JPH08310757A - エレベータの保全作業支援システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 巡回中の業務用車両の現在位置等がリアルタ
イムに把握できるようにして、該車両を利用した場合の
対応が即座に検討できるようにすることにより、巡回保
全作業を行っている各作業員に随時的確な指示を連絡す
ることができて、緊急時にも迅速かつ効率的な対応が行
える、エレベータの保全作業支援システムを提供する。 【構成】 営業所１０に設置されて、管理対象エレベー
タ群に関する顧客情報や巡回作業員に関する情報を記憶
して作業指示内容が出力可能な端末装置１と、エレベー
タ保全作業に出動する各作業員に携帯されるメッセージ
表示型ポケットベル７および携帯端末機６と、衛星から
の電波に基づいて特定される現在位置の情報を前記端末
装置１に自動的に送信する無線機付き端末装置３を搭載
した業務用車両２とを備える構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも一部の作業
員が業務用車両を移動手段として巡回保全作業を行って
いる場合に好適な、エレベータの保全作業支援システム
に関する。

【０００２】

【従来の技術】ビルに設置されているエレベータの保全
作業は、通常、契約しているエレベータ保守会社に委託
して行われ、この保守会社では、専門の作業員を顧客ビ
ルに定期的に巡回させて管理対象エレベータの点検や修
理、整備等のサービスを提供している。そして、このよ
うなエレベータの巡回保全作業に際して、作業員は徒歩
や自転車、バイク、あるいは公共交通機関等を利用して
移動することもあるが、サービスカーと称される業務用
車両を使って巡回することも多く、特に、作業現場間の
距離が遠い場合や重量物の運搬が必要な場合には、業務
用車両が広く活用されている。

【０００３】なお、エレベータ保全作業に出動する各作
業員の当日の巡回ルートや作業内容は、管轄の営業所等
で作成される巡回作業スケジュールに従っているので、
エレベータ保守会社はどの作業員がいつどこでどんな内
容の作業を行っているのかをある程度把握することはで
きるが、故障や事故等の連絡を受けて緊急に予定外の現
場へ作業員を派遣しなければならないこともあるので、
各作業員にポケットベル等を携帯させて、電話連絡によ
り現在位置がいつでも確認できるようなシステムを採用
している保守会社が多い。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、故障や事故
等の連絡を受けた営業所は、その現場へ然るべき作業員
を急行させるために、対象となる作業員の現在位置や作
業状況を踏まえて最善の措置を速やかに講じなければな
らない。しかし、管轄の営業所が最善の措置を検討する
ためには、従来、電話連絡により複数の作業員の現在位
置や作業状況等を逐一確認しなければならなかったの
で、この確認作業に時間を要して対応が遅れる虞があっ
た。そこでこれまでは、現場への急行を最優先する場
合、何人もの作業員と電話で連絡をとり合う手間を惜し
んで、巡回作業スケジュールを参考にして現場近くにい
ると思われる作業員のみに指示を出すことが多かった
が、各作業員の現在位置や作業状況が常にスケジュール
どおりであるわけではないので、結局何人もの作業員と
の電話連絡を余儀なくされて対応が遅れてしまったり、
あるいは、現場近くにいた作業員が熟練者でなかったた
めに却って復旧に手間取ってしまうことがあった。ま
た、従来は、移動中の業務用車両の現在位置を営業所が
リアルタイムに把握していないので、他の移動手段で巡
回している作業員を急遽現場へ派遣する際には該車両が
利用しにくく、例えば、熟練作業者が巡回点検作業を行
っているビルの近くを業務用車両が移動しているとき、
この熟練作業者を該車両に同乗させて通報を受けた現場
へ急行させることが最も迅速かつ効率的な対応であった
としても、そのような選択はなされないのが通常であっ
た。

