JP4554738B2 - ポリビニルフェノール類のアセタール化合物の製造法及びそれを用いた感放射線性組成物 - Google Patents
ポリビニルフェノール類のアセタール化合物の製造法及びそれを用いた感放射線性組成物 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリビニルフェノール類のアセタール化合物の製造法及びそれを用いた放射線に感応する感放射線性組成物に関するものであり、詳しくは半導体集積回路を作成するフォトレジスト材(以下、「レジスト」と称することがある。)として好適なアセタール化合物の製造法及びそれを用いた感放射性組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路の高集積度化は、一般に言われるように3年間に4倍のスピ−ドで進行し、例えばダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ−(DRAM)を例にとれば、現在では、64Mビットの記憶容量を持つものの本格生産が開始されている。それにともない集積回路の生産に不可欠のフォトリソグラフィ−技術に対する要求も年々きびしくなってきている。例えば、64MビットDRAMの生産には、0.30μmレベルのリソグラフィ−技術が必要とされ、更に高集積度化の進んだ256MDRAMでは0.20μmレベルのリソグラフィ−技術が必要とされている。これにともない、それぞれのリソグラフィ−レベルに対応できるレジストの開発が切望されている。
【0003】
超微細化が進んでいる今日ではレジストの露光に用いられる波長も、水銀灯のi線(365nm)からKrFエキシマレ−ザ光(248nm)へと短波長化が進んでおり、このような短波長露光に適したポジ型レジストとして、化学増幅型ポジ型フォトレジストが種々提案されている。(特公平2−27660、特開昭63−27829号)。化学増幅型レジストとは、放射線(紫外線、遠紫外線、X線、例えば電子線のような荷電粒子線等)の照射により発生した酸の触媒作用により放射線照射部の現像液に対する溶解性を制御するレジストであり、酸発生剤と酸触媒反応によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するような化合物を含有する。
【0004】
かかる化学増幅型レジスト組成物に用いられる樹脂としては、例えばポリビニルフェノール類のように、一般にはフェノール性水酸基のようなアルカリ可溶性を発現する官能基を有する樹脂(以下、単に「ベース樹脂」と称することがある。)のアルカリ可溶性を発現する官能基が酸触媒によって脱離しうる保護基(以下、単に「保護基」と称することがある。)によって保護されており、放射線照射部にて発生した酸の触媒作用によってアルカリ現像液に対する溶解性が増大するものが多く用いられている。これらの保護基としては、従来から数多く検討されてきているが、それらの中では特にアセタール構造を含む基が数多く報告されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなアセタール構造を含む酸脱離性保護基(以下、単に「アセタール保護基」と称することがある。)をベース樹脂に導入する場合、一般的には、未保護のベース樹脂と、これと反応することによりアセタール構造を形成しうるアルキルビニルエーテルのような化合物(以下、単に「アセタール化剤」と称することがある。)とを、酸触媒下、溶液中にて反応させる方法が一般に採用されている。しかしながら、この反応において用いられるアセタール化剤は一般に沸点が低く、そのため製造中に揮発散逸し実際の反応量が不安定となりやすいことがわかった。このことは、製造ロットによってアセタール保護基の導入率が異なり、その結果、このようなアセタール化物を用いた感放射線性組成物のレジスト性能においてロット毎のばらつき、具体的には、感度がロット毎に安定しない、といった問題点が生じることを意味する。
本発明の目的は、アセタール保護基の導入法を改良し、ロット間の導入率のばらつきを減少せしめること及び、それにより感放射線組成物の品質の安定化を可能とすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題点を解決するために鋭意検討した結果、アセタール化物を安定に製造するにあたって、アセタール化剤をあらかじめ溶媒に希釈して反応に用いることによって、かかる問題点を解決出来ることを見いだした。
即ち本発明は、ポリビニルフェノール類(A)と、>C=C−O−の部分構造を有しかつポリビニルフェノール類(A)との反応によりアセタール構造を形成しうる化合物(B)とを、有機溶媒の存在下反応させて、ポリビニルフェノール類のフェノール性水酸基の少なくとも一部がアセタール化された化合物を製造する方法において、化合物(B)を予め有機溶媒と混合した後、ポリビニルフェノール類と混合し、反応することを特徴とするポリビニルフェノール類のアセタール化物の製造方法に存する。他の要旨は、上記方法で得られたアセタール化物及び放射線の作用により酸を発生する感放射線性化合物を含有する感放射性組成物に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、>C=C−O−の部分構造を有し、かつ、ポリビニルフェノール類(A)との反応によりアセタール構造を形成しうる化合物(B)とは、ポリビニルフェノール類のフェノール性水酸基との反応により、アセタール構造「−O−C−O−」を形成しうる化合物であれば特に限定されず、アルキル基とビニル基がエーテル結合した構造を有し、そのアルキル基およびビニル基に任意の置換基を有していても良いアルキルビニルエーテル類が挙げられ、より具体的には下記の如き反応によりアセタール構造を形成しうる下記化合物(B′)である。
