JPH10262685A - 硫酸基転移酵素遺伝子 - Google Patents

硫酸基転移酵素遺伝子

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JPH10262685A
JPH10262685A JP9238744A JP23874497A JPH10262685A JP H10262685 A JPH10262685 A JP H10262685A JP 9238744 A JP9238744 A JP 9238744A JP 23874497 A JP23874497 A JP 23874497A JP H10262685 A JPH10262685 A JP H10262685A
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sulfotransferase
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polypeptide
seq
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Abstract

(57)【要約】 【課題】腎細胞に特徴的であり、特に腎癌細胞で高発現
している、糖脂質糖鎖に働く硫酸基転移酵素遺伝子、該
遺伝子を含む発現ベクターを導入した形質転換体を用い
る遺伝子工学的に高純度の硫酸基転移酵素を製造する方
法、該遺伝子がコードするポリペプチド、該遺伝子又は
その一部に相補的なアンチセンスDNA及びアンチセン
スRNA、該遺伝子に特異的にハイブリダイズする合成
オリゴヌクレオチドプローブ又はプライマー及び該ポリ
ペプチドに特異的に結合する抗体又はその断片を提供す
ること。 【解決手段】Galβ1−R(Galはガラクトース、
Rは糖、脂質又は複合脂質を示す)で表される糖鎖に作
用してGalのC−3位の水酸基に特異的に硫酸基を転
移する硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドをコー
ドする単離された遺伝子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、糖脂質糖鎖に働く
硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドをコードする
遺伝子、該遺伝子を含む組換えDNAおよび発現ベクタ
ー、該発現ベクターを導入した形質転換体、該形質転換
体を用いるポリペプチドの製造方法およびポリペプチ
ド、前記遺伝子に対するアンチセンスDNAまたはアン
チセンスRNA、前記遺伝子にハイブリダイズする合成
オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーならびに
前記ポリペプチドに結合する抗体またはその断片に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、細胞の膜に存在する糖タンパク質
や糖脂質等の、いわゆる複合糖質と呼ばれる分子の糖鎖
部分が持つ様々な生理機能が注目されている。糖鎖に結
合した硫酸基は、種々の生物学的機能に関連して興味が
もたれている。硫酸基は、ウイルス糖タンパク質、糖タ
ンパク質性ホルモン、基底膜糖タンパク質、粘菌のリソ
ソーム酵素などの糖鎖にエステル結合している他に、ム
チンやムコ多糖、糖脂質の糖鎖にも種々の結合様式で結
合している。しかし、その生物学的意義は今後の解明す
べき問題として残されている。
【0003】これまでに基質特異性の異なる種々の硫酸
基転移酵素の存在が知られている。例えば、糖タンパク
質に働く硫酸基転移酵素としては、N−グリコシド型糖
鎖のガラクトースの3位に硫酸基を付加する硫酸基転移
酵素〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリ
ー(Journal of Biological Chemistry)、第264巻、
第6号、第3364−3371頁(1989)〕、N−
グリコシド型糖鎖のN−アセチルグルコサミンの6位に
硫酸基を付加する硫酸基転移酵素〔バイオケミカル ジ
ャーナル(Biochemical Journal) 、第319巻、第20
9−216頁(1996)〕、ムチン糖鎖のN−アセチ
ルガラクトサミンの3位に硫酸基を付加する硫酸基転移
酵素〔グライコバイオロジー(Glycobiology) 、第5
巻、第7号、第689−697頁(1995)〕、ムチ
ン糖鎖のN−アセチルグルコサミンの3位に硫酸基を付
加する硫酸基転移酵素〔ジャーナル オブ バイオロジ
カルケミストリー、第270巻、第46号、第2754
4−27550頁(1995)〕、および脳下垂体で産
生される糖タンパク質性ホルモン糖鎖のN−アセチルグ
ルコサミンの4位に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素
〔ジャーナル オブバイオロジカル ケミストリー、第
266巻、第26号、第17142−17150頁(1
991)〕等が知られている。
【0004】また、グリコサミノグリカン(ムコ多糖)
に働く硫酸基転移酵素としては、ヘパラン硫酸のイズロ
ン酸の2位に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素〔ジャー
ナルオブ バイオロジカル ケミストリー、第271
巻、第13号、第7645−7653頁(199
6)〕、ヘパラン硫酸のN−硫酸化グルコサミンの6位
に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素〔ジャーナル オブ
バイオロジカル ケミストリー、第270巻、第8
号、第4172−4179頁(1995)〕、ヘパリン
のイズロン酸の2位とN−硫酸化グルコサミンの6位に
硫酸基を付加する硫酸基転移酵素〔ジャーナル オブ
バイオロジカル ケミストリー、第269巻、第40
号、第24538−24541頁(1994)〕、ヘパ
ラン硫酸のN−硫酸化グルコサミンの3位に硫酸基を付
加する硫酸基転移酵素〔ジャーナル オブバイオロジカ
ル ケミストリー、第271巻、第43号、第2707
2−27082頁(1996)〕、ヘパラン硫酸のN−
硫酸化に働く硫酸基転移酵素〔ジャーナル オブ バイ
オロジカル ケミストリー、第263巻、第5号、第2
417−2422頁(1988)〕、ヘパリンのN−硫
酸化に働く硫酸基転移酵素〔ジャーナル オブ バイオ
ロジカル ケミストリー、第266巻、第13号、第8
044−8049頁(1991)〕、コンドロイチン硫
酸のN−アセチルガラクトサミンとケラタン硫酸のガラ
クトースの6位に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素およ
びコンドロイチン硫酸のN−アセチルガラクトサミンの
4位に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素〔ジャーナル
オブ バイオロジカル ケミストリー、第268巻、第
29号、第21968−21974頁(1993)〕、
角膜に存在するケラタン硫酸にのみ働く硫酸基転移酵素
〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、
第259巻、第19号、第11771−11776頁
(1984)〕等が知られている。
【0005】さらに、糖脂質に働く硫酸基転移酵素とし
ては、本発明の硫酸基転移酵素以外に、単クローン抗体
HNK−1で認識される糖鎖を合成する、グルクロン酸
の3位に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素〔ジャーナル
オブ バイオロジカル ケミストリー、第268巻、
第1号、第330−336頁(1993)〕が知られて
いる。
【0006】これらの中でクローニングされている複合
糖質に働く硫酸基転移酵素としては、ラット肝由来のヘ
パリン糖鎖の合成にかかわるN−硫酸基転移酵素[N−
ヘパラン硫酸スルホトランスフェラーゼ、ジャーナル
オブ バイオロジカル ケミストリー、第267巻、
第22号、第15744−15750頁(199
2)]、MST細胞由来のヘパリン糖鎖の合成にかかわ
るN−硫酸基転移酵素[N−デアシラーゼ/N−スルホ
トランスフェラーゼ、ジャーナル オブ バイオロジカ
ル ケミストリー、第269巻、第3号、第2270−
2276頁(1994)]、ニワトリ胎児軟骨細胞(ch
ick embryo chondrocytes)由来のコンドロイチン糖鎖の
合成にかかわるN−アセチルガラクトサミンのC−6位
に硫酸基を転移する酵素[コンドロイチン6−スルホト
ランスフェラーゼ、ジャーナル オブバイオロジカル
ケミストリー、第270巻、第31号、第18575−
18580頁(1995)]が知られている。
【0007】本発明者らは、ガラクトースの3位の水酸
基に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素である3’−ホス
ホアデノシン−5’−ホスホスルフェート:GalCe
rスルホトランスフェラーゼ〔EC2.8.2.11〕
をヒト腎癌細胞株(SMKT−R3)より精製した〔ジ
ャーナル オブ バイオケミストリー(Journal of Bioc
hemistry) 、第119巻、第3号、第421−427頁
(1996)〕。該硫酸基転移酵素は、ヒト腎癌組織又
はその細胞株で高発現しており、腎癌における硫酸化糖
脂質の蓄積と相関しており、癌との関連が示唆される
が、そのアミノ酸配列は決定されておらず、その遺伝子
もクローニングされていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これまでに知られてい
る硫酸基転移酵素を工業的に有利に製造しようとする場
合、天然に存在する該酵素の量が少なかったり、プロテ
アーゼやスルファターゼ等の他の酵素の混在の為、目的
の硫酸基転移酵素を純粋な形で、簡便かつ大量に単離す
ることは非常に困難であった。
【0009】従って、硫酸基転移酵素遺伝子をクローニ
ングし、遺伝子工学的手法を用いて、安価に高純度な硫
酸基転移酵素を製造する方法が求められている。従来、
硫酸基転移酵素遺伝子のクローニングについて前述のよ
うな報告があるが、その数は著しく少ない。また、基質
特異性の異なる硫酸基転移酵素が多数存在するため、前
述の報告の硫酸基転移酵素遺伝子配列を用いて他の基質
特異性の異なる硫酸基転移酵素遺伝子を得ようとして
も、基質特異性が異なる酵素間の遺伝子のホモロジーが
低く、目的の硫酸基転移酵素遺伝子を得ることは困難で
ある。ましてや、糖脂質糖鎖に働く硫酸基転移酵素のア
ミノ酸配列や遺伝子構造は全く不明であるため、該硫酸
基転移酵素をクローニングし、遺伝子工学的に製造する
ことは困難である。
【0010】よって、本発明の第1の目的は、腎細胞に
特徴的であり、特に腎癌細胞で高発現している、糖脂質
糖鎖に働く硫酸基転移酵素遺伝子を提供することにあ
る。本発明の第2の目的は、前記遺伝子を含む発現ベク
ターを導入した形質転換体を用いる遺伝子工学的に高純
度の硫酸基転移酵素を製造する方法を提供することにあ
る。本発明の第3の目的は、前記遺伝子がコードするポ
リペプチドを提供することにある。本発明の第4の目的
は、本発明の遺伝子又はその一部に相補的なアンチセン
スDNA及びアンチセンスRNAを提供することにあ
る。本発明の第5の目的は、本発明の遺伝子に特異的に
ハイブリダイズする合成オリゴヌクレオチドプローブ又
はプライマーを提供することにある。本発明の第6の目
的は、該ポリペプチドに特異的に結合する抗体又はその
断片を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上の状況に
鑑みてなされたものである。糖脂質糖鎖に働く硫酸基転
移酵素の塩基配列及びアミノ酸配列を明らかにする為、
該硫酸基転移酵素を高発現するヒト腎癌細胞株SMKT
−R3由来の硫酸基転移酵素について鋭意検討を重ねた
結果、遂に該硫酸基転移酵素遺伝子の完全解明に成功し
た。更に該硫酸基転移酵素遺伝子を用いて、遺伝子工学
的手法により工業的に有利で高純度な硫酸基転移酵素を
簡便に製造することにも成功し、本発明を完成するに至
った。
【0012】即ち、本発明の要旨は、(1) Galβ
1−R(Galはガラクトース、Rは糖、脂質又は複合
脂質を示す)で表される糖鎖に作用してGalのC−3
