JP3781596B2 - ポリオレフィン系積層フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系積層フィルム及び包装体に関する。詳しくは、ヒートシール性に優れ、フィルムの一定方向に対する引裂き方向性及び包装機械適性に優れるポリオレフィン系積層フィルム及び該フィルムを包装材料として用いた包装体である。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン系フィルムを用いた包装用袋は、自動包装化が進み、密封部分をヒートシールする必要性がある事から、フィルムにはヒートシール性が必須の要件となる。自動包装化が進むなかで、包装適性に優れた包装用フィルムの要求度が高まっており、包装適性の良否はフィルムの機械的強度(引張弾性率、引張強度)、カール、ヒートシール性、滑り性等に起因する場合が多い。また、包装された物品は使用時に内容物を取り出す必要があるが、この際、ポリオレフィン系フィルムの引裂き方向性が劣ると内容物が取り出しにくく不便である。この為、機械的にミシン目等を入れ方向性を付与する方法やポリオレフィン系フィルム成形時のフィルム流れ方向(MD方向)に対して直角の方向(TD方向)の引裂き方向性を改良する為に、TD方向だけに一軸延伸する方法、二軸延伸層と一軸延伸層を積層し、一軸延伸層の構成比を50%以上にする方法等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、機械的にミシン目等を入れ方向性を付与する方法は、加工コストが掛かり高価となる事から好ましくない。ポリオレフィン系フィルムのTD方向の引裂き方向性を改良する為に、TD方向だけに一軸延伸する方法(例えば特開昭63−132051号公報など)、二軸延伸層と一軸延伸層を積層し、一軸延伸層の構成比を50%以上にする方法(例えば特開昭56−95975号公報など)については、いずれの方法も自動包装加工において機械的強度、カールの問題から包装機械適性が十分とはいえなかった。
【0004】
そこで、十分なヒートシール性を有し、かつ、従来技術の欠点を解消したフィルムの一方向に対する引裂き方向性、及び包装機械適性に優れたポリオレフィン系積層フィルムが待望されていた。
【0005】
【課題を解決する為の手段】
本発明者は、上記した課題を解決する為鋭意研究を重ねた結果、二軸延伸層(A)の片面に一軸延伸層(B)を積層し、その反対面にヒートシール層(C)が積層されたフィルムにて(B)層の樹脂の融点が(A)層の樹脂の融点と同じかあるいは、(B)層の樹脂の融点を(A)層の樹脂の融点より低くし、かつ、(A)層の構成比を限定する事により得たポリオレフィン系積層フィルムが、上記課題を解決できるものである事を見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、二軸延伸層(A)の片面に一軸延伸層(B)が積層され、(B)層の積層されない面にヒートシール層(C)が積層されたフィルムであって、(A)層を構成する樹脂の融点(ATm)と(B)層を構成する樹脂の融点(BTm)が同じか、または、(B)層を構成する樹脂の融点(BTm)より15℃以内の範囲で高く、(A)層の厚みが全体の65〜95%であり、且つ、(A)層の(B)層が積層された面の平均粗さ(Ra)が0.01〜0.3μmである事を特徴とするポリオレフィン系積層フィルムである。また、さらには、上記ポリオレフィン系積層フィルムを包装材として用い、該フィルムの(B)層の延伸方向にノッチが入れられた包装体をも包含する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、まず、ヒートシール性を有し、フィルムの一定の方向に対し引裂き方向性を有すると共に、カール等の生じない、包装用材料、特に自動包装に用いられる包装材料として好適なポリオレフィン系積層フィルムを提供するものであって、その構成は二軸延伸されたポリオレフィン系樹脂の層((A)層)の片面に一軸延伸されたポリオレフィン系樹脂の層((B)層)が存在し、(A)層の他方の面にはヒートシール層((C)層)が存在する。本発明の重要な特徴の一つは(A)層を構成する樹脂の融点(ATm)と(B)層を構成する樹脂の融点(BTm)との関係が、(ATm)≧(BTm)であり、他の重要な特徴は(A)層の厚さが、全体の厚さの65〜95%を有することにある。更に他の特徴は、以下の説明から理解されるであろう。
【0008】
