JP3780846B2 - 長尺化粧板の製造方法及びその方法により得られた長尺化粧板 - Google Patents
長尺化粧板の製造方法及びその方法により得られた長尺化粧板 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長尺化粧板の製造方法に関する。さらに詳しくは、和室天井や廊下の床を施工するのに用いる長尺化粧板の製造方法及びその方法により得られた長尺化粧板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、長手方向の長さが6尺の合板等、木質板に化粧板を接着して製造される木質化粧板は、規格化して大量生産され、主として住宅関連分野において用いられている。しかし、上記の定尺の木質化粧板を用いて和室天井や廊下の床を施工する場合は、縦継ぎを行わなければならず、継ぎ目が目立ち、意匠性に劣るものとなる。そのため、長尺の木質化粧板が求められ、それを製造するための各種の方法が提案されている。
【0003】
上記、公知の方法としては、特開平5−162103号、特開平6−193241号、特開平7−88802号、特開平9−234702号等、各公報に記載の技術が知られている。これらの方法は、基材となる合板等、木質板をスカーフ接合し、長尺とした木質板の表面に化粧板を接着したり、木目模様を印刷した化粧シートやWPC板等を貼着するというものである。この場合、スカーフ接合した部分が、上記の薄い化粧板や化粧シート等を透して木目と直交する線状となったり、濃色化して現れ、外観を損なう等の問題があり、それを防ぐため種々の方法が開示されている。
【0004】
例えば、本願図2に示すように合板のスカーフ面2、3を接着剤7によって接合し、長尺とした木質板(合板)1の表面に、化粧板5として突き板を接着する場合、長尺木質板(合板)1の表面全体に隠蔽剤8を塗布してスカーフ接合部4を隠蔽し、乾燥後に化粧板(突き板)5を、これと同系統色の着色接着剤6によって接着するという方法が採用されている。この場合、隠蔽剤8としては着色ペイントが用いられるが、これを塗布する工程を設けなければならず、また、隠蔽剤自身のコストもかかるため、経済的に有利とはいえない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来法を改良するためには、隠蔽剤8を使用しないか、化粧板(突き板)5を接着するための着色接着剤6に隠蔽剤8を添加する方法が考えられる。しかし、この場合はつぎの問題が生じる。すなわち、スカーフ接合は通常、加熱下に圧力をかけてスカーフ面2、3同士を接合させる熱プレス法によって行われるため、スカーフ接合部4の表面付近は加熱、加圧により脱水され、含水率が低下する。したがって、隠蔽剤8を使用しない場合は、図3(イ)のように構成されているため、化粧板(突き板)5をプレスして(ロ)に示すように接着すると、経時的にスカーフ面同士の間に介在する接着剤7が水分の低い表面へ移動し、着色接着剤6に色移りするという問題が生じる。また、逆に、着色接着剤6が、含水率の低下したスカーフ接合部4付近に浸透し、周囲の色が変化するという問題も生じる。このような事態となると図4に示すように、長尺化粧板の表面のスカーフ接合部4付近に色むら9が発生し、商品価値の劣ったものとなる。本発明は、このような問題点を解決しようとするものであって、基材となる木質板をスカーフ接合し、長尺とした木質板の表面に化粧板を接着する際、スカーフ接合部近辺の化粧板に色調の変化を生じることなく長尺化粧板を製造する方法、及びその方法によって得られる長尺化粧板を提供することをその課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、つぎの技術的手段を講じている。すなわち、本願、第1の発明によれば、木質板のスカーフ面同士を接着剤を介して熱プレスしてなる長尺木質板の含水率の低下したスカーフ接合部付近を、その部分の表面に水を塗布して養生することにより他の部分との間で含水率を均一とし、その後、当該長尺木質板の表面に化粧板を着色接着剤によって接着することを特徴とする長尺化粧板の製造方法が提供される。上記木質板としては、例えば、合板が用いられ、化粧板としては、天然木薄板、突き板等が用いられる。
【0007】
さらに、本願、第2の発明によれば、木質板のスカーフ面同士を接着剤を介して熱プレスしてなる長尺木質板の含水率の低下したスカーフ接合部付近を、その部分の表面に水を塗布して養生することにより他の部分との間で含水率を均一とし、その後、当該長尺木質板の表面に化粧板を着色接着剤によって接着する製造方法によって得られたことを特徴とする長尺化粧板が提供される。
【0008】
【作用】
上記、第1発明においては、熱プレスによって含水率の低下したスカーフ接合部の表面に水分を塗布し、その後、養生するため、スカーフ接合部の表面から内部まで水分を浸透させ、含水率、木質の繊維密度を均一とすることができる。したがって、このように含水処理された長尺木質板の表面に着色接着剤によって化粧板を接着しても、熱プレス時に用いたスカーフ接着剤が含水率の差で、表面へ移動し、着色接着剤に色移りするという問題を防ぐことができる。同時に、化粧板を接着する着色接着剤が、含水率が低下したため、繊維密度が大きくなったスカーフ接合部付近に逆に浸透して、周囲の色調が変化するという問題も防ぐことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0010】
