JP3779681B2 - 焼却炉 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は焼却炉に関し、都市ゴミ、一般廃棄物、プラスチックス等の高分子化合物を含む産業廃棄物等を低コストで経済性良く焼却し、且つダイオキシンの発生を十分に抑制することができる焼却炉に関する。
背景技術
日本国における1997年のゴミ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドラインによれば、新設炉(全連続炉)に対してダイオキシン濃度が0.1ng−TEQ/Nm以下とされている。また焼却炉対策として、燃焼温度を850℃以上(900℃以上が好ましい)、滞留時間を2秒以上、CO濃度を30ppm以下とすること、その他、安定燃焼を行うこと、連続監視を行うこと等が示されている。
上記のようなガイドラインに対して、本願出願人は、1998年3月31日付けで特願平10−126574号(特開平11−294745号)を出願した。
この特開平11−294745号の発明は、焼却炉の燃焼室Dに傾斜させた耐火断熱構造の中間バッフルWIを設け、燃焼室Dで発生した未燃焼ガス等を再燃焼室Cに導いて高温燃焼させ、公害物質等の熱分解をするようにしたものである。が、中間バッフルWIが炉内の中間部付近で終端しており、前記燃焼室Dと再燃焼室Cとの区切りが不十分であることから、燃焼室Dで発生したCOを多量に含む未燃焼ガス及び該未燃焼ガスに含まれる灰分等が、再燃焼室Cにおいて十分に燃焼されることなく再燃焼室Cを通過して外部に排出されてしまう問題があった。このようなCOを含むガスの排出は、ダイオキシンの存在につながるものであり、問題を残していた。
そこで本発明は、上記した従来の焼却炉の欠点を解消し、ダイオキシンの排出を十分に防止することができると共に、燃料供給量の少ない経済性に優れた焼却炉の提供を目的としている。
発明の開示
上記目的を達成するため、本発明の焼却炉は、第1の燃焼室で発生した未燃焼ガスを含む全てのガスを一旦、ガス集合室に集合させ、このガス集合室から未燃焼ガスを含む全てのガスを確実に第2の燃焼室に導き、しかも第2燃焼室ではガスだけの燃焼により完全燃焼を達成するようにしたことをその基本的な考え方としている。
以上のような基本的な考え方に基づいて、本発明の焼却炉は次のような特徴を有する。
即ち、本発明の焼却炉の第1の特徴では、焼却炉は、少なくとも投入された被焼却物を燃焼させる第1燃焼室Aと、該第1燃焼室Aで発生した未燃焼ガスを含むガスを一旦集合させるガス集合室Bと、該ガス集合室Bからのガスと補助燃料ガス及び燃焼用エアーとを導入して高温でガス燃焼させる第2燃焼室Cと、該第2燃焼室Cを経たガスが排気口13に至るまでの滞留時間を確保すると共にガスに含まれる灰分を沈降させる反応室Dとを備えている。
これによって、第1燃焼室Aでの燃焼で発生した未燃焼ガスを含むガスは、一旦ガス集合室Bに集められる。そしてガス集合室Bに集められたガスは、補助燃料ガス及び燃焼用エアーと共に第2燃焼室Cに導入される。第2燃焼室Cでは固形物を含まないガスだけの燃焼が燃焼用エアーによって高温で行われ、これによってガスに含まれる未燃焼ガス等が高温で完全燃焼され、ダイオキシン等の発生が確実に防止される。第2燃焼室Cを経たガスは反応室Dに入って速度低下させられつつ適当に滞留した後、排気口から炉外に排出される。反応室Dでは滞留中のガスから灰分が分離される。
また本発明の焼却炉の第1の特徴では、前記焼却炉は縦型の焼却炉とし、その縦型の炉内空間の途中を隔離壁20によって仕切って、該隔離壁20より下の炉内空間に前記第1燃焼室Aと前記ガス集合室Bを設けると共に、隔離壁20より上の炉内空間に第2燃焼室Cとその上方に前記反応室Dを設けている。
