JP4063359B2 - 硫酸基転移酵素遺伝子 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、糖脂質糖鎖に働く硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子、該遺伝子を含む組換えDNAおよび発現ベクター、該発現ベクターを導入した形質転換体、該形質転換体を用いるポリペプチドの製造方法およびポリペプチド、前記遺伝子に対するアンチセンスDNAまたはアンチセンスRNA、前記遺伝子にハイブリダイズする合成オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーならびに前記ポリペプチドに結合する抗体またはその断片に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、細胞の膜に存在する糖タンパク質や糖脂質等の、いわゆる複合糖質と呼ばれる分子の糖鎖部分が持つ様々な生理機能が注目されている。糖鎖に結合した硫酸基は、種々の生物学的機能に関連して興味がもたれている。硫酸基は、ウイルス糖タンパク質、糖タンパク質性ホルモン、基底膜糖タンパク質、粘菌のリソソーム酵素などの糖鎖にエステル結合している他に、ムチンやムコ多糖、糖脂質の糖鎖にも種々の結合様式で結合している。しかし、その生物学的意義は今後の解明すべき問題として残されている。
【0003】
これまでに基質特異性の異なる種々の硫酸基転移酵素の存在が知られている。例えば、糖タンパク質に働く硫酸基転移酵素としては、N−グリコシド型糖鎖のガラクトースの3位に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(Journal of Biological Chemistry)、第264巻、第6号、第3364−3371頁(1989)〕、N−グリコシド型糖鎖のN−アセチルグルコサミンの6位に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素〔バイオケミカル ジャーナル(Biochemical Journal) 、第319巻、第209−216頁(1996)〕、ムチン糖鎖のN−アセチルガラクトサミンの3位に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素〔グライコバイオロジー(Glycobiology) 、第5巻、第7号、第689−697頁(1995)〕、ムチン糖鎖のN−アセチルグルコサミンの3位に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素〔ジャーナル オブ バイオロジカルケミストリー、第270巻、第46号、第27544−27550頁(1995)〕、および脳下垂体で産生される糖タンパク質性ホルモン糖鎖のN−アセチルグルコサミンの4位に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、第266巻、第26号、第17142−17150頁(1991)〕等が知られている。
【0004】
また、グリコサミノグリカン(ムコ多糖)に働く硫酸基転移酵素としては、ヘパラン硫酸のイズロン酸の2位に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素〔ジャーナルオブ バイオロジカル ケミストリー、第271巻、第13号、第7645−7653頁(1996)〕、ヘパラン硫酸のN−硫酸化グルコサミンの6位に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、第270巻、第8号、第4172−4179頁(1995)〕、ヘパリンのイズロン酸の2位とN−硫酸化グルコサミンの6位に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、第269巻、第40号、第24538−24541頁(1994)〕、ヘパラン硫酸のN−硫酸化グルコサミンの3位に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、第271巻、第43号、第27072−27082頁(1996)〕、ヘパラン硫酸のN−硫酸化に働く硫酸基転移酵素〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、第263巻、第5号、第2417−2422頁(1988)〕、ヘパリンのN−硫酸化に働く硫酸基転移酵素〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、第266巻、第13号、第8044−8049頁(1991)〕、コンドロイチン硫酸のN−アセチルガラクトサミンとケラタン硫酸のガラクトースの6位に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素およびコンドロイチン硫酸のN−アセチルガラクトサミンの4位に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、第268巻、第29号、第21968−21974頁(1993)〕、角膜に存在するケラタン硫酸にのみ働く硫酸基転移酵素〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、第259巻、第19号、第11771−11776頁(1984)〕等が知られている。
【0005】
さらに、糖脂質に働く硫酸基転移酵素としては、本発明の硫酸基転移酵素以外に、単クローン抗体HNK−1で認識される糖鎖を合成する、グルクロン酸の3位に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、第268巻、第1号、第330−336頁(1993)〕が知られている。
【0006】
これらの中でクローニングされている複合糖質に働く硫酸基転移酵素としては、ラット肝由来のヘパリン糖鎖の合成にかかわるN−硫酸基転移酵素[N−ヘパラン硫酸スルホトランスフェラーゼ、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、第267巻、 第22号、第15744−15750頁(1992)]、MST細胞由来のヘパリン糖鎖の合成にかかわるN−硫酸基転移酵素[N−デアシラーゼ/N−スルホトランスフェラーゼ、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、第269巻、第3号、第2270−2276頁(1994)]、ニワトリ胎児軟骨細胞(chick embryo chondrocytes)由来のコンドロイチン糖鎖の合成にかかわるN−アセチルガラクトサミンのC−6位に硫酸基を転移する酵素[コンドロイチン6−スルホトランスフェラーゼ、ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、第270巻、第31号、第18575−18580頁(1995)]が知られている。
【0007】
本発明者らは、ガラクトースの3位の水酸基に硫酸基を付加する硫酸基転移酵素である3’−ホスホアデノシン−5’−ホスホスルフェート:GalCerスルホトランスフェラーゼ〔EC2.8.2.11〕をヒト腎癌細胞株(SMKT−R3)より精製した〔ジャーナル オブ バイオケミストリー(Journal of Biochemistry) 、第119巻、第3号、第421−427頁(1996)〕。該硫酸基転移酵素は、ヒト腎癌組織又はその細胞株で高発現しており、腎癌における硫酸化糖脂質の蓄積と相関しており、癌との関連が示唆されるが、そのアミノ酸配列は決定されておらず、その遺伝子もクローニングされていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
これまでに知られている硫酸基転移酵素を工業的に有利に製造しようとする場合、天然に存在する該酵素の量が少なかったり、プロテアーゼやスルファターゼ等の他の酵素の混在の為、目的の硫酸基転移酵素を純粋な形で、簡便かつ大量に単離することは非常に困難であった。
【0009】
従って、硫酸基転移酵素遺伝子をクローニングし、遺伝子工学的手法を用いて、安価に高純度な硫酸基転移酵素を製造する方法が求められている。従来、硫酸基転移酵素遺伝子のクローニングについて前述のような報告があるが、その数は著しく少ない。また、基質特異性の異なる硫酸基転移酵素が多数存在するため、前述の報告の硫酸基転移酵素遺伝子配列を用いて他の基質特異性の異なる硫酸基転移酵素遺伝子を得ようとしても、基質特異性が異なる酵素間の遺伝子のホモロジーが低く、目的の硫酸基転移酵素遺伝子を得ることは困難である。ましてや、糖脂質糖鎖に働く硫酸基転移酵素のアミノ酸配列や遺伝子構造は全く不明であるため、該硫酸基転移酵素をクローニングし、遺伝子工学的に製造することは困難である。
【0010】
よって、本発明の第1の目的は、腎細胞に特徴的であり、特に腎癌細胞で高発現している、糖脂質糖鎖に働く硫酸基転移酵素遺伝子を提供することにある。本発明の第2の目的は、前記遺伝子を含む発現ベクターを導入した形質転換体を用いる遺伝子工学的に高純度の硫酸基転移酵素を製造する方法を提供することにある。本発明の第3の目的は、前記遺伝子がコードするポリペプチドを提供することにある。本発明の第4の目的は、本発明の遺伝子又はその一部に相補的なアンチセンスDNA及びアンチセンスRNAを提供することにある。本発明の第5の目的は、本発明の遺伝子に特異的にハイブリダイズする合成オリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーを提供することにある。本発明の第6の目的は、該ポリペプチドに特異的に結合する抗体又はその断片を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものである。糖脂質糖鎖に働く硫酸基転移酵素の塩基配列及びアミノ酸配列を明らかにする為、該硫酸基転移酵素を高発現するヒト腎癌細胞株SMKT−R3由来の硫酸基転移酵素について鋭意検討を重ねた結果、遂に該硫酸基転移酵素遺伝子の完全解明に成功した。更に該硫酸基転移酵素遺伝子を用いて、遺伝子工学的手法により工業的に有利で高純度な硫酸基転移酵素を簡便に製造することにも成功し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明の要旨は、