従って、本発明においては、(A)層、(B)層及び(C)層を構成するための延伸方法や積層方法は何ら限定されるものではなく、従来公知の方法が採用される。一般的には、(A)層を構成する樹脂と(C)層を構成する樹脂とを共押出しによりフィルムとし、MD方向に延伸した後、これに(B)を構成する樹脂を押し出しラミネートしてTD方向に延伸する方法が用いられる。
【0009】
しかしながら本発明は、上記方法に限定されるものではなく、例えば、二軸延伸されたポリオレフィン系樹脂フィルムと、一軸延伸されたポリオレフィン系樹脂フィルムとをドライラミネートし、これに(C)層を押出しラミネートする方法や、あらかじめ(A)を構成する樹脂を押出し、MD方向に延伸し、次いで、(B)層を構成する樹脂を押出しラミネートし、TD方向に延伸した後、ヒートシール層をコートする方法などが任意に行える。
【0010】
本発明は、更に上記ポリオレフィン系積層フィルムを包装用材料として用いた包装体である。すなわち、本発明のポリオレフィン系積層フィルムは一方向に引裂き易い性質(引裂き方向性)があるため、包装用材料例えば包装用袋等として用いた場合、包装体の内容物を取り出すための開封が極めて容易となる。一般には、包装体の開封が予定される位置に、前期積層フィルムの(B)層を構成する樹脂の延伸方向に引裂き用のノッチを入れておくことによって、極めて容易に開封することができる包装体を得ることが出来る。
【0011】
本発明の(A)層、(B)層に用いるポリオレフィン系樹脂は、フィルム成形可能なもので、かつ、延伸配向性を有するものであれば、任意に選択可能である。好適には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1ペンテン等の炭素数2〜10のα−オレフィンの単独重合体、上記α−オレフィン同士の共重合体、上記α−オレフィンとこれと共重合可能な他の単量体との共重合体、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0012】
上記α−オレフィンと共重合可能な他の単量体としては、酢酸ビニル、マレイン酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等を挙げる事ができる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブタジエン共重合体、およびこれらのポリオレフィンを主成分とするブレンド物が挙げられる。このうち特に、ポリプロピレンやプロピレン−エチレン共重合体等のプロピレン系重合体が特に好ましい。
【0013】
ポリオレフィン系樹脂には、必要に応じて、酸化防止剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、造核剤、顔料、抗菌剤等の添加剤を効果の阻害されない範囲で配合されても良い。
【0014】
本発明において(A)層を構成する樹脂の融点(ATm)と(B)層を構成する樹脂の融点(BTm)が同じか、または、(A)層を構成する樹脂の融点(ATm)が、(B)層を構成する樹脂の融点(BTm)より15℃以内、好ましくは5〜10℃の範囲で高い事が必須である。その為に、いかなる方法を選択しても良いが、例えば、(A)層及び(B)層に比較的結晶性が高く、融点の同じ樹脂(例えばポリプロピレンホモポリマー)を用いる方法や、好ましくは、(A)層に用いる樹脂は、比較的結晶性の高い樹脂(例えばポリプロピレンホモポリマー等)を用い、(B)層には(A)層に比べ結晶性が低い樹脂(例えばプロピレン−エチレン共重合体等)を用い、そのプロピレン−エチレン共重合体のエチレン量により、融点差をコントロールする方法をとれば良い。
【0015】
(A)層の樹脂の融点が(B)層の樹脂より融点が低い場合には、例えば、テンター法で本発明の積層フィルムを作る場合、(A)層/(B)層に積層されたシートが、テンター内で延伸される際、その延伸温度によって、(A)層が溶融し、配向が不十分となるばかりか、(A)層樹脂が再結晶化する為、(A)層の剛性が低下し、その結果、包装機械適性に劣るものとなる為好ましくない。
【0016】
また、(A)層の樹脂の融点と(B)層の融点差が15℃を超えた場合は、(A)層に用いる樹脂に比べ、(B)層に用いた樹脂の結晶性が低下し、一軸延伸時の分子配向が低下する為に、(B)層の延伸方向(一般にTD方向)の引裂き方向性に劣る為好ましくない。
【0017】
