JP3783792B2 - 写真プリンタにおける画像処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーフィルムに記録されている画像を読み取って得られた3色画像データに基づいて上記画像をカラー感光材料に記録する写真プリンタにおいて、プリントのグレーバランス、明るさ、コントラストおよび彩度を最適に調整するための画像処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば特開平6−233052号公報に示されているように、カラーフィルムに記録されている画像を読み取って画素毎のR(赤)、G(緑)、B(青)3色濃度を示す画像データを得、これらの画像データに基づいて3色の光ビームの各々を変調し、これらの光ビームによりカラー感光材料を走査して該感光材料にカラー画像を記録する写真プリンタが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この種の写真プリンタにおいては、グレーバランスが崩れるという問題、つまり実際はグレー(無彩色)の被写体が、色味がかって感光材料に記録されるという問題が起こり得る。この問題は、グレーの被写体に関するR、G、B画像データは、本来互いに同一濃度を示すものとなっている筈であるのに、以下の理由でそのようになっていないために生じるものである。
【0004】
すなわち、通常のカラーネガフィルムは、面露光系を用いてプリントのために供されるのが一般的であり、そこで、そのような面露光系でのプリント時に露光量で濃度調整するために、グレー露光に対してC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)色素濃度が一定の差を持つように設計されている。したがって、このようなカラーネガフィルムを透過させた読取光を検出して得たR、G、B画像データは、当然、同一濃度を示すものとはならない。
【0005】
上記のC、M、Y色素濃度差が分かれば、それに基づいてR、G、Bの各画像データを補正して、グレーバランスを取ることも可能である。しかし、グレー露光したときのC、M、Y色素濃度差は、例えば図13の(a)と(b)に示すようにフィルム種によってまちまちであり、また現像処理条件によっても変化する。さらに、例えば昼光用フィルムに対して蛍光灯を用いる等、撮影光源が適切でない場合もあり、それによってC、M、Y色素濃度差が変化することもある。
【0006】
また、図13の(a)と(b)に示すように、グレー露光したときのC、M、Y色素濃度差が撮影露光量の全域に亘って一定になっていることを考慮すれば、例えばハイライト(全白)点やシャドー(全黒)点でのC、M、Y色素濃度差を実際に求め、それに基づいてR、G、Bの各画像データに適当なバイアス分を加えるように補正することも考えられるが、通常はそのようにしてもグレーバランスは取れない。以下、この点について図14を参照して説明する。
【0007】
カラーフィルムにおけるC、M、Yのいずれか1つの発色濃度と波長との関係は、図14の(a)に示すようなものとなる。ここで、4本の曲線は上のものほど露光量が大の場合を示している。そこで、同図(b)のように読取り感度のピークがそれぞれ波長S1 、S2 にある光検出器でフィルムの濃度を検出すると、露光量と検出濃度との関係は、同図(c)のように各光検出器によって異なることになる。したがって、C、M、Y色素濃度差が図13の(a)あるいは(b)に示すように撮影露光量の全域に亘って一定になっていても、R、G、Bの各画像データの差つまり検出濃度の差は、図14の(d)に示すように露光量に応じて変わってしまう。そこで、上述のようにシャドー点等でのC、M、Y色素濃度差を実際に求め、それに基づいてR、G、Bの各画像データに適当なバイアス分を加えるように補正しても、露光量の全域に亘ってグレーバランスを取ることはできないのである。
【0008】
さらに、撮影光源によって、グレー被写体に関する露光量がR、G、B間で同じになるとは限らないので、R、G、B画像データのうちの1つまたは2つだけが、カラーフィルムの発色特性の足または肩によってダイナミックレンジの圧縮を受けることがある。図15はこのことを示すものであり、図示のようにGとRの各露光量の範囲ΔG、ΔRが互いに等しくても、露光量が相違しているのでCだけが発色特性の足の部分にかかり、そのため、CとMの各発色濃度範囲ΔC、ΔMが異なってしまう。そうであると、R、Gの各画像データのダイナミックレンジが相違するので、上述のようにR、G、Bの各画像データに適当なバイアス分を加えるような補正を行なっても、露光量の全域に亘ってグレーバランスを取ることは不可能になる。
【0009】
一方、上述のような写真プリンタにおいては、適正露光で撮影されたフィルムのみならず、露光不足あるいは露光過剰で撮影されたフィルムから画像を読み取り、その画像を感光材料に記録することも当然有り得る。このように不適正な露光で撮影されたフィルムは、その特性曲線のいわゆる「足」あるいは「肩」の部分まで利用して写真像を記録しているので、そのフィルムを読み取って得た画像データをそのまま用いて感光材料に画像を記録すると、高明度域あるいは低明度域において記録像のコントラストが不十分となってしまう。
【0010】
そこで従来より、例えば特表平4−504944号に示されているように、不適正な露光で撮影されたフィルムを読み取って得た画像データを、フィルムの特性曲線の逆特性の非線形変換処理にかけ、この変換処理後の画像データに基づいて感光材料に画像を記録することが提案されている。
【0011】
このような非線形変換処理を行なえば、全明度域に亘って一律にコントラストを高める場合のように中明度域のコントラストが上がり過ぎることもなく、露光不足あるいは露光過剰で撮影されたフィルムから好ましい明るさのプリントを得ることができる。
【0012】
しかし、上述のような非線形変換処理を行なって、例えば露光不足のフィルムからのプリントのシャドー側(低明度域)の部分の階調を立てようとすると、そのようなグレー部分あるいはそれに近い部分を担っている画像データDR、DG、DB(それらは本来互いに近い値をとるものである)の各間の差が拡大され、そのため、仕上がったプリントにおいて、本来低彩度のグレーであるはずの部分に色が付いてしまうことがある。
【0013】
また、上述のような写真プリンタにおいては、画像データを単純に線形変換する等により、プリントの仕上がり明るさを容易に調整することができる。従来は、このようにしてプリントの明るさを調整する場合、3色画像データが示す画像の平均濃度を算出し、その平均濃度が所定のプリント濃度(例えば光学濃度で0.7 等)となるようにプリントの明るさを決定していた。
【0014】
しかし、このように画像の平均濃度に基づいてプリントの明るさを決定すると、被写体の濃度分布が統計的に偏っている場合や、主要被写体と背景の明るさが著しく異なる場合は、プリントが好ましい明るさに仕上がらないという問題が生じる。すなわち、例えば白の大きな看板が写されているような画像にあっては、プリントは全体的に黒っぽく仕上がってしまうし、また主要被写体が逆光撮影された画像にあっては、主要被写体が黒っぽく仕上がってしまう。
【0015】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、前述したような写真プリンタにおいて、プリントのグレーバランス、明るさ、コントラストおよび彩度を最適に調整することができる画像処理方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の写真プリンタにおける画像処理方法は、請求項1に記載の通り、前述したような写真プリンタにおいて、
各色濃度を示す画像データDR、DG、DBに、グレースケールを各色間でほぼ一定に揃えるキャリブレーション処理を施し、
次にこれらの画像データDR、DG、DBに、グレーの被写体を示すデータについては互いに同一濃度を示すものとなるように調整するグレーバランス調整処理を施し、
画像データDR、DG、DBに基づいて、カラーフィルムの露光状態を判定する処理を行ない、
次に上記グレーバランス調整処理を受けた後の画像データDR、DG、DBに対して、上記判定された露光状態に基づいて、カラーフィルムの撮影露光量対発色濃度特性の非線形性を補償する処理を施し、
この非線形性補償処理を受けた後の画像データDR、DG、DBに対して、撮影シーンの明るさ、色相および彩度に応じて定めた特性に従ってプリントの明るさを調整する処理を行なうことを特徴とするものである。
【0017】
なお上記のようなキャリブレーション処理としては、例えば請求項2に記載の通り、画像データDR、DG、DBの少なくとも1つに、グレーの被写体を示すデータについては濃度差が露光量によらずほぼ一定となるようになされる、変換特性が各色毎に固定されたγ(ガンマ)変換処理が適用される。
【0018】
また上記のグレーバランス調整処理としては、例えば請求項3に記載の通り、画像データDR、DG、DBを画像データD1、D2、D3(「1」、「2」、「3」がそれぞれ「R」、「G」、「B」のいずれか1つずつに対応)と表わしたとき、
画像データD1、D2、D3から画素毎の色情報を求め、彩度が所定値よりも高い高彩度画素および、その高彩度画素に隣接して該高彩度画素との色相差が所定値以内にある画素に関する画像データを画像データD1、D2、D3から除外して低彩度画素に関する画像データD1’、D2’、D3’を得、
これらの画像データD1’、D2’、D3’の各々におけるシャドー点D1s、D2s 、D3s およびハイライト点D1h 、D2h 、D3h を求め、
各色毎のシャドー点からハイライト点までのダイナミックレンジの差が、所定の許容値内に収まっていない場合は、このダイナミックレンジが各色間で同じとなるようにハイライト点D1h 、D2h あるいはD3h を修正し、
画素毎に対応している画像データ(D1’,D2’)のうち、D1’,D2’の一方が等しい画像データについて他方を平均してなる画像データ(D1”,D2”)の集合と、画素毎に対応している画像データ(D3’,D2’)のうち、D3’,D2’の一方が等しい画像データについて他方を平均してなる画像データ(D3”,D2”)の集合とを求め、
2色に関する画像データ(D1”,D2”)の集合とシャドー点(D1s ,D2s )およびハイライト点(D1h ,D2h )から、画像データ(D1,D2)が示すこれら2色の濃度間の関係を求め、この関係に基づいて画像データD1とD2の少なくとも一方をその全域に亘って他方と等しくなるように線形変換し、
2色に関する画像データ(D3”,D2”)の集合とシャドー点(D3s ,D2s )およびハイライト点(D3h ,D2h )から、画像データ(D3,D2)が示すこれら2色の濃度間の関係を求め、この関係に基づいて画像データD3とD2の少なくとも一方をその全域に亘って他方と等しくなるように線形変換する処理が適用される。
【0019】
上述した請求項3に記載のグレーバランス調整方法が適用される場合は、請求項4に記載の通り、低彩度画素の中で特定の第1の色相にある画素を選択して、それらの画素についての画像データD1’、D2’、D3’から画像データ(D1’,D2’)を求め、低彩度画素の中で第1の色相とは異なる特定の第2の色相にある画素を選択して、それらの画素についての画像データD1’、D2’、D3’から画像データ(D3’,D2’)を求めるのが望ましい。
【0020】
そしてこのように色相選択する場合、請求項5に記載の通り、画像データD1がR(赤)濃度を示し、画像データD2がG(緑)濃度を示し、画像データD3がB(青)濃度を示すものであるときは、第1の色相にある画素つまりG濃度とR濃度間の関係を求めるための画素として青色相とイエロー色相にある画素が選択され、第2の色相にある画素つまりG濃度とB濃度間の関係を求めるための画素として赤色相とシアン色相にある画素が選択される。
【0021】
また上述した請求項3に記載のグレーバランス調整方法が適用される場合、画像データの線形変換は、例えば請求項6に記載のようになされる。つまり、前述した2色に関する画像データ(D1”,D2”)の集合とシャドー点(D1s ,D2s )およびハイライト点(D1h ,D2h )から求められた2色の濃度間の関係がX−Y座標系においてY=α1 ・X+β1 で与えられるとき、画像データD2は無変換とし、画像データD1をD1c =α1 ・D1+β1 なる画像データD1c に線形変換する。同様に、2色に関する画像データ(D3”,D2”)の集合とシャドー点(D3s ,D2s )およびハイライト点(D3h ,D2h )から求められた2色の濃度間の関係がX−Y座標系においてY=α3 ・X+β3 で与えられるとき、画像データD2は無変換とし、画像データD3をD3c =α3 ・D3+β3 なる画像データD3c に線形変換する。