(1)配列表の配列番号:2に記載の塩基配列からなり、Galβ1−R(Galはガラクトース、Rは糖、脂質又は複合脂質を示す)で表される糖鎖に作用してGalのC−3位の水酸基に特異的に硫酸基を転移する硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドをコードする、単離された遺伝子、
)前記(1)記載の遺伝子とストリンジェントな条件下においてハイブリダイズすることができ、かつGalβ1−R(Galはガラクトース、Rは糖、脂質又は複合脂質を示す)で表される糖鎖に作用してGalのC−3位の水酸基に特異的に硫酸基を転移する硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子、
)前記(1)又は(2)記載の遺伝子を含んでなる組換えDNA、
)前記()記載の組換えDNAを挿入されてなる、微生物、動物細胞又は植物細胞を宿主細胞とする発現ベクター、
)前記()記載の発現ベクターを導入されてなる形質転換体、並びに
)前記()記載の形質転換体を培養し、該培養物より硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドを採取することを特徴とする、硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドの製造方法、に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本明細書において、「Galβ1−R(Galはガラクトース、Rは糖、脂質又は複合脂質を示す)で表される糖鎖に作用してGalのC−3位の水酸基に特異的に硫酸基を転移する硫酸基転移酵素活性を有する」(以下、硫酸基転移酵素活性を有すると略す場合がある)とは、下記に示すような作用および基質特異性を有する性質をいい、このような硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドとしては、下記の物理化学的性質を有するものが挙げられ、その一例がジャーナル オブ バイオケミストリー、 第119巻、第3号、第421−427頁(1996)に記載されている。
【0014】
1.作用
Galβ1−R(Galはガラクトース、Rは糖、脂質又は複合脂質を示す)で表される糖鎖に作用してGalのC−3位の水酸基に特異的に硫酸基を転移する。
【0015】
2.基質特異性
ガラクトシルセラミド(GalCer)、ラクトシルセラミド(LacCer)、ガラクトシル 1−アルキル−2−アシルグリセロール(GalAAG)、ガラクトシルジアシルグリセロール(GalDG)、グルコシルセラミド(GlcCer)、グロボテトラオシルセラミド(Gb4Cer)、ガングリオトリアオシルセラミド(Gg3Cer)、ガングリオテトラオシルセラミド(Gg4Cer)、ネオラクトテトラオシルセラミド(nLc4Cer)に反応し、グロボトリアオシルセラミド(Gb3Cer)、ガラクトース、ラクトースに反応しない。
【0016】
3.至適pH及び安定pH
至適pHは約7.0、安定pHは6.0〜8.0。
4.至適温度及び安定温度
至適温度は約37℃であり、80℃まで安定である。
5.分子量
SDS−PAGE(還元条件下)により約54kDaである。
【0017】
また、硫酸基転移酵素活性の測定方法としては、アナリティカル バイオケミストリー(Analytical Biochemistry) 、第182巻、第9−15頁(1989)に記載の方法を若干修正した方法が挙げられる。すなわち、5nmolのGalCer、0.5μmolのMnCl2 、1nmolの〔35S〕PAPS(100cpm/pmol)、0.5mgのLubrol PX、12.5nmolのジチオスレイトール、0.25μmolのNaF、0.1μmolのATP、20μgのBSA、および25mMのカコジル酸Na−HCl、pH6.5中の20ngの酵素タンパク質を含む反応混合液を、全量50μlに調製する。該混合液を37℃で30分間インキュベートした後、1mlのクロロホルム/メタノール/水(30:60:8)で反応を停止する。DEAE−セファデックスA−25を用いて反応生成物を単離し、液体シンチレーションカウンターを使用して放射活性を測定する。1ユニットの活性は、前記測定条件下で、1分間に1μmolの硫酸基を転移する酵素の量として定義する。該方法により測定した場合、1×10-7ミリユニット以上の活性を示すものを、硫酸基転移酵素活性を有するものと判定する。
【0018】
本発明において遺伝子とは、前記硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子又は該遺伝子を含む遺伝子である。具体的には配列表の配列番号:1に記載のアミノ酸配列又はその一部からなるポリペプチドをコードする遺伝子または配列表の配列番号:2に記載の塩基配列又はその一部からなる遺伝子が挙げられる。このように、配列番号:1に記載のアミノ酸配列の一部からなるポリペプチドをコードする遺伝子または配列番号:2に記載の塩基配列の一部からなる遺伝子であっても、硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子であるかぎり本発明の範囲内である。これらは、ヒト腎癌細胞SMKT−R3由来の3’−ホスホアデノシン−5’−ホスホスルフェート:GalCerスルホトランスフェラーゼ〔EC2.8.2.11〕の遺伝子であるが、本発明においてはこれらに限定されるものではなく、同様の硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子であるかぎりその他のヒト組織由来の遺伝子はもちろん、細菌類、酵母類、糸状菌類、子嚢菌類、担子菌類等の微生物由来の遺伝子、あるいは植物、動物由来の遺伝子も含まれる。さらに、機能的に同様の硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドをコードする、前記遺伝子の変異体が挙げられる。例えば、配列表の配列番号:1に記載のアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入又は置換されているポリペプチドをコードする遺伝子であっても、硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドをコードする限り、本発明の遺伝子に含まれる。このように天然から単離された遺伝子のみならず人為的に調製された遺伝子であっても硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子であるかぎり本発明に含まれる。
【0019】
また、本発明の遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができ、かつ硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子も本発明の遺伝子に含まれる。
【0020】
ここで、「ストリンジェントな条件下」とは、例えば以下の条件を言う。すなわち、0.5%SDS、5×デンハルツ[Denhardt's、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%フィコール400]及び100μg/mlサケ精子DNAを含む6×SSC(1×SSCは0.15M NaCl、0.015M クエン酸ナトリウム、pH7.0)中で、50℃で4時間〜一晩保温を行う条件を言う。
【0021】
本発明において、組換えDNAとは、遺伝子工学的手法により、本発明の遺伝子を含んで得られるDNAである。
【0022】
本発明において、発現ベクターとは、前記組換えDNAを挿入され、所望の宿主細胞で発現するように構築されたベクターである。また、後述のアンチセンスDNAを挿入したベクターも本発明の発現ベクターに含まれる。挿入されるベクターとしては、プラスミドベクター、ファージベクターいずれでも構わない。プラスミドベクターとしてはpUC18、pUC19、pBluescript、pT7などの市販品が好適に使用でき、ファージベクターとしては、λgt10、λgt11等のラムダファージベクターなどの市販品が好適に使用できるが、これらに限定されるものではない。宿主細胞としては、微生物、動物細胞又は植物細胞が挙げられ、用いる発現ベクターに応じて、適宜選ばれる。
【0023】
本発明において、形質転換体とは、前記発現ベクターを前記宿主細胞に導入されて得られた、本発明の遺伝子を発現する細胞である。
発現ベクターを導入する方法としては、例えば、モレキュラー クローニングア ラボラトリー マニュアル[Molecular Cloning, A Laboratory Manual、T.マニアティス(T. Maniatis) 他著、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory) 、1982年発行]、第249−254頁に記載の方法を用いることができる。次に、目的の遺伝子を発現する形質転換体を選択するためには、発現ベクターの特性を利用する。例えばプラスミドベクターがpBluescriptで、大腸菌を宿主細胞とする場合、アンピシリンを含むプレート上でアンピシリン耐性を有するコロニーを、あるいはアンピシリン、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド(X−Gal)及びイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を含むプレート上で、アンピシリン耐性を示し、かつ、白色を呈するコロニーを選択することにより外来遺伝子を導入されたコロニーを選別する。