位の水酸基に特異的に硫酸基を転移する硫酸基転移酵素
活性を有するポリペプチドをコードする単離された遺伝
子、(2) 配列表の配列番号:1に記載のアミノ酸配
列又はその一部からなるポリペプチドをコードする前記
(1)記載の遺伝子、(3) 配列表の配列番号:2に
記載の塩基配列又はその一部である前記(1)記載の遺
伝子、(4) 配列表の配列番号:1に記載のアミノ酸
配列において、1個又は数個のアミノ酸残基が欠失、付
加、挿入又は置換されているポリペプチドであって、硫
酸基転移酵素活性を有するポリペプチドをコードする前
記(1)記載の遺伝子、(5) 前記(2)〜(4)い
ずれか1項に記載の遺伝子とストリンジェントな条件下
においてハイブリダイズすることができ、かつ硫酸基転
移酵素活性を有するポリペプチドをコードする前記
(1)記載の遺伝子、(6) 前記(1)〜(5)いず
れか1項に記載の遺伝子を含んでなる組換えDNA、
(7) 前記(6)記載の組換えDNAを挿入されてな
る、微生物、動物細胞又は植物細胞を宿主細胞とする発
現ベクター、(8) 前記(7)記載の発現ベクターを
導入されてなる形質転換体、(9) 前記(8)記載の
形質転換体を培養し、該培養物より硫酸基転移酵素活性
を有するポリペプチドを採取することを特徴とする、硫
酸基転移酵素活性を有するポリペプチドの製造方法、
(10) 前記(1)〜(5)いずれか1項に記載の遺
伝子によりコードされる、硫酸基転移酵素活性を有する
ポリペプチド、(11) 前記(1)〜(5)いずれか
1項に記載の遺伝子又はその一部に相補的なアンチセン
スDNA、(12) 前記(1)〜(5)いずれか1項
に記載の遺伝子又はその一部に相補的なアンチセンスR
NA、(13) 前記(11)記載のアンチセンスDN
Aを挿入されてなる発現ベクター、(14) 前記
(1)〜(5)いずれか1項に記載の遺伝子に特異的に
ハイブリダイズする合成オリゴヌクレオチドプローブ又
はプライマー、(15) 前記(10)記載のポリペプ
チドに特異的に結合する抗体又はその断片、に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】本明細書において、「Galβ1
−R(Galはガラクトース、Rは糖、脂質又は複合脂
質を示す)で表される糖鎖に作用してGalのC−3位
の水酸基に特異的に硫酸基を転移する硫酸基転移酵素活
性を有する」(以下、硫酸基転移酵素活性を有すると略
す場合がある)とは、下記に示すような作用および基質
特異性を有する性質をいい、このような硫酸基転移酵素
活性を有するポリペプチドとしては、下記の物理化学的
性質を有するものが挙げられ、その一例がジャーナルオ
ブ バイオケミストリー、 第119巻、第3号、第4
21−427頁(1996)に記載されている。
【0014】1.作用 Galβ1−R(Galはガラクトース、Rは糖、脂質
又は複合脂質を示す)で表される糖鎖に作用してGal
のC−3位の水酸基に特異的に硫酸基を転移する。
【0015】2.基質特異性 ガラクトシルセラミド(GalCer)、ラクトシルセ
ラミド(LacCer)、ガラクトシル 1−アルキル
−2−アシルグリセロール(GalAAG)、ガラクト
シルジアシルグリセロール(GalDG)、グルコシル
セラミド(GlcCer)、グロボテトラオシルセラミ
ド(Gb4Cer)、ガングリオトリアオシルセラミド
(Gg3Cer)、ガングリオテトラオシルセラミド
(Gg4Cer)、ネオラクトテトラオシルセラミド
(nLc4Cer)に反応し、グロボトリアオシルセラ
ミド(Gb3Cer)、ガラクトース、ラクトースに反
応しない。
【0016】3.至適pH及び安定pH 至適pHは約7.0、安定pHは6.0〜8.0。 4.至適温度及び安定温度 至適温度は約37℃であり、80℃まで安定である。 5.分子量 SDS−PAGE(還元条件下)により約54kDaで
ある。
【0017】また、硫酸基転移酵素活性の測定方法とし
ては、アナリティカル バイオケミストリー(Analytica
l Biochemistry) 、第182巻、第9−15頁(198
9)に記載の方法を若干修正した方法が挙げられる。す
なわち、5nmolのGalCer、0.5μmolの
MnCl2 、1nmolの〔35S〕PAPS(100c
pm/pmol)、0.5mgのLubrol PX、
12.5nmolのジチオスレイトール、0.25μm
olのNaF、0.1μmolのATP、20μgのB
SA、および25mMのカコジル酸Na−HCl、pH
6.5中の20ngの酵素タンパク質を含む反応混合液
を、全量50μlに調製する。該混合液を37℃で30
分間インキュベートした後、1mlのクロロホルム/メ
タノール/水(30:60:8)で反応を停止する。D
EAE−セファデックスA−25を用いて反応生成物を
単離し、液体シンチレーションカウンターを使用して放
射活性を測定する。1ユニットの活性は、前記測定条件
下で、1分間に1μmolの硫酸基を転移する酵素の量
として定義する。該方法により測定した場合、1×10
-7ミリユニット以上の活性を示すものを、硫酸基転移酵
素活性を有するものと判定する。
【0018】本発明において遺伝子とは、前記硫酸基転
移酵素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子又
は該遺伝子を含む遺伝子である。具体的には配列表の配
列番号:1に記載のアミノ酸配列又はその一部からなる
ポリペプチドをコードする遺伝子または配列表の配列番
号:2に記載の塩基配列又はその一部からなる遺伝子が
挙げられる。このように、配列番号:1に記載のアミノ
酸配列の一部からなるポリペプチドをコードする遺伝子
または配列番号:2に記載の塩基配列の一部からなる遺
伝子であっても、硫酸基転移酵素活性を有するポリペプ
チドをコードする遺伝子であるかぎり本発明の範囲内で
ある。これらは、ヒト腎癌細胞SMKT−R3由来の
3’−ホスホアデノシン−5’−ホスホスルフェート:
GalCerスルホトランスフェラーゼ〔EC2.8.
2.11〕の遺伝子であるが、本発明においてはこれら
に限定されるものではなく、同様の硫酸基転移酵素活性
を有するポリペプチドをコードする遺伝子であるかぎり
その他のヒト組織由来の遺伝子はもちろん、細菌類、酵
母類、糸状菌類、子嚢菌類、担子菌類等の微生物由来の
遺伝子、あるいは植物、動物由来の遺伝子も含まれる。
さらに、機能的に同様の硫酸基転移酵素活性を有するポ
リペプチドをコードする、前記遺伝子の変異体が挙げら
れる。例えば、配列表の配列番号:1に記載のアミノ酸
配列において、1個又は数個のアミノ酸残基が欠失、付
加、挿入又は置換されているポリペプチドをコードする
遺伝子であっても、硫酸基転移酵素活性を有するポリペ
プチドをコードする限り、本発明の遺伝子に含まれる。
このように天然から単離された遺伝子のみならず人為的
に調製された遺伝子であっても硫酸基転移酵素活性を有
するポリペプチドをコードする遺伝子であるかぎり本発
明に含まれる。
【0019】また、本発明の遺伝子とストリンジェント
な条件下でハイブリダイズすることができ、かつ硫酸基
転移酵素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子
も本発明の遺伝子に含まれる。
【0020】ここで、「ストリンジェントな条件下」と
は、例えば以下の条件を言う。すなわち、0.5%SD
S、5×デンハルツ[Denhardt's、0.1%ウシ血清ア
ルブミン(BSA)、0.1%ポリビニルピロリドン、
0.1%フィコール400]及び100μg/mlサケ
精子DNAを含む6×SSC(1×SSCは0.15M
NaCl、0.015M クエン酸ナトリウム、pH
7.0)中で、50℃で4時間〜一晩保温を行う条件を
言う。
【0021】本発明において、組換えDNAとは、遺伝
子工学的手法により、本発明の遺伝子を含んで得られる
DNAである。
【0022】本発明において、発現ベクターとは、前記
組換えDNAを挿入され、所望の宿主細胞で発現するよ
うに構築されたベクターである。また、後述のアンチセ
ンスDNAを挿入したベクターも本発明の発現ベクター
に含まれる。挿入されるベクターとしては、プラスミド
ベクター、ファージベクターいずれでも構わない。プラ
スミドベクターとしてはpUC18、pUC19、pB
luescript、pT7などの市販品が好適に使用
でき、ファージベクターとしては、λgt10、λgt
11等のラムダファージベクターなどの市販品が好適に
使用できるが、これらに限定されるものではない。宿主
細胞としては、微生物、動物細胞又は植物細胞が挙げら
れ、用いる発現ベクターに応じて、適宜選ばれる。
【0023】本発明において、形質転換体とは、前記発
現ベクターを前記宿主細胞に導入されて得られた、本発
明の遺伝子を発現する細胞である。発現ベクターを導入
する方法としては、例えば、モレキュラー クローニン
グア ラボラトリー マニュアル[Molecular Cloning,
A Laboratory Manual、T.マニアティス(T. Maniati
s) 他著、コールド スプリング ハーバー ラボラト
リー(Cold Spring Harbor Laboratory) 、1982年発
行]、第249−254頁に記載の方法を用いることが
できる。次に、目的の遺伝子を発現する形質転換体を選
択するためには、発現ベクターの特性を利用する。例え
ばプラスミドベクターがpBluescriptで、大
腸菌を宿主細胞とする場合、アンピシリンを含むプレー
ト上でアンピシリン耐性を有するコロニーを、あるいは
アンピシリン、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリ
ル−β−D−ガラクトシド(X−Gal)及びイソプロ
ピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を
含むプレート上で、アンピシリン耐性を示し、かつ、白
色を呈するコロニーを選択することにより外来遺伝子を
導入されたコロニーを選別する。
【0024】本発明は、本発明の遺伝子が発現され、該
遺伝子がコードするポリペプチドが生産されるような条
件下で前記形質転換体を培養することにより、該培養物
から硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドを製造す
る方法を提供する。
【0025】目的の硫酸基転移酵素の発現が認められた
場合は、その形質転換体の培養における培地組成、培地
のpH、培養温度、インデューサーの使用量・使用時
期、培養時間等の条件が硫酸基転移酵素発現の最適条件
を満たすように決定することにより、効率よく硫酸基転
移酵素を生産させることができる。
【0026】形質転換体の培養物から硫酸基転移酵素を
精製するには、公知の方法が用いられる。形質転換体が
大腸菌のように細胞内に発現産物を蓄積させる場合は、
培養終了後遠心分離によって該形質転換体を集め、これ
を超音波処理などによって破砕した後、遠心分離等によ
り、無細胞抽出液を得る。塩析あるいは、イオン交換、
ゲル濾過、疎水、アフィニティーなどの各種クロマトグ
ラフィー等の通常のタンパク質精製法により、該抽出液
から目的の硫酸基転移酵素を精製することができる。用
いる宿主−ベクター系によっては発現産物が形質転換体
外に分泌される場合がある。この場合は培養上清から同
様に精製を行えばよい。
【0027】用いる宿主−ベクター系によっては、形質
転換体中で発現されたポリペプチドが不溶物(封入体)
として蓄積される場合がある。この場合は、この不溶物
を回収し、穏和な条件、例えば、尿素等の変性剤で可溶
化した後に、変性剤を除くことによって活性を回復させ
ることができる。
【0028】形質転換体が産生する外因性の硫酸基転移
酵素は、宿主細胞内で内因性の種々の硫酸基転移酵素と
共存するが、その量が内因性の硫酸基転移酵素の量に比
べ過剰であるので、その精製は極めて容易である。ま
た、硫酸基転移酵素が形質転換体外に分泌される場合
は、培地成分等が共存するが、これらは通常硫酸基転移
酵素の精製の妨げとなるようなタンパク質成分をほとん
ど含まないため、その精製には、SMKT−R3細胞か
らの硫酸基転移酵素の精製と比べ、煩雑な分離操作を必
要としない利点がある。
【0029】また、真核生物由来の硫酸基転移酵素の場
合、酵素自身に糖鎖を有している可能性があり、宿主細
胞として糖鎖生合成能力を持たない細胞、例えば、大腸
菌、枯草菌、放線菌のような原核生物、あるいは酵母、
真菌、動物細胞、昆虫細胞及び植物細胞の糖鎖生合成能
