JP3783216B2

JP3783216B2 - スープ付きカップ容器入りパン

Info

Publication number: JP3783216B2
Application number: JP2003425316A
Authority: JP
Inventors: 昌代海老原
Original assignee: 有限会社グランドバーグ
Priority date: 2003-12-22
Filing date: 2003-12-22
Publication date: 2006-06-07
Anticipated expiration: 2023-12-22
Also published as: JP2005176783A; CN1636839A; US20050136157A1

Description

本発明は、パンをスープに浸しながら美味しく食べるのに適したスープ付きカップ容器入りパンに関する。

カップ容器入り食品で代表される即席麺は、カップ容器内に収納されている乾燥した麺に必要量の熱湯を注いで数分間待ち、麺がほぐれて膨潤した時点で飲食する。又、スープ粉末や具を小袋に入れたカップ容器入り即席麺においては、そのスープ粉末や具をカップ容器内に入れて熱湯を注入して溶かし、ほぐれて膨潤した麺と共に飲食するようにしたものである（例えば、特許文献１）。

それ以外のカップ容器入り即席食品としては、例えば特許文献２に開示されている。この特許文献２に開示されているカップ容器入り即席食品は、容器の下方部を小径に、容器の上方部を大径に形成し、容器の上端に蓋を嵌合したカップ容器を形成し、小径の下方部には加熱すると溶融する食品を入れ、大径の上方部には容器の中間部に引っ掛けて固形状態の食品を入れた構成のものである。そして、加熱すると溶融する食品と、固形状態の食品とが食べる直前まで分離しているので、各食品が混ざって味が変わることはなく、食べる時に下方部に入れた食品を加熱して溶融し、この溶融した食品に上方部に入れた固形状態の食品を崩して混入することによって食べるようにしたものである。

上記加熱すると溶融する下部の食品としては、例えばゼラチンや片栗粉（澱粉）や小麦粉やカレー粉等を適量入れることで、傾けても溢れるのを防ぐ程度の固さに調理したスープ、味噌汁、ミートソース、汁粉、カレー、又はこれらの冷凍食品、或はお茶の冷凍食品等が例示されている。上記固形状態の上部の食品としては、例えばおにぎり、焼きおにぎり、ゼラチン質入りで非加熱のおにぎり、ゼラチン質入りで軽く焼いたおにぎり、餅、パン、或は加熱前は固形状態に冷凍した、そば、うどん、スパゲッティ等が例示されている。これら上下の食品の組み合わせによって、例えばスープライス、おじや、カレースープライス、お茶漬け、ミートソーススパゲッティ、スープスパゲッティ、餅入り汁粉等として飲食することができる。
特開平１０−２１１９５３号公報特開平１０−００１１７３号公報

上記特許文献２において、上下の食品の組み合わせをパンとスープにすると、スープ付きのパンを飲食できるが、カップ入り食品を電子レンジ等で加熱してスープを溶融した後、上部のパンを突き崩して下部のスープに落とし込んで食べることになる。この場合には、スープとパンの量の割合にもよるが、パンを突き崩してスープに落とし込むと、パンのかけらがスープにより濡れてふやけた状態となり、パンのかけらにスープを適量含ませた好ましい状態でスープ付きパンを食べられないことになる。又、スープを加熱して溶融する際に、パンも加熱されるためパン中に含まれている水分が飛ばされて乾燥し、パン本来の旨さが失われることにもなる。

一方、スープとパンは別々に用意して、パンを千切りながらスープに付けて食べるようにすれば、パンのかけらにスープを適量含ませた好ましい状態でスープ付きパンを食べられるが、身近なところにパンがない時や、パンは有ってもスープがないような場合には、スープ付きパンを食べることはできない。

本発明は、上記のような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、特にパン本来の旨さを失うことなくスープ付きパンを食べることができるようにしたスープ付きカップ容器入りパンを提供することを目的とする。