【0024】
本発明は、本発明の遺伝子が発現され、該遺伝子がコードするポリペプチドが生産されるような条件下で前記形質転換体を培養することにより、該培養物から硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドを製造する方法を提供する。
【0025】
目的の硫酸基転移酵素の発現が認められた場合は、その形質転換体の培養における培地組成、培地のpH、培養温度、インデューサーの使用量・使用時期、培養時間等の条件が硫酸基転移酵素発現の最適条件を満たすように決定することにより、効率よく硫酸基転移酵素を生産させることができる。
【0026】
形質転換体の培養物から硫酸基転移酵素を精製するには、公知の方法が用いられる。形質転換体が大腸菌のように細胞内に発現産物を蓄積させる場合は、培養終了後遠心分離によって該形質転換体を集め、これを超音波処理などによって破砕した後、遠心分離等により、無細胞抽出液を得る。塩析あるいは、イオン交換、ゲル濾過、疎水、アフィニティーなどの各種クロマトグラフィー等の通常のタンパク質精製法により、該抽出液から目的の硫酸基転移酵素を精製することができる。用いる宿主−ベクター系によっては発現産物が形質転換体外に分泌される場合がある。この場合は培養上清から同様に精製を行えばよい。
【0027】
用いる宿主−ベクター系によっては、形質転換体中で発現されたポリペプチドが不溶物(封入体)として蓄積される場合がある。この場合は、この不溶物を回収し、穏和な条件、例えば、尿素等の変性剤で可溶化した後に、変性剤を除くことによって活性を回復させることができる。
【0028】
形質転換体が産生する外因性の硫酸基転移酵素は、宿主細胞内で内因性の種々の硫酸基転移酵素と共存するが、その量が内因性の硫酸基転移酵素の量に比べ過剰であるので、その精製は極めて容易である。また、硫酸基転移酵素が形質転換体外に分泌される場合は、培地成分等が共存するが、これらは通常硫酸基転移酵素の精製の妨げとなるようなタンパク質成分をほとんど含まないため、その精製には、SMKT−R3細胞からの硫酸基転移酵素の精製と比べ、煩雑な分離操作を必要としない利点がある。
【0029】
また、真核生物由来の硫酸基転移酵素の場合、酵素自身に糖鎖を有している可能性があり、宿主細胞として糖鎖生合成能力を持たない細胞、例えば、大腸菌、枯草菌、放線菌のような原核生物、あるいは酵母、真菌、動物細胞、昆虫細胞及び植物細胞の糖鎖生合成能力を失った変異細胞を用いることによって、糖鎖を持たない硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドを製造することができる。更に、酵素自身に糖鎖を付加させることも可能であり、この場合は、宿主細胞として、糖鎖生合成能力を有する細胞、例えば、酵母、真菌、動物細胞、昆虫細胞及び植物細胞を用いることによって、糖鎖を持つ硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドを製造することができる。
【0030】
本発明のポリペプチドとは、前記の本発明の遺伝子によりコードされ、かつ硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドであり、前記のような各種の物理化学的性質を有するものが挙げられる。具体的には、天然型の硫酸基転移酵素である配列番号:1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド又はその一部からなるポリペプチド、配列番号:1に記載のアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入又は置換されているポリペプチド等が挙げられる。
【0031】
本発明において、「アンチセンスDNA」及び「アンチセンスRNA」とは、本発明の硫酸基転移酵素遺伝子又はその一部と相補的な塩基配列を有し、内因性の硫酸基転移酵素遺伝子(ゲノムDNA及びmRNA)と2本鎖を形成することによって、該遺伝子からの遺伝子情報の発現(転写、翻訳)を抑制又は制御するものを言う。アンチセンスDNA又はアンチセンスRNAの長さは、塩基配列の特異性や細胞内に導入する方法に応じて変えることが可能である。アンチセンスDNA又はアンチセンスRNAは、合成機を用いて人工的に合成したり、通常と逆の向き(アンチセンスの向き)に遺伝子を発現させること等により、作製することが可能である。例えば、tat遺伝子[ヌクレイック アシドズ リサーチ(Nucleic Acids Research) 、第19巻、第3359−3368頁(1991)]、あるいはrev遺伝子[プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ USA(Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA)、第86巻、第4244−4248頁(1989)]のHIVの増殖抑制に関するもの等、アンチセンス技術は数多く知られており、従って、これらの方法により、本発明のアンチセンスDNA又はアンチセンスRNAを用いて、内因性の硫酸基転移酵素遺伝子の発現を抑制又は制御することが可能である。また、本発明のアンチセンスDNA又はアンチセンスRNAは、in situ ハイブリダイゼーション等の研究試薬として利用可能である。
【0032】
本発明において、合成オリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーとは、前記遺伝子に特異的にハイブリダイズするものである。該オリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーは、通常、合成機を用いて人工的に合成したり、PCR法により作製することができる。
【0033】
本発明において、抗体又はその断片とは、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体又はその断片であれば、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のいずれでも構わない。本発明の抗体は、例えば、カレント プロトコルズ イン イムノロジー〔Current Protocols in Immunology 、ジョン E.コリガン(John E.Coligan) 編集、ジョン ウィリー&ソンズ(John Wiley & Sons, Inc.)、1992年発行〕に記載の方法により、本発明のポリペプチドの全部又は一部を用いてウサギやマウス等を免疫することにより、容易に作製され得る。これらの抗体を精製後、ペプチダーゼ等により処理することにより、抗体の断片が得られる。得られた抗体又はその断片の用途としては、アフィニティークロマトグラフィー、cDNAライブラリーのスクリーニング、医薬・診断薬・研究用試薬等が挙げられる。
【0034】
次に、ウロロジカル リサーチ(Urological Research )、第17巻、第317−324頁(1989)記載のヒト腎癌細胞SMKT−R3を用い、該SMKT−R3細胞由来の硫酸基転移酵素を一例にして、本発明について更に詳しく説明する。
まず、本発明の硫酸基転移酵素は、ジャーナル オブ バイオケミストリー、第119巻、第3号、第421−427頁(1996)に記載の方法に従って、SMKT−R3細胞を大量に培養し、ついでその培養細胞から硫酸基転移酵素を単離精製する。具体的には、以下の方法が挙げられる。
【0035】
EGFで処理したSMKT−R3細胞(約1×1010個)を集め、PBSで洗浄後、使用するまで−80℃で保存する。約2.5×109 個の細胞を融解し、細胞と等容量のTBSに懸濁し、ポッター型ホモジナイザーで短時間でホモジナイズする。ホモジネートに等容量の2×溶解緩衝液(50mM Tris−HCl、pH7.4、10mM MgCl2 、2mMβ−メルカプトエタノール、2%LubrolPX、40%グリセロール、0.5mM PMSFおよび0.02mM E−64)を加え、氷上で10分間超音波処理する。遠心分離後、得られる上清をバッファーA(10mMトリエタノールアミン−HCl、pH7.0、10%グリセロールおよび5mM MnCl2 )に対して透析する。
【0036】
透析した材料を遠心分離して、透析中に生じた沈殿物を除去する。上清をDE−52カラムにアプライし、バッファーB(10mMトリエタノールアミン−HCl、pH7.0、0.05%LubrolPX、10%グリセロールおよび5mM MnCl2 )で予め平衡化させておいたヘパリン−セファロースCL6Bカラムに、直接出口を接続させる。次いで、溶出液の280nmにおける吸光度が0.02未満になるまで、バッファーBでカラムを洗浄する。DE−52カラムの接続を外した後、ヘパリン−セファロースCL6Bカラム上の酵素を、0.2MのNaClを含むバッファーC(20mMトリエタノールアミン−HCl、pH7.0、0.1%LubrolPX、20%グリセロールおよび10mM MnCl2 )で溶出する。
【0037】
