JP3779812B2 - 地中推進工法における探査装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆる地中推進工法を用いて地中にたとえば各種管路を敷設する際に、既に存在する地中埋設物の破損を予防して、その地中埋設物を検出する地中推進工法における探査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
或る提案された地中推進工法では、土壌中を推進する推進体のドリルヘッドに、推進体の軸線に対して傾斜した平坦な傾斜面を有する先細状の先端部を形成し、推進体を、その基端部で推進方向に押込んで推進し、その推進体を軸線まわりに角変位することによって、推進方向を一直線状に、または湾曲するように変化させることができる。前記ドリルヘッド内には、前記傾斜面に臨んで送信および受信アンテナを設け、電磁波を発生して、地中埋設物による反射波を受信し、これによって地中埋設物を検出することができる。したがって地中埋設物を避けて推進体を地中で推進することができる。
【0003】
アンテナは、電磁波を送信しまた電磁波を受信するアンテナ本体が、たとえばガラスエポキシ樹脂から成る基板に設けられて構成される。
【0004】
このような提案された技術では、基板の材料について充分な検討がなされておらず、その基板は、上述のようにガラスエポキシ樹脂から成り、比誘電率εr=3〜4程度であり、電磁波が放射される水分が多く含まれている土壌の比誘電率に比べてかなり小さな値である。したがって電磁波の基板から土壌への境界面での透過率が低い値となり、したがって電磁波を充分に、土壌中に放射し、または反射波を受信することができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、土壌中に電磁波を良好な透過率で放射することができるようにした地中推進工法における探査装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、土壌中を推進する推進体のドリルヘッドに、推進体の軸線に対して傾斜した平坦な傾斜面を有する先細状の先端部が形成され、
推進体を、ドリルヘッドよりも推進方向上流側で軸線方向に押込むとともに、少なくともドリルヘッドを軸線まわりに角変位する推進駆動手段と、
前記先端部内に前記傾斜面に臨んで、電磁波を発生し反射波を受信する送信および受信アンテナを設け、
送信および受信アンテナに送信信号を与えて駆動するとともに、反射波の受信信号を演算処理する手段とを備え、
送信および受信アンテナは、
ドリルヘッドの外周面の一部を構成する基板と、
この基板上でドリルヘッドの内方に設けられ、基板を介して電磁波を送信し、基板を介して電磁波を受信するアンテナ本体とを有し、
基板は、ドリルヘッドの厚み方向の内方から外方へ比誘電率が大きくなる誘電体から成り、
ドリルヘッドには、噴出孔が形成され、
この噴出孔に媒質を圧送する媒質供給源が設けられ、
基板の厚み方向最外方の比誘電率は、媒質の比誘電率にほぼ等しい値に選ばれることを特徴とする地中推進工法における探査装置である。
【0007】
本発明に従えば、推進体の先端部には、送信および受信アンテナが設けられる。送信および受信アンテナは、送信アンテナと受信アンテナとが個別的に構成されていてもよく、または単一のアンテナが送信および受信のためにスイッチング手段によって切換えて接続される構成であってもよい。本件明細書中において、「送信および受信アンテナ」、または「送信アンテナおよび受信アンテナ」というのは、2つの個別的なアンテナが用いられる構成だけでなく、このような単一のアンテナがスイッチング手段によって切換えられて送信および受信の各機能を達成する構成をも含む概念であると解釈されなければならない。
【0008】
送信アンテナからは、地中で電磁波が発生される。受信アンテナに、土壌中の地中埋設物による反射波が受信されることによって、推進体の先端部の近傍に存在する地中埋設物を検出することができる。
【0009】
地中埋設物は、地中に埋設されたガスおよび水などを輸送する管路であり、またはその他の地中構造物などである。