力を失った変異細胞を用いることによって、糖鎖を持た
ない硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドを製造す
ることができる。更に、酵素自身に糖鎖を付加させるこ
とも可能であり、この場合は、宿主細胞として、糖鎖生
合成能力を有する細胞、例えば、酵母、真菌、動物細
胞、昆虫細胞及び植物細胞を用いることによって、糖鎖
を持つ硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドを製造
することができる。
【0030】本発明のポリペプチドとは、前記の本発明
の遺伝子によりコードされ、かつ硫酸基転移酵素活性を
有するポリペプチドであり、前記のような各種の物理化
学的性質を有するものが挙げられる。具体的には、天然
型の硫酸基転移酵素である配列番号:1に記載のアミノ
酸配列を有するポリペプチド又はその一部からなるポリ
ペプチド、配列番号:1に記載のアミノ酸配列におい
て、1個又は数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入又
は置換されているポリペプチド等が挙げられる。
【0031】本発明において、「アンチセンスDNA」
及び「アンチセンスRNA」とは、本発明の硫酸基転移
酵素遺伝子又はその一部と相補的な塩基配列を有し、内
因性の硫酸基転移酵素遺伝子(ゲノムDNA及びmRN
A)と2本鎖を形成することによって、該遺伝子からの
遺伝子情報の発現(転写、翻訳)を抑制又は制御するも
のを言う。アンチセンスDNA又はアンチセンスRNA
の長さは、塩基配列の特異性や細胞内に導入する方法に
応じて変えることが可能である。アンチセンスDNA又
はアンチセンスRNAは、合成機を用いて人工的に合成
したり、通常と逆の向き(アンチセンスの向き)に遺伝
子を発現させること等により、作製することが可能であ
る。例えば、tat遺伝子[ヌクレイック アシドズ
リサーチ(Nucleic Acids Research) 、第19巻、第3
359−3368頁(1991)]、あるいはrev遺
伝子[プロシーディングス オブ ザ ナショナル ア
カデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ USA(P
roceedings of the National Academy of Sciences of
the USA)、第86巻、第4244−4248頁(198
9)]のHIVの増殖抑制に関するもの等、アンチセン
ス技術は数多く知られており、従って、これらの方法に
より、本発明のアンチセンスDNA又はアンチセンスR
NAを用いて、内因性の硫酸基転移酵素遺伝子の発現を
抑制又は制御することが可能である。また、本発明のア
ンチセンスDNA又はアンチセンスRNAは、in situ
ハイブリダイゼーション等の研究試薬として利用可能で
ある。
【0032】本発明において、合成オリゴヌクレオチド
プローブ又はプライマーとは、前記遺伝子に特異的にハ
イブリダイズするものである。該オリゴヌクレオチドプ
ローブ又はプライマーは、通常、合成機を用いて人工的
に合成したり、PCR法により作製することができる。
【0033】本発明において、抗体又はその断片とは、
本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体又はその
断片であれば、ポリクローナル抗体又はモノクローナル
抗体のいずれでも構わない。本発明の抗体は、例えば、
カレント プロトコルズ イン イムノロジー〔Curren
t Protocols in Immunology 、ジョン E.コリガン
(John E.Coligan) 編集、ジョン ウィリー&ソンズ
(John Wiley & Sons, Inc.)、1992年発行〕に記載
の方法により、本発明のポリペプチドの全部又は一部を
用いてウサギやマウス等を免疫することにより、容易に
作製され得る。これらの抗体を精製後、ペプチダーゼ等
により処理することにより、抗体の断片が得られる。得
られた抗体又はその断片の用途としては、アフィニティ
ークロマトグラフィー、cDNAライブラリーのスクリ
ーニング、医薬・診断薬・研究用試薬等が挙げられる。
【0034】次に、ウロロジカル リサーチ(Urologic
al Research )、第17巻、第317−324頁(19
89)記載のヒト腎癌細胞SMKT−R3を用い、該S
MKT−R3細胞由来の硫酸基転移酵素を一例にして、
本発明について更に詳しく説明する。まず、本発明の硫
酸基転移酵素は、ジャーナル オブ バイオケミストリ
ー、第119巻、第3号、第421−427頁(199
6)に記載の方法に従って、SMKT−R3細胞を大量
に培養し、ついでその培養細胞から硫酸基転移酵素を単
離精製する。具体的には、以下の方法が挙げられる。
【0035】EGFで処理したSMKT−R3細胞(約
1×1010個)を集め、PBSで洗浄後、使用するまで
−80℃で保存する。約2.5×109 個の細胞を融解
し、細胞と等容量のTBSに懸濁し、ポッター型ホモジ
ナイザーで短時間でホモジナイズする。ホモジネートに
等容量の2×溶解緩衝液(50mM Tris−HC
l、pH7.4、10mM MgCl2 、2mMβ−メ
ルカプトエタノール、2%LubrolPX、40%グ
リセロール、0.5mM PMSFおよび0.02mM
E−64)を加え、氷上で10分間超音波処理する。
遠心分離後、得られる上清をバッファーA(10mMト
リエタノールアミン−HCl、pH7.0、10%グリ
セロールおよび5mM MnCl2 )に対して透析す
る。
【0036】透析した材料を遠心分離して、透析中に生
じた沈殿物を除去する。上清をDE−52カラムにアプ
ライし、バッファーB(10mMトリエタノールアミン
−HCl、pH7.0、0.05%LubrolPX、
10%グリセロールおよび5mM MnCl2 )で予め
平衡化させておいたヘパリン−セファロースCL6Bカ
ラムに、直接出口を接続させる。次いで、溶出液の28
0nmにおける吸光度が0.02未満になるまで、バッ
ファーBでカラムを洗浄する。DE−52カラムの接続
を外した後、ヘパリン−セファロースCL6Bカラム上
の酵素を、0.2MのNaClを含むバッファーC(2
0mMトリエタノールアミン−HCl、pH7.0、
0.1%LubrolPX、20%グリセロールおよび
10mMMnCl2 )で溶出する。
【0037】ヘパリン−セファロースクロマトグラフィ
ーの酵素活性画分をプールし、バッファーBに対して透
析する。透析液を、予めバッファーBで平衡化させてお
いたガラクトシルスフィンゴシン(GalSph)−セ
ファロースカラムにアプライする。次いで、溶出液が実
質的にタンパク質を含まなくなるまで、バッファーBで
カラムを洗浄し、0.1MのNaClを含むバッファー
Cで、硫酸基転移酵素を溶出させる。
【0038】GalSph−セファロースカラムの溶出
画分をプールし、10%グリセロールを含む10mMト
リエタノールアミン−HCl(pH7.0)に対して透
析する。予めバッファーD(10mMトリエタノールア
ミン−HCl、pH7.0、0.05%LubrolP
Xおよび10%グリセロール)で平衡化させておいたH
iTrap 3’,5’−ビスホスホアデノシン(PA
P)カラムに直接接続したピリドキサル5’−ホスフェ
ート(PLP)−セファロースカラムに、透析液をアプ
ライする。溶出液が実質的にタンパク質を含まなくなる
まで、バッファーDとバッファーBで連続してカラムを
洗浄し、バッファーD中0〜0.3mMのPAPの直線
グラジエントで、硫酸基転移酵素を溶出させる。
【0039】HiTrap PAPクロマトグラフィー
の酵素活性画分をプールし、予めバッファーDで平衡化
させておいた第2のヘパリン−セファロースカラムクロ
マトグラフィーに直接供する。バッファーDでカラムを
洗浄後、0.3MのNaClを含むバッファーCで、
0.3mlの画分で本発明の硫酸基転移酵素を溶出させ
る。この工程により、酵素調製品は初期体積の約1/5
に濃縮される。前記クロマトグラフィー由来の酵素調製
品に含まれるPAPは、フロースルー画分に回収され
る。精製酵素活性画分をプールし、20%のグリセロー
ルの存在下、−80℃で保存される。
【0040】次に、精製された硫酸基転移酵素につい
て、その部分アミノ酸配列に関する情報を得る。部分ア
ミノ酸配列を決定するには、例えば、精製硫酸基転移酵
素を直接常法に従ってエドマン分解法[ジャーナル オ
ブ バイオロジカル ケミストリー、第256巻、第7
990−7997頁(1981)]によるアミノ酸配列
分析[プロテインシーケンサ476A、アプライド バ
イオシステムズ(AppliedBiosystems)社製]に供するこ
とにより、硫酸基転移酵素のN末端アミノ酸配列の10
〜20残基を決定する。あるいは特異性の高いタンパク
質加水分解酵素、例えば、アクロモバクター(Achromob
acter )由来プロテアーゼI、N−トシル−L−フェニ
ルアラニルクロロメチルケトン(TPCK)−トリプシ
ン等を作用させて限定加水分解を行い、得られたペプチ
ド断片を逆相HPLCを用いて分離精製した後、精製ペ
プチド断片についてアミノ酸配列分析を行うのが効果的
である。
【0041】本発明においては、P1(配列番号:
3)、P2(配列番号:4)、P3(配列番号:5)、
P4(配列番号:11)、P5(配列番号:12)、P
6(配列番号:13)及びP7(配列番号:14)の7
つのペプチド断片のアミノ酸配列が決定される。
【0042】こうして得られる部分アミノ酸配列に基づ
き、本発明の硫酸基転移酵素遺伝子をクローニングす
る。そのためには、一般的に用いられるPCR法又はハ
イブリダイーゼーション法を利用する。PCR法は、P
CRテクノロジー[PCR Technology、エルリッヒ HA
(Erhich HA) 編集、ストックトン プレス(Stockton Pr
ess)社、1989年発行]に記載の方法に準じて行うこ
とができる。ハイブリダイーゼーション法は、例えばモ
レキュラー クローニング ア ラボラトリーマニュア
ル( 第2版、T.マニアティス他著、コールド スプリ
ング ハーバーラボラトリー プレス社、1989年発
行) に記載の方法に準じて行うことができる。
【0043】しかしながら、本発明の硫酸基転移酵素遺
伝子は、以下のような混合プライマー(配列番号:22
〜27)を用いるPCR法(MOPAC法)、イノシン
を含む混合プライマー(配列番号:28〜33)を用い
るMOPAC法及び合成オリゴヌクレオチド(配列番
号:22、24)を用いるハイブリダイゼーション法を
試みたが、クローニングすることができなかった。
【0044】1)混合プライマーを用いるPCR法(M
OPAC法) この方法は、決定されたアミノ酸配列のうち縮重性の低
い領域を2カ所選択し、縮重コドンに対して可能性のあ
る全ての塩基配列の組み合わせを合成し、混合プライマ
ーとしPCRを行い、目的のDNA断片を増幅するクロ
ーニング方法である。この方法により、尿酸酸化酵素を
コードする遺伝子はクローニングされている〔サイエン
ス、第239巻、第1288−1291頁(198
8)〕。本発明者らもこの方法に従って、本発明の硫酸
基転移酵素の取得を試みた。
【0045】部分アミノ酸配列P1(配列番号:3)か
ら合成オリゴヌクレオチドS1(配列番号:22)と合
成オリゴヌクレオチドA1(配列番号:23)を、部分
アミノ酸配列P2(配列番号:4)から合成オリゴヌク
レオチドS2(配列番号:24)と合成オリゴヌクレオ
チドA2(配列番号:25)を、部分アミノ酸配列P3
(配列番号:5)から合成オリゴヌクレオチドS3(配
列番号:26)と合成オリゴヌクレオチドA3(配列番
号:27)をそれぞれ合成し、これらを混合プライマー
として用い、SMKT−R3細胞cDNAを鋳型とした
PCRを常法に従い行った。
【0046】得られたPCR産物をアガロースゲル電気
泳動で分離した結果、複数のDNA断片が増幅されたの
で、それぞれ別々にゲルから切り出し、抽出し、プラス
ミドベクターに組み込んだ後、塩基配列を常法(ジデオ
キシ チェーン ターミネーター法)に従い決定した
が、混合プライマーとして用いた合成オリゴヌクレオチ
ドの塩基配列以外に目的の硫酸基転移酵素遺伝子と考え
られる配列は見出すことができなかった。
【0047】2)イノシンを用いるMOPAC法 1)と方法はほぼ類似しているが、混合プライマーの組
み合わせ数を減少させるため、縮重性の高いコドンの3