【0008】
【化1】
【0009】
(式(B′)においてR1 は置換されていても良いアルキル基を示す。また、R2 〜R4 は独立に水素原子または置換されていても良いアルキル基を示す。R1 はR3 又はR4 と連結して環を形成していても良い。)nは繰り返し単位数を示す。
R1 で示されるアルキル基の炭素数は、得られたアセタール化物を感放射性組成物として用いるときの性能の点で、1以上20以下が好ましく、特に1以上10以下がさらに好ましい。R2 〜R4 で表わされるアルキル基の炭素数は1以上6以下が好ましく、特に1以上4以下が好ましい。又R2 〜R4 は水素原子が好ましい。
【0010】
ここに示される化合物(B′)、即ちアセタール化剤としては、具体的には、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、iso−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ジヒドロピラン等が挙げられる。
又、これらのアセタール化剤の内、常温における沸点が150℃以下の場合、特に製造中にアセタール化剤が揮発散逸し、実際に反応する量が不安定になる欠点を抑制でき、より好ましい。
【0011】
本発明のポリビニルフェノール類(A)とは、ポリビニルフェノール、もしくはこの誘導体である。ポリビニルフェノールの誘導体としては、例えば置換基を有するヒドロキシスチレンの単独重合物、もしくは各種のビニルモノマ−とを共重合して得られる樹脂である。ヒドロキシスチレンと共重合するビニルモノマ−としては、スチレン、アクリル酸、ビニルアルコ−ルまたは、これらの誘導体などが用いられる。
【0012】
ポリビニルフェノ−ル類としては、具体的には、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(o−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(m−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(p−ヒドロキシフェニル)プロピレンなどのヒドロキシスチレン類の単独または2種以上をラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤またはカチオン重合開始剤の存在下で重合した樹脂が用いられる。また、重合後樹脂の吸光度を下げるために水素添加を行なったものを用いてもよく、又、芳香族化合物モノマ−中に本発明に悪影響を与えない限りハロゲン原子、ニトロ基、エステル基等の置換基を有しても良い。
【0013】
尚、上記ヒドロキシ芳香族化合物は本発明に悪影響を与えない限り、ハロゲン原子、ニトロ基、エステル基等の置換基を有していても良い。又、これらの樹脂は必要に応じ、更に、水素等により還元し、短波長領域の吸光度を低くしたものを用いても良い。
これらポリビニルフェノール類としては、好ましくは、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)が用いられる。
【0014】
上記の、ポリビニルフェノール類の重量平均分子量はポリスチレン換算値(ゲル・パ−ミエ−ション・クロマトグラフィ測定)で、通常、1,000以上100,000以下、好ましくは2,000以上60,000以下、さらに好ましくは2,000以上30,000以下のものが用いられる。
分子量がこの範囲よりも小さいと、レジストとしての十分な塗膜が得られず、耐熱性も悪くなる怖れがある。一方、この範囲よりも大きいと露光部分のアルカリ現像液に対する溶解性が小さくなり、レジスト露光後のパタ−ンが得られない可能性がある。
【0015】
更に、ポリビニルフェノール類の分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在し、低分子量のポリマーが多く存在すると耐熱性が低下する場合があり、高分子量のポリマーが多く存在するとアルカリに対して溶解し難いものを含み、パターン形成後の裾引きの原因となる場合がある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、ベース樹脂の分子量分布は1.0〜1.5、特に1.0〜1.3の狭分散であることが好ましい。
【0016】
上記のポリビニルフェノール類と、アセタール化剤とを反応させる際、ポリビニルフェノール類は通常溶媒に溶解し、これに酸触媒とアセタール化剤を混合し反応を行うが、本発明においては、この際アセタール化剤を溶媒に溶解した状態でポリビニルフェノール類と混合することを特徴とする。
ここで、アセタール化剤を溶解する溶媒としては、アセタール化剤に対して実用的な溶解性を有し、かつ、反応を阻害しないものであれば、特に制限はなく、また、ポリビニルフェノール類を溶解している溶媒と同一であっても、異なっていても良いが、同一であるのが生産プロセス上好ましい。
【0017】
溶媒として具体的には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサンのようなエーテル類、アセトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸n−ブチルのようなエステル類、アセトニトリルのようなニトリル類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類、ベンゼン、トルエンのような芳香族炭化水素類が挙げられる。これらの中では、溶解性および反応時の取扱い易さの点で、エーテル類、特に1,3−ジオキソランが好ましい。これらの溶媒は、単独で用いても良く、また2種以上を混合して用いても良い。