ヘパリン−セファロースクロマトグラフィーの酵素活性画分をプールし、バッファーBに対して透析する。透析液を、予めバッファーBで平衡化させておいたガラクトシルスフィンゴシン(GalSph)−セファロースカラムにアプライする。次いで、溶出液が実質的にタンパク質を含まなくなるまで、バッファーBでカラムを洗浄し、0.1MのNaClを含むバッファーCで、硫酸基転移酵素を溶出させる。
【0038】
GalSph−セファロースカラムの溶出画分をプールし、10%グリセロールを含む10mMトリエタノールアミン−HCl(pH7.0)に対して透析する。予めバッファーD(10mMトリエタノールアミン−HCl、pH7.0、0.05%LubrolPXおよび10%グリセロール)で平衡化させておいたHiTrap 3’,5’−ビスホスホアデノシン(PAP)カラムに直接接続したピリドキサル5’−ホスフェート(PLP)−セファロースカラムに、透析液をアプライする。溶出液が実質的にタンパク質を含まなくなるまで、バッファーDとバッファーBで連続してカラムを洗浄し、バッファーD中0〜0.3mMのPAPの直線グラジエントで、硫酸基転移酵素を溶出させる。
【0039】
HiTrap PAPクロマトグラフィーの酵素活性画分をプールし、予めバッファーDで平衡化させておいた第2のヘパリン−セファロースカラムクロマトグラフィーに直接供する。バッファーDでカラムを洗浄後、0.3MのNaClを含むバッファーCで、0.3mlの画分で本発明の硫酸基転移酵素を溶出させる。この工程により、酵素調製品は初期体積の約1/5に濃縮される。前記クロマトグラフィー由来の酵素調製品に含まれるPAPは、フロースルー画分に回収される。精製酵素活性画分をプールし、20%のグリセロールの存在下、−80℃で保存される。
【0040】
次に、精製された硫酸基転移酵素について、その部分アミノ酸配列に関する情報を得る。部分アミノ酸配列を決定するには、例えば、精製硫酸基転移酵素を直接常法に従ってエドマン分解法[ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、第256巻、第7990−7997頁(1981)]によるアミノ酸配列分析[プロテインシーケンサ476A、アプライド バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製]に供することにより、硫酸基転移酵素のN末端アミノ酸配列の10〜20残基を決定する。あるいは特異性の高いタンパク質加水分解酵素、例えば、アクロモバクター(Achromobacter )由来プロテアーゼI、N−トシル−L−フェニルアラニルクロロメチルケトン(TPCK)−トリプシン等を作用させて限定加水分解を行い、得られたペプチド断片を逆相HPLCを用いて分離精製した後、精製ペプチド断片についてアミノ酸配列分析を行うのが効果的である。
【0041】
本発明においては、P1(配列番号:3)、P2(配列番号:4)、P3(配列番号:5)、P4(配列番号:11)、P5(配列番号:12)、P6(配列番号:13)及びP7(配列番号:14)の7つのペプチド断片のアミノ酸配列が決定される。
【0042】
こうして得られる部分アミノ酸配列に基づき、本発明の硫酸基転移酵素遺伝子をクローニングする。そのためには、一般的に用いられるPCR法又はハイブリダイーゼーション法を利用する。PCR法は、PCRテクノロジー[PCR Technology、エルリッヒ HA(Erhich HA) 編集、ストックトン プレス(Stockton Press)社、1989年発行]に記載の方法に準じて行うことができる。ハイブリダイーゼーション法は、例えばモレキュラー クローニング ア ラボラトリー マニュアル( 第2版、T.マニアティス他著、コールド スプリング ハーバーラボラトリー プレス社、1989年発行) に記載の方法に準じて行うことができる。
【0043】
しかしながら、本発明の硫酸基転移酵素遺伝子は、以下のような混合プライマー(配列番号:22〜27)を用いるPCR法(MOPAC法)、イノシンを含む混合プライマー(配列番号:28〜33)を用いるMOPAC法及び合成オリゴヌクレオチド(配列番号:22、24)を用いるハイブリダイゼーション法を試みたが、クローニングすることができなかった。
【0044】
1)混合プライマーを用いるPCR法(MOPAC法)
この方法は、決定されたアミノ酸配列のうち縮重性の低い領域を2カ所選択し、縮重コドンに対して可能性のある全ての塩基配列の組み合わせを合成し、混合プライマーとしPCRを行い、目的のDNA断片を増幅するクローニング方法である。
この方法により、尿酸酸化酵素をコードする遺伝子はクローニングされている〔サイエンス、第239巻、第1288−1291頁(1988)〕。
本発明者らもこの方法に従って、本発明の硫酸基転移酵素の取得を試みた。
【0045】
部分アミノ酸配列P1(配列番号:3)から合成オリゴヌクレオチドS1(配列番号:22)と合成オリゴヌクレオチドA1(配列番号:23)を、部分アミノ酸配列P2(配列番号:4)から合成オリゴヌクレオチドS2(配列番号:24)と合成オリゴヌクレオチドA2(配列番号:25)を、部分アミノ酸配列P3(配列番号:5)から合成オリゴヌクレオチドS3(配列番号:26)と合成オリゴヌクレオチドA3(配列番号:27)をそれぞれ合成し、これらを混合プライマーとして用い、SMKT−R3細胞cDNAを鋳型としたPCRを常法に従い行った。
【0046】
得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動で分離した結果、複数のDNA断片が増幅されたので、それぞれ別々にゲルから切り出し、抽出し、プラスミドベクターに組み込んだ後、塩基配列を常法(ジデオキシ チェーン ターミネーター法)に従い決定したが、混合プライマーとして用いた合成オリゴヌクレオチドの塩基配列以外に目的の硫酸基転移酵素遺伝子と考えられる配列は見出すことができなかった。
【0047】
2)イノシンを用いるMOPAC法
1)と方法はほぼ類似しているが、混合プライマーの組み合わせ数を減少させるため、縮重性の高いコドンの3番目をイノシンに置換したプライマーを用いる〔ヌクレイック アシドズ リサーチ、第16巻、第22号、第10932頁(1988)〕。
【0048】
部分アミノ酸配列P1(配列番号:3)から合成オリゴヌクレオチドSI1(配列番号:28)と合成オリゴヌクレオチドAI1(配列番号:29)を、部分アミノ酸配列P2(配列番号:4)から合成オリゴヌクレオチドSI2(配列番号:30)と合成オリゴヌクレオチドAI2(配列番号:31)を、部分アミノ酸配列P3(配列番号:5)から合成オリゴヌクレオチドSI3(配列番号:32)と合成オリゴヌクレオチドAI3(配列番号:33)をそれぞれ合成し、これらをイノシン含有混合プライマーとして用い、SMKT−R3細胞cDNAを鋳型としたPCRを常法に従い行った。
【0049】
得られたPCR産物の塩基配列を上述の方法と同様に決定したが、イノシン含有混合プライマーとして用いた合成オリゴヌクレオチドの塩基配列以外に目的の遺伝子と考えられる配列は見出すことができなかった。
【0050】
3)合成オリゴヌクレオチドを用いたハイブリダイゼーション法
アミノ酸配列の情報をもとに、常法に従って合成オリゴヌクレオチドをデザインし、ハイブリダイゼーションによって目的のDNAをクローニングする方法も一般的に用いられる。本発明者らもこの方法に従って本発明の硫酸基転移酵素遺伝子の検出を試みた。
【0051】
部分アミノ酸配列P1(配列番号:3)から合成オリゴヌクレオチドS1(配列番号:22)を、部分アミノ酸配列P2(配列番号:4)から合成オリゴヌクレオチドS2(配列番号:24)を合成し、プラークハイブリダイゼーション用のプローブとして用いた。SMKT−R3細胞cDNAを、常法に従いファージベクターに組み込んでcDNAライブラリーを作製した。このcDNAライブラリーをプレートにまき、得られたプラークをナイロン膜にブロッティングした。ハイブリダイゼーションは一般的に用いられる条件で行った。
【0052】
その結果、プローブとして用いた合成オリゴヌクレオチドS1及びS2のどちらの場合にも複数の陽性プラークが検出されたが、これら陽性プラークのファージベクターに挿入されたDNA断片の塩基配列を常法に従い決定したところ、プローブとして用いた合成オリゴヌクレオチドの塩基配列にホモロジーを示す配列は得られたが、ファージベクターに挿入されたDNA断片の塩基配列から決定したアミノ酸配列は上記の部分アミノ酸配列とのホモロジーはなく、目的の硫酸基転移酵素遺伝子と考えられる配列を見出すことができなかった。
【0053】
以上に述べたように、SMKT−R3細胞cDNAから本発明の硫酸基転移酵素遺伝子をクローニングすることは非常に難しい。硫酸基転移酵素遺伝子はG+C含量が高いため二次構造を取りやすく、それゆえポリメラーゼ反応の進行が阻害されたり非特異的なアニーリングが起こるなどして、PCR法において非特異的DNA断片の増幅が起こる可能性が考えられる。本発明者らはこれらの点を考慮し鋭意検討を重ねた結果、アミノ酸配列の判明している一つのペプチド断片に対応する短い遺伝子断片をPCR法で増幅することにした。
【0054】
PCR法のプライマーとしては、混合プライマーの組合わせ数を減らすためにイノシンを用いるとともに、アミノ酸のロイシンに対しては使用頻度の高いコドンを採用し、セリンに対するコドンの組合わせを複数用意することにより塩基配列の縮重性を減少させたものを合成するのが好ましい。これにより、初めて本発明の硫酸基転移酵素遺伝子の一部を増幅することが可能となる。次に、この増幅されたPCR産物をプローブとして、サザンハイブリダイゼーションを行うことにより、非特異的DNA断片の中から目的の硫酸基転移酵素遺伝子由来のDNA断片を見出すことに成功したのである。
【0055】
以下、より詳細に説明すれば、PCR法のプライマーとして新たに部分アミノ酸配列P1(配列番号:3)から合成オリゴヌクレオチド1Sd(配列番号:6)と合成オリゴヌクレオチド1A(配列番号:7)をそれぞれ合成し、SMKT−R3細胞cDNAを鋳型としてPCRを行う。