これによって、第1燃焼室Aで発生した燃焼ガス、未燃焼ガス、その他のガス(ガスと共に浮遊する灰分、固形塵等の浮遊固形物を含む)が直接的に第2燃焼室Cに入ってしまうことがなくなる。また縦型の炉内空間の途中が隔離壁(バッフル)20で仕切られて、その下方に第1燃焼室Aとガス集合室Bとが配置され、隔離壁20の上方に第2燃焼室Cと更にその上に反応室Dが配置されることで、それら各室A、B、C、Dが縦型の炉内空間において上下方向に積層されるようにコンパクトに収まり、また発生したガスが縦型の炉内空間を下方から上方へと無理なく導かれる。
また本発明の焼却炉の第1の特徴では、第1燃焼室Aは、縦型の焼却炉の途中位置に設けられた投入口12から投入された被焼却物が該投入口12から斜め前方下方に移動しながら燃焼されるように、天井部を構成する隔離壁20(21、22)と床部の火格子30とをそれぞれ前方へ傾斜させた構成としている。
これによって、第1燃焼室A内に投入された被焼却物は、燃焼ガスの流れに逆らって投入口12側から前方斜め下方に降下、移動しながら燃焼される。このため第1燃焼室A内では、前記投入口12付近から斜め下方の降下先端部付近までにおける全領域での燃焼温度をある程度平均化することができ、第1燃焼室内での燃焼温度を温度差の少ない状態に制御することが可能となる。
また本発明の焼却炉の第1の特徴では、前記ガス集合室Bは、前記第1燃焼室Aの傾斜先端部の空間から上方に連続する縦長の室として構成すると共に、前記第1燃焼室A内で発生した未燃焼ガスを含む全てのガスを一旦受け入れる構成としている。
これによって、ガス集合室Bは縦長の室ではあるが第1燃焼室Aの上方の炉内空間を大きく占有してしまうことなく、縦型炉の高さをコンパクトに抑えることに成功している。また第1燃焼室Aで発生した全てのガスが一旦ガス集合室Bに受け入れられることで、全てのガスをガス集合室Bにおいて十分燃焼に適した状態に調整した上で、次の第2燃焼室Cに送ることが可能となる。よって第2燃焼室Cでの燃焼を良好に行うことができる。
また本発明の焼却炉の第1の特徴では、第2燃焼室Cは、前記第1燃焼室Aの上方で且つ前記ガス集合室Bに隣接するように、前記第1燃焼室Aの天井部の隔離壁20(21、22)とそれに連続する前記ガス集合室Bの側壁である隔離壁20(23)とによって仕切って配置すると共に、前記ガス集合室Bの側壁である隔離壁20(23)に設けたガス導入口40からガス集合室Bに集められたガスを導入する構成としている。
これによって、縦型の炉内において、第1燃焼室Aとガス集合室Bと第2燃焼室Cとが非常にコンパクトに組み合わされて配置される。しかも第1燃焼室Aからガス集合室Bに上昇してきたガスは、ガス集合室Bの側壁である隔離壁20(23)から水平方向に第2燃焼室Cに導入され、燃焼に供することができる。即ち、ガスを下向きに導入する等の強引な導入を回避しつつ、且つ各室A、B、Cをコンパクトに組み合わせて構成している。
次に本発明の焼却炉は、上記第1の特徴に示す構成に加えて、第2燃焼室Cは、その上部の開口面積を絞って狭くし、且つ前記狭くした上部の開口63をエアーカーテンによりその上方の反応室Dと仕切ってあることを第2の特徴としている。
上記第2の特徴によれば、上記第1の特徴による作用効果に加えて、ガス集合室Bから第2燃焼室Cに入ったガスや補助燃料ガス、或いは燃焼用エアーが容易に反応室D側へ逸散するのが防止される。これにより、第2燃焼室Cでの高温での完全燃焼を確保することができる。また第2燃焼室Cから燃焼不完全なガスが反応室Dの方へ出ようとした場合には、エアーカーテンのエアーによって燃焼が進み、燃焼不完全のまま反応室D側へ移行されてしまうことが防止される。
また本発明の焼却炉は、上記第1の特徴に示す構成に加えて、第2燃焼室Cは第1燃焼室Aとの隔離壁20によって構成される床部を傾斜させて設けると共に、その床部の最下部に第2燃焼室C内で発生したクリンカーを第1燃焼室A内へ落下させるクリンカー落下穴61を設けたことを第3の特徴としている。
上記第3の特徴によれば、上記第1の特徴による作用効果に加えて、第2燃焼室Cでの高温のガス燃焼によって生じた溶融物は、隔離壁20(22)に開けられたクリンカー落下穴61から第1燃焼室A側へ落下され、第1燃焼室Aで発生した焼却済材と一緒に固形灰材として排出することができる。よって第1燃焼室Aと第2燃焼室Cとで発生した焼却済物を別々に処理する必要がなくなる。
