JP3911607B2 - コンクリート製ドーム屋根の構築法と構築用部材 - Google Patents

コンクリート製ドーム屋根の構築法と構築用部材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、既設のコンクリート製貯槽のコンクリート製ドーム屋根を取替える場合や、屋根を設置していないコンクリート製貯槽に、内容物の液体を貯蔵したままの操業状態でコンクリート製ドーム屋根を構築する方法と、その構築法にて使用する構築用部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
既設のコンクリート製の貯水槽や貯液槽等のコンクリート製ドーム屋根を取替える場合があり、また、屋根が設置されていない既設の灌漑用水用のコンクリート製ファームポンド等にコンクリート製屋根を新規に設置する場合や、下水道処理場でふたの付いていない既設のコンクリート製処理槽等にコンクリート製屋根を新規に設ける場合がある。
このように既設のコンクリート製貯槽にコンクリート製屋根を設ける場合には、貯蔵物である液体を抜かないで給排液を行っている操業状態でコンクリート製屋根を構築する必要があり、この操業状態のままでコンクリート製の屋根を構築することは、作業性が悪いため困難であった。
そこで、操業を停止し、貯槽内部の液体を完全に除去した状態で、貯槽内部全体に単管とパイプサポート材で足場や支保工などの支持部材を組立てた後、木製型枠をドーム形状に架設し、その上にコンクリートを打設してコンクリート製ドーム屋根を構築していた。
【0003】
なお、特別な事例としては、小径小型の貯槽向けに、鋼製屋根やアルミ二ウム合金製屋根などの軽量な屋根材料を使用した場合には、貯蔵液を抜かないで給排液操業中の貯槽に屋根を構築する方法が行われている。この場合には、貯槽の隣接する地上にて屋根を一体に組立て、クレーンなどで貯槽上部に吊り上げて屋根を設置する方法が採られているが、屋根本体の軽量な構造と周辺の作業場所などの設置条件が限定されている。
しかしながら、金属製に比べて重量が約30倍のコンクリート製のような大重量物や直径の大きな屋根の場合には、貯液して給排液を行っている操業状態のままでは、作業用の足場やコンクリート打設用の型枠や支保工を架設することはできず、また、クレーンなどを使って屋根を吊り上げて構築することは困難であった。
【0004】
なお、空気圧で保持した膜型枠を用いて、この空気膜型枠上にモルタル及びコンクリートを打設して新規にコンクリート製ドーム屋根を構築する方法には、例えば、本願出願人による特開平3−55365号「コンクリート製屋根及びその構築法」の発明(特許文献1参照)、特開平4−111872号「コンクリート製ドーム屋根を構築する型枠とその構築法」の発明(特許文献2参照)、特開平4−111875号「エアードーム工法におけるエアーコントロール方法」の発明(特許文献3参照)がある。
上記特許文献1の発明では、底版に送気口を設けてブロワーから送風している。特許文献2の発明では、底版およびまたは側壁の所定箇所に貫通孔を設けて送風している。特許文献3の発明では、底版およびまたは側壁に設けた貫通孔を用いて送風及び排風を行う旨が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−55365号公報(第3頁左下欄第3行〜第14行、及び第1図)
【特許文献2】
特開平4−111872号公報(第3頁左下欄第12行〜第17行、及び第1図、第2図)
【特許文献3】
特開平4−111875号公報(第3頁左下欄第9行〜第4頁右下欄第3行、及び第1図、第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、貯槽内部に液体を張ったままの操業状態では、足場や支保工などの支持部材なしでコンクリート製屋根を構築することはできず、また、吊り上げるなどして重量物のコンクリート製屋根を側壁上部に架設することはできなかった。
【0007】
また、上記紹介した空気膜型枠を用いたコンクリート製ドーム屋根の構築法、つまり、本願出願人による特許文献1乃至3の発明では、空気の送気及び排気は、貯槽の底版およびまたは側壁に貫通孔を設け、例えば貯槽設備の流入管や排出管等の付属配管などを使用する方法であるため、貯槽内部に液体を張った状態のままで、貯液の流入管や排出管等の付属配管を使用している操業中には、これらの配管を空気の送排気に使用することは出来なかった。