【0056】
得られたPCR産物の塩基配列を、例えばジデオキシ チェーン ターミネーター法[プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ USA、第74巻、第12号、第5463−5467頁(1977)]により決定したところ、部分アミノ酸配列P1をコードする配列が見出され、目的の硫酸基転移酵素遺伝子の一部が得られる。この塩基配列を基に合成オリゴヌクレオチドOP1(配列番号:8)を合成し、この合成オリゴヌクレオチドOP1を常法に従い3’−末端標識し、ハイブリダイゼーション用のプローブとする。
【0057】
また、PCR法のプライマーとして新たに部分アミノ酸配列P2(配列番号:4)から合成オリゴヌクレオチド2Sa(配列番号:9)と部分アミノ酸配列P3(配列番号:5)から合成オリゴヌクレオチド3A(配列番号:10)をそれぞれ合成して、SMKT−R3細胞cDNAを鋳型としたPCRを行う。
【0058】
得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動で分離後、常法に従いナイロン膜にブロッティングし(モレキュラー クローニング ア ラボラトリー マニュアル、第2版、T.マニアティス他著、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス社、1989年発行)、3’−末端標識合成オリゴヌクレオチドOP1を用いたハイブリダイゼーションを行う。ハイブリダイゼーションは、前記したように、ストリンジェントな条件下で行い、標識に応じた検出法を用いて、該プローブとハイブリダイズするDNA断片を検出する。
【0059】
その結果、約600bpの位置に合成オリゴヌクレオチドOP1とハイブリダイズするバンドを得る。この断片の塩基配列を前記したように決定したところ、硫酸基転移酵素の部分アミノ酸配列P1(配列番号:3)と部分アミノ酸配列P4(配列番号:11)に対応する配列が見出され、目的の硫酸基転移酵素遺伝子の一部を取得したことを確認する。
【0060】
一方、SMKT−R3細胞由来のcDNAライブラリーを作製する。cDNAライブラリーの作製法は、モレキュラー クローニング ア ラボラトリー マニュアル、第2版(T.マニアティス他著、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー プレス社、1989年発行)、第8章に記載の方法を用いることができる。
【0061】
更に、前記約600bpのDNA断片をプローブにして、前記SMKT−R3細胞由来のcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、硫酸基転移酵素全長をコードする遺伝子をクローニングすることができる。また、SMKT−R3細胞由来のゲノムDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、本発明の硫酸基転移酵素のゲノムDNAを得ることも可能である。
【0062】
以上のようにして得られる、ヒト腎癌細胞SMKT−R3細胞の産生する硫酸基転移酵素遺伝子の全塩基配列は、配列表の配列番号:2に記載したものであり、これからコードされる全アミノ酸配列は配列表の配列番号:1に記載したものである。また、このアミノ酸配列及び塩基配列と公知の基質特異性の異なる硫酸基転移酵素遺伝子とはホモロジーはなく、全く新しい配列である。
【0063】
本発明により硫酸基転移酵素遺伝子の全塩基配列が明らかになったことで、本発明の硫酸基転移酵素遺伝子の全体あるいは一部分をハイブリダイゼーション用のプローブとして用いて、SMKT−R3細胞以外の生物体由来のゲノムDNAもしくはcDNA、又はゲノムDNAライブラリーもしくはcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、本発明の硫酸基転移酵素遺伝子と相同性の高いDNAをクローニングすることができる。
【0064】
また、本発明の硫酸基転移酵素の塩基配列に基づき、PCR用のプライマーをデザインすることができる。このプライマーを用いて、SMKT−R3細胞以外の生物体由来のゲノムDNAもしくはcDNA、又はゲノムDNAライブラリーもしくはcDNAライブラリーから、本発明の硫酸基転移酵素遺伝子と相同性の高いDNA断片を検出したり、さらにはその全長の遺伝子を得ることもできる。
【0065】
得られた遺伝子が目的の硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子であるかどうかを確認するには、決定された塩基配列を本発明の硫酸基転移酵素の塩基配列又はアミノ酸配列と比較してその相同性から推定することもできる。さらに、前記の測定方法により硫酸基転移酵素活性を測定し、1×10-7ミリユニット以上の活性を示すものを本発明のポリペプチドをコードする遺伝子として判定する。
【0066】
同様の硫酸基転移酵素活性を有する機能的同等物を製造するには、例えば、次の方法が挙げられる。本発明の硫酸基転移酵素遺伝子群を用いて、ランダム変異あるいは部位特異的変異を導入することにより、天然の硫酸基転移酵素のアミノ酸配列中に、1個又は数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入又は置換を生じさせる遺伝子が得られる。これにより、天然の硫酸基転移酵素と同様の活性を有するが、至適温度、安定温度、至適pH、安定pH等の性質が少し異なった硫酸基転移酵素をコードする遺伝子を得ることが可能であり、遺伝子工学的にこれらの硫酸基転移酵素を製造することが可能である。
【0067】
ランダム変異を導入する方法としては、例えば、DNAを化学的に処理する方法として、亜硫酸水素ナトリウムを作用させシトシン塩基をウラシル塩基に変換するトランジション変異を起こさせる方法[プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ USA、第79巻、第1408−1412頁(1982)]、生化学的方法として、[α−S]dNTP存在下で2本鎖を合成する過程で塩基置換を生じさせる方法[ジーン(Gene)、第64巻、第313−319頁(1988)]、PCRを用いる方法として、反応系にマンガンを加えてPCRを行い、ヌクレオチドの取込の正確さを低くする方法[アナリティカル バイオケミストリー、第224巻、第347−353頁(1995)]等が知られている。
【0068】
部位特異的変異を導入する方法としては、例えば、アンバー変異を利用する方法[ギャップド デュプレックス(gapped duplex)法、ヌクレイック アシドズリサーチ、第12巻、第24号、第9441−9456頁(1984)]、制限酵素部位を利用する方法[アナリティカル バイオケミストリー、第200巻、第81−88頁(1992)、ジーン、第102巻、第67−70頁(1991)]、dut(dUTPase )とung(ウラシルDNAグリコシラーゼ)変異を利用する方法[クンケル(Kunkel) 法、プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ USA、第82巻、第488−492頁(1985)]、DNAポリメラーゼ及びDNAリガーゼを用いたアンバー変異を利用する方法[オリゴヌクレオチド−ダイレクティッド デュアル アンバー(Oligonucleotide-directed Dual Amber 、ODA)法、ジーン、第152巻、第271−275頁(1995)]、制限酵素の認識部位を付加した2種類の変異導入用プライマーを用いたPCRによる方法(USP 5,512,463)等が知られている。
【0069】
また、市販されているキットを使用することにより、部位特異的変異を容易に導入することができる。市販のキットとしては、例えば、ギャップド デュプレックス法を用いたミュータン−G(Mutan R -G、宝酒造社製)、クンケル法を用いたミュータン−K(Mutan R -K、宝酒造社製)、ODA法を用いたミュータン−エキスプレス Km(Mutan R -Express Km 、宝酒造社製)、変異導入用プライマーとピロコッカス フリオサス(Pyrococcus furiosus )由来DNAポリメラーゼを用いたクイックチェンジ サイト−ダイレクティッド ミュータジェネシス キット[QuikChangeTM Site-directed Mutagenesis Kit、ストラタジーン(STRATAGENE)社製]等があり、更に、PCR法を利用する方法として、TaKaRa LA−PCR イン ビトロ ミュータジェネシス キット(TaKaRa LA-PCR in vitro Mutagenesis Kit、宝酒造社製)、ミュータン−スーパー エキスプレス Km(Mutan R -Super Express Km 、宝酒造社製)等が挙げられる。
【0070】
このように、本発明により、ヒト腎癌細胞SMKT−R3由来の硫酸基転移酵素の一次構造及び遺伝子構造が提供される。更に、硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドの安価で高純度な遺伝子工学的な製造方法が可能となる。
また、本発明の硫酸基転移酵素遺伝子に特異的にハイブリダイズする合成オリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーは、本発明の硫酸基転移酵素遺伝子の検索、検出や増幅等に有用である。本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体又はその断片は、本発明の硫酸基転移酵素の検索、検出や精製等において有用である。