勿論、クリンカー落下穴61は大きな穴を必要としないので、第1燃焼室A内で発生したガスが前記クリンカー落下穴61を通って第2燃焼室Cに侵入することはないが、あってもその量は非常にわずかであり、実質上において何らの悪影響も生じない程度以下である。
また本発明の焼却炉は、上記第1の特徴に示す構成に加えて、第2燃焼室Cでの燃焼に用いられる燃焼用エアーの供給口50をガス集合室Bに対して設け、第1燃焼室Aからのガスと前記燃焼用エアーとをガス集合室B内で混合させる構成としたことを第4の特徴としている。
上記第4の特徴によれば、上記第1の特徴による作用効果に加えて、第2燃焼室Cでの燃焼に使用される燃焼用エアーは、先ずガス集合室Bに導入されることで、該ガス集合室B内で第1集合室Aから入ってきたガスと予め十分に混合される。従って第2燃焼室Cには、予め空気との混合が進み十分に燃焼の準備ができたガスが供給されるため、良好な燃焼が期待できる。
また本発明の焼却炉は、上記第1の特徴に示す構成に加えて、燃焼補助ガスバーナ41のノズル41aを、ガス集合室Bから第2燃焼室Cへのガス導入口40に臨ませて配置し、ガス集合室B内のガスを前記ノズル41aから噴射される補助燃料ガスによって巻き込みながら混合ガスとして第2燃焼室Cに導入させる構成としたことを第5の特徴としている。
上記第5の特徴によれば、上記第1の特徴による作用効果に加えて、第2燃焼室Cへのガス導入口40に臨む燃焼補助ガスバーナ41のノズル41aから第2燃焼室C内に向けて噴射された補助燃料ガスによって、ガス集合室B内にあるガスがエジェクター効果により巻き込まれ、両者が十分に混合されながら一緒に第2燃焼室C内へ勢いよく導入され、第2燃焼室C内でのガス燃焼に供される。従って第2燃焼室Cでは、混合の進んだガスが燃焼されることで良好な燃焼が期待できると共に、勢いの良い燃焼が期待できる。
また本発明の焼却炉は、上記第1の特徴に示す構成に加えて、第1燃焼室Aはその床部の火格子30の下方から前記火格子を介して燃焼用エアーを供給するように構成すると共に、斜め下方に傾斜して設けられる火格子30の先端部の下方に灰材排出口34を設けたことを第6の特徴としている。
上記第6の特徴によれば、上記第1の特徴による作用効果に加えて、投入口12から投入された被焼却物は、火格子30の下方から供給される燃焼用エアーによって燃焼されながら、且つ燃焼ガスの流れに逆らって火格子先端に向かって斜め前方下方に移動していく。そして第1燃焼室で発生したガスの多くは、火格子30の先端部付近から上昇してガス集合室Bに入る。また第1燃焼室A内での燃焼で生じた固形の焼却済材は火格子30上を斜め前方下方に移動してゆき、火格子30先端部から灰材排出部方向に落下してゆく。この様にして焼却済材と発生したガスとが、第1燃焼室A内を移動しながら自然に分離され、それぞれ次の処理工程へスムーズに移行することができる。
また本発明の焼却炉は、上記第1の特徴に示す構成に加えて、第1燃焼室A内の投入口12に近い最上部の燃焼空間からガスを抜き出してガス集合室Bに送り込むためのガスダクト52を設けたことを第7の特徴としている。
上記第7の特徴によれば、上記第1の特徴による作用効果に加えて、第1燃焼室A内の被焼却物の投入口12に近い最上部の燃焼空間に溜まったガスは、ガスダクト52により容易に抜き出されてガス集合室Bに導かれる。従って、第1燃焼室Aで発生したガスを室内に残留させることなく、その全量をスムーズに、確実にガス集合室Bに導くことができる。
また本発明の焼却炉は、上記第7の特徴に示す構成に加えて、ガスダクト52内のガスは、第2燃焼室Cでの燃焼に用いられる燃焼用エアーをガス集合室Bに導入する際に負圧吸引して一緒にガス集合室Bに送り込む構成としたことを第8の特徴としている。
上記第8の特徴によれば、上記第7の特徴による作用効果に加えて、第1燃焼室Aから抜き出されたガスは、専用の導入圧等を加えるといった手段を施すことなく、燃焼用エアーのガス集合室Bへの導入に付随するエジェクター効果によりガス集合室Bへ導入することができる。