そして、空気膜に送気及び排気用の開口を設けて、上記のように空気膜型枠上にモルタル及びコンクリートを打設してコンクリート製ドーム屋根を構築しようとした場合には、空気膜内部の空気圧やモルタル打設時の偏荷重により、空気膜に大きな張力が発生し、開口周縁が広がって膜体が破損し構築ができなくなる恐れがあった。
【0008】
この発明の目的は、上述のような従来技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、既設のコンクリート製貯槽の屋根を取替える時や、屋根が設置されていないコンクリート製貯槽において、開口部を設けた空気膜型枠を用いて、貯槽内部の液体を抜かずに、液体を張って給排液を行っている操業状態のままで、コンクリート製ドーム屋根を構築する方法とその構築法にて使用する構築用部材を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係るコンクリート製ドーム屋根の構築法は、底版と側壁とからなるコンクリート製貯槽に液体を貯蔵した貯槽の操業状態で該貯槽本体の上部をドーム形状の可撓性膜体にて被覆した後、該貯槽本体の液上面と該液面から顕出した側壁と可撓性膜体とで形成される密閉空間内をエアーによって昇圧せしめる際に、貯槽本体の前記エアーによる内圧力の安定維持は、上記可撓性膜体上に製作した屋根マンホール取付部に内圧を受けた状態での膜体開口部周囲の広がりが規制された送気口を介して送気するとともに、可撓性膜体上の屋根付属品取付部に内圧を受けた状態での膜体開口部周囲の広がりが規制された排気口及び内圧検知口のそれぞれを介して排気及び内圧検知をそれぞれ行ない、かつ貯槽本体の内圧検知信号を受けて送気口からの送風量を制御して連続送風するとともに、連続排風しながら前記貯槽本体の内圧力を安定維持して可撓性膜体を所定のドーム形状に保持し、該可撓性膜体上にモルタル及びコンクリートを打設し、貯液した貯槽の操業状態でコンクリート製ドーム屋根を構築するものである。
【0010】
また、第2の発明に係るコンクリート製ドーム屋根の構築法は、底版と側壁とからなるコンクリート製貯槽に液体を貯蔵した貯槽の操業状態で該貯槽本体の上部をドーム形状の可撓性膜体にて被覆した後、該貯槽本体の液上面と該液面から顕出した側壁と可撓性膜体とで形成される密閉空間内をエアーによって昇圧せしめる際に、貯槽本体の前記エアーによる内圧力の安定維持は、上記可撓性膜体上に製作した屋根マンホール取付部に内圧を受けた状態での膜体開口部周囲の広がりが規制された送気口を介して送気するとともに、気層部に位置する側壁上方に設けた小口径の排気口及び小口径の内圧検知口を介して排気及び内圧検知をそれぞれ行ない、かつ貯槽本体の内圧検知信号を受けて送気口からの送風量を制御して連続送風するとともに、連続排風しながら前記貯槽本体の内圧力を安定維持して可撓性膜体を所定のドーム形状に保持し、該可撓性膜体上にモルタル及びコンクリートを打設し、貯液した貯槽の操業状態でコンクリート製ドーム屋根を構築するものである。
【0011】
上記コンクリート製ドーム屋根の構築法に使用する構築用部材として、第1の発明における可撓性膜体に形成する送気口、排気口、及び内圧検知口、並びに第2の発明における可撓性膜体に形成する送気口は、上記可撓性膜体の取付位置に相当する円形範囲部内に、内圧を受けた状態での広がりが規制されるように十字補強部を残して開口し、この開口部周縁の可撓性膜体に筒状膜材を溶着して形成したものである。
【0012】
また、上記開口部周縁の可撓性膜体に溶着した筒状膜材の外周縁上部に、環状の補強部材を設けたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
この発明に係るコンクリート製ドーム屋根の構築法と、その構築に使用する構築用部材の実施の形態について、図1乃至図5を参照して説明する。
図1は、配水池などのコンクリート製の貯水槽1Aを示し、図2は、灌漑用ファームポンドなどのコンクリート製の貯水槽1Bを示す。
2は平盤状のコンクリート製の底版、3はコンクリート製の筒体状の側壁、4は貯溜水で、4Hは最高水位を示す。