上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項１のスープ付きカップ容器入りパンは、外側容器と、この外側容器内に収納される内側容器と、この内側容器内に収納されるパンと、前記外側容器内に収納されるスープ入り袋と、前記内側容器を施蓋する複数の小孔を設けた内蓋と、前記外側容器を密封する外蓋とを備えたスープ付きカップ容器入りパンであって、前記パンを食するときに前記外蓋を開けて内側容器を取り出し、この内側容器を前記内蓋が下側になるようにして前記外側容器の上に被せて密着状態に保持し、前記外側容器内でスープをお湯で溶かす時に発生する蒸気が前記小孔を介して内側容器内に流入することで前記パンを加湿・加温することを特徴とする。

本発明に係る請求項２のスープ付きカップ容器入りパンは、上方に開口するカップ容器を備え、このカップ容器の内部は仕切壁が立設されて複数に区分されると共に、その仕切壁の高さはカップ容器の深さより低い寸法に設定され、前記区分内にパンが収納され、他の区分内にはスープ入り袋が収納され、前記カップ容器の上端開口部は蓋体を貼着することにより密封され、その蓋体の内面における少なくとも前記パンを収納した区分の真上に位置する部分に吸水層が設けられたことを特徴とする。

本発明に係る請求項３のスープ付きカップ容器入りパンは、請求項２において前記吸水層は脱脂綿、スポンジ、パルプなどの天然物からなる吸水材又は高吸水性樹脂材からなることを特徴とする。

本発明に係る請求項４のスープ付きカップ容器入りパンは、上方に開口するカップ容器を備え、このカップ容器の内部は仕切壁が立設されて複数に区分されると共に、その仕切壁の高さはカップ容器の深さと同じ寸法に設定され、前記区分内にパンが収納され、他の区分内にはスープ入り袋が収納され、前記カップ容器の上端開口部は蓋体を貼着することにより密封され、前記仕切壁の上端部分は水滴は通さないが蒸気は通す材質からなる蒸気透過層が設けられたことを特徴とする。

本発明に係る請求項５のスープ付きカップ容器入りパンは、請求項４において前記蒸気透過層はガス透過膜、多孔質膜、多孔質の不織布等、蒸気粒子は通すがそれより大きい水粒子は通さない材質からなることを特徴とする。

本発明に係る請求項６のスープ付きカップ容器入りパンは、請求項１ないし請求項５のいずれかにおいて、前記パンは水分を少なく調整した乾燥パン又は半乾燥パンであることを特徴とする。

上記請求項１の発明によれば、パンを食べる場合において、外側容器内でお湯を注入してスープを調製する際に、パンを収納した内側容器を逆さにして外側容器の開口部に被せるようにして載置することで、外側容器内で発生する蒸気が内蓋に設けた複数の小孔を介して内側容器内に流入し、パンを加湿・加温することができる。これにより、焼き立てに近い状態のパンを温かいスープに付けて美味しく食べることができる。従来のようにオーブン等でパンを加熱する必要がなくなり、その加熱時にパン中の水分が飛ばされて乾燥し、パン本来の旨さが失われることもなくなる。

請求項２及び請求項３の発明によれば、少なくともパンを収納する区分の上方に位置する蓋体の内面部分に吸水材からなる吸水層を設けてあるため、スープ作りの際に発生する蒸気がパンの収納されている区分側に流入し、当該区分の蓋体の内面部分で冷やされて凝縮する凝縮水が吸い取られる。吸水層がない場合には、蓋体の内面部分で凝縮した水滴が落下してパンが水濡れする恐れがあるが、本発明ではこのような水濡れを未然に防ぐことができる。

請求項４及び請求項５の発明によれば、カップ容器の内部にこのカップ容器の深さと同じ寸法の仕切壁を立設してカップ容器内を区分し、この仕切壁の上端部分は水滴は通さないが蒸気は通す材質からなる蒸気透過層を設けてあるため、スープ作りの際に発生する蒸気の一部が蓋体の内面部分で冷やされて粒子の大きな水滴になって混在した時、蒸気透過層によって遮断される。これにより、パンの収納されている区分側には含水率の低い蒸気が流入し、パンの加湿過多を防ぐことができる。