【実施例1】
図3(イ)に示す構成において、木質板として合板を使用し、スカーフ面2、3に接着剤7としてユリア・メラミン系接着剤を塗布した後、温度120℃、圧力3kg/cm2で1分間、熱プレスして、スカーフ面2、3の接合を行い、長尺木質板(合板)1を得た。ついで、この長尺木質板(合板)1のスカーフ接合部付近4に水を1平方尺あたり4〜5g塗布し、養生を行った。養生時間は約24時間とした。養生を終了した後、スカーフ接合部4の表面をサンダー加工し、着色接着剤6によって化粧版(突き板)5を長尺木質板(合板)1の表面に接着した。このようにして得られた長尺化粧板の斜視図を図1に示す。この長尺化粧板を1年間保管し経時変化を観察したが、外観上の問題はみられなかった。
【0011】
なお、水の塗布量は、スカーフ面の接合に用いた接着剤、熱プレス条件、使用する木質板の性質等により変化するため、一概にはいえないが1平方尺あたり1〜10gが好ましい。同様に、養生時間は、1時間乃至10日間が好ましい。
【0012】
【実施例2】
実施例1において、接着剤7としてユリア・メラミン系接着剤を熱プレス時に接合部の表面からはみ出ないよう、スカーフ面2、3の間の下部に塗布した以外は、すべて実施例1と同じ条件で長尺化粧板を製造した。得られた長尺化粧板を1年間保管し経時変化を観察したが、外観上の問題はみられなかった。
【0013】
【実施例3】
実施例1において、接着剤7としてユリア・メラミン系接着剤をスカーフ面2、3の間の下部に塗布し、上部にホットメルト接着剤を塗布した以外は、すべて実施例1と同じ条件で長尺化粧板を製造した。ホットメルト接着剤を用いることにより、ユリア・メラミン系接着剤の接合部表面への移動を防ぐことができ、また、初期接着力の確保を行うことができた。得られた長尺化粧板を1年間保管し経時変化を観察したが、外観上の問題はみられなかった。
【0014】
【比較例1】
実施例1において、スカーフ接合を行った後、接合部4付近に水を塗布せず、それ以外はすべて実施例1と同じ条件で長尺化粧板を製造した。得られた長尺化粧板を1ケ月保管して経時変化を調べたところ、スカーフ接合部近辺の化粧板に色むら9が発生しており、商品価値のないものであった。
【0015】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は、木質板のスカーフ面同士を接着剤を介して熱プレスしてなる長尺木質板の含水率の低下したスカーフ接合部付近を、その部分の表面に水を塗布して養生することにより他の部分との間で含水率を均一とし、その後、当該長尺木質板の表面に化粧板を着色接着剤によって接着することを特徴とする長尺化粧板の製造方法である。
【0016】
上記の方法によれば、熱プレスによって含水率の低下したスカーフ接合部の表面に水分を塗布した後、養生するため、スカーフ接合部の表面から内部まで水分が浸透し、含水率、木質の繊維密度を均一とすることができる。このように含水処理された長尺木質板の表面に着色接着剤によって化粧板を接着しても、熱プレス時に用いたスカーフ接着剤が含水率の差で、表面へ移動し、着色接着剤に色移りするという問題を防ぐことができる。同時に、化粧板を接着する着色接着剤が、含水率が低下し、繊維密度が大きくなったスカーフ接合部付近に逆に浸透して、周囲の色調を変化させるという問題も防ぐことができる。
【0017】
また、本発明は、木質板のスカーフ面同士を接着剤を介して熱プレスしてなる長尺木質板の含水率の低下したスカーフ接合部付近を、その部分の表面に水を塗布して養生することにより他の部分との間で含水率を均一とし、その後、当該長尺木質板の表面に化粧板を着色接着剤によって接着する製造方法で得られたことを特徴とする長尺化粧板である。上記長尺化粧板は、基材のスカーフ接合部付近に接着された化粧板に色むらを生じることなく、商品価値のすぐれたものとなる。
【0018】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法によって製造された長尺化粧板の斜視図である。
【図2】従来例の長尺化粧板の概略構成を示す断面図である。
【図3】(イ)隠蔽剤を使用しない従来例の長尺化粧板の概略構成を示す断面図である。
(ロ)周囲の色調と差の現れた長尺化粧板の状態を示す断面図である。
【図4】表面に色むらの現れた長尺化粧板を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 長尺木質板(合板)
2 スカーフ面
3 スカーフ面
4 接合部
5 化粧版(突き板)
6 着色接着剤
7 スカーフ接着剤
8 隠蔽剤
9 色むら
Claims (2)
- 木質板のスカーフ面同士を接着剤を介して熱プレスしてなる長尺木質板の含水率の低下したスカーフ接合部付近を、その部分の表面に水を塗布して養生することにより他の部分との間で含水率を均一とし、その後、当該長尺木質板の表面に化粧板を着色接着剤によって接着することを特徴とする長尺化粧板の製造方法。
- 木質板のスカーフ面同士を接着剤を介して熱プレスしてなる長尺木質板の含水率の低下したスカーフ接合部付近を、その部分の表面に水を塗布して養生することにより他の部分との間で含水率を均一とし、その後、当該長尺木質板の表面に化粧板を着色接着剤によって接着する製造方法で得られたことを特徴とする長尺化粧板。
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