JPS5828808Y2 - 天然銘木単板ばり化粧板材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、施工した時に重厚な感じを有し、かつ表面
に目割れが生じない銘木単板ばり板材を安価に提供する
ことを目的とする。

一般に天然銘木単板ばりと化粧板材とは、合板の表面に
けやき、さくら、チーク、ウオールナツトのような天然
銘木単板を貼着したものを指すが、このものを内装板と
して用いると、突きつけ施工の場合は問題がそれ程ない
が、目透し施工をすると木口が見えて見栄えが非常に悪
い欠点があった。

そのため、木口に化粧材を縁貼りすることが考えられる
が、この作業は非常に手間がかかるうえ、表面と木口の
角部から化粧材がはがれやすいという大きな欠点があっ
た。

本考案者は、上記欠点を解消するために、板材の表面に
接着する天然銘木単板を側面にまで接着すればよいこと
に着目して研究を進めたところ、真空プレスを利用すれ
ば天然銘木単板と板材の両側面に接着することができる
ことを知った。

ところが、公知の真空プレスは、あまり温度を上げるこ
とができず、その上致命的なことには圧力が大気圧以上
かからないため、板材に天然銘木単板を接着する接着剤
として熱可塑性樹脂接着剤しか使用できなかった。

そのため面積の大きい表面部では天然銘木単板の収縮に
よる目割れが生じやすい欠点があった。

本考案者はさらに研究を進めたところ、板材の表面部だ
け熱硬化性樹脂接着剤を使用すれば上記欠点も解消でき
ることを知ってこの考案を完成した。

すなわち、この考案は板材の表面両端縁に曲面加工が施
されており、この曲面部分と曲面に続く両側面には熱可
塑性樹脂接着剤層を介して、また表面には熱硬化性樹脂
接着剤層を介して天然銘木単板が少なくとも曲面部分付
近では連続して接着されてなる天然銘木単板ばり板材に
係る。

この考案を実施例図によって詳述する。

図面はこの考案の断面図で、１は合板、パーティクルボ
ード、ハードボード、けい酸カルシウム板、せつこうボ
ード等の板材で表面両端縁に曲面加工が施されている。

この曲面は厚み１２ｍｍの板材であれば２〜６ｍｍの半
径の曲面が適当である。

２ｍｍ未満では板材の厚みにかかわらず後で接着する天
然銘木単板を板材１の表面から側面にかけて目割れを生
じさせないように接着することが難しい。

また５ｍｍ（板材厚みの２分の１）を越えると側面に実
加工や合決り加工がしにくくなる。

２は６０ｇ／ｍ２のクラフト紙にフイノール樹脂（固型
分３０％）を含浸させた含浸紙である。

３は板材１の両側面に８０〜１００ ｇ／ｍ２塗布され
た酢酸ビニル樹脂エマルジョン、酢酸ビニルアクリル系
エマルジョン。

エチレン酢酸ビニル樹脂エマルジョン等の熱可塑性樹脂
接着剤層、４は板材１表面に８０〜１００ｇ／ｍ２塗布
された尿素メラミン樹脂接着剤、フェノール樹脂接着剤
、メラミン樹脂接着剤等の熱硬化性樹脂接着剤層である
。

なお、上記熱硬化性樹脂接着剤の一変形として、熱硬化
性樹脂に酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂を同量程度混
合して熱硬化性樹脂接着剤（水溶性接着剤）中に含まれ
ている水が天然銘木単板表面にしみ出してくるのを防止
した接着剤も考えられる。

５は公知の天然銘木単板、６は天然銘木単板５表面に塗
布されたアミノアルキッド樹脂トップコート層である。

次に、この考案面の製造順序を説明する。

（ａ）板材１の裏面に樹脂含浸紙２を貼着する。

（ｂ）板材１の表面両端縁に曲面加工を施す。

（Ｃ）板材１の両側面に熱可塑性樹脂接着剤を塗布する
。

（ｄ）板材１の表面に熱硬化性樹脂接着剤を塗布する。

板材１の曲面部分は熱可塑性樹脂接着剤が塗布されるこ
とになるが、スプレッダで表面に熱硬化性樹脂接着剤を
塗布すると一部は曲面部分にまで塗布される。

しかし、ホックプレスで天然銘木単板を載置した板材を
熱圧すると表面近くの曲面部分に付着した熱硬化性樹脂
接着剤にも熱が伝わり硬化するので問題がない。

特に曲面の半径が小さい時、この傾向が著しい。

（ｅ）板材１の表面に天然銘木単板５を板材１の両端縁
よりはみ出すようにして載置する。

（ｆ）温度８０℃の真空プレスで一分間熱圧して板材１
の曲面および両側面に天然銘木単板５を接着するととも
に、板材１表面に仮接着させる。

（ｇ）温度１２０〜１３０℃に調節したホットプレスで
３０秒間、８ｋｇ／ｃｍ２の圧力で熱圧する。

（ｈ）表面をサンダ掛けした後、継手加工を施し、表面
および側面にアミノアルキッド樹脂塗料を塗装し８０℃
のドライヤで１５分間乾燥させる。

なお、トップコード塗装の前に透明顔料１５重量％含ん
だアミン系合成樹脂塗料でサンテ゛イングシーラ塗装を
して乾燥させる工程を入れてもよい。

この考案は上述したように、板材の表面両端縁に曲面加
工が施されており、天然銘木単板が板材の少なくとも曲
面部分付近では連続して接着されているので、施工した
時には重厚な感じをだすことができ、しかもこの曲面に
より曲面部分の天然銘木単板に目割れが生ずることは完
全になくなる利点がある。

また、板材の曲面部分と曲面に続く両側面には熱可塑性
樹脂接着剤層を介して天然銘木単板が接着されているの
で、熱圧しにくい曲面および側面でも確実に天然銘木単
板は接着されており、また面積が大きくて熱可塑性樹脂
接着剤では天然銘木単板を接着後でも天然銘木単板の収
縮による働きによって目割れが生じる恐れがある板材表
面には熱硬化性樹脂接着剤層を介して天然銘木単板が接
着されているので、熱硬化性樹脂の三次元の網目構造に
よって天然銘木単板が強固に接着され、非常に耐候性が
ある効果を有する。

しかも、上述したような接着剤層の構成により、天然銘
木単板は何等級や布等の裏打ちをする必要がなく非常に
安価であるという効果も有する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示す一部断面図である。 図面中、１は板材、２は含浸紙、３は熱可塑性樹脂層、
４は熱硬化性樹脂層、５は天然銘木単板を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 板材の表面両端縁に曲面加工が施されており、この曲面
   部分と曲面に続く両側面には熱可塑性樹脂接着剤層を介
   して、また表面には熱硬化性樹脂接着剤層を介して天然
   銘木単板が少なくとも曲面部分付近では連続して接着さ
   れてなる天然銘木単板ばり板材。