JP3783994B2 - 温風暖房装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、温風暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
温風暖房装置、たとえばガスファンヒータは、ハウジングと加熱手段と送風手段と風向制御部材とを有する。ハウジングには、ハウジングの内部空間と外部空間とを連通する吸込口および吹出口が形成される。加熱手段は燃料ガスと空気との混合気を燃焼する燃焼器を有し、ハウジングの内部空間の空気を加熱する。
【0003】
送風手段は送風ファンとモータとを有する。この送風手段は、送風ファンがモータに駆動されることによって、前記吸込口からハウジングの外部空間の空気をハウジングの内部空間に吸込むとともに、前述のように加熱手段によって加熱された前記内部空間の空気を温風として吹出口から吹出すように構成される。
【0004】
吹出口には、金属製の風向制御部材が設けられる。この風向制御部材は、筒状の枠と枠に保持されるルーバとを有する。ルーバは、細長い平板状の複数のルーバ部分から成り、これらのルーバ部分は、温風暖房装置の上下方向に等間隔をあけて予め定める吹出し方向に平行となるように配置された状態で、前記枠に固定される。
【0005】
吹出口から吹出される温風は、各ルーバ部分の表面に沿って案内される。このようにして温風が予め定める吹出し方向に吹出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
温風暖房装置は風向制御部材のルーバによって温風を前記吹出し方向へ導く構成であるので、温風にさらされる風向制御部材、特にルーバの各ルーバ部分の表面は、温風の熱によって高温となる。温風暖房装置は、人が直接ルーバの表面に触れ得ないような安全性が向上した構成にすることが望まれている。
【0007】
本発明の目的は、安全性が向上した温風暖房装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、内部空間と外部空間とを連通する吹出口が形成されるハウジングと、吹出口から吹出される温風を予め定める吹出し方向に案内するルーバとを備える温風暖房装置において、
ルーバの表面にはカバー体が設けられ、
前記カバー体は、吹出口から吹出される温風の最高温度よりも高い耐熱性を有し、かつルーバよりも低い熱伝導率を有する複数の繊維部材が植設される表層を備え、各繊維部材はその軸線方向に沿った長さが0.4mm以上0.8mm以下に規定されることを特徴とする温度暖房装置である。
【0009】
本発明に従えば、複数の繊維部材が植設されるカバー体が、ルーバの表面に設けられる。前記各繊維部材の分布密度は、たとえば隣接する各繊維部材間の間隔が乳幼児の手指よりも充分に小さくなるように設定される。これによって人の手指は、各繊維部材間に嵌り込んでルーバの表面に直接触れてしまうことがなく、触れるとしたら各繊維部材に触れる。各繊維部材は、ルーバと比べて熱伝導率の低い材料から成るので、人が各繊維部材に触れたとしても、ルーバに直接触れた場合と比較して、人に熱が伝わりにくく、火傷しにくくすることができ、安全性が向上される。各繊維部材はその軸線方向に沿った長さが0.4mm以上0.8mm以下に規定されるので、各繊維部材は、温風に対する吹出し抵抗を小さくすることができるとともに、人が手指などで触れたときに前記手指に熱を伝わりにくくすることができる。
【0010】
また各繊維部材間には、空隙が存在するので、人の手指が繊維部材に触れたとしても、たとえばカバー体が連続した板状である場合と比較して、手指とカバー体との接触面積が小さく、これによってカバー体から手指などに伝わる熱流量を少なくすることができるので、さらに火傷しにくくすることができ、安全性をより高く向上することができる。
【0011】
請求項2記載の本発明は、前記繊維部材の少なくとも遊端部は、基端部が植設される表面から離反していることを特徴とする。
【0012】
本発明に従えば、各繊維部材の少なくとも遊端部は、前記表面から離反した位置に配置されているので、熱がルーバの表面から各繊維部材の遊端部に伝わるためには、各繊維部材を軸線方向に伝熱しなければならず、前記遊端部にルーバの表面からの熱を伝わりにくくすることができる。仮に人がカバー体に触れるとき、各繊維部材の遊端部に接触することになるので、ルーバの表面から各繊維部材を介して人に伝わる熱流量を少なくすることができる。これによってさらに火傷しにくくすることができ、安全性をより高く向上することができる。
