JP3784961B2 - 母線保護継電装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電力系統の抵抗接地系母線の事故を検出して保護出力を送出する母線保護継電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電力系統の抵抗接地系母線を保護する母線保護継電装置は、各相電流を用いて差動演算を行う短絡事故検出要素と、零相電流を用いて差動演算を行う地絡事故検出要素とが使用されている。
【0003】
従って、上記各検出要素で保護演算を行うには、電力系統に設けられた変流器(以下CTと称する)により各々系統電流を検出し、これをケーブルを通して母線保護継電装置に取込んでいるが、この場合CTと母線保護継電装置との間を結ぶケーブルに断線があると、系統電流が正しく導入できないため、正しい保護演算ができず、誤った保護出力を送出する可能性があった。
【0004】
そこで、最近ではCTおよびケーブルなどのCT回路の断線を監視する方法がいくつか提案され実用化されている。例えば電気共同研究第50巻1号の96頁乃至98頁の記載のように、平常時の3相電流値をベクトル合成して、零相電流を算出し、CT回路の断線を検出する方法や、平常時の各相電流の不平行を監視する方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなCT回路の断線検出方法は、CT回路の各相回路の断線検出は可能であるが、Y結線の変流器の場合、その2次回路を一括化して3相電流のベクトル和電流を得る残留回路やCTの3次回路のごとき場合は常時零相電流が流れず、断線の検出は不可能である。
【0006】
また、従来のCT回路を監視する方法においては、不良検出後に所定の確認時間を設けて保護装置をロックさせているのが一般的であり、稼働率の低下の一因となっていた。
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、信頼性を向上し、さらに稼働率の高い母線保護継電装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、母線連絡用しゃ断器により接続された複母線により構成された抵抗接地系母線から電気量を取込み、この電気量に基づいて当該母線の保護を行う母線保護継電装置において、前記抵抗接地系母線の電気量から前記抵抗接地系母線に設けられた変流器及びその関連構成部品を含む変流器回路の不良の有無を判定し、不良があることを検出すると出力を送出する変流器回路不良検出手段と、前記抵抗接地系母線から電気量を取込んで電流差動演算により母線の内外部判定を行う一括保護要素及びこの一括保護要素より得られる差電流に所定の係数を掛けた差電流と各分割保護要素から得られる差電流を比較し、この分割用差電流の方が大きいと判定される該当する母線を事故母線とする出力を送出する母線事故検出手段と、前記変流器回路不良検出手段及び前記母線事故検出手段の出力を受けると保護シーケンスの演算を実行して保護出力を送出する保護演算シーケンス演算手段とを備え、前記変流器回路不良検出手段は、前記抵抗接地系母線の電気量から電力系統の一線地絡事故を検出する地絡事故検出手段と、前記抵抗接地系母線に設けられた変流器の残留回路又は3次回路の電流が予め定められた設定電流値以下となったことを検出する電流検出手段と、前記変流器の各相電流の変化分が予め定められた設定電流変化分以上になったことを検出する電流変化分検出手段と、これら地絡電流検出手段、電流検出手段及び電流変化分検出手段の出力の論理積条件が満たされたとき保護出力を送出する出力制御手段とから構成されたものである。
【0008】
このような構成の母線保護継電装置において、母線事故検出手段は一般に残留回路の電流を用いた差動演算で事故の母線内部、外部の判定を行うが、例えば残留回路に断線が発生し、当該回線で外部事故が発生した場合、流出回線の電流が導入てせきず、本来差動電流は零もしくは微少であり外部事故判定となるべきものが、内部事故と誤判定して不要しゃ断に至る。この時、地絡事故検出手段と電流検出手段、電流変化分検出手段及びこれらの検出出力の論理積条件で出力する出力制御手段で構成される変流器不良検出手段により当該回線の変流器回路が不良であることを判定し、変流器回路不良検出信号を出力する。また、母線事故検出手段は上記のように誤判定し、事故回線と同一母線に接続される回線のしゃ断器をトリップする信号を出力するが、保護シーケンス演算手段は変流器回路不良検出手段の出力により先ず変流器不良回線を先行しゃ断し、さらに事故継続の有無を確認し、例えば外部事故の場合には事故が除去されることから、必要最小限の保護区間のしゃ断としゃ断時間で母線の保護が可能となる。