【0022】
一方、本発明の画像処理方法において、上記カラーフィルムの露光状態を判定する処理としては、例えば請求項7に記載の通り、
画像データDR、DG、DBのヒストグラムを求め、
このヒストグラムにおける特定点の濃度値と、画像データDR、DG、DBのダイナミックレンジとを求め、
前記特定点の濃度値が第1の所定濃度値よりも小で、かつ、前記ダイナミックレンジが所定値よりも小のときに露光不足と判定し、
前記特定点の濃度値が第2の所定濃度値よりも大で、かつ、前記ダイナミックレンジが所定値よりも小のときに露光過剰と判定する処理が適用される。
【0023】
また、本発明の画像処理方法において、カラーフィルムの撮影露光量対発色濃度特性の非線形性を補償する処理としては、例えば請求項8に記載の通り、
画像データDR、DG、DBを、画素毎の色相、明度および彩度を示すデータに変換し、
この明度を示すデータに対して、カラーフィルムの撮影露光量対発色濃度特性の逆特性の適用範囲を前記判定された露光状態に基づいて定めて、該逆特性に従って明度を上下させる変換処理を施し、
上記彩度を示すデータに対して、上記明度を上下させる変換処理とは独立して彩度を上下させる変換処理を施し、
これらの変換処理後の明度を示すデータ、彩度を示すデータおよび上記色相を示すデータを、画素毎の赤、緑、青各色濃度を示す画像データに変換する処理が適用される。
【0024】
またカラーフィルムの撮影露光量対発色濃度特性の非線形性を補償する処理としては、上記のもの以外に、例えば請求項8に記載の通り、
画像データDR、DG、DBに対して、それらが示す明度を明度域の一部において変化させる第1および第2の非線形変換処理を行ない、
これらの非線形変換処理の間、および第2の非線形変換処理が終了した後にそれぞれ、画像データDR、DG、DBが示す彩度を全体的に変化させる第1および第2のマトリクス処理を行ない、
これら2回のマトリクス処理は、一方が彩度を上げる処理で他方が彩度を下げる処理とし、
上記2回の非線形変換処理は、その特性を上記判定された露光状態に基づいて定めて、双方合わせてカラーフィルムの撮影露光量対発色濃度特性の非線形性を補償する特性のものとした処理を適用することもできる。
【0025】
なお上述の第2のマトリクス処理は、請求項10に記載の通り、第1のマトリクス処理に用いたマトリクスの逆マトリクスを用いて行なうのが望ましい。
【0026】
他方、本発明の画像処理方法において、プリントの明るさを調整する処理としては、例えば請求項11に記載の通り、
画像データDR、DG、DBに基づいて、明るさがシャドーに近い第1の所定明るさ以下あるいはハイライトに近い第2の所定明るさ以上で、かつ彩度が所定彩度以下の画素を検出し、
この検出画素および、その画素とともに画像中の連続領域を構成して該画素との色差が所定値以内にある画素に関する画像データを画像データDR、DG、DBから除外して画像データDR’、DG’、DB’を得、
1画像に関する前記画像データDR’、DG’、DB’が示す平均的濃度に基づいてその画像のプリント明るさを調整する処理が適用される。
【0027】
その他にこのプリントの明るさを調整する処理としては、例えば請求項12に記載の通り、
1画像に関する画像データDR、DG、DBが示す平均的濃度に基づいてその画像のプリント明るさを調整し、
上記平均的濃度を求めるに当たって、画像データDR、DG、DBに基づいて、互いの色差が所定値内に収まっていて画像中の連続領域を構成する複数画素からなる画素グループを求め、
この画素グループを構成する画素数が所定数を超える場合は、該所定数を超える分の数の画素の画像データDR、DG、DBに対する、上記平均的濃度を求める上での重み付けを低下させるようにした処理を適用することもできる。
【0028】
またこのプリントの明るさを調整する処理としては、例えば請求項13に記載の通り、
1画像に関する画像データDR、DG、DBが示す平均的濃度に基づいてその画像のプリント明るさを調整し、
上記平均的濃度を求めるに当たって、画像データDR、DG、DBの3次元ヒストグラムを作成し、
この3次元ヒストグラム内において一定の画像データDR、DG、DBの幅で規定されたユニットのそれぞれに含まれる画素数を求め、
1つのユニットに含まれる画素数が所定数を超える場合は、該所定数を超える分の数の画素の画像データDR、DG、DBに対する、上記平均的濃度を求める上での重み付けを低下させるようにした処理を適用することもできる。
【0029】
さらに、このプリントの明るさを調整する処理としては、例えば請求項14に記載の通り、請求項11に記載の処理と請求項12に記載の処理とを組み合わせた処理、すなわち、
画像データDR、DG、DBに基づいて、明るさがシャドーに近い第1の所定明るさ以下あるいはハイライトに近い第2の所定明るさ以上で、かつ彩度が所定彩度以下の画素を検出し、
この検出画素および、その画素とともに画像中の連続領域を構成して該画素との色差が所定値以内にある画素に関する画像データを画像データDR、DG、DBから除外して画像データDR’、DG’、DB’を得、
1画像に関する上記画像データDR’、DG’、DB’が示す平均的濃度に基づいてその画像のプリント明るさを調整し、
上記平均的濃度を求めるに当たって、画像データDR’、DG’、DB’に基づいて、互いの色差が所定値内に収まっていて画像中の連続領域を構成する複数画素からなる画素グループを求め、
この画素グループを構成する画素数が所定数を超える場合は、該所定数を超える分の数の画素の画像データDR’、DG’、DB’に対する、上記平均的濃度を求める上での重み付けを低下させるようにした処理が適用されてもよい。
【0030】
さらに、このプリントの明るさを調整する処理としては、例えば請求項15に記載の通り、請求項11に記載の処理と請求項13に記載の処理とを組み合わせた処理、すなわち、
画像データDR、DG、DBに基づいて、明るさがシャドーに近い第1の所定明るさ以下あるいはハイライトに近い第2の所定明るさ以上で、かつ彩度が所定彩度以下の画素を検出し、
この検出画素および、その画素とともに画像中の連続領域を構成して該画素との色差が所定値以内にある画素に関する画像データを画像データDR、DG、DBから除外して画像データDR’、DG’、DB’を得、
1画像に関する上記画像データDR’、DG’、DB’が示す平均的濃度に基づいてその画像のプリント明るさを調整し、
上記平均的濃度を求めるに当たって、画像データDR’、DG’、DB’の3次元ヒストグラムを作成し、
この3次元ヒストグラム内において一定の画像データDR’、DG’、DB’の幅で規定されたユニットのそれぞれに含まれる画素数を求め、
1つのユニットに含まれる画素数が所定数を超える場合は、該所定数を超える分の数の画素の画像データDR’、DG’、DB’に対する、上記平均的濃度を求める上での重み付けを低下させるようにした処理を適用することもできる。
【0031】
また本発明の画像処理方法においては、請求項16に記載の通り、前述の非線形性補償処理を受けた後の画像データDR、DG、DBに対して、撮影シーンの明るさ、色相および彩度に応じて定めた特性に従ってプリントのコントラストを調整する処理を施すのが望ましい。
【0032】
【発明の効果】
上記構成を有する本発明の画像処理方法は、各色濃度を示す画像データDR、DG、DBに、グレーの被写体を示すデータについては互いに同一濃度を示すものとなるように調整する処理を施すようにしたので、本方法によれば、プリントにおいてグレー(無彩色)の被写体が色味がかって仕上げられることを防止できる。
【0033】
また本発明の画像処理方法は、画像データDR、DG、DBに対して、判定された露光状態に基づいてカラーフィルムの撮影露光量対発色濃度特性の非線形性を補償する処理を施すようにしたので、本方法によれば、露光不足や露光過剰で撮影されたフィルムの画像をプリントする場合に、コントラスト不足になりがちな明度域のコントラストを改善することができる。
【0034】
さらに本発明の画像処理方法は、画像データDR、DG、DBに対して、撮影シーンの明るさ、色相および彩度に応じて定めた特性に従ってプリントの明るさを調整する処理を行なうようにしたので、被写体の濃度分布が統計的に偏っている場合や、主要被写体と背景の明るさが著しく異なるような場合でも、プリントを撮影シーンに応じて好ましい明るさに仕上げることができる。
【0035】
そして、特にグレーバランス調整処理として請求項3に記載の処理を適用する場合は、画像データD1、D2、D3の各シャドー点D1s 、D2s 、D3s が互いに等しくなり、また各ハイライト点D1h 、D2h 、D3h が互いに等しくなるように画像データD1とD2の一方を、また画像データD3とD2の一方を線形変換するだけでなく、画像データD1、D2、D3のうちの低彩度画素に関する画像データD1’、D2’、D3’も用いて上記線形変換を行なうようにしているので、例えば静物の接写画像等、ハイライトシーンがないような画像についてもグレーバランスを調整できるものとなる。
【0036】
また、請求項3に記載のグレーバランス調整処理は、画像データを線形変換してグレーバランスを調整するものであるから、特にこのグレーバランス調整処理を適用する場合は、先に図14や図15を参照して説明したようにR、G、Bの各画像データに適当なバイアス分を加えるだけでは露光量の全域に亘ってグレーバランスを取ることができない場合においても、グレーバランスを取ることができる。
【0037】
また請求項3に記載のグレーバランス調整処理は、上記低彩度画素に関する画像データD1’、D2’、D3’をそのまま用いるのではなく、画像データ(D1’,D2’)の一方の同一値毎に他方を平均してなる画像データ(D1”,D2”)の集合と、画像データ(D3’,D2’)の一方の同一値毎に他方を平均してなる画像データ(D3”,D2”)を用いているので、特にこのグレーバランス調整処理を適用する場合は、画像データD1’、D2’、D3’の分布に偏りがあるような場合でも、その影響を排除して、グレーバランスを正しく調整可能となる。
【0038】
また請求項3に記載のグレーバランス調整処理は、上記の低彩度画素に関する画像データD1’、D2’、D3’を求めるに当たり、高彩度画素に隣接して該高彩度画素との色相差が所定値以内にある画素に関する画像データを画像データD1、D2、D3から除外するようにしているので(つまり色情報だけではなく、位置情報も加味した上で高彩度画素と考えられる画素に関する画像データを画像データD1、D2、D3から除外しているので)、グレーバランス調整に有用である低彩度画素の画像データD1’、D2’、D3’のみを正確に抽出可能であり、したがって特に請求項3に記載のグレーバランス調整処理を適用する場合は、この点からもグレーバランスを正しく調整できるようになる。
【0039】
さらに請求項3に記載のグレーバランス調整処理は、各色毎のシャドー点からハイライト点までのダイナミックレンジの差が、所定の許容値内に収まっていない場合は、このダイナミックレンジが各色間で同じとなるようにハイライト点D1h 、D2h あるいはD3h を修正しているので、特にこのグレーバランス調整処理を適用する場合は、実際にはハイライト点が無いような画像、例えば静物を接写したような画像においてハイライト点を誤検出した際に、そのままグレーバランス調整を行なって調整に失敗することも防止できる。
【0040】
他方、本発明の画像処理方法においては、上述のようなグレーバランス調整処理を行なう前に、各色濃度を示す画像データDR、DG、DBに、グレースケールを各色間でほぼ一定に揃えるキャリブレーション処理を施しているので、グレーバランス調整処理以降の処理における演算の負荷を軽減することができる。
【0041】
また本発明の画像処理方法において、請求項4に記載した特定色相の画素の選択を行なうと、いわゆるカラーフェリア(被写体の色によるsubject failure )が回避されて、グレーバランスを正しく調整できるようになる。
【0042】
一方、本発明の画像処理方法において、特に請求項7に記載した露光状態判定処理を適用する場合は、カラーフィルムの露光状態を正確に判定可能となり、したがって、この判定結果に基づいてなされるカラーフィルムの撮影露光量対発色濃度特性の非線形性を補償する処理を適正に行なうことができる。以下、請求項7に記載した露光状態判定処理により、カラーフィルムの露光状態を正確に判定可能である理由を詳しく説明する。
