JP3781900B2 - 撥水性塗膜 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、撥水性を有するフッ素樹脂粉末や表面に疎水化処理を施した無機微粉末をバインダに分散させ、さらにオイルを添加した撥水性コーティング用塗料及びその塗膜に関する。塗膜は塗料を被塗物に塗布後、有機溶剤が揮発した後に乾燥硬化して得られる物である。
【0002】
本発明の塗料を用いて形成した塗膜は、撥水性を有するため撥水性や難着雪性、難着氷性、難着霜性が必要とされる多くの物品に塗布して使用することができる。撥水性が必要な物品としては、例えば傘などの雨具、難着雪性、難着氷性が必要な物品としては、例えば豪雪地の建物の屋根、橋梁、無線通信用アンテナ、熱交換器などが挙げられる。
【0003】
【従来の技術】
従来のフッ素樹脂塗料は、耐候性、耐汚染性に優れる塗料として、建築、自動車等の分野で利用されている。これらは、フルオロオレフィンと種々の炭化水素との共重合体を利用した1成分系の塗料である。これらはいずれも高い撥水性を有しておらず、形成した塗膜の水の接触角は80°前後である。難着雪性、難着氷性も低い。
【0004】
また、フッ素樹脂微粉末あるいは、表面疎水化無機微粉末をフッ素系樹脂バインダに混合した塗料、さらにはパーフルオロアルキルポリエーテルを添加した塗料においては、形成した塗膜の水の接触角が150°程度と高い撥水性を実現し、実用に供されつつある。ところが、これら接触角115゜以上を達成している従来の塗膜表面には、いずれの場合も撥水性粉末による微細凹凸が形成されている。この微細凹凸は難着氷、難着雪を求める際にはアンカー効果のもとになり難着氷、難着雪の妨げになる。また初期の撥水性は優れていても、長期的な水浸漬により撥水性、難着雪・難着氷性の低下が生じる問題がある。
【0005】
従来の、フッ素系樹脂バインダとフッ素樹脂微粉末または表面疎水化SiO2微粉末等の撥水性微粒子を用いて形成した塗膜断面構造模式図を図2に示す。基板4上に多量の撥水性微粒子2を含むフッ素系樹脂バインダ6が塗布され、バインダ6の表面にはパーフルオロアルキルポリエーテル等の添加剤5が用いられているが、その表面から撥水性微粒子2が頭を露出させた構造となっている。このような塗膜では、見かけ上の撥水性の高い塗膜表面を得ることはできるが、結露がもとで起こる着氷、着霜に対しては難着氷性、難着霜性の効果が十分に発揮されない。また、長期的な水浸漬により撥水性の低下が見られる。その原因を調べると、撥水性微粒子2が形成している塗膜表面5の微細凹凸より微細な水滴が結露等により発生し、これが氷結して着氷、着霜現象のもとになる場合は、撥水の効果が発揮されず難着氷、難着霜の効果は小さい。また、撥水性微粒子とバインダの間に形成された隙間7に水が浸入し、その後隙間から水が抜けずに撥水性の低下を引き起こしていると考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決した撥水性コーティング用塗料及びその塗膜を提供することを目的とするものである。すなわち、結露等の極微細な水滴から発生する着氷、着霜現象に対する難着氷性、難着霜性を向上させ、長期的な水浸漬下に使用しても高い撥水性を維持できる撥水性コーティング用塗料及びその塗膜を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の撥水性コーティング用塗料及びその塗膜は、上記問題点を解決するために、フッ素樹脂粉末或いは表面に疎水化処理を施した無機微粉末の一種類の粉末もしくは複数種類の混合粉末と、シリコーン樹脂バインダと、シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイルのうち一種類のオイルもしくは複数種類の混合オイルを含むことを特徴とする。
【0008】