また、当該不良回線を表示することにより、その後の不良部位の調査を容易に行うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明による母線保護継電装置の第1の実施の形態を示す回路構成図である。図1において、1は母線、2〜4はこの母線1にしゃ断器CB2〜CB4を介して接続された送電線である。なお、図では母線1、各送電線とも単結線で示してあるが、これらは全て3相回路にて構成されている。
【0010】
このような単母線系統において、各送電線2〜4にCT5〜7を設け、また母線1には変圧器(以下PTと称する)の1次側が接続されている。この場合、各CT5〜7は3相各相に対応するa〜c相電流をそれぞれ検出すると共に、Y結線された中性点より流れる零相電流(以下残留回路電流と称する)を検出するものである。また、PT8も3相各相に対応する母線電圧を検出すると共に、Y結線された中性点より零相電圧を検出するものである。
【0011】
一方、10は母線1を保護する母線保護継電装置で、この母線保護継電装置10は各CT5〜7からの電流I1 〜I3 を取込む電流入力手段11と、PT8より出力される電圧を取込む電圧入力手段12と、各回線の電流および母線電圧を用いてCT回路の不良を検出するCT回路不良検出手段13と、同じく各回線の電流および必要に応じて母線電圧を用いて母線の事故を検出する母線事故検出手段14と、CT回路不良検出手段13の出力信号と母線事故検出手段14の出力信号とを入力して所定の保護シーケンス演算を実行する保護シーケンス演算手段15とから構成されている。
【0012】
上記母線事故検出手段14は、母線一括で地絡事故の内外部判定を行うもので、母線に接続された全てのCTの零相電流を用いて所謂差動演算を行うものである。
【0013】
また、上記保護シーケンス演算手段15は、CT回路不良検出時には、まずCT不良回線を先行しゃ断して事故継続の有無を確認し、その後事故が母線の内部か外部かを判断する処理を行い、その結果により所定の保護シーケンス演算を行って保護出力を送出するものである。
【0014】
ここで、図2によりCT回路不良検出手段13の構成を説明する。
CT回路不良検出手段13は、図2に示すように送電線の3相各相の電流の変化分を検出して出力する電流変化分検出手段21、残留回路電流検出手段22、1線地絡事故検出手段23およびこれらの出力が全て有りのときCT回路不良検出出力を送出する出力制御手段24から構成されている。
【0015】
次にこのようなCT回路不良検出手段13の応動を説明する。
電流変化分検出手段21は、a相、b相、c相の事故前電流、つまり平常時の負荷電流Ia,Ib,Icと事故中の電流との差である電流変化分を算出し、これら3相のうち何ずれかの相の電流変化分が所定の設定電流値(例えば整定値)Ik以上となったとき事故発生信号を出力する。この場合、平常時の負荷電流を一定周期で取込んで、図示しないメモリに書込まれるデータが更新されるようになっている。
【0016】
一方、残留回路電流検出手段22では、残留回路電流I0 と所定の設定電流Ik0とを比較し、零相電流I0 が設定電流値Ik0以下となったとき、事故発生信号を出力する。
【0017】
さらに、1線地絡事故検出手段23では零相電圧V0 が所定の設定電圧値V以上であり、且つa相、b相、c相の何ずれかの相電圧Va,Vb,Vcと零相電圧V0 との位相差が所定の設定位相差φ以内であるとき1線地絡事故検出信号を出力する。
【0018】
従って、CT回路不良検出手段13は、出力制御手段24で前記各検出手段21,22,23のAND条件が満たされていると判定されたとき、残留回路の断線によるCT回路不良を検出できる。
【0019】
次に図3により保護シーケンス演算手段15の作用を説明するに、ここでは図1に示す送電線2のCT5の残留回路に断線があることを想定して事故による応動を説明する。
【0020】
まず、母線1で1線地絡事故発生時の応動について述べる。
図3において、処理S1では図2に示す一線地絡事故検出手段23により一線地絡が検出され、処理S2ではこれに電流変化分検出手段21及び残留回路電流検出手段22の出力を加えたCT回路不良検出手段13の出力によりCT回路不良を検出する。本例では送電線2のCT5の回路に不良があることを前提としている。