【0043】
カラーフィルムに記録されている写真を読み取って得た画像データが示す濃度値が全体的にかなり小さければ、その写真は露光不足で撮影されたものである可能性が高い。反対に、カラーフィルムに記録されている写真を読み取って得た画像データが示す濃度値が全体的にかなり大きければ、その写真は露光過剰で撮影されたものである可能性が高い。
【0044】
そこで基本的には、画像データのヒストグラムにおける特定点の濃度値が、適当に定めた第1の所定濃度値よりも小ならば露光不足、該特定点の濃度値が、適当に定めた第2の所定濃度値よりも大ならば露光過剰と考えることができるが、この特定点の濃度値はカラーフィルムのベース濃度に応じて異なるので、この特定点の濃度値のみに基づいて露光状態を判定すると、誤った判定をしてしまう恐れもある。
【0045】
他方、カラーフィルムを読み取って得た画像データのダイナミックレンジがある程度大きければ、その写真はフィルム特性曲線の線形の部分のみを利用して撮影されたものである可能性が高い。それに対して、このダイナミックレンジが通常より小さい場合、その写真は露光不足や露光過剰でフィルム特性曲線の「足」あるいは「肩」の部分まで利用したために、ダイナミックレンジが圧縮されていると考えることができる。
【0046】
そこで、画像データのヒストグラムにおける特定点の濃度値のみから露光状態を判定せずに、この画像データのダイナミックレンジが所定値よりも小であるということも露光不足あるいは露光過剰の判定条件とすれば、露光不足あるいは露光過剰を正確に判定できるようになる。
【0047】
また、請求項8に記載したカラーフィルムの撮影露光量対発色濃度特性の非線形性を補償する処理においては、画素毎の赤、緑、青各色濃度を示す画像データDR、DG、DBを、画素毎の色相、明度および彩度を示すデータに変換してから、明度を示すデータおよび彩度を示すデータに対して、それぞれ明度を上下させる変換処理、彩度を上下させる変換処理を施すようにしているので、写真プリントの明るさおよび彩度を、互いに影響を及ぼさずに自由に調整可能となる。
【0048】
したがって、特にこの処理を本発明の画像処理方法に適用した場合は、例えば露光不足で撮影されたフィルムの画像をプリントする場合は、低明度域の階調を立ててコントラストを改善する一方、低彩度画素の彩度を落として、前述した粒状に色が付く事態を防止することもできる。
【0049】
また一般的な写真フィルムにあっては、露光過剰で撮影された場合に高彩度画素の彩度が低下するという現象が認められるが、上述のようにしてプリントの明るさおよび彩度を独立に調整可能であれば、露光過剰のフィルムの画像をプリントする場合は、高明度域の階調を立ててコントラストを改善する一方、高彩度画素の彩度を高めて、露光過剰による彩度低下を補償することも可能となる。
【0050】
他方、請求項9に記載したカラーフィルムの撮影露光量対発色濃度特性の非線形性を補償する処理においては、彩度を全体的に上げ下げする第1および第2のマトリクス処理のそれぞれを行なう前に、明度を明度域の一部において変化させる非線形変換処理を行なっているので、これらの非線形変換処理のために、彩度域の一部において彩度変化が制限されたりあるいは強調されるようになる。そこで、これら2回のマトリクス処理と2回の非線形変換処理の組み合わせにより、所望の彩度域で彩度を自由に調整できるようになり、また中程度の彩度領域では彩度の上げ下げが互いに相殺されるようにして、彩度を元のままに保つことも可能となる。
【0051】
またこの請求項9に記載したカラーフィルムの撮影露光量対発色濃度特性の非線形性を補償する処理においては、第1のマトリクス処理の前後になされる2回の非線形変換処理の組み合わせにより、所望の明度域で明度を自由に調整することができる。これら2回の非線形変換処理のうちの少なくとも一方の変換特性には、上述の通り彩度域の一部において彩度変化を制限したりあるいは強調するようになる特性を含ませることが必要であるが、そのような特性は、2回の非線形変換処理の組み合わせにより打ち消すことができるから、彩度調整の点から制限されるようなこともなく、明度を自由に調整することができる。
【0052】
したがって、この請求項9に記載した非線形性補償処理を本発明の画像処理方法に適用した場合も、請求項8に記載した処理を適用する場合と同様、露光不足や露光過剰で撮影されたフィルムの画像をプリントする場合に、コントラスト不足になりがちな明度域のコントラストを改善すると同時に、低彩度画素の彩度を落としたり、高彩度画素の彩度を高めることが可能となる。
【0053】
なお上記請求項9に記載した非線形性補償処理において、請求項10に記載のように、第2のマトリクス処理を、第1のマトリクス処理に用いたマトリクスの逆マトリクスを用いて行なえば、彩度を変化させたくない彩度域においては、これら2回のマトリクス処理による効果を完全に相殺させることができるから、彩度変化が全く生じないようにすることができる。
【0054】
一方、本発明の画像処理方法において、プリントの明るさを調整する処理として、請求項11、12、13、14および15に記載した処理を適用する場合は、被写体の濃度分布が統計的に偏っている場合や、主要被写体と背景の明るさが著しく異なる場合でも、特にプリントを好ましい明るさに仕上げることができる。以下、その理由を詳しく説明する。
【0055】
請求項11に記載した明るさ調整処理において検出する、明るさがシャドーに近い第1の所定明るさ以下で、かつ彩度が所定彩度以下である画素、および、その画素とともに画像中の連続領域を構成して該画素との色差が所定値以内にある画素は、例えば夜間ストロボ撮影された画像中の背景部等を示しているものである。また、明るさがハイライトに近い第2の所定明るさ以上で、かつ彩度が所定彩度以下である画素、および、その画素とともに画像中の連続領域を構成して該画素との色差が所定値以内にある画素は、例えば逆光撮影された画像中の背景部等を示しているものである。
【0056】
そこで、このような画素に関する画像データを画像データDR、DG、DBから除外して画像データDR’、DG’、DB’を得、1画像に関するこれら画像データDR’、DG’、DB’が示す平均的濃度に基づいてその画像のプリント明るさを調整すれば、上述のような背景部がプリント明るさの決定に関与することがなくなり、プリントが好ましい明るさに仕上げられるようになる。
【0057】
一方請求項12に記載した明るさ調整処理において求める、互いの色差が所定値内に収まっていて画像中の連続領域を構成する複数画素からなる画素グループは、画像の平均的濃度を求める上で統計的に大きな影響を与える被写体、つまり例えば撮影シーンの中の大きな看板等を示すものである。このような被写体についての画像データも、画像の平均的濃度を求める上で使用しなければならないことは勿論であるが、その被写体が著しく大きいと画像の平均的濃度がこの被写体により著しく左右されて、プリント明るさが不適切になるという前述の問題が生じる。
【0058】
そこで、上記の画素グループを構成する画素数が所定数を超える場合は、該所定数を超える分の数の画素の画像データDR、DG、DBに対する、上記平均的濃度を求める上での重み付けを低下させれば、この平均的濃度が上記看板等の被写体によって著しく左右されることがなくなり、プリントが好ましい明るさに仕上げられるようになる。
【0059】
また請求項13に記載した明るさ調整処理において、3次元ヒストグラム内の1つのユニットに含まれる画素(つまりそのユニット内に画像データDR、DG、DBの値がプロットされる画素)は、画像データDR、DG、DBの値が互いに近いものどうしである。したがって、上述した撮影シーンの中の大きな看板等についての画素はすべて、基本的に1つのユニットに含まれることになる。
【0060】
そこで、1つのユニットに含まれる画素数が所定数を超える場合には、該所定数を超える分の数の画素の画像データDR、DG、DBに対する、上記平均的濃度を求める上での重み付けを低下させれば、請求項12に記載した明るさ調整処理と同様に、この平均的濃度が上記看板等の被写体によって著しく左右されることがなくなり、プリントが好ましい明るさに仕上げられるようになる。
【0061】
また請求項14に記載した明るさ調整処理は、上述のような効果を奏する請求項11および12に記載の各処理を組み合わせたものであるから、夜間ストロボ撮影やあるいは逆光撮影された写真のプリントも、また大きな看板が写し込まれたような写真のプリントも、すべて好ましい明るさで仕上げることが可能となる。この点は、請求項11および13に記載の各処理を組み合わせてなる請求項15に記載の明るさ調整処理においても同様である。
【0062】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳しく説明する。図1は、本発明の方法により画像処理を行なうデジタル写真プリンタの一例を示しており、また図2は、この画像処理におけるグレーバランス調整処理までの流れを示すものである。
【0063】
図1に示すデジタル写真プリンタは、カラー写真フィルム10の端部に貼付されたチェックテープに記載されたフィルム番号を読み取るスキャナ20と、写真フィルム10の撮影コマ11毎に形成されたバーコードを読み取るバーコードリーダ21と、フィルム10のパーフォレーションと噛合しつつ回転してフィルム10を搬送するスプロケット22と、スプロケット22を駆動するモータ23と、スキャナ20により読み取られたフィルム番号およびバーコードリーダ21により読み取られたコマ番号をデータバスに送るとともに、モータ23の駆動制御信号をモータ23に送るフィルムスキャナ制御インターフェース(I/F)40とを有している。
【0064】
またこのデジタル写真プリンタは、白色光を発する光源31、調光ユニット32、色分解ユニット33および拡散ボックス34からなり、フィルム10の撮影コマ11に読取光を照射する光源ユニット30と、この光源ユニット30からの読取光が照射された撮影コマ11に記録されている画像(透過画像)をレンズ51を介して光電的に読み取るCCD52と、このCCD52が出力する画像信号をデジタル画像データに変換するA/D変換器53と、このA/D変換器53から出力されたデジタル画像データに対して画像処理を施してフレームメモリ55に出力する第1の画像処理装置54と、フレームメモリ55に一旦記憶された画像処理済みのデジタル画像データに対して必要に応じて画像処理パラメータの変更された画像処理を施す第2の画像処理装置56と、画像処理済みのデジタル画像データに基づいた変調信号を出力する変調器ドライバ57とを備えている。
【0065】
さらにこのデジタル写真プリンタは、上記変調器ドライバ57が出力する変調信号に基づいた可視画像を再生するプリンタ60と、プリンタ制御I/F58と、フレームメモリ55に記憶されたデジタル画像データをデータバスを介して記憶するハードディスク75と、上記デジタル画像データに基づく可視画像を必要に応じて再生し、また画像処理条件等を表示するCRTモニタ71と、表示I/F70と、画像処理条件、画像処理条件の補正値、画像検索用情報等を入力するキーボード73と、キーボードI/F72と、CPU(中央処理装置)74と、他のデジタル写真プリンタシステムと通信回線を介して接続する通信ポート76と、プリンタ60により再生された写真プリントを検査する検品場所に配置されて必要に応じて焼直し指示を入力するキーボード78と、キーボードI/F77とを備えている。上記CPU74は、スキャナ20およびバーコードリーダ21により読み取られたフィルム番号およびコマ番号からなる画像検索用情報と、画像処理装置54から入力された画像処理条件と、フレームメモリ55から入力されたデジタル画像データとを対応付けしてハードディスク75に記憶させ、またキーボード73から入力された画像検索用情報に対応する画像に関するデジタル画像データをハードディスク75から検索制御し、さらに、データバスに接続された各機器を制御する。
【0066】
上記プリンタ60は、詳しくは、プリント部と現像処理部と乾燥部とから構成されている。プリント部は、長尺の印画紙90をロール状にして貯蔵するマガジン62と、変調器ドライバ57が出力する変調信号に基づいて露光光を変調し、この露光光により印画紙90を長手方向と直角な方向に走査(主走査)する露光スキャナ61と、印画紙90に位置決め用の基準孔を穿孔するホールパンチユニット63と、この基準孔を基準として印画紙90を副走査方向(長手方向)に搬送する副走査ドライブ系64と、プリンタ制御I/F58を介して入力された画像検索用情報を印画紙90の裏面に印字する裏印字ユニット65とから構成されている。
【0067】