図1は基板上に形成された本発明による塗膜の断面構造模式図である。本発明は、基板4上に多量の撥水性微粒子2を含むシリコーン樹脂バインダ3が塗布され、シリコーン樹脂バインダ3の表面から撥水性微粒子2が頭を露出させた構造となっているが、撥水性微粒子2より表面自由エネルギーの小さい、シリコーンオイル或いはフルオロシリコーンオイルを添加オイル1に用いることにより、塗膜表面の微細凹凸の表面をこれらの添加オイル1が覆い、高い撥水性を維持しながら塗膜表面の潤滑性を向上させることが出来る。シリコーンオイル或いはフルオロシリコーンオイルは、従来技術のパーフルオロアルキルポリエーテル等の添加剤とは異なりn−ヘプタン、トルエン等の有機溶媒に溶解するため、塗料中で沈降せず、効果的に撥水性微粒子とバインダの隙間7の発生を減らすことができる。
【0009】
この様な理由により本発明の塗料を用いて形成した塗膜は、結露等の極微細な水滴から発生する着氷、着霜現象に対する難着氷性、難着霜性を著しく向上させることが出来る。長期水浸漬においても塗膜全体の細部にわたって撥水性の低下を防止できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の撥水性コーティング用塗料及びその塗膜は、フッ素樹脂粉末或いは表面に疎水化処理を施した無機微粉末の一種類の粉末もしくは複数種類の混合粉末と、シリコーン樹脂バインダと、シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイルのうち一種類のオイルもしくは複数種類の混合オイルを含むことを特徴とするものである。さらに、本発明における効果的な構成用件を列挙すると下記のとおりである。
【0011】
(1)フッ素樹脂粉末は四フッ化エチレン樹脂粉末(PTFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体樹脂粉末(FEP)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂粉末(PFA)のうち、一種類の粉末もしくは複数種の混合粉末が良い。これらの粉末はいずれも高い撥水性を得られる材料である。
【0012】
(2)表面に疎水化処理を施した無機微粉末がSiO2系、Al2O3系のうち、一種類もしくは複数種類の混合粉末が良い。疎水化処理は、例えばジメチルシリコーンオイル等の疎水性の材料で粉末の表面をコートすることにより行われる。SiO2、Al2O3自体は親水性であるが、疎水性の材料で粉末の表面をコートすると、微細で、硬くつぶれ難い撥水性微粒子となりうる。
【0013】
(3) バインダは表面自由エネルギーが小さいものであれば特に限定されないが、フッ素化アルキル基またはアルキル基で変成されたシリコーン樹脂が適しており単独でもこれらの混合体でも良い。シリコーン樹脂の鎖の中には、水酸基、カルボニル基等の親水性の基が混在することがある。このような親水性の基の存在は撥水性を劣化させるので、フッ素化アルキル基またはアルキル基のような疎水性の基で置換、すなわち変性するのが良い。
【0014】
一般に撥水性微粉末の表面自由エネルギーよりバインダの表面自由エネルギーの方が大きく、両者の表面自由エネルギー差が小さいほど、濡れ性が良くなるので、バインダの表面自由エネルギーが小さいほど好適である。表面自由エネルギーは、表面張力により評価できるが、一般的な撥水性微粉末の表面張力は21.5dyne/cm程度、本発明に係わる高純度PTFEの表面張力は18.5dyne/cm程度またはそれ以下であり、シリコーン樹脂バインダの表面張力は22.2dyne/cm程度でかなり低く、シリコーン樹脂バインダの表面自由エネルギーは小さいといえる。
【0015】
(4)シリコーンオイルあるいはフルオロシリコーンオイルは、粉体及びバインダより表面自由エネルギーが小さいことが望ましい。表面自由エネルギーが小さいほど表面に出やすくなり、粉体及びバインダの表面を覆うことができる。フッ素シリコーンオイルの表面張力は18.3dyne/cm程度で高純度PTFE粉末及びシリコーン樹脂バインダの表面自由エネルギーより小さくなりうる。表面自由エネルギーが小さいフッ素シリコーンオイルは、例えば長鎖のフルオロアルキル基をシリコーンオイルの分子中に導入することにより得られる。
【0016】
また、フッ素シリコーンオイルは通常は有機溶剤に溶解しないが、長鎖のフルオロアルキル基をシリコーンオイルの分子中に導入することにより得られるオイルは、エチルアルコール、n−ヘプタン、トルエン等の有機溶剤に溶解する。有機溶剤としては、アルコール系、芳香族系、脂肪族系のいずれかもしくはこれらの混合有機溶剤を使用できる。