5は最高水位4Hより上部位置に立上り開口する流入管、6は底版2の最低位置のピット内に開口する排出管で、この流入管5及び排出管6は、底版2を貫通して設けられている。
【0014】
このコンクリート製の貯水槽1A,1Bに、貯溜水4を抜かずに貯水した状態で、かつ流入管5及び排水管6を使用中、つまり貯水設備として操業中に、以下詳述するように、空気圧を受けて側壁上部を被覆するドーム形状をした可撓性膜体7を使用して、この可撓性膜体7の上面にモルタル及びコンクリートを打設してコンクリート製ドーム屋根1を構築するものである。
このように、貯水設備を操業状態で、空気圧を受けた可撓性膜体7を使用してコンクリート製ドーム屋根1を構築する工法では、エアーの送排気や内部圧力のコントロールの為に、送気口、排気口、内圧検知口を可撓性膜体7又は側壁3に設ける必要がある。
【0015】
図1に示す上水道向けの配水池等の貯水槽1Aでは、コンクリート製ドーム屋根1に人孔、つまりマンホール、通気孔、点検孔、水位計などの開孔部が3箇所以上付く構造であるため、これらの開孔部を送排気用などに利用するように、上記所定開孔部位置に相当する可撓膜体7の各箇所に各開口部を取付ける。
図1に示すように、コンクリート製ドーム屋根1の構築に使用する可撓性膜体7は、平面円形又は平面矩形等の屋根マンホール取付部8の平面円形又は平面矩形の型枠8A内に大口径の送気口9を設け、平面円形又は平面矩形の屋根通気孔取付部10の平面円形又は平面矩形の型枠10A内に小口径の排気口11及び電磁遮断弁12を設け、水位計などの平面円形状のノズル取付部13の平面円形状の型枠13A内にさらに小口径の内圧検知口14を設けた事例を示している。
【0016】
また、図2に示す農業用や灌漑用のファームポンド1B等の貯水槽では、屋根1にマンホール又は通気孔以外の開孔部が付かない構造であるため、可撓性膜体7には、平面円形又は平面矩形の屋根マンホール取付部8の平面円形又は平面矩形等の型枠8A内に大口径の送気口9を設け、送気口よりも口径が小さい排気口や内圧検知口用の開口部については、気層部に位置する側壁3上方に開孔して設けた事例を示している。
この排気口や内圧検知用の開口部は、最高液面4Hより上方の気層部に位置する側壁3に必要最小限で小口径の通孔15,16を貫通し、電磁遮断弁12を取付けた小口径の排気口11を通孔15に設け、さらに小口径の内圧検知口14を通孔16に設ける。
【0017】
そして、図1及び図2に示すように、貯水槽1A,1Bの側壁3の上端縁に、上記ドーム形状の可撓性膜体7を固着して気密に被覆し、この可撓性膜体7下部の貯溜水4液上面と該液面から顕出した側壁3に囲まれた密閉空間に、ブロアー17を用いて空気を送気口9より連続送気し、かつ排気口11より連続排気する。また、内圧検知口14よりの圧力変化の信号を、エアーコントロールボックス18に受けて、上記ブロアー17の送気量を調整し、内部圧力を一定に制御する。このエアーコントロールは、貯水槽1A,1Bに貯水し給排水を行って液面が変動する操業状態であっても、内部空気圧力を所定圧力に保持することができる。このように、空気圧を維持された可撓性膜体7上面に、モルタル及びコンクリートを打設してコンクリート製ドーム屋根1を構築する。
【0018】
さらに、コンクリート製の底版2と側壁3とからなる貯水槽1A,1B内に貯溜水4を張った操業状態で、上記空気圧を受けた可撓性膜体7を使用してコンクリート製のドーム形状屋根を構築する手順について、概略を説明する。
【0019】
まず、可撓性膜体7は、気密性及び耐圧性を有しかつ可撓性を有する膜材、例えば、ポリオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニール系樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂等の合成樹脂材で形成したシート体、或いはポリエステル繊維やガラス繊維等の繊維に、上記ポリオレフィン系樹脂等の合成樹脂をコーティングした布膜材などのシート体を使用し、予め工場内にて、空気の送気口9をマンホールが付く所定位置に取付け(図1に示す可撓性膜体7の場合には、排気口11及び内圧検知口14も通気孔等が付く所定位置に取付ける)空気膜の製作形状に一体に形成する。
【0020】