【0071】
なお、本発明の硫酸基転移酵素遺伝子を用いて遺伝子工学的に製造した本発明の組換え硫酸基転移酵素の至適pH、至適温度、pH安定性、および熱安定性は、以下に示すように天然の硫酸基転移酵素〔ジャーナル オブ バイオケミストリー、 第119巻、第3号、第421−427頁(1996)〕とほぼ同様の結果が得られている。
【0072】
(1)至適pH
本発明の組換え硫酸基転移酵素の至適pHは、図1に示すように6〜8付近に高い活性を有している。
(2)至適温度
本発明の組換え硫酸基転移酵素の至適温度は、図2に示すように約40℃付近で最大活性を示す。
(3)pH安定性
本発明の組換え硫酸基転移酵素のpH安定性は、図3に示すようにpH6〜10の範囲で安定である。
(4)熱安定性
本発明の組換え硫酸基転移酵素の熱安定性は、図4に示すように30℃では安定であるが、40℃、30分間の処理で85%の活性が失われる。
【0073】
【実施例】
以下、実験例、実施例を挙げて本発明を具体的に示すが、本発明は以下の実施例等になんら限定されるものではない。
【0074】
実験例1.SMKT−R3細胞からの硫酸基転移酵素の精製
50ng/mlのEGFで12〜24時間処理したSMKT−R3細胞(約1×1010個)を集め、PBSで洗浄後、使用するまで−80℃で保存した。2.5×109 個の細胞を融解し、細胞と等容量のTBSに懸濁し、ポッター型ホモジナイザーで短時間でホモジナイズした。ホモジネートに等容量の2×溶解緩衝液(50mM Tris−HCl、pH7.4、10mM MgCl2 、2mMβ−メルカプトエタノール、2%LubrolPX、40%グリセロール、0.5mM PMSFおよび0.02mM E−64)を加え、氷上で10分間超音波処理した。100,000×gで1時間遠心分離後、得られる上清をバッファーA(10mMトリエタノールアミン−HCl、pH7.0、10%グリセロールおよび5mM MnCl2 )に対して透析した。
【0075】
透析した材料を10,000×gで30分間遠心分離して、透析中に生じた沈殿物を除去した。上清をDE−52カラム[ 3×20cm、ワットマン(Whatman) 社製] にアプライし、バッファーB(10mMトリエタノールアミン−HCl、pH7.0、0.05%LubrolPX、10%グリセロールおよび5mMMnCl2 )で予め平衡化させておいたヘパリン−セファロースCL6Bカラム [2×10cm、ファルマシア バイオテク(Pharmacia Biotech) 社製] に、直接出口を接続させた。次いで、溶出液の280nmにおける吸光度が0.02未満になるまで、40ml/hの流速でバッファーBでカラムを洗浄した。DE−52カラムの接続を外した後、ヘパリン−セファロースCL6Bカラム上の酵素を、0.2MのNaClを含むバッファーC(20mMトリエタノールアミン−HCl、pH7.0、0.1%LubrolPX、20%グリセロールおよび10mM MnCl2 )で溶出した。
【0076】
ヘパリン−セファロースクロマトグラフィーの酵素活性画分をプールし、バッファーBに対して透析した。透析液を、予めバッファーBで平衡化させておいたガラクトシルスフィンゴシン(GalSph)−セファロースカラム(1×10cm、ファルマシア バイオテク社製)に5ml/hの流速でアプライした。次いで、溶出液が実質的にタンパク質を含まなくなるまで、バッファーBでカラムを洗浄し、0.1MのNaClを含むバッファーCで、硫酸基転移酵素を溶出させた。
【0077】
GalSph−セファロースカラムの溶出画分をプールし、10%グリセロールを含む10mMトリエタノールアミン−HCl(pH7.0)に対して透析した。予めバッファーD(10mMトリエタノールアミン−HCl、pH7.0、0.05%LubrolPXおよび10%グリセロール)で平衡化させておいたHiTrap 3’,5’−ビスホスホアデノシン(PAP)カラム(5mlのベッド体積、ファルマシア バイオテク社製)に直接接続したピリドキサル5’−ホスフェート(PLP)−セファロースカラム(1×10cm、ファルマシアバイオテク社製)に、透析液を5ml/hの流速でアプライした。溶出液が実質的にタンパク質を含まなくなるまで、バッファーDとバッファーBで連続してカラムを洗浄し、バッファーD中0〜0.3mMのPAPの直線グラジエントで、硫酸基転移酵素を溶出させた。
【0078】
HiTrap PAPクロマトグラフィーの酵素活性画分をプールし、予めバッファーDで平衡化させておいた第2のヘパリン−セファロースカラムクロマトグラフィー(0.3mlのベッド体積)に直接供した。バッファーDでカラムを洗浄後、0.3MのNaClを含むバッファーCで、0.3mlの画分で本発明の硫酸基転移酵素を溶出させた。この工程により、酵素調製品は初期体積の約1/5に濃縮された。前記クロマトグラフィー由来の酵素調製品に含まれるPAPは、フロースルー画分に回収された。精製酵素活性画分をプールし、20%のグリセロールの存在下、−80℃で保存した。得られた精製酵素の活性を、実験例2に記載の方法により測定したところ、1.2ユニット/mgであった。
【0079】
実験例2.精製硫酸基転移酵素の作用、基質特異性、物理化学的性質の検討
アナリティカル バイオケミストリー、第182巻、第9−15頁(1989)に記載の方法を若干修正して、実験例1で得られた本発明の精製硫酸基転移酵素の活性を測定した。すなわち、5nmolのGalCer、0.5μmolのMnCl2 、1nmolの〔35S〕PAPS(100cpm/pmol)、0.5mgのLubrol PX、12.5nmolのジチオスレイトール、0.25μmolのNaF、0.1μmolのATP、20μgのBSA、および25mMのカコジル酸Na−HCl、pH6.5中の20ngの酵素タンパク質を含む反応混合液を、全量50μlに調製した。また、基質特異性を調べるために、5nmolのGalCerの代わりに25nmolの種々の基質を受容体として用いた。37℃で30分間インキュベートした後、1mlのクロロホルム/メタノール/水(30:60:8)で反応を停止した。DEAE−セファデックスA−25を用いて反応生成物を単離し、液体シンチレーションカウンターを使用して放射活性を測定した。受容体を欠いた前記反応混合液を用いて得られたブランク値に対して、測定値を補正した。1ユニットの活性は、前記測定条件下で、1分間に1μmolの硫酸基を転移する酵素の量として定義した。
【0080】
【表1】
Figure 0004063359
【0081】
表1より、本発明の精製硫酸基転移酵素は、GalCerを最良の基質とし、LacCerを第2位の基質とした。GalAAGおよびGalDGも基質として用いられる。また、本発明の精製硫酸基転移酵素は、GalCerと比べて10%未満の比活性であるけれども、GlcCer、Gb4Cer、Gg3Cer、Gg4CerおよびnLc4Cerに対しても作用した。しかし、Gb3Cerには、作用しなかった。
【0082】
本発明の精製硫酸基転移酵素の他の性質としては、0.1Mまでの濃度のNaClにより、硫酸基転移活性が増強されたが、0.1Mを越える濃度では活性を阻害した。Km 値は、GalCerおよびPAPSに対して、それぞれ、27μM、25μMであった。また、pH6.5〜7.0の間で、本発明の精製硫酸基転移酵素は最大活性を示した。また、20%グリセリンの存在下で−80℃で保存した場合、少なくとも3ヶ月間は失活を認めなかった。
【0083】
Laemmli の方法〔ネイチャー(Nature) 、第227巻、第680−685頁(1970)〕により、本発明の精製硫酸基転移酵素をSDS−PAGEに付した。5%β−メルカプトエタノールを含むサンプルバッファー中で処理した場合に(還元条件下)、約54kDaの分子量を有する単一のバンドが得られた。
【0084】
実施例1.硫酸基転移酵素遺伝子のクローニング
(1)cDNAライブラリーの作製
前記SMKT−R3細胞株[ウロロジカル リサーチ、第17巻、第317−324頁(1989)]より全RNAを抽出[アナリティカル バイオケミストリー、第162巻、第156−159頁(1987)]し、ポリ(A)+ RNAをオリゴテックス−dT30(OligotexTM-dT30 、宝酒造社製)を用いて精製した。精製したポリ(A)+ RNAから、スーパースクリプト チョイス システム[SUPERSCRIPT TM Choice System、ライフ テクノロジーズ(Life Technologies) 社製]を用いて2本鎖cDNAを合成した。得られた2本鎖cDNAにEco R I アダプター(ライフテクノロジーズ社製)を結合させたcDNA断片と、制限酵素Eco RIで消化したλgt10ファージベクター(ファルマシア バイオテク社製)とをライゲーションを行い、その後、レディ−トゥ−ゴー ラムダ パッケージング キット[Ready-To-Go TM Lambda Packaging Kit 、ファルマシアバイオテク社製] を用いてイン ビトロでパッケージングを行い、SMKT−R3細胞株由来のλgt10cDNAライブラリーとした。
【0085】
(2)硫酸基転移酵素の部分アミノ酸配列の決定
実験例1で精製した硫酸基転移酵素10μgを6M塩酸グアニジウムを含む1mMEDTA溶液(1ml)に溶解させ、2−メルカプトエタノールを2μl加え、窒素封入し、37℃、2時間保温し還元した。その後、4−ビニルピリジンを10μl加え、窒素封入し、37℃、2時間保温することにより、S−ピリジルエチル化を行った。
【0086】
こうして得られたピリジルエチル化酵素タンパク質を逆相HPLC(RP−HPLC)[システム:Waters625LC、ミリポア(Millipore) 社製、カラム:コスモシール(Cosmosil)5C4−AR−300、4.6×50mm、ナカライテスク社製、流速:0.4ml/分、溶出液A:0.1%トリフルオロ酢酸溶液(TFA)、溶出液B:0.1%TFAを含む70%アセトニトリル、溶出:サンプルアプライ時は溶出液Bの割合を0%に、その後、55分間で溶出液の割合を70%にまで直線的に上げた]に供すことにより、精製した。