【0010】
本発明に従えば、地表面からの深度が大きくても、推進体の先端部が、地中埋設物の近傍に近付いたとき、その地中埋設物の存在を容易に検出することができる。また地中構造物などの地中埋設物の存在位置を知ることができる。したがってその地中埋設物を避けて、推進体を地中に推進し、これによって地中埋設物である地中構造物に推進体が衝突し、または接触してその地中埋設物が破損することを防ぐことができる。
【0011】
本発明に従えば、送信および受信アンテナは、アンテナ本体とそのアンテナ本体が設けられる基板とを含み、この基板は、ドリルヘッドの厚み方向内方から外方になるにつれて比誘電率が大きくなる誘電体から成る。基板の最外方の比誘電率は、たとえば水を含む土壌の比誘電率約80にほぼ等しい値に選ばれてもよい。基板の最内方の比誘電率は、たとえば約1に近似した材料から成ってもよい。これによってアンテナ本体から土壌への電磁波の透過率を向上することができ、反射波の土壌からアンテナ本体への電磁波の透過率を向上することができる。
本発明に従えば、ドリルヘッドに形成された噴出孔からベントナイト水などの媒質を噴射し、これによってドリルヘッド付近の土壌に媒質を浸透させ、土壌が軟化されてドリルヘッド5による土壌の掘削が容易になるとともに、形成された掘削孔の孔壁が安定化される。
基板の厚み方向最外方の比誘電率を、媒質の比誘電率にほぼ等しい値に選び、たとえば比誘電率を約80に選び、これによって電磁波の透過率を向上することができる。
基板を構成する誘電体の材料としては、たとえばセラミック、PVC(ポリ塩化ビニル)、ガラス強化プラスチック(FRP)、その他の合成樹脂材料、たとえばウルトラポリエチレン(UPE)などであってもよい。
【0012】
また本発明は、土壌中を推進する推進体のドリルヘッドに、推進体の軸線に対して傾斜した平坦な傾斜面を有する先細状の先端部が形成され、
推進体を、ドリルヘッドよりも推進方向上流側で軸線方向に押込むとともに、少なくともドリルヘッドを軸線まわりに角変位する推進駆動手段と、
前記先端部内に前記傾斜面に臨んで、電磁波を発生する送信アンテナと、
送信アンテナに送信信号を与えて駆動する手段と、
電磁波の反射波を受信する受信アンテナと、
受信アンテナからの受信信号を演算処理する手段とを備え、
送信アンテナは、
ドリルヘッドの外周面の一部を構成する基板と、
この基板上でドリルヘッドの内方に設けられ、基板を介して電磁波を送信し、
地表面上で移動する受信アンテナは、基板を介して電磁波を受信するアンテナ本体を有し、
基板は、ドリルヘッドの厚み方向の内方から外方へ比誘電率が大きくなる誘電体から成り、
ドリルヘッドには、噴出孔が形成され、
この噴出孔に媒質を圧送する媒質供給源が設けられ、
基板の厚み方向最外方の比誘電率は、媒質の比誘電率にほぼ等しい値に選ばれることを特徴とする地中推進工法における探査装置である。
【0013】
本発明に従えば、地中にある推進体の先端部に送信アンテナが設けられ、この送信アンテナから電磁波を発生する。地上では、受信アンテナによって、送信アンテナから土壌を介する電磁波を受信する。送信アンテナから受信アンテナまでの電磁波の経路の途中に地中埋設物が存在すると、受信アンテナで受信される電磁波の強度が変化し、これによって地中埋設物を容易に検出することができる。これに対して、地上から送信アンテナによって電磁波を土壌に向けて放射し、この送信アンテナから放射された電磁波が、土壌および地中埋設物によって反射され、地上に設けられた受信アンテナによって受信されて、地中埋設物を探査する構成では、大きい深度内の地中埋設物を検出するためには、地上の送信アンテナ5から大電力の電磁波を発生しなければならず、したがって地上での電波障害を生じるおそれがある。本発明は、この問題を解決する。
【0014】
本発明に従えば、電磁波が基板を透過する透過率を向上することができるようになる。
本発明に従えば、ドリルヘッドに形成された噴出孔からベントナイト水などの媒質を噴射し、これによってドリルヘッド付近の土壌に媒質を浸透させ、土壌が軟化されてドリルヘッド5による土壌の掘削が容易になるとともに、形成された掘削孔の孔壁が安定化される。