【0018】
アセタール化剤の有機溶媒での希釈時の濃度については、通常、重量比で10%〜90%、好ましくは20%〜80%、さらに好ましくは20%〜70%である。濃度がこの範囲より低くても格別な効果が得られるわけではなく、また大量の溶媒が必要となり、生産プロセス上のメリットがない。またこの範囲より高いと、溶媒による希釈による散逸防止の効果が十分に得られない怖れがある。
ポリビニルフェノール類と、アセタール化剤とを反応させるに当たっては、ポリビニルフェノール類中のフェノール性水酸基のモル等量に対する、所望の保護基の導入率を得るのに必要なアセタール化剤のモル数に基づいて添加量が決定される。また反応に用いられる溶媒、およびポリビニルフェノール等の原料に水分が含有される場合は、その水分量も加味して決定することも可能である。保護基の導入率としては耐熱性及び画像形成能の点から、通常フェノール性水酸基の5〜60%が適当であり、より好ましい導入率としては10〜60%、さらに好ましくは20〜50%である。該保護基は、後述の光酸発生剤から生じる酸の作用により脱離し感放射線性組成物の現像液への溶解性向上に寄与する。
【0019】
ポリビニルフェノール類とアセタール化剤との反応温度は、溶液が液体状態を保っている限り特に制限はないが、反応速度並びに溶媒及びアセタール化剤の揮発等の点から、0℃以上100℃以下、好ましくは10℃以上70℃以下、さらに好ましくは20℃以上50℃以下である。また反応時間は、通常0.5時間以上48時間以下であるが、反応の収率並びに生産性の点から、1時間以上24時間以下、さらには1時間以上12時間以下であるのが好ましい。
【0020】
本反応においては通常酸触媒が用いられる。酸触媒はアセタール化反応を起こすのに十分な酸性を有していれば特に制限はないが、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸のような鉱酸、蟻酸、酢酸、酪酸のようなカルボン酸類、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸のようなスルホン酸類、メタンホスホン酸、ベンゼンホスホン酸のようなホスホン酸類等が挙げられる。これらの中では、鉱酸、特に塩酸が好ましい。これらの酸は単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。また添加の際はこのまま添加しても良く、溶媒に希釈した状態もしくはスラリー状態で添加しても良い。これらの酸の添加量は、フェノール性水酸基1モル等量に対して、0.00001モル以上1モル以下、好ましくは0.0001モル以上0.1モル以下、さらに好ましくは0.001モル以上0.05モル以下である。酸の量がこの範囲より少ないと、反応速度が不十分となり、生産効率が低下する恐れがある。またこの範囲より多いと、この後の中和行程で大量の塩基性化合物が必要となり、生成した塩がアセタール化物に混入しその除去が困難となる傾向がある。
【0021】
尚、本反応において、以上のような酸触媒は、反応終了後反応液を中和することによって除去される必要がある。中和に用いられるのは、塩基性化合物であれば特に制限はないが、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような金属水酸化物、アンモニア水およびアンモニアガス、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンのようなアミン類、ピリジン、メチルピリジン、アミノピリジン、(N,N−ジミチルアミノ)ピリジン(DMAP)のようなピリジン類、水酸化テトラアルキルアンモニウムのような4級アンモニウム化合物等が挙げられる。これらの中ではアンモニア水、アミン類、ピリジン類の含窒素塩基性化合物が好ましい。これらの塩基性化合物は単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また添加の際はこのまま添加しても良く、溶媒に希釈した状態もしくはスラリー状態で添加しても良い。これらの塩基性化合物は、反応終了後に反応液に添加されるが、その際反応液のpH値が7以上14以下、さらには8以上12以下になるようにするのが好ましい。pH値がこの範囲より低いと中和が不十分となり、アセタール化物の分解が起こる可能性があり、この範囲より高いとアセタール化物から塩基性化合物を除去するのが困難となるので好ましくない。
このようにして得られたアセタール化物は、溶液から再沈殿等の既知の方法によって単離・精製され、感放射線組成物に好適に用いられるものである。
【0022】
本発明によって製造されるアセタール化物を感放射性組成物に用いるに当たっては、該アセタール化物を放射線の作用により酸を発生する感放射線性化合物(以下、光酸発生剤という)と共に使用する。