そして、現場にて可撓性膜体7を貯槽上部に吊り上げる前に、可撓性膜体7の周縁部に複数本のロープ(図示せず)を取付け、さらに排気口11が付く場合には、開放状態にした電磁遮断弁12も接続しておく。
【0021】
次いで、クレーン(図示せず)のフックに可撓性膜体7の天頂部の吊り布を引っ掛けて貯槽上部に吊り込み、貯槽側壁上部から複数の作業員がロープを外周方向に引張りながら可撓性膜体7を展開し、側壁上端縁の固定部に周縁を挿入して固定する。
【0022】
続いて、可撓性膜体7の周縁を貯槽側壁上端縁に気密固定し、図1及び図2に示した送気口9、排気口11、内圧検知口14を各配管と接続し、ブロアー17などの送気装置、及びコントロールボックス18などのエアーコントロール設備を配置する。
【0023】
まず、初期エアーを送気して10〜30mmAq圧に保持し、可撓性膜体7上の電磁遮断弁や接続配管などの荷重を保持可能な状態にした後に、可撓性膜体7を吊り上げていたクレーンを撤去する。
【0024】
次いで、空気圧を所定圧まで上昇させ、可撓性膜体7の上部に屋根マンホール取付部8の型枠8Aや、補強部材(図示せず)などを配設し、モルタル及びコンクリートを打設する。
【0025】
そして、コンクリートの養生、強度発現後、内圧を開放する。
可撓性膜体7をコンクリート製ドーム屋根内面に残存させる場合には、マンホールの人孔、通気孔などノズル部の型枠8A等を解体撤去し、各開孔部の内径円周の可撓性膜体7を切取り開孔して、ドーム形状の屋根を完成する。
【0026】
図3に基づいて、可撓性膜体7に取付ける構築用部材について説明する。なお、矢印は空気の流れを示す。
図3(a)は、図1及び図2における屋根マンホール8、つまり人孔に設けた送気口9の近傍を示す。可撓性膜体7の送気口9の位置に通孔部を開口し、この開口部周縁に可撓性膜体製の筒状膜材の送気口9を固着し、その外側の可撓性膜体7上面にモルタル及びコンクリート打設用の型枠8Aを配置する。
図3(b)は、図1における屋根通気孔10に設けた排気口11近傍を示す。可撓性膜体7の排気口11の位置に通孔部を開口し、この開口部周縁に可撓性膜体製の筒状膜材の排気口11(電磁弁12付き)を固着し、その外側の可撓性膜体7上面にモルタル及びコンクリート打設用の型枠10Aを配置する。
図3(c)は、図1におけるノズル取付部13に設けた内圧検知口14近傍を示す。可撓性膜体7の内圧検知口14の位置に通孔部を開口し、この開口部周縁に可撓性膜体製の筒状膜材の内圧検知口14を固着し、その外側の可撓性膜体7上面にモルタル及びコンクリート打設用の型枠8Aを配置する。
【0027】
図4に基づいて、上記可撓性膜体7に設ける送気口9、排気口11、内圧検知口14の開口部の構造について説明する。
送気口9、排気口11、内圧検知口14を取付ける可撓性膜体7の位置には、円形範囲部19内の十字補強部20を残して開孔位置をマーキングし、この通気孔部21を切断除去する。
そして、可撓性膜体7に取り付く送気口9、排気口11、内圧検知口14は、可撓性膜体7と同材の筒状膜材24を用いて形成し、破線に示すようにその下端縁を切り開いて、予め工場にて可撓性膜体7に一体に溶着し、その外周縁上面に円環状の当て膜布23膜材を溶着などによって気密に取付ける。
このように、当て膜布23を取付けることによって、漏気防止が図られ、開口部周縁の可撓性膜体の補強が図られるため、内圧力による開口部の広がり防止にも効果がある。
【0028】
図5(a),(b)に基づいて、可撓性膜体7と筒状膜材部との接続箇所を補強する環状の補強部材22について説明する。
この環状の補強部材22は、十字補強部20を残して開口した可撓性膜体7の円形範囲部19の外周縁、図4に示す筒状膜材24固着部の外周縁当て膜布23上部に設ける。
図5(a)に示す補強部材22は、上記円形範囲部19の外周縁の当て膜布23上部に溶着した円環袋綴じ布片内に、合成繊維ロープよりなる補強部材22Aを挿通し固定した事例を示す。
このように、合成繊維ロープよりなる補強部材22Aを用いると、周長に対応して緊結することができる。合成繊維ロープを用いることにより、内圧力により開口部が拡大することを防止できるとともに、伸びが可撓性膜体に近いため、内圧力による可撓性膜体の膨張に追随し、局部的に押えられることなく滑らかな曲率形状が確保できる。
図5(b)に示す補強部材22は、上記円形範囲部19の外周縁の当て膜布23上部に、鍔付き円環状の短管よりなる補強部材22Bを接着して固定した事例を示す。
