JP3785745B2 - ヒト由来α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子 - Google Patents

ヒト由来α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は糖鎖の構造と機能解析や、糖鎖構造の修飾、糖鎖の合成などの糖鎖工学あるいは診断用途に有用なヒトα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高等生物由来の糖蛋白質、糖脂質等の複合糖質中の糖鎖部分の構造と機能に関する関心が高まっており、その研究が盛んに行われている。糖鎖は糖加水分解酵素及び糖転移酵素の作用により形成されるが、その中でも糖転移酵素が寄与するところが大きい。
糖転移酵素は糖ヌクレオチドを糖供与体として、受容体となる糖鎖に糖を転移し、糖鎖伸長を行う酵素である。その受容体の糖鎖構造に対する特異性は厳密であり、通常、1つのグリコシド結合は対応する1つの転移酵素によって形成される。それ故、糖転移酵素は複合糖質の糖鎖部分の構造研究、特定の糖鎖構造の簡便な合成、天然の糖鎖構造の修飾に利用されている。
また、糖鎖の人工的な改変による複合糖質あるいは細胞の性質の改変への利用が期待されている。これらのことから、基質特性の明らかな種々の糖転移酵素の開発が望まれている。
【0003】
α−1,6−フコシルトランスフェラーゼは細胞内小器官のゴルジ体に存在する酵素であり、アスパラギン結合型糖鎖のプロセッシングを制御する酵素のうちの一つであると考えられる重要な酵素である。該酵素をアスパラギン結合型糖鎖に作用させることで、その制御機構の解明、糖鎖構造形成の制御等に役立つと考えられる。
また、肝臓癌や嚢胞性線維症などのいくつかの疾病におけるα−1,6−フコシルトランスフェラーゼ活性の上昇、及び本酵素反応生成物の割合の増加が知られており、該酵素活性を測定することによる、あるいはα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードするcDNAを用いたノーザンブロット法によるこれらの疾病の診断法の早急なる開発が望まれている。
【0004】
α−1,6−フコシルトランスフェラーゼは、各種動物の体液あるいは臓器中、各種動物の培養細胞にその活性は検出されているものの、精製された酵素標品としては、ヒト嚢胞性線維症細胞破砕物[ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー (Journal of Biological Chemistry)、第266巻、第21572〜21577頁(1991)]由来の酵素以外には知られていない。したがって、該酵素標品を安定に供給することは事実上困難であった。
【0005】
本発明者らは既に、ブタ脳由来のα−1,6−フコシルトランスフェラーゼを単一に精製し、その理化学的性質を明らかにした(特願平8-10365 号)。さらに、ブタ由来α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子を特定し(特願平8-162823号) 、該酵素標品の安定供給を可能にした。このように、ブタ由来のα−1,6−フコシルトランスフェラーゼの安定供給は可能になったわけであるが、人間への該酵素の応用を考えた場合、ヒト由来のα−1,6−フコシルトランスフェラーゼの開発が必須となる。さらに、本発明者らはヒト由来のα−1,6−フコシルトランスフェラーゼを単一に精製し、その理化学的性質を明らかにし(特願平 8-161648 号) 、該酵素標品の安定供給を可能にしたが、大量生産までにはいたっていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の実状を鑑みてなされたものであり、その目的はヒト由来α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子を用いてヒト由来α−1,6−フコシルトランスフェラーゼを大量に生産する方法を開発することにより、糖鎖構造解析、糖鎖工学用試薬、診断薬として安価且つ安定供給可能な当該酵素を提供するものである。また、当該遺伝子を特定することにより、当該酵素をコードするDNAを用いたノーザンブロット法による疾病の診断法の開発を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ヒト培養細胞よりα−1,6−フコシルトランスフェラーゼを単一に精製し、このタンパク質のアミノ酸分析を行い、その部分アミノ酸配列をもとにクローニングを行い、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明はヒト由来のα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子である。
【0009】
また、本発明はヒト由来のα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を含んでなる発現ベクターである。
【0010】
さらに、本発明はヒト由来のα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を含んでなる発現ベクターにより宿主細胞を形質転換した形質転換細胞である。
【0011】