【０００５】本発明はかかる従来技術の課題に鑑みてな
されたもので、その目的は、巡回保全作業を行っている
各作業員に随時的確な指示を連絡することができて、緊
急時にも迅速かつ効率的な対応が行える、エレベータの
保全作業支援システムを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の上述した目的
は、管理対象エレベータ群に関する顧客情報を記憶して
作業指示内容が出力可能な端末装置と、エレベータ保全
作業に出動する各作業員が携帯するメッセージ表示型ポ
ケットベルと、衛星からの電波に基づいて特定される現
在位置の情報等を前記端末装置に自動的に送信する無線
機を搭載した業務用車両とを備えることによって達成さ
れる。

【０００７】

【作用】上述したように、管轄営業所等に設置されてい
る端末装置に対して、巡回中の業務用車両から該車両の
現在位置を示す情報等が無線で自動送信されるようにし
てあれば、この車両位置情報等を参考にして作成した的
確な作業指示内容を、前記端末装置から所望の作業員の
メッセージ表示型ポケットベルに随時送信することがで
きるので、例えば、故障等の通報を受けた現場へ適任者
を派遣するための移動手段として巡回中の業務用車両を
利用すれば所要時間はどの程度になるのかが瞬時に把握
できて、最善の措置が講じやすくなる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明による保全作業支援システムの
一実施例を図１および図２に基づいて説明する。ここ
で、図１は本実施例の全体構成を示すブロック図、図２
は同実施例における緊急時の対応検討例を具体的に示す
説明図である。

【０００９】図１において、符号１０はエレベータ保守
会社の各拠点の営業所の一つを示しており、この営業所
１０には、管理対象エレベータ群に関する顧客情報や作
業員に関する情報を記憶して巡回作業スケジュール情報
等の作業指示内容が出力可能な端末装置１が設置されて
いる。この端末装置１には、制御部１ａや表示部１ｂや
入出力部１ｃや記憶部１ｄや入力部１ｅ等が設けられて
おり、その記憶部１ｄに、各顧客ビルの住所や、そこに
納入しているエレベータの機種や、作業履歴データや、
各作業員の資格および能力や、巡回作業スケジュールを
網羅した情報等が記憶されている。

【００１０】符号２はサービスカーとも称される業務用
車両を示しており、この業務用車両２には、通信衛星か
らの電波を受けて現在位置を特定することのできる動態
管理装置４と、無線機付き端末装置３とが搭載されてい
る。この端末装置３には、制御部３ａや表示部３ｂや無
線機付き入出力部３ｃや記憶部３ｄや入力部３ｅ等が設
けられており、その記憶部３ｄに、巡回地域の地図情報
や顧客ビルの分布図情報等が記憶されている。そして、
動態管理装置４により特定された業務用車両２の現在位
置が、端末装置３の表示部３ｂに地図情報として表示さ
れるとともに、この車両位置情報が、端末装置３の無線
機付き入出力部３ｃから無線基地局５や電話回線８を介
して、営業所１０の端末装置１へと自動的に送信される
ようになっている。したがって、営業所１０にいる担当
者は、業務用車両２にいる作業員と逐一連絡を取り合わ
なくとも、端末装置１の表示部１ｂを見て該車両２の現
在位置をリアルタイムに把握することができる。なお、
本実施例では、業務用車両２を利用している作業員が端
末装置３の入力部３ｅに、現在の作業状況、つまり現在
作業中であるのか移動中であるのかを示す情報を入力す
ることにより、その情報が車両位置情報と共に営業所１
０の端末装置１へ送信されるようになっている。

【００１１】符号６はエレベータ保全作業に出動する各
作業員が携帯する携帯端末機、７は同じく各作業員が携
帯するメッセージ表示型ポケットベルで、このポケット
ベル７には、営業所１０の端末装置１から電話回線８や
ポケットベル呼び出し回線９を介して、暗号化された情
報が随時送信可能である。なお、携帯端末機６には、制
御部６ａや表示部６ｂや入出力部６ｃや記憶部６ｄや入
力部６ｅ等が設けられており、その記憶部６ｄに、故障
コードの翻訳情報や、当該作業員が担当する顧客ビルの
住所、そこに納入されているエレベータの機種等の簡易
情報が記憶されている。