【0017】
前記したフルオロシリコーンオイルのうちで、特に好適なものの例には化学構造式1に示すものが挙げられる。
【化1】
化学構造式において、フルオロアルキル基は、4炭素が含まれているが、3炭素以上が適切である。
【0018】
(5) 塗料は上記(1)〜(4)の不揮発性分をエチルアルコール、n−ヘプタン、トルエン等のアルコール系、芳香族系、脂肪族系のいずれかの有機溶剤もしくはこれらの混合有機溶剤と混合して作製される。
【0019】
【実施例1】
フッ素樹脂粉末は平均分子量5000、粒径0.8μmの四フッ化エチレン樹脂粉末を体積分率45%、バインダはシリコーン樹脂を体積分率55%、フルオロシリコーンオイルは塗料の不揮発分に対して重量比1%の3成分をボールミルを用いて混合し塗料を作製した。このフッ素樹脂シリコーン樹脂フルオロシリコーンオイル混合塗料を、スライドガラス、アルミ基板にスプレー塗装を行って塗膜を形成し、本発明の効果を確認するためのサンプルを作製した。
【0020】
本実施例1のサンプルの性能を比較するために比較例1ないし4のサンプルを作製した。
(比較例1)
比較例として、実施例1と同様の四フッ化エチレン樹脂粉末を体積分率で45%、フッカビニリデン樹脂バインダを体積分率で55%の2成分をボールミルを用いて混合し塗料を作製した。この塗料をスライドガラス、アルミ基板にスプレー塗装を行って塗膜を形成し、比較サンプルを作製した。実施例1とは樹脂バインダが異なり、フルオロシリコーンを用いていない。
【0021】
(比較例2)
比較例として、実施例1と同様の四フッ化エチレン樹脂粉末を体積分率で45%、フッカビニリデン樹脂バインダーを体積分率で55%、パーフルオロアルキルポリエーテルは塗料の不揮発分に対して重量比1%の3成分をボールミルを用いて混合し塗料を作製した。この塗料をスライドガラス、アルミ基板にスプレー塗装を行って塗膜を形成し、比較サンプルを作製した。実施例1とは樹脂バインダ及び、オイルが異なる。
【0022】
(比較例3)
比較例として、実施例1と同様の四フッ化エチレン樹脂粉末を体積分率で80%、フッカビニリデン樹脂バインダを体積分率で20%の2成分をボールミルを用いて混合し塗料を作製した。この塗料をスライドガラス、アルミ基板にスプレー塗装を行って塗膜を形成し、比較サンプルを作製した。実施例1とは樹脂バインダが異なり、フルオロシリコーンを用いていない。
【0023】
(比較例4)
比較例として、実施例1と同様の四フッ化エチレン樹脂粉末を体積分率で80%、フッカビニリデン樹脂バインダを体積分率で20%、パーフルオロアルキルポリエーテルは塗料の不揮発分に対して重量比1%の3成分をボールミルを用いて混合し塗料を作製した。この塗料をスライドガラス、アルミ基板にスプレー塗装を行って塗膜を形成し比較サンプルを作製した。実施例1とは樹脂バインダ及び、オイルが異なる。
【0024】
実施例1及び比較例1〜4の主要構成物をまとめたものが表1である。実施例1、比較例1〜4は撥水性微粒子にPTFEを用いている。
【表1】
【0025】
実施例1及び比較例1〜4の塗膜の性能、すなわち、初期撥水性、水浸漬200日後の撥水性、初期難着氷性を表2に示す。
【表2】
【0026】
まず、難着氷特性について以下に述べる。氷の付着しやすさを比較するため、塗膜上に−15℃で氷を付着させ、着氷力テスターを用いて着氷剪断力を測定した。図3に着氷力テスターの構成を示す。この着氷力テスターは、塗膜8上に付着した内径32mmの円筒状の筒9に囲まれた氷10をステンレスワイヤー11を用いて、塗膜8と平行な方向13へ一定速度で引っ張り、ロードセル12で氷が脱離するまでの荷重変化を読みとる装置である。最大の荷重を着氷剪断力とした。
【0027】
本発明の実施例1とその比較例1、2、3、4の塗膜について着氷剪断力を測定した。測定値は各5点の平均値を用いた。塗膜の着氷剪断力は本発明の実施例1は83g/cm2 であったのに対して、その比較例1、2、3、4は552g/cm2、392g/cm2、381g/cm2、154g/cm2であった。これらの着氷剪断力の比較を図4に示した。本発明の実施例は従来に比べ著しい特性の向上が得られる。