【0021】
事故が母線1の外部、例えば不良回線で発生した場合、本来事故電流は母線を通過し、差動演算による差電流が零となり、不動作となるが、本例のようにCT5に断線があると流出電流を導入できないため、差電流が発生し、母線事故検出手段14が誤動作する。
【0022】
しかしながら、処理S3では不良回線のしゃ断器をしゃ断するため、事故は除去される。従って、処理S4において、母線事故の有無が判定されるが、母線事故はないため、不要な動作を防止できる。
【0023】
また、事故が母線の内部の場合には処理S1から処理S3により不良回線のしゃ断器がしゃ断される。これにより、事故電流の流入がなければ、処理S4にて母線事故の検出がないと判定し、処理S5にて装置をロックとする。また、他の回線からの流入電流により内部事故と判定されれば、処理S4において母線事故検出となり、処理S6にて母線に接続される回線のしゃ断器をしゃ断し、事故の除去が終了する。
【0024】
以上の保護シーケンス演算手段の説明は、CT不良回線が単一の場合について説明したが、CT不良を複数検出した場合にはCT不良自身がまれで、且つ複数発生した場合は現象的に異常事態と判断でき、装置ロックとすることで不要な装置応動を阻止できる。
【0025】
また、保護シーケンス演算手段において、不良を検出したCTの部位を予め備えた表示手段に表示することで、監視員に速やかに回復処置を講じることを促すことができる。
【0026】
このように第1の実施の形態では、単母線で構成される抵抗接地系母線から電気量を取込み、この電気量からCT回路の関連回路を含むCT回路の不良を検出するCT回路不良検出手段13と、前記抵抗接地系母線の電気量を用いて母線の内外部を判定し、母線内部判定時出力を送出する母線事故検出手段14と、前記CT回路不良検出手段13と母線事故検出手段14の出力を受けて、所定の保護シーケンス演算を行い、しゃ断器引き外し等の保護出力を送出する保護シーケンス演算手段15とを設ける構成としたので、信頼性が高く、稼働率の高いものとなし得る。
【0027】
次に本発明による母線保護継電装置の第2の実施の形態について図4により説明する。
図4(a)は複母線の構成例を示すもので、母線31,32は母線連絡用しゃ断器CB33により接続され、さらに母線31,32の適宜箇所にセクション用しゃ断器CB34,CB35が設けられている。また、母線31には送電線41,42がしゃ断器CB41,CB42を介してそれぞれ接続され、母線32には送電線43,44がしゃ断器CB43,CB44を介してそれぞれ接続されている。
【0028】
このような複母線系統において、各送電線41〜44にCT46〜CT49が設けられ、また連絡母線側に母線連絡CT50、セクションにセクションCT51,CT52がそれぞれ設けられる。さらに、母線31側にPT71、母線32側にPT72がそれぞれ接続されている。
【0029】
一方、図4(b)は上記複母線を保護する母線保護継電装置80の構成を示すものである。この母線保護継電装置80は、各CT46〜52からの電流I61〜I67を取込む電流入力手段81と、PT71,PT72から出力される電圧V1 ,V2 を取込む電圧入力手段82と、各回線の電流及び母線電圧を用いてCT回路の不良を検出するCT回路不良検出手段83と、同じく各回線の電流及び必要に応じて母線電圧を用いて母線の地絡事故を検出する母線事故検出手段84と、CT回路不良検出手段83の出力信号と母線事故検出手段84の出力信号とを入力して所定の保護シーケンス演算を実行する保護シーケンス演算手段85とから構成されている。
【0030】
上記母線事故検出手段84は、母線一括で地絡事故の内外部判定を行う一括要素と母線31及び母線32の何ずれかの母線に地絡事故が発生したかを判定する事故母線判定要素で構成されている。
【0031】
また、上記保護シーケンス演算手段85は、CT回路不良検出時には、まずCT不良回線を先行しゃ断して事故継続の有無を確認し、その後事故が母線の内部か外部かを判断する処理を行い、その結果により所定の保護シーケンス演算を行って保護出力を送出するものである。
【0032】
なお、上記CT回路不良検出手段83の構成は図2と同一なので、その説明は省略する。
ここで、一括要素は連絡母線側に設けられたCTを除くセクションCT51,CT52及び送電線41〜44に設けられた全てのCTの電流を用いて差動演算を行うものである。この場合、差動演算は全てのCTより導入される零相電流の和をそれぞれ求めるものである。