【００１２】このように構成されるエレベータの保全作
業支援システムでは、各作業員が巡回保全作業に出動す
る前に、営業所１０の端末装置１において、各作業員ご
とに巡回作業スケジュール情報と巡回対象の顧客情報と
を作成し、これらの情報を、各作業員が持参する携帯端
末機６の入出力部６ｃに送信するとともに、自らの記憶
部１ｄに記憶収納する。ここで、巡回作業スケジュール
情報とは、巡回する予定の顧客ビルの名称や顧客番号、
予定作業名、予定作業時間、巡回予定順序等を含む情報
であり、営業所１０ではこの巡回作業スケジュール情報
を参照することによって、どの作業員が何時頃どこで作
業しているのかをある程度把握することができる。

【００１３】一方、出動予定の作業員は、自分の携帯端
末機６に巡回作業スケジュール情報と巡回対象の顧客情
報とが登録されたことを確認したうえで、巡回保全作業
に出動する。その際、作業員は徒歩や自転車、バイク、
あるいは公共交通機関等を利用して移動することもある
が、作業現場間の距離が遠い場合や重量物の運搬が必要
な場合には業務用車両２を移動手段とする。そして、巡
回作業現場では、携帯端末機６の記憶部６ｄに記憶収納
されている簡易情報を表示部６ｂに表示し、それに基づ
いて各種の保全作業を行う。また、作業終了後は、作業
結果を携帯端末機６の入力部６ｅに入力して記憶部６ｄ
に記憶させ、巡回保全作業がすべて終了した時点で、記
憶部６ｄに記憶させてある当日の作業結果を営業所１０
の端末装置１に送信する。その結果、この作業員の当日
の作業実績情報が、端末装置１の記憶部１ｄに記憶収納
される。

【００１４】このように、巡回作業員は予め定められた
スケジュールに従って保全作業を行うが、かかる通常の
作業中に、営業所１０から作業スケジュールの変更が指
示されることがある。例えば、営業所１０がエレベータ
の故障通報等を受けた場合、迅速な対応が要求されるの
で、巡回中の特定の作業員に対しその現場への急行を指
示することがある。そこで、各作業員は、営業所１０か
らの作業内容変更指示を随時受けられるようにするた
め、携帯端末機６のほかにメッセージ表示型ポケットベ
ル７を持参している。すなわち、営業所１０の端末装置
１が、送りたい緊急情報を暗号化して、巡回中の特定の
作業員のメッセージ表示型ポケットベル７を呼び出すこ
とにより、その作業員は該ポケットベル７に表示されて
いる情報を見て指示内容が理解できるようになってい
る。なお、営業所１０からの作業内容変更指示は、携帯
端末機６の入出力部６ｃを電話回線８に接続して詳細な
情報を受けることができる。

【００１５】そして、このような緊急時の対応は、巡回
中の各作業員の現在位置や作業状況を踏まえて迅速かつ
効率的に行うことが望ましく、そのため本実施例では、
巡回中の業務用車両２の現在位置等を営業所１０がリア
ルタイムに把握して、急行する現場への移動手段として
該車両２が最大限活用できるようになっている。

【００１６】図２は、かかる緊急時の対応検討例を示す
説明図で、Ｘビルのエレベータに故障が発生したという
連絡が監視センタや顧客先から営業所１０に届いた場合
の具体的な対応を模式化したものである。この場合、営
業所１０ではまず、故障したエレベータの故障状態の復
旧に適する作業員を選出しなければならないので、端末
装置１の記憶部１ｄに記憶収納されている情報の中か
ら、そのエレベータを担当している班の全作業員の当日
の巡回作業スケジュール情報を参照する。これにより、
これら作業員が現在出動している巡回地域がわかるの
で、故障現場になるべく近い作業員を優先的に検討する
が、移動手段として業務用車両２が利用できないかどう
か、また、発生した故障の復旧に対する各作業員の適性
はどうか、などについても考慮して、最善の措置を講じ
る。