基板の厚み方向最外方の比誘電率を、媒質の比誘電率にほぼ等しい値に選び、たとえば比誘電率を約80に選び、これによって電磁波の透過率を向上することができる。
基板を構成する誘電体の材料としては、たとえばセラミック、PVC(ポリ塩化ビニル)、ガラス強化プラスチック(FRP)、その他の合成樹脂材料、たとえばウルトラポリエチレン(UPE)などであってもよい。
【0015】
また本発明は、基板は、複数層の誘電体から成ることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、基板は、厚み方向に比誘電率が連続的に変化する誘電体から成ることを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、基板は複数層の誘電体から成り、各層の比誘電率が言わばステップ状に変化するように構成されてもよく、またはその比誘電率が連続的に変化する組成を有してもよい。本件発明者の究明と実験によれば、基板を構成する複数層の誘電体の層数が大きくなる程、すなわちステップ数が多い程、電磁波が効率よく透過することが判った。また基板の比誘電率が上述のように連続的に変化することによって、電磁波が効率よく透過することがわかった。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態の地中推進工法を示す断面図である。土壌1内で可撓性を有する推進体2を地表面3上から、土壌1中に推進する。推進体2は、可撓性を有する推進体本体4と、その推進体本体4に連結されるドリルヘッド5とを含む。推進駆動手段46は、推進体2を、ドリルヘッド5よりも推進方向上流側で、この実施の形態では基端部で、推進体2の軸線方向に推進方向6で示されるように押込み、さらに推進体2の基端部を、軸線まわりに角変位して回転駆動することができる。
【0023】
推進体2を土壌1内に推進するにあたっては、ドリルヘッド5を土壌1中に貫入し、推進体本体4の一部を構成する推進管を順次的に継ぎ足しながら土壌1中に圧入し、掘削を進める。推進体2が、土壌1に形成された到達立坑7で、または地表面3上で、ドリルヘッド5を取外し、敷設すべきポリエチレン管の端部を接続し、推進体2を引戻し、発進立坑8または地上までポリエチレン管を引込んで作業を終了する。
【0024】
図2は、推進体2のドリルヘッド5付近の断面図である。推進体2の軸線に直角な断面は円形であり、そのドリルヘッド5の先端部9には、平坦な傾斜面10が形成される。この先端部9は、先細状に形成される。傾斜面10は、推進体2、したがってドリルヘッド5の軸線11に対して傾斜している。ドリルヘッド5の先端部9にはまた、傾斜面10の推進方向6下流側(図2の左方)に臨んで噴出孔12が形成される。この噴出孔12には、推進体2内に挿通された可撓管を介して、供給源13からベントナイト水を圧送して噴射する。このベントナイト水によって、ドリルヘッド5による土壌1の掘削が容易になるとともに、形成された掘進孔の孔壁が安定化される。
【0025】
ドリルヘッド5の先端部9に、上述のように傾斜面10が形成されているので、推進体2の少なくともドリルヘッド5を回転駆動しつつ押込むことによって直進させることができ、またその少なくともドリルヘッド5を回転駆動することなく押込むことによって、可撓性を有する推進体本体4を湾曲させ、土壌1中を掘進することができる。推進体本体4を湾曲させることによって、土壌1中に地中埋設物14が存在しても、推進体2は、その地中埋設物14を避けて、推進することができる。
【0026】
ドリルヘッド5の先端部9における傾斜面10は、平板状の誘電体から成る基板15によって形成される。この先端部9内には、基板15、したがって傾斜面10に臨んで送信アンテナ16aと受信アンテナ16bとが設けられる。参照符の添字a,bを省略して数字だけで総括的に示すことがある。
【0027】
アンテナ16は、たとえばボータイアンテナなどによって実現される。これらのアンテナ16は、ドリルヘッド5内の電気回路17に接続される。電気回路17は、地表面3に設けられた他の電気回路に接続される。