【0013】
請求項3記載の本発明は、前記繊維部材は、ルーバよりも低い熱伝導率を有するシート状の基層材に植設されることを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、カバー体は前記繊維部材が植設される基層材を有し、この基層材はルーバよりも低い熱伝導率を有する。このように各繊維部材とルーバの表面との間に、ルーバよりも熱伝導率の低い基層材を介在させる構成であるので、人が前記カバー体に触れたときに、ルーバの表面からカバー体を介して伝わる熱流量をより少なくすることができ、さらに火傷しにくくし、安全性をより高く向上することができる。
【0015】
また、基層材に複数の繊維部材が植設されるカバー体材料を準備し、このカバー体材料を既存の温風暖房装置のルーバの表面に固定することによって、本発明の温風暖房装置を容易に実現することができ、したがって既存の温風暖房装置を無駄にすることなく用いることができる。
【0016】
請求項4記載の本発明は、前記繊維部材は、アラミド繊維から成ることを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、前記繊維部材として芳香族ポリアミド繊維であるアラミド繊維が用いられる。前記アラミド繊維の特性は熱伝導率が低いことであり、これによって各繊維部材の熱伝導率を低くすることができる。このような特性を有するアラミド繊維を本発明の繊維部材として用いることによって、人がカバー体に触れたときに、ルーバの表面からカバー体を介して伝わる熱流量をより少なくすることができ、安全性がより高く向上される。またこのようなアラミド繊維を繊維部材として用いることによって、他の繊維を用いる場合と比較して、カバー体の厚みを小さくしてルーバからの熱を同程度に伝わりにくくすることができ、カバー体を設けることによる温風の吹出し抵抗の増加を抑制することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の一形態である温風暖房装置1の吹出口5付近を拡大して示す断面図であり、図2は温風暖房装置1を示す斜視図であり、図3は図2の切断面線III−IIIから見た温風暖房装置1を簡略化して示す断面図である。図1は図2の切断面線I−Iから見た断面を示し、図3はハウジング2などの厚みを省略して示す。温風暖房装置1は、燃料ガスと空気との混合気を燃焼して温風を予め定める吹出し方向Aに吹出すガスファンヒータであって、基本的にはハウジング2と、加熱手段70と、送風手段71と、風向制御部材13とを有する。
【0019】
ハウジング2は、大略的に直方体形状を有する。このハウジング2には、その内部空間3と外部空間4とを連通する吹出口5および吸込口6が形成される。吹出口5は、ハウジング2の一側壁である前壁7の下部で、ハウジング2の幅方向(図1および図3では紙面に垂直な方向)のほぼ全長にわたって開口する。吸込口6は、ハウジング2の前壁7と対向する背壁72の中央領域で開口する。またハウジング2には、その内部空間3を、吸込口6から吹出口5にわたる通気路8と、図示しない制御手段などが収容される機器収容空間9とに仕切る仕切り壁10が設けられる。
【0020】
送風手段71は、たとえば遠心式送風機によって実現され、送風ファン11とこの送風ファン11を駆動する図示しないモータとを含む。送風ファン11は、通気路8の吹出口5寄りの領域に配置される。この送風ファン11はモータで駆動されることによって、通気路8の空気が吹出口5から強制的に吹出されるとともに、通気路8が負圧になることによって、ハウジング2の外部空間4の空気が吸込口6から通気路8に吸込まれる。
【0021】
加熱手段70は、通気路8の送風ファン11よりも吸込口6寄りの領域に設けられるガスバーナ12を有する。ガスバーナ12は、図示しない外部のガス供給源から燃料ガス、たとえば都市ガスが供給され、この燃料ガスを吸込口6から吸い込まれる空気の一部とが混合され、この混合気を燃焼する。吸込口6から吸込まれた空気のうち燃料ガスと混合された一部の空気を除く残余の空気は、ガスバーナ12による前記混合気の燃焼によって発生した熱によって加熱される。混合気が燃焼した燃焼排ガスおよび混合気の燃焼によって発生した熱によって加熱された前記残余の空気は、適宜混合され、温風として送風手段71によって吹出口5から吹出される。
【0022】
