JP3780552B2 - タンクの解体方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえばLNGやLPGの貯蔵タンクのような大規模な地上タンクを解体するために適用して好適な方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のタンクを解体するに当たっては、タンクの外部や内部にタンクの頂部に達する足場を組み、その足場上からタンクの屋根面や側壁面を細かく切断する作業を行い、切断した部分をクレーンを用いて地上に吊り下ろすという方法が最も一般的に行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の方法では、高所作業が大半であるので作業性が良くないばかりか、足場の組立や解体に多大の手間、費用を要し、また、切断したものを高所から吊り下ろすためにクレーンも大型のものが必要であった。
【0004】
本発明は上記事情に鑑み、高所作業を極力なくし、かつ、足場や大型のクレーンも不要とできる有効な解体方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、地上に設置されているタンクを解体するに際し、前記タンク内に水を張り、該タンクを気密保持可能に密閉した後に、該タンクの底部より排水することにより、該タンク内を減圧せしめてその外部に作用する大気圧によって該タンクの側壁面および屋根面を内側に座屈せしめて倒壊させるものである。タンク内に水を張るに際しては水面上に予備解体作業用のボートを浮かべておき、該ボートを水面の上昇に伴ってタンク内において上昇させつつ該ボート上からタンクの側壁面に対する予備解体を行い、ほぼ満水状態となるまで水を張ったら該ボート上からタンクの屋根面に対する予備解体を行うと良い。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図1および図2を参照して本発明の一実施例を説明する。図1は解体対象のタンク1に対して予備解体を行った状態、図2はタンク1を倒壊させた状態を示す図である。
【0007】
解体対象のタンク1はたとえばLNGあるいはLPGを貯蔵するための地上型のもので、底版2、側壁面3、屋根面4により構成された円筒形をなすものである。側壁面3および屋根面4の内面側には鋼材からなる多数の補剛材5が縦横に組まれた形態で取り付けられているとともに、それら側壁面3および屋根面4の全体は保冷材(図示略)により被覆されている。さらに、屋根面4にはマンホール6が設けられ、側壁面3の底部には貯蔵液を取り出すためのノズル7が設けられている他、図示は省略しているが要所に他のマンホールやノズルも適宜設置されている。
【0008】
本実施例の解体方法は、上記のようなタンク1を解体するに際して適用されるもので、以下のようにしてこのタンク1自体を倒壊させるようにしたものである。
【0009】
すなわち、本実施例の解体方法では、まずタンク1の底部に設けられているノズル7に排水ポンプ8を接続するとともに、他のノズルがあればそれを封止してしまう。また、屋根面4に設けられているマンホール6は開放しておく。
【0010】
そして、マンホール6からタンク1内に予備解体作業のためのボート9を搬入する。そのボート9としては空気膨張式のゴムボートを用い、小さく萎めた状態でマンホール6からタンク1内に搬入し、タンク1内において膨張させれば良い。このボート1は手漕ぎのものでもエンジンにより自走するものでも良いが、予備解体のための所定の人員の作業員が乗込むことができ、また必要な資材や機材を搭載し得るものとする。
【0011】
次いで、タンク1の頂部たとえば上記のマンホール6あるいは屋根面4に設けられている適宜のノズルからタンク1内に水を注入していく。水の注入によりタンク1内に水が張られるとボート9が水面上に浮ぶから、作業員がボート9に乗込んでそのボート9上から側壁面3および屋根面4に対する予備解体を行う。すなわち、ボート9に乗込んだ作業員がボート9を手動により漕ぐかあるいは操縦して側壁面3に接近し、側壁面3の内面に設けられている補剛材5に対して適宜の位置に適宜の間隔でノッチ(切り込み)10を形成していく。タンク1内の水位の上昇に伴ってボート9も上昇していくから、側壁面3に対する予備解体作業を上部へ順次行っていき、タンク1内にほぼ満水状態になるまで水が張られたら屋根面4の内面に取り付けられている補剛材5に対しても同様にノッチ10を形成する。
【0012】
図1に示しているようにタンク1内にほぼ満水状態に水が張られ、側壁面3および屋根面4に対する予備解体作業が完了したら、ボート9を萎めてマンホール6から搬出し、そのマンホール6に蓋11を被せて気密保持可能に密閉する。他にノズル等の開口部があればそれも同様に密封する。そして、排水ポンプ8を運転してタンク1内の水を排水する。
【0013】