【0028】
図3は、送信アンテナ16aの一部の簡略化して示す断面図である。この送信アンテナ16aは、前記傾斜面10を形成する基板15と、この基板15上でドリルヘッド5の内方(図2の下方、図3の左方)に設けられるアンテナ本体53とを有する。受信アンテナ16bもまた、送信アンテナ16aと同様な構成を有する。単一枚の基板15上に、送信アンテナ16aのアンテナ本体53が設けられ、また図2に示されるように受信アンテナ16bのためのアンテナ本体54が設けられる。この基板15は、複数n(ただしn≧2)の層p0〜pnの誘電体が積層されて形成される。各層p0〜pnの比誘電率ε0 〜εn を、アンテナ本体53から傾斜面10に接触する土壌1に向けて徐々に大きくしてゆく構造とする。アンテナ本体53が装着される層p0の比誘電率をε0 とし、土壌に向かって比誘電率を順次的にε1,ε2,…,εk-1,εk,εk+1,…,εn-1,εn と変化するものとする。層p0,p1の境界面における透過率L01は、
【0029】
【数1】
Figure 0003779812
【0030】
と表されるので、0〜n層p0〜pnまでの境界を透過する電磁波の透過率を総合すると、
【0031】
【数2】
Figure 0003779812
【0032】
となる。ただし、本発明では各層の比誘電率の大きさについては、
1 ≦ ε0 < ε1 < ε2 < … < εk < … <εn …(3)
である。また後述の図7の基板15aのように途中のk層pk がなく、その厚み分を隣り合った層p(k-1)およびp(k+1)が補うとした場合、それらの境界を透過する電磁波の透過率を総合すると、
【0033】
【数3】
Figure 0003779812
【0034】
と表される。
上記L0n,L*0nの大小を知るために、前述の式2における
【0035】
【数4】
Figure 0003779812
【0036】
と、式4における
【0037】
【数5】
Figure 0003779812
【0038】
との差をyとすると、
【0039】
【数6】
Figure 0003779812
【0040】
と表される。式5の右辺最右項の分子部分以外はすべて正になるので、前記右辺最右項の分子部分y1について以下に計算する。
【0041】
【数7】
Figure 0003779812
【0042】
より、右辺最右項の分子部分についても正となる。よってyの値が正となり、
0n > L*0n …(7)
となる。これにより、一番内側の誘電体層p0と一番外側の誘電体層pnの比誘電率ε0,εnが決まっている場合、0層目(一番内側の誘電体層p0)からn層目の(一番外側の誘電体層pn)に至るまでに各誘電体の比誘電率が順々に大きくなる層のステップ数nが多いほど、電磁波が効率よく透過することが判る。
【0043】
図4は、図2に示される電気回路17の構成を示すブロック図である。送信アンテナ16aは、電波である電磁波を発生する。受信アンテナ16bは、その電磁波を受信する。アンテナ16による電磁波によって地中埋設物14を検出することができ、こうして得られる探査データは、たとえば推進体2に挿通されたケーブル18を介して地上で、出力手段19によって受信される。出力手段19は、先端部9付近に地中埋設物14が存在するかどうかなどを目視表示する。この出力手段19は、たとえば液晶または陰極線管などによって実現される表示手段などであってもよく、または数値などを表示する手段などであってもよい。
【0044】
電気回路17の一例として、たとえばサンプラ方式地中探査レーダであってもよい。パルス発生回路20は、送信アンテナ16aに、駆動手段21によってパルス状の送信信号を与える。送信アンテナ16aからの電磁波は、土壌1に向けて放射される。この送信アンテナ16aからの電磁波は、地中埋設物14によって反射され、または地表面3によって反射され、その反射波は受信アンテナ16bによって受信され、増幅回路22で増幅される。処理回路23は、たとえばマイクロコンピュータなどによって実現され、パルス発生回路20からのパルス状の送信信号に同期した出力と、増幅回路22からの受信信号とに応答し、その受信信号をサンプリングしてデジタル化し、地中埋設物14の画像信号および地表面3からの反射波の信号を、ケーブル18を介して導出し、出力手段19によって前述のように表示させる。電気回路17はまた、そのほかの構成を有していてもよい。