また本発明の焼却炉は、上記第1の特徴に示す構成に加えて、第1燃焼室Aでの燃焼運転を被焼却物の溶融温度未満で行うことを第9の特徴としている。
上記第9の特徴によれば、上記第1の特徴による作用効果に加えて、第1燃焼室Aでは被焼却物の溶融温度未満の温度で燃焼がなされるため、被燃焼物が第1燃焼室Aで溶融するのが防止され、よって床部の火格子30等に付着して被焼却物の移動を妨げたりすることなく、被焼却物のスムーズな移動を確保できる。また床部の下からの燃焼用エアーの供給を妨げたりするのが防止される。第1燃焼室Aでの燃焼により生じた焼却灰材は、固形物としてガスとは分離された状態で、第1燃焼室Aの床部の火格子30上に残り、灰材排出部34へと移動されることになる。
また本発明の焼却炉は、上記第1の特徴による作用効果に加えて、第1燃焼室Aでの燃焼運転を酸素量不足による不完全燃焼状態で行うことを第10の特徴としている。
上記第10の特徴によれば、上記第1の特徴による作用効果に加えて、投入された被焼却物は酸素不足の不完全燃焼により、いわゆる乾留状態となって多量の未燃焼ガスを発生させる。この発生した多量の未燃焼ガスはガス集合室Bを経て第2燃焼室Cに導入され、補助燃料ガスと共にガス燃焼に供される。未燃焼ガスには多量のCOが含まれるため、補助燃料ガスの使用を十分節約した状態での運転が可能となる。
また本発明の焼却炉は、上記第1の特徴による作用効果に加えて、第2燃焼室Cでの燃焼運転を少なくとも1100℃以上の高温で行うことを第11の特徴としている。
上記第11の特徴によれば、上記第1の特徴による作用効果に加えて、第1燃焼室Aで発生し、ガス集合室Bを介して第2燃焼室Cに導入された未燃焼ガスを含むガスは、補助燃料ガスや燃焼用エアーと共に第2燃焼室Cで少なくとも1100℃以上の高温で燃焼されることで、ダイオキシンの発生が完全に防止される。また未燃焼ガス中のCOガスが完全に燃焼されてCOになる。よってCOガス濃度ゼロの排ガスの排出が可能となる。また1100℃以上で燃焼されることで、第2燃焼室C内で飛散する灰分等は溶融され、床部上に滴下される。ただし、燃焼温度が高温になりすぎるとCOが再びCOに還元されてしまうので、COからCOへの還元が開始される温度(例えば1200℃)以下とするのが好ましい。
発明を実施するための最良の形態
本発明に係る好ましい焼却炉の一例を、第1〜3図に従って説明する。
第1〜3図において、焼却炉は縦型の炉としている。炉は外壁10で少なくともその4側面及び上面を形成している。炉内の温度が高温になる部分には、前記外壁10の内側に耐火物からなる内張壁11を設けている。12は被焼却物の投入口である。また13は排気口である。
炉内空間は、その途中で隔離壁20により上下の空間に仕切られている。
前記隔離壁20より下に第1燃焼室Aとガス集合室Bとが設けられる。また前記隔離壁20より上に第2燃焼室Cと反応室Dが設けられる。
前記第1燃焼室Aは、その内空間を前記投入口12から前方に向かって斜め下方に傾斜するように構成している。このため第1燃焼室Aの天井部と床部の火格子30はそれぞれ傾斜して構成されている。前記第1燃焼室Aの天井部は、前記隔離壁20の傾斜壁部21によって構成されている。
前記火格子30は一定の角度で回転が可能な複数の火格子片からなり、投入口12から投入された被焼却物をその重みで順次斜め前方の下方へ移動させていく。
火格子30の背面側には燃焼用エアー供給部31が構成され、燃焼用エアー供給手段32を経て送られてきた燃焼用エアーを、前記燃焼用エアー供給部31から火格子30の隙間を通して第1燃焼室A内に供給する。
前記火格子30の先端部(被焼却物の移動前方の最下端部)の下方にはダンパー33を介して灰材排出部34が設けられている。35は灰受けである。
前記ガス集合室Bは第1集合室Aの火格子30先端部付近の燃焼空間に連続して、その上方に縦長の室として構成されている。第1集合室Aの天井部を構成する前記隔離壁20の傾斜壁部21はその先端部(傾斜最下端部)から短い低位壁部22を経て垂直壁部23に連続し、ガス集合室Bの側壁を構成する。ガス集合室Bの天井部は隔離壁20の前記垂直壁部23に連続した高位壁部24に連続する。