これによりタンク1内の水位は順次低下していくが、タンク1は気密保持可能に密閉されているのでタンク1内は自ずと負圧となり、このためタンク1の外部に大気圧が作用することになる。この種のタンクは正圧には充分に耐え得るが負圧に対しては充分な強度を有していないことが通常であり、しかも、補剛材5にノッチ10が形成されているために、内部が負圧となったタンク1は大気圧によって押し潰されていき、たとえばタンク1内がマイナス100mmAq程度の負圧になると、タンク1は内側に座屈してもはや自立し得えなくなり、図2に示すように自ずと倒壊してしまう。そこで、倒壊したタンク1に対して地上において解体作業を行う。
【0014】
上記方法によれば、タンク1を倒壊させてから地上において解体を行うので、解体に際しては高所作業がなくなり、したがって足場が不要となるし大型のクレーンも不要である。また、タンク1内に水を張り、それを排水することのみで、大掛かりな重機等を必要とすることなくタンク1を倒壊させ得る。しかも、タンク1内において水位を上昇させながら水面上に浮かべたボート9により側壁面3および屋根面4に対する予備解体を行うので、予備解体のためにタンク1内に足場を組む必要もない。
【0015】
なお、既に述べたようにタンク1は本来的に正圧に耐え得るものであるから、タンク1内に水を満水状態に張ることにより受ける水圧にも自ずと耐え得るが、予備解体に際してはその水圧に耐えつつ負圧を受けた際には容易に内側に座屈するようにノッチ10の形態やその形成位置を設定すれば良い。また、タンク1の規模や強度によっては予備解体をせずとも倒壊する場合も想定されるが、その場合は予備解体作業を省略しても良い。また、排水ポンプ8を用いることなくノズル7から空気の流入を阻止しつつ水を自然に排水させることのみで負圧を生ぜしめることも可能であるし、排水ポンプ8に代えてエジェクターを用いることもできる。さらに、本発明方法は上記実施例のような円筒形のタンクに限らず球形タンク等の他の形態のタンクにも同様に適用することができることは言うまでもないし、タンク内における水位も所望の負圧が得られるように任意に設定して良い。
【0016】
【発明の効果】
以上で説明したように、本発明は、タンク内に水を張り、そのタンクを気密保持可能に密閉して排水することのみで、タンク内を減圧せしめて大気圧により座屈せしめて倒壊させるものであるから、極めて簡単にタンクを倒壊させることが可能であるとともに、倒壊後の解体作業を地上において行い得るから高所作業がなくなるとともにそのための足場や大型のクレーン等が不要となる、という効果がある。また、タンク内に水を張るに際しては水面上に予備解体作業用のボートを浮かべ、そのボートを水面の上昇に伴って上昇させつつボート上から側壁面に対して予備解体を行い、ほぼ満水状態となったら屋根面に対する予備解体を行えば、タンクの倒壊をより確実に行い得るとともに、予備解体のためにタンク内に足場を設けるような必要もないから、より効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の解体方法を説明する図であって、タンクの側壁面および屋根面に対する予備解体を実施した状態を示す図である。
【図2】同じく、タンクが倒壊した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 タンク
3 側壁面
4 屋根面
5 補剛材
6 マンホール
7 ノズル
8 排水ポンプ
9 ボート
10 ノッチ
Claims (2)
- 地上に設置されているタンクを解体するに際し、前記タンク内に水を張り、該タンクを気密保持可能に密閉した後に、該タンクの底部より排水することにより、該タンク内を減圧せしめてその外部に作用する大気圧によって該タンクの側壁面および屋根面を内側に座屈せしめて倒壊させることを特徴とするタンクの解体方法。
- 請求項1記載のタンクの解体方法において、前記タンク内にほぼ満水状態となるまで水を張るようにするとともに、水を張るに際しては水面上に予備解体作業用のボートを浮かべておき、該ボートを水面の上昇に伴ってタンク内において上昇させつつ該ボート上からタンクの側壁面に対する予備解体を行い、ほぼ満水状態となったら該ボート上からタンクの屋根面に対する予備解体を行うことを特徴とするタンクの解体方法。
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JP03528096A JP3780552B2 (ja) | 1996-02-22 | 1996-02-22 | タンクの解体方法 |
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1996
- 1996-02-22 JP JP03528096A patent/JP3780552B2/ja not_active Expired - Fee Related
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