JP3781614B2 - タクシー事業者等による自動車事故の処理支援方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車事故が発生した場合、例えばタクシー事業者やハイヤー事業者によって負傷者の病院への移送、事故車のレッカー車による移動、あるいは整備工場への搬入等の救護活動、および保険会社のための損害調査を行う、自動車事故の処理支援方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車事故が発生した場合、警察に連絡し、軽度の場合は別として、負傷者を病院へ移送し、事故車が自力で移動できない場合にはレッカー車を用いてこれを現場から移動して取り除き、修理が必要な場合は整備工場に事故車を運ぶことが必要となる。
【0003】
また、自動車保険等の支払いのためには事故現場に損害保険会社の担当者が行き、事故現場の状況や損害の程度を調査する必要がある。
しかるに、従来は負傷者の病院への移送は救急車を呼んで行い、事故車の移送等はロードサービス事業者やレッカー事業者等が行っていた。
一方、事故現場の状況調査や損害調査は損害保険会社、あるいは損害保険会社の委託を受けた損害調査会社が行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
自動車事故が発生した場合、上記のように救急車を呼び、ロードサービス事業者に依頼して事故車をレッカー車によって移動してもらわなければならない。
一方、損害保険会社は連絡をうけて損害調査をするために担当者を派遣しなければならない。
【0005】
事故が発生した場合、このように多くの人が動員され、それぞれの担当業務を行うことになるが、各担当者が別々にそれぞれの業務を行うため、事故発生の連絡やその後の処理業務は別々に行われ、効率が必ずしも良いとは限らず、また費用も多くを要することになる。
そこで本発明は、例えばタクシー事業者やハイヤー事業者の車両、人員、通信システム等を利用して迅速で高度なサービスができ、かつコストを削減でき効率よく自動車事故の現場救護および損害調査を行うことができる自動車事故の処理方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、保険契約者が自動車事故に遭遇した場合、携帯端末等の緊急ボタンを押すと位置情報センターを介して基地局に緊急通報が発信される。基地局はこのとき端末の番号と発信された位置情報を受信し、事故に遭遇した保険契約者を識別し、事故現場の位置情報を入手する。基地局はこの緊急発信を受け、事故発生現場を営業範囲に含む契約タクシー事業者又はハイヤー事業者を選択し、入手した位置情報と発信者の情報を伝え、損害調査等の資格者を有する者を搭乗させて現場に急行するよう指示する。タクシー事業者又はハイヤー事業者としては現場を営業範囲とするタクシー業者又はハイヤー事業者を選択する。さらに、この保険契約者が契約している保険会社に連絡する。なお、この連絡は後から行ってもよい。
【0007】
タクシー事業者又はハイヤー事業者は基地局から指示を受けると直ちに事故現場に自社のタクシー又はハイヤーあるいはその他の車両、例えば自社の管理下にあるを急行させる。このタクシー等の車両には負傷者の救急手当てや事故車の応急修理ができる資格を有した者が搭乗している。さらに、本発明の重要な要素として、この者は損害保険会社に代わって事故の損害調査をすることができる資格を有している(以下、この者を「有資格者」と記す)。
【0008】
タクシー等が事故現場に到着すると、有資格者は負傷者等がいる場合には救護サービスを行い、車両が破損している場合は応急修理を行い、またはレッカー車の手配をして現場から移動させ整備工場に運び、さらには保険会社に代わって損害調査を行う。そして、必要な場合警察に協力して事故現場の処理を行う。
有資格者は、上記のような保険会社が行う業務を代行して行い、その結果に基づいて損害調査報告書および事故処理報告書、その他必要な書類を作成し、事故に遭遇した保険契約者が契約している損害保険会社にモバイル・コンピューティングにより上記損害調査報告書および事故処理報告書、その他必要な書類を送信する。
【0009】
保険会社はタクシー事業者又はハイヤー事業者の有資格者が作成した損害調査報告書に基づいて、事故に遭遇した保険契約者に対して保険金を支払い、またタクシー事業者等に対して保険契約者に対するサービスおよび損害調査に要した経費、ならびに報酬を支払う。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の方法を実施するために必要な各組織間の関係を示す図である。この方法を実施するために中心となるのは運営管理事業者であり、▲1▼損害保険会社に代わって保険金支払いのための損害調査を行う旨の委託契約を、運営管理事業者は損害保険会社との間に結ぶ。
