JP3785868B2 - El表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はEL表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、EL表示装置としては、例えば、特開平6−52990号公報にて示すようなELパネル(図5及び図6参照)を採用したものがある。このELパネル(以下ELパネルPという)は、図6にて示すごとく、ガラス基板10を備えており、このガラス基板10の内表面には、複数条のデータ電極20、下側絶縁層30、発光層40、上側絶縁層50、複数条の走査電極60、接着剤層70及びカバーガラス80が順次積層形成されている。
【0003】
ここで、複数条の走査電極60は複数条のデータ電極20に対し直角に位置して発光層40と共にマトリクス状の複数の画素を構成する。なお、ガラス基板10の内表面に複数条のデータ電極20、下側絶縁層30、発光層40、上側絶縁層50及び複数条の走査電極60が順次積層された構成を、ELパネルPの発光領域部という。
【0004】
また、ELパネルPにおいては、図5にて示すごとく、複数条の引き出し配線部100がガラス基板10の内表面に沿い複数条のデータ電極20の各端部から延出されており、複数条の引き出し配線部110が、上側絶縁層50と接着剤層70との間に沿い複数条の走査電極60の各端部から延出されている。なお、複数条の引き出し配線部100及び複数条の引き出し配線部110を有する各領域をそれぞれELパネルPの下側及び上側の配線領域部という。
【0005】
また、ELパネルPにおいては、下側ダミーパターン部120が、ガラス基板10の内表面上のうち上記発光領域部及び下側配線領域部を除く領域(複数条のデータ電極20及び複数条の引き出し配線部100を除く領域であって各データ電極20間及び各引き出し配線部100間を除く領域)に沿い、複数条のデータ電極20及び複数条の引き出し配線部100から電気的に絶縁されて形成されている(図5及び図6参照)。
【0006】
また、上側ダミーパターン部130が、上側絶縁層50と接着剤層70との間のうち上記発光領域部及び上側配線領域部を除く領域(複数条の走査電極60及び複数条の引き出し配線部110を除く領域であって各走査電極60間及び各引き出し配線部110間を除く領域)に沿い複数条の走査電極60及び複数条の引き出し配線部110から電気的に絶縁されて形成されている(図5及び図6参照)。ここで、各データ電極20、各走査電極60、各引き出し配線部100、110は、透明の同一の導電膜材料(ITO)により形成されている。
【0007】
ここで、上記ELパネルPでは、ダミーパターン部120、130は、上述のごとく、各データ電極20、各走査電極60及び各引き出し配線部100、110と同様の材料からなるため、各ダミーパターン部120、130の光に対する透過率或いは反射率は、各データ電極20、各走査電極60及び各引き出し配線部100、110と同一となる。このため、ELパネルPの表示領域の見栄えの均一化は確保され得る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記ELパネルPでは、各ダミーパターン部120、130は上述のように見栄えの均一化のために用いられるもの故、当該各ダミーパターン部は、アース電位に落として使用する対象ではなく、浮遊電位に維持されているのが通常である。このため、ELパネルPの誤発光を招くという不具合が生ずる。この点につき、以下に詳細に説明する。
【0009】
上記ELパネルPを等価回路で表すと、図7のようになる。ここで、互いに交差するデータ電極20と走査電極60との間には、両電極20、60間に位置する発光層40に起因する容量性に基づき、各画素にて静電容量がコンデンサC1として形成される(図6参照)。また、各走査電極60とダミーパターン部130との間には、寄生容量がコンデンサC2、C2’…として形成され、両ダミーパターン部130、120間には、寄生容量がコンデンサC3として形成され、ダミーパターン部120と各データ電極20との間には、寄生容量がコンデンサC4として形成される(図6参照)。
【0010】
このため、ある走査電極60に対し電圧V1を印加するとともに、データ電極20に対し電圧V2(V2=0<V1)を印加すると、図8にて図示矢印Aのように電圧V1が印加されている走査電極60(図の上側に図示する走査電極60)からコンデンサC2、C2’、電圧V1が印加されていない走査電極60(図の上側に図示する走査電極60)を介し電流が流れてコンデンサC1に流入し、当該コンデンサC1に対応する画素が発光する。このことは、ELパネルが、ダミーパターン部130が浮遊電位に維持されているために、当該画素にて誤発光することを意味する。