【0033】
また、事故母線判定要素は、母線31、母線32各々の差電流(Id1、Id2)を検出する。即ち、母線31側の差電流はCT46,47,50,51の零相電流のそれぞれの和により求められ、母線32側の差電流はCT48,49,,50,52の零相電流のそれぞれの和により求められる。この場合、連絡母線側のCT50の電流を共通に用いているが、母線32側の差電流を求めるに際しては連絡母線側のCTに流れる電流の極性を逆にして用いられる。
【0034】
そして、この差電流Id1、Id2と一括要素の差電流Id との大きさとを以下 (1),(2)式に示す判定式で比較し、事故母線の選択判定を行う。
Id1>k×Id 母線31側事故判定 ……(1)
Id2>k×Id 母線32側事故判定 ……(2)
但し、kは定数である。
【0035】
次に図5により保護シーケンス演算手段85の作用を説明するに、ここでは図4に示す母線連絡CT50の残留回路に断線があることを想定して事故による応動を説明する。
【0036】
まず、母線31で1線地絡事故発生時の応動を連絡母線側のCT50の残留回路が正常である場合について述べる。
母線31における内部事故の場合、一括要素は母線連絡CT50の電流を使用しないので、正常に動作し、(1),(2)式に示す事故母線判定要素は母線31側の差電流が一括要素と同様に発生し、母線32側の差電流は零となり、正常な事故母線判定が可能である。
【0037】
しかし、母線連絡CT50の残留回路に断線があると、各事故母線判定要素には正常な差電流が得られず、両母線判定とも誤出力を送出する可能性がある。この時の保護シーケンス演算手段85の作用を図5により説明する。
【0038】
図5において、処理S11で一線地絡事故検出手段の出力によりその発生を検出し、処理S12でCT回路不良検出手段の出力によりCT回路不良の発生を検出する。ここで、CT回路不良検出が無い場合は通常の処理であり、処理S13,S14により一括要素動作の有無及び事故母線判定要素の動作の有無により事故母線のしゃ断等の処理を実行する。
【0039】
処理12によりCT回路不良を検出すると、処理S15にて連絡母線側のCT50の不良か否かを判定する。本実施の形態では連絡母線側のCTのみに着目しているため、連絡母線側のCTが不良でない場合は、処理S16にて装置のロックを行う。
【0040】
処理S15にて母線連絡CTの不良を判定した場合は、処理S17にて一括要素の動作判定を行い、これが処理S18により一定時間継続したと判定した場合、事故母線判定要素の正常動作は期待できないため、処理S19にて母線連絡しゃ断器CB33をしゃ断する。
【0041】
以下処理S13にて事故継続が確認されると、連絡母線の電流を使用しない事故母線判定要素の演算結果により、事故母線31側が検出され、正しく事故母線のしゃ断が行われる。
【0042】
次に図6により他の実施の形態における保護シーケンス演算手段の作用について述べるに、ここでは図5と異なる点についてのみ述べる。
図6において、図5と異なる点は処理S17であり、図5に示すシーケンス演算処理は処理S17にて一括要素不動作、つまり外部事故と判定した場合は、装置ロックとしていたが、図6に示すシーケンス演算処理では強制的にCT不良である母線連絡用しゃ断器CB33をしゃ断し、この状態でさらに運用するものである。このようにすれば、処理S18で一定時間継続したかどうかの判定を必要としないので、さらに稼働率を向上させることができる。
【0043】
次に図7によりセクション側や送電線側のCT不良に着目した他の実施の形態における保護シーケンス演算手段の作用を述べるに、ここでは図4に示す送電線側CTの残留回路に断線があることを想定して事故による応動を説明する。なお、図5と同一処理には同一符号を付して示す。
【0044】
まず、送電線側CTでCT回路不良が発生し、当該回線で1線地絡事故が発生した時の応動について述べる。
母線外部事故の場合、正常時は差電流が発生せず、一括要素、事故母線判定要素は動作しない。ここで残留回路に断線が生じた場合、一括要素も、事故母線判定要素も当該回線からの流出電流を導入できず、当該回線が繋がる母線側の不要しゃ断となる。
【0045】
この時の保護シーケンス演算手段の応動を説明する。
図7において、処理S11で一線事故検出手段の出力によりその発生を検出し、処理S12でCT回路不良検出手段の出力によりCT回路の不良の発生を検出する。そして、CT回路不良検出がない場合は通常の処理を実施する。また、CT回路不良の検出時には処理S15にて母線連絡のCT不良か、セクション側や送電線側CTの不良か否かを判定する。ここでは送電線側のCTに着目しているため、また連絡母線側のCTの不良の場合には先に説明した図5による保護シーケンス演算と同一なので、その応動説明は省略する。