請求項６の発明によれば、パンは水分を少なく調整した乾燥パン又は半乾燥パンであるため、スープ作りの際に発生する蒸気によりパンを加湿・加温する時、加湿過多にならないように調整することができる。これにより、焼き立てのような状態の美味しいパンにすることができる。

以下、本発明に係るスープ付きカップ容器入りパンの好ましい実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。

図１は、本発明の第１実施形態を示す概略断面図である。図２は、図１における内側容器の概略斜視図である。図３は、スープを調製した直後に蒸気によってパンを加湿・加温する状態を示す概略断面図である。

図１において、１は外側容器であり、例えば樹脂で形成し又は紙を基材として表面に樹脂を塗着ないしは樹脂フィルムを貼ることにより形成する。樹脂は耐熱性であることが好ましい。この外側容器１は、所定の大きさを有する角型に形成されているが、丸型又は楕円型等の他の形状に形成することも可能であり、上方に開口してその開口端に水平の縁片１ａを設けてある。

２は内側容器であり、外側容器１と同様に樹脂で形成し又は紙を基材として表面に樹脂を塗着ないしは樹脂フィルムを貼ることにより形成する。樹脂は必ずしも耐熱性でなくても良い。この内側容器２は、上記外側容器１よりも小さい角型に形成されているが、外側容器１の形状に合わせて丸型又は楕円型等の他の形状に形成することも可能であり、上方に開口してその開口端に水平の縁片２ａを設けてある。又、内側容器２の開口端部には、樹脂製又は樹脂フィルムを貼った紙製の薄い内蓋３が、縁片２ａに貼着されることにより取り付けられ、図２のように複数の小孔３ａがほぼ全域に亘って設けられている。この内蓋３は耐熱性であることが好ましい。

４は樹脂製又は樹脂フィルムを貼った紙製の外蓋であり、外周縁部に沿って係止部４ａが形成されている。この外蓋４は、外側容器１の縁片１ａに上記内側容器２の縁片２ａを受け止させるようにして、内側容器２を外側容器１内に落とし込み、その上方から被せて外側容器１の縁片１ａと内側容器２の縁片２ａとの接合部を上記係止部４ａにより挟み込んで係止することにより、内側容器２と共に外側容器１を密封できるようにしてある。更に、図示は省略したが、これら全体を透明の防湿性熱収縮フィルムやシート等で被覆してシール性を向上させるようにすることもできる。

５は内側容器２内に収納されているパンであり、その大きさや形は必ずしも限定されないが、内側容器２の内容積よりも小形のものとし、内側容器２内に隙間が生じるようにしておく。このパン５としては、通常の製法によって焼き上げたパンでよいが、特にパネトーネ酵母を利用して発酵させたパンであると保存期間を延長させることができる。その時の保存状態にもよるが、通常のパンでは常温で保存期間が３日程度であるのに対し、パネトーネ酵母発酵パンでは約６０日である。この場合には、パン５を内側容器２内に収納することで、パンの酸化の原因である光を遮断できるため長期間の保存が有利となる。

又、パネトーネ酵母を利用したパンを棒状形態にして通常よりも低い温度（約１６０℃）で長く（約２５分）焼くことにより、通常のパンより水分を少なく調整した乾燥パン又は半乾燥パンとすれば、保存性をより一層高めることができる。更に、パネトーネ酵母を利用したパンの表面に食物繊維を入れたビスケット生地を載せ、平たく形成して焼いたものだと、保存性が高いばかりでなく健康食品としてのパンを作ることができる。又、パンの中にフラワーペーストを入れることにより、色々な味を付けることが可能である。パンは通常水分を多く入れ、副材料が少ないため総エネルギーが小麦粉由来のエネルギーであるが、卵、加工油脂等を多く使用することにより、通常のパンより総エネルギーを増大させることも可能である。

