JP3783130B2 - ファイル表紙及びファイル表紙の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は各種の文章や用紙その他の書類等を綴じ込んで整理保管等に使用するファイル表紙及びファイル表紙の製造方法、さらに詳しくは表表紙と背部及び裏表紙とからなり、前記背部を湾曲状に形成したファイル表紙(一般に背丸ファイル表紙、或いは背丸バインダー表紙と称されている)及びその製造方法に関し、特に表紙材の背部を湾曲状に形成する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
背部を湾曲状に形成したファイル表紙は見開きがよいと共に書き入れし易い等の長所があり、従来より各種の書類等の綴込ファイル等として採用されている。
【0003】
従来、この種のファイル表紙の製造方法として、例えば図6に示す方法が一般に知られている。この従来例(従来例1)は図6aに示すように、略半円管状に形成した背部構成材201(一般にクータと称している)と、表表紙構成材202と、裏表紙構成材203をボール紙やプラスチックその他の素材で作成する。そして、図6bに示すように、背部構成材201の両側に表表紙構成材202及び裏表紙構成材203の一端側を当接し、この状態で前記三者201,202,203の内側面に薄いボール紙等204を接着して前記三者201,202,203を連結し、これにより、表表紙202aと背部201a及び裏表紙203aとからなり、背部201aが湾曲状に形成されていると共に前記三者201,202及び203の接合部にヒンジ部205,205が形成されたファイル表紙を製造している。しかし、従来例1の方法は製造に手間が掛かると共にヒンジ部が弱く、破損する問題を有している。
【0004】
従来の他の製造方法として、従来例1と同様に構成した背部構成材201と表表紙構成材202及び裏表紙構成材203を作成し、背部構成材201の両側に表表紙構成材202及び裏表紙構成材203の一端側を当接し、この状態で前記三者201,202及び203の表面全体にクロース製の表装材を貼り合わせると共に前記三者の裏面全体にクロース製の裏貼り材を貼り合わせて三者を連結し、これにより、表表紙と背部及び裏表紙とからなり、背部が湾曲状に形成されていると共に前記三者の接合部にヒンジ部に前記クロースで構成したヒンジ部が形成されたファイル表紙を製造する方法がある。この従来例の方法も製造に手間取ると共に、ヒンジ部が軟弱で使用し難い等の問題を有している。
【0005】
そこで、上記のような問題を解決する目的で、一枚の長方形状の表紙材の中央部に所定の間隔を存して二条の平行な折り曲げ用のヒンジ部を形成すると共に湾曲状に形成した背部をもつファイル表紙を製造する方法が試みられている。その一例として、湾曲凹形状に形成した雌型と湾曲凸型状に形成した雄型を備えるプレス成形機を用い、表紙材(この表紙材には筋押機を用いて二条の平行な折り曲げ用のヒンジ部を形成してある)の背部となる部位(前記両ヒンジ部間の中央部)を位置させて加熱しながら加圧してプレス加工する方法が試みられている(未公開)。
【0006】
上記プレス成形機による方法により、背部を湾曲状に形成したファイル表紙を製造することが一応可能になる。しかし、単に加熱しながら加圧して表紙材の背部を湾曲状に成形する方法によると、型から外した時に、湾曲状態の戻り現象が生じ易く、そのため、湾曲形成した背部の形状を維持させることができない問題を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような実情に鑑み、製造が簡単で、かつ、湾曲状に形成した背部の形状を安定して維持することができるファイル表紙及びファイル表紙の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のうち1つの請求項1記載の発明は芯材を板紙材で構成した表紙材で、表表紙と背部及び裏表紙とが連続して一体に形成され、前記背部が湾曲状に形成されているファイル表紙の製造方法であって、湾曲凹形状に形成した雌型と、前記雌型と対応する湾曲凸形状に形成した雄型との間に前記表紙材の背部となる部位を位置させて加熱、加圧してプレス加工する工程と、前記表紙材の前記型内の背部となる部分に対して高周波を付与させる工程とによって、前記表紙材に背部を形成することを特徴とする。なお、この明細書において「ファイル表紙」とは、おおむね記録済みの文書等(伝票、カタログ、書類など)を綴じ、又は、挟み入れて整理、保管する表紙(これを「ファイル」と定義されている)、及びおおむね未記録の綴じ穴のある用紙(ルーズリーフ、帳票など)を綴じ込み、書き入れ等、記録できる綴じ具付き表紙(これを「バインダー」と定義されている)の両方を含む概念として用いている。
