、2,4−ジメチルフェニルスルホニル−(2,3,4−トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル(o−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル(m−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル(p−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタンなどが挙げられる。
これらの酸発生剤は単独で用いても、これらのうち2種以上を混合して用いてもよい。
【0059】
酸発生剤の総添加量はベース樹脂100重量部に対して0.05〜20重量部、より好ましくは、0.1〜10重量部で用いられる。酸発生剤の量がこの範囲よりも少ないと感度が劣り、酸発生剤がこの範囲よりも多いと、酸発生剤によるレジスト膜の溶解性の低下により、レジストパターンが台形になり解像力の低下を引き起こす恐れがある。
【0060】
本発明の感放射線性組成物には本発明の効果を損なわない程度に添加剤を加えることができる。添加剤の例としては溶解抑制剤、界面活性剤、色素、増感剤、含窒素化合物等が挙げられる。
溶解抑制剤とはアルカリ現像液に対するベース樹脂の未露光部の溶解性を制御する化合物で、酸触媒作用により脱離する基を有するものであれば低分子化合物でも高分子の樹脂でも良い。好ましくはフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性官能基の水素原子を酸触媒作用により脱離する基で保護した化合物である。具体的には特開平9−62006、特開平9ー274320、特開平9ー281697、特開平9−278699、特開平9−50127、特開平9−236921号公報等に記載された化合物が挙げられる。
更に、本発明に用いられる溶解抑制剤は単独もしくは2種以上混合して使用することもできる。
【0061】
溶解抑制剤を添加する場合、その添加量はベース樹脂100重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは5〜30重量部の割合で用いられる。
含窒素化合物は、酸に対して塩基として作用する化合物であり、露光から露光後ベークまでの間に、プリベーク時に発生した酸又は露光時に酸発生剤から発生した酸が移動してレジストパターンが寸法変動を起こすのを防ぐために有効である。従って、上記のごとき酸発生剤から生じた酸を中和しうる化合物であれば、特に限定されないが、有機アミン化合物が挙げられる。具体的には、例えば、ピリミジン、2−アミノピリミジン、4−アミノピリミジン、5−アミノピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、2,5−ジアミノピリミジン、4,5−ジアミノピリミジン、4,6−ジアミノピリミジン、2,4,5−トリアミノピリミジン、2,4,6−トリアミノピリミジン、4,5,6−トリアミノピリミジン、2,4,5,6−テトラアミノピリミジン、2−ヒドロキシピリミジン、4−ヒドロキシピリミジン、5−ヒドロキシピリミジン、2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,5−ジヒドロキシピリミジン、4,5−ジヒドロキシピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2,4,5−トリヒドロキシピリミジン、2,4,6−トリヒドロキシピリミジン、4,5,6−トリヒドロキシピリミジン、2,4,5,6−テトラヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4−ヒドロキシピリミジン、2−アミノ−5−ヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4,5−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、4−アミノ−2,5−ジヒドロキシピリミジン、4−アミノ−2,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4−メチルピリミジン、2−アミノ−5−メチルピリミジン、2−アミノ−4,5−ジメチルピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメチルピリミジン、4−アミノ−2,5−ジメチルピリミジン、4−アミノ−2,6−ジメチルピリミジン、2−アミノ−4−メトキシピリミジン、2−アミノ−5−メトキシピリミジン、2−アミノ−4,5−ジメトキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメトキシピリミジン、4−アミノ−2,5−ジメトキシピリミジン、4−アミノ−2,6−ジメトキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−メチルピリミジン、2−ヒドロキシ−5−メチルピリミジン、2−ヒドロキシ−4,5−ジメチルピリミジン、2−ヒドロキシ−4,6−ジメチルピリミジン、4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルピリミジン、4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルピリミジン、2−ヒドロキシ−4−メトキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−メトキシピリミジン、2−ヒドロキシ−5−メトキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4,5−ジメトキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシピリミジン、4−ヒドロキシ−2,5−ジメトキシピリミジン、4−ヒドロキシ−2,6−ジメトキシピリミジンなどのピリミジン化合物類、ピリジン、メチルピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、2,6−ジメチルピリジン等のピリジン化合物類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタンなどの炭素数1以上4以下のヒドロキシアルキル基で置換されたアミン類、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノールなどのアミノフェノール類などが挙げられるが、ピリジン類またはヒドロキシ基をもつアミン類が好ましい。含窒素化合物の含有量は、酸発生剤の含有量に対して、0.1〜100モル%が好ましく、さらに好ましくは、1〜50モル%である。