６は前記外側容器１内に収納されているスープ入り袋であり、防湿性の袋内に適量のスープ粉末が密封状態で収納されている。このスープ粉末はお湯を注いで溶かすとスープが調製される。このスープとしては、例えばコーンスープ、コンソメスープ等の種々のスープ類を選択して使用することができる。又、スープは粉末に限らずに濃縮した液体状であっても構わない。尚、パンの種類によってはスープ以外のもの、例えばコーヒーやミルク、紅茶などであっても使用可能である。その場合には、即席のコーヒー粉末や粉ミルクを袋入りとし、紅茶は濾紙用袋入りとすれば良い。

上記のように構成されているスープ付きカップ容器入りパンを食べる方法について以下に説明する。このカップ容器において、先ず外蓋４を取り外す。この時全体が熱収縮フィルムやシートで被覆されている場合には、その被覆を破いて除去した後に外蓋４を取り外すことは言うまでもない。次いで、内蓋３の付いた内側容器２を外側容器１から取り出してスープ作りを行う。

このスープ作りは、外側容器１の内底部からスープ入り袋６を取り出して開封すると共に、スープ粉末を外側容器１内に入れ、予め用意しておいたお湯（通常は熱湯）を注ぎながらスプーン等で攪拌し、所定量注入してスープ粉末を十分に溶かす。これにより、外側容器１内にスープ７が調製される。

スープ７の調製直後に、図３に示すように内側容器２を下向きにして外側容器１の上に被せる。この時、内側容器２の下端外周縁と外側容器１の上端外周縁とを合わせるようにすると、内側容器２の縁片２ａが外側容器１の縁片１ａに受け止される。これにより、内側容器２は、外側容器１によって安定良く且つ密着状態にて保持される。

この状態において、内側容器２内に収納されているパン５は、前記内蓋３により受け止されるため外側容器１内のスープ７内に落下することはない。又、内蓋３には複数の小孔３ａが設けられているため、スープ調製時に発生する蒸気（湯気）が小孔３ａを通過して内側容器２内に流入し、パン５を加湿・加温する。内側容器２内はパン５との間に隙間があるため、小孔３ａから十分量の蒸気が流入すると共に、流入した蒸気が内側容器２内を対流する。この蒸気による加湿・加温を数分間（パンの種類により異なるが通常５〜６分間）行うと、パン５はふっくらとした状態に膨らむと共に適度に温められて焼き立てのような状態になる。特に、パンが乾燥パン又は半乾燥パンの場合には、蒸気による加湿・加温が有効に作用してパン本来の旨さが生じることになる。

この後、内側容器２を取り外して内蓋３を開けばパン５を取り出すことができる。そして、このパン５を少しずつ千切りながら外側容器１内のスープ７に付けて食べることができる。上記パン５の加湿・加温中においては、外側容器１の内部は内側容器２により密閉されているため、スープ７が保温されて早期に冷えるのが阻止される。これにより、温められたパン５を温かいスープ７に付けて美味しく食べることができる。

図４ないし図６は、本発明に係るスープ付きカップ容器入りパンの他の実施形態を示している。図４は、本発明の第２実施形態を示す概略断面図である。図５は、カップ容器の概略上面図である。図６は、スープを調製した状態を示す概略断面図である。

図４において、１１はカップ容器であり、例えば樹脂で形成し又は紙を基材として表面に樹脂を塗着ないしは樹脂フィルムを貼ることにより形成する。樹脂は耐熱性であることが好ましい。このカップ容器１１は、所定の大きさを有する丸型に形成されているが、角型等の他の形状に形成することも可能であり、上方に開口してその開口端に水平の縁片１１ａを設けてある。

上記カップ容器１１は、仕切壁１２が立設されて内部が区分されている。この仕切壁１２は、下端の折曲片１２ａをカップ容器１１の内底面に接着すると共に、両側端の折曲片１２ｂを図５のようにカップ容器１１の内壁面にそれぞれ接着することにより取り付けられる。この場合、仕切壁１２はカップ容器１１の中央よりやや側方にずれた位置に立設され、且つカップ容器１１の深さより若干低い（５ｍｍ〜１０ｍｍ）寸法に設定されている。