(A)層に用いる樹脂の融点は、140〜165℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは、145〜163℃の範囲が好ましい。(A)層に用いる樹脂の融点が140℃未満の場合、引張弾性率、引張強度等の機械的強度が低下するとともに引裂き方向性に劣る為好ましくない。また、(A)層に用いる樹脂の融点が165℃を超えた場合、フィルムの製膜性に劣り、製膜時の破れ等が発生する為、生産性が悪く好ましくない。
【0018】
また、(A)層に用いる樹脂のメルトフローレイト(以下MFRという)は特に制限するものではないが、0.1〜10g/10分の範囲、好ましくは、1〜5g/10分の範囲が好ましい。MFRが0.1g/10分未満では溶融押出し時の押出し安定性に欠けフィルム製膜する上で好ましくない。MFRが10g/10分を超えるとフィルム製膜後の方向性に劣る為好ましくない。また、(B)層に用いる樹脂のMFRについても特に制限するものではないが、2〜100g/10分の範囲、好ましくは、5〜30g/10分の範囲が好ましい。
【0019】
また、(B)層は、二軸延伸層である(A)層の片面に積層されており、その積層方法は、インラインラミネート法にて積層する事が好ましい。インラインラミネート法に用いる(B)層の樹脂のMFRは、高速延展性に優れた樹脂を選定する必要があり、MFRが2g/10分未満の場合、高速延展性に欠ける。MFRが100g/10分を超えると一軸延伸時の分子配向が不足し、積層後、フィルムの方向性に劣る為、好ましくない。
【0020】
また、(B)層に用いるポリオレフィン系樹脂の融点は、140℃以上が好ましく、145℃以上がさらに好ましい。(B)層に用いるポリオレフィン系樹脂の融点が140℃未満の場合、一軸延伸時の分子配向が低く引裂き方向性に劣る。
【0021】
次に(C)層に用いる樹脂について説明する。(C)層に用いる樹脂は、公知のヒートシール剤として用いられるものが何ら制限なく使用し得るが一般にヒートシール性が必要な事から、融点が80〜140℃の範囲、好ましくは、90〜135℃である。融点が80℃未満では耐熱性に乏しく、延伸時、クリップに付着する為好ましくない。また、融点が140℃を超えるとヒートシール時の温度を高くする必要があり、ヒートシール後の積層フィルムが収縮する等の現象が発生するとともに、自動包装時の低温ヒートシール性に劣る為好ましくない。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン等のα−オレフィンの単独重合体、エチレン、プロピレン、1−ブテンの共重合体およびこれらのブレンド物等が挙げられる。
【0022】
本発明におけるポリオレフィン系積層フィルムは、目的である(B)層の延伸方向、一般にはTD方向の引裂き方向性および、自動包装機における良好な包装機械適性を得る為に、(A)層、(B)層、各層の層構成比が重要となる。全体の厚さについて、好ましくは15〜100μmの範囲、さらに好ましくは20〜60μmである。
【0023】
層構成比として特に、(A)層の厚みが全体の65〜95%の範囲、好ましくは75〜90%の範囲であることが必須である。(A)層の厚みが全体の65%未満になると機械的強度が低下し、包装機械適性に劣る為好ましくない。(A)層の厚みが全体の95%を超えると(B)層の延伸方向の引裂き方向性に劣る為好ましくない。(B)層の厚みは全体の1〜32%の範囲、好ましくは2〜25%の範囲である。また、(B)層の好ましい厚さは、0.5〜5μmであり、さらに好ましくは1〜3μmである。(C)層の厚さは、用途によって異なるが通常、0.5〜5μmが好ましい。(C)層の厚さはヒートシール強度と相関が強く、厚みを厚くすることでヒートシール強度の向上が図れる。
【0024】
本発明のポリオレフィン系積層フィルムにおいて、(A)層の(B)層を積層する面の平均粗さ(Ra)が0.3までの範囲、好ましくは0.01〜0.3、更には0.03〜0.15の範囲にある事が、(B)層の延伸方向の引裂き方向性の為により好適である。(A)層の(B)層を積層する面の平均粗さ(Ra)が0.01未満の場合、表面が平滑になりすぎて、積層する(B)層との接着性が劣る傾向のある為、積層後(B)層の剥離が生じやすくなる。逆に平均粗さ(Ra)が0.3を超えると表面が粗れている為、(B)層に用いる樹脂との接着強度が増す事で引裂き方向性が次第に悪化する為好ましくない。すなわち、(A)層の(B)層を積層する面を適度な粗度にする事が引裂き方向性の為には好ましいのである。
【0025】
この現象は、引裂く際に(A)層と(B)層間に適度な接着強度を持たせる事を意味し、例えば、ノッチを入れた部分から(B)層の延伸方向、一般にTD方向に引裂く際、(A)層と(B)層間で適度な剥離が起こり、(B)層の方向性をきっかけとして基材の(A)層がそれに追従する形で引裂き方向性が発現していくものと推定される。