一方乾燥部は、通常の乾燥手段に加えて、乾燥の完了した露光済みの印画紙 (写真プリント)90を1枚ずつ切断するカッター66と、この1枚ずつ切断された写真プリント90を整列して並べるソーター67とを備えている。
【0068】
次に、このデジタル写真プリンタの作用について説明する。まず、CPU74はフィルムスキャナ制御I/F40を介してモータ23を駆動し、モータ23に連結されたスプロケット22が回転してフィルム10を搬送する。このフィルム10の搬送中に、チェックテープに記載のフィルム番号がスキャナ20により読み取られて、CPU74に入力される。また同様に、バーコードリーダ21が撮影コマ11毎に設けられたコマ番号を示すバーコードを読み取り、その読み取った内容がフィルムスキャナ制御I/F40を介してCPU74に入力される。
【0069】
バーコードが読み取られた撮影コマ11には、光源ユニット30から光が照射され、そのコマに記録されている画像がレンズ51によってCCD52上に結像される。CCD52はこの画像を読み取り、その出力信号はA/D変換器53によってデジタル化されて、画素毎のデジタル画像データが得られる。
【0070】
この際、光源31からの光の光路に色分解ユニット33のR(赤)、G(緑)およびB(青)の各色フィルタが順次挿入され、その都度CCD52による画像読取りがなされる。そこでA/D変換器53からは、画素毎の各色濃度を示すデジタル画像データD1、D2、D3が得られる。なお本例では、デジタル画像データD1、D2、D3がそれぞれ赤、緑、青色濃度を示すものとし、以下ではそれらを各々画像データDR、DG、DBと称することする。
【0071】
第1の画像処理装置54は、入力されたデジタル画像データDR、DG、DBがネガ画像に関するものである場合はそれらに反転処理を施すとともに、後に該画像データDR、DG、DBにより写真プリントに可視画像を再生したときに最適な濃度、階調、色、シャープネスとなるように、画像データに対して予め設定された画像処理アルゴリズムに従った画像処理を施し、フレームメモリ55にその処理済みの画像データを出力する。
【0072】
なお厳密には、画像データDR、DG、DBそのものではなく、グレーバランス調整処理を受けた後の画像データに上記反転処理や画像処理が施されるものであるが、その点については後述する。
【0073】
フレームメモリ55に入力された画像データは、そこに一旦記憶されるとともに、データバスを通じてCPU74にも入力される。そこで、読み取った画像が最適な濃度、階調となるように、データバスを介して入力された画像データに基づいてCPU74がCCD52のダイナミックレンジ等を最適に調整したり、あるいは光源ユニット30による照射光量を最適に調整することが可能となる。
【0074】
一方、フレームメモリ55に記憶された画像データはデータバスを介してCRTモニタ71に入力され、CRTモニタ71はこの画像データに基づいて可視画像を表示する。そこで、この表示画像を操作者(または受注者)が観察し、必要に応じてより最適な濃度、階調、色、シャープネスの可視画像が再生されるように、画像処理の補正量をキーボード73から入力することができる。
【0075】
キーボード73から入力された補正量は第2の画像処理装置56に入力される。第2の画像処理装置56はフレームメモリ55に記憶された画像データに対して、上記補正量に応じた画像処理を施し、変調器ドライバー57に画像処理を施した画像データを出力する。補正の必要がない場合には第2の画像処理装置56はフレームメモリ55に記憶された画像データをそのまま変調器ドライバー57に出力する。
【0076】
プリンタ60は、プリンタ制御I/F58を介してCPU74により駆動制御される。すなわちプリント部では、まず副走査ドライブ系64が、マガジン62から所定の搬送通路に沿って延びる印画紙90を副走査方向に搬送する。搬送通路上に設けられたホールパンチユニット63は、例えば写真プリント1枚分の送り量に相当する長さ間隔毎に、印画紙90の側縁部付近に同期基準となる基準孔を穿孔する。プリンタ60においては、この基準孔を同期基準として印画紙90が搬送される。
【0077】
印画紙90は、露光スキャナ61が発する画像データに基づいて変調された赤、緑および青の3色光により主走査され、また上記のように搬送されることによって副走査され、そこでこの印画紙90には画像データに基づく可視画像が走査露光される。なお印画紙搬送速度はCPU74によって制御され、主走査と副走査の同期が取られる。
【0078】
その後印画紙90は、プリント部から搬送通路に沿って現像処理部に搬送され、ここで所定の現像処理および水洗処理を受けた後、乾燥部に送られる。乾燥部では、現像処理部で水洗処理された印画紙90を乾燥処理し、乾燥の完了した印画紙90はカッター66により、基準孔を同期の基準とした写真プリントの1枚の大きさに対応したピースに切り分けられる。
【0079】
ここで第1の画像処理装置54は、デジタル画像データDR、DG、DBに、グレーの被写体を示すデータについては互いに同一濃度を示すものとなるように調整する処理を施す。以下、このグレーバランス調整処理について、その処理の流れを示す図2を参照して説明する。
【0080】
まず画像データDR、DG、DBは、それぞれ固有のルックアップテーブルに基づいてγ(ガンマ)変換処理にかけられる(図2のステップP1:以下同様)。このγ変換処理は、グレーの被写体を示す各画像データDR、DG、DBデータにあっては、図3の(a)に示すように、各データが示す濃度の差が露光量に応じて変化しているところ、同図(b)のように濃度差が露光量によらずほぼ一定となるように、各画像データDR、DG、DBを固有の変換特性に従って変換するものである。ここで上記ルックアップテーブルとしては、フィルム種によらず一定のものが用いられる。
【0081】
なお、このγ変換処理を行なうことにより、グレースケールが各色間でほぼ一定になり、後の処理における演算の負荷を軽減することができる。
【0082】
以上のγ変換処理後の画像データDRa、DGa、DBaには、高彩度画素についてのデータも勿論含まれており、グレーバランス調整のためにはそれら高彩度画素を除外した残りの画素についての画像データを用いる必要がある。そこで、高彩度画素を特定するために各画素の特性値(明るさ、色相、彩度)を求めるが、そのためにまず、画像データDRa、DGaおよびDBaを規格化する。
【0083】
この規格化に際しては、最初に画像データDRa、DGa、DBaの各々のヒストグラムを作成し、各ヒストグラムにおける画像データの最大値および最小値を求める(ステップP2)。このヒストグラムおよび、それにおける最大値、最小値の例を図4に示す。
【0084】
次いで画像データDRa、DGa、DBaを、それぞれに関する上記最大値および最小値に基づいて規格化する(ステップP3)。この規格化は一例として、
規格化画像データ=100 ×(画像データ−最小値)÷(最大値−最小値)
として行なう。
【0085】
このように画像データDRa、DGa、DBaをそれぞれ規格化して、規格化画像データDRb、DGb、DBbが得られたならば、これらの規格化画像データDRb、DGb、DBbが示す特性値(明るさ、色相、彩度)を全画素について求める(ステップP4)。
【0086】
この場合各画素の明るさは、例えば、
明るさ=(DRb+DGb+DBb)÷3
として求める。
【0087】
一方、色相および彩度の色情報は、以下のようにして規定する。図5に示すRGB濃度空間を考え、このRGB濃度空間において(DRb,DGb,DBb)が示す濃度点を全て平面ψに写像する。この平面ψは、R+G+B=0で示される平面、すなわち直線Qに垂直で原点(0,0,0)を含む面である。そして、このように規定した色差平面ψ上に図6のようなx−y座標系を設定し、ある画素に関する規格化画像データによる濃度点の写像がPであるとき、この画素に関する色相は原点および点Pを通る直線がx軸となす角度θで、また彩度は点Pの原点からの距離Lによって規定する。
【0088】
なお実際には、規格化画像データDRb、DGb、DBbの組合わせと対応させて角度θおよび距離Lを定めたテーブルを予め作成しておき、このテーブルを参照して規格化画像データDRb、DGb、DBbの値から角度θおよび距離Lを求めるようにしておくと便利である。
【0089】
以上のようにして、規格化画像データDRb、DGb、DBbが示す特性値 (明るさ、色相、彩度)を全画素について求めたならば、次にこれらの特性値に基づいて、彩度が所定値よりも高い高彩度画素を特定する。そのためにまず、画面を構成している複数の画素から、この画面をラスター走査する場合と同様の軌跡を辿るようにして画素を1つずつ逐次選択し、その画素に関する彩度と所定のしきい値とを比較する。このとき、彩度がしきい値以上となった画素を高彩度の基準画素とし、その画素に関する明るさ、色相および画素位置を記憶手段に記憶させる(ステップP5)。
【0090】
なお、上記基準画素を検出する処理を、図6に示したものと同様の色差平面を用いて説明すれば、図7に示すように、x−y座標系に原点を中心、彩度しきい値Lthを半径とする円を描き、この円の上あるいは外側に位置する画素を検出するものである。
【0091】
次に、各画素の画面上の位置を考慮して、高彩度画素をグループ化する(ステップP6)。すなわち、まず上記基準画素の隣接8画素(上下左右および斜め四方)の色情報、すなわち色相および彩度を調べ、基準画素との差が両者とも許容値以内である隣接画素は、基準画素と同じ高彩度画素グループに属するものとし、その隣接画素の画素位置を記憶手段に記憶させる。なおこのとき、基準画素と隣接画素間で、色相および彩度に加えて明るさも比較し、両画素間でこれら3者とも差が許容値以内にあるとき、その隣接画素を高彩度画素グループに属すると定めるようにしてもよい。
【0092】
そして、上述のようにして新たに高彩度画素グループに属するものとされた画素の隣接8画素の色相および彩度(場合によっては明るさも)を調べ、高彩度画素グループの画素との差が両者とも許容値以内である隣接画素は、高彩度画素グループに属するものとし、その隣接画素の画素位置を記憶手段に記憶させる。
【0093】
以上の処理を繰り返し、高彩度画素グループの画素との色相および彩度の差が許容値以内である隣接画素が1つも存在しなくなったところで、隣接画素と比較する処理はそれ以上行なわないようにする。
【0094】
ここまでの処理により、図8に示すように、写真画面H内でいわば1固まりになった高彩度画素のグループが検出される。次いで、この画素グループから離れた画像部分において、上述した基準画素検出以降の処理を再び行ない、別の高彩度画素グループを求める。
【0095】
以上の処理を写真画面の全域に亘って行なうと、通常、いくつかの高彩度画素グループが求められる。前述した通り、これらのグループに属する各高彩度画素の画素位置は記憶手段に記憶されている。そこで、規格化画像データDRb、DGb、DBbから、この画素位置が記憶されている画素に関する画像データを除外して、低彩度画素に関する画像データDR’、DG’、DB’を得る(ステップP7)。
【0096】
従来、低彩度画素に関する画像データを求めるに当たっては、前述の彩度しきい値Lthとの比較を各画素毎に行なうだけで、画素位置は何ら考慮されてはいなかった。しかし、例えば鮮やかな赤い服が画面の大半を占めるような画像において、赤色の画像データは低彩度から高彩度まで連続して分布する場合が多く、そのような場合は彩度しきい値Lthとの比較のみによって低彩度画素に関する画像データを求めても、赤い服の部分にある全画素を除去することはできず、結局低彩度画素に関する画像データに片寄りが残る。
【0097】
それに対してこのグレーバランス調整処理では、低彩度画素に関する画像データDR’、DG’、DB’を求めるに当たり、高彩度画素に隣接して該高彩度画素との色相差が所定値以内にある画素に関する画像データを画像データDRb、DGb、DBbから除外するようにしているので(つまり色情報だけではなく、位置情報も加味した上で高彩度画素と考えられる画素に関する画像データを画像データDRb、DGb、DBbから除外しているので)、画像データ規格化が多少ずれているような場合でも、グレーバランス調整に有用である低彩度画素の画像データDR’、DG’、DB’のみを正確に抽出可能であり、それにより、グレーバランスを正しく調整できるようになる。
【0098】