上記仕切壁１２で区分されたうち狭い方の第１区分１３内にはパン１５を収納し、広い方の第２区分１４内にはスープ入り袋１６を収納し、そしてカップ容器１１の上端開口部には蓋体１７を貼着することにより、カップ容器１１が密封されている。尚、仕切壁１２によるカップ容器１１内の区分の数は２つに限定されない。例えば、図示は省略したがカップ容器内を３つに区分し、そのうち２つの区分内に種類の異なるパン又は種類のことなるスープ入り袋を収納することが可能である。

蓋体１７は、例えば樹脂で形成し又は紙を基材として表面に樹脂を塗着ないしは樹脂フィルムを貼ることにより薄く形成する。この蓋体１７は外周縁部を前記カップ容器１１の縁片１１ａに接着して取り付け、図５のように外周縁の一部には側方に突出するつまみ用の舌片１７ａを設けてある。この舌片１７ａは上記第２区分１４側に位置させる。

前記第１区分１３内に収納されているパン１５は、その大きさや形は必ずしも限定されないが、第１区分１３の内容積よりも小形のものとし、第１区分１３内に隙間が生じるようにしておく。このパン１５としては、前記と同様に通常の製法によって焼き上げたパンでよいが、特にパネトーネ酵母を利用して発酵させたパンであると保存期間を延長させることができる。この場合には、パン１５をカップ容器１１内に収納することで、パンの酸化の原因である光を遮断できるため長期間の保存が有利となる。

又、パネトーネ酵母を利用したパンを棒状形態にして通常よりも低い温度（約１６０℃）で長く（約２５分）焼くことにより、通常のパンより水分を少なくした乾燥パン又は半乾燥パンとすれば、保存性をより一層高めることができる。細い棒状のパンを複数本収納するように構成することも可能である。更に、パネトーネ酵母を利用したパンの表面に食物繊維を入れたビスケット生地を載せ、平たく形成して焼いたものだと、保存性が高いばかりでなく健康食品としてのパンを作ることができる。パン１５の中にフラワーペーストを入れることにより、色々な味を付けることが可能である。パンは通常水分を多く入れ、副材料が少ないため総エネルギーが小麦粉由来のエネルギーであるが、卵、加工油脂等を多く使用することにより、通常のパンより総エネルギーを増大させることも可能である。

上記第２区分１４内に収納されているスープ入り袋１６は、前記と同様に防湿性の袋内に適量のスープ粉末が密封状態で収納されている。このスープ粉末はお湯を注いで溶かすとスープが調製される。このスープとしては、例えばコーンスープ、コンソメスープ等の種々のスープ類を選択して使用することができる。又、スープは粉末に限らずに濃縮した液体状であっても構わない。尚、パンの種類によってはスープ以外のもの、例えばコーヒーやミルク、紅茶などであっても使用可能である。その場合には、即席のコーヒー粉末や粉ミルクを袋入りとし、紅茶は濾紙用袋入りとすれば良い。

このように構成されたスープ付きカップ容器入りパンを食べる方法について説明する。先ず、カップ容器１１の蓋体１７を仕切壁１２の部分まで、即ち第２区分１４に対応する領域部分だけ開く。この時、前記舌片１７ａを指でつまんで持ち上げることにより、蓋体１７を容易に開くことができる。但し、図示はしないが、カップ容器１１の全体が熱収縮フィルムやシートで被覆されている場合には、その被覆を破いて除去した後に蓋体１７を開くことは言うまでもない。次いで、第２区分１４内からスープ入り袋１６を取り出してスープ作りを行う。

このスープ作りは、スープ入り袋１６を開封すると共に、スープ粉末を第２区分１４内に入れ、予め用意しておいたお湯（通常は熱湯）を注ぎながらスプーン等で攪拌し、所定量注入してスープ粉末を十分に溶かす。これにより、図６のように第２区分１４内にスープ１８が調製される。