ガス集合室Bは前記隔離壁20の垂直壁部23を介して第2燃焼室Cと隣接している。前記隔離壁20の垂直壁部23には、ガス集合室B内のガスを第2燃焼室Cに導入させるためのガス導入口40が設けられている。この例では水平方向に離間して2つのガス導入口40が設けられている。そしてこの2つのガス導入口40に対して、それぞれ燃焼補助ガスバーナ41、41のノズル41a、41aをガス集合室B側から臨ませている。燃焼補助ガスバーナ41のノズル41aから噴出された補助燃料ガスは前記ガス導入口40を通って第2燃焼室C内に入るが、その際にガス集合室B内のガスをエジェクター効果によって巻き込み、混合状態になって一緒に第2燃焼室Cに流れ込む。
ガス集合室Bには、第2燃焼室Cでの燃焼に使用する燃焼用エアーの供給口50が設けられている。この供給口50は前記ガス導入口40のある垂直壁部23とは直角な壁10、11に設けている。燃焼用エアー供給手段51からのエアーは供給口50からガス集合室Bに入り、第1燃焼室Aから入ってきたガスと混合される。
またガス集合室Bには、第1燃焼室Aの前記投入口12に近い最上部の燃焼空間からガスを抜き出してガス集合室Bに送り込むためのガスダクト52が接続されている。このガスダクト52のガス集合室Bへの接続口は前記燃焼用エアーの供給口50と兼用されている。供給口50の直ぐ手前のガスダクト52部分に燃焼用エアー供給手段51からのエアーが吹き込まれるように構成することで、第1燃焼室Aから抜き出されたガスがガスダクト52内を前記エアーによって吸引される状態となって、一緒にガス集合室Bに入るようになされている。
前記第2燃焼室Cは、前記隔離壁20の傾斜壁部21と低位壁部22とで第1燃焼部Aの上方に隔離され、また前記隔離壁20の垂直壁部23で隣接するガス集合室Bと隔離されている。
第2燃焼室Cの床部は前記傾斜壁部21と低位壁部22とで構成され、第2燃焼室Cで生じた溶融物(クリンカー)は傾斜壁部21を低位壁部22に向けて流れる。低位壁部21にはクリンカー落下穴61を設ける。このクリンカー落下穴61の大きさは、その穴を通ってクリンカーは十分に落下されるが、クリンカー落下穴61は大きな穴ではないので、第1燃焼室A内で発生したガスがクリンカー落下穴61を通って第2燃焼室Cへ侵入することはほとんどなく、あってもその量は実質上において何らの悪影響も生じない程度以下である。
クリンカー落下穴61の位置は、第1燃焼室Aの火格子30の先端部付近が好ましい。クリンカー落下穴61から滴下したクリンカーは第1燃焼室A内で固化し、火格子30の先端部付近に落ちて、第1燃焼室A内の灰と一緒になり、灰材排出部34に移行する。
第2燃焼室Cの上部は、前記内張壁11の一部を前記ガス導入口40の上方へ膨出する膨出部62とし、この膨出部62によって上部開口63の面積を絞って、狭くしている。そして前記膨出部62の先端部に水平方向に複数個のエアー吹き出し口64を設け、エアー供給手段65からのエアーを前記上部開口63に吹き出すことでエアーカーテンを形成するようにしている。このエアーカーテンにより第2燃焼室Cとその上方の反応室Dとが仕切られている。
前記反応室Dは第2燃焼室Cの上方に、比較的大きな空間をもって構成される。第2燃焼室Cから反応室Dに入ったガスがその速度を低下させながら矢印Pのように対流し、やがて排気口13に至り、排出される。反応室D内ではガスは排気口13に至るまでの適当な滞留時間を確保される。
反応室Dは前記膨出部62の上面を傾斜部71とすることで、反応室Dにおいて滞留中のガスから分離沈降された灰分が、前記傾斜部71に積もって下方に移動し、第2燃焼室Cに落下される。
以上の構成において、更に焼却運転動作を説明しながら本発明を更に説明する。