【0045】
送信アンテナ16aと受信アンテナ16bとは、図2および図4に示されるように別々の構成であってもよいけれども、本発明の実施の他の形態では、単一のアンテナをスイッチングして切換えて用いるようにしてもよい。
【0046】
傾斜面10の軸線11となす角度θ0は、たとえば8°または15°であってもよく、5〜25°の範囲で選ばれてもよい。パルス発生回路20から送信アンテナ16に送信手段21によって与えられるパルス状の送信波形は、たとえば0.5〜1.5GHzの周波数範囲であってもよい。
【0047】
図5は、推進体2を用いて土壌1を推進している状態を示す。図5(1)に示されるように傾斜面10が地表面3に臨んで上向きとなるとき、本件発明者の実験によれば、図6(1)に示される画像が、出力手段19から得られた。地表面3とドリルヘッド5の軸線11の間の距離である深さL1は、図6(1)において得られた画像における直接波の像25と、地表面3による反射像26との間の時間差W1に対応する。
【0048】
推進体2の少なくともドリルヘッド5を軸線11まわりに角変位して図5(1)の状態から180°回転した状態は、図5(2)に示されている。傾斜面10は下向きである。このとき得られる出力手段19による画像は、図6(2)に示されるとおりであり、地中埋設物14が存在しないとき、それらの地中埋設物14および土壌1の地表面3の画像は得られない。
【0049】
図6(1)および図6(2)において、たとえば横軸であるX軸は時間を示し、たとえば縦のY軸は地表面3の推進方向6に沿う方向を示している。深さL1は、時間差W1および土壌1の比誘電率εを用いて式8のように示される。
【0050】
L1 = W1・c/√ε …(8)
ここでcは、電磁波の伝搬速度であって、3×108cmである。本件発明者の実験結果によれば、距離L1が比較的高精度で検出できることが確認された。
【0051】
本発明の実施の他の形態では、ドリルヘッド5の先端部9の傾斜面10には、送信アンテナ16だけが設けられ、受信アンテナは、図1の参照符16cで示されるように、操作者27が手で持って移動してもよく、または台車などによって移動するようにしてもよい。この受信アンテナ16cからの信号は、図4の電気回路17において前述の受信アンテナ16bと同様にして増幅回路22に与えられ、同様に演算処理が行われるようにしてもよい。受信アンテナ16cからの受信信号によって、送信アンテナ16aへの送信信号を与えた時刻から受信アンテナ16cの受信信号が得られるまでの時間差は、前記深さW1の半分に対応している。この場合、送受信間の直接波が到達する時間となる。受信アンテナ16cによって得られる受信信号の最大レベルが得られる地表面3上の位置は、土壌1中の送信アンテナ16aまでの最短距離であり、これによってその受信アンテナ16cの直下にドリルヘッド5が存在するものと判断することができる。さらにこの受信アンテナ16cの受信強度の前記最大強度に対する比を演算手段によって演算し、その比に対応して、傾斜面10の軸線11まわりの回転角度を検出することができる。
【0052】
こうしてアンテナ16の基板15による電磁波の透過率を向上し、地中埋設物14の検出を正確に行うことができるとともに、ドリルヘッド15の深さなどの位置を精度良く検出できる。
【0053】
図7は、本発明の実施の他の形態の基板15aとアンテナ本体53とから成る送信アンテナ16aの断面図である。この実施の形態では、前述の図3に示される基板15の層pkが省略されている。このように各層p0〜pnの枚数が変化されてもよい。
【0054】