スープ調製直後に、半開き状態の蓋体１７をカップ容器１１に被せると共に適当な重しを載せて蓋体１７を密着させる。重しとしては、例えばスープ調製時に用いた薬缶や小鍋等を用いることができる。蓋体１７を密着させると、仕切壁１２との間に隙間Ｓ（図４参照）が生じるため、スープ調製時に発生する蒸気（湯気）がその隙間Ｓを通過して第１区分１３内に流入し、パン１５を加湿・加温する。第１区分１３はパン１５との間に隙間があるため十分な量の蒸気が流入すると共に、流入した蒸気が第１区分１３内を対流する。この蒸気による加湿・加温を数分間（パンの種類により異なるが通常５〜６分間）行うと、パン１５はふっくらとした状態に膨らむと共に適度に温められて焼き立てのような状態になる。特に、パンが乾燥パン又は半乾燥パンの場合には、蒸気による加湿・加温が有効に作用してパン本来の旨さが生じる。

この後、蓋体１７を全開すれば第１区分１３内からパン１５を取り出すことができる。そして、このパン１５を第２区分１４内のスープ１８に付けながら食べることができる。上記パン１５の加湿・加温中においては、カップ容器１１の内部は蓋体１７により密閉してあるため、スープ１８が保温されて早期に冷えるのが阻止される。これにより、ふっくらとした焼き立て状態のパン１５を温かいスープ１８に付けて美味しく食べることができる。

図７は、本発明の第３実施形態を示す概略断面図である。基本的な大部分の構成部材は前記第２実施形態のものと同じであるから、第２実施形態と同じ構成部材は第２実施形態と同じ符号を付けて示し、それらの詳しい説明は省略する。

この第３実施形態において、第２実施形態と異なる構成は蓋体１７の内面の一部に吸水材からなる吸水層１９を設けたことである。即ち、パン１５を収納している第１区分１３の真上に位置する蓋体１７の内面部分に吸水層１９を設けてある。この吸水層１９としては、例えば脱脂綿、スポンジ、パルプなどの天然物からなる吸水材を用いることができるが、著しく吸水性に優れている高吸水性樹脂を用いると好ましい。

上記高吸水性樹脂は、例えば澱粉にアクリル系モノマーをグラフト重合させて処理したもので、この製法は基本的には水溶性高分子を部分的に架橋して不溶化している。この架橋によって水に溶けるのを防ぎ、分子間に多量の水を蓄えることができる。そして、自重の数百倍程度の吸水力と少々の圧力では水を離脱しない保持力とを備えている。現在では、多種の高吸水性樹脂が開発されており、大別すると、天然の高分子である澱粉・アクリル酸系、合成化学品・アクリル酸系、カルボキシル・メチル・セルローズ系等である。尚、吸水層１９は第１区分１３の上方に設けるだけでなく、第２区分１４の上方にも設けるようにしてもよい。

少なくとも第１区分１３の上方に位置させて吸水層１９を設けておくと、第２区分１４内においてスープを調製する時に発生する蒸気（湯気）が、隙間Ｓを通過して第１区分１３内に流入しパン１５を加湿・加温する際に、第１区分１３内において蓋体１７の内側部分で生じる凝縮水を吸水することができる。この吸水層１９が無い場合には、第２区分１４から流入する蒸気によって第１区分１３内が過飽和状態となり、且つ蓋体１７の外側部分は内側部分より低温であるため、蒸気の一部が冷やされて蓋体１７の内側に凝縮水となって付着する。この凝縮水が水滴となって落下すると、パン１５を濡らし特にパン１５の上半部が加湿過多となり、又落下した水滴が第１区分１３の底部に溜まるとパン１５の下部が加湿過多となる。パン１５が加湿過多になると、その部分がふやけて不味くなってしまう。上記吸水層１９はこのような事態を未然に防止することができる。