本発明は、ヒト由来のα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を含んでなる発現ベクターにより宿主細胞を形質転換した形質転換細胞を培養し、該培養物からα−1,6−フコシルトランスフェラーゼを採取することを特徴とする組換えα−1,6−フコシルトランスフェラーゼの製造方法である。
【0012】
【発明の実施態様】
本発明はヒト由来のα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子であり、その一実施態様は配列表・配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードする遺伝子を含むα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子である。また、別な態様は配列表・配列番号1に示される塩基配列を含むα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子である。さらに、別な態様は配列表・配列番号1に示される198番目のアデニンから1919番目のグアニンまでに示される塩基配列を含むα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子である。
【0013】
本発明の一実施態様は配列表・配列番号2に示されるアミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸が、置換、挿入、削除、又は付加されているアミノ酸配列をコードする遺伝子を含むα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子である。
また、本発明の別の実施態様は、配列表・配列番号1に示される塩基配列の少なくとも1つが置換、挿入、削除、又は付加されている塩基配列を含むα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子である。
さらに、本発明の実施態様は、配列表・配列番号1に示される塩基配列を含むα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子の少なくとも一部にハイブリダイズする遺伝子である。
【0014】
本発明の発現ベクターは上記したα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を含んでなる発現ベクターである。
また、本発明の形質転換細胞は、上記した発現ベクターにより宿主細胞を形質転換したものである。
宿主細胞としては、微生物、例えば大腸菌、酵母、細菌などの細胞が挙げられる。動物細胞、例えば昆虫細胞、COS−1、CHO細胞などが挙げられる。また、植物細胞、例えば綿植物細胞、アラビドプシス細胞などが挙げられる。
ベクターとしては、形質転換する宿主に応じて、様々なものが使用できる。例えば、大腸菌では、pMAL−p2、pUC19など、酵母では、pYEUra3TMなど、昆虫細胞では、pBLUE Bac4など、COS−1細胞では、pSVK3など、綿植物細胞、アラビドプシス細胞では、pBIなどが挙げられる。
【0015】
さらに、本発明の組換えα−1,6−フコシルトランスフェラーゼの製造方法は上記した形質転換細胞を培養し、該培養物からα−1,6−フコシルトランスフェラーゼを採取する方法である。
【0016】
本発明の酵素の精製出発材料としては、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ活性を有するヒト培養細胞の培養液がある。培養細胞の具体例としては、例えば、ヒト胃癌細胞、ヒト膵臓癌細胞、ヒトミエローマ細胞などが挙げられる。
【0017】
本発明では、例えばヒト胃癌細胞よりα−1,6−フコシルトランスフェラーゼを単一に精製し、このタンパク質のアミノ酸分析を行い、その部分アミノ酸配列を決定し、そのアミノ酸配列より、PCR用のプライマーを調製する。このプライマーを用い、ヒト胃癌細胞由来のcDNAを鋳型としてPCRをおこない、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を増幅して、プローブを作成する。続いて、該プローブを用いてヒト胃癌細胞由来のcDNAライブラリー中よりα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードするcDNAを含有するクローン体を検索し、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードするcDNAを単離し、次いで、該cDNAを用いてα−1,6−フコシルトランスフェラーゼの発現を行う。
【0018】
ヒト胃癌細胞よりα−1,6−フコシルトランスフェラーゼを精製する方法としては、例えばヒト胃癌細胞MKN45を無血清培養し、得られた培養液から該酵素を精製する。この場合、ヒト胃癌細胞MKN45のα−1,6−フコシルトランスフェラーゼは、細胞の蛋白質分解酵素によって酵素活性に影響のない部分で切断され、可溶型α−1,6−フコシルトランスフェラーゼとして培養液中に放出されるために、細胞の破砕、界面活性剤による酵素の可溶化などの操作なしに、細胞培養液をそのまま粗酵素溶液として使用することができる。さらに、この粗酵素溶液から公知の精製手段を組み合わせて、精製酵素標品を得ることができる。