【0011】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、見栄えの均一化を図るダミーパターン部の電位を固定して、ELパネルの誤発光を抑制するようにしたEL表示装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題の解決にあたり、請求項1に記載の発明に係るEL表示装置は、下側および上側の電極部(20、60)の間に発光層(40)を設けてなる発光領域部と、この発光領域部に隣設されて下側の電極部に接続された下側の配線部(100)を有する下側の配線領域部と、発光領域部に隣設されて上側の電極部に接続された上側の配線部(110)を有する上側の配線領域部と、発光領域部及び下側の配線領域部の近傍に設けられ下側の電極部および下側の配線部から電気的に絶縁されて形成された下側のダミーパターン部(120)と、発光領域部及び上側の配線領域部の近傍に設けられ上側の電極部および上側の配線部から電気的に絶縁されて形成された上側のダミーパターン部(130)とを備え、下側および上側のダミーパターン部は、下側および上側の電極部及び下側および上側の配線部と同様の光透過率を有する導電材料からなるELパネル(Pa)と、下側および上側の配線領域部に接続された配線板(B)と、この配線板を介し下側および上側の配線領域部に接続された駆動回路(D)とを備える。
【0013】
そして、当該EL表示装置では、下側および上側のダミーパターン部のそれぞれは、配線板及び駆動回路を介し接地電位に維持されている。
【0014】
上述のように、ELパネルにおいては、下側および上側のダミーパターン部が下側および上側の電極部及び下側および上側の配線部と同様の光透過率を有するから、下側および上側のダミーパターン部でもってELパネルの表示領域の見栄えの均一化が可能とし得る。そして、このELパネルにおいて、下側および上側のダミーパターン部のそれぞれが配線板及び駆動回路を介し接地電位に維持されているので、下側および上側のダミーパターン部が浮遊電位に維持されることがない。よって、ELパネルが発光領域部にて誤発光することがない。また、上側あるいは下側の電極部から生ずる電磁ノイズを、配線板及び駆動回路を介し接地することで電流として放出することによって、電磁ノイズを除去することができる。
【0020】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面により説明する。図1は、本発明に係るEL表示装置の一例を示している。このEL表示装置は、ELパネルPaと、駆動回路Dと、ELパネルPaを駆動回路Dに接続する配線板Bとにより構成されている。
【0022】
ELパネルPaは、図2及び図3にて示すごとく、図5に基づき説明したELパネルPと同様の構成を有する。よって、当該ELパネルPaの構成の説明は、ELパネルPと同一部分には同一符号を付すことで省略する。
【0023】
配線板Bは、フレキシブルプリント基板等の柔軟性配線板からなるもので、当該配線板Bは、絶縁膜140内に複数条の銅箔150、160、170を内蔵して形成されている(図2参照)。
【0024】
ここで、各銅箔150は、その一端部にて、ELパネルPaの各引き出し配線部100の先端部にそれぞれ接続されている。また、各銅箔160は、その一端部にて、ELパネルPaの各引き出し配線部110の各先端部にそれぞれ接続されている。また、銅箔170は、その一端にて、ELパネルPaの両ダミーパターン部120、130の各接続端部に接続されている。
【0025】
駆動回路Dは、走査電極駆動回路180及びデータ電極駆動回路190(図2参照)からなるもので、走査電極駆動回路180は、複数条の銅箔160の各他端部に接続され、データ電極駆動回路190は、複数条の銅箔150の各他端部に接続されている。ここで、走査電極駆動回路180は、走査ドライバ制御回路及び電源回路からなり、また、データ電極駆動回路190は、データドライバ制御回路及び電源回路からなる。また、駆動回路Dは、接地端子Gにて接地されており、この接地端子Gには、配線板Bの銅箔170の他端が接続されている。このことは、両ダミーパターン部120、130が、銅箔170及び駆動回路Dの接地端子Gを通して接地されていることを意味する。
【0026】
走査電極駆動回路180は、各走査電極60に走査電圧を印加し、データ電極駆動回路190は、データ電圧を各データ電極20に印加する。これにより、EL表示装置は、走査電極駆動回路180の走査電圧の印加による走査電極の線順次走査のもと、走査電圧及びデータ電圧の合成電圧に基づきELパネルPaをマトリクス駆動する。