図示は省略したが、第２区分１４の上方に位置させて蓋体１７の内面部分にも吸水層を設けてある場合には、スープ調製時に発生する蒸気の一部が蓋体１７の内面部分で冷やされて凝縮する水滴を吸水することができる。このため、第２区分１４内において蒸気の含水率が低下し、その含水率の低下した蒸気が隙間Ｓを通って第１区分１３内に流入することになる。この結果、第１区分１３内での凝縮水の生成量を緩和することができる。又、第２区分１４内で生じる凝縮水は吸水層により吸水されるため、蓋体１７の内面部分に凝縮水が付着することはなく、凝縮水がスープ内に落下することもなくなる。

このように構成された第３実施形態のスープ付きカップ容器入りパンを食べる方法は、前記第２実施形態のものと同じであるからその説明は省略する。

図８は、本発明の第４実施形態を示す概略断面図である。基本的な大部分の構成部材は前記第２実施形態のものと同じであるから、第２実施形態と同じ構成部材は第２実施形態と同じ符号を付けて示し、それらの詳しい説明は省略する。

この第４実施形態において、第２実施形態と異なる構成はカップ容器１１の深さと同じ寸法の仕切壁１２を立設し、仕切壁１２の上端部分は水滴は通さないが蒸気は通す材質からなる蒸気透過層２０を設けたことである。この蒸気透過層２０としては、例えばガス透過膜、多孔質膜、多孔質の不織布等であって、これらはいずれも蒸気粒子は通すがそれより大きい水粒子は通さない材質のものを用いることができる。

上記のように仕切壁１２の上端部分に蒸気透過層２０を設けておくと、第２区分１４内においてスープを調製する時に発生する蒸気（湯気）が、蒸気透過層２０を通過して第１区分１３内に流入しパン１５を加湿・加温する際に、蒸気中に一部生じた粒子径の大きい水粒子を蒸気透過層２０によって遮断することができる。このため、第１区分１３内に流入する蒸気の含水率が低下し、第１区分１３内での凝縮水の生成量を緩和することができる。この結果、蒸気によるパン１５の加湿を調整すると共に加湿過多を防止し、適度の加湿・加温によってふっくらとした美味しいパンに仕上げることができる。

このように構成された第４実施形態のスープ付きカップ容器入りパンを食べる方法も、前記第２実施形態及び第３実施形態のものと同じであるからその説明は省略する。

図９は、本発明の第５実施形態を示す概略断面図である。この場合も、前記第２実施形態と同じ構成部材は第２実施形態と同じ符号を付けて示し、それらの詳しい説明は省略する。

この第５実施形態において、第２実施形態と異なる構成はカップ容器１１内に仕切壁１２を設けずに、パン１５とスープ入り袋１６とを収納したことである。仕切壁１２がないため、同一容積のカップ容器１１であってもパン１５の収納量を増やすことが可能となり、これに伴ってスープ入り袋１６の増量も可能となる。

このように構成された第５実施形態のスープ付きカップ容器入りパンを食べる方法は、蓋体１７を全開してパン１５とスープ入り袋１６を取り出し、先にスープ作りを行う。このスープ作りは、スープ入り袋１６を開封すると共に、スープ粉末をカップ容器１１内に入れ、予め用意しておいたお湯（通常は熱湯）を注ぎながらスプーン等で攪拌し、所定量注入してスープ粉末を十分に溶かす。これにより、図示は省略したがカップ容器１１内にスープが調製される。

この場合は、原則としてスープ作りの際に発生する蒸気（湯気）によってパン１５を加湿・加温することはできないが、全く不可能であるというものではない。例えば、図示は省略したがスープ調製直後にカップ容器１１の開口端に２本の箸を適当な間隔をあけて平行に差し渡し、その２本の箸の上に直角方向となるようにパン１５を載置すれば、スープから立ち上る蒸気によってパン１５をある程度加湿・加温することができる。このため、パン１５は平たい棒状のものにすると好ましい。