【0026】
さらにこの現象は、本発明の層構成を持ったポリオレフィン系フィルムにて発生するものであり、二軸延伸層である(A)層の(B)層を積層する面の平均粗さ(Ra)を制御する為には、製造条件が重要のポイントとなる。その方法は特に制限されるものではないが、(A)層をシート化する際、物理的に適度な粗さを持ったチルロールにて成形後、延伸する方法や、(A)層をシート化する際のチルロール温度によりコントロールし成形後、延伸する方法や、シート成形後の縦延伸工程にて、その延伸温度等でコントロールすれば良い。
【0027】
また、平均粗さ(Ra)の測定方法について説明すると、積層した(B)層に例えばセロファンテープの様な粘着剤の着いたテープを貼付け、(A)層と(B)層の界面を剥離して、(B)層を積層した(A)層の面を三次元粗さ計にて測定すれば簡単に測定できる。
【0028】
また、本発明はこのようにして得られたポリオレフィン系積層フィルムを包装材料として用いた包装体であって、該フィルムを構成する(B)層の延伸方向に引裂き用のノッチをいれたものでもある。引裂きノッチの形状については特に制限はないが、通常、V型ノッチ、コの字型ノッチ等が用いられ、ノッチは通常、自動包装機の包装ライン内で加工される。自動包装機は特に限定するものではないが、一般に知られている例えば、ピロー包装機、三方シール機、四方シール機、サイドシール機等が挙げられる。
【0029】
次に本発明のポリオレフィン系フィルムの製造方法については、特に限定されないが次に一般例を述べる。
【0030】
まず(A)層、(C)層に用いるポリオレフィン系樹脂を(A)層/(C)層の形で2層積層シートをチルロールにて冷却固化し、得られたシートを一般に80〜160℃の範囲で2〜10倍にMD方向に一軸延伸を行う。一軸延伸されたシートの(A)層を構成する面にATmと同じ融点を有するか、または、ATmより15℃以内の範囲で低い融点(BTm)を有するポリオレフィン系樹脂を、通常全体の厚さの1〜32%の範囲、好ましくは2〜25%の範囲で積層して(B)層とする。
【0031】
(B)層を積層する方法としては例えば、押出しラミネート法、既に製膜加工されたフィルムを熱ロールにて貼り付ける方法等が挙げられる。得られた3層積層シートは(A)層の厚みが全体の65〜95%の範囲、好ましくは75〜90%の範囲にあるようにし、さらにテンターに導き、100〜180℃で3〜12倍にTD方向に延伸し、必要であれば、1〜20%弛緩し、熱処理を行う。
【0032】
得られたポリオレフィン系積層フィルムの片面、両面にコロナ放電処理などの公知の表面処理を行い、処理面の濡れ指数を36〜50N/cmとする事が好ましい。得られた積層フィルムは機械的強度に優れ、カールもない事から自動包装機での包装適性に優れると共に、TD方向にノッチを入れた部分からのTD方向引裂き方向性に優れるものであった。
【0033】
【発明の効果】
本発明のポリオレフィン系積層フィルムは、上記の説明のように、二軸延伸層(A)の片面に一軸延伸層(B)を積層し、(B)層の積層されない面にヒートシール層(C)が積層されたフィルムであって(A)層を構成する樹脂の融点(ATm)と(B)層を構成する樹脂の融点(BTm)が同じか、または、(A)層を構成する樹脂の融点(ATm)が、(B)層を構成する樹脂の融点(BTm)より15℃以内の範囲で大きく、(A)層の厚みが全体の65〜95%とすることで、従来技術の機械的強度の弱さ、カールを解消し、TD方向の引裂き方向性に優れるという、従来全く予期されなかった効果を実現したフィルムである。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
実施例及び比較例において使用したポリオレフィン系樹脂を表1に示し、フィルムの特性を表2に示した。
【0036】
また、以下の実施例及び比較例において用いた測定方法は次の方法により実施した。
【0037】
(1)融点
セイコー電子社製の示差走査熱量計を用い、次の条件で測定した。
【0038】
試料量 :約5mg
雰囲気ガス:窒素(流量20ml/分)
温度条件 :230℃に10分間保持した後、10℃/分で30℃まで降温し、続いて昇温速度10℃/分で昇温したときの融解の吸熱挙動を測定した。
【0039】
(2)メルトフローレイト(MFR)
JIS−K7210に準じ測定した。
【0040】
(3)平均粗さ(Ra)