【0009】
上記発明によれば、表紙材の背部となる部位は加熱、加圧によりプレス加工されて湾曲状に成形され、この湾曲成形部位は高周波の作用により戻り現象が防止され、形状を安定して維持される。
【0010】
本発明において、前記加熱、加圧する工程と高周波を付与させる工程は請求項2記載の発明のように、表紙材の所定部を加熱しながら加圧する工程と、高周波を付与させる工程とを同時に並行して行なうことができる。また、請求項3記載の発明のように、表紙材の所定部を加熱、加圧してプレス加工した後、加圧を保持しながら高周波を付与させることもできる。
【0011】
本発明においては、前記表紙材は、請求項4記載の発明にように、板紙材製の芯材の一方の面に表装材を貼り合わせると共に他方の面に裏貼り材を貼り合わせて構成することができる。前記表装材及び裏貼り材は、請求項5記載の発明のように、両者とも肉薄の熱可塑性素材等のプラスチックシート材で構成することができると共に、いずれか一方を肉薄のプラスチックシート材で構成し、他方を任意の素材で構成することもできる。
【0012】
また、本発明においては、前記表装材及び裏貼り材は、請求項6記載の発明のように、両者とも薄紙材で構成することができると共に、いずれか一方を薄紙材で構成し、他方を任意の素材で構成することもできる。さらにまた、前記表装材及び裏貼り材は、請求項7記載の発明のように、両者ともクロース材で構成することができると共に、いずれか一方をクロース材で構成し、他方を任意の素材で構成することもできる。
【0013】
本発明のファイル表紙は請求項1ないし7記載のいずれかに記載の発明の製造方法によって製造した全てのファイル表紙を含む。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を説明する。図1は本発明のファイル表紙の製造方法によって、表紙材の所定部を湾曲状に形成する工程の一実施の形態を示す説明図、図2は本発明のファイル表紙を構成する表紙材を示す説明図、図3は前記表紙材の所定部を筋押して折り曲げ用のヒンジ部を形成する工程の一実施の形態を示す説明図である。
【0015】
まづ、本発明方法の実施に使用する図示の装置につき説明する。図1には表紙材の所定部を湾曲状に成形した部を形成するプレス型の成形機100の概要が開示されている。成形機100はプレス機本体1と、高周波発振器3とを備えている。
【0016】
プレス機本体1は、加工テーブル11上に設置され、湾曲凹形状に形成した雌型12と、取付部材14に取付け、前記雌型12の上方に対峙して設け、雌型12と対応して湾曲凸形状に形成した雄型13とを備え、雄型13は絶縁体15を介して取付体16に固定され、プレス機本体1の昇降駆動部17に鉛直方向に昇降自在に装着されている。
【0017】
前記雌型12は所望の湾曲形状に形成した湾曲凹部12aを有し、この湾曲凹部12aは表紙材に形成しようとする背部と全面的に当接する長さに形成されている。また、前記雄型は前記凹部12aと対応するように形成した湾曲凸部13aを有し、この凸部13aも前記凹部12aと対応する長さに形成されている。
【0018】
前記雌型12にはヒーター18が設けてあり、このヒーター18で雌型12を加熱するように構成してある。なお、前記ヒーターは雄型13側に設け、雄型13を加熱するように構成してもよく、或いは前記両型12,13の両方に設け、両型12,13を加熱するように構成してもよい。
【0019】