本発明で使用する光酸発生剤としては、露光に用いられる活性光線または放射線によって酸を発生するものであれば特に限定されるものではなく、従来公知のものが使用できるが、具体的には、たとえばトリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリブロモメチル)−6−p−メトキシフェニル−s−トリアジンなどのハロゲン含有s−トリアジン誘導体、1,2,3,4−テトラブロモブタン、1,1,2,2−テトラブロモエタン、四臭化炭素、ヨードホルムなどのハロゲン置換パラフィン系炭化水素、ヘキサブロモシクロヘキサン、ヘキサクロロシクロヘキサン、ヘキサブロモシクロドデカンなどのハロゲン置換シクロパラフィン系炭化水素、ビス(トリクロロメチル)ベンゼン、ビス(トリブロモメチル)ベンゼンなどのハロゲン含有ベンゼン誘導体、トリブロモメチルフェニルスルホン、トリクロロメチルフェニルスルホン、2,3−ジブロモスルホランなどのハロゲン含有スルホン化合物、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどのハロゲン含有イソシアヌレート誘導体、トリフェニルスルホニウムクロライド、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメチルスルホネート、トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネートなどのスルホニウム塩、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメチルスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネートなどのヨードニウム塩、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、1,2,3−トリ(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン、p−トルエンスルホン酸ベンゾインエステル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸ブチル、1,2,3−トリ(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、メタンスルホン酸フェニル、メタンスルホン酸ベンゾインエステル、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、トリフルオロメタンスルホン酸ブチル、1,2,3−トリ(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、トリフルオロメタンスルホン酸フェニル、トリフルオロメタンスルホン酸ベンゾインエステル、などのスルホン酸エステル類、ジフェニルジスルホンなどのジスルホン類、フェニルカルボニルフェニルスルホニルジアゾメタンなどのカルボニルスルホニルジアゾメタン類、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)メタンなどのビススルホニルメタン類、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、(シクロヘキシルスルホニル)(4ーメトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、(シクロヘキシルスルホニル)(2−ナフチルスルホニル)ジアゾメタンなどのビススルホニルジアゾメタン類、o−ニトロベンジル−p−トルエンスルホネートなどのo−ニトロベンジルエステル類、N,N' −ジ(フェニルスルホニル)ヒドラジドなどのスルホンヒドラジド類、フタルイミノトリフルオロメチルスルホネート、フタルイミノp−トルエンスルホネート、フタルイミノカンファースルホネートなどのイミノスルホネート類などが挙げられる。 これらの中でも、露光後スルホン酸を発生する化合物が好適に用いられ、なかでも下記一般式(I )に示すビススルホニルジアゾメタン類が特に好ましい。
【0023】
【化2】
【0024】
(Q1 、Q2 は独立に置換されてもよい直鎖状、分枝状または環状アルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていても良いアラルキル基を表す。
)
【0025】
本発明の感放射線性組成物においては、ポリビニルフェノール類(A)100重量部に対して光酸発生剤0.001〜30重量部、好ましくは0.05〜20重量部の割合で用いられる。
光酸発生剤の量がこの範囲よりも少ないと感度が劣り、この範囲よりも多いと、光酸発生剤によるレジスト膜の透明性の低下によりレジストパターンが台形になり解像力の低下を引き起こす恐れがある。
【0026】
本発明の感放射線性組成物には本発明の効果を損なわない程度に添加剤を加えることができる。添加剤の例としては溶解抑制剤、有機カルボン酸、界面活性剤、色素、増感剤、含窒素化合物等が挙げられる。
溶解抑制剤とはアルカリ現像液に対するポリビニルフェノール類(A)の未露光部の溶解性を制御する化合物で、酸触媒作用により脱離する基を有するものであれば低分子化合物でも高分子の樹脂でも良い。好ましくはフェノール性水酸基やカルボキシル基等の酸性官能基の水素原子を酸触媒作用により脱離する基で保護した化合物である。具体的には特開平9−62006、特開平9ー274320、特開平9ー281697、特開平9−278699、特開平9−50127、特開平9−236921号公報等に記載された化合物が挙げられる。
【0027】
更に、本発明に用いられる溶解抑制剤は単独もしくは2種以上混合して使用することもできる。
溶解抑制剤を添加する場合、その添加量はポリビニルフェノール類(A)100重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは5〜30重量部の割合で用いられる。