【0027】
以上のように構成した本実施形態においては、ELパネルPaにおいて、図3及び図4にて示すような等価回路が、図7及び図8の等価回路に対応して形成される。但し、ELパネルPaにおいては、図8の等価回路とは異なり、図4にて示すごとく、両ダミーパターン部120、130が駆動回路Dの接地端子Gを通して接地されている。
【0028】
従って、走査電極駆動回路180により走査電極60に対し上記電圧V1(図8参照)を走査電圧として印加するとともに、データ電極駆動回路190によりデータ電極20に対し上記電圧V2(図8参照)をデータ電圧として印加すると、各電流が図4にて図示矢印A1に示すように流れる。
【0029】
即ち、当該各電流は各ダミーパターン部120、130及び接地端子Gを通り接地ラインに流れるため、コンデンサC1には流れ込まない。このため、コンデンサC1に対応する画素が発光することがない。このことは、ELパネルPaは、両ダミーパターン部120、130の上記接地のため、コンデンサC1に対応する画素における誤発光を防止されることを意味する。
【0030】
また、ダミーパターン部130は、各走査電極60及び引き出し配線部110を外周側からほぼ包囲し、ダミーパターン部120は、各データ電極20及び引き出し配線部100をほぼ包囲している。そして、各ダミーパターン部120、130は、配線板Bの銅箔170及び駆動回路Dの接地端子Gを介し接地されている。
【0031】
このため、ダミーパターン120、130は、各走査電極60や各データ電極20から生ずる電磁ノイズを、配線板Bの銅箔170及び駆動回路Dの接地端子Gを通し電流として放出する。従って、ダミーパターン部120、130は、銅箔170及び接地端子Gを介し接地されることで、電磁ノイズ除去手段としての役割をも果たす。
【0032】
なお、上記実施形態では、配線板BはS字状に湾曲しているが、これに限る異なく、配線板Bは平板状に展開した状態であっても、ダミーパターン部120、130の電磁ノイズ除去手段としての役割を実質的に達成できる。
【0033】
また、本発明の実施にあたり、ELパネルPaは、上記実施形態にて述べたようにマトリクス型のものに限ることなく、セグメント型のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るEL表示装置の一実施形態を示す側面図である。
【図2】図1の配線板を平板状に展開した状態におけるEL表示装置の平面図である。
【図3】図2のEL表示装置の等価回路図である。
【図4】図3のELパネルにおける各コンデンサの回路構成を示す図である。
【図5】従来のELパネルの部分破断平面図である。
【図6】図5にて6−6線に沿う断面図である。
【図7】図5のELパネルの等価回路図である。
【図8】図7のELパネルにおいて各コンデンサが形成する回路図である。
【符号の説明】
B…配線板、D…駆動回路、Pa…ELパネル、10…ガラス基板、
20…データ電極、30、50…絶縁層、40…発光層、60…走査電極、
70…接着剤層、100、110…引き出し配線部、
120、130…ダミーパターン部。
Claims (1)
- 下側および上側の電極部(20、60)の間に発光層(40)を設けてなる発光領域部と、この発光領域部に隣設されて前記下側の電極部に接続された下側の配線部(100)を有する下側の配線領域部と、前記発光領域部に隣設されて前記上側の電極部に接続された上側の配線部(110)を有する上側の配線領域部と、前記発光領域部及び前記下側の配線領域部の近傍に設けられ前記下側の電極部および前記下側の配線部から電気的に絶縁されて形成された下側のダミーパターン部(120)と、前記発光領域部及び前記上側の配線領域部の近傍に設けられ前記上側の電極部および前記上側の配線部から電気的に絶縁されて形成された上側のダミーパターン部(130)とを備え、前記下側および上側のダミーパターン部は、前記下側および上側の電極部及び前記下側および上側の配線部と同様の光透過率を有する導電材料からなるELパネル(Pa)と、
前記下側および上側の配線領域部に接続された配線板(B)と、
この配線板を介し前記下側および上側の配線領域部に接続された駆動回路(D)とを備え、
前記下側および上側のダミーパターン部のそれぞれは、前記配線板及び前記駆動回路を介し接地電位に維持されていることを特徴とするEL表示装置。
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