前記テーブル11の適当部にはプレス駆動用スイッチ19及びヒーター制御盤20が設けてある。前記制御盤20にはヒーター18の電源スイッチ21及びヒーター18の加熱温度、加熱時間等を調整制御する制御部22等が設けてある。前記ヒーター18の加熱温度は約40℃〜約150℃の範囲程度で可変調整できるようになっている。
【0020】
前記プレス機本体1の昇降駆動部17にはプレス制御盤23が設けてある。この制御盤23は電源スイッチのON,OFFを制御すると共に加圧力、加圧時間等を調整制御するものである。
【0021】
前記高周波発振器3は固定部31に設置して設けてある。前記発振器3には電源スイッチ32、周波数調整制御部33、高周波発振制御部34等が設けてある。前記発振器3は真鍮板その他の良導体35で雄型13に接続され、良導体35を通して雄型13へ高周波を発振するように構成されている。前記発振器3で発振する周波数は特に限定するものではないが、例えば、約35MHz(メガヘルツ)〜約50MHz(メガヘルツ)の範囲を挙げることができ、この範囲内で任意に調整可能に構成されている。なお、通常の場合は約38MHz〜約43MHz程度の範囲内で使用されることが多い。
【0022】
図示のプレス型の成形機100は上記のように構成され、表紙材4の所定部位を加熱しながら加圧すると共に高周波を付与し、湾曲状に形成するように構成してある。なお、前記成形機100は、ヒーター18の制御部22と前記発振器3の高周波発振制御部34とを関連させて自動的にON、OFF制御させるように構成することもできる。
【0023】
次に本発明のファイル表紙を構成する表紙材の一例につき説明すると、この実施の形態の表紙材4は図2に詳細に示すように、所望サイズの長方形状に形成され、芯材41の一方の面に表装材42を、また、他方の面に裏貼り材43を接着その他の手段により貼り合わせてなっている。前記芯材41は適当な厚さの再生ボール紙等の板紙材で構成されている。
【0024】
前記表装材42及び裏貼り材43の素材は特に限定されるものではなく、任意の素材を採用できるものであるが、例えば、塩化ビニル,ポリプロピレン,ポリエチレンその他の肉薄の熱可塑性素材等のプラスチックシート材、薄紙材、或いはクロース材等を挙げることができる。そして、前記したような素材から同質材或いは異質材のものを任意に選択して表装材42及び裏貼り材43として採用する。
【0025】
次に本発明のファイル表紙の製造方法の一例につき説明する。まず、図3に示すように、表紙材4の中央部に所望の間隔で二本の折り曲げ用のヒンジ部44,45を表紙材4の上縁から下縁にかけて施す。前記両ヒンジ部44,45は図示しない筋押機等を用いて従来と同様の方法で施すことができる。これにより、表紙材4には中央部に適当な巾の背部構成部46を、また、その左右両側に表表紙47及び裏表紙48がヒンジ部44,45を介して形成される。
【0026】
次いで、プレス機本体1のヒーター制御盤20、プレス制御盤23、及び発振器3の周波数調整制御部33、高周波発振制御部34を調整し、ヒーター18の加熱温度,加熱時間等、プレス機本体1の加圧力,加圧時間等、及び発振する高周波の周波数,発振時間等を設定する。そして、ヒーター18の電源スイッチ21及び発振器3の電源スイッチ32をONにし、図1aに示すように、表紙材4の背部構成部46を雌型12と雄型13との間に位置させて表紙材4を雌型12上に載置した後、プレス駆動用スイッチ19をONにする。これにより、雄型13が下降して背部構成部46を加熱、加圧により湾曲状にプレス加工して湾曲状の背部46aが形成され、この背部46aには高周波が付与されて背部46aの湾曲形状を安定して維持させる。
【0027】
上記工程により、湾曲状に形成した背部46aの左右両側にヒンジ部44,45を介して表表紙47及び裏表紙48が形成されたファイル表紙40が製造される。
【0028】
