JP3786812B2 - 通帳頁めくり装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ATM(自動預金支払機)や自動記帳機などの通帳処理装置において用いられる通帳頁めくり装置、とくに通帳搬送路中の定位置に設けためくりローラを所定方向に回転させて、停止されている通帳の前記めくりローラに接触している表紙又は中紙をめくるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、特願平10−301320号明細書において、定位置で所定方向に回転されるめくりローラを用いる通帳頁めくり装置を提案した。この通帳頁めくり装置は、図2に示すように、見開き状態の通帳100を搬送ローラCR1,CR2により頁めくり領域まで搬送して停止し(図2(a))、搬送ローラCR2構成するフィードローラfr2の回転軸と同軸上に独立回転可能に設けためくりローラTRを、これに接触している通帳の中紙101の先端がめくりローラの下側を通過して通帳の綴じ目102の方向に移動するように所定方向(図2の例では時計方向)に回転させて、その中紙101を上方に凸面となるように膨らませる(図2(b))とともに、さらにその中紙をめくりローラTRの上方に跳ね上げさせ(図2(c))、複数枚めくる場合は、めくりローラTRをめくり枚数と同じ回数回転させ、その後は、搬送ローラCR1,CR2,CR3を所定方向に回転させて、その通帳100を綴じ目102がめくりローラTRの下側を通過する方向に移動させて、跳ね上げられた中紙101を反転させる(図2(d))ことにより、頁めくり動作を完了するようになっている。
【0003】
以上は、図2において、通帳100を右側から左側にめくる場合について説明したが、通帳を左側から右側にめくる場合は、めくりローラTRの右側に、搬送ローラCR1と同一構成の搬送ローラCR3がめくりローラTRに関して対称の位置に配置されているので、同図(a)〜(d)の通帳の位置がめくりローラTRに関して左右対称の位置関係になり、めくりローラTRの回転方向及び通帳の搬送方向がそれぞれ逆となる。
【0004】
上記のような頁めくり動作を行う通帳頁めくり装置の全体的構成を、図3ないし図5に基づいて説明する。図3は通帳頁めくり装置の要部を示す断面図、図4は図3のX−X線断面図、図5は駆動系を示す側面図である。図2について説明した構成部材と同一又は相当の部材には、同一の符号を用いる。
【0005】
図2〜図4における搬送ローラCR1,CR3は、通帳搬送面を境としてその上下に対向配置されたフィードローラとプレッシャローラfr1,pr1;fr3,pr3からなり、フィードローラfr1,fr3は図4に示すように左右のフレームF1,F2に回転自在に貫通された駆動軸1a,3aにその長手方向に適宜の間隔をもって複数個固着され、プレッシャローラpr1,pr3は支軸1b,3bにその長手方向にフィードローラfr1,fr3と等しい間隔をもって揺動自在に支持されたアーム1c,3cの先端に回転自在に保持され、アーム1c,3cの後端と固定部材との間に張設されたバネなどの付勢部材1d,3dにより、各フィードローラfr1,fr3の方向に付勢されている。
【0006】
図2〜図4の2aも、フィードローラfr1の駆動軸1aと同様の駆動軸であり、その軸上にフィードローラfr1と同様のフィードローラfr2が同様に配置されており、また、各フィードローラfr2の下方にそれぞれ対向して同様の付勢手段により付勢されたプレッシャローラpr2が配置されて、搬送ローラCR2が構成されている。
搬送ローラCR2のプレッシャローラpr2を保持するアーム2cは、フレームF1,F2に回転自在に貫通された支軸2bに固着されている。支軸2bの一端部にL形のレバー2eがその屈曲部において固着され、そのレバーの一端部に付勢部材2dが結合されて、プレッシャローラpr2がフィードローラfr2の方向に付勢されている。また、レバー2eの他端部にはカムフォロワ2fが設けられ、そのカムフォロワ2fは、フレームF1,F2に回転自在に貫通された支軸4に固着されているカム5に当接されている。カム5が伝動ベルト6を介してモータM1により図3において反時計方向に所定角度回動されると、カムフォロワ2f、レバー2e,支軸2b及びアーム2cを介してプレッシャローラpr2が付勢部材2dに抗してフィードローラfr2から下方に離間されるようになっている。
【0007】
そして、図及び図に一部を示すように、フィードローラfr1〜fr3の駆動軸1a,2a,3aは、その一端部に設けられたプーリ7に共通の伝動ベルト8を巻回して、図示されていない搬送モータから同一方向の回転駆動力を与えられるようになっている。図5において、trはテンションローラである。これにより、搬送ローラCR1,CR2,CR3により通帳を上側搬送ガイドUGと下側搬送ガイドLGの間を図3おいて右方向又は左方向に搬送することができる。