風向制御部材13は、枠14とルーバ15とを有し、鋼板をプレス加工することによって一体形成される。枠14は、吹出口5の周縁形状に対応した略四角筒状であって、ハウジング2の吹出口5に臨む周縁部17に嵌着される。ルーバ15は、温風暖房装置1の幅方向に延びる複数(本実施の形態では4)枚の各ルーバ部分16a,16b,16c,16dから成る。以下、各ルーバ部分16a,16b,16c,16dを総称するときには、各ルーバ部分16と略記することがある。各ルーバ部分16は、隣接する各ルーバ部分16が温風暖房装置1の上下方向(図1および図3では上下方向)に等間隔L1をあけてそれぞれ配置される。
【0023】
これらのルーバ部分16は、前記幅方向に延びる矩形の形状を有し、水平面75に対して角度θ1を成し、上流側から下流側に向かうにつれて下方となる前記予め定める吹出し方向Aに沿って傾斜した状態で、枠14に固定される。このような構成の風向制御部材13によって、温風が枠14および各ルーバ部分16間の開口18を通過するとき、その温風を各ルーバ部分16が傾斜する方向、すなわち予め定める吹出し方向Aに案内することができる。
【0024】
各ルーバ部分16および枠14間から吹出される温風の温度は、温風暖房装置1がたとえば3500kcal/h相当の暖房能力を有する場合、最高160℃にまで達する。風向制御部材13は、運転中上記のような高温の温風にさらされて温風とほぼ同一の温度となる。特に各ルーバ部分16は、ハウジング2の前壁7に設けられる比較的大きな部材であるので、乳幼児または身体障害者などが誤って各ルーバ部分16に触れても、安全であることが望ましい。このような構成とするために、本発明の実施の形態では、各ルーバ部分16の表面にカバー体19が設けられる。
【0025】
図4は図1のセクションIVを拡大して示す図である。カバー体19は、複数の繊維部材20を有する表層21と、各繊維部材20が植設される基層材を有する基層22とを備える。基層22は、可撓性を有するシート状の基層材である基布23と、基布23の厚み方向一方の表面上に設けられ、各繊維部材20を植設するための植設層部26とを有する。植設層部26は、耐熱性を有する接着剤から成り、各繊維部材20の基端部が埋込まれた状態で硬化して形成される。
【0026】
各繊維部材20は、その軸線が基布23の表面に対してほぼ垂直に延びるように固定される。これら各繊維部材20の軸線方向に沿った長さL3は、0.4mm未満であれば充分に熱を伝わりにくくすることができず、0.8mmよりも大きいと吹出し抵抗が大きくなってしまうという問題が生じる。このような問題を回避するために、前記長さL3は、0.4〜0.8mm、好ましくは0.6mmに選ばれる。これによって各繊維部材20は、温風に対する吹出し抵抗を小さくすることができるとともに、図4に仮想線で示されるように人が手指27などで触れたときに前記手指27に熱を伝わりにくくすることができる。また各繊維部材20の太さは0.5デニール未満であれば、強度が小さく各繊維部材20に人が手指27などで触れたとき、各繊維部材20が変形して、前記手指27が繊維部材20の植設される植設層部26またはルーバ部分16、本実施の形態では植設層部26に接触してしまうおそれがあり、逆に10デニールよりも太いと上述したような繊維部材20の変形が防がれるけれども、人の手指27と繊維部材20との接触面積が大きくなってしまう問題が生じる。このような問題を解決するために、各繊維部材20の太さは1デニール〜3デニール、好ましくは2デニールに設定される。これによって各繊維部材20は、人が手指27で触れても変形しない程度の強度を有し、カバー体19が連続した板状である構成と比較して接触面積を小さくすることができる。このような各繊維部材20は、80本/cm2 〜150本/cm2 、好ましくは100本/cm2 の分布密度で植設され、各繊維部材20間の距離L5が0.01cm〜0.05cm、好ましくは0.03cmとなるように設定される。前記各繊維部材20間の距離L5が0.01cm未満であれば、前記接触面積が大きくなってしまい、逆に0.1cmよりも大きいと、人が手指27で接触したときに、各繊維部材20が変形してしまい、手指27が各繊維部材20の植設される植設層部26またはルーバ部分16、本実施の形態では植設層部26に接触してしまうおそれがある。各繊維部材20の分布密度が上述のように設定されることによって、たとえば乳幼児の手指に対して各繊維部材20を密に配置し、人の手指27が接触して各繊維部材20が変形したとしても、手指27が前記植設層部26またはルーバ部分16、本実施の形態では植設層部26に触れないようにするとともに、前記接触面積を小さくすることができる。