【0028】
実施例及び比較例の試料の撥水性について以下に述べる。図5は、基板4上の塗膜8の上に水滴を滴下した模式図である。また、塗膜8上の水滴14から接触角θを測定する。水の接触角θは撥水性の目安として最もよく知られており、その角度が大きいほど撥水性が高い。撥水性は協和界面科学(株)製の接触角計を用いて評価した。塗料表面に約4μl(4×10-9m3)の水滴を滴下し、水の接触角を測定した。測定は室温23℃で行い、測定数5点の平均値を用いた。
【0029】
実施例1の塗膜と水の接触角は148゜であった。また比較例1、2、3、4の塗膜と水の接触角はそれぞれ128゜、139゜、152゜、152゜であった。実施例1の塗膜の撥水性微粒子添加量は45vol%で比較例3、4の撥水性微粒子添加量は80vol%で、これらの接触角はほぼ等しいから、従来に比べ少量の撥水性粉末添加量で高い撥水性が得られていることがわかる。
【0030】
図6に、実施例1及びその比較例1、2、3、4の塗膜について、水浸漬日数と撥水性との関係を示す。撥水性は水との接触角で評価した。実施例1の塗膜は比較例に比べ撥水性の経時的低下は少なく、水に対する長期的耐久性を有していることがわかる。
【0031】
【実施例2】
ジメチルシリコーンオイルにより表面疎水化処理された、粒径0.2μmSiO2微粉末を体積分率で15%、バインダはポリオルガノシロキサン樹脂を体積分率で85%、塗料の不揮発分に対して重量比で1%のフルオロシリコーンオイルの3成分をボールミルを用いて混合し塗料を作製した。このフッ素樹脂シリコーン樹脂フルオロシリコーンオイル混合塗料を、スライドガラス、アルミ基板にスプレー塗装を行って塗膜を形成し、本発明の効果を確認するためのサンプルを作製した。
【0032】
本実施例1のサンプルの性能を比較するために比較例5ないし7のサンプルを作製した。
(比較例5)
実施例2と同様の SiO2微粒子を体積分率で15%、フッカビニリデン樹脂バインダを体積分率で85%の2成分をボールミルを用いて混合し塗料を作製した。この塗料を、スライドガラス、アルミ基板にスプレー塗装を行って塗膜を形成し、発明の効果を確認するためのサンプルを作製した。実施例2とはバインダ樹脂が異なる。
【0033】
(比較例6)
実施例2と同様のSiO2微粒子を体積分率で50%、フッカビニリデン樹脂バインダを体積分率で50%の2成分をボールミルを用いて混合し塗料を作製した。この塗料を、スライドガラス、アルミ基板にスプレー塗装を行って塗膜を形成し、発明の効果を確認するためのサンプルを作製した。実施例2とはバインダ樹脂が異なる。
【0034】
(比較例7)
実施例2と同様のSiO2微粒子を体積分率で50%、フッカビニリデン樹脂バインダを体積分率で50%、塗料の不揮発分に対して重量比で1%のパーフルオロアルキルポリエーテルの3成分をボールミルを用いて混合し塗料を作製した。この塗料をスライドガラス、アルミ基板にスプレー塗装を行って塗膜を形成し、発明の効果を確認するためのサンプルを作製した。実施例2とはバインダ樹脂及びオイルが異なる。
【0035】
実施例2及び比較例5〜7の主要構成物をまとめたものが表3である。実施例2、比較例5〜7はジメチルシリコーンオイルにより表面疎水化処理された、粒径0.2μmSiO2微粒子を用いている。
【表3】
【0036】
実施例2、比較例5〜7の塗膜性能、すなわち、初期撥水性、水浸漬200日後の撥水性、初期難着氷性を表4に示す。
【表4】
【0037】
本発明の実施例2とその比較例5、6、7の塗膜について実施例1と同様の方法で着氷剪断力を測定した。本発明の実施例2は57g/cm2であったのに対して、その比較例5、6、7は576g/cm2、283g/cm2、203g/cm2であった。これらの着氷剪断力の比較を図4に示した。実施例2の塗膜は従来に比べ著しい特性の向上が得られている。
【0038】
実施例2及び比較例5、6、7の塗膜についても実施例1と同様の方法で水の接触角を測定した。実施例2の場合は、水の接触角は155゜であった。またその比較例5、6、7の接触角はそれぞれ111゜、155゜、155゜であった。実施例2の塗膜の撥水性微粒子添加量は15vol%で比較例6、7の撥水性微粒子添加量は50vol%で、これらの接触角はほぼ等しいから、従来に比べ少量の撥水性粉末添加量で高い撥水性が得られていることがわかる。