【0011】
一方、▲2▼運営管理事業者はタクシー事業者又はハイヤー事業者(以下、タクシー事業者等と記す)との間に契約を結び、自動車事故が発生した場合に運営管理事業者の指示に従ってタクシー事業者等はタクシー等の車両を事故現場に急行する。そして、負傷者等がいる場合には救護サービスを行い、車両が破損している場合はレッカー車の手配をして現場から移動させ整備工場に運び、さらには保険会社に代わって損害調査を行う。運営管理事業者は特定の地域または全国の複数のタクシー事業者等と契約を結んでフランチャイズを組織し、どこで事故が発生した場合でもその地域のタクシー事業者等が現場にすぐに急行できるようにしておく。
【0012】
タクシー事業者等は、事故が発生した場合運営管理事業者の指示に従って現場に急行し、▲3▼救護サービスを行い、▲4▼レッカー移動等のサービスを行い、▲5▼損害調査を実施する。そして、これらの処理が済んだら、▲6▼損害保険会社に対して損害調査報告書および事故処理報告書を提出する。
損害保険会社は、▲7▼これらの報告書に基づいて事故に遭遇した保険契約者に損害保険の保険金を支払うと共に、運営管理事業者を介してまたは直接、▲8▼タクシー事業者等に対して保険契約者に対するサービスおよび損害調査に要した経費、ならびに報酬を支払う。
【0013】
図2は、図1で示した契約関係および契約内容の下に、事故が発生した場合にどのように負傷者の病院への移送等の救護を行い、事故車をレッカー車により移動、あるいは整備工場への搬入し、そして保険会社のために損害調査を行うことについて、本発明による方法を実行するためのシステムの概要を示した図である。
【0014】
図2において、1は例えば運営管理事業者の管理下にある基地局、2は位置情報センターであり、3はPHSまたは携帯電話等の端末HT(以下、端末HTと記す)を所持した保険契約者であるユーザである。4は基地局1からの指示を受け、タクシー等の車両5に指令を発するタクシー事業者等の営業所等の拠点である。また、6は運営管理事業者と委託契約を結んだ保険会社である。
【0015】
次に、本発明の方法について説明する。保険契約者3が自動車事故に遭遇した場合、端末HTの緊急ボタンを押すと位置情報センター2を介して基地局1に緊急通報が発信される。基地局1はこのとき端末HTの番号と発信された位置情報を受信し、事故に遭遇した保険契約者3を識別し、事故現場の位置情報を入手する。基地局1はこの緊急発信を受け、事故発生現場を営業範囲に含む契約タクシー事業者等を選択し、例えばタクシー事業者Taに前記入手した位置情報と発信者の情報を伝え、有資格者を搭乗させて現場に急行するよう指示する。上記タクシー事業者等の選択は、ある地域または全国を幾つかの区域に分け、各区域とその区域を営業範囲とするタクシー事業者又はハイヤー事業者のテーブルを作成してコンピュータに格納しておき、自動的に選択して指示する。このタクシー事業者等の選択は、前記テーブルを画面に表示し、オペレータが選択するようにしてもよい。
【0016】
さらに、この保険契約者3が契約している保険会社、例えば保険会社Aに連絡する。なお、どの保険会社と契約しているかは、保険契約者が所持する端末HTが発信する識別記号に含めてもよいし、基地局のコンピュータのメモリに保険契約者の識別記号と契約保険会社の対応テーブルを格納させておき、緊急発信を受けたときには自動的に保険会社に伝えるようにしてもよい。この連絡も前記テーブルを画面に表示し、オペレータが契約保険会社に連絡するようにすることもできる。
【0017】
タクシー事業者Taは基地局から指示を受けると直ちに事故現場に自社のタクシー又はハイヤーあるいはその他の車両5を急行させる。このタクシー等には負傷者の救急手当てや事故車の応急修理ができる資格を有した者が搭乗している。さらに、本発明の重要な要素として、この者は損害保険会社に代わって事故の損害調査をすることができる資格を有している。
【0018】
タクシー等が事故現場に到着すると、有資格者は負傷者等がいる場合には救護サービスを行い、車両が破損している場合は応急修理を行い、またはレッカー車の手配をして現場から移動させ整備工場に運び、さらには保険会社に代わって損害調査を行う。そして、必要な場合警察に協力して事故現場の処理を行う。
以上のようにタクシー事業者等が有する有資格者は、上記のような保険会社が行う業務を代行して行い、その結果に基づいて損害調査報告書および事故処理報告書、その他必要な書類を作成し、事故に遭遇した保険契約者が契約している損害保険会社、この場合は保険会社Aに通信手段、例えばモバイル・コンピューティングにより、即ち、携帯型コンピュータにより通信用のPHSや携帯電話と組み合わせて上記損害調査報告書および事故処理報告書、その他必要な書類を送信する。なお、運営管理事業者はタクシー事業者から事故処理についての報告を受け、タクシー事業者等が必要な報告を行ったかどうか保険会社に確認する。