或は、パン１５を円形又は楕円形状のものとし、この円形又は楕円形状のパン（図略）をスープ調製直後にカップ容器１１の開口端にほぼ蓋を被せるように載置すれば、スープから立ち上る蒸気によってパン１５を加湿・加温することができる。このため、円形又は楕円形状のパンの外径は、カップ容器１１の開口端の内径より若干大きくすると好ましい。尚、円形又は楕円形状のパンの外径がカップ容器１１の開口端の内径より小さくて載置できないような場合には、カップ容器１１の開口端より少し下方に落とし込むようにすれば、カップ容器１１の内壁によって受け止されるので蒸気による加湿・加温が可能となる。但し、パン１５がスープに接触しないようにすることが要求される。

このようにカップ容器１１内にパン１５とスープ入り袋１６とを組み合わせて収納した食品は従来存在せず、身近な所にパン又はスープが無い時はパンをスープに付けて食べることはできなかったが、本発明によればそのような不便を容易に解消することができる。

本発明は、スープ付きカップ容器入りパンとして好適に利用することができる。

本発明の第１実施形態を示す概略断面図である。図１における内側容器の概略斜視図である。スープを調製した直後に蒸気によってパンを加湿・加温する状態を示す概略断面図である。本発明の第２実施形態を示す概略断面図である。カップ容器の概略上面図である。スープを調製した状態を示す概略断面図である。本発明の第３実施形態を示す概略断面図である。本発明の第４実施形態を示す概略断面図である。本発明の第５実施形態を示す概略断面図である。

符号の説明

１外側容器
２内側容器
３内蓋
３ａ小孔
４外蓋
５パン
６スープ入り袋
７スープ
１１カップ容器
１２仕切壁
１３第１区分
１４第２区分
１５パン
１６スープ入り袋
１７蓋体
１８スープ
１９吸水層
２０蒸気透過層

Claims

外側容器と、この外側容器内に収納される内側容器と、この内側容器内に収納されるパンと、前記外側容器内に収納されるスープ入り袋と、前記内側容器を施蓋する複数の小孔を設けた内蓋と、前記外側容器を密封する外蓋とを備えてなるスープ付きカップ容器入りパンであって、前記パンを食するときに前記外蓋を開けて内側容器を取り出し、この内側容器を前記内蓋が下側になるようにして前記外側容器の上に被せて密着状態に保持し、前記外側容器内でスープをお湯で溶かす時に発生する蒸気が前記小孔を介して内側容器内に流入することで前記パンを加湿・加温することを特徴とするスープ付きカップ容器入りパン。
上方に開口するカップ容器を備え、このカップ容器の内部は仕切壁が立設されて複数に区分されると共に、その仕切壁の高さはカップ容器の深さより低い寸法に設定され、前記区分内にパンが収納され、他の区分内にはスープ入り袋が収納され、前記カップ容器の上端開口部は蓋体を貼着することにより密封され、その蓋体の内面における少なくとも前記パンを収納した区分の真上に位置する部分に吸水層が設けられたことを特徴とするスープ付きカップ容器入りパン。
前記吸水層は脱脂綿、スポンジ、パルプなどの天然物からなる吸水材又は高吸水性樹脂材からなることを特徴とする請求項２に記載のスープ付きカップ容器入りパン。
上方に開口するカップ容器を備え、このカップ容器の内部は仕切壁が立設されて複数に区分されると共に、その仕切壁の高さはカップ容器の深さと同じ寸法に設定され、前記区分内にパンが収納され、他の区分内にはスープ入り袋が収納され、前記カップ容器の上端開口部は蓋体を貼着することにより密封され、前記仕切壁の上端部分は水滴は通さないが蒸気は通す材質からなる蒸気透過層が設けられたことを特徴とするスープ付きカップ容器入りパン。
前記蒸気透過層はガス透過膜、多孔質膜、多孔質の不織布等、蒸気粒子は通すがそれより大きい水粒子は通さない材質からなることを特徴とする請求項４に記載のスープ付きカップ容器入りパン。
前記パンは水分を少なく調整した乾燥パン又は半乾燥パンであることを特徴とする請求項１ないし請求項５のいずれかに記載のスープ付きカップ容器入りパン。