表面粗さ計(小坂研究所製TDF−3A型)にて次の条件で測定した。
【0041】
測定速度 :0.1mm/秒
測定距離 :4mm
カットオフ :0.8mm
測定方向 :MD方向
(4)機械的強度(フィルムの剛性)
JIS−K7113に準じ、以下の方法で引張弾性率を測定した。
【0042】
フィルムから幅10mm、長さ100mmのサンプルを切り出し、サンプルの両端を引張試験機(オートグラフ:島津製作所製)のチャックで固定した。この場合、サンプルの長さ方向のチャック間隙が20mmになるように調整した。引張速度20mm/分で引張試験を行い、引張応力−歪み曲線を作成した。
【0043】
引張弾性率は引張応力−歪み曲線の初めの直線部分を用いて、次式によって計算した。
【0044】
Em=Δδ/Δε
Em:引張弾性率
Δδ:直線上の2点間の、サンプルの元の平均断面積による応力の差
Δε:同じ2点間の歪みの差
尚、サンプルは、フィルムのMD及びTDについて測定した。
【0045】
(5)カール率
幅50mm長さ300mmに切り出したサンプルを、23℃50%RHの条件で24時間放置した後の、見かけの長さを測定し、元の長さ(300mm)で除した値をカール率とした。
【0046】
(6)引裂き方向性
TD方向を長さ方向とし、幅150mm、長さ300mmに切り出したサンプルの中央部に、長さ方向と平行に、10mm間隔のノッチを入れる。ノッチ部を持って長さ300mmを引裂いた後の幅を測定し、次式で求めた値を引裂き方向性とした。
【0047】
|10(mm)−300mm引裂き後の端部の幅(mm)|=引裂き方向性値
(7)自動包装適性
溶断シール機(キョウエイ製PP−500型)にて幅200mm長さ300mmの袋を150枚/分の速度で製袋し、その適性を次のように評価した。
【0048】
自動包装適性評価
○:全く問題なく製袋可能であり、製袋後の袋揃えが容易
△:問題なく製袋可能であるが、製袋後の袋揃えが悪い
×:製袋時、袋がスムーズに搬送されず、製袋後の袋揃えが悪い
実施例1
(A)層に用いるポリオレフィン系樹脂として、MFR2.5g/10分のポリプロピレンホモポリマー(融点162℃)を、(C)層に用いるポリオレフィン系樹脂としてMFR8.0g/10分のエチレン−プロピレンランダム共重合体(エチレン量5.5重量%)にプロピレン−ブテン共重合体(三井化学製XR110T)を20重量%調合したものをそれぞれ2台の押出し機にて2種2層共押出法により265℃の樹脂温度でシート状の押出し、40℃に維持されたチルロールにより冷却固化し、シート状物を得た。
【0049】
次にこのシートを加熱ロール延伸機により100〜150℃で5.0倍縦延伸した。得られた延伸シートの構成は(A)層が220μm、(C)層が15μmであった。次いで、得られた一軸延伸シートの(C)層とは反対の面に、(B)層に用いるポリオレフィン系樹脂として、MFR8.0g/10分のポリプロピレンホモポリマー(融点161℃)を15μm押出しラミネートした。
【0050】
次に、(C)層/(A)層/(B)層に構成された積層シートを150℃に加熱した横延伸機で10倍に延伸後、155℃で熱処理をしながら幅方向に5%弛緩させた。その後、大気中でフィルムの(B)層面にコロナ放電処理を施し、40N/cmの濡れ指数のフィルムを得た。得られたフィルムの層構成は(A)層が22μm、(B)層が1.5μm、(C)層が1.5μmであった。得られたフィルムの特性を表1、2に示した。
【0051】
実施例2及び3
実施例1の(B)層に用いる樹脂として融点155℃及び147℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体をそれぞれ用いた以外は、実施例1と全く同様に製膜しその特性を評価した。その結果を表1、2に示した。
【0052】
実施例4及び5
実施例1の(A)層に用いる樹脂を融点が156℃、145℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体とし、(B)層に用いる樹脂を融点が145℃、MFRが15g/10分のエチレン−プロピレンランダム共重合体とし、横延伸の温度を144℃及び133℃で延伸しながら149℃及び138℃で幅方向の5%弛緩させた以外は、実施例1と全く同様に製膜しその特性を評価した。その結果を表1、2に示した。
【0053】
実施例6
実施例1の(B)層に用いる樹脂を融点155℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体とし、各層の層構成を(A)層が17μm、(B)層が6.5μm、(C)層が1.5μmとした以外は、実施例1と全く同様に製膜しその特性を評価した。その結果を表1、2に示した。