番目をイノシンに置換したプライマーを用いる〔ヌクレ
イック アシドズ リサーチ、第16巻、第22号、第
10932頁(1988)〕。
【0048】部分アミノ酸配列P1(配列番号:3)か
ら合成オリゴヌクレオチドSI1(配列番号:28)と
合成オリゴヌクレオチドAI1(配列番号:29)を、
部分アミノ酸配列P2(配列番号:4)から合成オリゴ
ヌクレオチドSI2(配列番号:30)と合成オリゴヌ
クレオチドAI2(配列番号:31)を、部分アミノ酸
配列P3(配列番号:5)から合成オリゴヌクレオチド
SI3(配列番号:32)と合成オリゴヌクレオチドA
I3(配列番号:33)をそれぞれ合成し、これらをイ
ノシン含有混合プライマーとして用い、SMKT−R3
細胞cDNAを鋳型としたPCRを常法に従い行った。
【0049】得られたPCR産物の塩基配列を上述の方
法と同様に決定したが、イノシン含有混合プライマーと
して用いた合成オリゴヌクレオチドの塩基配列以外に目
的の遺伝子と考えられる配列は見出すことができなかっ
た。
【0050】3)合成オリゴヌクレオチドを用いたハイ
ブリダイゼーション法 アミノ酸配列の情報をもとに、常法に従って合成オリゴ
ヌクレオチドをデザインし、ハイブリダイゼーションに
よって目的のDNAをクローニングする方法も一般的に
用いられる。本発明者らもこの方法に従って本発明の硫
酸基転移酵素遺伝子の検出を試みた。
【0051】部分アミノ酸配列P1(配列番号:3)か
ら合成オリゴヌクレオチドS1(配列番号:22)を、
部分アミノ酸配列P2(配列番号:4)から合成オリゴ
ヌクレオチドS2(配列番号:24)を合成し、プラー
クハイブリダイゼーション用のプローブとして用いた。
SMKT−R3細胞cDNAを、常法に従いファージベ
クターに組み込んでcDNAライブラリーを作製した。
このcDNAライブラリーをプレートにまき、得られた
プラークをナイロン膜にブロッティングした。ハイブリ
ダイゼーションは一般的に用いられる条件で行った。
【0052】その結果、プローブとして用いた合成オリ
ゴヌクレオチドS1及びS2のどちらの場合にも複数の
陽性プラークが検出されたが、これら陽性プラークのフ
ァージベクターに挿入されたDNA断片の塩基配列を常
法に従い決定したところ、プローブとして用いた合成オ
リゴヌクレオチドの塩基配列にホモロジーを示す配列は
得られたが、ファージベクターに挿入されたDNA断片
の塩基配列から決定したアミノ酸配列は上記の部分アミ
ノ酸配列とのホモロジーはなく、目的の硫酸基転移酵素
遺伝子と考えられる配列を見出すことができなかった。
【0053】以上に述べたように、SMKT−R3細胞
cDNAから本発明の硫酸基転移酵素遺伝子をクローニ
ングすることは非常に難しい。硫酸基転移酵素遺伝子は
G+C含量が高いため二次構造を取りやすく、それゆえ
ポリメラーゼ反応の進行が阻害されたり非特異的なアニ
ーリングが起こるなどして、PCR法において非特異的
DNA断片の増幅が起こる可能性が考えられる。本発明
者らはこれらの点を考慮し鋭意検討を重ねた結果、アミ
ノ酸配列の判明している一つのペプチド断片に対応する
短い遺伝子断片をPCR法で増幅することにした。
【0054】PCR法のプライマーとしては、混合プラ
イマーの組合わせ数を減らすためにイノシンを用いると
ともに、アミノ酸のロイシンに対しては使用頻度の高い
コドンを採用し、セリンに対するコドンの組合わせを複
数用意することにより塩基配列の縮重性を減少させたも
のを合成するのが好ましい。これにより、初めて本発明
の硫酸基転移酵素遺伝子の一部を増幅することが可能と
なる。次に、この増幅されたPCR産物をプローブとし
て、サザンハイブリダイゼーションを行うことにより、
非特異的DNA断片の中から目的の硫酸基転移酵素遺伝
子由来のDNA断片を見出すことに成功したのである。
【0055】以下、より詳細に説明すれば、PCR法の
プライマーとして新たに部分アミノ酸配列P1(配列番
号:3)から合成オリゴヌクレオチド1Sd(配列番
号:6)と合成オリゴヌクレオチド1A(配列番号:
7)をそれぞれ合成し、SMKT−R3細胞cDNAを
鋳型としてPCRを行う。
【0056】得られたPCR産物の塩基配列を、例えば
ジデオキシ チェーン ターミネーター法[プロシーデ
ィングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ
サイエンシーズ オブ ザ USA、第74巻、第12
号、第5463−5467頁(1977)]により決定
したところ、部分アミノ酸配列P1をコードする配列が
見出され、目的の硫酸基転移酵素遺伝子の一部が得られ
る。この塩基配列を基に合成オリゴヌクレオチドOP1
(配列番号:8)を合成し、この合成オリゴヌクレオチ
ドOP1を常法に従い3’−末端標識し、ハイブリダイ
ゼーション用のプローブとする。
【0057】また、PCR法のプライマーとして新たに
部分アミノ酸配列P2(配列番号:4)から合成オリゴ
ヌクレオチド2Sa(配列番号:9)と部分アミノ酸配
列P3(配列番号:5)から合成オリゴヌクレオチド3
A(配列番号:10)をそれぞれ合成して、SMKT−
R3細胞cDNAを鋳型としたPCRを行う。
【0058】得られたPCR産物をアガロースゲル電気
泳動で分離後、常法に従いナイロン膜にブロッティング
し(モレキュラー クローニング ア ラボラトリー
マニュアル、第2版、T.マニアティス他著、コールド
スプリング ハーバー ラボラトリー プレス社、1
989年発行)、3’−末端標識合成オリゴヌクレオチ
ドOP1を用いたハイブリダイゼーションを行う。ハイ
ブリダイゼーションは、前記したように、ストリンジェ
ントな条件下で行い、標識に応じた検出法を用いて、該
プローブとハイブリダイズするDNA断片を検出する。
【0059】その結果、約600bpの位置に合成オリ
ゴヌクレオチドOP1とハイブリダイズするバンドを得
る。この断片の塩基配列を前記したように決定したとこ
ろ、硫酸基転移酵素の部分アミノ酸配列P1(配列番
号:3)と部分アミノ酸配列P4(配列番号:11)に
対応する配列が見出され、目的の硫酸基転移酵素遺伝子
の一部を取得したことを確認する。
【0060】一方、SMKT−R3細胞由来のcDNA
ライブラリーを作製する。cDNAライブラリーの作製
法は、モレキュラー クローニング ア ラボラトリー
マニュアル、第2版(T.マニアティス他著、コール
ド スプリング ハーバーラボラトリー プレス社、1
989年発行)、第8章に記載の方法を用いることがで
きる。
【0061】更に、前記約600bpのDNA断片をプ
ローブにして、前記SMKT−R3細胞由来のcDNA
ライブラリーをスクリーニングすることにより、硫酸基
転移酵素全長をコードする遺伝子をクローニングするこ
とができる。また、SMKT−R3細胞由来のゲノムD
NAライブラリーをスクリーニングすることにより、本
発明の硫酸基転移酵素のゲノムDNAを得ることも可能
である。
【0062】以上のようにして得られる、ヒト腎癌細胞
SMKT−R3細胞の産生する硫酸基転移酵素遺伝子の
全塩基配列は、配列表の配列番号:2に記載したもので
あり、これからコードされる全アミノ酸配列は配列表の
配列番号:1に記載したものである。また、このアミノ
酸配列及び塩基配列と公知の基質特異性の異なる硫酸基
転移酵素遺伝子とはホモロジーはなく、全く新しい配列
である。
【0063】本発明により硫酸基転移酵素遺伝子の全塩
基配列が明らかになったことで、本発明の硫酸基転移酵
素遺伝子の全体あるいは一部分をハイブリダイゼーショ
ン用のプローブとして用いて、SMKT−R3細胞以外
の生物体由来のゲノムDNAもしくはcDNA、又はゲ
ノムDNAライブラリーもしくはcDNAライブラリー
をスクリーニングすることにより、本発明の硫酸基転移
酵素遺伝子と相同性の高いDNAをクローニングするこ
とができる。
【0064】また、本発明の硫酸基転移酵素の塩基配列
に基づき、PCR用のプライマーをデザインすることが
できる。このプライマーを用いて、SMKT−R3細胞
以外の生物体由来のゲノムDNAもしくはcDNA、又
はゲノムDNAライブラリーもしくはcDNAライブラ
リーから、本発明の硫酸基転移酵素遺伝子と相同性の高
いDNA断片を検出したり、さらにはその全長の遺伝子
を得ることもできる。
【0065】得られた遺伝子が目的の硫酸基転移酵素活
性を有するポリペプチドをコードする遺伝子であるかど
うかを確認するには、決定された塩基配列を本発明の硫
酸基転移酵素の塩基配列又はアミノ酸配列と比較してそ
の相同性から推定することもできる。さらに、前記の測
定方法により硫酸基転移酵素活性を測定し、1×10 -7
ミリユニット以上の活性を示すものを本発明のポリペプ
チドをコードする遺伝子として判定する。
【0066】同様の硫酸基転移酵素活性を有する機能的
同等物を製造するには、例えば、次の方法が挙げられ
る。本発明の硫酸基転移酵素遺伝子群を用いて、ランダ
ム変異あるいは部位特異的変異を導入することにより、
天然の硫酸基転移酵素のアミノ酸配列中に、1個又は数
個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入又は置換を生じさ
せる遺伝子が得られる。これにより、天然の硫酸基転移
酵素と同様の活性を有するが、至適温度、安定温度、至
適pH、安定pH等の性質が少し異なった硫酸基転移酵
素をコードする遺伝子を得ることが可能であり、遺伝子
工学的にこれらの硫酸基転移酵素を製造することが可能
である。
【0067】ランダム変異を導入する方法としては、例
えば、DNAを化学的に処理する方法として、亜硫酸水
素ナトリウムを作用させシトシン塩基をウラシル塩基に
変換するトランジション変異を起こさせる方法[プロシ
ーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オ
ブ サイエンシーズ オブ ザ USA、第79巻、第
1408−1412頁(1982)]、生化学的方法と
して、[α−S]dNTP存在下で2本鎖を合成する過
程で塩基置換を生じさせる方法[ジーン(Gene)、第64
巻、第313−319頁(1988)]、PCRを用い
る方法として、反応系にマンガンを加えてPCRを行
い、ヌクレオチドの取込の正確さを低くする方法[アナ
リティカル バイオケミストリー、第224巻、第34
7−353頁(1995)]等が知られている。
【0068】部位特異的変異を導入する方法としては、
例えば、アンバー変異を利用する方法[ギャップド デ
ュプレックス(gapped duplex)法、ヌクレイック アシ
ドズリサーチ、第12巻、第24号、第9441−94
56頁(1984)]、制限酵素部位を利用する方法
[アナリティカル バイオケミストリー、第200巻、
第81−88頁(1992)、ジーン、第102巻、第
67−70頁(1991)]、dut(dUTPase )とu
ng(ウラシルDNAグリコシラーゼ)変異を利用する
方法[クンケル(Kunkel) 法、プロシーディングス オ
ブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシー
ズ オブ ザ USA、第82巻、第488−492頁
(1985)]、DNAポリメラーゼ及びDNAリガー
ゼを用いたアンバー変異を利用する方法[オリゴヌクレ
オチド−ダイレクティッド デュアル アンバー(Olig
onucleotide-directed Dual Amber 、ODA)法、ジー
ン、第152巻、第271−275頁(1995)]、
制限酵素の認識部位を付加した2種類の変異導入用プラ
イマーを用いたPCRによる方法(USP 5,51
2,463)等が知られている。
【0069】また、市販されているキットを使用するこ
とにより、部位特異的変異を容易に導入することができ
る。市販のキットとしては、例えば、ギャップド デュ
プレックス法を用いたミュータン−G(Mutan R -G、宝
酒造社製)、クンケル法を用いたミュータン−K(Muta
n R -K、宝酒造社製)、ODA法を用いたミュータン−
エキスプレス Km(Mutan R -Express Km 、宝酒造社
製)、変異導入用プライマーとピロコッカス フリオサ
ス(Pyrococcus furiosus )由来DNAポリメラーゼを
用いたクイックチェンジ サイト−ダイレクティッド
ミュータジェネシス キット[QuikChangeTM Site-dire
cted Mutagenesis Kit、ストラタジーン(STRATAGENE)