次に、上記低彩度画素に関する画像データDR’、DG’、DB’それぞれのヒストグラムを作成し、各ヒストグラムにおけるデータ(濃度)の最小値および最大値を各々シャドー点、ハイライト点として検出する(ステップP8)。なお本例ではネガフィルムを対象としているので、このように濃度最小値がシャドー点となり、濃度最大値がハイライト点となる。ここで画像データDR’についてのシャドー点、ハイライト点を各々DRs 、DRh とし、画像データDG’についてのシャドー点、ハイライト点を各々DGs 、DGh とし、画像データDB’についてのシャドー点、ハイライト点を各々DBs 、DBh とする。
【0099】
次に各色毎のダイナミックレンジIR=(DRh −DRs )、IG=(DGh −DGs )およびIB=(DBh −DBs )を求め、それら相互間の差(IR−IG)、(IG−IB)および(IB−IR)を求める(ステップP9)。そして、これらの差(IR−IG)、(IG−IB)および(IB−IR)の絶対値が所定の許容値を超えた場合は、ダイナミックレンジIR、IG、IBが互いに等しくなるように、ハイライト点D1h 、D2h あるいはD3h を修正する(ステップP10)。
【0100】
このようにハイライト点を修正するのは、シャドー点が無いような写真画像は一般にさほど存在せず、その一方、ハイライト点が無い写真画像は多く存在することを考慮すると、ダイナミックレンジが不当な値を取るのは、通常、ハイライト点の誤検出に原因があると考えられるからである。
【0101】
次に、上記低彩度画素の中で特定のB−Y色相(図9のハッチング領域)にある画素を選択して、それらの画素についての画像データDR’、DG’、DB’から、画素毎のR濃度およびG濃度に関する画像データの組(DR’,DG’)を抽出する。また上記低彩度画素の中で特定のR−C色相(図10のハッチング領域)にある画素を選択し、それらの画素についての画像データDR’、DG’、DB’から、画素毎のB濃度およびG濃度に関する画像データの組(DB’,DG’)を抽出する(ステップP11)。
【0102】
上記画像データの組(DR’,DG’)は、B−Y色相にある画素の数だけ得られるものであるが、次にこれらの画像データ(DR’,DG’)において、DG’の値が等しいものどうしを集め、それらのDR’の値を平均化して、DR’の値をその平均値に置き換える。この置き換えがなされた後の画像データを(DR”,DG”)と示す。また、画像データの組(DB’,DG’)も、R−C色相にある画素の数だけ得られるものであるが、これらの画像データ(DB’,DG’)において、DG’の値が等しいものどうしを集め、それらのDB’の値を平均化して、DB’の値をその平均値に置き換える(ステップP12)。この置き換えがなされた後の画像データを(DB”,DG”)と示す。
【0103】
次に上記RとGの2色に関する画像データ(DR”,DG”)の集合と、先に求めた画像データDR’についてのシャドー点DRs およびハイライト点DRh 、並びに画像データDG’についてのシャドー点DGs およびハイライト点DGh を、図11に示すようなX−Y座標系においてプロットし、これらRとGの2色の濃度間の関係を求める(ステップP13)。なおこの図11中、丸点でプロットされているのが画像データ(DR”,DG”)の集合である。
【0104】
このR、G2色の濃度間の関係は、最小2乗法により回帰直線Jを求める等の公知の手法によって求めることができる。なお、前述した平均値の置き換えを
なわない場合は、図12に示すように画像データの偏りによって不適正な関係が求められてしまうことがある。それに対してこの処理では、平均値の置き換えがなされた画像データ(DB”,DG”)の集合を用いてR、G2色の濃度間の関係を求めるようにしているから、上記のような不具合を招くことがない。
【0105】
R、G2色の濃度間の関係が、上記X−Y座標系においてY=α1 ・X+β1 で与えられるとき、画像処理装置54は原画像データDGは無変換のまま、原画像データDRを、DRc =α1 ・DR+β1 なる画像データDRc に線形変換する(ステップP14)。それにより、画像データDGと、線形変換を受けた後の画像データDRc とは、グレーの被写体を示すデータについては互いに同一濃度を示すものとなる。
【0106】
また、BとGの2色に関する画像データ(DB”,DG”)の集合と、先に求めた画像データDB’についてのシャドー点DBs およびハイライト点DBh 、並びに画像データDG’についてのシャドー点DGs およびハイライト点DGh を用い、上記と同様にしてB、G2色の濃度間の関係を求める。
【0107】
そして、これらB、G2色の濃度間の関係が、前記X−Y座標系においてY=α3 ・X+β3 で与えられるとき、画像処理装置54は原画像データDGは無変換のまま、原画像データDBをDBc =α3 ・DB+β3 なる画像データDBc に線形変換する。それにより、画像データDGと、線形変換を受けた後の画像データDBc とは、グレーの被写体を示すデータについては互いに同一濃度を示すものとなる。
【0108】
なお以上の例では、画像データDGは無変換のままとしているが、画像データDRおよびDBとともに画像データDGも線形変換するようにし、それぞれ線形変換を受けた後の画像データDRc 、DGc 、DBc が、グレーの被写体を示すデータについては互いに同一濃度を示すものとなるようにしても構わない。しかし、画像データDGを基準としてそれを無変換のままとすれば、処理の冗長化が避けられるので好ましい。
【0109】
以上説明したグレーバランス調整処理では、画像データDR、DBを線形変換してグレーバランスを調整するようにしているから、先に図14や図15を参照して説明したようにR、G、Bの各画像データに適当なバイアス分を加えるだけでは露光量の全域に亘ってグレーバランスを取ることができない場合においても、グレーバランスを取ることができる。
【0110】
またこのグレーバランス調整処理においては、前述した通り、R、G2色の濃度間の関係を求める上で、カラーフェリアを招きやすいR−C色相およびG−M色相にある画素は除外し、B−Y色相にある画素についての画像データに基づいてR、G2色の濃度間の関係を求めるようにし、同様に、B、G2色の濃度間の関係を求める上で、カラーフェリアを招きやすいB−Y色相およびG−M色相にある画素は除外し、R−C色相にある画素についての画像データに基づいてB、G2色の濃度間の関係を求めるようにしているので、カラーフェリアを確実に防止することができる。
【0111】
次に第1の画像処理装置54は、グレーバランス調整処理を受けた後の画像データDRc 、DGc 、DBc に対して、フィルム10の撮影露光量対発色濃度特性の非線形性を補償する処理を施す。図16は第1の画像処理装置54の一部の構成を概略的に示すものであり、以下、この図16を参照して説明する。なお実際には、この非線形性を補償する処理の前に、フィルム10の露光状態を判定してその露光状態を示すデータEX(図16参照)を作成する処理がなされるが、それについては後に説明する。
【0112】
画像処理装置54のグレーバランス調整部54aから出力されたグレーバランス調整処理済みのデジタル画像データDRc 、DGc 、DBc は、RGB/HVS変換部54bに入力され、そこで画素毎の色相、明度および彩度を示すデータDH、DV、DSに変換される。この変換は先に図5および図6を参照して説明した色相、明度および彩度の求め方と同じ考えに基づくものであるが、図17および図18を参照してこの変換方法を詳しく説明する。
【0113】
図17に示すようなRGB濃度空間を考え、このRGB濃度空間において画像データDRc 、DGc 、DBc が示す濃度点P(R,G,B)を全て平面ψに写像する。この平面ψは、R+G+B=0で示される平面、すなわち無彩色軸である直線Qに垂直で原点(0,0,0)を含む面である。そして、このように規定した色差平面ψ上に図18のようなx−y座標系を設定し、ある画素に関する画像データによる濃度点P(R,G,B)の写像がP’であるとき、この画素に関する色相Hは原点および点P’を通る直線がx軸となす角度で、彩度Sは点P’の原点からの距離によって規定する。また明度Vは、図17に示す通り、上記RGB濃度空間における濃度点Pの、平面ψからの距離(無彩色軸Qと平行な方向の距離)によって規定する。
【0114】
以上の考えに基づき、各色濃度値R,GおよびBから、明度値V,彩度値Sおよび色相Hへの変換は、例えば下式に従って行なわれる。
【0115】
【数1】
【0116】
なお実際には、濃度値R,GおよびBの組合わせと対応させて明度値V,彩度値Sおよび色相Hを定めたテーブルを予め作成しておき、このテーブルを参照して画像データDR、DG、DBの値から明度値V,彩度値Sおよび色相Hを求めるようにしておくと便利である。
【0117】
以上のようにして求められた明度値Vを示すデータDVは図16に示すように明度調節部54cおよび彩度調節部54dに入力され、彩度値Sを示すデータDSは彩度調節部54dに入力され、また色相Hを示すデータDHは後述するHVS/RGB変換部54eに入力される。
【0118】
上記明度調節部54cにおいては、明度データDVに対して、明度を上下させる非線形変換処理がなされる。この変換処理は明度データDVを、図19の(1)に示すような非線形特性で出力明度データDVo に変換するものであり、この変換特性は、同図の(2)に示すネガフィルム10の撮影露光量対発色濃度特性の逆特性とされている。
【0119】
以下、この非線形変換処理について詳しく説明する。フィルム10に対する露光が適正で、撮影露光量の範囲が例えば図19(2)のWEで示す適正範囲にある場合は、フィルム10の特性曲線のほぼ線形の範囲のみが利用される。このときのフィルム10の発色濃度範囲(これは画像データDRc 、DGc 、DBc の範囲と対応し、したがって明度データDVの範囲と対応している)はWDとなる。
【0120】
それに対して、露光不足のために撮影露光量の範囲が同図(2)のWE’で示す範囲となっている場合は、フィルム特性曲線の「足」の部分にかかって撮影がなされるので、発色濃度範囲はWD’となって、画像データDRc 、DGc 、DBc のダイナミックレンジが圧縮される。このような画像データDRc 、DGc 、DBc をそのまま利用して写真画像を印画紙90に記録すると、その記録画像は、低濃度域のコントラストが低いものとなってしまう。また、このような不具合を回避するために、露光不足のときの画像データDRc 、DGc 、DBc に対して一律にコントラストを高める処理を施すと、印画紙90に記録される画像は中濃度域のコントラストが不自然に高いものとなってしまう。
【0121】
以上のような問題を招かないように、図19の(1)に示す非線形特性、つまりフィルム10の特性曲線の逆特性に従って入力明度データDVを出力明度データDVo に変換するのであるが、その際、同図の非線形特性に対して明度データDVの入力範囲をどのように設定するかが問題となる。つまり、適正露光の写真についての入力明度データDVならば、同図にWDで示すように、最小データ値が原点からΔのところに有るように明度データ入力範囲を設定しなければならないし、一方、露光不足の写真についての入力明度データDVならば、同図にWD’で示すように、最小データ値が原点からΔ’のところに有るように明度データ入力範囲を設定しなければならない。また、露光過剰の写真についての入力明度データDVならば、同図にWD”で示すように、最小データ値が原点からΔ”のところに有るように明度データ入力範囲を設定しなければならない。
【0122】
この明度データDVの入力範囲を適切に定めるために、本例では図16に示すように、露光状態を示すデータEXが明度調節部54cに入力される。この露光状態を示すデータEXとしては、例えば画像データDR、DG、DBが示す最小濃度値から、実測したネガフィルム10のベース濃度を差し引いた値等が用いられる(なお、このデータEXの別の求め方を、後に詳しく説明する)。明度調節部54cは、このような露光状態を示すデータEXに基づいて明度データDVの入力範囲を適切に定めた上で、該明度データDVを図19の(1)に示す非線形特性に従って出力明度データDVo に変換する。
【0123】
一方、彩度調節部54dにおいては、彩度データDSに対して、彩度を上下させる変換処理がなされる。この処理は、入力された彩度データDSにゲインGn を乗じて出力彩度データDSo とするものであるが、このゲインGn の変化特性はは図20に示すように明度データDVに応じて、つまりフィルム10の特性曲線の使用部に応じて変えられる。それにより、露光不足のときは低明度側の彩度を落とし、露光過剰のときは高明度側の彩度を上げるような変換処理がなされる。
【0124】