【0008】
図2〜図5において、TRは頁めくりローラであり、搬送ローラCR2を構成するフィードローラfr2の半径よりも小さいボス部bmの外周の一部にゴムなどの摩擦係数の大きい材料で作られためくり部材tmを、頁めくりローラの軸心からめくり部材tmの外端までの距離がフィードローラfr2の半径よりも僅かに大きくなるように半径方向に突出させて構成されている。
そして、頁めくりローラTRは、スリーブ9の両端部の外周に固着されている。スリーブ9は、図3及び図4に示すように、これに駆動軸2aを貫通させ、隣合う二つのフィードローラfr2の間において、駆動軸2aに固着されたストッパ10により所定位置において駆動軸2aに回転自在に保持されている。
【0009】
スリーブ9の中央部の外周には、プーリ11が固着されている。そして、駆動軸2aの真上において左右のフレームF1,F2に回転自在に貫通させた駆動軸12にプーリ13が固着されており、前記二つのプーリ11,13に伝動ベルト14が巻回され、駆動軸12の一端部に固着されたプーリ15に伝動ベルト16を介して、めくりモータM2から回転駆動力を与えられるようにしてある。図5において、17はめくりローラTRの回転角度を検出するセンサであり、駆動軸12に固着された遮光板18により遮光される光電スイッチで構成されている。センサ17が明から暗になり、再び明になったことにより、めくりローラTRの1回転が検知され、制御部はその検知信号に基づいてめくりモータM2の回転を制御するようになっている。
【0010】
そして、めくりローラTRによるめくり動作を確実にするため、通帳搬送面の下側搬送ガイドLGにめくりローラの下方において孔103を形成するとともに、その孔からめくりローラTRに向けてバネ104などを介して弾力的に付勢する通帳押え部材105が備えられている。通帳押え部材105は、摩擦係数の小さな材料で形成され、めくりローラTRのめくり部材tmが通帳搬送面から上方に退避されている間は、カムやリンクなどの昇降手段(図示省略)により通帳搬送面から下方に退避されている。すなわち、通帳押え部材105は、通帳が搬送される間は、通帳搬送面よりも下方に退避され、停止した通帳に対してめくりローラTRによりめくり動作が行われる間は、図3に示されているように、上昇されてめくりローラTRに近接される。また、めくりローラTRの下方に設けられているプレッシャローラpr2は、めくりローラTRが回転される間は、めくり動作が円滑に行われるように、図3に示されているように、搬送面から下方に退避される。
【0011】
めくり動作の際は、めくりローラTRが図3においては反時計方向に回転されて、めくり部材tmが通帳100に接触するとき、通帳が下側搬送ガイドLGに密着された状態となり、かつ、通帳押え部材105による圧力により、円軌道に沿って移動するめくり部材tmの通帳(最上の中紙101)に対する摩擦力が高められる。
【0012】
図4に示すように、めくりローラTRは、通帳搬送方向に直交する方向に延設された回転軸2aにその軸方向に隔てて一対設けられている。そして、図2に示すように、めくりローラの回転とともに、通帳の最上の1枚目の搬送方向中央部分が凸面となるように湾曲され(膨らまされ)、続いて、先端がめくりローラから上方に跳ねった時に、めくりローラの回転が停止され、通帳が所定方向に搬送されて、めくりローラの上方に跳ねった表紙又は中紙を反転させることにより、めくり動作が終了するようになっている。
【0013】
上記のように、この通帳頁めくり装置は、搬送ローラと同軸上にめくりローラを設けて定位置で所定方向に回転させるだけで通帳の頁めくりが実現されるので、搬送ローラとめくりローラの取付空間の取合いの問題がなく、めくり領域の確保が容易であるという長所を有している。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、めくりローラの製造上又は取付上の誤差により、一対のめくりローラの通帳に与える摩擦力の大きさや分布あるいは付与方向が完全に同一ではないため、通帳のめくり動作途中で、図4に示すように一対のめくりローラの間の部分が搬送面から浮上して、中紙の幅方向中央部分に尾根状又は皺状のリブが発生する場合がある。このようなリブは、その直後の通帳の湾曲に対して抵抗体となるため、めくり動作を不可能にする。そのため、従来のめくり装置では、めくり動作が安定して行われないという問題があった。