【0027】
各繊維部材20の長さL3、太さおよび各繊維部材20間の距離L5は、互いに関連してカバー体19の作用を充分に達成するように上述した範囲で各々選択される。たとえば各繊維部材20の太さを、上述した範囲内で2デニールよりも太く設定すると、各繊維部材20の強度が増すので、長さL3を上述した範囲内で大きくすることができる。これによってカバー体19としての作用を確実に達成して、かつより大きな伝熱距離を有し、より熱の伝わりにくいカバー体19を実現することができる。また同時に、各繊維部材20間の距離L5を上述した範囲内で大きく設定することができ、これによってカバー体19としての作用を確実に達成して、かつ温風の吹出し抵抗より小さいカバー体19を実現することができる。
【0028】
このような構成のカバー体19は、基布23の前記各繊維部材20が植設される表面とは反対側の厚み方向他方の表面が、接着層24を形成する接着剤で接着されることによって、各ルーバ部分16の表面に固定される。植設層部26および接着層24を形成する接着剤としては、エポキシ系樹脂などの前記吹出口5から吹出される温風の最高温度よりも高い耐熱性を有する熱硬化性接着剤が用いられる。
【0029】
また各繊維部材20は、アラミド繊維から成る。このアラミド繊維は、化学式
【0030】
【化1】
【0031】
で表されるポリ−m−フェニレンイソフタルアミド(MPIA)などのメタ型アラミド繊維であってもよく、また化学式
【0032】
【化2】
【0033】
で表されるポリ−p−フェニレンテレフタルアミド(PPTA)などのパラ型アラミド繊維であってもよい。アラミド繊維の熱伝導率は、メタ型アラミド繊維で0.13kcal/mh℃、パラ型アラミド繊維で0.5〜0.6kcal/mh℃である。各ルーバ部分16の主な材料である鋼の平均的な熱伝導率は約36kcal/mh℃であり、したがっていずれの型のアラミド繊維を各繊維部材20として用いた場合においても、各繊維部材20は各ルーバ部分16よりも低い熱伝導率を有する。
【0034】
基布23は、吹出口5から吹出される温風の最高温度よりも高い耐熱性を有し、かつ各ルーバ部分16よりも熱伝導率の低い繊維から成る織布である。具体的には基布23は、上述のような特性を有する繊維から成るビロードから成る。
【0035】
また本実施の形態の各繊維部材20は、その軸線が各ルーバ部分16の表面に対してほぼ垂直に延びるように植設されるので、人の手指27などでカバー体19の表層21に触れるときには、各繊維部材20の遊端部20aに触れることになる。これによって、たとえばカバー体19が連続した板状である構成と比較して、人の手指27とカバー体19とが接触する面積を小さくすることができ、カバー体19の表層21から人の手指27に伝わる熱流量を少なくすることができる。また、たとえば各繊維部材20が各ルーバ部分16の表面上に倒れた構成であり、人が各繊維部材20の軸線方向中間部に触れてしまうような構成と比較して、各ルーバ部分16からの大きな伝熱距離を確保することができ、熱をより伝わりにくくすることができる。さらに各繊維部材20および基布23は、各ルーバ部分16よりも熱伝導率が低く、これによって各ルーバ部分16から基布23を介して各繊維部材20の遊端部20aに熱がより伝わりにくくすることができる。
【0036】
さらに本実施の形態の温風暖房装置1は、カバー体19を各ルーバ部分16の表面に接着剤で固定する構成であるので、たとえば各繊維部材20が植設された基布23を有するカバー体19の材料を製造しておくことによって、既存の温風暖房装置のルーバに適宜、形状および寸法を整えてカバー体19を固定し本発明に従う実施の形態の温風暖房装置を実現することができ、したがって既存の温風暖房装置を無駄にすることなく用いることができる。また本実施の形態のような構成は、人がルーバ15に直接触れることのないように吹出口5に外部空間4側からガード部材を設けるような構成と比較して、吹出口5から吹出す温風を妨げることなく、かつ人が触れても火傷しにくく安全性を向上することができる。このようなカバー体19は、たとえば高圧静電気を利用して、基布23に各繊維部材20が植設されて形成される。
【0037】