上記のような変換後の出力彩度データDSo に基づいて写真画像を印画紙90に記録すれば、例えば前述したように露光不足で撮影されたフィルム10の画像をプリントする場合に、低明度画素の彩度を落として、粒状に色が付く事態を防止することができるし、また、露光過剰の場合の高明度画素の彩度低下を補償することもできる。
【0125】
なおこの場合も、図20に示すゲインGn の変化特性に対して、明度データDVの入力範囲を適切に設定する必要がある。すなわち、適正露光で撮影されたフィルム10の画像をプリントする場合は、特に彩度を調整する必要はないから、明度データDVの入力範囲は図20の▲2▼に示すように設定すればよい。それに対して、上述した露光不足の際の問題に対処するためには、明度データDVの入力範囲を同図の▲1▼に示すように設定しなければならないし、露光過剰の際の問題に対処するためには、明度データDVの入力範囲を同図の▲3▼に示すように設定しなければならない。
【0126】
そこで図16に示す通り、前述の露光状態を示すデータEXが彩度調節部54dにも入力され、彩度調節部54dはこのデータEXに基づいて明度データDVの入力範囲を適切に定めた上で、ゲインGn の変化特性のどの部分を使用するかを決定する。
【0127】
以上のようにして得られた明度データDVo および彩度データDSo は、図16に示すように、色相Hを示すデータDHとともにHVS/RGB変換部54eに入力される。HVS/RGB変換部54eは、これらの色相データDH、明度データDVo および彩度データDSo を、各画素毎の赤、緑、青各色濃度を示す画像データDr、Dg、Dbに変換する。この変換は、先に説明したRGB/HVS変換部54bによる変換の逆変換である。
【0128】
これらの画像データDr、Dg、Dbに変換される前の明度データDVo および彩度データDSo は、前述した通り互いに独立して明度、彩度を変える処理を受けているから、画像データDr、Dg、Dbに基づいて印画紙90に記録されるプリントは、フィルム10の露光状態によらず、好ましい明度および彩度で仕上げられるようになる。
【0129】
次に図21、22および23を参照して、フィルム10の撮影露光量対発色濃度特性の非線形性を補償する処理の別の例を説明する。図21は、第1の画像処理装置54において、図16に示したRGB/HVS変換部54b、明度調節部54c、彩度調節部54dおよびHVS/RGB変換部54eに代えて用いられる構成を概略的に示すものである。
【0130】
ここに示される通り、グレーバランス調整処理を受けた後のデジタル画像データDRc 、DGc 、DBc は第1非線形変換部54fに入力され、そこで非線形変換処理を受ける。この非線形変換処理は、デジタル画像データDRc 、DGc 、DBc をまとめて入力画像データDc と示したとき、図22に実線で示すような変換特性の下に出力画像データDo に変換するものである。図22に破線で示すのは、Dc =Do となる変換特性を示すものであり、それとの比較から分かるように実線で示した変換特性は、画像データDRc 、DGc 、DBc を低明度域において圧縮し、高明度域ではやや伸張するようなものである。
【0131】
この非線形変換処理を受けた後の画像データDRo 、DGo 、DBo は、次に図21の第1マトリクス変換部54gに入力され、そこでマトリクス変換処理を受ける。このマトリクス変換処理は、画像データDRo 、DGo 、DBo が示す各色濃度値をR、G、Bと示したとき、以下の(数2)式で示すマトリクス(行列)乗算により、濃度値R’、G’、B’に変換するものである。
【0132】
【数2】
【0133】
ここで、このマトリクス変換処理を受けた後の濃度値R’、G’、B’を示す画像データをそれぞれDR1 、DG1 、DB1 とする。なお、この変換に使用するマトリクスは、上記のように要素が1.2 と -0.1 とからなるものに限らず、その他の要素からなるマトリクスを適宜用いることも可能である。
【0134】
上記マトリクス変換処理を行なうことにより濃度値R’、G’、B’の各間の差は、変換前の濃度値R、G、Bの各間の差よりも強調されるようになる。そしてこの強調の程度は、変換前の濃度値R、G、Bの各間の差がより大きいほど、つまり高彩度画素におけるほどより大となる。
【0135】
以上により、画像データDR1 、DG1 、DB1 が示す各画素毎の彩度は、画像データDRo 、DGo 、DBo が示す各画素毎の彩度よりも全体的に高められる。しかし、画像データDRo 、DGo 、DBo は第1非線形変換部54fにおいて前述の通りの処理を受けたものであるから、低明度域では濃度値R、G、Bの各間の差が圧縮されており、したがって、露光不足の場合にそのような低明度域にある多くの低彩度画素については、彩度向上はほとんど認められない程度となる。
【0136】
マトリクス変換処理を受けた後の画像データDR1 、DG1 、DB1 は、次に図21の第2非線形変換部54hに入力され、そこで非線形変換処理を受ける。この非線形変換処理は、デジタル画像データDR1 、DG1 、DB1 をまとめて入力画像データD1 と示したとき、図23に実線で示すような変換特性の下に出力画像データD2 に変換するものである。図23に破線で示すのは、D1 =D2 となる変換特性を示すものであり、それとの比較から分かるように実線で示した変換特性によれば、図19の(1)に示した非線形変換特性と同じように、低明度域および高明度域のコントラストを高める効果が得られる。
【0137】
なおこの第2非線形変換部54hにおける変換特性は、低明度域では第1非線形変換部54fにおける変換特性の逆特性(図23中に1点鎖線で示す)よりもさらにコントラストを高める効果が高くなるように設定されているので、前述したように第1非線形変換部54fにより低明度域のコントラストを低下させるような非線形変換処理がなされていても、そのコントラスト低下を打ち消した上で、さらにそれ以上のコントラスト向上効果が得られる。
【0138】
この非線形変換処理を受けた後の画像データDR2 、DG2 、DB2 は、次に図21の第2マトリクス変換部54jに入力され、そこでマトリクス変換処理を受ける。このマトリクス変換処理は、第1マトリクス変換部54gでのマトリクス変換処理に用いられたマトリクス、つまり前記(数2)式中の1.2 と -0.1 とを要素とするマトリクスの逆マトリクスを用いて、第1マトリクス変換部54gが行なう変換処理と同様になされるものである。
【0139】
このマトリクス変換処理を受けた後の画像データDR3 、DG3 、DB3 が示す各画素毎の彩度は、画像データDR2 、DG2 、DB2 が示す各画素毎の彩度よりも全体的に低くなる。しかしここで、画像データDR3 、DG3 、DB3 が示す各画素毎の彩度と、第1マトリクス変換部54gによるマトリクス変換処理を受ける前の画像データDRo 、DGo 、DBo が示す各画素毎の彩度とを比較すれば、中程度の彩度域では2回のマトリクス変換処理の効果が相殺されて彩度の変化がなく、高彩度域では彩度が高められ、低彩度域のみにおいて彩度が低下するようになる。
【0140】
以上の通りこの場合も、画像データDRc 、DGc 、DBc が示す明度および彩度を互いに独立に変化させて、最終的に画像データDR3 、DG3 、DB3 が得られるようになっている。したがって、これらの画像データDR3 、DG3 、DB3 に基づいて印画紙90に記録されるプリントは、フィルム10の露光状態によらず、好ましい明度および彩度で仕上げられるようになる。
【0141】
次に、前述したフィルムベース濃度によらずに、フィルム10の露光状態を判定する処理について説明する。なおこの処理も、フィルム10の露光状態を示すデータEXを求めるためになされるものである。
【0142】
第1の画像処理装置54は、まず前述した画像データDR、DG、DBのヒストグラムを作成する。このヒストグラムは、図4に示したようなものであるが、この場合は画像データDR、DG、DBすべてについて1つのヒストグラムが求められる。画像処理装置54は次に、このヒストグラムにおける特定点としてデータ最小点Dmin の濃度値と、画像データDR、DG、DBのダイナミックレンジRとを求める。このダイナミックレンジRは、データ最大点をDmax とすると、R=Dmax −Dmin として求められる。なお上記データ最小点Dmin の濃度値は、撮影シーンの中で最も暗い点、いわゆるシャドー点を示すものであると考えられるので、以下この濃度値をシャドー点濃度SDと表わす。
【0143】
以上の説明から明らかなように、図19の(2)の縦軸においてシャドー点濃度SDがどの位置に有るかを求めることにより、フィルム10に対する露光状態を判定することができる。そこで、図19の(2)の縦軸上の位置をzとおき、シャドー点濃度SDの位置zを求める。そのために画像処理装置54は、図24の(1)および(2)に示すような確率関数を記憶している。
【0144】
図24の(1)に示すのは、シャドー点濃度SDの値毎に、それがとり得る位置zの確率P1を規定した関数である。この関数は、シャドー点濃度SDが第1の所定濃度値SD1よりも小の範囲においては、比較的小さいzの値をとる確率が存在し、シャドー点濃度SDが第2の所定濃度値SD2よりも大の範囲においては、比較的大きいzの値をとる確率が存在し、第1の所定濃度値SD1と第2の所定濃度値SD2との間の一領域においては中程度のzの値をとる確率が存在するように規定されたものである。
【0145】
また図24の(2)に示すのは、ダイナミックレンジRの値毎に、シャドー点濃度SDがとり得る位置zの確率P2を規定した関数である。この関数は、ダイナミックレンジRが所定値R1よりも小の範囲においては、シャドー点濃度SDが比較的小さいzの値、あるいは比較的大きいzの値をとる確率が存在するように規定されたものである。なおこの図24の(1)および(2)に示すような確率関数は、フィルム種毎に経験、実験に基づいて規定すればよい。
【0146】
第1の画像処理装置54は、前述のようにしてシャドー点濃度SDとダイナミックレンジRとを求めると、そのシャドー点濃度SDの値に関する各z値の確率P1と、そのダイナミックレンジRの値に関する各z値の確率P2とを求め、これら両確率の積P(z)=P1×P2が最大となるzの値を求める。
【0147】
このようにして求められるzの値は、露光不足の場合は比較的小さくなり、露光過剰の場合は比較的大きくなる。つまりこのzの値に応じて、露光不足および露光過剰を判定することができる。そこでこのzの値をそのまま、あるいはそれに適当な係数を乗じる等したものを、露光状態を示すデータEXとして用いることができる。
【0148】
なお、以上説明した例では、露光不足および露光過剰を判定するために、シャドー点濃度SDを第1の所定濃度値SD2および第2の所定濃度値SD2と比較しているが、画像データのヒストグラムにおけるその他の特定点の濃度値、例えばハイライト点濃度を第1および第2の所定濃度値と比較しても、同様にして露光不足および露光過剰を判定することができる。
【0149】
フィルム10の撮影露光量対発色濃度特性の非線形性を補償する処理を受けた画像データ、すなわち図16のHVS/RGB変換部54eから出力される画像データDr、Dg、Db、あるいは図21の第2マトリクス変換部54jから出力される画像データDR3 、DG3 、DB3 は、次に、撮影シーンに応じて定めた特性に従ってプリントの明るさを調整する処理にかけられる。
【0150】
なおここで、説明の煩雑化を避けるために、画像データDr、Dg、Dbあるいは画像データDR3 、DG3 、DB3 を示す画像データの表記をDR、DG、DBに戻し、以下、この画像データDR、DG、DBに対して明るさ調整処理がなされるとして説明する。
【0151】
プリントの明るさ調整のために第1の画像処理装置54は、図1の変調器ドライバ57に入力されるデジタル画像データDR、DG、DBに対して階調処理を施す。この階調処理は、デジタル画像データDR、DG、DBをまとめて入力画像データDと表したとき、例えば図25に直線Gで示すような階調変換特性で出力画像データDo に変換するものである。そしてこの階調変換特性を、直線Gの傾きを変えるように変化させれば、階調処理後のデジタル画像データDR、DG、DBに基づいて変調される3色光ビームによって印画紙90に記録されるプリント画像の階調を全体的に強調させたり、あるいは反対に緩やかとなるように調整することができる。また階調変換特性を、直線Gが図25中で縦軸方向に移動するように変化させれば、印画紙90に記録されるプリント画像の全体的な明るさを調整することができる。
【0152】