含窒素化合物は、酸に対して塩基として作用する化合物であり、露光から露光後ベークまでの間に、プリベーク時に発生した酸又は露光時に酸発生剤から発生した酸が移動してレジストパターンが寸法変動を起こすのを防ぐために有効である。従って、上記のごとき酸発生剤から生じた酸を中和しうる化合物であれば、特に限定されないが、有機アミン化合物が挙げられる。具体的には、例えば、ピリミジン、2−アミノピリミジン、4−アミノピリミジン、5−アミノピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、2,5−ジアミノピリミジン、4,5−ジアミノピリミジン、4,6−ジアミノピリミジン、2,4,5−トリアミノピリミジン、2,4,6−トリアミノピリミジン、4,5,6−トリアミノピリミジン、2,4,5,6−テトラアミノピリミジン、2−ヒドロキシピリミジン、4−ヒドロキシピリミジン、5−ヒドロキシピリミジン、2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,5−ジヒドロキシピリミジン、4,5−ジヒドロキシピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2,4,5−トリヒドロキシピリミジン、2,4,6−トリヒドロキシピリミジン、4,5,6−トリヒドロキシピリミジン、2,4,5,6−テトラヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4−ヒドロキシピリミジン、2−アミノ−5−ヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4,5−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、4−アミノ−2,5−ジヒドロキシピリミジン、4−アミノ−2,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4−メチルピリミジン、2−アミノ−5−メチルピリミジン、2−アミノ−4,5−ジメチルピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメチルピリミジン、4−アミノ−2,5−ジメチルピリミジン、4−アミノ−2,6−ジメチルピリミジン、2−アミノ−4−メトキシピリミジン、2−アミノ−5−メトキシピリミジン、2−アミノ−4,5−ジメトキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメトキシピリミジン、4−アミノ−2,5−ジメトキシピリミジン、4−アミノ−2,6−ジメトキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−メチルピリミジン、2−ヒドロキシ−5−メチルピリミジン、2−ヒドロキシ−4,5−ジメチルピリミジン、2−ヒドロキシ−4,6−ジメチルピリミジン、4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルピリミジン、4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルピリミジン、2−ヒドロキシ−4−メトキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−メトキシピリミジン、2−ヒドロキシ−5−メトキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4,5−ジメトキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシピリミジン、4−ヒドロキシ−2,5−ジメトキシピリミジン、4−ヒドロキシ−2,6−ジメトキシピリミジンなどのピリミジン化合物類、ピリジン、メチルピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、2,6−ジメチルピリジン等のピリジン化合物類、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタンなどの炭素数1以上4以下のヒドロキシアルキル基で置換されたアミン類、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノールなどのアミノフェノール類などが挙げられるが、ピリジン類またはヒドロキシ基をもつアミン類が好ましい。含窒素化合物の含有量は、光酸発生剤の含有量に対して、0.1〜100モル%が好ましく、さらに好ましくは、1〜50モル%である。
【0028】
有機カルボン酸は、環境からの塩基性物質の侵入によるレジスト性能の低下を抑制する目的で使用される。
有機カルボン酸の具体例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、iso−酪酸、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族カルボン酸、ピルビン酸などのケトカルボン酸、安息香酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族カルボン酸、または商品名SAX(三井東圧化学製)として市販されている芳香族カルボン酸の構造単位を含むポリマーなどを用いることができる。
有機カルボン酸の添加量は、ポリビニルフェノール類(A)100重量部に対して0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部の割合で用いられる。
【0029】
界面活性剤は、感放射線性樹脂組成物の塗膜性を良くし、スピンコート時の膜厚均一性を改善したり、感放射線性樹脂組成物の現像性を良くする目的で添加される。