【0087】
精製したS−ピリジルエチル化酵素タンパク質(約2μg/ml)を、3M尿素を含む0.1Mトリス−塩酸緩衝液(pH9.0)400μlに溶解し、0.3μgのリジルエンドペプチダーゼ(和光純薬工業社製)で、37℃、12時間消化した。
【0088】
得られた消化物からペプチド断片をRP−HPLC[システム:モデル130A、アプライド バイオシステムズ社製、カラム:OD−300C,アクアポア(Aquapore)、7μm、1.0×250mm、アプライド バイオシステムズ社製、流速:0.1ml/分、溶出液A:0.1%TFA溶液、溶出液B:0.1%TFAを含む70%アセトニトリル、溶出:サンプルアプライ時は溶出液Bの割合を0%に、その後、85分間で溶出液の割合を70%にまで直線的に上げた]により、分離精製した。
【0089】
分離したペプチド断片を常法に従って気相エドマン分解法によるアミノ酸配列分析(プロテイン シークエンサー モデル492、アプライド バイオシステムズ社製)に供して、部分アミノ酸配列P1(配列番号:3)、P2(配列番号:4)、P3(配列番号:5)、P4(配列番号:11)、P5(配列番号:12)、P6(配列番号:13)、P7(配列番号:14)を決定した。
【0090】
(3)プライマーの合成
前記(2)で決定した部分アミノ酸配列P1(配列番号:3)から合成ヌクレオチド1Sa(配列番号:15)、1Sb(配列番号:16)、1Sc(配列番号:17)、1Sd(配列番号:6)、1A(配列番号:7)を、部分アミノ酸配列P2(配列番号:4)から合成ヌクレオチド2Sa(配列番号:9)、2Sb(配列番号:18)、2Aa(配列番号:19)、2Ab(配列番号:20)を、部分アミノ酸配列P3(配列番号:5)から合成ヌクレオチド3S(配列番号:21)、3A(配列番号:10)をそれぞれ合成し(DNAシンセサイザ モデル392、アプライド バイオシステムズ社製)、合成ヌクレオチドプライマーとした。
【0091】
合成オリゴヌクレオチドプライマー1Sa、1Sb、1Sc、1Sd、2Sa、2Sb、3Sはセンス方向のプライマーであり、合成オリゴヌクレオチドプライマー1A、2Aa、2Ab、2A、3Aはアンチセンス方向のプライマーである。
【0092】
ハイブリダイゼーションの際にプライマーが相互結合をすることを防ぐ目的で、全てのオリゴヌクレオチドの合成においてはデオキシイノシンによる塩基置換を行った。デオキシイノシン置換はコドンの重なりが2よりも多いアミノ酸残基部分について行った。また、セリン残基をコードする部分についてはTCXとAG(T/C)の2 種のうちいずれかのコドンを有するオリゴヌクレオチドの組合せを用意した。
【0093】
(4)RT−PCR法による硫酸化転移酵素遺伝子の検索
全液量20μl中、SMKT−R3細胞より抽出したポリ(A)+ RNA2μg、40pmolのオリゴ(dT)12-18 プライマー(ライフ テクノロジーズ社製)、各0.25mMのdNTP、50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.3)、75mM塩化カリウム、3mM塩化マグネシウム、10mMジチオスレイトール、モロニーマウス白血病ウイルス由来逆転写酵素[スーパースクリプトIIRNaseH- 逆転写酵素(SUPERSCRIPT TMII RNase H- Reverse Transcriptase)、ライフ テクノロジーズ社製] 200ユニットを含む反応系で、37℃、1時間、逆転写反応を行った。この反応液の内4μlを鋳型とし、前記各100pmolの合成オリゴヌクレオチドプライマー(センス方向プライマーとアンチセンス方向プライマー)と各0.25mMのdNTP混合液、10mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.3)、50mM塩化カリウム、1.5mM塩化マグネシウム、Taq DNAポリメラーゼ〔パーキン エルマー(Perkin Elmer)社製〕1.25ユニットを含む全液量50μlの反応系でPCR反応を行った(RT−PCR)。反応条件は、94℃で30秒間(変性)、45〜55℃で30秒間(プライマーのアニーリング)、72℃で1〜2分間(合成反応)のサイクルを35サイクル行った。
【0094】
このPCR反応後の反応液全量を2%アガロースゲル電気泳動を行った後、ゲルからDNA断片を切り出し、pT7Blueベクター[ ノバジェン(Novagen) 社製] を用いてサブクローニングを行った。これらのDNA断片の塩基配列をTaq DNAポリメラーゼを用いたジデオキシ チェーン ターミネーター法〔ダイ ターミネーター サイクル シークエンシング キット(Dye Terminator Cycle Sequencing Kit) 、パーキン エルマー社製、DNAシークエンサー モデル373A、アプライド バイオシステムズ社製〕で決定した。
【0095】
初めに4種のセンス方向の合成オリゴヌクレオチドプライマー1Sa、1Sb、1Sc、1Sdとアンチセンス方向の合成オリゴヌクレオチドプライマー1Aを用いてRT−PCRを行ったところ、1Sdと1Aの組合せで47bpのcDNA断片と2Saと3Aの組合せで約600bpのcDNA断片が増幅された。
【0096】
このcDNA断片の内、47bpのcDNA断片をサブクローニンし塩基配列を決定した結果、そこから予想されるアミノ酸配列と部分アミノ酸配列P1のアミノ酸配列が一致した。
【0097】
次に、この47bpのcDNA断片の塩基配列を基にして混合オリゴヌクレオチドOP1(配列番号:8)を合成し、その3’末端をジゴキシゲニン(DIG)オリゴヌクレオチド テイリング キット[DIG oligonucleotide Tailing Kit、ベーリンガー マンハイム(Boehringer Mannheim) 社製] を用いてターミナルトランスフェラーゼでDIG標識した。
【0098】
DIG標識混合オリゴヌクレオチドOP1をプローブとして、前記RT−PCRで増幅された約600bpのcDNA断片に対してサザンブロットハイブリダイゼーションを行った。
【0099】
まず、RT−PCRで得られた約600bpのcDNA断片を、1.5%アガロースゲル電気泳動を行った後、ナイロン膜(ベーリンガー マンハイム社製)にDNAを転写した。このナイロン膜を用いて、2pmol/mlのDIG標識混合オリゴヌクレオチドOP1、5×SSC、2%ブロッキング試薬(ベーリンガー マンハイム社製)、0.1%N−ラウリルサルコシン、0.02%SDSを含む溶液中、55℃、4時間、ハイブリダイゼーションを行った。検出はDIG ルミネッセント ディテクション キット(DIG Luminescent Detection Kit 、ベーリンガー マンハイム社製)を用いて行った。
【0100】
その結果、合成オリゴヌクレオチドプライマー2Saと3Aを用いたRT−PCRで増幅された約600bpのcDNA断片に、OP1プローブがハイブリダイズした。
【0101】
この約600bpのcDNA断片をサブクローニングし、塩基配列を決定した結果、この約600bpのcDNA断片中に部分アミノ酸配列P1とP4をコードする配列が見出された。
【0102】
(5)硫酸基転移酵素遺伝子を含むcDNA断片のクローニング
実施例1の(1)で調製したSMKT−3細胞株由来のλgt10cDNAライブラリーからcDNAクローンを単離するために、プラークハイブリダイゼーションによるスクリーニングを行った。
【0103】
実施例1の(4)で得られた約600bpのcDNA断片を鋳型とし、T7 RNA ポリメラーゼを用いてDIG標識[DIG RNA ラベリング キット(DIG RNA Labeling Kit)、ベーリンガー マンハイム社製]されたRNAプローブを合成した。
【0104】
約2×105 個のλgt10cDNAライブラリーと大腸菌LE392を混合し、9×13cmの角シャーレ10枚に、1枚当たり2×104 個のプラークを形成させた。次に、得られたプラークをナイロン膜(ベーリンガー マンハイム社製)上に写し、4℃で1時間保温した後、アルカリ変性(0.5NNaOH、1.5MNaCl、5分間)、中和[1.5MNaClを含む0.5Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)で3分間を2回、その後、2×SSCで2分間を1回]を行った。このフィルターを用いて、ナイロン膜1cm2 当たり1ngのプローブ、50%ホルムアミド、5×SSC、2%ブロッキング試薬(ベーリンガーマンハイム社製)、0.1%N−ラウリルサルコシン、0.02%SDSを含む溶液中、50℃で一晩ハイブリダイゼーションを行った。検出はDIG ルミネッセント ディテクション キット(ベーリンガー マンハイム社製)を用いて行った。その結果、6個の陽性ラムダファージクローンが得られた。これらのクローンからプラスミドを調製し、その挿入cDNA断片を制限酵素Eco RI(宝酒造社製)で切り出し、Eco RI消化したpBluescriptIIベクター(ストラタジーン社製)を用いてサブクローニングした。
【0105】
その結果、最長約1.8kbpのcDNA断片を有しているプラスミドが得られ、このプラスミドをpBS−hCST1と命名した。その塩基配列を決定したところ、432個のアミノ酸からなるタンパク質をコードする読みとり枠(ORF)が見いだされた。このORF中に、前記精製硫酸基転移酵素の部分アミノ酸配列分析により得られたアミノ酸配列が全て見いだされた。
【0106】