本件発明者は、繊維部材20の有無による熱流量を測定した。図5は、本実施の形態の温風暖房装置1に設けられるカバー体19の表層21と同様の繊維層53の有無による熱流量の差異を測定するための試験装置を簡略化して示す図である。鋼から成る板状体の試料51と鋼から成る板状体の基材80に、各繊維部材20と同様の繊維部材を植設して繊維層53が形成される試料52とを用いて熱流量を測定した。このとき試料51の厚みと、繊維層53を有する試料52の厚みとは同じになるように設定される。
【0038】
また試料51,52には、それぞれ一方表面側に、熱電対58,59が設けられる。各熱電対58,59には、銅などから成る一方向に開放した金属製の箱60,61がそれぞれ被せられ、この状態で各試料51,52は熱源である約200℃に保たれた載置台54上に前記厚み方向他方側を当接させて載置される。各試料51,52を載置した時点から測定が開始され、各試料51,52を介して載置台54から熱電対58,59に伝わる熱流量が測定される。
【0039】
図6は、図5に示される試験装置によって測定された各試料51,52の熱流量と、時間との関係を示すグラフである。グラフの縦軸は各試料51,52を介して各熱電対58,59に伝わる単位面積あたりの熱流量(cal/cm2 )を示し、横軸は上述した測定を開始してからの時間(秒)を対数で示している。曲線62は、試料51の熱流量と時間との関係を示す曲線である。また曲線63は、試料52の熱流量と時間との関係を示す曲線である。
【0040】
図6において、曲線63は、曲線62よりも右方にずれるような線形を示し、このことは所定の熱量が試料52を介して載置台54から熱電対59に伝わるのに必要な時間は、前記所定の熱量が試料51を介して載置台54から熱電対58に伝わるのに必要な時間よりも長いことを示している。したがって試料51を従来のルーバ部分とし、試料52を本発明のルーバ部分(基布23は省略される)とし、各熱電対58,59を人の手指27とした場合、本発明のように繊維部材20が植設される表層を有するカバー体19を設けることによってルーバ部分16から人の手指27に熱が伝わりにくくなることが明らかである。
【0041】
図6において、第1度火傷曲線64は、約200℃の熱源に人が接触したとき、灼熱感を伴った最も軽度の火傷である第1度火傷(紅斑性熱傷)となる熱流量と時間との関係を示す曲線である。この第1度火傷曲線64と各曲線62,63とが交差する各点における時間の値は、各試料51,52の一方表面側に皮膚で触れたときに第1度火傷となるまでに要する時間として求まる。また同様に図6において、第2度火傷曲線65は約200℃の熱源に人が接触したとき、火ぶくれを形成する程度の火傷である第2度火傷(水泡性熱傷)となる熱流量と時間との関係を示す曲線である。この第2度火傷曲線65と各曲線62,63とが交差する各点における時間の値は、各試料51,52の一方表面側に皮膚で触れたときに第2度火傷となるまでに要する時間として求める。
【0042】
表1は、上述のようにして求められた各試料51,52の第1度火傷、第2度火傷となるまでに要する時間を示す。
【0043】
【表1】
【0044】
試料51の場合、第1度火傷となるまでに2.4秒、第2度火傷となるまでに3.4秒の時間を要する。これに対し繊維層53を設けた構成である試料52の場合には、第1度火傷となるまでに9.0秒、第2度火傷となるまでに18.0秒の時間を要する。すなわち繊維層53を設けることによって、人が触れたときに人に熱が伝わりにくくし、第1度火傷および第2度火傷となるまでの時間を長くすることができる。したがって本発明の実施の一形態のようにルーバ15の表面にカバー体19を設けた温風暖房装置1は、カバー体19を設けていない従来の温風暖房装置と比較して熱による痛み方に数秒程度のタイムラグがあり、安全性が向上された構成である。
【0045】
上述したようにカバー体19の表層21を構成する各繊維部材20は、アラミド繊維から成る。表2は、メタ型アラミド繊維の1つであるポリ−m−フェニレンイソフタルアミド(以下MPIAと略記する)と、一般に耐熱性繊維として知られているナイロン繊維の1つである6,6−ナイロン(以下、N−66と略記する)との各物性値を示す。
【0046】
【表2】
【0047】