今、投入口12から被焼却物が連続的に投入され、燃焼用エアーが燃焼用エアー供給手段32から燃焼用エアー供給部31を経て、火格子30の隙間から第1燃焼室Aに供給され、図示しない点火手段によって点火されると、第1燃焼室Aでの燃焼が行われる。被焼却物は火格子30の上を上部から斜め下方に移動されながら燃焼される。一方、第1燃焼室A内における燃焼ガスの流れは第1燃焼室Aの燃焼空間をその下部から斜め上方に向けて流れるので、前記被焼却物は燃焼ガスの方向に逆らって移動することになる。従って、このような被焼却物の移動方向と燃焼ガスの移動方向の関係から、第1燃焼室A内では前記投入口12付近から第1燃焼室A内の降下端付近までにおける全領域での燃焼温度をある程度平均化することができ、第1燃焼室A内での燃焼温度を温度差の少ない状態に制御することが可能となる。
前記第1燃焼室Aにおいて発生した未燃焼ガスを含むガスは、第1燃焼室Aの先端部側(被焼却物の移動先端側)からガス集合室Bに集められる。また第1燃焼室Aの投入口12に近い最上部の燃焼空間に溜まったガスは、ガスダクト52を経てガス集合室Bに集められる。即ち、第1燃焼室Aで発生したガスは全てガス集合室Bに一旦集められることになる。
第1燃焼室Aでの燃焼運転は被焼却物の溶融温度未満で行うのが好ましい。被焼却物の溶融温度未満の温度で燃焼させることで、被焼却物が第1燃焼室A内で溶融するのを防止することができ、よって火格子30上に溶融物が付着して被焼却物の移動を妨げたりするのが防止され、被焼却物の移動がスムーズに行われる。また火格子30の各火格子片間が詰まって、下からの燃焼用エアーの供給を妨げたりするのが防止できる。第1燃焼室Aでの燃焼により生じた焼却灰材は、固形物としてガスとは分離された状態で容易に火格子30先端部側へ運ばれ、灰材排出部34へと運ばれる。
また第1燃焼室Aでの燃焼運転は不完全燃焼で行うのが好ましい。燃焼用エアー供給手段32からのエアーの量を適当に少なくすることで、第1燃焼室A内での燃焼が不完全燃焼となり、これによって、多量のCOガスを発生させることができる。COガスを多量に含む未燃焼ガスはそれ自体が十分な燃料を保有しており、第2燃焼室Cでの燃焼に際して、補助燃料の供給を少なくすることができ、燃料の節約によるコスト低減を図ることができる。
前記第1燃焼室A内での燃焼は、より具体的には、前記投入口12に近い燃焼空間においてはCOガスの燃焼温度(約680℃)より低い温度、例えば650℃以下で行われるように温度管理を行うのが好ましい。このようなCOガスの燃焼温度未満の温度で燃焼が行われることで、CO濃度の高いガスを多量に発生させることができる。但し、第1燃焼室A内全域での燃焼をCOガスの燃焼温度未満の温度で行う場合には、被焼却物の燃焼速度が遅く、焼却に時間がかかることから、第1燃焼室Aの先端側(出口側)では、溶融温度未満であるという条件の下に、前記投入口12付近の温度よりも温度の高い範囲、例えば800〜950℃での燃焼になるように温度管理を行い、第1燃焼室Aでの焼却の効率も図るようにすることができる。
前記温度管理は、図示しない温度検出器と、該温度検出器から得られる温度に基づいて前記燃焼用エアー供給手段32によるエアー供給量を調節し或いは被焼却物の投入量を調節する図示しない制御手段とによって行うことができる。
以上のようにして、第1燃焼室Aでは、被焼却物が乾留されるように固体燃焼され、多量の未燃焼ガスの発生と非溶融の固形の焼却灰材が生成される。固形の焼却灰材は火格子30の先端方向へ運ばれ、灰材排出部34に落下される。
第1燃焼室Aで発生した未燃焼ガスを含むガスは、第1燃焼室Aの先端付近の燃焼空間からガス集合室Bに入り、また第1燃焼室Aの投入口12に近い最上部の燃焼空間からガスダクト52を通ってガス集合室Bに入る。これによって第1燃焼室Aで発生したガスの全ては、一旦ガス集合室Bに集められる。
ガス集合室Bには、第2燃焼室Cでの燃焼に用いる燃焼用エアーが燃焼用エアー供給手段51からガス導入口40を介して吹き込まれる。そしてこの燃焼用エアー供給手段51からのエアー吹き込みよって生じるエジェクター効果により、前記第1燃焼室Aからガスダクト52内に入ったガスは、負圧吸引されて、混合されながら一緒にガス集合室Bに送り込まれる。よって前記第1燃焼室Aからガスダクト52に抜き出されたガスは、専用の導入圧等を加えることなく、スムーズにガス集合室Bに導入される。ガス集合室B内では第1燃焼室Aからのガスと燃焼用エアーとが予め十分に混合される。