この鍔付き円環状の短管よりなる補強部材22Bは、例えば、半割の硬質塩化ビニール管材を用いてボルト・ナットで締付けて固定することにより、開孔部周縁が変形することなく固定されるため、開口部が広がって可撓性膜体が破損することがない。
【0029】
【発明の効果】
第1の発明に係るコンクリート製ドーム屋根の構築法は、配水池等の貯水槽の場合に、可撓性膜体上に製作する屋根マンホール取付部に内圧を受けた状態での広がりが規制された送気口を設けるとともに、屋根付属品取付部に内圧を受けた状態での広がりが規制された排気口及び内圧検知口を各々設けて構築した状態下で送気、排気及び内圧検知を行なうようにしたので、貯水槽の屋根に付く開孔設備を屋根構築用に有効利用することができ、給排気して貯槽本体の空気圧を安定維持するための全ての開口部は高い圧力を受けても広がることなく損傷する心配もない。また給排気を連続的に行ってエアーコントロールしているので、貯水し操業状態であっても所定空気圧を常に安定保持してコンクリート製ドーム屋根の構築を効率良く行うことができる。さらに、屋根構築に際して貯槽内の液体を有効利用して該貯槽本体の液上面と該液面から顕出した側壁と可撓性膜体とで形成される密閉空間は貯液が無い場合に比べて小さくて済むので、エアー制御設備も小型化され、安定した制御が可能となる。
【0030】
また、第2の発明に係るコンクリート製ドーム屋根の構築法は、ファームポンド等の屋根に取付く開孔部が少ない貯水槽の場合に、可撓性膜体上に製作する屋根マンホール取付部に内圧を受けた状態での広がりが規制された送気口を設け、気層部に位置する側壁上方に小口径の排気口及びさらに小口径の内圧検知口を各々設けて構築するので、屋根構築用の送気口は、屋根に付くマンホール開口部を有効利用して可撓性膜体に開口し、この開口部は高い圧力を受けても広がりや損傷もなく、屋根構築用の他の開口部は、必要最小限で小口径の貫通孔を側壁に設けるため、側壁への影響も最小限となり、また給排気を連続的に行ってエアーコントロールしているので、貯水し操業状態であっても所定空気圧を常に安定保持してコンクリート製ドーム屋根の構築を効率良く行うことができる。
【0031】
そして、第1の発明及び第2の発明に係るコンクリート製ドーム屋根の構築法は、屋根を設置していない既設のコンクリート製貯槽に新規に屋根を設ける場合や、既設のコンクリート製ドーム屋根を取替える場合に、貯蔵液を抜くことなく貯液し給排液を継続する操業状態のままで、コンクリート製のドーム屋根を構築することを可能とした。
また、屋根構築用の足場や架台、モルタル及びコンクリート打設用の支保工を設ける必要がなく、空気圧に支えられた可撓性膜体を使って、重いコンクリート製のドーム形状屋根を、作業性良く安全かつ経済的に構築することができる。
さらに、エアーコントロールを連続送気と連続排気とで行うので、操業中の給水や排水による液位変動に伴う内部圧力の変動に対しても、圧力調整がし易く、常に一定圧力を保持でき、空気膜形状の安定化を確保することができ、空気で圧力維持された可撓性膜体上面に、モルタル及びコンクリートを安定状態で打設することができる。
【0032】
上記コンクリート製ドーム屋根の構築法に使用する構築用部材として、可撓性膜体に設ける送気口、排気口、及び内圧検知口は、該可撓性膜体の所定位置に相当する円形範囲部に十字補強部を残して開口し、この開口部周縁の可撓性膜体に筒状膜材を溶着して形成したので、十字補強部の膜体が内圧力により発生する張力によって膜体開口部を拡大しようとする力が抑えられ、かつ筒状膜材の溶着と円環状の当て膜布の溶着によって可撓性膜体と一体化されるため、確実な気密性が確保でき、開口外周縁の強度が増大し耐圧性能が向上して可撓性膜体が破損することなく安全性を図ることができる。
【0033】
また、上記筒状膜材を溶着した外周縁の上部に、環状の補強部材を設けた構築用部材にあっては、内圧力によって発生する張力により、膜体開口部が拡大しようとする力を抑え、高い内圧力の状態でも可撓性膜体は破損することなく安全性を図ることができる。
従来、可撓性膜体に開口部を設けた場合、内圧力やモルタル打設時の偏荷重により可撓性膜体に大きな張力が発生し、開口部が拡大し膜体が破損する恐れがあったが、上記構築用部材を用いることにより可撓性膜体に開口部を設けることができるため、貯水した操業状態のままでのコンクリート製ドーム屋根の構築を可能とした。