なお、この場合において、前記ヒーター18の加熱温度及び高周波の周波数は表装材42及び裏貼り材43の材質等に応じて適当に調整するとよい。即ち、例えば塩化ビニルは高周波の影響により溶け易く、また、ポリプロピレンやポリエチレンは熱を高くすると溶融し易い性質を有している。そのため、例えば表装材42等として塩化ビニルを採用したときは、ヒーターの加熱温度を高くして、高周波を弱くし、また、表装材42等としてポリプロピレンやポリエチレンを採用したときは、ヒーターの加熱温度を低くして、高周波を強くするように調整するとよい。なお、前記は調整方法の一例として述べたもので、前記以外の諸条件によって加熱温度及び周波数を調整する場合もあること勿論のことである。また、ヒーター18の制御部22と発振器3の高周波発振制御部34とを関連させて自動的にON,OFF制御させるように構成し、例えば、ヒーター18をOFFした後、高周波を発振させるように構成することもできる。
【0029】
図4及び図5は前記ファイル表紙40を使用して綴込ファイルを構成した一例を開示するものである。即ち、図4に示すように、前記ファイル表紙40の背部46aの内側面に所望の綴じ具51を止めピン52等で固定し、綴込ファイル50を製造したものである。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、製造が簡単で、かつ、湾曲状に形成した背部の形状を安定して維持することができるファイル表紙及びファイル表紙の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のファイル表紙の製造方法によって、表紙材の所定部を湾曲状に形成する工程の一実施の形態を示す説明図であって、同図aは表紙材の背部となる部位を湾曲状に成形加工する工程を示す説明図、同図bは同図aの工程により製造されたファイルの一部を示す説明図。
【図2】本発明のファイル表紙を構成する表紙材を示す説明図であって、同図aは表面側から見た斜視図、同図bは裏面側から見た斜視図、同図cは同上表紙材の一部を拡大して示す縦断面図。
【図3】本発明のファイル表紙を構成する表紙材の所定部を筋押して折り曲げ用のヒンジ部を形成する工程の一実施の形態を示す説明図。
【図4】ファイル表紙の背部に綴じ具を取付て綴込ファイルを製造する状態を示す説明図。
【図5】本発明方法により製造した綴込ファイルの一実施の形態を示す斜視図。
【図6】従来の背丸ファイル表紙を示す説明図であって、同図aはファイル表紙を構成する構成材を示す説明図、同図bはファイル表紙の製造工程を示す説明図。
【符号の説明】
1…プレス機本体
3…高周波発振器
4…表紙材
12…雌型
13…雄型
41…芯材
46a…背部
47…表表紙
48…裏表紙

Claims (7)

  1. 芯材を板紙材で構成した表紙材で、表表紙と背部及び裏表紙とが連続して一体に形成され、前記背部が湾曲状に形成されているファイル表紙の製造方法であって、
    湾曲凹形状に形成した雌型と、前記雌型と対応する湾曲凸形状に形成した雄型との間に前記表紙材の背部となる部位を位置させて加熱、加圧してプレス加工する工程と、
    前記表紙材の前記型内の背部となる部分に対して高周波を付与させる工程とによって、前記表紙材に背部を形成することを特徴とする、
    ファイル表紙の製造方法。
  2. 請求項1記載のファイル表紙の製造方法において、前記過熱、加圧してプレス加工する工程と、前記高周波を付与させる工程とを並行して行なうことを特徴とする、ファイル表紙の製造方法。
  3. 請求項1記載のファイル表紙の製造方法において、前記過熱、加圧してプレス加工した後、加圧を保持しながら前記高周波を付与させることを特徴とする、ファイル表紙の製造方法。
  4. 前記表紙材は芯材の一方の面に表装材を、また、他方の面に裏貼り材を貼り合わせてなっていることを特徴とする、請求項1,2又は3記載のファイル表紙の製造方法。
  5. 前記表装材及び裏貼り材のうち、少なくとも一方は肉薄のプラスチックシート材で構成されていることを特徴とする、請求項1,2,3又は4記載のファイル表紙の製造方法。
  6. 前記表装材及び裏貼り材のうち、少なくとも一方は薄紙材で構成されていることを特徴とする、請求項1,2,3又は4記載のファイル表紙の製造方法。
  7. 前記表装材及び裏貼り材のうち、少なくとも一方はクロース材で構成されていることを特徴とする、請求項1,2,3又は4記載のファイル表紙の製造方法。
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