ガス集合室Bからは、第1燃焼室Aからガス集合室Bに導入されたガスと、燃焼用エアー供給手段51からガス集合室Bに導入されたエアーと、燃焼補助ガスバーナ41からの補助燃料ガスとが、ガス導入口40を通して第2燃焼室Cへ吹き込まれる。ガス導入口40に臨むノズル41aから補助燃料ガスが第2燃焼室Cに吹き込まれる際に、ガス導入口40で生じるエジェクター効果により、ガス集合室B内のガスが負圧吸引され、補助燃料ガスと混合されながら第2燃焼室Cに導入される。これによって第2燃焼室C内でのガスの混合が良好に行われる。
第2燃焼室C内では前記導入されたガスによる完全燃焼が行われる。
第2燃焼室Cでの燃焼は、導入されたガスが、十分な燃焼用エアーの存在下、ダイオキシンの発生を防止するのに十分な高温で完全燃焼される。
第2燃焼室Cでの燃焼は、少なくとも1100℃以上の高温で行うのが好ましいが、例えば1100〜1200℃に温度管理して行う。このような高温で完全燃焼を行うことで、COガスを完全にCOガスにして、COガスの排出を極限まで低下させ、ダイオキシンの発生を防止する。この温度管理は、第2燃焼室C内の温度を検出する図示しない温度検出器と、検出した温度情報に応じて燃焼用エアーの導入量と補助燃料の導入量を制御する図示しない制御手段とで行う。
第2燃焼室C内にガスに混じって飛散する灰分等は溶融されて、床部に滴下する。滴下した溶融物は隔離壁20の傾斜壁部21上を低位壁部22に流れて、クリンカー落下穴61から第1燃焼室A内の先端側に落下し、固化して第1燃焼室Aで発生した焼却済材と一緒に固形灰材として排出される。
第2燃焼室Cは、その上部開口63が膨出部62によって狭くされ、且つその上端開口63が複数のエアー吹き出し口64から吹き出されたエアーによって構成されたエアーカーテンによって、上部の反応室Dと仕切られているため、第2燃焼室C内のガスが容易に反応室D側へ逸散するのが防止され、高負荷燃焼を可能としている。また反応室Dへ逸散しようとする未燃焼ガスに対してはエアーカーテンによって燃焼が進められるので、燃焼不完全なままのガスが反応室D側へ移行されてしまうことが防止される。
反応室Dに入ったガスは、広い室内を矢印Pで示すように循環しながら速度を落とし、浮遊させた灰分等を沈降させる。そして、やがて排気口13から排出される。反応室Dの容積はガスの滞留時間が、ダイオキシンの排出防止のガイドラインに従って、例えば2秒以上となるようにする。前記沈降した灰分等は前記膨出部62の上面に構成される傾斜部71面上を下って、第2燃焼室Cに戻され、更に溶融されて第1燃焼室A側に滴下し、灰材となって灰材排出部34から排出される。
産業上の利用可能性
以上のように、本発明に係る焼却炉はダイオキシンの排出を十分に防止することができると共に、燃料供給量も少なく経済性に優れた焼却炉としての利用価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
第1〜3図は本発明に係る好ましい焼却炉の例を示し、第1図は装置全体の縦断面図、第2図は第1図のX−X断面図、第3図は第1図のY−Y断面図である。

Claims (11)

  1. 少なくとも投入された被焼却物を燃焼させる第1燃焼室Aと、該第1燃焼室Aで発生した未燃焼ガスを含むガスを一旦集合させるガス集合室Bと、該ガス集合室Bからのガスと補助燃料ガス及び燃焼用エアーとを導入して高温でガス燃焼させる第2燃焼室Cと、該第2燃焼室Cを経たガスが排気口13に至るまでの滞留時間を確保すると共にガスに含まれる灰分を沈降させる反応室Dとを備えた焼却炉であって、
    前記焼却炉は縦型の焼却炉とし、その縦型の炉内空間の途中を隔離壁20によって仕切って、該隔離壁20より下の炉内空間に前記第1燃焼室Aと前記ガス集合室Bを設けると共に、隔離壁20より上の炉内空間に第2燃焼室Cとその上方に前記反応室Dを設け、