以上の結果より、硫酸基転移酵素遺伝子の全塩基配列及び一次構造が決定された。硫酸基転移酵素をコードする塩基配列を配列表の配列番号:2に、その塩基配列からコードされるアミノ酸配列を配列表の配列番号:1に示す。
【0107】
実施例2.硫酸基転移酵素ポリペプチドを発現するプラスミドの構築
実施例1で得られたプラスミドpBS−hCST1を制限酵素Eco RIで消化し、得られたDNA断片を哺乳類発現ベクターpSVK3(ファルマシア バイオテク社製)のEco RI部位に挿入した。挿入DNA断片の方向は制限酵素の切断地図を基に決定した。得られた挿入方向が正の方向と逆の方向の互いに異なる発現プラスミドを、それぞれ、pSV−hCSTとpSV−hCSTRと命名した。
【0108】
これらのプラスミドのうちpSV−hCSTを大腸菌JM109に形質転換し、形質転換体を得た。該形質転換体は、Escherichia coli JM109/pSV-hCSTと命名され、Escherichia coli JM109/pSV-hcSTと表示され、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM BP−5811として寄託されている。
【0109】
実施例3.組換え硫酸基転移酵素遺伝子のCOS−1細胞における発現
直径35mmのディッシュに、2×105 個のCOS−1細胞(ATCC CRL 1650)を蒔き、次の日に実施例2で得られた発現プラスミドpSV−hCST又はpSV−hCSTRを1μgとリポフェクトアミン(LIPOFECTAMINE TM ライフ テクノロジーズ社製)5μlを加えることにより、COS−1細胞にトランスフェクトした。その後、37℃で72時間培養後、得られた形質転換COS−1細胞を2mlの冷TBS(20mMトリス、150mM NaCl、pH7.4)で2回洗浄し、0.2mlの0.1%トリトン(TritonR )X−100を含むTBSを加え、シリコンスクレーパー[silicon scraper 、ファルコン(Falcon)社製]を用いて採集した。
【0110】
次に、採集した形質転換COS−1細胞を氷中で超音波処理を行い、細胞を破砕した。これを遠心分離して上清を回収した。
【0111】
得られた上清を酵素溶液として、上清の硫酸基転移酵素活性をジャーナル オブ バイオケミストリー、第119巻、第421−427頁(1996)に記載の方法に従って測定し、また、同時にこの上清のタンパク質濃度をBCA プロテイン アッセイ試薬[BCA Protein Assay Reagent、ピアス(PIERCE)社製] を用いて測定した。
【0112】
その結果、pSV−hCSTで形質転換したCOS−1細胞の細胞抽出画分中の比活性は1.8×10-5U/mg(蛋白質)であった。これはコントロールとしてpSVK3を導入したCOS−1細胞の細胞抽出画分中の活性の約16倍であり、また、pSV−hCSTRで形質転換したCOS−1細胞の細胞抽出画分中の活性の約8倍であった。
【0113】
次に、pSV−hCSTで形質転換したCOS−1細胞が、硫酸化糖脂質を発現しているかどうかを調べた。
【0114】
まず、104 個のCOS−1細胞をLab−Tek チャンバー スライド[Lab-Tek chamber slide、ヌンク(Nunc)社製] に入れ、pSV−hCSTを1μg、リポフェクトアミン(ライフ テクノロジーズ社製)1μlを加えて形質転換させた。その後、37℃で48時間培養後、形質転換COS−1細胞をPBS(pH7.4)で洗浄し、1%パラホルムアルテヒドを含むPBS(pH7.4)で固定し、1%BSAを含むPBS(pH7.4)でブロックした。これに抗スルファチドモノクローナル抗体Sulph1[バイオケミカル ジャーナル、 第251巻、第17−22頁(1988)]を加え、45分間インキュベーションし、さらにFITC標識ヤギ抗マウスIgG[ザイムド ラボラトリーズ(Zymed Laboratories)社製]を加え、45分間インキュベーションした。
【0115】
このようにして処理した形質転換COS−1細胞と形質転換していないCOS−1細胞をそれぞれベクタシールド マウンティング メディウム[Vectashield mounting medium 、ベクターラボ(Vector Labo) 社製]中にマウントし、蛍光顕微鏡で観察した。
【0116】
その結果、形質転換していないCOS−1細胞は全く染色されていないのに対し、pSV−hCSTで形質転換した細胞では細胞表面が免疫蛍光染色されていることが確認された。すなわち、形質転換したCOS−1細胞中で硫酸基転移酵素が活性を発現しスルファチドを合成していることが示された。
【0117】
実施例4.組換え硫酸基転移酵素の物理化学的性質
実施例3で得られた形質転換COS−1細胞を氷中で超音波処理を行い、細胞を破砕した。これを遠心分離して得られた上清を組換え硫酸基転移酵素の酵素溶液とし、ジャーナル オブ バイオケミストリー、第119巻、第3号、第421−427頁(1996)に記載の方法に従って物理化学的性質を測定した。その結果を以下に示す。
【0118】
(1)至適pH
本発明の組換え硫酸基転移酵素の至適pHは、図1に示すように6〜8付近に高い活性を有していた。すなわち、図1は本発明の組換え硫酸基転移酵素の至適pHを示す図であり、縦軸は相対活性(%)、横軸はpHを示す。pH3.0〜6.0においては50mM酢酸緩衝液、pH6.0〜7.0においては50mMカコジル酸緩衝液、pH7.0〜8.0においては50mMトリエタノールアミン緩衝液、pH8.0〜10.0においては50mMトリス緩衝液を使用し、活性測定を行った。図中、黒四角印は酢酸緩衝液を、黒丸印はカコジル酸緩衝液を、黒三角印はトリエタノールアミン緩衝液を、×印はトリス緩衝液を示す。
【0119】
(2)至適温度
本発明の組換え硫酸基転移酵素の至適温度は、図2に示すように約40℃付近で最大活性を示した。すなわち、図2は本発明の組換え硫酸基転移酵素の至適温度を示す図であり、縦軸は相対活性(%)、横軸は反応温度(℃)を示す。
【0120】
(3)pH安定性
本発明の組換え硫酸基転移酵素をそれぞれのpHにおいて6℃で16時間保持した後、pHを7.0に戻して酵素活性を測定してpH安定性を調べた。緩衝液としてpH3.0〜6.0においては50mM酢酸緩衝液、pH6.0〜7.0においては50mMカコジル酸緩衝液、pH7.0〜8.0においては50mMトリエタノールアミン緩衝液、pH8.0〜10.0においては50mMトリス緩衝液を使用した。図3に示すように本発明の組換え硫酸基転移酵素は、pH6〜10の範囲で安定である。すなわち、図3は本発明の組換え硫酸基転移酵素のpH安定性を示す図であり、縦軸は残存活性(%)、横軸はpHを示す。図中、黒四角印は酢酸緩衝液を、黒丸印はカコジル酸緩衝液を、黒三角印はトリエタノールアミン緩衝液を、×印はトリス緩衝液を示す。
【0121】
(4)熱安定性
本発明の組換え硫酸基転移酵素の熱安定性を調べたところ図4に示すように30℃では安定であるが、40℃、30分間の処理で85%の活性が失われた。すなわち、図4は本発明の組換え硫酸基転移酵素の熱安定性を示す図であり、縦軸は残存活性(%)、横軸は反応温度(℃)を示す。
【0122】
【発明の効果】
本発明により、Galβ1−R(Galはガラクトース、Rは糖、脂質又は複合脂質を示す)で表される糖鎖に作用してGalのC−3位の水酸基に特異的に硫酸基を転移する硫酸基転移酵素遺伝子が提供される。また、該遺伝子を用いる硫酸基転移酵素活性を持つポリペプチドの工業的に有利な遺伝子工学的製造方法、該遺伝子からコードされるポリペプチド及び該ポリペプチドに特異的に結合する抗体又はその断片が提供される。
【0123】
【配列表】
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【0155】
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【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の組換え硫酸基転移酵素の至適pHを示す図である。
【図2】図2は本発明の組換え硫酸基転移酵素の至適温度を示す図である。
【図3】図3は本発明の組換え硫酸基転移酵素のpH安定性を示す図である。
【図4】図4は本発明の組換え硫酸基転移酵素の熱安定性を示す図である。

Claims (6)

  1. 配列表の配列番号:2に記載の塩基配列からなり、Galβ1−R(Galはガラクトース、Rは糖、脂質又は複合脂質を示す)で表される糖鎖に作用してGalのC−3位の水酸基に特異的に硫酸基を転移する硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドをコードする、単離された遺伝子。
  2. 請求項1記載の遺伝子とストリンジェントな条件下においてハイブリダイズすることができ、かつGalβ1−R(Galはガラクトース、Rは糖、脂質又は複合脂質を示す)で表される糖鎖に作用してGalのC−3位の水酸基に特異的に硫酸基を転移する硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子。
  3. 請求項1又は2記載の遺伝子を含んでなる組換えDNA。
  4. 請求項記載の組換えDNAを挿入されてなる、微生物、動物細胞又は植物細胞を宿主細胞とする発現ベクター。
  5. 請求項記載の発現ベクターを導入されてなる形質転換体。
  6. 請求項記載の形質転換体を培養し、該培養物より硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドを採取することを特徴とする、硫酸基転移酵素活性を有するポリペプチドの製造方法。
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