【0062】
本発明における感放射線性組成物は、前述のベース樹脂、酸発生剤、当該熱架橋剤等の上記各成分を溶解させ得る適当な溶媒に溶解して用いる。好ましい溶媒としては2−ヘキサノン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶媒、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチルなどのエステル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのプロピレングリコール系溶媒、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン系溶媒、あるいはこれらの混合溶媒、あるいはさらに芳香族炭化水素を添加したものなどが挙げられる。溶媒の使用割合は、感光性組成物の固形分の総量に対して重量比で1〜20倍の範囲であることが望ましい。
【0063】
本発明の感放射線性組成物を用いて半導体基板上にレジストパターンを形成する場合には、通常、上記のような溶媒に溶解した本発明の感放射線性組成物を半導体基板上に塗布し、プリベーク、露光によるパターンの転写、露光後ベーク、現像の各工程を経てフォトレジストとして使用することができる。半導体基板は、通常半導体製造用基板として使用されているものであり、シリコン基板、ガリウムヒ素基板などである。尚、基板上には必要により公知の種々の反射防止膜を用いることも可能である。
【0064】
塗布には通常スピンコーターが使用され、露光には、低圧水銀灯の254nm、エキシマレーザーなどを光源とする157nm、193nm、222nm、248nmの光または電子線などが好適に用いられ、特にエキシマレーザーを光源とするのが有利である。露光の際の光は、単色光でなくブロードであってもよい。また、位相シフト法による露光も適用可能である。
【0065】
本発明の感放射線性組成物の現像液には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などの無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミンなどの第1級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどの第2級アミン類、トリエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミンなどの第3級アミン類、テトラメチルアンモニウムハイドロオキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキシドなどの第4級アンモニウム塩、もしくはこれにアルコール、界面活性剤などを添加したものを使用することができる。
本発明の感放射線性組成物は超LSIの製造のみならず一般のIC製造用、マスク製造用、画像形成用、液晶画面製造用、カラーフィルター製造用あるいは平版印刷用としても有用である。特に、半導体集積回路作成用として有用である。
【0066】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はその要旨を越えない限り実施例により何等制約を受けない。
参考例1 1−エトキシエチル化ポリビニルフェノールの合成
窒素導入管、撹拌機、温度計を備えた1Lの四つ口フラスコにポリビニルフェノール(重量平均分子量17200)100gとテトラヒドロフラン500mLとを加え溶解させた後、エチルビニルエーテル36.0gを加え、しばらく攪拌し均一な溶液とした。これに、35%塩酸0.5gを加え、ウオーターバスで40℃に加熱し2時間撹拌を続けた。その後、この反応溶液に28%アンモニア水5mLを加え30分間攪拌した。この反応液を純水9L中に滴下して得られた沈殿をろ取した。さらに、この沈殿物をアセトンに溶解させ、その溶液を純水に滴下し沈殿させることにより目的の樹脂を回収した。回収した樹脂を真空乾燥して、100gの1−エトキシエチル化ポリビニルフェノールを得た。得られた樹脂を重水素化アセトンに溶解し、プロトンNMRスペクトルを測定し、δ値6.2〜7.0の芳香族水素のシグナルとδ値5.2〜5.5のアセタールメチン水素のシグナルとの面積比よりアセタール化率をもとめると36.0%となった。
【0067】
合成例1〔化合物(a)〕
トリエチレングリコールジビニルエーテル10.1gに酢酸6.01gを溶解し、1%硫酸ーテトラヒドロフラン溶液を3滴加え、3時間攪拌した。その後、5%炭酸水素ナトリウム水溶液10mlを加え中和した後、分液した。有機層に炭酸カルシウムを加え、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、さらに真空で乾燥した。生成物の 1H−NMRを表−1に示す。
【0068】
合成例2〔化合物(b)〕
合成例1と同様な方法により合成した。ただしトリエチレングリコールジビニルエーテルの代わりにテトラエチレングリコールジビニルエーテル12.32gを用いた。生成物の 1H−NMRを表−1に示す。
【0069】
合成例3〔化合物(c)〕
合成例1と同様な方法により合成した。ただしトリエチレングリコールジビニルエーテルの代わりにシクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル7.21gを用いた。化合物(c)の 1H−NMRを表−1に示す。
【0070】
合成例4〔化合物(d)〕
合成例1と同様な方法により合成した。ただし酢酸の代わりにピバル酸10.2gを用いた。化合物(d)の 1H−NMRを表−1に示す。
【0071】
合成例5〔化合物(e)〕