このような目的で使用できる界面活性剤としては、たとえばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリコールラウリテート、ポリオキシエチレングリコールジステアレート、エフトップEF301、EF303、EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックF170、F171、F172、F173(大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431、FC170C(住友3M社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC―101、SC−102、SC−103、SC−104、SC−105、SC−106(旭硝子社製)、KP341(信越化学社製)、ポリフローNo.75、No.95(共栄社油脂化学工業製)などを挙げることができる。
【0030】
これらの界面活性剤は単独であるいは2種以上を混合で用いることができ、通常ポリビニルフェノール類(A)100重量部に対して、界面活性剤0.01重量部以上3重量部以下の割合で使用される。
アルミなどの反射率の高い基板上でレジストの画像形成をする場合には、基板からの露光光の反射によるレジストパターン形状の劣化を防ぐために、吸光剤を加えることができる。このような目的に使用される吸光剤の例としては、ナフトキノンジアジド化合物、ベンゾフェノン類、ナフタレンやアントラセンなどの縮合芳香族環含有化合物などを挙げることができる。
【0031】
本発明における感放射線性組成物は、ポリビニルフェノール類(A)、光酸発生剤、溶解抑止剤、含窒素化合物等の上記各成分を溶解させ得る適当な溶媒に溶解して用いる。好ましい溶媒としては2−ヘキサノン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶媒、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチルなどのエステル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのプロピレングリコール系溶媒、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン系溶媒、あるいはこれらの混合溶媒、あるいはさらに芳香族炭化水素を添加したものなどが挙げられる。溶媒の使用割合は、感光性組成物の固形分の総量に対して重量比で1〜20倍の範囲であることが望ましい。
【0032】
本発明の感放射線性組成物を用いて半導体基板上にレジストパターンを形成する場合には、通常、上記のような溶媒に溶解した本発明の感放射線性組成物を半導体基板上に塗布し、プリベーク、露光によるパターンの転写、露光後ベーク、現像の各工程を経てフォトレジストとして使用することができる。半導体基板は、通常半導体製造用基板として使用されているものであり、シリコン基板、ガリウムヒ素基板などである。尚、基板上及びレジスト膜上には必要により公知の種々の反射防止膜を用いることも可能である。
【0033】
例えば、特開平6−148896号、同6−118630号、同6−148896号、同5−241332号、USP5688987号、同5693691号、同5368989号、同5234990号、同5110697号等に記載の反射防止膜が使用できる。
塗布には通常スピンコーターが使用され、露光には、低圧水銀灯の254nm、エキシマレーザーなどを光源とする157nm、193nm、222nm、248nmの光または電子線などが好適に用いられ、好ましくは150〜300nmのディープUVであり、特にエキシマレーザーを光源とするのが有利である。
露光の際の光は、単色光でなくブロードであってもよい。また、位相シフト法による露光も適用可能である。
【0034】
本発明の感放射線性組成物の現像液に用いるアルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などの無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミンなどの第1級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどの第2級アミン類、トリエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミンなどの第3級アミン類、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムなどの第4級アンモニウム化合物等が挙げられるが、これらの中では第4級アンモニウムの水酸化物が好ましく、特に水酸化テトラメチルアンモニウムが好ましい。さらに、これらアルカリ性化合物に加えて、アルコール、界面活性剤などを添加して使用することもできる。
本発明の感放射線性組成物は超LSIの製造のみならず一般のIC製造用、マスク製造用、画像形成用、液晶画面製造用、カラーフィルター製造用あるいは平版印刷用としても有用である。特に、半導体集積回路作成用として有用である。
【0035】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はその要旨を越えない限り実施例により何等制約を受けない。
【0036】
合成例1