    前記第1燃焼室Aは、縦型の焼却炉の途中位置に設けられた投入口12から投入された被焼却物が該投入口12から斜め前方下方に移動しながら燃焼されるように、天井部を構成する隔離壁20(21、22)と床部の火格子30とをそれぞれ前方へ傾斜させた構成とし、
    前記ガス集合室Bは、前記第1燃焼室Aの傾斜先端部の空間から上方に連続する縦長の室として構成すると共に、前記第1燃焼室A内で発生した未燃焼ガスを含む全てのガスを一旦受け入れる構成とし、
    前記第2燃焼室Cは、前記第1燃焼室Aの上方で且つ前記ガス集合室Bに隣接するように、前記第1燃焼室Aの天井部の隔離壁20(21、22)とそれに連続する前記ガス集合室Bの側壁である隔離壁20(23)とによって仕切って配置すると共に、前記ガス集合室Bの側壁である隔離壁20(23)に設けたガス導入口40からガス集合室Bに集められたガスを導入する構成としたことを特徴とする焼却炉。
  2. 第2燃焼室Cは、その上部の開口面積を絞って狭くし、且つ前記狭くした上部の開口63をエアーカーテンによりその上方の反応室Dと仕切ってあることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の焼却炉。
  3. 第2燃焼室Cは第1燃焼室Aとの隔離壁20によって構成される床部を傾斜させて設けると共に、その床部の最下部に第2燃焼室C内で発生したクリンカーを第1燃焼室A内へ落下させるクリンカー落下穴61を設けたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の焼却炉。
  4. 第2燃焼室Cでの燃焼に用いられる燃焼用エアーの供給口50をガス集合室Bに対して設け、第1燃焼室Aからのガスと前記燃焼用エアーとをガス集合室B内で混合させる構成としたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の焼却炉。
  5. 燃焼補助ガスバーナ41のノズル41aを、ガス集合室Bから第2燃焼室Cへのガス導入口40に臨ませて配置し、ガス集合室B内のガスを前記ノズル41aから噴射される補助燃料ガスによって巻き込みながら混合ガスとして第2燃焼室Cに導入させる構成としたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の燃焼炉
  6. 第1燃焼室Aはその床部の火格子30の下方から前記火格子を介して燃焼用エアーを供給するように構成すると共に、斜め下方に傾斜して設けられる火格子30の先端部の下方に灰材排出口34を設けたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の焼却炉。
  7. 第1燃焼室A内の投入口12に近い最上部の燃焼空間からガスを抜き出してガス集合室Bに送り込むためのガスダクト52を設けたことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の焼却炉。
  8. ガスダクト52内のガスは、第2燃焼室Cでの燃焼に用いられる燃焼用エアーをガス集合室Bに導入する際に負圧吸引して一緒にガス集合室Bに送り込む構成としたことを特徴とする請求の範囲第7項に記載の焼却炉。
  9. 第1燃焼室Aでの燃焼運転を被焼却物の溶融温度未満で行うことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の焼却炉。
  10. 第1燃焼室Aでの燃焼運転を酸素量不足による不完全燃焼状態で行うことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の焼却炉。
  11. 第2燃焼室Cでの燃焼運転を少なくとも1100℃以上の高温で行うことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の焼却炉。
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