【0015】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その課題は、一対のめくりローラを回転してめくり動作を行う通帳頁めくり装置において、表紙又は中紙の幅方向中央部分にめくり動作中のめくりローラから加わる力が原因となるリブの発生を防止して、頁めくりが安定して行われるようにすることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は、通帳搬送路中の定位置において所定方向に回転される一対のめくりローラを用いる通帳頁めくり装置において、前記一対のめくりローラを取付けた回転軸に、同めくりローラの間において外周面が通帳搬送面に近接する浮上防止ローラを回転自在に設けたことを特徴としている。上記構成により、めくりローラの回転に伴い、通帳の表紙又は中紙のめくりローラの間の部分が浮上しようとしても、浮上防止ローラにより押えられているので、リブが発生しない。従って、めくりローラが押圧している頁が円滑に膨らんでめくり動作が完了される。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、図1に示す実施例に基づいて説明する。図1は本発明による浮上防止ローラを備えた通帳頁めくり装置の要部の図4に対応する断面図である。図4の部材と同一の部材には同一の符号を用いる。
【0018】
本実施例においては、伝動ベルト14を介して回転力を与えられ、めくりローラTRを固着しているスリーブ9(回転軸)に、一対のめくりローラTRの中間において、浮上防止ローラALRを回転自在に設けてある。浮上防止ローラALRは、直径が搬送ローラのフィードローラfr2と同径又はフィードローラfr2の径よりも僅かに小さい径を有して、その外周面が通帳搬送面に接触され又は可及的に接近されている。
【0019】
上記のように、一対のめくりローラTRの間に浮上防止ローラALRが設けられているので、通帳がめくり領域において搬送されるときは、浮上防止ローラはその搬送される通帳の見開き面に当接して自由に追従回転するので、浮上防止ローラが通帳の搬送の障害になることはない。また、通帳が停止された時に、めくりローラTRが所定方向に回転されて、めくりローラが接触している表紙又は中紙が膨らまされる時は、その表紙又は中紙のほぼ中間部分が浮上防止ローラALRにより押さえられているので、図4に示すような、中央部分への寄せ集めによるリブの発生が見られない。
万一、左右のめくりローラ又はめくり部材の取付け状態に不均衡あるために、めくり上げられる表紙又は中紙の中央部分が浮上防止ローラALRにめくりローラTRの回転速度と同期しない速度で力を加えても、浮上防止ローラはスリーブ(回転軸)から独立して回転自在に備えてあるので、加わる力に応じて任意に回転するため、めくり上げられる表紙又は中紙に摩擦抵抗を与えることもない。したがって、頁めくりが円滑に行われる。
【0020】
スリーブ9に回転力を与える伝動ベルト14は、図4に示すように一対のめくりローラTRの間に設ける必要はなく、スリーブ9をいずれか一方のめくりローラの外側まで延出し、その延出部分にプーリ11を設け、そのプーリに伝動ベルト14を巻回するようにしてもよい。
【0021】
【発明の効果】
上述のように、本発明によれば、めくりローラの間に浮上防止ローラを回転自在に備えたので、めくりローラのめくり動作中にめくられる表紙又は中紙の中央部分にリブが発生することがないため、円滑に安定した頁めくり動作が行われる。また、浮上防止ローラは回転自在であるので、搬送ローラよる通帳搬送やめくりローラによるめくり動作の障害とならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による頁めくり装置の要部を示す断面図。
【図2】めくりローラを用いる頁めくり装置の動作原理を説明する図。
【図3】めくりローラを用いる頁めくり装置の要部の構成を示す断面図。
【図4】図3のX−X線断面図。
【図5】駆動力伝達機構を説明する要部の正面図。
【符号の説明】
CR1,CR2,CR3 搬送ローラ
fr2 フィードローラ
pr2 プレッシャローラ
100 通帳
101 中紙
TR めくりローラ
tm めくり部材
bm ボス部
ALR 浮上防止ローラ

Claims (1)

  1. 通帳搬送路上の定位置に設けためくりローラを所定方向に回転させて、めくり領域に停止させた通帳のめくりローラに接触する表紙又は中紙を膨らませ、かつ、跳ね上げさせた後、前記通帳を所定方向に搬送して跳ね上げさせた表紙又は中紙を反転させることにより、頁めくりを行う通帳頁めくり装置において、
    前記めくりローラは、これを通帳搬送方向に直交する方向に延設された回転軸に軸方向に隔てて一対設け、かつ、前記回転軸に前記一対のめくりローラの間において外周面が通帳搬送面に近接する浮上防止ローラを回転自在に設けたことを特徴とする通帳めくり装置。
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