攪拌装置、滴下ロート、および還流冷却管を備えた1L反応器に、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(重量平均分子量15000)100gと1,3−ジオキソラン300mLを仕込み、均一に溶解させた後、さらに触媒として、35%塩酸を0.25mL添加した。これに、エチルビニルエーテル44.2gを1,3−ジオキソラン40mLにて希釈したものを、滴下ロートを通して添加し、30℃で3時間反応させた。反応後、アンモニア水にて反応液のpHを10に調整した後、この溶液を3Lの純水に滴下して生成したアセタール化物を沈殿させた。
このアセタール化物を再度400mLの1,3−ジオキソランに溶解し、再び3Lの水に滴下し再沈殿させることで精製した。得られたアセタール化物を真空乾燥したところ、110gのポリ(p−ヒドロキシスチレン)の部分アセタール化物(保護基が1−エトキシエチル基に相当)が得られた。これを重アセトンに溶解し、プロトンNMRスペクトルにてアセタール化率を測定した。尚、以上の操作を3回繰り返し、3つのアセタール化物を製造した。(合成例1−a,b,c)
【0037】
合成例2
エチルビニルエーテルを1,3−ジオキソランにて希釈することなく、そのまま反応液に滴下した以外は、合成例1と同様に行った。
尚、合成例1のようにこの操作を3回繰り返し、3つのアセタール化物を製造した。(合成例2−a,b,c)
【0038】
実施例1
合成例1で得られたアセタール化物(1.0g)に、光酸発生剤として、シクロヘキシルスルホニル−(4−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン0.02g、およびプロピレングリコ−ルモノメチルエ−テルアセテ−ト5.35gを混合し、更にテトライソプロパノ−ルアミンを光酸発生剤の15モル%添加しレジスト感光液とした。この感光液を、シリコン基板上に下層用有機反射防止膜を塗布したウェハにスピンコ−トし、ホットプレ−ト上で90℃、60秒間ベ−クし、膜厚0.72μmのレジスト膜とした。さらに、このレジスト膜上にポリビニルピロリドン1.2重量%及びパーフルオロオクチルスルホン酸アンモニウム3.5重量%を含む水溶液を塗布し、上層用反射防止膜を形成した。この基板上のレジスト膜をニコン社製KrFエキシマレ−ザ縮小投影露光装置(NA=0.42)を用いて露光した後、ホットプレ−ト上で110℃、60秒間ベ−クした。この後、このレジスト膜をテトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38重量%水溶液で1分間現像した。この現像後に得られたレジストパタ−ンを走査電子顕微鏡で観察することにより感度、即ち、0.30μmのライン・アンド・スペ−ス・パターンが1:1に解像している露光量(以下、E0 と表す)を評価した。この操作は合成例1にて製造した3つのアセタール化物について、1回づつ、合計3回行った。(実施例1−a,b,c)
【0039】
比較例1
合成例2で得られたアセタール化物を用いた以外は、実施例1と同様に行った。この操作は合成例2にて製造した3つのアセタール化物について、1回づつ、合計3回行った。(比較例1−a,b,c)
実施例1及び比較例1の結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
表1
【0041】
実施例は比較例よりも、保護率が安定しているため、感度、即ちE0 が安定しており、感光液の性能が安定していることがわかる。
【0042】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、特に感放射線性組成物に用いられるアセタール化物を所望の保護率で安定して効果的に製造できる。さらにこの方法によって製造されたアセタール化物を含有する感放射線性組成物は、製造ロット間で感度等の性能の振れがなく、常に安定した性能が得られるものであり、ICを歩止まり良く製造可能となり実用上極めて有用である。
Claims (4)
- ポリビニルフェノール類(A)と、下記構造(B’)を有し、かつ、ポリビニルフェノール類(A)との反応によりアセタール構造を形成しうる化合物(B)とを、化合物(B)に対して溶解性を有し、かつ、反応を阻害しない有機溶媒の存在下反応させて、ポリビニルフェノール類のフェノール性水酸基の少なくとも一部がアセタール化された化合物を製造する方法において、化合物(B)を予め前記有機溶媒と混合した後、ポリビニルフェノール類と混合し、これらを酸触媒の存在下で反応させ、得られた反応液を塩基性化合物でpH7〜14に調整することを特徴とするポリビニルフェノール類のアセタール化物の製造方法。
- 前記ポリビニルフェノール類(A)と、化合物(B)との反応温度が30℃〜100℃である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記化合物Bが、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、iso−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル及びジヒドロピランからなる群より選択される、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記有機溶媒が、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ベンゼン及びトルエンからなる群より選択される1種以上の有機溶媒である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
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