上述のようにして写真プリントを好ましい明るさに設定するために、第1の画像処理装置54は画像データDR、DG、DBが示す特性値(明るさ、色相、彩度)を全画素について求める。これらの特性値は、先に図5および図6を参照して説明した特性値色相、明度および彩度の求め方を用いて求めることができる。
【0153】
以上のようにして、画像データDR、DG、DBが示す特性値(明るさ、色相、彩度)を全画素について求めたならば、次にこれらの特性値に基づいて、撮影シーン中の特に暗い背景部、あるいは特に明るい背景部を示していると考えられる基準画素を特定する。そのためにまず、画面を構成している複数の画素から、この画面をラスター走査する場合と同様の軌跡を辿るようにして画素を1つずつ逐次選択し、その画素に関する明るさをシャドーに近い第1の所定明るさおよびハイライトに近い第2の所定明るさと比較するとともに、その画素に関する彩度と所定彩度とを比較する。そしてこのとき、明るさが上記第1の所定明るさ以下あるいは第2の所定明るさ以上で、かつ彩度が所定彩度以下である画素を基準画素とし、その画素に関する明るさ、色相、彩度および画素位置を記憶手段に記憶させる。
【0154】
次に、各画素の画面上の位置を考慮して、上記基準画素とともに同一の背景部を示していると考えられる画素を抽出する。そのために、まず上記基準画素の隣接8画素(上下左右および斜め四方)の色情報、すなわち色相および彩度を調べ、基準画素との差が両者とも許容値以内である隣接画素は、基準画素と同一の背景部を示しているものとし、その隣接画素の画素位置を記憶手段に記憶させる。なおこのとき、基準画素と隣接画素間で、色相および彩度に加えて明るさも比較し、両画素間でこれら3者とも差が許容値以内にあるとき、その隣接画素は基準画素と同一の背景部を示しているとみなすようにしてもよい。
【0155】
そして、上述のようにして新たに背景部画素であるとみなされた画素の隣接8画素の色相および彩度(場合によっては明るさも)を同様に調べ、背景部画素との差が両者とも許容値以内である隣接画素は、同じように背景部画素であるとみなし、その隣接画素の画素位置を記憶手段に記憶させる。
【0156】
以上の処理を繰り返し、背景部画素との色相および彩度の差が許容値以内である隣接画素が1つも存在しなくなったところで、隣接画素と比較する処理はそれ以上行なわないようにする。
【0157】
ここまでの処理により、写真画像内の一部で連続した背景領域を構成している画素のグループが検出される。次いで、この画素グループから離れた画像部分において、上述した基準画素検出以降の処理を再び行ない、別の背景部画素グループを求める。
【0158】
以上の処理を写真画面の全域に亘って行なうと、撮影シーン中に特に暗い背景部、あるいは特に明るい背景部が存在している場合は、そのような背景部を示している画素が全て抽出される。
【0159】
次に第1の画像処理装置54は、上述のような背景部を示している画素についての画像データを画像データDR、DG、DBから除外して、画像データDR’、DG’、DB’を得る。その後第1の画像処理装置54は、これらの画像データDR’、DG’、DB’に基づき、互いの色差(色相および彩度の差)が所定値内に収まっていて、かつ画像の中で連続している複数画素からなる画素グループを求める。
【0160】
このような画素グループは、上記の背景部画素グループを求めた手法と同様の手法によって求めることができる。ただしこの場合は、グループ化の端緒とする基準画素は特に色相、彩度等に基づいて定められるものではないから、例えば最初の基準画素は画像最端部の画素とし、1つの画素グループが特定されたならば、その画素グループに属しないでそこに隣接する画素を新たな基準画素とすればよい。
【0161】
以上の処理により、特に暗い背景部、あるいは特に明るい背景部以外の各画素は全て、色相および彩度が互いに近くて、かつ画像中の連続領域を構成している複数の画素毎にグループ分けされる。
【0162】
次に第1の画像処理装置54は、これらの画素グループを利用して、画像データDR’、DG’、DB’が示す平均的画像濃度を求める。そのために画像処理装置54は、まず各画素グループの濃度平均値を求める。この濃度平均値は、各画素グループの濃度値の和をそのグループ内の画素数で割って求められる単純平均値である。ここで、各画素グループにj=1,2,3……と順次番号を与え、番号jの画素グループの濃度平均値をA(j)、画素数をN(j)と表わしたとき、画像処理装置54は1画像全体の平均的画像濃度Ao を、
Ao =ΣA(j)・F(N(j))/ΣF(N(j))
として求める。なおF(N)は、図26に実線で示すような画素数Nについての関数である。この関数F(N)は、画素数Nが0から所定値Nc までの間ではNと同じ値をとるが、画素数Nが所定値Nc を超える範囲では全てこのNc の値をとるものである。
【0163】
仮に、上記濃度平均値A(j)および画素数N(j)から1画像全体の単純平均濃度Am を求めるとすると、その平均濃度Am は、
Am =ΣA(j)・N(j)/ΣN(j)
となり、ある画素グループの画素数Nが多ければ多いほど、その画素グループの濃度平均値Aの、平均濃度Am を求める上での重みはより大きくなる。それに対して、上述のような画素数制限関数F(N)を導入して平均的画像濃度Ao を求める場合は、画素数Nが所定値Nc を上回っても、その所定値Nc を上回る分の数の画素についての濃度平均値Aは(つまり画像データDR’、DG’、DB’は)、平均的画像濃度Ao を求める上で全く重みを持たないことになる。
【0164】
第1の画像処理装置54は、以上のようにして求めた平均的画像濃度Ao が所定のプリント濃度(例えば光学濃度で0.7 等)となるように前述の階調処理を行なって、プリントの明るさを決定する。このようにすれば、プリントの明るさが、主要被写体以外の大きな被写体によって著しく左右されることがなくなり、プリントが好ましい明るさに仕上げられるようになる。
【0165】
また上記平均的画像濃度Ao は、特に暗い背景部、あるいは特に明るい背景部についての画像データは含まない画像データDR’、DG’、DB’から求めたものであるから、このような背景部がプリント明るさの決定に関与することもなくなり、プリントが好ましい明るさに仕上げられるようになる。
【0166】
なお前述の画素数制限関数F(N)は、図26に実線で示すものに限らず、その他例えば同図に1点鎖線で示すような特性のもの、つまり所定値Nc を上回って画素数が増えると、その増加数を実際よりも低く数える特性のものとしても構わない。そのような画素数制限関数F(N)を適用する場合は、所定値Nc を上回る分の数の画素についての濃度平均値Aに対して、平均的画像濃度Ao を求める上での重みが小さいながらもある程度残されることになる。
【0167】
次に、プリントの明るさ決定に関わる平均的画像濃度Ao が、主要被写体以外の大きな被写体によって著しく左右されることを防止する別の処理について詳しく説明する。なお以下においては、この処理が前述の画像データDR、DG、DBに対してなされるものとして説明するが、この処理は、背景部についての画像データが除外された画像データDR’、DG’、DB’に対しても同様になさる得るものである。
【0168】
まず第1の画像処理装置54は、画像データDR、DG、DBの3次元ヒストグラムを作成する。この3次元ヒストグラムは図27に示すような空間に、画素毎の画像データDR、DG、DBの値をプロットして得られるものである。なお図中では、画像データDR、DG、DBの値がそれぞれR,G,Bである1つの点P(R,G,B)を示してある。
【0169】
第1の画像処理装置54は次に、上記3次元ヒストグラムの領域を一定の画像データDR、DG、DBの幅uで規定された多数のユニットU1 、U2 、U3 、…Uj …に分割し、各ユニットU内の濃度平均値を求める。この濃度平均値は、各ユニットUに含まれる画素(そのユニットU内に画像データDR、DG、DBの値がプロットされる画素)についての濃度値の和を、そのユニットU内の画素数で割って求められる単純平均値である。
【0170】
ここで、番号jのユニットUの濃度平均値をA(j)、画素数をN(j)と表わしたとき、画像処理装置54は1画像全体の平均的画像濃度Ao を、
Ao =ΣA(j)・F(N(j))/ΣF(N(j))
として求める。なおF(N)は前述と同様に、図26に実線で示した画素数Nについての関数である。
【0171】
したがってこの場合も、1ユニットU内の画素数Nが所定値Nc を上回った場合は、その所定値Nc を上回る分の数の画素についての濃度平均値Aは、平均的画像濃度Ao を求める上で全く重みを持たないことになる。そこで、以上のようにして求めた平均的画像濃度Ao に基づいてプリントの明るさを決定すれば、プリントの明るさが、主要被写体以外の大きな被写体によって著しく左右されることがなくなる。
【0172】
なお、以上説明したプリントの明るさ調整を受ける前の画像データ、すなわち図16のHVS/RGB変換部54eから出力される画像データDr、Dg、Db、あるいは図21の第2マトリクス変換部54jから出力される画像データD3 、DG3 、DB3 に対して、撮影シーンに応じて定めた特性に従ってプリントのコントラストを調整する処理を施してもよい。この撮影シーンに応じたコントラスト調整処理は、画像データDr、Dg、Dbあるいは画像データDR3 、DG3 、DB3 のダイナミックレンジをR’としたとき、それらの画像データに対して、例えば図28に示すようにコントラスト補正量を規定した上でコントラスト補正をかけることによってなされ得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像処理方法を実施するデジタル写真プリンタの一例を示す概略図
【図2】上記デジタル写真プリンタにおけるグレーバランス調整処理の流れを示すフローチャート
【図3】本発明におけるキャリブレーション処理を説明するグラフ
【図4】上記グレーバランス調整処理において形成される画像データのヒストグラムを説明するグラフ
【図5】上記グレーバランス調整処理において適用される色差空間を説明する説明図
【図6】上記色差空間における色情報を説明する説明図
【図7】上記グレーバランス調整処理における、高彩度画素の特定方法を説明する説明図
【図8】上記グレーバランス調整処理における、高彩度画素のグループ化を説明する説明図
【図9】上記グレーバランス調整処理における、特定色相にある画素の選択を説明する説明図
【図10】上記グレーバランス調整処理における、特定色相にある画素の選択を説明する説明図
【図11】上記グレーバランス調整処理における、2色の濃度間の関係の求め方を説明する説明図
【図12】2色の濃度間の関係が不適正に求められる例を説明する説明図
【図13】写真フィルムにおける撮影露光量と発色濃度との関係を示すグラフ
【図14】グレーバランス調整が必要な理由を説明する説明図
【図15】グレーバランス調整が必要な理由を説明する説明図
【図16】上記デジタル写真プリンタにおける、プリントの明るさおよび彩度の調整に関わる構成を示すブロック図
【図17】上記プリントの明るさおよび彩度の調整に適用される濃度空間を説明する説明図
【図18】上記プリントの明るさおよび彩度の調整に適用される色差空間を説明するグラフ
【図19】プリントの明るさ調整のための明度データ変換を説明するグラフ
【図20】プリントの彩度調整のための彩度データ変換を説明するグラフ
【図21】プリントの明るさおよび彩度の調整に関わる別の構成を示すブロック図
【図22】プリントの明るさ調整に適用される、画像データに対する第1の非線形変換処理を説明する説明図
【図23】プリントの明るさ調整に適用される、画像データに対する第2の非線形変換処理を説明する説明図
【図24】露光状態の判定のために用いられる確率関数を説明するグラフ
【図25】プリントの明るさ調整に関わる階調処理を説明するグラフ
【図26】上記プリントの明るさ調整に適用される、画素数制限関数を説明するグラフ
【図27】上記プリントの明るさ調整に適用される画像データの3次元ヒストグラムを説明する概略図
【図28】本発明の方法と併せてなされ得るコントラスト調整処理におけるコントラスト補正特性の一例を示すグラフ
【符号の説明】
10 フィルム
11 撮影コマ
30 光源ユニット
51 レンズ
52 CCD
53 A/D変換器
54 画像処理装置
54a グレーバランス調整部
54b RGB/HVS変換部
54c 明度調節部
54d 彩度調節部
54e HVS/RGB変換部
54f 第1非線形変換部
54g 第1マトリクス変換部
54h 第2非線形変換部
54j 第2マトリクス変換部
57 変調器ドライバ