ビスフェノールA9.73gをジメチルスルホキシド75mlに溶解し、溶液にNaOHペレット23.5gを添加し、75℃で3時間攪拌した。ついでこの溶液に2−クロロエチルビニルエーテル39.8mlを滴下し、80℃で5時間さらに攪拌した。放冷後、水1lに注ぎ、エーテルで抽出後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。低沸点物をエバポレータでのぞき、カラムクロマトグラフィーによりビスフェノールAジビニルエーテルを得た。次にトリエチレングリコールジビニルエーテルの代わりに上記合成化合物17.2gを用い、合成例1と同様な方法により合成した。化合物(e)の 1H−NMRを表−1に示す。
【0072】
合成例6〔化合物(f)〕
合成例1と同様な方法により合成した。ただしトリエチレングリコールジビニルエーテルの代わりにトリメチロールプロパントリビニルエーテル7.08gを用いた。化合物(f)の 1H−NMRを表−1に示す。
化合物(a)〜(f)及び比較化合物の構造をまとめて下記に示す。
【0073】
【化27】
【0074】
【表1】
【0075】
実施例1
参考例1で合成した樹脂1.00g、酸発生剤として、シクロヘキシルスルホニルp−メトキシフェニルスルホニルジアゾメタン0.02g、トリイソプロパノールアミンを酸発生剤の15モル%およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5.20gを混合し、更に合成例1で合成した化合物(a)を0.02g添加し、レジスト感光液とした。この感光液をシリコン基板上に反射防止膜(Brewer Science社製、DUV32)を塗布したウェハにスピンコートし、ホットプレート上で90℃、60秒間ベークし、膜厚0.72μmのレジスト膜とした。この基板上のレジスト膜をニコン社製KrFエキシマレーザ縮小投影露光装置(NA=0.42)を用いて露光した後、ホットプレート上で110℃、60秒間ベークした。この後、このレジスト膜をテトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38重量%水溶液で60秒間現像した。この現像後に得られたレジストパターンを走査電子顕微鏡で観察することにより感度、即ち、0.30μmのライン アンド スペースが1:1に解像している露光量(以下、E0と表わす)、解像度(露光量E0に於ける限界解像度)およびパターンプロファイルを評価した。また、ベーク後露光前のレジスト膜厚と現像後の未露光部の膜厚の差を感度及び解像力の結果と併せて表−2に示す。膜厚差が小さいと言うことは、熱架橋が進行しその結果露光部と未露光部の溶解コントラストが大きいことを示している。
【0076】
実施例2
架橋剤を架橋剤(a)0.02gから架橋剤(b)0.02gにした以外は、実施例1と同様に調液し、評価を行った。
実施例3
架橋剤を架橋剤(a)0.02gから架橋剤(c)0.02gにした以外は、実施例1と同様に調液し、評価を行った。
実施例4
架橋剤を架橋剤(a)0.02gから架橋剤(d)0.02gにした以外は、実施例1と同様に調液し、評価を行った。
【0077】
実施例5
架橋剤を架橋剤(a)0.02gから架橋剤(e)0.02gにした以外は、実施例1と同様に調液し、評価を行った。
実施例6
架橋剤を架橋剤(a)0.02gから架橋剤(f)0.02gにした以外は、実施例1と同様に調液し、評価を行った。
【0078】
比較例1
熱架橋剤として、前記化合物CL1、0.02gを使用した以外実施例1と同様にしてレジスト感光液を調製し、評価した結果を表−2に示す。
尚、比較例1の感光液を用いた場合、露光量E0 で解像した0.3μのパターンの角がとれ、形状の劣るものであった。
比較例2
熱架橋剤として、前記化合物CL2、0.02gを使用した以外実施例1と同様にしてレジスト感光液を調製し、評価した結果を表−2に示す。。
尚、比較例2の感光液を用いた場合、露光量E0 で解像した0.3μのパターンの角がとれ、形状の劣るものであった。
【0079】
【表2】
【0080】
実施例は比較例よりも、未露光部の膜減り量が少なく、熱架橋がより進行している。また、それに伴い明らかに矩形性が向上し、解像力も向上した。
【0081】
【発明の効果】
本発明の感放射性組成物は、その構成成分として特定の架橋剤を用いることにより、レジスト液状で十分な保存安定性を持ちつつ、従来に比べ解像力を向上させ、パターンの矩形性が極めて良好である。しかも短時間でより低い温度というスループット上より有利なプロセス条件で上記効果が達成されるので、実用上極めて有用である。
Claims (8)
- (a)アルカリ可溶性樹脂または該樹脂のアルカリ可溶性付与基の少なくとも一部に酸分解性保護基を有する樹脂及び、(b)下記一般式(I)で表される化合物を含有するポジ型感放射線性組成物:
A−[−O−(R−O−)n−CR2R3−O−CO−R1]m (I)
(式(I)中、Aはm価のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基又はこれらの組み合せからなる基であり、Rは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、nは0又は1〜10の整数、mは2〜6の整数を示し、R1〜R3は独立に水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいアルケニル基を示す)。 - 感放射線性組成物が更に(c)放射線の作用により酸を発生する酸発生剤を含むことを特徴とする請求項1記載のポジ型感放射線性組成物。
- R2が水素原子または置換されていてもよいアルキル基であり、R3が置換されていてもよいアルキル基であることを特徴とする請求項1記載のポジ型感放射線性組成物。
- R1が置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基であり、R2が水素原子または炭素数1〜10の非置換アルキル基であり、R3が炭素数1〜10の非置換のアルキル基であることを特徴とする請求項1記載のポジ型感放射線性組成物。
- アルカリ可溶性付与基の一部に酸分解性保護基を有する樹脂が下記一般式(5)で表わされることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポジ型感放射線性組成物。
- 成分(a)の樹脂100重量部に対し、成分(b)の化合物を0.5〜30重量部、成分(c)の酸発生剤を1〜10重量部含むことを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の感放射線性組成物。
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