【0054】
実施例7
実施例1の(B)層に用いる樹脂を融点155℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体とし、各層の層構成を(A)層が47μm、(B)層が1.5μm、(C)層が1.5μmとした以外は、実施例1と全く同様に製膜しその特性を評価した。その結果を表1、2に示した。
【0055】
比較例5
実施例1の(A)層、(C)層からなる2層シートを冷却固化する際、チルロールの温度を60℃とし、(B)層に用いる樹脂をエチレン−プロピレンランダム共重合体とし、融点を155℃とした以外は、実施例1と全く同様に製膜し、その特性を評価した。その結果を表1、2に示した。得られたフィルムの(A)層の(B)層を積層する面の平均粗さは0.42μmであり、引裂き方向性に劣った。
【0056】
比較例1
実施例1の(B)層に用いる樹脂を融点135℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体とした以外は、実施例1と全く同様に製膜しその特性を評価した。その結果を表1、2に示した。(A)層の樹脂と(B)層の樹脂の融点差は17℃であり、引裂き方向性に劣っていた。
【0057】
比較例2及び3
実施例1の(B)層に用いる樹脂を融点155℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体とし、各層の層構成をそれぞれ、(A)層が15μm及び10μm、(B)層が7.5μm及び12.5μm、(C)層が1.5μmとした以外は、実施例1と全く同様に製膜しその特性を評価した。その結果を表1、2に示した。得られたフィルムの(A)層の層構成比はそれぞれ、60%及び40%であり、いずれもMD方向の引張弾性率が低下し、カール率が大きく、自動包装適性に劣ったフィルムであった。
【0058】
比較例4
実施例1の(B)層に用いる樹脂を融点155℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体とし、各層の層構成を(A)層が58μm、(B)層が0.5μm、(C)層が1.5μmとした以外は、実施例1と全く同様に製膜しその特性を評価した。その結果を表1、2に示した。得られたフィルムの(A)層の構成比は96.7%であり、自動包装適性には優れるものの、引裂き方向性に劣ったフィルムであった。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
Claims (2)
- 二軸延伸層(A)の片面に一軸延伸層(B)が積層され、(B)層の積層されない面にヒートシール層(C)が積層されたフィルムであって、(A)層を構成する樹脂の融点(ATm)と(B)層を構成する樹脂の融点(BTm)が同じか、または、(B)層を構成する樹脂の融点(BTm)より15℃以内の範囲で高く、(A)層の厚みが全体の65〜95%であり、且つ、(A)層の(B)層が積層された面の平均粗さ(Ra)が0.01〜0.3μmである事を特徴とするポリオレフィン系積層フィルム。
- 請求項1記載の積層フィルムにより包装されており、該フィルムは(B)層の延伸方向に引裂きノッチを有することを特徴とする包装体。
Priority Applications (1)
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JP34833799A JP3781596B2 (ja) | 1999-08-31 | 1999-12-08 | ポリオレフィン系積層フィルム |
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JP34833799A Expired - Lifetime JP3781596B2 (ja) | 1999-08-31 | 1999-12-08 | ポリオレフィン系積層フィルム |
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JP (1) | JP3781596B2 (ja) |
-
1999
- 1999-12-08 JP JP34833799A patent/JP3781596B2/ja not_active Expired - Lifetime
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