【0046】
処理S15にて連絡母線側のCT以外、つまりセクション側CTまたは送電線側CTの不良、ここでは送電線側CTの不良と判定した場合は処理S21にて当該送電線のしゃ断器を強制的にしゃ断する。
【0047】
処理S22にて事故継続の判定を行い、外部事故であれば処理S16にて装置ロックとし、処理S22にて内部事故と判定すると、当該事故母線に接続される回線をしゃ断する。
【0048】
次に図8により上記とは異なる保護シーケンス演算手段の作用を説明するに、ここでは図7と異なる点についてのみ述べる。
図8において、図7と異なる点は処理S17である。即ち、図7に示すシーケンス演算処理は処理S17にて一括要素不動作、つまり外部事故と判定した場合は、装置ロックとしていたが、図8に示すシーケンス演算処理は強制的にCT不良である母線連絡用しゃ断器をしゃ断し、この状態でさらに運用するものである。このようにすれば、処理S18で一定時間継続したかどうかの判定を必要としないので、図7に示す処理に比べてさらに稼働率を向上させることができる。
【0049】
以上の保護シーケンス演算手段の説明は、CT不良回線が単一の場合について説明したが、CT不良を複数検出した場合にはCT不良自身がまれで、且つ複数発生した場合は現象的に異常事態と判断でき、装置ロックとすることで不要な装置応動を阻止できる。
【0050】
また、保護シーケンス演算手段において、不良を検出したCTの部位を予め備えた表示手段に表示することで、監視員に速やかに回復処置を講じることを促すことができる。
【0051】
このように第2の実施の形態では、複母線で構成される抵抗接地系母線から電気量を取込み、この電気量からCT回路の関連回路を含むCT回路の不良を検出するCT回路不良検出手段83と、前記抵抗接地系母線の電気量を用いて母線の内外部を判定し、母線内部判定時出力を送出する母線事故検出手段84と、前記CT回路不良検出手段83と母線事故検出手段84の出力を受けて、所定の保護シーケンス演算を行い、しゃ断器引き外し等の保護出力を送出する保護シーケンス演算手段85とを設ける構成としたので、信頼性が高く、稼働率の高いものとなし得る。
【0052】
また、CT回路の不良を検出するCT回路不良検出手段83で検出したCT不良検出状態を表示する手段を設ける構成とすることにより、回復処置を速やかに行うことができる。
【0053】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、信頼性を向上させることができ、さらに稼働率を高めることができる母線保護継電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による母線保護継電装置の第1の実施の形態を示す回路構成図。
【図2】同実施の形態におけるCT回路不良検出手段の詳細を示す回路図。
【図3】同実施の形態の応動を説明するための処理手順を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示すもので、(a)は系統図、(b)は保護継電装置のブロック図。
【図5】同実施の形態におけるシーケンス演算手段の作用を説明するための処理手順を示すフロチャート。
【図6】同実施の形態において、他のシーケンス演算手段の作用を説明するための処理手順を示すフロチャート。
【図7】同実施の形態において、セクションや送電線のCT不良に着目したシーケンス演算手段の作用を説明するための処理手順を示すフロチャート。
【図8】同実施の形態において、さらに異なる他のシーケンス演算手段の作用を説明するための処理手順を示すフロチャート。
【符号の説明】
1,31,32……母線
2〜4,41〜44……送電線
5〜7,46〜52……CT
8……PT
10,80……母線保護継電装置
11,81……電流入力手段
12,82……電圧入力手段
13,83……CT回路不良検出手段
14,84……母線事故検出手段
15,85……保護シーケンス演算手段
33……母線連絡用しゃ断器
34,35……セクション用しゃ断器
Claims (5)
- 母線連絡用しゃ断器により接続された複母線により構成された抵抗接地系母線から電気量を取込み、この電気量に基づいて当該母線の保護を行う母線保護継電装置において、