社製]等があり、更に、PCR法を利用する方法とし
て、TaKaRa LA−PCR イン ビトロ ミュ
ータジェネシス キット(TaKaRa LA-PCR in vitro Mut
agenesis Kit、宝酒造社製)、ミュータン−スーパー
エキスプレス Km(Mutan R -Super Express Km 、宝
酒造社製)等が挙げられる。
【0070】このように、本発明により、ヒト腎癌細胞
SMKT−R3由来の硫酸基転移酵素の一次構造及び遺
伝子構造が提供される。更に、硫酸基転移酵素活性を有
するポリペプチドの安価で高純度な遺伝子工学的な製造
方法が可能となる。また、本発明の硫酸基転移酵素遺伝
子に特異的にハイブリダイズする合成オリゴヌクレオチ
ドプローブ又はプライマーは、本発明の硫酸基転移酵素
遺伝子の検索、検出や増幅等に有用である。本発明のポ
リペプチドに特異的に結合する抗体又はその断片は、本
発明の硫酸基転移酵素の検索、検出や精製等において有
用である。
【0071】なお、本発明の硫酸基転移酵素遺伝子を用
いて遺伝子工学的に製造した本発明の組換え硫酸基転移
酵素の至適pH、至適温度、pH安定性、および熱安定
性は、以下に示すように天然の硫酸基転移酵素〔ジャー
ナル オブ バイオケミストリー、 第119巻、第3
号、第421−427頁(1996)〕とほぼ同様の結
果が得られている。
【0072】(1)至適pH 本発明の組換え硫酸基転移酵素の至適pHは、図1に示
すように6〜8付近に高い活性を有している。 (2)至適温度 本発明の組換え硫酸基転移酵素の至適温度は、図2に示
すように約40℃付近で最大活性を示す。 (3)pH安定性 本発明の組換え硫酸基転移酵素のpH安定性は、図3に
示すようにpH6〜10の範囲で安定である。 (4)熱安定性 本発明の組換え硫酸基転移酵素の熱安定性は、図4に示
すように30℃では安定であるが、40℃、30分間の
処理で85%の活性が失われる。
【0073】
【実施例】以下、実験例、実施例を挙げて本発明を具体
的に示すが、本発明は以下の実施例等になんら限定され
るものではない。
【0074】実験例1.SMKT−R3細胞からの硫酸
基転移酵素の精製 50ng/mlのEGFで12〜24時間処理したSM
KT−R3細胞(約1×1010個)を集め、PBSで洗
浄後、使用するまで−80℃で保存した。2.5×10
9 個の細胞を融解し、細胞と等容量のTBSに懸濁し、
ポッター型ホモジナイザーで短時間でホモジナイズし
た。ホモジネートに等容量の2×溶解緩衝液(50mM
Tris−HCl、pH7.4、10mM MgCl
2 、2mMβ−メルカプトエタノール、2%Lubro
lPX、40%グリセロール、0.5mM PMSFお
よび0.02mM E−64)を加え、氷上で10分間
超音波処理した。100,000×gで1時間遠心分離
後、得られる上清をバッファーA(10mMトリエタノ
ールアミン−HCl、pH7.0、10%グリセロール
および5mM MnCl2 )に対して透析した。
【0075】透析した材料を10,000×gで30分
間遠心分離して、透析中に生じた沈殿物を除去した。上
清をDE−52カラム[ 3×20cm、ワットマン(Wha
tman) 社製] にアプライし、バッファーB(10mMト
リエタノールアミン−HCl、pH7.0、0.05%
LubrolPX、10%グリセロールおよび5mMM
nCl2 )で予め平衡化させておいたヘパリン−セファ
ロースCL6Bカラム [2×10cm、ファルマシア
バイオテク(Pharmacia Biotech) 社製] に、直接出口を
接続させた。次いで、溶出液の280nmにおける吸光
度が0.02未満になるまで、40ml/hの流速でバ
ッファーBでカラムを洗浄した。DE−52カラムの接
続を外した後、ヘパリン−セファロースCL6Bカラム
上の酵素を、0.2MのNaClを含むバッファーC
(20mMトリエタノールアミン−HCl、pH7.
0、0.1%LubrolPX、20%グリセロールお
よび10mM MnCl2 )で溶出した。
【0076】ヘパリン−セファロースクロマトグラフィ
ーの酵素活性画分をプールし、バッファーBに対して透
析した。透析液を、予めバッファーBで平衡化させてお
いたガラクトシルスフィンゴシン(GalSph)−セ
ファロースカラム(1×10cm、ファルマシア バイ
オテク社製)に5ml/hの流速でアプライした。次い
で、溶出液が実質的にタンパク質を含まなくなるまで、
バッファーBでカラムを洗浄し、0.1MのNaClを
含むバッファーCで、硫酸基転移酵素を溶出させた。
【0077】GalSph−セファロースカラムの溶出
画分をプールし、10%グリセロールを含む10mMト
リエタノールアミン−HCl(pH7.0)に対して透
析した。予めバッファーD(10mMトリエタノールア
ミン−HCl、pH7.0、0.05%LubrolP
Xおよび10%グリセロール)で平衡化させておいたH
iTrap 3’,5’−ビスホスホアデノシン(PA
P)カラム(5mlのベッド体積、ファルマシア バイ
オテク社製)に直接接続したピリドキサル5’−ホスフ
ェート(PLP)−セファロースカラム(1×10c
m、ファルマシアバイオテク社製)に、透析液を5ml
/hの流速でアプライした。溶出液が実質的にタンパク
質を含まなくなるまで、バッファーDとバッファーBで
連続してカラムを洗浄し、バッファーD中0〜0.3m
MのPAPの直線グラジエントで、硫酸基転移酵素を溶
出させた。
【0078】HiTrap PAPクロマトグラフィー
の酵素活性画分をプールし、予めバッファーDで平衡化
させておいた第2のヘパリン−セファロースカラムクロ
マトグラフィー(0.3mlのベッド体積)に直接供し
た。バッファーDでカラムを洗浄後、0.3MのNaC
lを含むバッファーCで、0.3mlの画分で本発明の
硫酸基転移酵素を溶出させた。この工程により、酵素調
製品は初期体積の約1/5に濃縮された。前記クロマト
グラフィー由来の酵素調製品に含まれるPAPは、フロ
ースルー画分に回収された。精製酵素活性画分をプール
し、20%のグリセロールの存在下、−80℃で保存し
た。得られた精製酵素の活性を、実験例2に記載の方法
により測定したところ、1.2ユニット/mgであっ
た。
【0079】実験例2.精製硫酸基転移酵素の作用、基
質特異性、物理化学的性質の検討 アナリティカル バイオケミストリー、第182巻、第
9−15頁(1989)に記載の方法を若干修正して、
実験例1で得られた本発明の精製硫酸基転移酵素の活性
を測定した。すなわち、5nmolのGalCer、
0.5μmolのMnCl2 、1nmolの〔35S〕P
APS(100cpm/pmol)、0.5mgのLu
brol PX、12.5nmolのジチオスレイトー
ル、0.25μmolのNaF、0.1μmolのAT
P、20μgのBSA、および25mMのカコジル酸N
a−HCl、pH6.5中の20ngの酵素タンパク質
を含む反応混合液を、全量50μlに調製した。また、
基質特異性を調べるために、5nmolのGalCer
の代わりに25nmolの種々の基質を受容体として用
いた。37℃で30分間インキュベートした後、1ml
のクロロホルム/メタノール/水(30:60:8)で
反応を停止した。DEAE−セファデックスA−25を
用いて反応生成物を単離し、液体シンチレーションカウ
ンターを使用して放射活性を測定した。受容体を欠いた
前記反応混合液を用いて得られたブランク値に対して、
測定値を補正した。1ユニットの活性は、前記測定条件
下で、1分間に1μmolの硫酸基を転移する酵素の量
として定義した。
【0080】
【表1】
【0081】表1より、本発明の精製硫酸基転移酵素
は、GalCerを最良の基質とし、LacCerを第
2位の基質とした。GalAAGおよびGalDGも基
質として用いられる。また、本発明の精製硫酸基転移酵
素は、GalCerと比べて10%未満の比活性である
けれども、GlcCer、Gb4Cer、Gg3Ce
r、Gg4CerおよびnLc4Cerに対しても作用
した。しかし、Gb3Cerには、作用しなかった。
【0082】本発明の精製硫酸基転移酵素の他の性質と
しては、0.1Mまでの濃度のNaClにより、硫酸基
転移活性が増強されたが、0.1Mを越える濃度では活
性を阻害した。Km 値は、GalCerおよびPAPS
に対して、それぞれ、27μM、25μMであった。ま
た、pH6.5〜7.0の間で、本発明の精製硫酸基転
移酵素は最大活性を示した。また、20%グリセリンの
存在下で−80℃で保存した場合、少なくとも3ヶ月間
は失活を認めなかった。
【0083】Laemmli の方法〔ネイチャー(Nature) 、
第227巻、第680−685頁(1970)〕によ
り、本発明の精製硫酸基転移酵素をSDS−PAGEに
付した。5%β−メルカプトエタノールを含むサンプル
バッファー中で処理した場合に(還元条件下)、約54
kDaの分子量を有する単一のバンドが得られた。
【0084】実施例1.硫酸基転移酵素遺伝子のクロー
ニング (1)cDNAライブラリーの作製 前記SMKT−R3細胞株[ウロロジカル リサーチ、
第17巻、第317−324頁(1989)]より全R
NAを抽出[アナリティカル バイオケミストリー、第
162巻、第156−159頁(1987)]し、ポリ
(A)+ RNAをオリゴテックス−dT30(Oligotex
TM-dT30 、宝酒造社製)を用いて精製した。精製したポ
リ(A)+ RNAから、スーパースクリプト チョイス
システム[SUPERSCRIPT TM Choice System、ライフ
テクノロジーズ(Life Technologies) 社製]を用いて2
本鎖cDNAを合成した。得られた2本鎖cDNAにEc
oR I アダプター(ライフテクノロジーズ社製)を結合
させたcDNA断片と、制限酵素Eco RIで消化したλg
t10ファージベクター(ファルマシア バイオテク社
製)とをライゲーションを行い、その後、レディ−トゥ
−ゴー ラムダ パッケージング キット[Ready-To-G
o TM Lambda Packaging Kit 、ファルマシアバイオテク
社製] を用いてイン ビトロでパッケージングを行
い、SMKT−R3細胞株由来のλgt10cDNAラ
イブラリーとした。
【0085】(2)硫酸基転移酵素の部分アミノ酸配列
の決定 実験例1で精製した硫酸基転移酵素10μgを6M塩酸
グアニジウムを含む1mMEDTA溶液(1ml)に溶
解させ、2−メルカプトエタノールを2μl加え、窒素
封入し、37℃、2時間保温し還元した。その後、4−
ビニルピリジンを10μl加え、窒素封入し、37℃、
2時間保温することにより、S−ピリジルエチル化を行
った。
【0086】こうして得られたピリジルエチル化酵素タ
ンパク質を逆相HPLC(RP−HPLC)[システ
ム:Waters625LC、ミリポア(Millipore) 社
製、カラム:コスモシール(Cosmosil)5C4−AR−3
00、4.6×50mm、ナカライテスク社製、流速:
0.4ml/分、溶出液A:0.1%トリフルオロ酢酸
溶液(TFA)、溶出液B:0.1%TFAを含む70
%アセトニトリル、溶出:サンプルアプライ時は溶出液
Bの割合を0%に、その後、55分間で溶出液の割合を
70%にまで直線的に上げた]に供すことにより、精製
した。
【0087】精製したS−ピリジルエチル化酵素タンパ
ク質(約2μg/ml)を、3M尿素を含む0.1Mト
リス−塩酸緩衝液(pH9.0)400μlに溶解し、
0.3μgのリジルエンドペプチダーゼ(和光純薬工業
社製)で、37℃、12時間消化した。
【0088】得られた消化物からペプチド断片をRP−
HPLC[システム:モデル130A、アプライド バ
イオシステムズ社製、カラム:OD−300C,アクア
ポア(Aquapore)、7μm、1.0×250mm、アプラ
イド バイオシステムズ社製、流速:0.1ml/分、
溶出液A:0.1%TFA溶液、溶出液B:0.1%T
FAを含む70%アセトニトリル、溶出:サンプルアプ
ライ時は溶出液Bの割合を0%に、その後、85分間で
溶出液の割合を70%にまで直線的に上げた]により、
分離精製した。
【0089】分離したペプチド断片を常法に従って気相
エドマン分解法によるアミノ酸配列分析(プロテイン
シークエンサー モデル492、アプライド バイオシ
ステムズ社製)に供して、部分アミノ酸配列P1(配列
番号:3)、P2(配列番号:4)、P3(配列番号:
5)、P4(配列番号:11)、P5(配列番号:1
2)、P6(配列番号:13)、P7(配列番号:1