表2に示されるようにMPIAおよびN−66の標準時および湿潤時の引張り強さ、標準時および湿潤時の伸び率は同程度の値を有する。ただし、N−66はこれらの性能としてとる上限値と下限値との差が大きく、いずれの性能においてもMPIAの上限値はN−66の上限値よりも小さく、かつMPIAの下限値はN−66の下限値よりも大きい。したがってカバー体19の複数の繊維部材20としてMPIAを用いることによって、代わりに繊維部材20としてN−66を用いた構成と比較して、各繊維部材20での上述した引張り強さおよび伸び率は、ばらつきの差が小さく、安定している。
【0048】
またMPIAはN−66と比較してヤング率が高く、かつ線膨張係数が小さい。すなわちMPIAはN−66と比較して、外力および熱による繊維の軸線方向への歪みに対する応力が高い。したがって本実施の形態の温風暖房装置1に設けられるカバー体19の各繊維部材20としてMPIAを用いることによって、同様にN−66を用いた場合と比較して温風による外力および熱に対して劣化しにくく、上述したカバー体19としての作用を確実に達成することができる。
【0049】
さらにMPIAは、熱伝導率および比熱がN−66よりも低く、これによって上述のように各繊維部材20として用いた場合、N−66よりも各繊維部材20の基端部から遊端部20aにまで熱が伝わりにくい。したがって人が繊維部材20の遊端部20aに触れたときカバー体19を介してルーバ15の表面から伝わる熱流量を低下することができ、安全性がより向上される。
【0050】
さらにまた表2に示されるようにMPIAはN−66よりも融点が高く、これによってより高い温度の温風を吹出す温風暖房装置に対しても好適に用いることができ、本実施の形態のカバー体19をより高い暖房能力を有する温風暖房装置にも設けることができる。
【0051】
また図2に示されるように、ハウジング2の一方側の側面には、注意ラベル61が貼着され、ハウジング2の前壁7の吹出口5の上方に警告表示ラベル62が貼着される。注意ラベル61および警告表示ラベル62は、ハウジング2とは異なる色で形成され、温風暖房装置1を使用するにあたっての注意事項およびルーバ15が高温である警告が表示されている。これによって人は、注意を喚起されやすく、より安全性が向上される。
【0052】
本実施の形態においてはガスファンヒータについて実施した場合について述べたけれども、本発明はガスファンヒータに限らず、クリーンファンヒータおよび蒸気ストーブにも好適に実施される。
【0053】
また本実施の形態のカバー体19の複数の繊維部材20として、アラミド繊維を用いた場合について述べたけれども、各繊維部材20はアラミド繊維に限らず、ルーバ15よりも熱伝導率が低く、かつ吹出口5から吹出される温風の最高温度よりも高い耐熱性を有する繊維であればよく、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン繊維などを各繊維部材20として用いてもよい。またアラミド繊維との繊維性能を比較して挙げた6,6−ナイロンを各繊維部材20として用いてもよい。また上述したような耐熱性を有する繊維を2種以上混合して各繊維部材として用いてもよい。さらにまた各繊維部材20を示温塗料によって着色を施し、各繊維部材20の温度をその色によって目視して確認できるような構成としてもよい。
【0054】
また本実施の形態では、各繊維部材20は基布23に植設される構成であるけれども、ルーバ15の表面に直接各繊維部材20を植設するような構成であってもよい。また各繊維部材20は静電気が発生しにくく、埃が付着しにくい繊維を用いてもよい。
【0055】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、複数の繊維部材が植設されるカバー体が、ルーバの表面に設けられる。前記各繊維部材の分布密度は、たとえば隣接する各繊維部材間の間隔が乳幼児の手指よりも充分に小さくなるように設定される。これによって人の手指は、各繊維部材間に嵌り込んでルーバの表面に直接触れてしまうことがなく、触れるとしたら各繊維部材に触れる。各繊維部材は、ルーバと比べて熱伝導率の低い材料から成るので、人が各繊維部材に触れたとしても、ルーバに直接触れた場合と比較して、人に熱が伝わりにくく、火傷しにくくすることができ、安全性が向上される。各繊維部材はその軸線方向に沿った長さが0.4mm以上0.8mm以下に規定されるので、各繊維部材は、温風に対する吹出し抵抗を小さくすることができるとともに、人が手指などで触れたときに前記手指に熱を伝わりにくくすることができる。
【0056】