【0039】
実施例2についても、比較例5、6、7に対する水浸漬日数と撥水性の関係は図示していないが、実施例1の場合と同様に、比較例に比べ撥水性の経時的低下は少なく、水に対する長期的耐久性を有しているといえる。
【0040】
実施例1,2において撥水性微粒子として1種類の粉末の場合を説明したが、複数種の粉末でも同様の結果を確認できた。また、フッ素樹脂粉末、無機微粉末、バインダ、添加オイルについて、実施例で示した組み合わせ以外のものも検討したが、初期の高い撥水性、水に対する長期的耐性、優れた難着氷性を有していることが確認された。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、撥水性を有するフッ素樹脂粉末あるいは表面に疎水化処理を施した無機微粉末をシリコーン樹脂バインダに分散させ、さらにシリコーンオイル、フルオロシリコーンオイルを添加した塗料を用いて塗膜を形成しており、その結果、接触角115゜以上を達成するために不可欠である表面の微細凹凸の発生による難着氷性の低下を防ぎ、尚かつ高い接触角を維持することができる。フッ素樹脂粉末とバインダとの隙間の発生も減らすことができ、水が塗膜中に進入しないようにできるため、水にさらされるような屋外で使用されても、長期にわたって高いはっ水性を保持できる。すなわち、本発明によれば、結露等の極微細な水滴から発生する着氷、着霜現象に対する難着氷性、難着霜性を向上させ、長期的な水浸漬下に使用しても高い撥水性を維持できる撥水性コーティング用塗料及びその塗膜を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による塗膜の断面構造模式図である。
【図2】従来技術による塗膜の断面模式構造模式図である。
【図3】着氷力テスターの構成を示す図である。
【図4】実施例および比較例の塗膜の着氷剪断力を示す図である。
【図5】塗膜上に水滴を落とした模式図である。
【図6】実施例1および比較例1,2,3,4の塗膜の水浸漬日数と撥水性の関係を示す図である。
【符号の説明】
1:添加オイル
2:撥水性微粒子
3:シリコーン樹脂バインダ
4:基板
5:従来の添加剤
6:フッ素系樹脂バインダ
7:隙間
8:塗膜
9:テフロンリング
10:氷
11:ステンレスワイヤ
12:ロードセル
13:塗膜と平行な方向
14:水滴
Claims (5)
- フッ素樹脂粉末或いは表面に疎水化処理を施した無機微粉末の少なくとも一種類以上の粉末もしくは複数種類の混合粉末と、シリコーン樹脂バインダとを含む塗膜表面が、シリコーンオイル、フルオロシリコーンオイルのうち一種類のオイルもしくは複数種類の混合オイルで覆われていることを特徴とする撥水性塗膜。
- 前記フッ素樹脂粉末が四フッ化エチレン樹脂粉末、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体樹脂粉末、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂粉末のうち、一種類の粉末もしくは複数種類の混合粉末であることを特徴とする請求項1記載の撥水性塗膜。
- 前記無機微粉末がSiO2系、Al2O3系のうち、一種類の粉末もしくは複数種類の混合粉末であることを特徴とする請求項1又は2に記載の撥水性塗膜。
- 前記シリコーン樹脂バインダは、フッ素化アルキル基またはアルキル基で変成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の撥水性塗膜。
- 前記シリコーンオイルあるいは前記フルオロシリコーンオイルは、粉末及びバインダより表面自由エネルギーが小さく、アルコール系、芳香族系、脂肪族系のいずれかの有機溶剤もしくはこれらの混合有機溶剤に溶解することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の撥水性塗膜。
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