【0019】
例えば、ヒト胃癌細胞MKN45の無血清培養液を限外濾過膜により濃縮、緩衝液交換を行ったに後、Q−セファロース、GDPヘキサノールアミンセファロース、(GlcNAcβ1−2Manα1−6)(GlcNAcβ1−2Manα1−3)Manβ1−4GlcNAcβ1−4GlucNAc−アスパラギンセファロース等のカラムクロマトグラフィーに供し、活性画分を集めて、本発明のフコシルトランスフェラーゼを精製することができる。
【0020】
この精製されたα−1,6−フコシルトランスフェラーゼを用い、アミノ酸配列の解析を行う。例えばSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、エレクトロブロッティング法によりPVDF膜に転写した後、約60kDaのバンドを含有するPVDF膜を切り出し、プロテインシークエンサーにより配列決定を行う。配列表・配列番号3で示されるα−1,6−フコシルトランスフェラーゼのアミノ末端のアミノ酸配列を得る。
【0021】
また、精製α−1,6−フコシルトランスフェラーゼをプロテアーゼ、例えばリジルエンドペプチダーゼと共にSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、電気泳動により分離されたペプチド断片をエレクトロブロッティング法によりPVDF膜に転写した後ペプチド断片を含むバンドを切り出し、プロテインシークエンサーにより配列決定を行う。配列表・配列番号4及び5で示されるα−1,6−フコシルトランスフェラーゼの部分アミノ酸配列を得る。
【0022】
次に、これらのアミノ酸配列より、PCR用のミックスプライマーを作成する。例えば、配列番号4のアミノ酸配列より、配列番号6で示される塩基配列を有するミックスプライマー、配列番号5のアミノ酸配列より、配列番号7で示される塩基配列を有するミックスプライマーをそれぞれDNA合成機で合成し、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼcDNAの検索に使用する。
【0023】
例えば、ヒト胃癌細胞由来のcDNAを鋳型とし、配列番号6のミックスプライマーと配列番号7のミックスプライマーを使用し、94℃(30秒間間)、46℃(30秒間)、72℃(1分30秒間)を1サイクルとして36サイクル行うことにより、約200bpのDNA断片を増幅する。
【0024】
増幅された該DNA断片をプローブとして用い、プラークハイブリダイゼイション法により、ヒト胃癌細胞由来のcDNAライブラリー中よりα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードするcDNAを含有するクローン体を検索する。これらのクローン体からα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードするcDNAの単離を行うことができる。得られた該cDNAの塩基配列および該塩基配列から推測されるアミノ酸配列を配列番号1および2に示す。
【0025】
また、該cDNAは発現ベクター、例えばpSVK3にサブクローニングされる。サブクローニングされた該プラスミドにより形質転換された宿主細胞、例えばCOS−1細胞を培養し、該培養物からα−1,6−フコシルトランスフェラーゼを得ることができる。
【0026】
本発明では、上記した形質転換細胞を培養し、該培養物からα−1,6−フコシルトランスフェラーゼを採取することにより、組換えα−1,6−フコシルトランスフェラーゼを製造する。
培養物から該酵素を採取する方法は、通常の方法に従う。
【0027】
本発明のヒト由来のα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子およびその分解物であるDNA断片は、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼの生体中での発現過程の測定に使用することもでき、肝臓癌や嚢胞性線維症などのいくつかの疾病の遺伝子診断においても有用である。
また、これらの遺伝子がコードするポリペプチドを用いて、種々の抗体を免疫学的に作成することもでき、これらの抗体も診断用途や、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼの精製などに有用である。
【0028】
【実施例】
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
本発明では、酵素活性を下記のようにして測定する。
糖鎖末端のアスパラギンを4−(2−ピリジルアミノ)ブチルアミン[PABA:−NH−(CH2)4−NH−pyridine]で蛍光標識してある下記化1で示される化合物を酵素活性の測定基質として用いた。該基質を用いることにより、フコースがα1−6結合で転移した酵素反応の生成物の高速液体クロマトグラフィーによる蛍光検出が可能となる。
【0029】
【化1】
Figure 0003785745
【0030】