前記抵抗接地系母線の電気量から前記抵抗接地系母線に設けられた変流器及びその関連構成部品を含む変流器回路の不良の有無を判定し、不良があることを検出すると出力を送出する変流器回路不良検出手段と、前記抵抗接地系母線から電気量を取込んで電流差動演算により母線の内外部判定を行う一括保護要素及びこの一括保護要素より得られる差電流に所定の係数を掛けた差電流と各分割保護要素から得られる差電流を比較し、この分割用差電流の方が大きいと判定される該当する母線を事故母線とする出力を送出する母線事故検出手段と、前記変流器回路不良検出手段及び前記母線事故検出手段の出力を受けると保護シーケンスの演算を実行して保護出力を送出する保護演算シーケンス演算手段とを備え、
前記変流器回路不良検出手段は、前記抵抗接地系母線の電気量から電力系統の一線地絡事故を検出する地絡事故検出手段と、前記抵抗接地系母線に設けられた変流器の残留回路又は3次回路の電流が予め定められた設定電流値以下となったことを検出する電流検出手段と、前記変流器の各相電流の変化分が予め定められた設定電流変化分以上になったことを検出する電流変化分検出手段と、これら地絡電流検出手段、電流検出手段及び電流変化分検出手段の出力の論理積条件が満たされたとき保護出力を送出する出力制御手段とから構成されたことを特徴とする母線保護継電装置。 - 保護シーケンス演算手段は、変流器回路不良検出手段と母線事故検出手段の出力を受け、不良変流器が連絡用母線にあり、且つ母線内部に事故があると判定されると所定時間後に母線連絡用しゃ断器をしゃ断し、その後再度母線事故検出手段の出力により母線内部に事故があると判定されると事故母線に接続される電路側のしゃ断器をしゃ断し、また不良変流器が連絡用母線側にあり、且つ母線外部に事故があると判定されると装置ロックとする保護シーケンス演算を行うことを特徴とする請求項1記載の母線保護継電装置。
- 保護シーケンス演算手段は、変流器回路不良検出手段と母線事故検出手段の出力を受け、不良変流器が連絡用母線にあり、且つ母線内部に事故があると判定されると所定時間後に母線連絡用しゃ断器をしゃ断し、その後再度母線事故検出手段の出力により母線内部に事故があると判定されると事故母線に接続される電路側のしゃ断器をしゃ断し、また不良変流器が連絡用母線側にあり、且つ母線の外部と判定されると、母線連絡用しゃ断器をしゃ断し、その後再度母線事故検出手段の出力により母線内部に事故があると判定されると事故母線に接続される電路側のしゃ断器をしゃ断し、さらに不良変流器が連絡母線以外と判定されると装置ロックとする保護シーケンス演算を行うことを特徴とする請求項1記載の母線保護継電装置。
- 保護シーケンス演算手段は、変流器回路不良検出手段と母線事故検出手段の出力を受け、不良変流器が連絡用母線側にあり、且つ母線内部に事故があると判定されると所定時間後に母線連絡用しゃ断器をしゃ断し、その後再度母線事故検出手段の出力により母線内部に事故があると判定されると事故母線に接続される電路側のしゃ断器をしゃ断し、また不良変流器が連絡用母線側にあり、且つ母線の外部事故と判定されると、装置ロックとし、また不良変流器がセクション又は回線側にあると判定されると変流器不良検出電路側のしゃ断器をしゃ断し、その後母線内部事故であると判定されると事故母線に接続される電路側のしゃ断器をしゃ断し、事故継続していないと判定されると装置ロックとする保護シーケンス演算を行うことを特徴とする請求項1記載の母線保護継電装置。
- 保護シーケンス演算手段は、変流器回路不良検出手段と母線事故検出手段の出力を受け、不良変流器が連絡用母線にあり、且つ母線内部に事故があると判定されると所定時間後に母線連絡用しゃ断器をしゃ断し、その後再度母線事故検出手段の出力により母線内部に事故があると判定されると事故母線に接続される電路側のしゃ断器をしゃ断し、また不良変流器が連絡用母線側にあり、且つ母線の外部事故と判定されると、母線連絡用しゃ断器をしゃ断し、その後再度母線事故検出手段の出力により母線内部に事故があると判定されると事故母線に接続される電路側のしゃ断器をしゃ断し、さらに不良変流器がセクション又は回線にあるときは、所定時間後に変流器不良電路側のしゃ断器をしゃ断し、その後母線内部事故と判定すると事故母線に接続される電路側のしゃ断器をしゃ断し、事故継続でないと判定されると装置ロックとする保護シーケンス演算を行うことを特徴とする請求項1記載の母線保護継電装置。
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