4)を決定した。
【0090】(3)プライマーの合成 前記(2)で決定した部分アミノ酸配列P1(配列番
号:3)から合成ヌクレオチド1Sa(配列番号:1
5)、1Sb(配列番号:16)、1Sc(配列番号:
17)、1Sd(配列番号:6)、1A(配列番号:
7)を、部分アミノ酸配列P2(配列番号:4)から合
成ヌクレオチド2Sa(配列番号:9)、2Sb(配列
番号:18)、2Aa(配列番号:19)、2Ab(配
列番号:20)を、部分アミノ酸配列P3(配列番号:
5)から合成ヌクレオチド3S(配列番号:21)、3
A(配列番号:10)をそれぞれ合成し(DNAシンセ
サイザモデル392、アプライド バイオシステムズ社
製)、合成ヌクレオチドプライマーとした。
【0091】合成オリゴヌクレオチドプライマー1S
a、1Sb、1Sc、1Sd、2Sa、2Sb、3Sは
センス方向のプライマーであり、合成オリゴヌクレオチ
ドプライマー1A、2Aa、2Ab、2A、3Aはアン
チセンス方向のプライマーである。
【0092】ハイブリダイゼーションの際にプライマー
が相互結合をすることを防ぐ目的で、全てのオリゴヌク
レオチドの合成においてはデオキシイノシンによる塩基
置換を行った。デオキシイノシン置換はコドンの重なり
が2よりも多いアミノ酸残基部分について行った。ま
た、セリン残基をコードする部分についてはTCXとA
G(T/C)の2 種のうちいずれかのコドンを有するオ
リゴヌクレオチドの組合せを用意した。
【0093】(4)RT−PCR法による硫酸化転移酵
素遺伝子の検索 全液量20μl中、SMKT−R3細胞より抽出したポ
リ(A)+ RNA2μg、40pmolのオリゴ(d
T)12-18 プライマー(ライフ テクノロジーズ社
製)、各0.25mMのdNTP、50mMトリス−塩
酸緩衝液(pH8.3)、75mM塩化カリウム、3m
M塩化マグネシウム、10mMジチオスレイトール、モ
ロニーマウス白血病ウイルス由来逆転写酵素[スーパー
スクリプトIIRNaseH- 逆転写酵素(SUPERSCRIP
T TMII RNase H- Reverse Transcriptase)、ライフ テ
クノロジーズ社製] 200ユニットを含む反応系で、3
7℃、1時間、逆転写反応を行った。この反応液の内4
μlを鋳型とし、前記各100pmolの合成オリゴヌ
クレオチドプライマー(センス方向プライマーとアンチ
センス方向プライマー)と各0.25mMのdNTP混
合液、10mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.3)、5
0mM塩化カリウム、1.5mM塩化マグネシウム、T
aq DNAポリメラーゼ〔パーキン エルマー(Perki
n Elmer)社製〕1.25ユニットを含む全液量50μl
の反応系でPCR反応を行った(RT−PCR)。反応
条件は、94℃で30秒間(変性)、45〜55℃で3
0秒間(プライマーのアニーリング)、72℃で1〜2
分間(合成反応)のサイクルを35サイクル行った。
【0094】このPCR反応後の反応液全量を2%アガ
ロースゲル電気泳動を行った後、ゲルからDNA断片を
切り出し、pT7Blueベクター[ ノバジェン(Novag
en)社製] を用いてサブクローニングを行った。これら
のDNA断片の塩基配列をTaq DNAポリメラーゼ
を用いたジデオキシ チェーン ターミネーター法〔ダ
イ ターミネーター サイクル シークエンシング キ
ット(Dye TerminatorCycle Sequencing Kit) 、パーキ
ン エルマー社製、DNAシークエンサー モデル37
3A、アプライド バイオシステムズ社製〕で決定し
た。
【0095】初めに4種のセンス方向の合成オリゴヌク
レオチドプライマー1Sa、1Sb、1Sc、1Sdと
アンチセンス方向の合成オリゴヌクレオチドプライマー
1Aを用いてRT−PCRを行ったところ、1Sdと1
Aの組合せで47bpのcDNA断片と2Saと3Aの
組合せで約600bpのcDNA断片が増幅された。
【0096】このcDNA断片の内、47bpのcDN
A断片をサブクローニンし塩基配列を決定した結果、そ
こから予想されるアミノ酸配列と部分アミノ酸配列P1
のアミノ酸配列が一致した。
【0097】次に、この47bpのcDNA断片の塩基
配列を基にして混合オリゴヌクレオチドOP1(配列番
号:8)を合成し、その3’末端をジゴキシゲニン(D
IG)オリゴヌクレオチド テイリング キット[DIG o
ligonucleotide Tailing Kit、ベーリンガー マンハイ
ム(Boehringer Mannheim) 社製] を用いてターミナルト
ランスフェラーゼでDIG標識した。
【0098】DIG標識混合オリゴヌクレオチドOP1
をプローブとして、前記RT−PCRで増幅された約6
00bpのcDNA断片に対してサザンブロットハイブ
リダイゼーションを行った。
【0099】まず、RT−PCRで得られた約600b
pのcDNA断片を、1.5%アガロースゲル電気泳動
を行った後、ナイロン膜(ベーリンガー マンハイム社
製)にDNAを転写した。このナイロン膜を用いて、2
pmol/mlのDIG標識混合オリゴヌクレオチドO
P1、5×SSC、2%ブロッキング試薬(ベーリンガ
ー マンハイム社製)、0.1%N−ラウリルサルコシ
ン、0.02%SDSを含む溶液中、55℃、4時間、
ハイブリダイゼーションを行った。検出はDIG ルミ
ネッセント ディテクション キット(DIG Luminescen
t Detection Kit 、ベーリンガー マンハイム社製)を
用いて行った。
【0100】その結果、合成オリゴヌクレオチドプライ
マー2Saと3Aを用いたRT−PCRで増幅された約
600bpのcDNA断片に、OP1プローブがハイブ
リダイズした。
【0101】この約600bpのcDNA断片をサブク
ローニングし、塩基配列を決定した結果、この約600
bpのcDNA断片中に部分アミノ酸配列P1とP4を
コードする配列が見出された。
【0102】(5)硫酸基転移酵素遺伝子を含むcDN
A断片のクローニング 実施例1の(1)で調製したSMKT−3細胞株由来の
λgt10cDNAライブラリーからcDNAクローン
を単離するために、プラークハイブリダイゼーションに
よるスクリーニングを行った。
【0103】実施例1の(4)で得られた約600bp
のcDNA断片を鋳型とし、T7RNA ポリメラーゼ
を用いてDIG標識[DIG RNA ラベリング キ
ット(DIG RNA Labeling Kit)、ベーリンガー マンハイ
ム社製]されたRNAプローブを合成した。
【0104】約2×105 個のλgt10cDNAライ
ブラリーと大腸菌LE392を混合し、9×13cmの
角シャーレ10枚に、1枚当たり2×104 個のプラー
クを形成させた。次に、得られたプラークをナイロン膜
(ベーリンガー マンハイム社製)上に写し、4℃で1
時間保温した後、アルカリ変性(0.5NNaOH、
1.5MNaCl、5分間)、中和[1.5MNaCl
を含む0.5Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)で3
分間を2回、その後、2×SSCで2分間を1回]を行
った。このフィルターを用いて、ナイロン膜1cm2
たり1ngのプローブ、50%ホルムアミド、5×SS
C、2%ブロッキング試薬(ベーリンガーマンハイム社
製)、0.1%N−ラウリルサルコシン、0.02%S
DSを含む溶液中、50℃で一晩ハイブリダイゼーショ
ンを行った。検出はDIG ルミネッセント ディテク
ション キット(ベーリンガー マンハイム社製)を用
いて行った。その結果、6個の陽性ラムダファージクロ
ーンが得られた。これらのクローンからプラスミドを調
製し、その挿入cDNA断片を制限酵素Eco RI(宝酒造
社製)で切り出し、Eco RI消化したpBluescri
ptIIベクター(ストラタジーン社製)を用いてサブ
クローニングした。
【0105】その結果、最長約1.8kbpのcDNA
断片を有しているプラスミドが得られ、このプラスミド
をpBS−hCST1と命名した。その塩基配列を決定
したところ、432個のアミノ酸からなるタンパク質を
コードする読みとり枠(ORF)が見いだされた。この
ORF中に、前記精製硫酸基転移酵素の部分アミノ酸配
列分析により得られたアミノ酸配列が全て見いだされ
た。
【0106】以上の結果より、硫酸基転移酵素遺伝子の
全塩基配列及び一次構造が決定された。硫酸基転移酵素
をコードする塩基配列を配列表の配列番号:2に、その
塩基配列からコードされるアミノ酸配列を配列表の配列
番号:1に示す。
【0107】実施例2.硫酸基転移酵素ポリペプチドを
発現するプラスミドの構築 実施例1で得られたプラスミドpBS−hCST1を制
限酵素Eco RIで消化し、得られたDNA断片を哺乳類発
現ベクターpSVK3(ファルマシア バイオテク社
製)のEco RI部位に挿入した。挿入DNA断片の方向は
制限酵素の切断地図を基に決定した。得られた挿入方向
が正の方向と逆の方向の互いに異なる発現プラスミド
を、それぞれ、pSV−hCSTとpSV−hCSTR
と命名した。
【0108】これらのプラスミドのうちpSV−hCS
Tを大腸菌JM109に形質転換し、形質転換体を得
た。該形質転換体は、Escherichia coli JM109/pSV-hC
STと命名され、Escherichia coli JM109/pSV-hcSTと表
示され、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所
にFERM BP−5811として寄託されている。
【0109】実施例3.組換え硫酸基転移酵素遺伝子の
COS−1細胞における発現 直径35mmのディッシュに、2×105 個のCOS−
1細胞(ATCC CRL 1650)を蒔き、次の日
に実施例2で得られた発現プラスミドpSV−hCST
又はpSV−hCSTRを1μgとリポフェクトアミン
(LIPOFECTAMINE TM ライフ テクノロジーズ社製)5
μlを加えることにより、COS−1細胞にトランスフ
ェクトした。その後、37℃で72時間培養後、得られ
た形質転換COS−1細胞を2mlの冷TBS(20m
Mトリス、150mM NaCl、pH7.4)で2回
洗浄し、0.2mlの0.1%トリトン(TritonR )X
−100を含むTBSを加え、シリコンスクレーパー
[silicon scraper 、ファルコン(Falcon)社製]を用い
て採集した。
【0110】次に、採集した形質転換COS−1細胞を
氷中で超音波処理を行い、細胞を破砕した。これを遠心
分離して上清を回収した。
【0111】得られた上清を酵素溶液として、上清の硫
酸基転移酵素活性をジャーナル オブ バイオケミスト
リー、第119巻、第421−427頁(1996)に
記載の方法に従って測定し、また、同時にこの上清のタ
ンパク質濃度をBCA プロテイン アッセイ試薬[BCA
Protein Assay Reagent、ピアス(PIERCE)社製] を用い
て測定した。
【0112】その結果、pSV−hCSTで形質転換し
たCOS−1細胞の細胞抽出画分中の比活性は1.8×
10-5U/mg(蛋白質)であった。これはコントロー
ルとしてpSVK3を導入したCOS−1細胞の細胞抽
出画分中の活性の約16倍であり、また、pSV−hC
STRで形質転換したCOS−1細胞の細胞抽出画分中
の活性の約8倍であった。
【0113】次に、pSV−hCSTで形質転換したC
OS−1細胞が、硫酸化糖脂質を発現しているかどうか
を調べた。
【0114】まず、104 個のCOS−1細胞をLab
−Tek チャンバー スライド[Lab-Tek chamber sli
de、ヌンク(Nunc)社製] に入れ、pSV−hCSTを1
μg、リポフェクトアミン(ライフ テクノロジーズ社
製)1μlを加えて形質転換させた。その後、37℃で
48時間培養後、形質転換COS−1細胞をPBS(p
H7.4)で洗浄し、1%パラホルムアルテヒドを含む
PBS(pH7.4)で固定し、1%BSAを含むPB
S(pH7.4)でブロックした。これに抗スルファチ
ドモノクローナル抗体Sulph1[バイオケミカル
ジャーナル、第251巻、第17−22頁(198
8)]を加え、45分間インキュベーションし、さらに
FITC標識ヤギ抗マウスIgG[ザイムド ラボラト
リーズ(Zymed Laboratories)社製]を加え、45分間イ
ンキュベーションした。