また各繊維部材間には、空隙が存在するので、人の手指が繊維部材に触れたとしても、たとえばカバー体が連続した板状である場合と比較して、手指とカバー体との接触面積が小さく、これによってカバー体から手指などに伝わる熱流量を少なくすることができるので、さらに火傷しにくくすることができ、安全性をより高く向上することができる。
【0057】
請求項2記載の本発明よれば、各繊維部材の少なくとも遊端部は、前記表面から離反した位置に配置されているので、熱がルーバの表面から各繊維部材の遊端部に伝わるためには、各繊維部材を軸線方向に伝熱しなければならず、前記遊端部にルーバの表面からの熱を伝わりにくくすることができる。仮に人がカバー体に触れるとき、各繊維部材の遊端部に接触することになるので、ルーバの表面から各繊維部材を介して人に伝わる熱流量を少なくすることができる。これによってさらに火傷しにくくすることができ、安全性をより高く向上することができる。
【0058】
請求項3記載の本発明によれば、カバー体は前記繊維部材が植設される基層材を有し、この基層材はルーバよりも低い熱伝導率を有する。このように各繊維部材とルーバの表面との間に、ルーバよりも熱伝導率の低い基層材を介在させる構成であるので、人が前記カバー体に触れたときに、ルーバの表面からカバー体を介して伝わる熱流量をより少なくすることができ、さらに火傷しにくくし、安全性をより高く向上することができる。
【0059】
また、基層材に複数の繊維部材が植設されるカバー体材料を準備し、このカバー体材料を既存の温風暖房装置のルーバの表面に固定することによって、本発明の温風暖房装置を容易に実現することができ、したがって既存の温風暖房装置を無駄にすることなく用いることができる。
【0060】
請求項4記載の本発明によれば、前記繊維部材として芳香族ポリアミド繊維であるアラミド繊維が用いられる。前記アラミド繊維の特性は熱伝導率が低いことであり、これによって各繊維部材の熱伝導率を低くすることができる。このような特性を有するアラミド繊維を本発明の繊維部材として用いることによって、人がカバー体に触れたときに、ルーバの表面からカバー体を介して伝わる熱流量をより少なくすることができ、安全性がより高く向上される。またこのようなアラミド繊維を繊維部材として用いることによって、他の繊維を用いる場合と比較して、カバー体の厚みを小さくしてルーバからの熱を同程度に伝わりにくくすることができ、カバー体を設けることによる温風の吹出し抵抗の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である温風暖房装置1の吹出口5付近を拡大して示す断面図である。
【図2】本発明の実施の一形態である温風暖房装置1を示す斜視図である。
【図3】図2の切断面線III−IIIから見た温風暖房装置1を簡略化して示す断面図である。
【図4】図1のセクションIVを拡大して示す断面図である。
【図5】本実施の形態の温風暖房装置1に設けられるカバー体19の表層21と同様の繊維層53の有無による熱流量の差異を測定するための試験装置を簡略化して示す図である。
【図6】図5に示される試験装置によって測定された各試料51,52の熱流量と、時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 温風暖房装置
2 ハウジング
5 吹出口
13 風向制御部材
15 ルーバ
16 ルーバ部分
19 カバー体
20 繊維部材
21 表層
22 基層
23 基布
24 接着層
Claims (4)
- 内部空間と外部空間とを連通する吹出口が形成されるハウジングと、吹出口から吹出される温風を予め定める吹出し方向に案内するルーバとを備える温風暖房装置において、
ルーバの表面にはカバー体が設けられ、
前記カバー体は、吹出口から吹出される温風の最高温度よりも高い耐熱性を有し、かつルーバよりも低い熱伝導率を有する複数の繊維部材が植設される表層を備え、各繊維部材はその軸線方向に沿った長さが0.4mm以上0.8mm以下に規定されることを特徴とする温度暖房装置。 - 前記繊維部材の少なくとも遊端部は、基端部が植設される表面から離反していることを特徴とする請求項1記載の温風暖房装置。
- 前記繊維部材は、ルーバよりも低い熱伝導率を有するシート状の基層材に植設されることを特徴とする請求項1または2記載の温風暖房装置。
- 前記繊維部材は、アラミド繊維から成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の温風暖房装置。
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