基板15,15aの各層p0〜pnは、セラミック、PVC(ポリ塩化ビニル)、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)、その他の合成樹脂材料、たとえばウルトラポリエチレン(UPE)などであってもよく、混合物である構成では、それらの組成を変化することによって、誘電率ε0〜ε1を変化させることができる。
【0055】
図8は、本発明の実施の他の形態の基板15bを示す断面図である。この実施の形態では2つの誘電体層p0,p1とから成り、各比誘電率ε0,ε1は、ε0=4、ε1=81である。この実施の形態では、電磁波の透過率は、0.6(=2.25dB)である。層p0は、たとえばガラスエポキシ樹脂であってもよい。
【0056】
図9は、本発明の実施のさらに他の形態の基板15cの断面図である。合計3層の誘電体層p0,p1,p2の各誘電率ε0,ε1,ε2は、ε0=4、ε1=40、ε2=81である。この構成では、電磁波の透過率は0.71(=−1.5dB)である。
【0057】
図10は、本発明の実施のさらに他の形態の基板15dの断面図である。誘電体層p0〜pnの比誘電率ε0,ε1,…,εn−1,εnが、たとえば比誘電率1ずつ変化して構成される。これらの層p0〜pnの層数は78層である。このような構成では、電磁波の透過率は0.99(=0.02dB)となる。このようにして基板15,15a〜15d層数を増加することによって、電磁波の透過率を向上し、効率よく電磁波を送信して土壌へ放射することができ、また反射波を受信することができることが理解される。傾斜面10を形成する誘電体層の比誘電率を前述のように81に定めることによって、噴出孔12からのたとえばベントナイト水または水などの比誘電率約81に近似させることができ、これによって電磁波の透過率を向上することができる。
【0058】
上述の基板15a〜15dは送信アンテナ16aだけでなく受信アンテナ16bに関しても同様に実施することができ、これらのアンテナ16a,16bに共通に単一枚の基板15a,15bを用いることができ、このことは前述の基板aと同様である。上述の各実施の形態において、その他の構成は、前述と同様である。
【0059】
【発明の効果】
請求項1の本発明によれば、推進体のドリルヘッドに設けられた送信および受信アンテナのアンテナ本体が設けられる基板は、ドリルヘッドの厚み方向の内方から外方へ比誘電率が大きくなる誘電体から成るので、誘電体から土壌へ入る電磁波およびその逆方向の反射波である電磁波の透過率を向上することができる。これによって地中埋設物の検出を正確に行うことができる。
また、ドリルヘッドに形成された噴出孔から媒質を噴出して、推進されるべき土壌に浸透するようにし、これによって土壌を軟化することができるとともに、形成された掘進孔の孔壁が安定化され、さらにこの媒質の比誘電率にほぼ等しくなるように、基板の厚み方向最外方の比誘電率が選ばれるので、電磁波の透過率をさらに向上することができるようになる。
【0060】
請求項2の本発明によれば、ドリルヘッドに設けられる送信アンテナのアンテナ本体が設けられる基板は、その厚み方向の内方から外方へ比誘電率が大きくなる誘電体から成るので、このような構成によってもまた前述と同様にして、電磁波の透過率を向上し、したがって地中埋設物を正確に検出することができるようになる。
【0061】
さらに本発明によれば、ドリルヘッドの地表面からの深さなどの位置を精度良く検出することができるようになる。
また、ドリルヘッドに形成された噴出孔から媒質を噴出して、推進されるべき土壌に浸透するようにし、これによって土壌を軟化することができるとともに、形成された掘進孔の孔壁が安定化され、さらにこの媒質の比誘電率にほぼ等しくなるように、基板の厚み方向最外方の比誘電率が選ばれるので、電磁波の透過率をさらに向上することができるようになる。
【0062】
請求項3および4の本発明によれば、基板は複数層の誘電体から成り、各層の比誘電率は前述のように厚み方向の内方から外方へステップ状に大きく設定されるので、電磁波の透過率を向上することができる。請求項4の本発明によれば、基板の比誘電率は、厚み方向に連続的に変化して内方から外方へ比誘電率が大きくなるようにその組成が変化されるので、電磁波の透過率をさらに向上することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の地中推進工法を示す断面図である。