【0115】このようにして処理した形質転換COS−
1細胞と形質転換していないCOS−1細胞をそれぞれ
ベクタシールド マウンティング メディウム[Vectas
hield mounting medium 、ベクターラボ(Vector Labo)
社製]中にマウントし、蛍光顕微鏡で観察した。
【0116】その結果、形質転換していないCOS−1
細胞は全く染色されていないのに対し、pSV−hCS
Tで形質転換した細胞では細胞表面が免疫蛍光染色され
ていることが確認された。すなわち、形質転換したCO
S−1細胞中で硫酸基転移酵素が活性を発現しスルファ
チドを合成していることが示された。
【0117】実施例4.組換え硫酸基転移酵素の物理化
学的性質 実施例3で得られた形質転換COS−1細胞を氷中で超
音波処理を行い、細胞を破砕した。これを遠心分離して
得られた上清を組換え硫酸基転移酵素の酵素溶液とし、
ジャーナル オブ バイオケミストリー、第119巻、
第3号、第421−427頁(1996)に記載の方法
に従って物理化学的性質を測定した。その結果を以下に
示す。
【0118】(1)至適pH 本発明の組換え硫酸基転移酵素の至適pHは、図1に示
すように6〜8付近に高い活性を有していた。すなわ
ち、図1は本発明の組換え硫酸基転移酵素の至適pHを
示す図であり、縦軸は相対活性(%)、横軸はpHを示
す。pH3.0〜6.0においては50mM酢酸緩衝
液、pH6.0〜7.0においては50mMカコジル酸
緩衝液、pH7.0〜8.0においては50mMトリエ
タノールアミン緩衝液、pH8.0〜10.0において
は50mMトリス緩衝液を使用し、活性測定を行った。
図中、黒四角印は酢酸緩衝液を、黒丸印はカコジル酸緩
衝液を、黒三角印はトリエタノールアミン緩衝液を、×
印はトリス緩衝液を示す。
【0119】(2)至適温度 本発明の組換え硫酸基転移酵素の至適温度は、図2に示
すように約40℃付近で最大活性を示した。すなわち、
図2は本発明の組換え硫酸基転移酵素の至適温度を示す
図であり、縦軸は相対活性(%)、横軸は反応温度
(℃)を示す。
【0120】(3)pH安定性 本発明の組換え硫酸基転移酵素をそれぞれのpHにおい
て6℃で16時間保持した後、pHを7.0に戻して酵
素活性を測定してpH安定性を調べた。緩衝液としてp
H3.0〜6.0においては50mM酢酸緩衝液、pH
6.0〜7.0においては50mMカコジル酸緩衝液、
pH7.0〜8.0においては50mMトリエタノール
アミン緩衝液、pH8.0〜10.0においては50m
Mトリス緩衝液を使用した。図3に示すように本発明の
組換え硫酸基転移酵素は、pH6〜10の範囲で安定で
ある。すなわち、図3は本発明の組換え硫酸基転移酵素
のpH安定性を示す図であり、縦軸は残存活性(%)、
横軸はpHを示す。図中、黒四角印は酢酸緩衝液を、黒
丸印はカコジル酸緩衝液を、黒三角印はトリエタノール
アミン緩衝液を、×印はトリス緩衝液を示す。
【0121】(4)熱安定性 本発明の組換え硫酸基転移酵素の熱安定性を調べたとこ
ろ図4に示すように30℃では安定であるが、40℃、
30分間の処理で85%の活性が失われた。すなわち、
図4は本発明の組換え硫酸基転移酵素の熱安定性を示す
図であり、縦軸は残存活性(%)、横軸は反応温度
(℃)を示す。
【0122】
【発明の効果】本発明により、Galβ1−R(Gal
はガラクトース、Rは糖、脂質又は複合脂質を示す)で
表される糖鎖に作用してGalのC−3位の水酸基に特
異的に硫酸基を転移する硫酸基転移酵素遺伝子が提供さ
れる。また、該遺伝子を用いる硫酸基転移酵素活性を持
つポリペプチドの工業的に有利な遺伝子工学的製造方
法、該遺伝子からコードされるポリペプチド及び該ポリ
ペプチドに特異的に結合する抗体又はその断片が提供さ
れる。
【0123】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:423 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列: Met Leu Pro Pro Gln Lys Lys Pro Trp Glu Ser Met Ala Lys Gly 1 5 10 15 Leu Val Leu Gly Ala Leu Phe Thr Ser Phe Leu Leu Leu Val Tyr 20 25 30 Ser Tyr Ala Val Pro Pro Leu His Ala Gly Leu Ala Ser Thr Thr 35 40 45 Pro Glu Ala Ala Ala Ser Cys Ser Pro Pro Ala Leu Glu Pro Glu 50 55 60 Ala Val Ile Arg Ala Asn Gly Ser Ala Gly Glu Cys Gln Pro Arg 65 70 75 Arg Asn Ile Val Phe Leu Lys Thr His Lys Thr Ala Ser Ser Thr 80 85 90 Leu Leu Asn Ile Leu Phe Arg Phe Gly Gln Lys His Arg Leu Lys 95 100 105 Phe Ala Phe Pro Asn Gly Arg Asn Asp Phe Asp Tyr Pro Thr Phe 110 115 120 Phe Ala Arg Ser Leu Val Gln Asp Tyr Arg Pro Gly Ala Cys Phe 125 130 135 Asn Ile Ile Cys Asn His Met Arg Phe His Tyr Asp Glu Val Arg 140 145 150 Gly Leu Val Pro Thr Asn Ala Ile Phe Ile Thr Val Leu Arg Asp 155 160 165 Pro Ala Arg Leu Phe Glu Ser Ser Phe His Tyr Phe Gly Pro Val 170 175 180 Val Pro Leu Thr Trp Lys Leu Ser Ala Gly Asp Lys Leu Thr Glu 185 190 195 Phe Leu Gln Asp Pro Asp Arg Tyr Tyr Asp Pro Asn Gly Phe Asn 200 205 210 Ala His Tyr Leu Arg Asn Leu Leu Phe Phe Asp Leu Gly Tyr Asp 215 220 225 Asn Ser Leu Asp Pro Ser Ser Pro Gln Val Gln Glu His Ile Leu 230 235 240 Glu Val Glu Arg Arg Phe His Leu Val Leu Leu Gln Glu Tyr Phe 245 250 255 Asp Glu Ser Leu Val Leu Leu Lys Asp Leu Leu Cys Trp Glu Leu 260 265 270 Glu Asp Val Leu Tyr Phe Lys Leu Asn Ala Arg Arg Asp Ser Pro 275 280 285 Val Pro Arg Leu Ser Gly Glu Leu Tyr Gly Arg Ala Thr Ala Trp 290 295 300 Asn Met Leu Asp Ser His Leu Tyr Arg His Phe Asn Ala Ser Phe 305 310 315 Trp Arg Lys Val Glu Ala Phe Gly Arg Glu Arg Met Ala Arg Glu 320 325 330 Val Ala Ala Leu Arg His Ala Asn Glu Arg Met Arg Thr Ile Cys 335 340 345 Ile Asp Gly Gly His Ala Val Asp Ala Ala Ala Ile Gln Asp Glu 350 355 360 Ala Met Gln Pro Trp Gln Pro Leu Gly Thr Lys Ser Ile Leu Gly 365 370 375 Tyr Asn Leu Lys Lys Ser Ile Gly Gln Arg His Ala Gln Leu Cys 380 385 390 Arg Arg Met Leu Thr Pro Glu Ile Gln Tyr Leu Met Asp Leu Gly 395 400 405 Ala Asn Leu Trp Val Thr Lys Leu Trp Lys Phe Ile Arg Asp Phe 410 415 420 Leu Arg Trp
【0124】配列番号:2 配列の長さ:1269 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 配列: ATGCTGCCAC CGCAGAAGAA GCCCTGGGAG TCCATGGCTA AGGGGCTGGT GCTGGGCGCG 60 CTCTTCACTA GTTTCCTGCT GCTGGTGTAC TCCTATGCCG TGCCCCCGCT GCATGCCGGC 120 CTGGCCTCCA CGACCCCGGA GGCCGCAGCG TCCTGCTCTC CACCTGCACT CGAGCCAGAG 180 GCAGTGATCC GGGCCAACGG CTCGGCGGGG GAGTGCCAGC CGCGGCGCAA CATCGTGTTC 240 TTGAAGACGC ACAAGACGGC CAGCAGCACC CTGCTCAACA TCCTGTTCCG CTTCGGCCAG 300 AAGCACCGGC TCAAGTTCGC CTTCCCTAAC GGCCGCAATG ACTTCGACTA CCCGACCTTC 360 TTCGCCCGCA GCCTGGTGCA GGACTATCGG CCCGGGGCCT GCTTCAACAT CATCTGCAAC 420 CACATGCGCT TCCACTACGA CGAGGTGCGC GGCCTGGTGC CGACCAACGC CATCTTCATC 480 ACGGTGCTCC GCGACCCCGC CCGCTTGTTC GAGTCCTCCT TCCACTACTT CGGGCCGGTG 540 GTGCCCCTCA CGTGGAAGCT CTCGGCCGGC GACAAGCTGA CCGAGTTCCT GCAAGACCCG 600 GATCGCTACT ACGACCCCAA CGGCTTCAAT GCCCACTACC TCCGAAACCT GCTCTTCTTC 660 GACCTGGGCT ATGACAACAG CCTGGACCCC AGCAGCCCGC AGGTGCAGGA GCACATCCTG 720 GAGGTGGAGC GTCGCTTCCA CCTGGTGCTC CTTCAAGAGT ACTTCGACGA GTCGCTGGTG 780 CTGCTGAAGG ACCTGCTGTG CTGGGAGCTG GAGGACGTGC TCTACTTCAA GCTCAACGCC 840 CGCCGCGACT CGCCCGTGCC GCGGCTCTCG GGGGAGCTGT ATGGGCGCGC CACCGCCTGG 900 AACATGCTGG ACTCCCACCT CTACCGCCAC TTCAACGCCA GCTTCTGGCG CAAGGTGGAG 960 GCCTTCGGGC GGGAGCGCAT GGCCCGCGAG GTGGCCGCCC TGCGCCATGC CAACGAGCGC 1020 ATGCGGACCA TCTGCATCGA CGGGGGCCAC GCCGTGGACG CCGCCGCCAT CCAGGACGAG 1080 GCCATGCAGC CCTGGCAGCC GCTGGGCACC AAGTCCATCC TGGGCTACAA CCTCAAGAAG 1140 AGCATCGGGC AGCGGCACGC GCAGCTCTGC CGGCGCATGC TCACGCCCGA GATCCAGTAC 1200 CTGATGGACC TCGGCGCCAA CCTGTGGGTC ACCAAGCTCT GGAAGTTCAT TCGCGATTTC 1260 CTGCGGTGG 1269
【0125】配列番号:3 配列の長さ:16 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド フラグメント型:中間部フラグメント 配列: Thr Ala Ser Ser Thr Leu Leu Asn Ile Leu Phe Arg Phe Gly Gln 1 5 10 15 Lys