【0034】
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の発明に係るコンクリート製ドーム屋根の構築法の実施形態例で、配水池などの貯水槽を示す縦断面説明図である。
【図2】 第2の発明に係るコンクリート製ドーム屋根の構築法の実施形態例で、ファームポンドなどの貯水槽を示す縦断面説明図である。
【図3】 (a),(b),(c)は、可撓性膜体の開口部における送気口等ノズルの取付部を示す部分断面説明図である。
【図4】 可撓性膜体の開口部における十字補強部及び筒状膜材を示す斜視説明図である。
【図5】 (a),(b)は、筒状膜材の外周縁上部に設ける環状補強部材の事例を示す部分断面説明図である。
【符号の説明】
1 屋根
1A 配水池 1B ファームポンド
2 底版 3 側壁
4 貯溜水 4H 最高水位
5 流水管 6 排出管
7 可撓性膜体
8 屋根マンホール取付部 8A 型枠
9 送気口
10 屋根通気口取付部 10A 型枠
11 排気口 12 電磁弁
13 ノズル取付部 13A 型枠
14 内圧検知口 15 通孔
16 通孔 17 ブロアー
18 エアーコントロールボックス 19 円形範囲部
20 十字補強部 21 通気孔部
22,22A,22B 補強部材
23 当て膜布 24 筒状膜材

Claims (4)

  1. 底版と側壁とからなるコンクリート製貯槽に液体を貯蔵した貯槽の操業状態で該貯槽本体の上部をドーム形状の可撓性膜体にて被覆した後、該貯槽本体の液上面と該液面から顕出した側壁と可撓性膜体とで形成される密閉空間内をエアーによって昇圧せしめる際に、貯槽本体の前記エアーによる内圧力の安定維持は、上記可撓性膜体上に製作した屋根マンホール取付部に内圧を受けた状態での膜体開口部周囲の広がりが規制された送気口を介して送気するとともに、可撓性膜体上の屋根付属品取付部に内圧を受けた状態での膜体開口部周囲の広がりが規制された排気口及び内圧検知口のそれぞれを介して排気及び内圧検知をそれぞれ行ない、かつ貯槽本体の内圧検知信号を受けて送気口からの送風量を制御して連続送風するとともに、連続排風しながら前記貯槽本体の内圧力を安定維持して可撓性膜体を所定のドーム形状に保持し、該可撓性膜体上にモルタル及びコンクリートを打設し、貯液した貯槽の操業状態でコンクリート製ドーム屋根を構築することを特徴とするコンクリート製ドーム屋根の構築法。
  2. 底版と側壁とからなるコンクリート製貯槽に液体を貯蔵した貯槽の操業状態で該貯槽本体の上部をドーム形状の可撓性膜体にて被覆した後、該貯槽本体の液上面と該液面から顕出した側壁と可撓性膜体とで形成される密閉空間内をエアーによって昇圧せしめる際に、貯槽本体の前記エアーによる内圧力の安定維持は、上記可撓性膜体上に製作した屋根マンホール取付部に内圧を受けた状態での膜体開口部周囲の広がりが規制された送気口を介して送気するとともに、気層部に位置する側壁上方に設けた小口径の排気口及び小口径の内圧検知口を介して排気及び内圧検知をそれぞれ行ない、かつ貯槽本体の内圧検知信号を受けて送気口からの送風量を制御して連続送風するとともに、連続排風しながら前記貯槽本体の内圧力を安定維持して可撓性膜体を所定のドーム形状に保持し、該可撓性膜体上にモルタル及びコンクリートを打設し、貯液した貯槽の操業状態でコンクリート製ドーム屋根を構築することを特徴とするコンクリート製ドーム屋根の構築法。
  3. 請求項1記載の可撓性膜体に形成する送気口、排気口、及び内圧検知口、並びに請求項2記載の可撓性膜体に形成する送気口は、上記可撓性膜体の取付位置に相当する円形範囲部内に、内圧を受けた状態での広がりが規制されるように十字補強部を残して開口し、この開口部周縁の可撓性膜体に筒状膜材を溶着して形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のコンクリート製ドーム屋根の構築法に使用する構築用部材。
  4. 上記開口部周縁の可撓性膜体に溶着した筒状膜材の外周縁上部に、環状の補強部材を設けたことを特徴とする請求項3記載のコンクリート製ドーム屋根の構築法に使用する構築用部材。
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