【図2】推進体2のドリルヘッド5付近の断面図である。
【図3】基板15の断面図である。
【図4】図2に示される電気回路17の構成を示すブロック図である。
【図5】推進体2を用いて土壌1を推進している状態を示す。
【図6】本件発明者の実験結果を示す土壌1の断面画像を示す図である。
【図7】本発明の実施の他の形態の基板15aの断面図である。
【図8】本発明の実施の他の形態の基板15bの断面図である。
【図9】本発明の実施の他の形態の基板15cの断面図である。
【図10】本発明の実施のさらに他の形態の基板15dの断面図である。
【符号の説明】
1 土壌
2 推進体
3 地表面
4 推進体本体
5 ドリルヘッド
6 推進方向
7 到達立坑
8 発進立坑
9 先端部
10 傾斜面
11 軸線
12 噴射孔
13 供給源
14 地中埋設物
15,15a〜15d 基板
16a 送信アンテナ
16b,16c 受信アンテナ
17 電気回路
19 出力手段
20 パルス発生回路
21 駆動手段
22 増幅回路
23 処理回路
46 推進駆動手段
53,54 アンテナ本体
p0〜pn 誘電体層

Claims (4)

  1. 土壌中を推進する推進体のドリルヘッドに、推進体の軸線に対して傾斜した平坦な傾斜面を有する先細状の先端部が形成され、
    推進体を、ドリルヘッドよりも推進方向上流側で軸線方向に押込むとともに、少なくともドリルヘッドを軸線まわりに角変位する推進駆動手段と、
    前記先端部内に前記傾斜面に臨んで、電磁波を発生し反射波を受信する送信および受信アンテナを設け、
    送信および受信アンテナに送信信号を与えて駆動するとともに、反射波の受信信号を演算処理する手段とを備え、
    送信および受信アンテナは、
    ドリルヘッドの外周面の一部を構成する基板と、
    この基板上でドリルヘッドの内方に設けられ、基板を介して電磁波を送信し、基板を介して電磁波を受信するアンテナ本体とを有し、
    基板は、ドリルヘッドの厚み方向の内方から外方へ比誘電率が大きくなる誘電体から成り、
    ドリルヘッドには、噴出孔が形成され、
    この噴出孔に媒質を圧送する媒質供給源が設けられ、
    基板の厚み方向最外方の比誘電率は、媒質の比誘電率にほぼ等しい値に選ばれることを特徴とする地中推進工法における探査装置。
  2. 土壌中を推進する推進体のドリルヘッドに、推進体の軸線に対して傾斜した平坦な傾斜面を有する先細状の先端部が形成され、
    推進体を、ドリルヘッドよりも推進方向上流側で軸線方向に押込むとともに、少なくともドリルヘッドを軸線まわりに角変位する推進駆動手段と、
    前記先端部内に前記傾斜面に臨んで、電磁波を発生する送信アンテナと、
    送信アンテナに送信信号を与えて駆動する手段と、
    電磁波の反射波を受信する受信アンテナと、
    受信アンテナからの受信信号を演算処理する手段とを備え、
    送信アンテナは、
    ドリルヘッドの外周面の一部を構成する基板と、
    この基板上でドリルヘッドの内方に設けられ、基板を介して電磁波を送信し、
    地表面上で移動する受信アンテナは、基板を介して電磁波を受信するアンテナ本体を有し、
    基板は、ドリルヘッドの厚み方向の内方から外方へ比誘電率が大きくなる誘電体から成り、
    ドリルヘッドには、噴出孔が形成され、
    この噴出孔に媒質を圧送する媒質供給源が設けられ、
    基板の厚み方向最外方の比誘電率は、媒質の比誘電率にほぼ等しい値に選ばれることを特徴とする地中推進工法における探査装置。
  3. 基板は、複数層の誘電体から成ることを特徴とする請求項1または2記載の地中推進工法における探査装置。
  4. 基板は、厚み方向に比誘電率が連続的に変化する誘電体から成ることを特徴とする請求項1または2記載の地中推進工法における探査装置。
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