【００１７】例えば、故障の難易度と各作業員の資格や
能力を勘案したところ、作業員Ｂを故障現場へ派遣すれ
ば最も的確な対応が期待できると判定されたとする。だ
が、作業員ＢはＹビルで作業中であり、故障現場のＸビ
ルまでの所要時間は徒歩と電車利用で約３０分が見込ま
れる。一方、ＹビルよりもＸビルに近いＺビルで作業し
ている作業員Ｃは、発生した故障の復旧に対する適性で
は作業員Ｂほどの信頼はないが、Ｘビルまでの所要時間
は約２０分である。こうした場合、故障現場への急行が
優先されるべきであるとして作業員Ｃが派遣要員に選出
されやすいが、派遣した作業員が熟練者でなかったため
に却って故障の復旧に手間取ってしまうこともあるの
で、作業員Ｂ，Ｃのいずれを派遣すべきかで営業所１０
の担当者は迷うことが多い。さて、このとき、移動手段
として業務用車両２が利用できないかどうかを即座に調
べることにより、判断材料が増えて、より的確な対応を
講じることが可能となる。つまり、本実施例では、業務
用車両２の現在位置と作業状況を営業所１０がリアルタ
イムに把握しているので、該車両２に作業員Ｂを同乗さ
せて故障現場へ急行させた場合の所要時間を瞬時に推定
することができる。そして、作業員Ａが乗って移動中の
業務用車両２を、簡易点検作業を行っている作業員Ｂの
いるＹビルを経由して、故障現場であるＸビルへ向かわ
せた場合の推定所要時間が約１５分であるとするなら、
Ｚビルで作業中の作業員Ｃを敢えて派遣要員に選出する
必要のないことがわかるので、営業所１０では通報を受
けたエレベータの故障に対応する最善の措置として、業
務用車両２を利用して作業員Ｂを故障現場へ急行させる
という指示を出せばよい。

【００１８】なお、かかる故障対応の指示とは、具体的
には、営業所１０の端末装置１が、ポケットベル呼び出
し回線９を使って、作業員Ｂのメッセージ表示型ポケッ
トベル７に暗号化した故障対応指示情報を送信するとと
もに、無線を使って業務用車両２の端末装置３に詳細な
故障対応指示情報を送信し、その表示部３ｂに表示され
る該情報によって作業員Ａに指示内容を連絡するという
ものである。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によるエレ
ベータの保全作業支援システムは、管轄営業所等に設置
されている端末装置に対して、巡回中の業務用車両から
該車両の現在位置を示す情報等が無線で自動送信される
ようにしてあるので、この車両位置情報等を参考にして
作成した的確な作業指示内容を、前記端末装置から所望
の作業員のメッセージ表示型ポケットベルに随時送信す
ることができる。すなわち、故障等の通報を受けた現場
へ適任者を派遣するための移動手段として巡回中の業務
用車両を利用すれば所要時間はどの程度になるのかが瞬
時に把握できて、最善の措置が講じやすくなるので、緊
急時にも迅速かつ効率的な対応が行えるという優れた効
果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の全体構成を示すブロック図
である。

【図２】同実施例における緊急時の対応検討例を具体的
に示す説明図である。

【符号の説明】

１ 端末装置 ２ 業務用車両 ３ 無線機付き端末装置 ４ 動態管理装置 ６ 携帯端末機 ７ メッセージ表示型ポケットベル １０ 営業所

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 管理対象エレベータ群に関する顧客情報
   を記憶して作業指示内容が出力可能な端末装置と、エレ
   ベータ保全作業に出動する各作業員が携帯するメッセー
   ジ表示型ポケットベルと、衛星からの電波に基づいて特
   定される現在位置の情報を前記端末装置に自動的に送信
   する無線機を搭載した業務用車両とを備えたことを特徴
   とするエレベータの保全作業支援システム。
2. 【請求項２】 請求項１の記載において、前記無線機
   が、作業状況に関する情報を送信可能であることを特徴
   とするエレベータの保全作業支援システム。