【0126】配列番号:4 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド フラグメント型:中間部フラグメント 配列: Lys Pro Trp Glu Ser Met Ala Lys 1 5
【0127】配列番号:5 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド フラグメント型:中間部フラグメント 配列: Ser Ile Leu Gly Tyr Asn Leu Lys 1 5
【0128】配列番号:6 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列の特徴:3番目、6番目及び15番目のNはイノシ
ンである。 配列: ACNGCNAGYA GYACNCT 17
【0129】配列番号:7 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列の特徴:6番目及び12番目のNはイノシンであ
る。 配列: TTYTGNCCRA ANCGRAA 17
【0130】配列番号:8 配列の長さ:47 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: TTCTGGCCRA AGCGGAACAG GATGTTGAGC AGCGTRCTRC TCGCCGT 47
【0131】配列番号:9 配列の長さ:19 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列の特徴:6番目、9番目及び15番目のNはイノシ
ンである。 配列: AARCCNTGNG ARTCNATGG 19
【0132】配列番号:10 配列の長さ:23 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列の特徴:6番目、15番目及び18番目のNはイノ
シンである。 配列: TTRTANAGRT TRTANCCNAG RAT 23
【0133】配列番号:11 配列の長さ:6 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド フラグメント型:中間部フラグメント 配列: Leu Ser Ala Gly Asp Lys 1 5
【0134】配列番号:12 配列の長さ:9 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド フラグメント型:中間部フラグメント 配列: Leu Asn Ala Leu Asn Asp Xaa Pro Val 1 5
【0135】配列番号:13 配列の長さ:4 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド フラグメント型:中間部フラグメント 配列: His Arg Leu Lys 1
【0136】配列番号:14 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド フラグメント型:中間部フラグメント 配列: Phe Ile Leu Asp Phe Leu Glu Xaa 1 5
【0137】配列番号:15 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列の特徴:3番目、6番目、9番目、12番目及び1
5番目のNはイノシンである。 配列: ACNGCNTCNT CNACNCT 17
【0138】配列番号:16 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列の特徴:3番目、6番目、12番目及び15番目の
Nはイノシンである。 配列: ACNGCNAGYT CNACNCT 17
【0139】配列番号:17 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列の特徴:3番目、6番目、9番目及び15番目のN
はイノシンである。 配列: ACNGCNTCNA GYACNCT 17
【0140】配列番号:18 配列の長さ:19 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列の特徴:6番目及び9番目のNはイノシンである。 配列: AARCCNTGNG ARAGYATGG 19
【0141】配列番号:19 配列の長さ:19 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列の特徴:2番目、8番目、14番目及び17番目の
Nはイノシンである。 配列: TNGCCATNGA YTCNCANGG 19
【0142】配列番号:20 配列の長さ:19 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列の特徴:2番目、14番目及び17番目のNはイノ
シンである。 配列: TNGCCATRCT YTCNCANGG 19
【0143】配列番号:21 配列の長さ:23 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列の特徴:6番目、15番目及び18番目のNはイノ
シンである。 配列: TTRTANAGRT TRTANCCNAG RAT 23
【0144】配列番号:22 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: AAYATYYTNT TYCGNTTYGG 20
【0145】配列番号:23 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: TTYTGNCCRA ANCGRAA 17
【0146】配列番号:24 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: AARCCNTGGG ARWSNATGGC 20
【0147】配列番号:25 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: TTNGCCATNS WYTCCCANGG 20
【0148】配列番号:26 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: ATYYTNGGNT AYAAYYTNAA 20
【0149】配列番号:27 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列: TTNARRTTRT ANCCNARRAT 20
【0150】配列番号:28 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列の特徴:9番目及び15番目のNはイノシンであ
る。 配列: AAYATYYTNT TYCGNTTYGG 20
【0151】配列番号:29 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列の特徴:6番目及び12番目のNはイノシンであ
る。 配列: TTYTGNCCRA ANCGRAA 17
【0152】配列番号:30 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列の特徴:6番目及び15番目のNはイノシンであ
る。 配列: AARCCNTGGG ARWSNATGGC 20
【0153】配列番号:31 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列の特徴:3番目、6番目及び18番目のNはイノシ
ンである。 配列: TTNGCCATNS WYTCCCANGG 20
【0154】配列番号:32 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列の特徴:6番目、9番目及び18番目のNはイノシ
ンである。 配列: ATYYTNGGNT AYAAYYTNAA 20
【0155】配列番号:33 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(合成DNA) 配列の特徴:3番目、12番目及び15番目のNはイノ
シンである。 配列: TTNARRTTRT ANCCNARRAT 20
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の組換え硫酸基転移酵素の至適p
Hを示す図である。
【図2】図2は本発明の組換え硫酸基転移酵素の至適温
度を示す図である。
【図3】図3は本発明の組換え硫酸基転移酵素のpH安
定性を示す図である。
【図4】図4は本発明の組換え硫酸基転移酵素の熱安定
性を示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C12N 9/10 C12R 1:91)

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Galβ1−R(Galはガラクトー
    ス、Rは糖、脂質又は複合脂質を示す)で表される糖鎖
    に作用してGalのC−3位の水酸基に特異的に硫酸基
    を転移する硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドを
    コードする単離された遺伝子。
  2. 【請求項2】 配列表の配列番号:1に記載のアミノ酸
    配列又はその一部からなるポリペプチドをコードする請
    求項1記載の遺伝子。
  3. 【請求項3】 配列表の配列番号:2に記載の塩基配列
    又はその一部である請求項1記載の遺伝子。
  4. 【請求項4】 配列表の配列番号:1に記載のアミノ酸
    配列において、1個又は数個のアミノ酸残基が欠失、付
    加、挿入又は置換されているポリペプチドであって、硫
    酸基転移酵素活性を有するポリペプチドをコードする請
    求項1記載の遺伝子。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4いずれか1項に記載の遺伝
    子とストリンジェントな条件下においてハイブリダイズ
    することができ、かつ硫酸基転移酵素活性を有するポリ
    ペプチドをコードする請求項1記載の遺伝子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5いずれか1項に記載の遺伝
    子を含んでなる組換えDNA。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の組換えDNAを挿入され
    てなる、微生物、動物細胞又は植物細胞を宿主細胞とす
    る発現ベクター。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の発現ベクターを導入され
    てなる形質転換体。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の形質転換体を培養し、該
    培養物より硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドを
    採取することを特徴とする、硫酸基転移酵素活性を有す
    るポリペプチドの製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜5いずれか1項に記載の遺
    伝子によりコードされる、硫酸基転移酵素活性を有する
    ポリペプチド。
  11. 【請求項11】 請求項1〜5いずれか1項に記載の遺
    伝子又はその一部に相補的なアンチセンスDNA。
  12. 【請求項12】 請求項1〜5いずれか1項に記載の遺
    伝子又はその一部に相補的なアンチセンスRNA。
  13. 【請求項13】 請求項11記載のアンチセンスDNA
    を挿入されてなる発現ベクター。
  14. 【請求項14】 請求項1〜5いずれか1項に記載の遺
    伝子に特異的にハイブリダイズする合成オリゴヌクレオ
    チドプローブ又はプライマー。
  15. 【請求項15】 請求項10記載のポリペプチドに特異
    的に結合する抗体又はその断片。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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