具体的な測定方法は、上記化1で示される受容体蛍光標識基質62.5μM、供与体基質(GDPフコース)625μMを含む250mMメス(MES)緩衝液、pH7.5、40μlに酵素液10μlを加えて混合し、37℃で1時間反応させた。5分間の煮沸により反応を停止させた後、反応液を高速液体クロマトグラフィーに供し、生成物のピークを蛍光検出器で定量する。酵素量1単位は、この条件下で、1分間に1pmoleのGlcNAcβ1→2Manα1→6(GlcNAcβ1→2Manα1→3)Manβ1→4GlcNAcβ1→4(Fucα1−6)GlucNAc−R〔RはAsn−NH−(CH2 )4 −PA〕生じるものとした。
【0031】
実施例1
α−1,6−フコシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列の決定
1μgの精製α−1,6−フコシルトランスフェラーゼをSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した後、エレクトロブロッティング法によってPVDF膜(ミリポア社製)タンパク質を転写した。該PVDF膜をクーマシーブリリアントブルーG250により染色し、約60kDaの位置に単一のα−1,6−フコシルトランスフェラーゼのバンドを検出した。次に該バンドを含むPVDF膜を切り取り50%メタノールで脱染色した後、バイオシステム473Aプロテインシークエンサー(アプライドバイオシステム社製)に供しα−1,6−フコシルトランスフェラーゼのアミノ末端アミノ酸配列を決定した。決定されたアミノ酸配列は配列表の配列番号3に示す。
【0032】
実施例2
α−1,6−フコシルトランスフェラーゼの部分アミノ酸配列の決定
約5μgの精製α−1,6−フコシルトランスフェラーゼをリジルエンドペプチダーゼと混合後、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した後、エレクトロブロッティング法によりPVDF膜(ミリポア社製)にペプチド断片をを転写した。該PVDF膜をクーマシーブリリアントブルーG250により染色し2本のメインバンドを含む数本のペプチド断片を含むバンドを検出した。次にメインの2本の該バンドを含むPVDF膜を切り取り50%メタノールで脱染色した後、バイオシステム473Aプロテインシークエンサー(アプライドバイオシステム社製)に供しα−1,6−フコシルトランスフェラーゼの内部アミノ酸配列を決定した。
決定されたアミノ酸配列は配列表の配列番号4および5に示す。
【0033】
実施例3
PCRによるプローブDNAの作成
実施例2で得られたアミノ酸配列を元にして、配列表の配列番号6および7に示されるミックスプライマーを合成した。配列表の配列番号6で表されるミックスプライマーはセンスプライマーとして、配列表の配列番号7で表されるミックスプライマーはアンチセンスプライマーとして使用した。PCR反応は2μg ヒト由来cDNA、25pmole センスプライマー(配列表の配列番号6で示されるミックスプライマー)、25pmole アンチセンスプライマー(配列表の配列番号7で示されるミックスプライマー)、及び2.5単位TaqDNAポリメラーゼを含む50mM塩化カリウム−10mMトリス・塩酸緩衝液(pH8.3)−1.5mM塩化マグネシウム−0.001%ゼラチン−200μMdNTP反応溶液50μl中、94℃(30秒間間)、46℃(30秒間)、72℃(1分30秒間)を1サイクルとして36サイクル行うことにより行った。
【0034】
PCR反応後の反応液10μlを、2.0%アガロースゲル電気泳動に供することにより、PCR反応産物であるDNA断片の確認を行った。その結果、アガロースゲル電気泳動において約200bpの大きさのDNA断片が確認された。該DNA断片をプラスミドpT7BLUEt−Vector(ノバジェン社製)にサブクローニングし、塩基配列の確認を行った結果、配列表の配列番号4および5に記載のアミノ酸配列をコードしていることが明らかとなり、該DNA断片がα−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子の一部分であることが確認された。
【0035】
実施例4
α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子の単離
実施例3で得られたDNA断片を〔α−32P〕dCTP(3000Ci/mmol、アマシャム社製)でラベルしたものをプローブとして用い、ヒト胃癌細胞MKN45由来λZAPcDNAライブラリーからプラークハイブリダイゼイション法により、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードするcDNAを含有するクローン体の検索を行った。約200万個のプラークを検索した結果、8個の陽性クローン体c1〜c8が得られた。該クローン体c1〜c7は制限酵素制限酵素切断パターンおよびその長さから全長のα−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子含んでいると推測されたので、c1及びc2の塩基配列の決定を行った結果、配列表の配列番号1に示される配列が得られた。
【0036】
実施例5
α−1,6−フコシルトランスフェラーゼの発現