60 プリンタ
61 露光スキャナ
Claims (16)
- カラーフィルムに記録されている画像を読み取って得られた画素毎の赤、緑、青各色濃度を示す画像データDR、DG、DBに基づいて3色光ビームの各々を変調し、これらの光ビームによりカラー感光材料を走査して該感光材料にカラー画像を記録する写真プリンタにおいて、
前記各色濃度を示す画像データDR、DG、DBに、グレースケールを各色間でほぼ一定に揃えるキャリブレーション処理を施し、
次にこれらの画像データDR、DG、DBに、グレーの被写体を示すデータについては互いに同一濃度を示すものとなるように調整するグレーバランス調整処理を施し、
前記画像データDR、DG、DBに基づいて、カラーフィルムの露光状態を判定する処理を行ない、
次に前記グレーバランス調整処理を受けた後の画像データDR、DG、DBに対して、前記判定された露光状態に基づいて、前記カラーフィルムの撮影露光量対発色濃度特性の非線形性を補償する処理を施し、
この非線形性補償処理を受けた後の画像データDR、DG、DBに対して、撮影シーンの明るさ、色相および彩度に応じて定めた特性に従ってプリントの明るさを調整する処理を行なうことを特徴とする写真プリンタにおける画像処理方法。 - 前記キャリブレーション処理として、画像データDR、DG、DBの少なくとも1つに、グレーの被写体を示すデータについては濃度差が露光量によらずほぼ一定となるように、変換特性が各色毎に固定されたγ(ガンマ)変換処理を施すことを特徴とする請求項1記載の写真プリンタにおける画像処理方法。
- 前記画像データDR、DG、DBを画像データD1、D2、D3(「1」、「2」、「3」がそれぞれ「R」、「G」、「B」のいずれか1つずつに対応)と表わしたとき、前記グレーバランス調整処理として、
画像データD1、D2、D3から画素毎の色情報を求め、彩度が所定値よりも高い高彩度画素および、その高彩度画素に隣接して該高彩度画素との色相差が所定値以内にある画素に関する画像データを画像データD1、D2、D3から除外して低彩度画素に関する画像データD1’、D2’、D3’を得、
これらの画像データD1’、D2’、D3’の各々におけるシャドー点D1s、D2s 、D3s およびハイライト点D1h 、D2h 、D3h を求め、
各色毎のシャドー点からハイライト点までのダイナミックレンジの差が、所定の許容値内に収まっていない場合は、このダイナミックレンジが各色間で同じとなるようにハイライト点D1h 、D2h あるいはD3h を修正し、
画素毎に対応している画像データ(D1’,D2’)のうち、D1’,D2’の一方が等しい画像データについて他方を平均してなる画像データ(D1”,D2”)の集合と、画素毎に対応している画像データ(D3’,D2’)のうち、D3’,D2’の一方が等しい画像データについて他方を平均してなる画像データ(D3”,D2”)の集合とを求め、
2色に関する画像データ(D1”,D2”)の集合とシャドー点(D1s ,D2s )およびハイライト点(D1h ,D2h )から、画像データ(D1,D2)が示すこれら2色の濃度間の関係を求め、この関係に基づいて画像データD1とD2の少なくとも一方をその全域に亘って他方と等しくなるように線形変換し、
2色に関する画像データ(D3”,D2”)の集合とシャドー点(D3s ,D2s )およびハイライト点(D3h ,D2h )から、画像データ(D3,D2)が示すこれら2色の濃度間の関係を求め、この関係に基づいて画像データD3とD2の少なくとも一方をその全域に亘って他方と等しくなるように線形変換する処理を行なうことを特徴とする請求項1または2記載の写真プリンタにおける画像処理方法。 - 前記低彩度画素の中で特定の第1の色相にある画素を選択して、それらの画素についての画像データD1’、D2’、D3’から前記画像データ(D1’,D2’)を求め、前記低彩度画素の中で前記第1の色相とは異なる特定の第2の色相にある画素を選択して、それらの画素についての画像データD1’、D2’、D3’から前記画像データ(D3’,D2’)を求めることを特徴とする請求項3記載の写真プリンタにおける画像処理方法。
- 画像データD1が赤色濃度を示し、画像データD2が緑色濃度を示し、画像データD3が青色濃度を示すものであるとき、前記第1の色相にある画素として青色相とイエロー色相にある画素を選択し、前記第2の色相にある画素として赤色相とシアン色相にある画素を選択することを特徴とする請求項4記載の写真プリンタにおける画像処理方法。
- 前記2つの線形変換が、
前記2色に関する画像データ(D1”,D2”)の集合とシャドー点(D1s ,D2s )およびハイライト点(D1h ,D2h )から求められた2色の濃度間の関係がX−Y座標系においてY=α1 ・X+β1 で与えられるとき、画像データD2は無変換とし、画像データD1をD1c =α1 ・D1+β1 なる画像データD1c に線形変換し、
前記2色に関する画像データ(D3”,D2”)の集合とシャドー点(D3s ,D2s )およびハイライト点(D3h ,D2h )から求められた2色の濃度間の関係がX−Y座標系においてY=α3 ・X+β3 で与えられるとき、画像データD2は無変換とし、画像データD3をD3c =α3 ・D3+β3 なる画像データD3c に線形変換するものであることを特徴とする請求項3から5いずれか1項記載の写真プリンタにおける画像処理方法。 - 前記カラーフィルムの露光状態を判定する処理が、
画像データDR、DG、DBのヒストグラムを求め、
このヒストグラムにおける特定点の濃度値と、画像データDR、DG、DBのダイナミックレンジとを求め、
前記特定点の濃度値が第1の所定濃度値よりも小で、かつ、前記ダイナミックレンジが所定値よりも小のときに露光不足と判定し、
前記特定点の濃度値が第2の所定濃度値よりも大で、かつ、前記ダイナミックレンジが所定値よりも小のときに露光過剰と判定するものであることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の写真プリンタにおける画像処理方法。 - 前記非線形性を補償する処理が、
前記画像データDR、DG、DBを、画素毎の色相、明度および彩度を示すデータに変換し、
この明度を示すデータに対して、前記カラーフィルムの撮影露光量対発色濃度特性の逆特性の適用範囲を前記判定された露光状態に基づいて定めて、該逆特性に従って明度を上下させる変換処理を施し、
前記彩度を示すデータに対して、前記明度を上下させる変換処理とは独立して彩度を上下させる変換処理を施し、
これらの変換処理後の明度を示すデータ、彩度を示すデータおよび前記色相を示すデータを、画素毎の赤、緑、青各色濃度を示す画像データに変換するものであることを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の写真プリンタにおける画像処理方法。 - 前記非線形性を補償する処理が、
前記画像データDR、DG、DBに対して、それらが示す明度を明度域の一部において変化させる第1および第2の非線形変換処理を行ない、
これらの非線形変換処理の間、および第2の非線形変換処理が終了した後にそれぞれ、画像データDR、DG、DBが示す彩度を全体的に変化させる第1および第2のマトリクス処理を行ない、
これら2回のマトリクス処理は、一方が彩度を上げる処理で他方が彩度を下げる処理とし、
前記2回の非線形変換処理は、その特性を前記判定された露光状態に基づいて定めて、双方合わせて前記カラーフィルムの撮影露光量対発色濃度特性の非線形性を補償する特性のものとしたことを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の写真プリンタにおける画像処理方法。 - 前記第2のマトリクス処理を、第1のマトリクス処理に用いたマトリクスの逆マトリクスを用いて行なうことを特徴とする請求項9記載の写真プリンタにおける画像処理方法。
- 前記プリントの明るさを調整する処理が、
画像データDR、DG、DBに基づいて、明るさがシャドーに近い第1の所定明るさ以下あるいはハイライトに近い第2の所定明るさ以上で、かつ彩度が所定彩度以下の画素を検出し、
この検出画素および、その画素とともに画像中の連続領域を構成して該画素との色差が所定値以内にある画素に関する画像データを画像データDR、DG、DBから除外して画像データDR’、DG’、DB’を得、
1画像に関する前記画像データDR’、DG’、DB’が示す平均的濃度に基づいてその画像のプリント明るさを調整するものであることを特徴とする請求項1から10いずれか1項記載の写真プリンタにおける画像処理方法。 - 前記プリントの明るさを調整する処理が、
1画像に関する画像データDR、DG、DBが示す平均的濃度に基づいてその画像のプリント明るさを調整し、
前記平均的濃度を求めるに当たって、画像データDR、DG、DBに基づいて、互いの色差が所定値内に収まっていて画像中の連続領域を構成する複数画素からなる画素グループを求め、
この画素グループを構成する画素数が所定数を超える場合は、該所定数を超える分の数の画素の画像データDR、DG、DBに対する、前記平均的濃度を求める上での重み付けを低下させるものであることを特徴とする請求項1から10いずれか1項記載の写真プリンタにおける画像処理方法。 - 前記プリントの明るさを調整する処理が、
1画像に関する画像データDR、DG、DBが示す平均的濃度に基づいてその画像のプリント明るさを調整し、
前記平均的濃度を求めるに当たって、画像データDR、DG、DBの3次元ヒストグラムを作成し、
この3次元ヒストグラム内において一定の画像データDR、DG、DBの幅で規定されたユニットのそれぞれに含まれる画素数を求め、
1つのユニットに含まれる画素数が所定数を超える場合は、該所定数を超える分の数の画素の画像データDR、DG、DBに対する、前記平均的濃度を求める上での重み付けを低下させるものであることを特徴とする請求項1から10いずれか1項記載の写真プリンタにおける画像処理方法。 - 前記プリントの明るさを調整する処理が、
画像データDR、DG、DBに基づいて、明るさがシャドーに近い第1の所定明るさ以下あるいはハイライトに近い第2の所定明るさ以上で、かつ彩度が所定彩度以下の画素を検出し、
この検出画素および、その画素とともに画像中の連続領域を構成して該画素との色差が所定値以内にある画素に関する画像データを画像データDR、DG、DBから除外して画像データDR’、DG’、DB’を得、
1画像に関する前記画像データDR’、DG’、DB’が示す平均的濃度に基づいてその画像のプリント明るさを調整し、
前記平均的濃度を求めるに当たって、画像データDR’、DG’、DB’に基づいて、互いの色差が所定値内に収まっていて画像中の連続領域を構成する複数画素からなる画素グループを求め、
この画素グループを構成する画素数が所定数を超える場合は、該所定数を超える分の数の画素の画像データDR’、DG’、DB’に対する、前記平均的濃度を求める上での重み付けを低下させるものであることを特徴とする請求項1から10いずれか1項記載の写真プリンタにおける画像処理方法。 - 前記プリントの明るさを調整する処理が、
画像データDR、DG、DBに基づいて、明るさがシャドーに近い第1の所定明るさ以下あるいはハイライトに近い第2の所定明るさ以上で、かつ彩度が所定彩度以下の画素を検出し、
この検出画素および、その画素とともに画像中の連続領域を構成して該画素との色差が所定値以内にある画素に関する画像データを画像データDR、DG、DBから除外して画像データDR’、DG’、DB’を得、
1画像に関する前記画像データDR’、DG’、DB’が示す平均的濃度に基づいてその画像のプリント明るさを調整し、
前記平均的濃度を求めるに当たって、画像データDR’、DG’、DB’の3次元ヒストグラムを作成し、
この3次元ヒストグラム内において一定の画像データDR’、DG’、DB’の幅で規定されたユニットのそれぞれに含まれる画素数を求め、
1つのユニットに含まれる画素数が所定数を超える場合は、該所定数を超える分の数の画素の画像データDR’、DG’、DB’に対する、前記平均的濃度を求める上での重み付けを低下させるものであることを特徴とする請求項1から10いずれか1項記載の写真プリンタにおける画像処理方法。 - 前記非線形性補償処理を受けた後の画像データDR、DG、DBに対して、撮影シーンの明るさ、色相および彩度に応じて定めた特性に従ってプリントのコントラストを調整する処理を行なうことを特徴とする請求項1から15いずれか1項記載の写真プリンタにおける画像処理方法。
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