【0019】
保険会社はタクシー事業者等の有資格者が作成した損害調査報告書に基づいて、事故に遭遇した保険契約者に対して保険金を支払い、またタクシー事業者等に対して保険契約者に対するサービスおよび損害調査に要した経費、ならびに報酬を支払う。
なお、図2においては基地局1は事故現場の位置を知るため、位置情報センター2を介して端末HTからの発信を受けているが、基地局内に位置情報センターの機能を設け、直接端末HTからの発信を受けることもできる。
【0020】
図3は上記本発明の方法の手順を示すフローチャートである。図のフローチャートにおいて、保険契約者が事故に遭遇すると緊急発信を基地局1に行う(S1)。基地局1はこれを受けて事故現場の位置情報と保険契約者の識別情報を得る(S2)。基地局1は直ちにタクシー事業者等4を選択して現場に急行するよう指示するメッセージを送るとともに、保険会社6に連絡する(S3)。なお、この場合保険会社に連絡するのはあとでもよい。タクシー事業者等4は基地局1からの指示を受けると直ちに有資格者を現場に急行させ、救護サービス、損害調査等に当たらせる(S4)。なお、この場合有資格者は少なくとも保険会社に代わって損害調査を行う。前記有資格者は上記損害調査に基づいて損害調査報告書および事故処理報告書、その他必要な書類を作成してモバイル・コンピューティングにより保険会社に送る(S5)。保険会社6は上記損害調査報告書等に基づいて保険金額を計算し、事故に遭遇した保険契約者に保険金を支払う(S6)。また、保険会社6はタクシー事業者等に救護サービスや損害調査等に要した経費および報酬を支払う(S7)。
【0021】
以上、本発明方法の手順について説明したが、ここに記載した事項以外にも、各種連絡や報告等の実務上必要な手続きが必要に応じて行われる。
また、上記説明ではタクシー事業者又はハイヤー事業者が救護サービスや損害調査等を行うとしているが、タクシー業者やハイヤー事業者でなくとも先に述べた有資格者が運営管理事業者の指示に応じて現場に急行できる体制を有する組織、または個人と契約を結んで同様のことを行わせてもよい。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、上記のようにタクシー事業者等の車両、人員、通信システムを有効に活用することによって、事故に遭遇した保険契約者に対して24時間迅速で高度なサービスを行うことができる。特に、事故現場での事故処理に対する対応等が迅速に行われるため保険契約者にとって事故処理に要する労力と時間が軽減され、また精神的負担も軽くなる。また、保険会社にとっては業務委託をすることによって損害調査等に要する経費を節減することが出来る。一方、タクシー事業者等にとっては既存の車両、人員、通信システムを用いるため、特別な投資をせずに新規事業として実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するために必要な各組織間の関係を示す図である。
【図2】図1で示した契約関係および契約内容の下に、本発明による方法を実行するためのシステムの概要を示した図である。
【図3】本発明の方法の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…基地局
2…位置情報センター
3…保険契約者
4…タクシー事業者
5…タクシー等の車両
6…保険会社
Claims (1)
- 受信装置、コンピュータ、及び送信装置を備えた基地局が、携帯端末から発信された該端末の識別記号と位置情報を含む緊急発信信号を受信するステップ、
前記基地局の受信装置により受信した前記端末の識別記号に基づき保険契約者を識別するとともに、該基地局のコンピュータのメモリに格納されている該識別記号と契約保険会社の対応テーブルから前記端末の保持者が契約している保険会社を識別するステップ、
前記基地局の受信装置により受信した前記端末の位置情報に基づき、該基地局のコンピュータのメモリに格納されている各区域とその区域を営業範囲とするタクシー事業者又はハイヤー事業者の対応テーブルから、前記受信した端末の位置を含む区域を営業範囲とするタクシー事業者又はハイヤー事業者を自動的に選択するステップ、
前記基地局の送信装置により前記端末の位置情報と前記識別した保険契約者の情報を選択されたタクシー事業者又はハイヤー事業者に送信するステップ、
前記基地局の送信装置により前記端末の位置情報と前記識別した保険契約者の情報を前記識別された保険会社に送信するステップ、
を有する、自動車事故の処理支援方法。
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