実施例4で得られたα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードするcDNAを含むクローン体よりα−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子のコード領域を発現ベクターpSVK3にサブクローニンした。該α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子を含む発現ベクターをCOS−1細胞に導入し、48時間培養後培養細胞を集め、該細胞を破砕し、得られた破砕物のα−1,6−フコシルトランスフェラーゼ酵素活性を測定した。コントロールとして、mockpSVK3を導入したCOS−1細胞の破砕物のα−1,6−フコシルトランスフェラーゼ酵素活性を測定した。コントロールではほとんど活性が検出されなかったのに対し、該α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子を含む発現ベクターを導入されたCOS−1細胞では2130nmole/h/mg蛋白質と高い活性を示した。
【0037】
実施例6
α−1,6−フコシルトランスフェラーゼの大腸菌での発現
実施例4で得られたα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードするcDNAを含むクローン体よりα−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子のコード領域を発現ベクターpMAL−p2(ニューイングランドバイオラブズ社製)にサブクローニングした。該α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子を含む発現ベクターを大腸菌JM109株に形質転換した。得られたクローンを50μg/mlアンピシリンおよび0.2Mグルコースを含むLB培地10ml中で37℃にて一晩培養し、培養液1mlを50μg/mlアンピシリンおよび0.2Mグルコースを含むLB培地100ml中に接種し、37℃にて培養し、OD600が10以上に達する程度に6時間増殖させた。引き続き、イソプロピルチオ−β−ガラクトシド(IPTG)を添加し、組換えタンパクの発現を誘導した。誘導開始2時間後に菌体を集め、超音波処理により菌体を破砕した。菌体破砕物を遠心分離し、破砕物抽出液の蛋白質濃度をOD280の吸収により測定した。破砕抽出液のポリアクリルアミドゲル電気泳動により、発現蛋白質を検出したところ、該α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子を含む発現ベクターを導入された大腸菌の破砕抽出液中にはマルトース結合蛋白質とα−1,6−フコシルトランスフェラーゼとの融合蛋白質のバンドが検出された。なお、コントロールとして、pMAL−p2を形質転換したコントロールの大腸菌の破砕抽出液中には融合蛋白質のバンドは検出されなかった。さらに、得られた破砕物抽出液のα−1,6−フコシルトランスフェラーゼ酵素活性を測定した。コントロールではほとんど活性が検出されなかったのに対し、該α−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子を含む発現ベクターを導入された大腸菌の破砕物抽出液は1630nmol/h/mg蛋白質と高い活性を示した。
【0038】
【発明の効果】
本発明により糖鎖構造解析試薬、糖鎖工学試薬として有用なヒト由来α−1,6−フコシルトランスフェラーゼの大量かつ安価な供給が可能になる。また、本発明のα−1,6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子を特定することにより癌などの疾病の診断方法の開発が可能になる。
【0039】
【配列表】
Figure 0003785745
Figure 0003785745
Figure 0003785745
Figure 0003785745
Figure 0003785745
【0040】
Figure 0003785745
Figure 0003785745
Figure 0003785745
【0041】
Figure 0003785745
【0042】
Figure 0003785745
【0043】
Figure 0003785745
【0044】
Figure 0003785745
【0045】
Figure 0003785745

Claims (6)

  1. 配列表・配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードする遺伝子を含む、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子。
  2. 配列表・配列番号1に示される塩基配列を含む、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子。
  3. 配列表・配列番号1に示される198番目のアデニンから1919番目のグアニンまでに示される塩基配列を含む、α−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載されるα−1,6−フコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を含んでなる発現ベクター。
  5. 請求項に記載の発現ベクターにより宿主細胞を形質転換した形質転換細胞。
  6. 請求項に記載の形質転換細胞を培養し、該培養物からα−1,6−フコシルトランスフェラーゼを採取することを特徴とする組換えα−1,6−フコシルトランスフェラーゼの製造方法。
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